製氷機の運転方法
【課題】冷媒検知手段の誤作動による作動停止を防止する。
【解決手段】前記制御手段Cは、冷媒検知センサSからの検知信号の受信を開始した時点から待機時間WTが経過した時点において、該冷媒検知センサSからの検知信号を受信しているか否かを確認する。そして制御手段Cは、冷媒検知センサSからの検知信号の受信を開始した時点から待機時間WTが経過しても該冷媒検知センサSからの検知信号を受信している場合には、冷凍機構Eから冷媒が漏出してすると判定して、凝縮器31を強制冷却するための冷却ファン34を連続作動するよう制御する。
【解決手段】前記制御手段Cは、冷媒検知センサSからの検知信号の受信を開始した時点から待機時間WTが経過した時点において、該冷媒検知センサSからの検知信号を受信しているか否かを確認する。そして制御手段Cは、冷媒検知センサSからの検知信号の受信を開始した時点から待機時間WTが経過しても該冷媒検知センサSからの検知信号を受信している場合には、冷凍機構Eから冷媒が漏出してすると判定して、凝縮器31を強制冷却するための冷却ファン34を連続作動するよう制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃性ガスからなる冷媒を循環させて製氷機構の製氷運転および除氷運転を行なう冷凍機構と、前記冷凍機構から漏出した前記冷媒を検知可能な冷媒検知手段とを備えた製氷機の運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図13は、ブロック状の氷塊を連続的に生成する噴射式の製氷機Mを概略的に示す側断面図である。この製氷機Mは、略箱形をなす筐体10の内部を上下に区画して、上方が貯氷室11とすると共に下方が機械室12として構成され、貯氷室11の内部上方には氷塊を生成する製氷部20を備えた製氷機構Dが配設され、機械室12には冷凍機構E等が配設されている。そして、図14に示すように、冷凍機構Eにより製氷機構Dの製氷部20を冷却することで該製氷部20において氷塊Iを生成し、該冷凍機構Eにより該製氷部20を加熱することで、生成された氷塊を貯氷室11内に落下させて貯留するようになっている。製氷機構Dは、図14に概略的に示すように、下向きに開口した多数の製氷小室20Aを形成した前記製氷部20と、各製氷小室20Aを開閉可能な水皿21と、水皿21の下部に配設された製氷水タンク22と、これら水皿21および製氷水タンク22を一体的に傾動させる水皿開閉機構23等から構成されている。
【0003】
前記冷凍機構Eは、図13および図14に示すように、圧縮機30、冷却ファン34により強制空冷される凝縮器31、膨張弁32および蒸発器33を連結管35(第1連結管35A、第2連結管35B、第3連結管35C、第4連結管35D)で連結した閉回路内に冷媒を循環するようになっており、圧縮機30、凝縮器31および膨張弁32は機械室12内に配設され、蒸発器33は貯氷室11内において製氷部20の上面に蛇行状に配設されている。このような冷凍機構Eは、圧縮機30で前記冷媒を高圧の気体とし、凝縮器31で該冷媒を冷却して高圧の液体とし、膨張弁32で該冷媒を断熱膨張した液体とし、蒸発器33で該冷媒を気化させて気化熱により該蒸発器33を冷却する。また冷凍機構Eは、図14に示すように、前記圧縮機30と蒸発器33とを連結してホットガス弁36が配設された第5連結管35Eを備え、該ホットガス弁36を開けることで圧縮機30からの高温・高圧で加熱状態の冷媒(ホットガス)を蒸発器33に供給して、該蒸発器33を加熱し得るようになっている。すなわち冷凍機構Eは、蒸発器33の冷却および加熱が可能となっており、蒸発器33を冷却することで製氷機構Dの製氷運転を可能とすると共に、該蒸発器33を加熱することで製氷機構Dの除氷運転を可能とする。
【0004】
前記冷凍機構Eは、前記冷媒として、プロパンやブタン等の可燃性ガスが採用されている。この可燃性ガスは、冷凍機構Eの前記圧縮機30、凝縮器31、膨張弁32、蒸発器33および連結管35の適宜部位から製氷機M内へ漏出することがあり得る。このため、図13に示す製氷機Mでは、区画された前記機械室12内および貯氷室11内に各々1つずつの冷媒検知センサSが配設され、冷凍機構Eから漏出した冷媒を冷媒検知センサSで検知し得るよう構成されている。なお、冷媒検知センサを備えた冷蔵庫は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−90925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
製氷機Mが設置される厨房等では、該製氷機Mの機械室12等の廃熱される場所に害虫が集まり易いため、この害虫を駆除するためにスプレー式の殺虫剤を噴射することがある。しかし前記冷媒検知センサSは、前記殺虫剤の成分に反応するため、実際には冷媒が漏出していないのに検知信号を送信してしまう。しかも、前記従来の製氷機Mでは、前記冷媒検知センサSが検知信号を送信した場合に、冷凍機構Eの作動を即時停止して製氷機構Dの製氷運転および除氷運転を停止するよう制御される。このため従来の製氷機Mは、スプレー式の殺虫剤を噴射した際に停止し、製氷効率が低下して氷塊Iの供給に支障を来たす課題がある。
【0007】
そこで本発明では、前述した従来の技術に内在している課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、冷媒検知手段の誤作動による作動停止を防止するようにした製氷機の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、
冷却ファンにより強制空冷される凝縮器を備えた回路に可燃性ガスの冷媒を循環させ、前記冷却ファンを作動して製氷機構の製氷運転を行なうと共に該冷却ファンを停止して該製氷機構の除氷運転を行なう冷凍機構を備えた製氷機の運転方法であって、
前記冷媒を検知している間は検知信号を制御手段に送信する冷媒検知手段を用い、
前記制御手段は、前記冷媒検知手段からの検知信号の受信を開始した時点から待機時間が経過しても該冷媒検知手段からの検知信号を受信している場合に、前記冷却ファンを連続作動するよう制御することを要旨とする。
【0009】
従って、請求項1に係る発明によれば、冷媒検知手段からの検知信号の受信を開始した時点から待機時間の経過時点で冷媒検知手段からの検知信号を制御手段が受信しなかった場合は、該冷媒検知手段が冷媒以外のガスを検知したと判定し得ると共に、待機時間の経過時点で冷媒検知手段からの検知信号を制御手段が受信していた場合には、該冷媒検知手段が冷凍機構から漏出した冷媒を検知したと判定することができ、冷凍機構からの冷媒の漏出有無を確実かつ適切に認識することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、
冷却ファンにより強制空冷される凝縮器を備えた回路に可燃性ガスの冷媒を循環させ、前記冷却ファンを作動して製氷機構の製氷運転を行なうと共に該冷却ファンを停止して該製氷機構の除氷運転を行なう冷凍機構を備えた製氷機の運転方法であって、
前記冷媒を検知している間は検知信号を制御手段に送信する冷媒検知手段を用い、
前記制御手段は、前記冷媒検知手段からの検知信号の受信を開始した時点で、前記冷却ファンを所定の作動時間に亘って作動し、
前記制御手段は、前記作動時間が経過して前記冷却ファンが停止した時点から判定時間が経過する前に前記冷媒検知手段からの検知信号を受信した場合に、前記冷却ファンを連続作動するよう制御することを要旨とする。
【0011】
従って、請求項2に係る発明によれば、冷媒検知手段からの検知信号の受信を開始した場合は、作動時間に亘って冷却ファンによりガスまたは冷媒を一旦拡散させた後に、判定時間が経過するまでに冷媒検知手段からの検知信号を制御手段が受信しなかった場合は、該冷媒検知手段が冷媒以外のガスを検知したと判定し得ると共に、判定時間が経過する前に冷媒検知手段からの検知信号を制御手段が受信した場合には、該冷媒検知手段が冷凍機構から漏出した冷媒を検知したと判定することができ、冷凍機構からの冷媒の漏出有無を確実かつ適切に認識することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る製氷機の運転方法によれば、冷媒検知手段の誤作動による作動停止を防止して、製氷効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施例の製氷機の運転方法を概略的に示すフローチャートである。
【図2】第1実施例の製氷機の運転方法における通常モードのタイミングチャートである。
【図3】第1実施例の製氷機の運転方法において、冷媒以外のガスを冷媒検知センサが検知した場合のタイミングチャートである。
【図4】第1実施例の製氷機の運転方法において、冷媒を冷媒検知センサが検知したことで、通常モードからセーフホールドモードに移行する状態を示すタイミングチャートである。
【図5】(a)は、冷媒以外のガスを冷媒検知センサが検知した際の検知信号を示す説明図であり、(b)は、冷媒を冷媒検知センサが検知した際の検知信号を示す説明図である。
【図6】第2実施例の製氷機の運転方法を概略的に示すフローチャートである。
【図7】第2実施例の製氷機の運転方法において、冷媒以外のガスを冷媒検知センサが検知した場合のタイミングチャートである。
【図8】第2実施例の製氷機の運転方法において、冷媒を冷媒検知センサが検知したことで、通常モードからセーフホールドモードに移行する状態を示すタイミングチャートである。
【図9】(a)は、冷媒以外のガスを冷媒検知センサが検知した際の検知信号を示す説明図であり、(b)は、冷媒を冷媒検知センサが検知した際の検知信号を示す説明図である。
【図10】実施例の製氷機における制御系のブロック図である。
【図11】実施例の運転方法が実施される製氷機の構成を概略的に示す側断面図である。
【図12】図11に示す製氷機を、一部破断しかつ一部の部材を取り外して示す分解斜視図である。
【図13】ブロック状の氷塊を連続的に生成する従来の製氷機の構成を概略的に示す側断面図である。
【図14】製氷機における製氷機構および冷凍機構の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る製氷機の運転方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。各実施例では、筐体の基本的構成や、冷凍機構Eおよび製氷機構Dの構成が、図13および図14に示した従来の製氷機Mと同じに構成された製氷機を例示する。従って、図13および図14に既出の部材、部位と同一の部材、部位は同一の符号を付すと共に、冷凍機構Eおよび製氷機構Dの説明においては図14を引用する。なお実施例では、開閉扉18が配設された側(図11の左側)が製氷機Mの前側、前側から見た左右方向を製氷機Mの左右方向とし、上下方向を製氷機Mの上下方向とする。
【実施例】
【0015】
先ず、後述する各実施例の運転方法が実施される製氷機Mにつき、図10〜図12および図14を引用して説明する。製氷機Mは、図11および図12に示すように、略箱形をなす筐体10の内部が上下に区画されて、断熱構造をなす貯氷室11が上方に画成されると共に、該貯氷室11の下方に機械室12が画成されている。貯氷室11は、筐体10の前側に配設された開閉扉18の姿勢変位により開閉可能となっており、内部上方に製氷機構Dおよび冷凍機構Eの蒸発器33が配設されている。機械室12には、冷凍機構Eを構成する圧縮機30、凝縮器31および膨張弁32等や、その他の各種機器および部品が配設されている。そして、冷媒検知手段としての冷媒検知センサSが、機械室12の底部に配設されている。また貯氷室11の壁部には、生成された氷塊Iが所定の貯氷量となったことを検知する貯氷スイッチ19が配設されている(図10、図14参照)。
【0016】
前記製氷機構Dは、図11、図12および図14に示すように、下向きに開口した多数の製氷小室20Aが形成された前記製氷部20と、該製氷部20の各製氷小室20Aを下方から開閉する水皿21と、水皿21の下部に配設された製氷水タンク22と、これら水皿21および製氷水タンク22を一体的に傾動させる水皿開閉機構23等から構成されている。そして製氷機構Dは、製氷部20の上部において左右方向に水平となるように筐体10に架設された取付部材13に懸架した状態で配設されている(図11、図12参照)。前記製氷部20は、各製氷小室20Aを下方に向けた水平状態で取付部材13に固定されている。前記水皿21は、該水皿21の左側端部に取付けた支持アーム24が、取付部材13のブラケット14に支軸15を介して枢支され、該水皿21の右側端部近傍は、該取付部材13に配設した水皿開閉機構23を構成するカムアーム25にコイルスプリング26を介して接続されている。従って水皿21は、前記カムアーム25を開閉モータ27で正逆回転することで、前記製氷部20を閉成するよう上昇して水平となった製氷位置(図14に実線で表示)と、該製氷部20を開放するよう下降して右下方に傾斜した除氷位置(図14に2点鎖線で表示)とに姿勢変位し得る。なお製氷機構Dには、水皿21が製氷位置となったことを検知する第1水皿検知スイッチ40と、水皿21が除氷位置となったことを検知する第2水皿検知スイッチ41が配設されている(図10参照)。また製氷機構Dは、製氷部20の所要位置に、該製氷部20の温度を検知する製氷部温度センサ42を備えており(図10、図14参照)、製氷運転中に該製氷部温度センサ42が予め設定された製氷完了温度を検知すると製氷運転から除氷運転に切り替えられ、除氷運転中に該製氷部温度センサ42が予め設定された除氷完了温度を検知すると除氷運転から製氷運転に切り替わるように制御される。
【0017】
前記製氷水タンク22は、図11、図12および図14に示すように、上方に開口したバケット形状の部材であって、水皿21に対して適宜の固定部材で固定され、該水皿21の傾動変位に伴って傾動するよう構成されている。製氷水タンク22は、水皿21が閉成位置に臨む姿勢においては、給水弁29の開放により外部水道源から供給された所定量の製氷水を貯留することができ、水皿21が開放位置に臨む場合は貯留していた製氷水をドレンパン16へ放出するよう構成されている。また、製氷水タンク22の最深部である左側前壁には、該製氷水タンク22内に貯留された製氷水を、前記水皿21に設けた噴射孔を介して製氷部20の各製氷小室20Aへ噴射供給する製氷水ポンプ28が配設されている。
【0018】
前記冷凍機構Eは、図11、図12および図14に示すように、機械室12内に配設された圧縮機30と、冷却ファン34が装備されて強制空冷される凝縮器31と、膨張弁32と、前記貯氷室11において製氷機構Dの製氷部20の上面に蛇行状に配設された蒸発器33とを備え、これら圧縮機30、凝縮器31、膨張弁32および蒸発器33が連結管35により直列に連結されて、可燃性ガスからなる冷媒が循環する冷凍回路が構成されている。すなわち、圧縮機30の出口部と凝縮器31の入口部とが第1連結管35Aで連結され、凝縮器31の出口部と膨張弁32の入口部とが第2連結管35Bで連結され、膨張弁32の出口部と蒸発器33の入口部とが第3連結管35Cで連結され、蒸発器33の出口部と前記圧縮機30の入口部とが第4連結管35Dで連結されている。また、第1連結管35Aの中途に接続されると共に第3連結管35Cの中途に接続された第5連結管35Eが設けられ、該第5連結管35Eの中途に配設された前記ホットガス弁36を開いた状態に制御することで、圧縮機30で圧縮された加熱状態の冷媒(ホットガス)が該第5連結管35Eを介して蒸発器33へ直接供給し得るようになっている。
【0019】
前記冷媒は、冷蔵庫や製氷機に広く使用されつつあるHC(ハイドロカーボン)冷媒であって、例えばプロパン(R290)やイソブタン(R600a)等の可燃性ガスからなる。この冷媒は、空気より比重が大きく、万一、冷凍機構Eを構成する前記圧縮機30、凝縮器31、膨張弁32、蒸発器33や、連結管35(第1連結管35A〜第5連結管35E)、またはこれら各機器と連結管35との連結部分等から漏出した場合には、製氷機M内の下方に位置する前記機械室12へ移動する。なお、冷媒の各種物性等の説明は省略する。
【0020】
前記機械室12内に配設された膨張弁32と前記貯氷室11内に配設された蒸発器33とを連結する第3連結管35Cと、該蒸発器33と機械室12内に配設された前記圧縮機30とを連結する第4連結管35Dは、図11および図12に示すように、筐体10の背面に画成された配管空間(連通空間)45内に沿って配設されている。前記配管空間45は、図12に示すように、上下に長尺で筐体10側に開口した半樋状のカバー部材46を該筐体10の背面に取付けることで、筐体10の背面に垂直に画成されている。また配管空間45は、図11に示すように、筐体10の上部(貯氷室11の後壁上部)に形成された第1連通部47を介して貯氷室11内と空間的に連通していると共に、該筐体10の上下方向中央から下方に形成された第2挿通部48を介して機械室12内と空間的に連通している。そして、前記第1連通部47、配管空間45および第2挿通部48は、前記第3連結管35Cおよび第4連結管35Dに巻かれた断熱材37との間に、冷媒の流通が許容される隙間Gが画成される形状、サイズに形成されている。
【0021】
なお、第1連通部47を貯氷室11の後壁上部に設けたのは次のような理由からである。理由1として、図14に示すように、貯氷室11内には製氷機構Dで生成された氷塊Iが満杯に貯留されると、該貯氷室11の底部に第1連通部47を設けた場合には、該氷塊Iで該第1連通部47が塞がれて冷媒を適切に排出できなくなるおそれがある。理由2として、貯氷室11では常に融解水が発生するため、該貯氷室11の底部に第1連通部47を設けた場合には、該融解水が該第1連通部47内へ流入するおそれがある。理由3として、製氷機Mに配設される冷凍機構Eは、家庭用の冷蔵庫や空調機等に比べて冷媒の充填量が多く、かつ貯氷室11の内部容積が家庭用の冷蔵庫や空調機等に比べて貯氷室11の内部容積が小さいので、漏出した冷媒が該貯氷室11の内部全体に比較的短時間で充満するようになり、漏出した冷媒は貯氷室11の後壁上部に設けた第1連通部47からも十分に排出され得る。また、貯氷室11の後壁上部は蒸発器33に近接しているから、該後壁上部に設けた第1連通部47には該蒸発器33から漏出した冷媒が流入し易くなっている。
【0022】
すなわち製氷機Mは、例えば前記第3連結管35Cまたは第4連結管35Dの途中に亀裂や孔が形成されて該亀裂や孔から冷媒が漏出した場合には、該冷媒が配管空間45内を下方へ移動して第2挿通部48を介して機械室12内へ移動し得るように構成されている。また実施例の製氷機Mは、蒸発器33の途中に亀裂や孔が形成されて該亀裂や孔から冷媒が貯氷室11内に漏出した場合や、蒸発器33と第3連結管35Cとの連結部または該蒸発器33と第4連結管35Dとの連結部から冷媒が貯氷室11内へ漏出した場合に、該冷媒は、前記第1連通部47、配管空間45および第2挿通部48を介して機械室12内へ移動し得るように構成されている。
【0023】
そして製氷機Mは、前述したように、貯氷室11と機械室12とを配管空間45で連通した構成としたことで、図11および図12に示すように、機械室12内において、前記第2挿通部48の略真下に、前記冷媒を検知可能な冷媒検知センサSが1つだけ配設されている。この冷媒検知センサSは、例えば感ガス素子として酸化第二スズ(SnO2)を主体とする材料に、ヒータコイルおよび電極リード線を埋設した酸化スズ半導体タイプであって、プロパンやイソブタンからなる冷媒を適切に検知することが可能である。そして冷媒検知センサSは、当該製氷機Mを制御する制御手段C(図10参照)に電気的に接続されて、冷媒を検知している間は該制御手段Cへ検知信号を送信し続けるようになっている。従って冷媒検知センサSは、圧縮機30、凝縮器31、膨張弁32、第1連結管35Aおよび第2連結管35Bから機械室12内へ直接漏出した冷媒を適切に検知し得ると共に、前述したように、凝縮器31、第3連結管35Cおよび第4連結管35Dから漏出して機械室12へ移動した冷媒も適切に検知し得る。なお冷媒検知センサSは、例えば冷媒の濃度が0.15%以上になると検知信号を送信し、冷媒の濃度が0.15%より小さくなると検知信号の送信を解除するようになっている。
【0024】
また前記冷媒検知センサSは、自己診断機能を備えていて常に自己の故障判定を行ない得るようになっており、例えば長期使用による劣化や破損等により使用中に故障が発生した場合には、前記制御手段Cに対して故障信号を送信するようになっている。従って、製氷機Mの制御手段Cは、製氷機構Dの製氷運転中または除氷運転中であっても、冷媒検知センサSの故障を即座に認識可能となっている。なお各冷媒検知センサSは、故障が一時的で正常に復帰した場合に自動復帰すると共に、前記制御手段Cへの前記故障信号の送信を自動停止し得る。
【0025】
前記制御手段Cは、図10に示すように、製氷機Mを総合的に制御するものであり、前記冷媒検知センサSから検知信号や故障信号が入力され、前記製氷部温度センサ42、第1水皿検知スイッチ40、第2水皿検知スイッチ41および貯氷スイッチ19等から検知信号が入力されると共に、図示省略した各種測定手段や検知手段等から検知信号や検知信号等が入力される。また制御手段Cは、各種入力信号および図示しないコントロールパネルから入力された各種設定等に基づき、冷凍機構Eの圧縮機30、冷却ファン34およびホットガス弁36、製氷機構Dの開閉モータ27、給水弁29およぴ製氷水ポンプ28、漏出警告ランプ50および故障報知ランプ51等を総合的に制御する。
【0026】
次に、前述のように構成された製氷機Mにおける運転方法につき、第1実施例および第2実施例を挙げて説明する。
【0027】
(第1実施例)
図1は、第1実施例に係る製氷機の運転方法を示すフローチャートである。そして、第1実施例の運転方法では、次の表1に示すように、起動中の運転モードとして、「通常モード」と、「セーフホールドモード」とが設定されており、該製氷機Mの状態に応じて運転モードが自動的に切り替わるようになっている。
【0028】
【表1】
【0029】
前記「通常モード」は、冷凍機構Eからの冷媒の漏出が発生していない正常時に実行される運転モードであり、所定の運転プログラムに従って通常の製氷運転および除氷運転が実行される。この通常モードでは、図2に示すように、製氷運転中においては、凝縮器31の冷却ファン34がON制御されて作動し、除氷運転中においては、ホットガス弁36が開放されている間だけ冷却ファン34がOFF制御されて停止する。
【0030】
前記「セーフホールドモード」は、前記冷凍機構Eから漏出した冷媒を前記冷媒検知センサSが検知して、該冷媒検知センサSからの検知信号が制御手段Cに送信された際に、冷媒が漏出していることを確認した際に実行される運転モードである。このセーフホールドモードでは、図4に示すように、製氷機構Dの製氷運転を停止すると共に、前記凝縮器31の冷却ファン34が連続ON制御されて連続作動するようになっている。従って、凝縮器31の冷却ファン34が連続作動することで機械室12の空気を攪拌して、該機械室12内へ流入した冷媒を、拡散させると共に筐体10に設けた通気孔17を介して機外へ放出させるので、機械室12内に該冷媒が充満して濃度が上昇することを防止する。なお、貯氷室11に漏出した冷媒は、前記配管空間45を介して機械室12へ移動した後に、通気孔17を介して機外へ放出されるが、開閉扉18を開放することで機外へ放出することも可能である。
【0031】
そして、第1実施例の運転方法では、冷媒検知センサSの周辺で散布される殺虫剤等のガスを該冷媒検知センサSが検知した場合と、実際に冷凍機構Eから漏出した冷媒を該冷媒検知センサSが検知した場合とを確実かつ適切に判定して、冷媒が漏出した場合だけ運転モードを通常モードからセーフホールドモードへ切り替え得るように制御可能となっている。すなわち制御手段Cは、冷媒検知センサSの周辺で散布される殺虫剤の散布時間は数秒(1〜2秒)程度であるのに対し、冷凍機構Eから漏出する冷媒の漏出時間は一定時間(30秒以上)に亘って継続するものである。従って第1実施例の運転方法では、制御手段Cは、通常モードにおいて冷媒検知センサSからの検知信号を制御手段Cが受信した場合に運転モードを直ちに通常モードからセーフホールドモードへ切り替えるのではなく、冷媒検知センサSからの検知信号の受信を開始したら、該検知信号の受信開始時点から所定の時間経過後においても該冷媒検知センサSからの検知信号を受信している場合に、実際に冷媒が漏出していると判定して運転モードを通常モードからセーフホールドモードへ切り替える制御を行なうようになっている。
【0032】
具体的には、図5(a)および図5(b)に示すように、冷媒検知センサSからの検知信号の受信を開始した時点(以降、第1実施例においては「基準時点PT1」という)として、この基準時点PT1から予め設定した所定の待機時間WTが経過した時点(以降、第1実施例においては「経過時点PT2」という)において該冷媒検知センサSからの検知信号を受信している場合に、制御手段Cは運転モードを通常モードからセーフホールドモードへ切り替える。前記待機時間WTは、前記冷媒検知センサSの周辺で散布される殺虫剤等のガスが、該冷媒検知センサSにより検知不能な濃度に拡散するのに要する時間より長く設定される。例えば、スプレー式の殺虫剤等の散布は一般的に1〜2秒であることに鑑み、前記待機時間WTは5秒〜30秒の範囲内で適宜に設定するのが望ましい。
【0033】
従って、冷媒検知センサSの周辺で散布された殺虫剤等の冷媒以外のガスを冷媒検知センサSが検知して検知信号を制御手段Cに送信した場合には、図3および図5(a)に示すように、前記待機時間WTが経過する前に殺虫剤等のガスが拡散して冷媒検知センサSは非検知状態となり、基準時点PT1から前記待機時間WTが経過した経過時点PT2においては該冷媒検知センサSからは検知信号が送信されておらず、該経過時点PT2においては制御手段Cは検知信号を受信していない。従って制御手段Cは、冷凍機構Eから冷媒が漏出したものではないと判定して、冷凍機構Eの製氷運転および除氷運転を継続するよう製氷機Mを制御する。
【0034】
一方、冷凍機構Eから実際に漏出した冷媒を冷媒検知センサSが検知して検知信号を制御手段Cに送信した場合には、図4および図5(b)に示すように、前記待機時間WT中も冷媒が継続して漏出している。すなわち、基準時点PT1から前記待機時間WTが経過した経過時点PT2においても該冷媒検知センサSからの検知信号の送信が継続しており、該経過時点PT2において制御手段Cは検知信号を受信している。従って制御手段Cは、冷凍機構Eから冷媒が漏出したと判定して、冷却ファン34を連続作動させると共に、冷凍機構Eの製氷運転および除氷運転を停止するよう製氷機Mを制御する。
【0035】
なお、前記セーフホールドモードにおいて、前記冷却ファン34を連続作動させる場合における該冷却ファン34の回転数は、通常モードでの製氷運転時の回転数より高くなるように設定されている。これにより、セーフホールドモードにおいては、冷却ファン34が高速で回転して機械室12内の空気を勢いよく攪拌するから、冷凍機構Eから機械室12内へ漏出した冷媒を効率よく拡散させ得る。
【0036】
実施例の製氷機Mでは、図10に示すように、前記冷媒の漏出発生を報知する漏出警告ランプ(警告手段)50を備えており、冷媒の漏出発生時には制御手段Cにより迅速に報知されるようになっている。
【0037】
(第1実施例の作用)
第1実施例の製氷機の運転方法では、図1および図2に示すように、主電源を投入して製氷機の運転を開始すると、先ず起動初期運転を実行することで製氷機構Dおよび冷凍機構Eに係る所定の初期作動が行なわれ(ステップS1)、該起動初期運転が完了すると、通常モードによる製氷運転および除氷運転が開始され(ステップS2)、製氷機構Dおよび冷凍機構Eが通常に作動する。
【0038】
そして、通常モードでの製氷運転および除氷運転中では、冷媒検知センサSが冷媒の検知信号を送信したか否かを制御手段Cが確認し(ステップS3)、検知信号が送信されていなければ、ステップS2に戻って、再びステップS2およびステップS3を実行する。すなわち通常モードにおいては、常に冷媒検知センサSからの検知信号の送信を確認しながら製氷運転および除氷運転を実行する。そして、冷媒検知センサSからの検知信号の送信がなければ、貯氷室11内の所定量の氷塊Iが貯氷されたことを貯氷スイッチ19が検知するまで、製氷運転および除氷運転が繰り返される。
【0039】
そして、第1実施例の運転方法では、図1に示すように、通常モードにおいてステップS2およびステップS3を繰り返す際に、ステップS3において冷媒検知センサSが検知信号を制御手段Cに送信した場合には、該検知信号を受信した該制御手段Cは、タイマ等により待機時間WTの計測を開始した後(ステップS4)、冷媒検知センサSが検知信号を送信しているかを確認する(ステップS5)。そして、冷媒検知センサSが検知信号を送信している場合には待機時間WTが経過したかを確認して(ステップS6)、待機時間WTが経過していなければステップS5に戻る。そして制御手段Cは、ステップS5およびステップS6を繰り返し、待機時間WTが経過する前にステップS5において冷媒検知センサSからの検知信号を受信しなくなった場合には、冷凍機構Eから冷媒が漏出したものではないと判定して、ステップS2に戻って通常モードでの製氷・除氷運転を継続する。
【0040】
一方、制御手段Cは、ステップS5およびステップS6を繰り返して待機時間WTが経過したら、冷媒検知センサSが検知信号を送信しているかを再確認する(ステップS7)。そして、待機時間WTの経過後に、冷媒検知センサSからの検知信号を受信していなかった場合には、冷凍機構Eから冷媒が漏出したものではないと判定して、ステップS2に戻って通常モードでの製氷・除氷運転を継続する。また、待機時間WTの経過しても冷媒検知センサSからの検知信号を受信している場合には、冷凍機構Eから冷媒が漏出したものであると判定して、運転モードを通常モードからセーフホールドモードに切り替える。これにより制御手段Cは、冷却ファン34を連続作動させ(ステップS8)、かつ漏出警告ランプ50を点灯制御させ(ステップS9)、製氷機Mの冷凍機構Eおよび製氷機構Dの運転を停止する(ステップS10)。すなわち製氷機Mは、セーフホールドモードに切り替わって製氷機機構Dにおける製氷運転および除氷運転が停止しても、冷却ファン34が連続作動して機械室12内に冷媒が停留することを防止する。
【0041】
従って、第1実施例の製氷機の運転方法では、冷媒検知センサSの検知信号の送信に関し、該検知信号の送信が冷媒以外の殺虫剤等のガスを検知したことによるものか、或いは実際に漏出した冷媒を検知したことによるものかを、確実かつ適切に判定することができる。これにより、冷媒検知センサSによる検知が冷媒以外のガスを検知したものと判定した場合には、製氷機Mの運転を継続して製氷効率が低下することを防止し得ると共に、冷媒検知センサSによる検知が実際に冷凍機構Eから漏出した冷媒を検知したものと判定した場合には、製氷機Mの運転を停止して該製氷機Mの安全性および信頼性を向上することができる。そして、冷凍機構Eから冷媒が機械室12へ漏出した場合に、冷却ファン34の連続作動により、該冷媒を機械室12内において拡散させると共に機外へ放出するから、該冷媒が機械室12内に充満して危険な濃度まで上昇しないので当該製氷機Mを安全な状態に保持することができる。しかも、第1実施例における前記待機時間WTは、前記冷媒検知センサSの周辺で散布される殺虫剤等のガスが、該冷媒検知センサSにより検知不能な濃度に拡散するのに要する時間より長く設定されているので、冷媒検知センサSが検知したものが冷媒かまたは該冷媒以外のガスかを確実かつ適切に判定することができる。更に、冷却ファン34を通常の製氷運転時よりも高速で作動させるので、漏出した冷媒を適切に拡散させることができる。また、漏出警告ランプ50が点灯することで、製氷機Mの管理者は、当該製氷機Mに冷媒の漏出が発生したことを早期に確認することができ、冷凍機構Eの修理または交換を迅速に行なうことを可能とする。
【0042】
(第2実施例)
図6は、第2実施例に係る製氷機の運転方法のフローチャートである。第2実施例の運転方法では、前記第1実施例の運転方法と同様に、冷凍機構Eからの冷媒の漏出が発生していない正常時に実行される「通常モード」と、冷凍機構Eから冷媒が漏出した異常発生時に実行される「セーフホールドモード」により製氷機Mを運転する。そして第2実施例においても、冷媒検知センサSの周辺で散布される殺虫剤等のガスを該冷媒検知センサSが検知した場合と、実際に冷凍機構Eから漏出した冷媒を該冷媒検知センサSが検知した場合とを確実かつ適切に判定して、冷媒が漏出した場合だけ運転モードを通常モードからセーフホールドモードへ切り替え得るように制御可能となっている。
【0043】
具体的に制御手段Sは、図9(a)および図9(b)に示すように、冷媒検知センサSからの検知信号の受信を確認したら、先ず前記冷却ファン34を所定の作動時間RTに亘って作動し、この作動時間RTが経過して冷却ファン34が停止した時点(以降、第2実施例においては「基準時点PT1」という)から所定の判定時間JTが経過する時点(以降、第2実施例においては「経過時点PT2」という))より前に該冷媒検知センサSからの検知信号の受信を確認した場合に、該制御手段Cは運転モードを通常モードからセーフホールドモードへ切り替える。前記作動時間RTは、冷却ファン34の作動により、冷媒検知センサSの周囲に存在するガスまたは冷媒を拡散して該冷媒検知センサSが検知不能な濃度になるのに要する時間より長く設定されている。また前記判定時間JTは、前記冷媒検知センサSの周辺に移動した冷媒が該冷媒検知センサSにより検知可能な濃度になるのに要する時間より長く設定されており、例えば3〜10分の範囲内で適宜に設定するのが望ましい。
【0044】
従って、冷媒検知センサSの周辺で散布された少量の殺虫剤等の冷媒以外のガスを冷媒検知センサSが検知して検知信号を制御手段Cに送信した場合には、図7および図9(a)に示すように、冷却ファン34を前記作動時間RTに亘って作動する間に該ガスが拡散するので、冷媒検知センサSは非検知状態となる。そして、基準時点PT1から前記判定時間JTが経過する前には、ガスが拡散したので該冷媒検知センサSからは検知信号が送信されておらず、経過時点PT2においては制御手段Cは検知信号を受信しない。従って制御手段Cは、冷凍機構Eから冷媒が漏出したものではないと判定して、冷凍機構Eの製氷運転および除氷運転を継続するよう製氷機Mを制御する。
【0045】
一方、冷凍機構Eから実際に漏出した冷媒を冷媒検知センサSが検知して検知信号を制御手段Cに送信した場合には、図8および図9(b)に示すように、冷却ファン34を前記作動時間RTに亘って作動する間に該冷媒が一旦拡散するので、冷媒検知センサSは非検知状態となる。しかし、基準時点PT1から前記待機時間WTの間においては、冷凍機構Eから継続して漏出している冷媒が、再び冷媒検知センサSの周囲に停留して該冷媒検知センサSによる検知が可能な濃度となるから、該冷媒検知センサSが該冷媒を検知して検知信号を送信すると、経過時点PT2となる前に制御手段Cは検知信号を受信するようになる。従って制御手段Cは、冷凍機構Eから冷媒が漏出したものであると判定して、冷凍機構Eの製氷運転および除氷運転を停止するよう製氷機Mを制御する。なお、前記セーフホールドモードにおいては、第1実施例と同様に、冷却ファン34の回転数は通常モードでの製氷運転時の回転数より高くなるように設定されると共に、前記冷媒の漏出発生を報知する漏出警告ランプ(警告手段)50を作動するようになっている。
【0046】
(第2実施例の作用)
第2実施例の製氷機の運転方法では、図2および図6に示すように、主電源を投入して製氷機の運転を開始すると、先ず起動初期運転を実行することで製氷機構Dおよび冷凍機構Eに係る所定の初期作動が行なわれ(ステップS11)、該起動初期運転が完了すると、通常モードによる製氷運転および除氷運転が開始され(ステップS12)、製氷機構Dおよび冷凍機構Eが通常に作動する。
【0047】
そして、通常モードでの製氷運転および除氷運転中では、冷媒検知センサSが冷媒の検知信号を送信したか否かを制御手段Cが確認し(ステップS13)、検知信号が送信されていなければ、ステップS12に戻って、再びステップS2およびステップS3を実行する。すなわち通常モードにおいては、常に冷媒検知センサSからの検知信号の送信を確認しながら製氷運転および除氷運転を実行する。そして、冷媒検知センサSからの検知信号の送信がなければ、貯氷室11内の所定量の氷塊Iが貯氷されたことを貯氷スイッチ19が検知されるまで、製氷運転および除氷運転が繰り返される。
【0048】
そして、第2実施例の運転方法では、図6に示すように、通常モードにおいてステップS12およびステップS13を繰り返す際に、ステップS13において冷媒検知センサSが検知信号を制御手段Cに送信した場合には、該制御手段Cは、冷却ファン34を前記作動時間RTに亘って作動させる(ステップS14)。そして制御手段Cは、冷却ファン34の作動が停止した後、基準時点PT1から判定時間JTが経過する前に、冷媒検知センサSが検知信号を送信しているかを確認する(ステップS15)。そして制御手段Cは、ステップS15において冷媒検知センサSからの検知信号の受信を確認できなかった場合は、冷凍機構Eから冷媒が漏出したものではないと判定して、ステップS12に戻って通常モードでの運転を継続する。一方、制御手段Cは、ステップS15において冷媒検知センサSからの検知信号の受信を確認した場合は、冷凍機構Eから冷媒が漏出したものである判定して、運転モードを通常モードからセーフホールドモードに切り替える。これにより制御手段Cは、冷却ファン34を連続作動させ(ステップS16)、かつ漏出警告ランプ50を点灯制御させ(ステップS17)、製氷機Mの冷凍機構Eおよび製氷機構Dの運転を停止する(ステップS18)。すなわち製氷機Mは、セーフホールドモードに切り替わって製氷機機構Dにおける製氷運転および除氷運転が停止しても、冷却ファン34が連続作動して機械室12内に冷媒が停留することを防止する。
【0049】
従って、第2実施例の製氷機の運転方法では、冷媒検知センサSの検知信号の送信に関し、該検知信号の送信が冷媒以外の殺虫剤等のガスを検知したことによるものか、或いは実際に漏出した冷媒を検知したことによるものかを、確実かつ適切に判定することができる。これにより、冷媒検知センサSによる検知が冷媒以外のガスを検知したものと判定した場合には、製氷機Mの運転を継続して製氷効率が低下することを防止し得ると共に、冷媒検知センサSによる検知が実際に冷凍機構Eから漏出した冷媒を検知したものと判定した場合には、製氷機Mの運転を停止して該製氷機Mの安全性および信頼性を向上することができる。そして、冷凍機構Eから冷媒が機械室12へ漏出した場合に、冷却ファン34の連続作動により、該冷媒を機械室12内において拡散させると共に機外へ放出するから、該冷媒が機械室12内に充満して危険な濃度まで上昇しないので当該製氷機Mを安全な状態に保持することができる。しかも、第2実施例における前記判定時間JTは、前記冷媒検知センサSの周辺に移動した冷媒が該冷媒検知センサSにより検知可能な濃度になるのに要する時間より長く設定されているので、冷媒検知センサSが検知したものが冷媒かまたは該冷媒以外のガスかを確実かつ適切に判定することができる。更に、冷却ファン34を通常の製氷運転時よりも高速で作動させるので、漏出した冷媒を適切に拡散させることができる。また、漏出警告ランプ50が点灯することで、製氷機Mの管理者は、当該製氷機Mに冷媒の漏出が発生したことを早期に確認することができ、冷凍機構Eの修理または交換を迅速に行なうことを可能とする。
【0050】
(変更例)
(1)実施例では、1つの冷媒検知センサSを備えた製氷機Mの運転方法を説明したが、本願発明に係る製氷機の運転方法は、図13に示した2つの冷媒検知センサSを備えた製氷機Mや3つ以上の冷媒検知センサSを備えた製氷機にも好適に実施可能である。このように複数の冷媒検知センサSを備えた製氷機Mでは、少なくとも1つの冷媒検知センサSが冷媒を検知し検知信号を送信した場合は、前記第1実施例の運転方法または第2実施例の運転方法が実施される。
(2)第1実施例に示した待機時間WT、第2実施例に示した作動時間RTおよび判定時間JTは、製氷機Mの機械室12内における冷媒検知センサSの配設位置、機械室12内における冷媒検知センサSと冷却ファン34との配設位置関係、製氷機Mの設置位置、等により、適宜設定が変更されることは勿論である。
(3)冷媒検知手段は、実施例に例示した酸化スズ半導体タイプに限定されず、冷媒として使用される可燃性ガスを適切に検知し得るものであればよい。
(4)冷媒の漏出を警告する警告手段は、実施例のランプに限定されず、ブザーやアラーム、パソコンや携帯端末等に発信される電子メール等であってもよい。
(5)実施例では、機械室が下部に配設された噴射式の製氷機を例示したが、該機械室が貯氷室の上部に配設された製氷機や、該機械室が該貯氷室の左右または後に配設された製氷機も対象とされる。
(6)実施例では、噴射式の製氷機を例示したが、本願発明が対象とする製氷機は、可燃性ガスからなる冷媒を使用した冷凍機構を有する全ての製氷機である。
【符号の説明】
【0051】
31 凝縮器,34 冷却ファン,C 制御手段,D 製氷機構,
E 冷凍機構,JT 判定時間,
PT1 基準時点(検知信号の受信を開始した時点、冷却ファンが停止した時点),
RT 作動時間,S 冷媒検知センサ(冷媒検知手段),WT 待機時間
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃性ガスからなる冷媒を循環させて製氷機構の製氷運転および除氷運転を行なう冷凍機構と、前記冷凍機構から漏出した前記冷媒を検知可能な冷媒検知手段とを備えた製氷機の運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図13は、ブロック状の氷塊を連続的に生成する噴射式の製氷機Mを概略的に示す側断面図である。この製氷機Mは、略箱形をなす筐体10の内部を上下に区画して、上方が貯氷室11とすると共に下方が機械室12として構成され、貯氷室11の内部上方には氷塊を生成する製氷部20を備えた製氷機構Dが配設され、機械室12には冷凍機構E等が配設されている。そして、図14に示すように、冷凍機構Eにより製氷機構Dの製氷部20を冷却することで該製氷部20において氷塊Iを生成し、該冷凍機構Eにより該製氷部20を加熱することで、生成された氷塊を貯氷室11内に落下させて貯留するようになっている。製氷機構Dは、図14に概略的に示すように、下向きに開口した多数の製氷小室20Aを形成した前記製氷部20と、各製氷小室20Aを開閉可能な水皿21と、水皿21の下部に配設された製氷水タンク22と、これら水皿21および製氷水タンク22を一体的に傾動させる水皿開閉機構23等から構成されている。
【0003】
前記冷凍機構Eは、図13および図14に示すように、圧縮機30、冷却ファン34により強制空冷される凝縮器31、膨張弁32および蒸発器33を連結管35(第1連結管35A、第2連結管35B、第3連結管35C、第4連結管35D)で連結した閉回路内に冷媒を循環するようになっており、圧縮機30、凝縮器31および膨張弁32は機械室12内に配設され、蒸発器33は貯氷室11内において製氷部20の上面に蛇行状に配設されている。このような冷凍機構Eは、圧縮機30で前記冷媒を高圧の気体とし、凝縮器31で該冷媒を冷却して高圧の液体とし、膨張弁32で該冷媒を断熱膨張した液体とし、蒸発器33で該冷媒を気化させて気化熱により該蒸発器33を冷却する。また冷凍機構Eは、図14に示すように、前記圧縮機30と蒸発器33とを連結してホットガス弁36が配設された第5連結管35Eを備え、該ホットガス弁36を開けることで圧縮機30からの高温・高圧で加熱状態の冷媒(ホットガス)を蒸発器33に供給して、該蒸発器33を加熱し得るようになっている。すなわち冷凍機構Eは、蒸発器33の冷却および加熱が可能となっており、蒸発器33を冷却することで製氷機構Dの製氷運転を可能とすると共に、該蒸発器33を加熱することで製氷機構Dの除氷運転を可能とする。
【0004】
前記冷凍機構Eは、前記冷媒として、プロパンやブタン等の可燃性ガスが採用されている。この可燃性ガスは、冷凍機構Eの前記圧縮機30、凝縮器31、膨張弁32、蒸発器33および連結管35の適宜部位から製氷機M内へ漏出することがあり得る。このため、図13に示す製氷機Mでは、区画された前記機械室12内および貯氷室11内に各々1つずつの冷媒検知センサSが配設され、冷凍機構Eから漏出した冷媒を冷媒検知センサSで検知し得るよう構成されている。なお、冷媒検知センサを備えた冷蔵庫は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−90925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
製氷機Mが設置される厨房等では、該製氷機Mの機械室12等の廃熱される場所に害虫が集まり易いため、この害虫を駆除するためにスプレー式の殺虫剤を噴射することがある。しかし前記冷媒検知センサSは、前記殺虫剤の成分に反応するため、実際には冷媒が漏出していないのに検知信号を送信してしまう。しかも、前記従来の製氷機Mでは、前記冷媒検知センサSが検知信号を送信した場合に、冷凍機構Eの作動を即時停止して製氷機構Dの製氷運転および除氷運転を停止するよう制御される。このため従来の製氷機Mは、スプレー式の殺虫剤を噴射した際に停止し、製氷効率が低下して氷塊Iの供給に支障を来たす課題がある。
【0007】
そこで本発明では、前述した従来の技術に内在している課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、冷媒検知手段の誤作動による作動停止を防止するようにした製氷機の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、
冷却ファンにより強制空冷される凝縮器を備えた回路に可燃性ガスの冷媒を循環させ、前記冷却ファンを作動して製氷機構の製氷運転を行なうと共に該冷却ファンを停止して該製氷機構の除氷運転を行なう冷凍機構を備えた製氷機の運転方法であって、
前記冷媒を検知している間は検知信号を制御手段に送信する冷媒検知手段を用い、
前記制御手段は、前記冷媒検知手段からの検知信号の受信を開始した時点から待機時間が経過しても該冷媒検知手段からの検知信号を受信している場合に、前記冷却ファンを連続作動するよう制御することを要旨とする。
【0009】
従って、請求項1に係る発明によれば、冷媒検知手段からの検知信号の受信を開始した時点から待機時間の経過時点で冷媒検知手段からの検知信号を制御手段が受信しなかった場合は、該冷媒検知手段が冷媒以外のガスを検知したと判定し得ると共に、待機時間の経過時点で冷媒検知手段からの検知信号を制御手段が受信していた場合には、該冷媒検知手段が冷凍機構から漏出した冷媒を検知したと判定することができ、冷凍機構からの冷媒の漏出有無を確実かつ適切に認識することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、
冷却ファンにより強制空冷される凝縮器を備えた回路に可燃性ガスの冷媒を循環させ、前記冷却ファンを作動して製氷機構の製氷運転を行なうと共に該冷却ファンを停止して該製氷機構の除氷運転を行なう冷凍機構を備えた製氷機の運転方法であって、
前記冷媒を検知している間は検知信号を制御手段に送信する冷媒検知手段を用い、
前記制御手段は、前記冷媒検知手段からの検知信号の受信を開始した時点で、前記冷却ファンを所定の作動時間に亘って作動し、
前記制御手段は、前記作動時間が経過して前記冷却ファンが停止した時点から判定時間が経過する前に前記冷媒検知手段からの検知信号を受信した場合に、前記冷却ファンを連続作動するよう制御することを要旨とする。
【0011】
従って、請求項2に係る発明によれば、冷媒検知手段からの検知信号の受信を開始した場合は、作動時間に亘って冷却ファンによりガスまたは冷媒を一旦拡散させた後に、判定時間が経過するまでに冷媒検知手段からの検知信号を制御手段が受信しなかった場合は、該冷媒検知手段が冷媒以外のガスを検知したと判定し得ると共に、判定時間が経過する前に冷媒検知手段からの検知信号を制御手段が受信した場合には、該冷媒検知手段が冷凍機構から漏出した冷媒を検知したと判定することができ、冷凍機構からの冷媒の漏出有無を確実かつ適切に認識することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る製氷機の運転方法によれば、冷媒検知手段の誤作動による作動停止を防止して、製氷効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施例の製氷機の運転方法を概略的に示すフローチャートである。
【図2】第1実施例の製氷機の運転方法における通常モードのタイミングチャートである。
【図3】第1実施例の製氷機の運転方法において、冷媒以外のガスを冷媒検知センサが検知した場合のタイミングチャートである。
【図4】第1実施例の製氷機の運転方法において、冷媒を冷媒検知センサが検知したことで、通常モードからセーフホールドモードに移行する状態を示すタイミングチャートである。
【図5】(a)は、冷媒以外のガスを冷媒検知センサが検知した際の検知信号を示す説明図であり、(b)は、冷媒を冷媒検知センサが検知した際の検知信号を示す説明図である。
【図6】第2実施例の製氷機の運転方法を概略的に示すフローチャートである。
【図7】第2実施例の製氷機の運転方法において、冷媒以外のガスを冷媒検知センサが検知した場合のタイミングチャートである。
【図8】第2実施例の製氷機の運転方法において、冷媒を冷媒検知センサが検知したことで、通常モードからセーフホールドモードに移行する状態を示すタイミングチャートである。
【図9】(a)は、冷媒以外のガスを冷媒検知センサが検知した際の検知信号を示す説明図であり、(b)は、冷媒を冷媒検知センサが検知した際の検知信号を示す説明図である。
【図10】実施例の製氷機における制御系のブロック図である。
【図11】実施例の運転方法が実施される製氷機の構成を概略的に示す側断面図である。
【図12】図11に示す製氷機を、一部破断しかつ一部の部材を取り外して示す分解斜視図である。
【図13】ブロック状の氷塊を連続的に生成する従来の製氷機の構成を概略的に示す側断面図である。
【図14】製氷機における製氷機構および冷凍機構の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る製氷機の運転方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。各実施例では、筐体の基本的構成や、冷凍機構Eおよび製氷機構Dの構成が、図13および図14に示した従来の製氷機Mと同じに構成された製氷機を例示する。従って、図13および図14に既出の部材、部位と同一の部材、部位は同一の符号を付すと共に、冷凍機構Eおよび製氷機構Dの説明においては図14を引用する。なお実施例では、開閉扉18が配設された側(図11の左側)が製氷機Mの前側、前側から見た左右方向を製氷機Mの左右方向とし、上下方向を製氷機Mの上下方向とする。
【実施例】
【0015】
先ず、後述する各実施例の運転方法が実施される製氷機Mにつき、図10〜図12および図14を引用して説明する。製氷機Mは、図11および図12に示すように、略箱形をなす筐体10の内部が上下に区画されて、断熱構造をなす貯氷室11が上方に画成されると共に、該貯氷室11の下方に機械室12が画成されている。貯氷室11は、筐体10の前側に配設された開閉扉18の姿勢変位により開閉可能となっており、内部上方に製氷機構Dおよび冷凍機構Eの蒸発器33が配設されている。機械室12には、冷凍機構Eを構成する圧縮機30、凝縮器31および膨張弁32等や、その他の各種機器および部品が配設されている。そして、冷媒検知手段としての冷媒検知センサSが、機械室12の底部に配設されている。また貯氷室11の壁部には、生成された氷塊Iが所定の貯氷量となったことを検知する貯氷スイッチ19が配設されている(図10、図14参照)。
【0016】
前記製氷機構Dは、図11、図12および図14に示すように、下向きに開口した多数の製氷小室20Aが形成された前記製氷部20と、該製氷部20の各製氷小室20Aを下方から開閉する水皿21と、水皿21の下部に配設された製氷水タンク22と、これら水皿21および製氷水タンク22を一体的に傾動させる水皿開閉機構23等から構成されている。そして製氷機構Dは、製氷部20の上部において左右方向に水平となるように筐体10に架設された取付部材13に懸架した状態で配設されている(図11、図12参照)。前記製氷部20は、各製氷小室20Aを下方に向けた水平状態で取付部材13に固定されている。前記水皿21は、該水皿21の左側端部に取付けた支持アーム24が、取付部材13のブラケット14に支軸15を介して枢支され、該水皿21の右側端部近傍は、該取付部材13に配設した水皿開閉機構23を構成するカムアーム25にコイルスプリング26を介して接続されている。従って水皿21は、前記カムアーム25を開閉モータ27で正逆回転することで、前記製氷部20を閉成するよう上昇して水平となった製氷位置(図14に実線で表示)と、該製氷部20を開放するよう下降して右下方に傾斜した除氷位置(図14に2点鎖線で表示)とに姿勢変位し得る。なお製氷機構Dには、水皿21が製氷位置となったことを検知する第1水皿検知スイッチ40と、水皿21が除氷位置となったことを検知する第2水皿検知スイッチ41が配設されている(図10参照)。また製氷機構Dは、製氷部20の所要位置に、該製氷部20の温度を検知する製氷部温度センサ42を備えており(図10、図14参照)、製氷運転中に該製氷部温度センサ42が予め設定された製氷完了温度を検知すると製氷運転から除氷運転に切り替えられ、除氷運転中に該製氷部温度センサ42が予め設定された除氷完了温度を検知すると除氷運転から製氷運転に切り替わるように制御される。
【0017】
前記製氷水タンク22は、図11、図12および図14に示すように、上方に開口したバケット形状の部材であって、水皿21に対して適宜の固定部材で固定され、該水皿21の傾動変位に伴って傾動するよう構成されている。製氷水タンク22は、水皿21が閉成位置に臨む姿勢においては、給水弁29の開放により外部水道源から供給された所定量の製氷水を貯留することができ、水皿21が開放位置に臨む場合は貯留していた製氷水をドレンパン16へ放出するよう構成されている。また、製氷水タンク22の最深部である左側前壁には、該製氷水タンク22内に貯留された製氷水を、前記水皿21に設けた噴射孔を介して製氷部20の各製氷小室20Aへ噴射供給する製氷水ポンプ28が配設されている。
【0018】
前記冷凍機構Eは、図11、図12および図14に示すように、機械室12内に配設された圧縮機30と、冷却ファン34が装備されて強制空冷される凝縮器31と、膨張弁32と、前記貯氷室11において製氷機構Dの製氷部20の上面に蛇行状に配設された蒸発器33とを備え、これら圧縮機30、凝縮器31、膨張弁32および蒸発器33が連結管35により直列に連結されて、可燃性ガスからなる冷媒が循環する冷凍回路が構成されている。すなわち、圧縮機30の出口部と凝縮器31の入口部とが第1連結管35Aで連結され、凝縮器31の出口部と膨張弁32の入口部とが第2連結管35Bで連結され、膨張弁32の出口部と蒸発器33の入口部とが第3連結管35Cで連結され、蒸発器33の出口部と前記圧縮機30の入口部とが第4連結管35Dで連結されている。また、第1連結管35Aの中途に接続されると共に第3連結管35Cの中途に接続された第5連結管35Eが設けられ、該第5連結管35Eの中途に配設された前記ホットガス弁36を開いた状態に制御することで、圧縮機30で圧縮された加熱状態の冷媒(ホットガス)が該第5連結管35Eを介して蒸発器33へ直接供給し得るようになっている。
【0019】
前記冷媒は、冷蔵庫や製氷機に広く使用されつつあるHC(ハイドロカーボン)冷媒であって、例えばプロパン(R290)やイソブタン(R600a)等の可燃性ガスからなる。この冷媒は、空気より比重が大きく、万一、冷凍機構Eを構成する前記圧縮機30、凝縮器31、膨張弁32、蒸発器33や、連結管35(第1連結管35A〜第5連結管35E)、またはこれら各機器と連結管35との連結部分等から漏出した場合には、製氷機M内の下方に位置する前記機械室12へ移動する。なお、冷媒の各種物性等の説明は省略する。
【0020】
前記機械室12内に配設された膨張弁32と前記貯氷室11内に配設された蒸発器33とを連結する第3連結管35Cと、該蒸発器33と機械室12内に配設された前記圧縮機30とを連結する第4連結管35Dは、図11および図12に示すように、筐体10の背面に画成された配管空間(連通空間)45内に沿って配設されている。前記配管空間45は、図12に示すように、上下に長尺で筐体10側に開口した半樋状のカバー部材46を該筐体10の背面に取付けることで、筐体10の背面に垂直に画成されている。また配管空間45は、図11に示すように、筐体10の上部(貯氷室11の後壁上部)に形成された第1連通部47を介して貯氷室11内と空間的に連通していると共に、該筐体10の上下方向中央から下方に形成された第2挿通部48を介して機械室12内と空間的に連通している。そして、前記第1連通部47、配管空間45および第2挿通部48は、前記第3連結管35Cおよび第4連結管35Dに巻かれた断熱材37との間に、冷媒の流通が許容される隙間Gが画成される形状、サイズに形成されている。
【0021】
なお、第1連通部47を貯氷室11の後壁上部に設けたのは次のような理由からである。理由1として、図14に示すように、貯氷室11内には製氷機構Dで生成された氷塊Iが満杯に貯留されると、該貯氷室11の底部に第1連通部47を設けた場合には、該氷塊Iで該第1連通部47が塞がれて冷媒を適切に排出できなくなるおそれがある。理由2として、貯氷室11では常に融解水が発生するため、該貯氷室11の底部に第1連通部47を設けた場合には、該融解水が該第1連通部47内へ流入するおそれがある。理由3として、製氷機Mに配設される冷凍機構Eは、家庭用の冷蔵庫や空調機等に比べて冷媒の充填量が多く、かつ貯氷室11の内部容積が家庭用の冷蔵庫や空調機等に比べて貯氷室11の内部容積が小さいので、漏出した冷媒が該貯氷室11の内部全体に比較的短時間で充満するようになり、漏出した冷媒は貯氷室11の後壁上部に設けた第1連通部47からも十分に排出され得る。また、貯氷室11の後壁上部は蒸発器33に近接しているから、該後壁上部に設けた第1連通部47には該蒸発器33から漏出した冷媒が流入し易くなっている。
【0022】
すなわち製氷機Mは、例えば前記第3連結管35Cまたは第4連結管35Dの途中に亀裂や孔が形成されて該亀裂や孔から冷媒が漏出した場合には、該冷媒が配管空間45内を下方へ移動して第2挿通部48を介して機械室12内へ移動し得るように構成されている。また実施例の製氷機Mは、蒸発器33の途中に亀裂や孔が形成されて該亀裂や孔から冷媒が貯氷室11内に漏出した場合や、蒸発器33と第3連結管35Cとの連結部または該蒸発器33と第4連結管35Dとの連結部から冷媒が貯氷室11内へ漏出した場合に、該冷媒は、前記第1連通部47、配管空間45および第2挿通部48を介して機械室12内へ移動し得るように構成されている。
【0023】
そして製氷機Mは、前述したように、貯氷室11と機械室12とを配管空間45で連通した構成としたことで、図11および図12に示すように、機械室12内において、前記第2挿通部48の略真下に、前記冷媒を検知可能な冷媒検知センサSが1つだけ配設されている。この冷媒検知センサSは、例えば感ガス素子として酸化第二スズ(SnO2)を主体とする材料に、ヒータコイルおよび電極リード線を埋設した酸化スズ半導体タイプであって、プロパンやイソブタンからなる冷媒を適切に検知することが可能である。そして冷媒検知センサSは、当該製氷機Mを制御する制御手段C(図10参照)に電気的に接続されて、冷媒を検知している間は該制御手段Cへ検知信号を送信し続けるようになっている。従って冷媒検知センサSは、圧縮機30、凝縮器31、膨張弁32、第1連結管35Aおよび第2連結管35Bから機械室12内へ直接漏出した冷媒を適切に検知し得ると共に、前述したように、凝縮器31、第3連結管35Cおよび第4連結管35Dから漏出して機械室12へ移動した冷媒も適切に検知し得る。なお冷媒検知センサSは、例えば冷媒の濃度が0.15%以上になると検知信号を送信し、冷媒の濃度が0.15%より小さくなると検知信号の送信を解除するようになっている。
【0024】
また前記冷媒検知センサSは、自己診断機能を備えていて常に自己の故障判定を行ない得るようになっており、例えば長期使用による劣化や破損等により使用中に故障が発生した場合には、前記制御手段Cに対して故障信号を送信するようになっている。従って、製氷機Mの制御手段Cは、製氷機構Dの製氷運転中または除氷運転中であっても、冷媒検知センサSの故障を即座に認識可能となっている。なお各冷媒検知センサSは、故障が一時的で正常に復帰した場合に自動復帰すると共に、前記制御手段Cへの前記故障信号の送信を自動停止し得る。
【0025】
前記制御手段Cは、図10に示すように、製氷機Mを総合的に制御するものであり、前記冷媒検知センサSから検知信号や故障信号が入力され、前記製氷部温度センサ42、第1水皿検知スイッチ40、第2水皿検知スイッチ41および貯氷スイッチ19等から検知信号が入力されると共に、図示省略した各種測定手段や検知手段等から検知信号や検知信号等が入力される。また制御手段Cは、各種入力信号および図示しないコントロールパネルから入力された各種設定等に基づき、冷凍機構Eの圧縮機30、冷却ファン34およびホットガス弁36、製氷機構Dの開閉モータ27、給水弁29およぴ製氷水ポンプ28、漏出警告ランプ50および故障報知ランプ51等を総合的に制御する。
【0026】
次に、前述のように構成された製氷機Mにおける運転方法につき、第1実施例および第2実施例を挙げて説明する。
【0027】
(第1実施例)
図1は、第1実施例に係る製氷機の運転方法を示すフローチャートである。そして、第1実施例の運転方法では、次の表1に示すように、起動中の運転モードとして、「通常モード」と、「セーフホールドモード」とが設定されており、該製氷機Mの状態に応じて運転モードが自動的に切り替わるようになっている。
【0028】
【表1】
【0029】
前記「通常モード」は、冷凍機構Eからの冷媒の漏出が発生していない正常時に実行される運転モードであり、所定の運転プログラムに従って通常の製氷運転および除氷運転が実行される。この通常モードでは、図2に示すように、製氷運転中においては、凝縮器31の冷却ファン34がON制御されて作動し、除氷運転中においては、ホットガス弁36が開放されている間だけ冷却ファン34がOFF制御されて停止する。
【0030】
前記「セーフホールドモード」は、前記冷凍機構Eから漏出した冷媒を前記冷媒検知センサSが検知して、該冷媒検知センサSからの検知信号が制御手段Cに送信された際に、冷媒が漏出していることを確認した際に実行される運転モードである。このセーフホールドモードでは、図4に示すように、製氷機構Dの製氷運転を停止すると共に、前記凝縮器31の冷却ファン34が連続ON制御されて連続作動するようになっている。従って、凝縮器31の冷却ファン34が連続作動することで機械室12の空気を攪拌して、該機械室12内へ流入した冷媒を、拡散させると共に筐体10に設けた通気孔17を介して機外へ放出させるので、機械室12内に該冷媒が充満して濃度が上昇することを防止する。なお、貯氷室11に漏出した冷媒は、前記配管空間45を介して機械室12へ移動した後に、通気孔17を介して機外へ放出されるが、開閉扉18を開放することで機外へ放出することも可能である。
【0031】
そして、第1実施例の運転方法では、冷媒検知センサSの周辺で散布される殺虫剤等のガスを該冷媒検知センサSが検知した場合と、実際に冷凍機構Eから漏出した冷媒を該冷媒検知センサSが検知した場合とを確実かつ適切に判定して、冷媒が漏出した場合だけ運転モードを通常モードからセーフホールドモードへ切り替え得るように制御可能となっている。すなわち制御手段Cは、冷媒検知センサSの周辺で散布される殺虫剤の散布時間は数秒(1〜2秒)程度であるのに対し、冷凍機構Eから漏出する冷媒の漏出時間は一定時間(30秒以上)に亘って継続するものである。従って第1実施例の運転方法では、制御手段Cは、通常モードにおいて冷媒検知センサSからの検知信号を制御手段Cが受信した場合に運転モードを直ちに通常モードからセーフホールドモードへ切り替えるのではなく、冷媒検知センサSからの検知信号の受信を開始したら、該検知信号の受信開始時点から所定の時間経過後においても該冷媒検知センサSからの検知信号を受信している場合に、実際に冷媒が漏出していると判定して運転モードを通常モードからセーフホールドモードへ切り替える制御を行なうようになっている。
【0032】
具体的には、図5(a)および図5(b)に示すように、冷媒検知センサSからの検知信号の受信を開始した時点(以降、第1実施例においては「基準時点PT1」という)として、この基準時点PT1から予め設定した所定の待機時間WTが経過した時点(以降、第1実施例においては「経過時点PT2」という)において該冷媒検知センサSからの検知信号を受信している場合に、制御手段Cは運転モードを通常モードからセーフホールドモードへ切り替える。前記待機時間WTは、前記冷媒検知センサSの周辺で散布される殺虫剤等のガスが、該冷媒検知センサSにより検知不能な濃度に拡散するのに要する時間より長く設定される。例えば、スプレー式の殺虫剤等の散布は一般的に1〜2秒であることに鑑み、前記待機時間WTは5秒〜30秒の範囲内で適宜に設定するのが望ましい。
【0033】
従って、冷媒検知センサSの周辺で散布された殺虫剤等の冷媒以外のガスを冷媒検知センサSが検知して検知信号を制御手段Cに送信した場合には、図3および図5(a)に示すように、前記待機時間WTが経過する前に殺虫剤等のガスが拡散して冷媒検知センサSは非検知状態となり、基準時点PT1から前記待機時間WTが経過した経過時点PT2においては該冷媒検知センサSからは検知信号が送信されておらず、該経過時点PT2においては制御手段Cは検知信号を受信していない。従って制御手段Cは、冷凍機構Eから冷媒が漏出したものではないと判定して、冷凍機構Eの製氷運転および除氷運転を継続するよう製氷機Mを制御する。
【0034】
一方、冷凍機構Eから実際に漏出した冷媒を冷媒検知センサSが検知して検知信号を制御手段Cに送信した場合には、図4および図5(b)に示すように、前記待機時間WT中も冷媒が継続して漏出している。すなわち、基準時点PT1から前記待機時間WTが経過した経過時点PT2においても該冷媒検知センサSからの検知信号の送信が継続しており、該経過時点PT2において制御手段Cは検知信号を受信している。従って制御手段Cは、冷凍機構Eから冷媒が漏出したと判定して、冷却ファン34を連続作動させると共に、冷凍機構Eの製氷運転および除氷運転を停止するよう製氷機Mを制御する。
【0035】
なお、前記セーフホールドモードにおいて、前記冷却ファン34を連続作動させる場合における該冷却ファン34の回転数は、通常モードでの製氷運転時の回転数より高くなるように設定されている。これにより、セーフホールドモードにおいては、冷却ファン34が高速で回転して機械室12内の空気を勢いよく攪拌するから、冷凍機構Eから機械室12内へ漏出した冷媒を効率よく拡散させ得る。
【0036】
実施例の製氷機Mでは、図10に示すように、前記冷媒の漏出発生を報知する漏出警告ランプ(警告手段)50を備えており、冷媒の漏出発生時には制御手段Cにより迅速に報知されるようになっている。
【0037】
(第1実施例の作用)
第1実施例の製氷機の運転方法では、図1および図2に示すように、主電源を投入して製氷機の運転を開始すると、先ず起動初期運転を実行することで製氷機構Dおよび冷凍機構Eに係る所定の初期作動が行なわれ(ステップS1)、該起動初期運転が完了すると、通常モードによる製氷運転および除氷運転が開始され(ステップS2)、製氷機構Dおよび冷凍機構Eが通常に作動する。
【0038】
そして、通常モードでの製氷運転および除氷運転中では、冷媒検知センサSが冷媒の検知信号を送信したか否かを制御手段Cが確認し(ステップS3)、検知信号が送信されていなければ、ステップS2に戻って、再びステップS2およびステップS3を実行する。すなわち通常モードにおいては、常に冷媒検知センサSからの検知信号の送信を確認しながら製氷運転および除氷運転を実行する。そして、冷媒検知センサSからの検知信号の送信がなければ、貯氷室11内の所定量の氷塊Iが貯氷されたことを貯氷スイッチ19が検知するまで、製氷運転および除氷運転が繰り返される。
【0039】
そして、第1実施例の運転方法では、図1に示すように、通常モードにおいてステップS2およびステップS3を繰り返す際に、ステップS3において冷媒検知センサSが検知信号を制御手段Cに送信した場合には、該検知信号を受信した該制御手段Cは、タイマ等により待機時間WTの計測を開始した後(ステップS4)、冷媒検知センサSが検知信号を送信しているかを確認する(ステップS5)。そして、冷媒検知センサSが検知信号を送信している場合には待機時間WTが経過したかを確認して(ステップS6)、待機時間WTが経過していなければステップS5に戻る。そして制御手段Cは、ステップS5およびステップS6を繰り返し、待機時間WTが経過する前にステップS5において冷媒検知センサSからの検知信号を受信しなくなった場合には、冷凍機構Eから冷媒が漏出したものではないと判定して、ステップS2に戻って通常モードでの製氷・除氷運転を継続する。
【0040】
一方、制御手段Cは、ステップS5およびステップS6を繰り返して待機時間WTが経過したら、冷媒検知センサSが検知信号を送信しているかを再確認する(ステップS7)。そして、待機時間WTの経過後に、冷媒検知センサSからの検知信号を受信していなかった場合には、冷凍機構Eから冷媒が漏出したものではないと判定して、ステップS2に戻って通常モードでの製氷・除氷運転を継続する。また、待機時間WTの経過しても冷媒検知センサSからの検知信号を受信している場合には、冷凍機構Eから冷媒が漏出したものであると判定して、運転モードを通常モードからセーフホールドモードに切り替える。これにより制御手段Cは、冷却ファン34を連続作動させ(ステップS8)、かつ漏出警告ランプ50を点灯制御させ(ステップS9)、製氷機Mの冷凍機構Eおよび製氷機構Dの運転を停止する(ステップS10)。すなわち製氷機Mは、セーフホールドモードに切り替わって製氷機機構Dにおける製氷運転および除氷運転が停止しても、冷却ファン34が連続作動して機械室12内に冷媒が停留することを防止する。
【0041】
従って、第1実施例の製氷機の運転方法では、冷媒検知センサSの検知信号の送信に関し、該検知信号の送信が冷媒以外の殺虫剤等のガスを検知したことによるものか、或いは実際に漏出した冷媒を検知したことによるものかを、確実かつ適切に判定することができる。これにより、冷媒検知センサSによる検知が冷媒以外のガスを検知したものと判定した場合には、製氷機Mの運転を継続して製氷効率が低下することを防止し得ると共に、冷媒検知センサSによる検知が実際に冷凍機構Eから漏出した冷媒を検知したものと判定した場合には、製氷機Mの運転を停止して該製氷機Mの安全性および信頼性を向上することができる。そして、冷凍機構Eから冷媒が機械室12へ漏出した場合に、冷却ファン34の連続作動により、該冷媒を機械室12内において拡散させると共に機外へ放出するから、該冷媒が機械室12内に充満して危険な濃度まで上昇しないので当該製氷機Mを安全な状態に保持することができる。しかも、第1実施例における前記待機時間WTは、前記冷媒検知センサSの周辺で散布される殺虫剤等のガスが、該冷媒検知センサSにより検知不能な濃度に拡散するのに要する時間より長く設定されているので、冷媒検知センサSが検知したものが冷媒かまたは該冷媒以外のガスかを確実かつ適切に判定することができる。更に、冷却ファン34を通常の製氷運転時よりも高速で作動させるので、漏出した冷媒を適切に拡散させることができる。また、漏出警告ランプ50が点灯することで、製氷機Mの管理者は、当該製氷機Mに冷媒の漏出が発生したことを早期に確認することができ、冷凍機構Eの修理または交換を迅速に行なうことを可能とする。
【0042】
(第2実施例)
図6は、第2実施例に係る製氷機の運転方法のフローチャートである。第2実施例の運転方法では、前記第1実施例の運転方法と同様に、冷凍機構Eからの冷媒の漏出が発生していない正常時に実行される「通常モード」と、冷凍機構Eから冷媒が漏出した異常発生時に実行される「セーフホールドモード」により製氷機Mを運転する。そして第2実施例においても、冷媒検知センサSの周辺で散布される殺虫剤等のガスを該冷媒検知センサSが検知した場合と、実際に冷凍機構Eから漏出した冷媒を該冷媒検知センサSが検知した場合とを確実かつ適切に判定して、冷媒が漏出した場合だけ運転モードを通常モードからセーフホールドモードへ切り替え得るように制御可能となっている。
【0043】
具体的に制御手段Sは、図9(a)および図9(b)に示すように、冷媒検知センサSからの検知信号の受信を確認したら、先ず前記冷却ファン34を所定の作動時間RTに亘って作動し、この作動時間RTが経過して冷却ファン34が停止した時点(以降、第2実施例においては「基準時点PT1」という)から所定の判定時間JTが経過する時点(以降、第2実施例においては「経過時点PT2」という))より前に該冷媒検知センサSからの検知信号の受信を確認した場合に、該制御手段Cは運転モードを通常モードからセーフホールドモードへ切り替える。前記作動時間RTは、冷却ファン34の作動により、冷媒検知センサSの周囲に存在するガスまたは冷媒を拡散して該冷媒検知センサSが検知不能な濃度になるのに要する時間より長く設定されている。また前記判定時間JTは、前記冷媒検知センサSの周辺に移動した冷媒が該冷媒検知センサSにより検知可能な濃度になるのに要する時間より長く設定されており、例えば3〜10分の範囲内で適宜に設定するのが望ましい。
【0044】
従って、冷媒検知センサSの周辺で散布された少量の殺虫剤等の冷媒以外のガスを冷媒検知センサSが検知して検知信号を制御手段Cに送信した場合には、図7および図9(a)に示すように、冷却ファン34を前記作動時間RTに亘って作動する間に該ガスが拡散するので、冷媒検知センサSは非検知状態となる。そして、基準時点PT1から前記判定時間JTが経過する前には、ガスが拡散したので該冷媒検知センサSからは検知信号が送信されておらず、経過時点PT2においては制御手段Cは検知信号を受信しない。従って制御手段Cは、冷凍機構Eから冷媒が漏出したものではないと判定して、冷凍機構Eの製氷運転および除氷運転を継続するよう製氷機Mを制御する。
【0045】
一方、冷凍機構Eから実際に漏出した冷媒を冷媒検知センサSが検知して検知信号を制御手段Cに送信した場合には、図8および図9(b)に示すように、冷却ファン34を前記作動時間RTに亘って作動する間に該冷媒が一旦拡散するので、冷媒検知センサSは非検知状態となる。しかし、基準時点PT1から前記待機時間WTの間においては、冷凍機構Eから継続して漏出している冷媒が、再び冷媒検知センサSの周囲に停留して該冷媒検知センサSによる検知が可能な濃度となるから、該冷媒検知センサSが該冷媒を検知して検知信号を送信すると、経過時点PT2となる前に制御手段Cは検知信号を受信するようになる。従って制御手段Cは、冷凍機構Eから冷媒が漏出したものであると判定して、冷凍機構Eの製氷運転および除氷運転を停止するよう製氷機Mを制御する。なお、前記セーフホールドモードにおいては、第1実施例と同様に、冷却ファン34の回転数は通常モードでの製氷運転時の回転数より高くなるように設定されると共に、前記冷媒の漏出発生を報知する漏出警告ランプ(警告手段)50を作動するようになっている。
【0046】
(第2実施例の作用)
第2実施例の製氷機の運転方法では、図2および図6に示すように、主電源を投入して製氷機の運転を開始すると、先ず起動初期運転を実行することで製氷機構Dおよび冷凍機構Eに係る所定の初期作動が行なわれ(ステップS11)、該起動初期運転が完了すると、通常モードによる製氷運転および除氷運転が開始され(ステップS12)、製氷機構Dおよび冷凍機構Eが通常に作動する。
【0047】
そして、通常モードでの製氷運転および除氷運転中では、冷媒検知センサSが冷媒の検知信号を送信したか否かを制御手段Cが確認し(ステップS13)、検知信号が送信されていなければ、ステップS12に戻って、再びステップS2およびステップS3を実行する。すなわち通常モードにおいては、常に冷媒検知センサSからの検知信号の送信を確認しながら製氷運転および除氷運転を実行する。そして、冷媒検知センサSからの検知信号の送信がなければ、貯氷室11内の所定量の氷塊Iが貯氷されたことを貯氷スイッチ19が検知されるまで、製氷運転および除氷運転が繰り返される。
【0048】
そして、第2実施例の運転方法では、図6に示すように、通常モードにおいてステップS12およびステップS13を繰り返す際に、ステップS13において冷媒検知センサSが検知信号を制御手段Cに送信した場合には、該制御手段Cは、冷却ファン34を前記作動時間RTに亘って作動させる(ステップS14)。そして制御手段Cは、冷却ファン34の作動が停止した後、基準時点PT1から判定時間JTが経過する前に、冷媒検知センサSが検知信号を送信しているかを確認する(ステップS15)。そして制御手段Cは、ステップS15において冷媒検知センサSからの検知信号の受信を確認できなかった場合は、冷凍機構Eから冷媒が漏出したものではないと判定して、ステップS12に戻って通常モードでの運転を継続する。一方、制御手段Cは、ステップS15において冷媒検知センサSからの検知信号の受信を確認した場合は、冷凍機構Eから冷媒が漏出したものである判定して、運転モードを通常モードからセーフホールドモードに切り替える。これにより制御手段Cは、冷却ファン34を連続作動させ(ステップS16)、かつ漏出警告ランプ50を点灯制御させ(ステップS17)、製氷機Mの冷凍機構Eおよび製氷機構Dの運転を停止する(ステップS18)。すなわち製氷機Mは、セーフホールドモードに切り替わって製氷機機構Dにおける製氷運転および除氷運転が停止しても、冷却ファン34が連続作動して機械室12内に冷媒が停留することを防止する。
【0049】
従って、第2実施例の製氷機の運転方法では、冷媒検知センサSの検知信号の送信に関し、該検知信号の送信が冷媒以外の殺虫剤等のガスを検知したことによるものか、或いは実際に漏出した冷媒を検知したことによるものかを、確実かつ適切に判定することができる。これにより、冷媒検知センサSによる検知が冷媒以外のガスを検知したものと判定した場合には、製氷機Mの運転を継続して製氷効率が低下することを防止し得ると共に、冷媒検知センサSによる検知が実際に冷凍機構Eから漏出した冷媒を検知したものと判定した場合には、製氷機Mの運転を停止して該製氷機Mの安全性および信頼性を向上することができる。そして、冷凍機構Eから冷媒が機械室12へ漏出した場合に、冷却ファン34の連続作動により、該冷媒を機械室12内において拡散させると共に機外へ放出するから、該冷媒が機械室12内に充満して危険な濃度まで上昇しないので当該製氷機Mを安全な状態に保持することができる。しかも、第2実施例における前記判定時間JTは、前記冷媒検知センサSの周辺に移動した冷媒が該冷媒検知センサSにより検知可能な濃度になるのに要する時間より長く設定されているので、冷媒検知センサSが検知したものが冷媒かまたは該冷媒以外のガスかを確実かつ適切に判定することができる。更に、冷却ファン34を通常の製氷運転時よりも高速で作動させるので、漏出した冷媒を適切に拡散させることができる。また、漏出警告ランプ50が点灯することで、製氷機Mの管理者は、当該製氷機Mに冷媒の漏出が発生したことを早期に確認することができ、冷凍機構Eの修理または交換を迅速に行なうことを可能とする。
【0050】
(変更例)
(1)実施例では、1つの冷媒検知センサSを備えた製氷機Mの運転方法を説明したが、本願発明に係る製氷機の運転方法は、図13に示した2つの冷媒検知センサSを備えた製氷機Mや3つ以上の冷媒検知センサSを備えた製氷機にも好適に実施可能である。このように複数の冷媒検知センサSを備えた製氷機Mでは、少なくとも1つの冷媒検知センサSが冷媒を検知し検知信号を送信した場合は、前記第1実施例の運転方法または第2実施例の運転方法が実施される。
(2)第1実施例に示した待機時間WT、第2実施例に示した作動時間RTおよび判定時間JTは、製氷機Mの機械室12内における冷媒検知センサSの配設位置、機械室12内における冷媒検知センサSと冷却ファン34との配設位置関係、製氷機Mの設置位置、等により、適宜設定が変更されることは勿論である。
(3)冷媒検知手段は、実施例に例示した酸化スズ半導体タイプに限定されず、冷媒として使用される可燃性ガスを適切に検知し得るものであればよい。
(4)冷媒の漏出を警告する警告手段は、実施例のランプに限定されず、ブザーやアラーム、パソコンや携帯端末等に発信される電子メール等であってもよい。
(5)実施例では、機械室が下部に配設された噴射式の製氷機を例示したが、該機械室が貯氷室の上部に配設された製氷機や、該機械室が該貯氷室の左右または後に配設された製氷機も対象とされる。
(6)実施例では、噴射式の製氷機を例示したが、本願発明が対象とする製氷機は、可燃性ガスからなる冷媒を使用した冷凍機構を有する全ての製氷機である。
【符号の説明】
【0051】
31 凝縮器,34 冷却ファン,C 制御手段,D 製氷機構,
E 冷凍機構,JT 判定時間,
PT1 基準時点(検知信号の受信を開始した時点、冷却ファンが停止した時点),
RT 作動時間,S 冷媒検知センサ(冷媒検知手段),WT 待機時間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却ファン(34)により強制空冷される凝縮器(31)を備えた回路に可燃性ガスの冷媒を循環させ、前記冷却ファン(34)を作動して製氷機構(D)の製氷運転を行なうと共に該冷却ファン(34)を停止して該製氷機構(D)の除氷運転を行なう冷凍機構(E)を備えた製氷機の運転方法であって、
前記冷媒を検知している間は検知信号を制御手段(C)に送信する冷媒検知手段(S)を用い、
前記制御手段(C)は、前記冷媒検知手段(S)からの検知信号の受信を開始した時点(PT1)から待機時間(WT)が経過しても該冷媒検知手段(S)からの検知信号を受信している場合に、前記冷却ファン(34)を連続作動するよう制御する
ことを特徴とする製氷機の運転方法。
【請求項2】
冷却ファン(34)により強制空冷される凝縮器(31)を備えた回路に可燃性ガスの冷媒を循環させ、前記冷却ファン(34)を作動して製氷機構(D)の製氷運転を行なうと共に該冷却ファン(34)を停止して該製氷機構(D)の除氷運転を行なう冷凍機構(E)を備えた製氷機の運転方法であって、
前記冷媒を検知している間は検知信号を制御手段(C)に送信する冷媒検知手段(S)を用い、
前記制御手段(C)は、前記冷媒検知手段(S)からの検知信号の受信を開始した時点で、前記冷却ファン(34)を所定の作動時間(RT)に亘って作動し、
前記制御手段(C)は、前記作動時間(RT)が経過して前記冷却ファン(34)が停止した時点(PT1)から判定時間(JT)が経過する前に前記冷媒検知手段(S)からの検知信号を受信した場合に、前記冷却ファン(34)を連続作動するよう制御する
ことを特徴とする製氷機の運転方法。
【請求項1】
冷却ファン(34)により強制空冷される凝縮器(31)を備えた回路に可燃性ガスの冷媒を循環させ、前記冷却ファン(34)を作動して製氷機構(D)の製氷運転を行なうと共に該冷却ファン(34)を停止して該製氷機構(D)の除氷運転を行なう冷凍機構(E)を備えた製氷機の運転方法であって、
前記冷媒を検知している間は検知信号を制御手段(C)に送信する冷媒検知手段(S)を用い、
前記制御手段(C)は、前記冷媒検知手段(S)からの検知信号の受信を開始した時点(PT1)から待機時間(WT)が経過しても該冷媒検知手段(S)からの検知信号を受信している場合に、前記冷却ファン(34)を連続作動するよう制御する
ことを特徴とする製氷機の運転方法。
【請求項2】
冷却ファン(34)により強制空冷される凝縮器(31)を備えた回路に可燃性ガスの冷媒を循環させ、前記冷却ファン(34)を作動して製氷機構(D)の製氷運転を行なうと共に該冷却ファン(34)を停止して該製氷機構(D)の除氷運転を行なう冷凍機構(E)を備えた製氷機の運転方法であって、
前記冷媒を検知している間は検知信号を制御手段(C)に送信する冷媒検知手段(S)を用い、
前記制御手段(C)は、前記冷媒検知手段(S)からの検知信号の受信を開始した時点で、前記冷却ファン(34)を所定の作動時間(RT)に亘って作動し、
前記制御手段(C)は、前記作動時間(RT)が経過して前記冷却ファン(34)が停止した時点(PT1)から判定時間(JT)が経過する前に前記冷媒検知手段(S)からの検知信号を受信した場合に、前記冷却ファン(34)を連続作動するよう制御する
ことを特徴とする製氷機の運転方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−229864(P2012−229864A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98750(P2011−98750)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
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