説明

製氷機

【課題】製氷水タンクに対してポンプおよびモータを適切な位置関係で保持することができると共に、組立作業の合理化を図る。
【解決手段】ポンプPおよびモータMからなるポンプユニットUは、製氷水タンクTに取付けられるユニット取付部材60に配設される。ユニット取付部材60に設けた保持部86と製氷水タンクTに設けた被保持部30とを係合することで、ユニット取付部材60に対して製氷水タンクTが位置決め保持され、製氷水タンクTに対してポンプPが規定の位置に保持される。また、製氷水タンクTに設けた係止凸部48と製氷機本体Bに設けた係止口23Aとを係合することで、製氷機本体Bに対して製氷水タンクTが位置決め保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製氷機本体に配設される製氷水タンクと、該製氷水タンク内の製氷水を製氷部へ供給するポンプと、該ポンプを作動するモータとを備える製氷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製氷機は、その製氷機本体内に製氷室や機械室が区画形成され、冷凍機構部を構成する蒸発器および製氷部等からなる製氷機構部が前記製氷室内に配設される一方、該冷凍機構部を構成する圧縮機や凝縮器等が前記機械室に配設される。そして、製氷室下部、または製氷室下部から機械室下部に亘ってタンク収容部が画成され、製氷水タンクを該タンク収容部に引出し可能に収容するよう構成されている。前記製氷水タンクには、該製氷水タンク内に貯留した製氷水を前記製氷部へ供給するポンプをモータで作動させるポンプユニットや、該製氷水タンク内に貯留された製氷水の貯留量を検知する製氷水量検知手段が備えられている。従って、ポンプユニットのポンプを作動させることで、製氷水タンク内の製氷水が製氷部に供給されて該製氷部で氷化され、製氷部で氷結しなかった製氷水は、製氷水タンク内へ落下して一旦回収された後、再び該ポンプユニットにより製氷部へ供給される。このような製氷機は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006−519974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された製氷機は、製氷水タンク(貯蔵タンク)が製氷室の下部に着脱可能に組付けられる一方、ポンプユニット(ポンプ)が製氷室内における奥側の壁部に組付けられている。すなわち、特許文献1の製氷機は、製氷水タンクとポンプユニットとが各々個別に製氷室に位置決めして組付けられる構成となっている。このため、製氷室と製氷水タンクとの取付誤差および製氷室とポンプユニットとの取付誤差が相乗して、製氷水タンクとポンプユニットとの相対的な位置が適切にならないから、ポンプユニットによる製氷水タンク内の製氷水の供給が適正に行なわれず、製氷能力に影響を及ぼすおそれがある。また、製氷室に対して製氷水タンクおよびポンプユニットを組付ける作業を夫々個別に行なう必要があるため、作業工数が増えて製氷機の組立作業に時間および手間がかかる問題もある。
【0005】
そこで本願は、従来の製氷機に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、製氷水タンクに対してポンプおよびモータを適切な位置関係で保持することができると共に、組立作業の合理化を図り得る製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
製氷機本体に配設される製氷水タンクと、該製氷水タンク内の製氷水を製氷部へ供給するポンプと、該ポンプを作動するモータとを備える製氷機において、
前記ポンプおよび前記モータが配設され、前記製氷水タンクに取付けられるユニット取付部材と、
前記ユニット取付部材に設けられた保持部と、
前記製氷水タンクに設けられ、前記保持部に係脱自在に係合して製氷水タンクに対してユニット取付部材を位置決め保持する被保持部と、
前記製氷水タンクに設けられた係合部と、
前記製氷機本体に設けられ、前記係合部と係脱自在に係合して製氷機本体に対して製氷水タンクを位置決め保持する被係合部とを備えたことを要旨とする。
【0007】
請求項1に係る発明によれば、モータおよびポンプが配設されたユニット取付部材を、該ユニット取付部材に設けられた保持部と製氷水タンクに設けられた被保持部とを係合させることで製氷水タンクに取付けるよう構成したので、該モータおよびポンプを製氷水タンクに対して規定の位置に位置決め保持できる。従って、製氷水タンクに対してポンプの取付位置が適正となるから、製氷水タンク内の製氷水を製氷部へ適切に供給することができる。また、製氷水タンクに設けた係合部と製氷機本体に設けた被係合部とを係合することで、ユニット取付部材が取付けられた製氷水タンクを製氷機本体に位置決め保持することができるので、製氷機本体に対する製氷水タンク、モータおよびポンプの組付作業が簡易化されて製氷機の組立作業の合理化を図り得る。
【0008】
請求項2に係る発明では、
前記保持部は、前記製氷水タンクに対する前記ユニット取付部材の取付方向と交差する方向で前記被保持部の第1被保持部と係合する第1保持部と、前記ユニット取付部材の取付方向と交差し、かつ前記第1被保持部と第1保持部との係合方向と交差する方向で被保持部の第2被保持部と係合する第2保持部と、前記ユニット取付部材の取付方向で被保持部の第3被保持部と係止する第3保持部とを備えることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、保持部の第1保持部と被保持部の第1被保持部とを係合させると共に保持部の第2保持部と被保持部の第2被保持部とを係合させることで、製氷水タンクに対するユニット取付部材の取付方向と交差する2方向において該ユニット取付部材が該製氷水タンクに位置決めされ、保持部の第3保持部と被保持部の第3被保持部とを係止することで、製氷水タンクに対するユニット取付部材の取付方向において該ユニット取付部材が該製氷水タンクに位置決めされるから、製氷水タンクに対してポンプおよびモータを適切に位置決め保持することができる。
【0009】
請求項3に係る発明では、
前記係合部は、前記製氷水タンクに弾性変形可能に配設されたレバー部に設けられ、該レバー部の弾性変形により該係合部と前記被係合部との係合および係合解除が行なわれるよう構成したことを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、レバー部の弾性変形により係合部と被係合部との係合および係合解除を行なうことができ、製氷機本体に対する製氷水タンクの着脱作業が容易となる。
【0010】
請求項4に係る発明では、
前記ユニット取付部材は、前記製氷機本体に対して取付手段により着脱自在に固定保持される取付保持部を備えることを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、ユニット取付部材の取付保持部を取付手段により製氷機本体に固定するので、該ユニット取付部材のがたつきを防止し得ると共に、製氷水タンクに加わるポンプおよびモータの荷重を軽減できる。また、製氷水タンクに位置決め保持されているユニット取付部材を製氷機本体に保持することで、該製氷水タンクのがたつきもより防止し得る。
【0011】
請求項5に係る発明では、
前記ユニット取付部材には、前記製氷水タンク内に貯留する製氷水の貯留量を検知する製氷水検知手段が配設されたことを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、製氷水タンクに対して規定の位置に位置決め保持されるユニット取付部材に製氷水検知手段を配設したので、該製氷水タンクに対して該製氷水検知手段の取付位置が適切となり、製氷水タンク内の製氷水の貯留量を正確に検知することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る製氷機によれば、製氷水タンクに対してポンプおよびモータを適切な関係で位置決めし得ると共に、組立作業の合理化を図り得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】タンク収容部に製氷水タンクを収容した状態を示した概略斜視図である。
【図2】図1に示すユニット取付部材を一部破断して示す要部正面図である。
【図3】図1のIII-III線断面図である。
【図4】ユニット取付部材および該ユニット取付部材に装着される断熱部材を示す分解斜視図である。
【図5】製氷水タンクに設けた被保持部およびユニット取付部材に設けた保持部を示す斜視図である。
【図6】製氷機本体に設けられた係止口に係止する係止凸部の係止態様を示す説明図である。
【図7】製氷水タンクと、ポンプユニットおよびフロートユニットを取付けるユニット取付部材とを示す分解斜視図である。
【図8】(a)は、ユニット取付部材にポンプユニットおよびフロートユニットを取付ける状態を示す説明図であり、(b)は、ユニット取付部材にポンプユニットおよびフロートユニットを配設した状態を示す説明図である。
【図9】ポンプユニットおよびフロートユニットを配設したユニット取付部材を、製氷水タンクに取付ける状態を前方から見た説明図である。
【図10】ポンプユニットおよびフロートユニットを配設したユニット取付部材を、製氷水タンクに取付ける状態を側方から見た説明図である。
【図11】ポンプユニットおよびフロートユニットを配設したユニット取付部材を取付けた製氷水タンクの斜視図である。
【図12】ポンプユニットおよびフロートユニットを配設したユニット取付部材が取付けられた製氷水タンクを、製氷機本体のタンク収容部へ収容する状態を示す斜視図である。
【図13】ポンプユニットおよびフロートユニットを配設したユニット取付部材が取付けられた製氷水タンクを、製氷機本体のタンク収容部へ収容する状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る製氷機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、本発明が対象とする製氷機は、製氷機本体に配設される製氷水タンクと、該製氷水タンク内の製氷水を製氷部へ供給するポンプと、該ポンプを作動するモータとを備える製氷機の全てが対象とされる。そこで実施例では、製氷水タンク、ポンプおよびモータに関連する部位についてのみ説明し、製氷機本体のフレームや各パネルや冷凍機構部および製氷部等は各製氷機毎に構成が異なるので、これらの説明および図示は省略する。なお実施例では、製氷水タンクを引出す方向(図1の左方)を製氷機の前側とし、前側から見た正面左側を製氷機の左側、正面右側を製氷機の右側とする。
【実施例】
【0015】
図1は、製氷機の製氷機本体B内における左側部分に画成された製氷室10および右側部分に画成された機械室11を、該製氷機筐体および冷凍機構部等を省略して概略的に示した斜視図である。製氷室10には、冷凍機構部を構成する蒸発器および製氷部等からなる製氷機構部等が配設され、機械室11には、冷凍機構部を構成する圧縮機や凝縮器等が配設される。なお、製氷室10および機械室11は、両室10,11の底部を構成する区画底板12により、下方に区画された貯氷室(図示省略)と区画されている。
【0016】
製氷室10は、図1および図12に示すように、機械室11との境界部に位置する右側壁部13と、右側壁部13と対向して製氷室10の左側に位置する左側壁部14と、右側壁部13の後端および左側壁部14の後端に夫々連設される後壁部15と、右側壁部13の前端および左側壁部14の前端に夫々接合される前壁部16とにより、周囲の四方が囲繞されている。前壁部16は、後述するタンク挿通口17を下方に形成するため、左側壁部14および右側壁部13よりも高さ寸法が小さく設定されている。製氷室10の上部開口は、製氷機本体Bを構成するアッパーパネル(図示省略)で覆蓋されるようになっている。なお、前記右側壁部13、左側壁部14、後壁部15、前壁部16およびアッパーパネルの夫々は断熱材が内装されており、これにより製氷室10は断熱箱体として構成されている。
【0017】
機械室11は、前記右側壁部13により製氷室10と区画され、製氷機本体Bを構成する右サイドパネル、リアパネル、フロントパネルおよびアッパーパネル等により画成される。そして、区画底板12の機械室11側の上面には、重量が嵩む冷凍機構部の圧縮機や凝縮器等(図示せず)を取付けるベース板18が配設されている。なお、製氷室10の右側壁部13とベース板18との境界部には、製氷室10から貯氷室に亘って形成された氷塊放出シュート(図示せず)との干渉を回避する傾斜部19が形成されている。
【0018】
そして図12に示すように、製氷室10の下部から該製氷室10と隣接する機械室11の下部に亘り、製氷水タンクTを機外へ引出し可能に収容するタンク収容部20が形成されている。すなわちタンク収容部20は、右側壁部13の前側下部分に設けた第1切欠部13Aにより、製氷室10の下部に画成された第1収容領域21と、機械室11の前側下部に画成されて第1収容領域21と空間的に連通する第2収容領域22とからなり、平面視において略L字形を呈している。また、ベース板18の前側左部分には、タンク収容部20に整合する第2切欠部18Aが形成されている。これによりタンク収容部20は、区画底板12の上面をタンク載置面とした高さHの平坦な空間として画成されている。そして、タンク収容部20の第2収容領域22と機械室11とは、図1に示すように、後述するユニット取付部材60により完全に区分されるようになっている。なお、区画底板12の上面前側には、第1収容領域21の前側部分から第2収容領域22に亘る大きさでトレー状の支持板23が配設されている。
【0019】
製氷水タンクTは、図7および図11に示すように、タンク収容部20に整合して収容され得るサイズ・形状にされている。すなわち製氷水タンクTは、前後方向に長い形状に形成されて第1収容領域21に収容される第1タンク部T1と、第1タンク部T1から右方向へ突出して第2収容領域22に収容される第2タンク部T2とからなり、平面視において略L字形のバケット状となっている。製氷水タンクTは、底面が前下がりでかつ右下がりに傾斜しており、第1タンク部T1の後端が最も浅く、第2タンク部T2の右端が最も深くなるように形成されている。そして、第1タンク部T1の上縁部には、水平外方へ延出して上方へ立ち上がったリブが全周に亘って延設されている。
【0020】
製氷水タンクTの機械室11に臨む第2タンク部T2は、図2および図9に示すように、該第2タンク部T2の左右中間に板状の仕切板24が配設されている。この仕切板24は、第2タンク部T2を形成する前壁および後壁に上下に延在するように設けた支持凹部25,25に前端縁および後端縁を嵌合させることで垂直姿勢で保持され、ポンプユニットPUのポンプPが配設される側とフロートユニットFUが配設される側とに第2タンク部T2を区分する。但し、仕切板24の下部には凹部24Aが設けられ、製氷水の流通を許容するようになっている。
【0021】
前記仕切板24には、図3および図9に示すように、その上端前部および上端後部に、上方へ延出する支持突片26,26が設けられている。これら支持突片26,26は、図2および図3に示すように、ユニット取付部材60を製氷水タンクTにセットした際に、該ユニット取付部材60における天板部61の下面に当接して、該ユニット取付部材60を下方から支持するようになっている。
【0022】
そして実施例の製氷機では、図2、図3、図5および図7に示すように、製氷水タンクTにおける第2タンク部T2の右部に、該製氷水タンクTに対する前記ユニット取付部材60の位置決めおよび保持を図る被保持部30を備えている。この被保持部30は、製氷水タンクTとは別体に形成されて第2タンク部T2に装着されたタンク付属部材40に設けられている。タンク付属部材40は、図2および図10に示すように、第2タンク部T2の底壁の外側に当接する第1本体部41と、該第1本体部41の後部から上方へ立ち上がって第2タンク部T2の後壁の外側に当接する第2本体部42と、該第1本体部41の前部から上方へ立ち上がって第2タンク部T2の前壁の外側に当接する第3本体部43とを備えている。またタンク付属部材40は、第1本体部41から上方へ立設して製氷水タンクT内へ突出し、内部が上下に連通したオーバーフローパイプ44が形成されており、製氷水タンクT内に過剰供給された製氷水を排出し得るようになっている。更に、タンク付属部材40の第1本体部41の下面には、図3、図6および図9に示すように、下方へ突出したガイドピン49,49が左右に離間して設けられており、前記支持板23に設けたガイド溝23B,23Bに夫々スライド可能に係合するようになっている。
【0023】
前記被保持部30は、図5、図7、図9および図10に示すように、タンク付属部材40の第3本体部43の前面に、前方へ水平に延出した第1位置決め部(第1被保持部)31と、該第1位置決め部31の前部から上方へ立ち上がった第2位置決め部(第2被保持部)32と、該第2位置決め部32の左右両側に設けられた第3位置決め部(第3被保持部)35とを備えている。第1位置決め部31は、図9に示すように、右端と左端との間の幅W1が、後述するユニット取付部材60に設けた保持部86の第1保持部87の左右間の間隔W2と同じに設定されている。従って、製氷水タンクTに対してユニット取付部材60をセットする際に、被保持部30の第1位置決め部31と保持部86の第1保持部87との係合により、製氷水タンクTに対する該ユニット取付部材60の取付方向である上下方向と直交する左右方向の位置決めを図り得るようになっている。
【0024】
第2位置決め部32は、図10に示すように、タンク付属部材40の第3本体部43の前面に設けた凸部33との間隔S1が、後述するユニット取付部材60に設けた保持部86の第2保持部88の前後幅S2と同じに設定されている。従って、製氷水タンクTに対してユニット取付部材60をセットした際に、被保持部30の第2位置決め部32と保持部86の第2保持部88との係合により、製氷水タンクTに対する該ユニット取付部材60の取付方向である上下方向と直交し、かつ第1位置決め部31と第1保持部87との係合方向である左右方向と直交する前後方向の位置決めを図り得るようになっている。
【0025】
第3位置決め部35は、図5および図10に示すように、前記被保持部30の第2位置決め部32と一体に形成されている。すなわち第3位置決め部35は、前記第2位置決め部32における第1位置決め部31より左側に延出した部分および該第1位置決め部31より右側へ延出した部分であって、この左側延出部分の下縁および右側延出部分の下縁が、前記ユニット取付部材60に設けた後述する第3保持部90と係止するようになっている。
【0026】
一方、前記タンク付属部材40には、図5、図6および図10に示すように、前記第1本体部41の前縁から前方へ延出したロックレバー45が、該第1本体部41と一体に形成されている。このロックレバー45は、第1本体部41から前方へ延出したレバー部46と、このレバー部46の前部に一体に形成された操作部47と、レバー部46の下面における前後方向中間に下方へ突出するように形成されて、前記支持板23に設けた係止口(被係合部)23Aに係脱自在に係止する爪状の係止凸部(係合部)48とを備えている。この係止凸部48は、製氷水タンクTをタンク収容部20に押し込んだ際に前記係止口23Aの前縁に係止されるようになっており、当該製氷水タンクTをタンク収容部20に固定させ得る。またロックレバー45は、前記操作部47を上方へ押し上げると、レバー部46が弾性変形することで、製氷水タンクTをタンク収容部20から引き出す方向で係止口23Aに係止していた係止凸部48を該係止口23Aから上方へ移動させ得るようになっており、製氷水タンクTをタンク収容部20から引き出すことを許容する。なおロックレバー45は、製氷水タンクTをタンク収容部20に押し込む際には、前記係止凸部48が支持板23の前端に当接することでレバー部46が弾性変形することで、該製氷水タンクTのタンク収容部20への収容を許容する。
【0027】
ポンプユニットPUは、図7および図8に示すように、ポンプPと、該ポンプPを作動させるモータMとを備え、ポンプPとモータMとの間には、矩形のモータ取付板50が配設されている。モータ取付板50の右縁における前後中央には、モータ固定ボルト76のネジ部の挿通を許容するボルト挿通孔51が穿設されている。またフロートユニットFUは、フロート部Fと、該フロート部Fの位置を検出するスイッチ部SWとを備え、フロート部Fとスイッチ部SWとの間には、略菱形のフランジ板52が設けられている。フランジ板52における前後の延出部には、フロート固定ネジ79のネジ部の挿通を許容するネジ挿通孔53が穿設されている。
【0028】
ユニット取付部材60は、図1〜図7に示すように、例えば合成樹脂製の一体成形部品であって、略矩形状をなす天板部61と、天板部61の前縁に連設されて垂直下方へ延在する前板部62と、天板部61の右縁に連設されて垂直下方へ延在する右板部63と、天板部61の後縁に連設されて垂直下方へ延在する後板部64とを備えている。このユニット取付部材60は、タンク収容部20に収容される前の製氷水タンクTに位置決めした状態でセットされ、該製氷水タンクTをタンク収容部20へセットすると機械室11内においてタンク収容部20の第2収容領域22を覆うように位置決めされ、前記右側壁部13およびベース板18に固定されて機械室11と製氷室10とを区画するようになっている。
【0029】
天板部61は、図2〜図8に示すように、左右中間を境として左側がポンプユニットPUを設置する第1設置部65とされると共に、右側が前記フロートユニットFUを設置する第2設置部66とされている。第1設置部65は、ポンプユニットPUのポンプPの挿通を許容する矩形状の開口67が形成され、ポンプユニットPUを上方から差し込んで装着するようになっている。開口67は、前後開口幅E1がポンプユニットPUにおけるモータ取付板50の前後幅E2より小さく設定されており、該開口67の前縁および後縁が、該モータ取付板50の前縁および後縁を下方から夫々支持する前支持縁68および後支持縁69として構成されている。前記前支持縁68の前側には、該前支持縁68に沿って左右に延在する前規制片70が立設されると共に、前記後支持縁69の後側には、該後支持縁69に沿って左右に延在する後規制片71が立設されている。前規制片70と後規制片71との前後方向の間隔E3は、図3に示すように、モータ取付板50の前後幅E2と同じに設定されており、これら前規制片70と後規制片71との間にモータ取付板50が嵌合するようになっている。
【0030】
前記前規制片70の上縁左端と後規制片71の上縁左端には、前後方向に延在すると共に右方へ延出する左支持縁72が形成されている。この左支持縁72の下面と、前記前支持縁68および後支持縁69の上面との上下方向の間隔G1は、図8(a)に示すように、前記モータ取付板50の厚みG2と同じに設定されており、前支持縁68および後支持縁69に支持された該モータ取付板50の左縁が当該左支持縁72の下方へ潜り込ませることが可能となっている。また、前記左支持縁72の下側には、図8(a)に示すように、前後に離間して2つの当接リブ73,73が形成されており、モータ取付板50の左縁を当て受けるようになっている。そして、当接リブ73の右端と前記開口67の右縁までの間隔J1は、図8(a)に示すように、モータ取付板50の左右幅J2より小さく設定されており、該開口67の右縁が、該モータ取付板50の右縁を下方から支持する右支持縁74として構成されている。そして右支持縁74の前後中央には、モータ取付板50のボルト挿通孔51に整合するネジ孔75が形成されており、該ネジ孔75にはモータ固定ボルト76が螺合するようになっている。
【0031】
従って、開口67を介してポンプPを上面側から挿通させ、前規制片70と後規制片71との間に位置決めしたモータ取付板50を、該モータ取付板50の左縁を左支持縁72の下方に潜り込ませて当接リブ73に当接させることで、天板部61に対するモータ取付板50の位置決めがなされ、ボルト挿通孔51に整合したネジ孔75に対して前記モータ固定ボルト76を螺合することで、ユニット取付部材60に対するポンプユニットPUの取付けが完了するようになっている。そして、ユニット取付部材60に取付けられたポンプユニットPUは、前記前支持縁68、後支持縁69、右支持縁74、左支持縁72、前規制片70および後規制片71によりモータ取付板50が前後方向、左右方向および上下方向の動きが規制されてがたつきなく固定され、また該モータ取付板50により前記開口67を完全に覆蓋するようになっている。
【0032】
第2設置部66は、フロートユニットFUのスイッチ部SWの挿通を許容する円形状の開口77が形成され、該フロートユニットFUを下方から差し込んで装着するようになっている。そして、天板部61の裏面における前記開口77を挟んだ前後部位には、下方へ延出するフロート固定部78が形成されており、該フロート固定部78にフロートユニットFUのフランジ板52を固定することで、ユニット取付部材60に対して当該フロートユニットFUが固定される。なお、フロート固定部78には、フランジ板52に設けた前記ネジ挿通孔53が整合すると共にフロート固定ネジ79が螺合するネジ孔(図示せず)が形成されており、該ネジ挿通孔53を介して該ネジ孔にフロート固定ネジ79を螺合することで、ユニット取付部材60に対するフロートユニットFUの固定がなされる。
【0033】
なお、天板部61の裏面には、図3および図10に示すように、前記仕切板24に設けた各支持突片26,26の当接部位を挟む前後方向で相対して、該支持突片26,26に前後方向から当接する位置決めリブ80,80が設けられている。すなわち、各位置決めリブ80,80の前後方向の間隔K1は、図10に示すように、前記支持突片26,26の前後方向の間隔K2と同じに設定されており、製氷水タンクTに対してユニット取付部材60をセットした際には、各支持突片26,26と各位置決めリブ80,80とが互いに当接することで、製氷水タンクTに対するユニット取付部材60の前後方向の位置決めが図られるようになっている。また、天板部61の左縁には、図4に示すように、上方へ垂直に延出する当接リブ81が、該左縁に沿って前後方向へ延在している。
【0034】
前板部62は、図4に示すように、タンク収容部20に収容した製氷水タンクTにユニット取付部材60をセットした状態において、前記支持板23の上面に相対する高さ寸法に設定されている。そして、前板部62の下縁には、前方へ水平に延出する当接リブ81が、該下縁に沿って左右方向へ延在している。また、前板部62の右縁下部および左縁には、前方へ延出する当接リブ81が、該右縁および左縁に沿って上下方向に延在している。更に、前板部62の下部右側には、下方へ開口した凹部85が形成されており、該凹部85の縁部に、前記製氷水タンクTに設けた前記被保持部30に係合する保持部86と、該製氷水タンクTに設けた前記第3位置決め部35に係止する第3保持部90が設けられている。
【0035】
前記保持部86は、図5、図9および図10に示すように、前記凹部85の左縁および右縁から前方へ延出したリブ状の第1保持部87,87と、該凹部85の上縁において前後に延在するリブ状の第2保持部88と、前記第1保持部87,87の上端に設けられた第3保持部90,90とを備えている。第1保持部87,87は、図9に示すと共に前述したように、左右方向に相対して上下方向へ平行に延在しており、左右間の間隔W2が、前記被保持部30における第1位置決め部31の左右間の幅W1と同じに設定されている。従って第1保持部87,87は、製氷水タンクTに対してユニット取付部材60を上方からセットする際に、該ユニット取付部材60の取付方向と直交する左右方向で被保持部30の第1位置決め部31と係合する。すなわち、第1保持部87,87と第1位置決め部31とが左右方向で係合することで、製氷水タンクTに対するユニット取付部材60の左右方向の位置決めおよび保持を図り得る。
【0036】
第2保持部88は、図5、図9および図10に示すように、左右方向へ水平に延在して、前後方向の幅S2が、前記被保持部30の第2位置決め部32とタンク付属部材40の第3本体部43の前面に設けた凸部33との間隔S1と同じに設定されている。従って第2保持部88は、製氷水タンクTに対しユニット取付部材60を上方からセットする際に、該ユニット取付部材60の取付方向と直交し、かつ第1保持部87と第1位置決め部31とが係合する左右方向と直交する前後方向で被保持部30の第2位置決め部32と係合する。すなわち、第2保持部88と第2位置決め部32とが前後方向で係合することで、製氷水タンクTに対するユニット取付部材60の前後方向の位置決めおよび保持を図り得る。
【0037】
前記第3保持部90は、図5および図9に示すように、前記保持部86の第1保持部87,87と一体に形成され、前記第1保持部87,87における第2保持部88より前側へ延出した部分である。すなわち第3保持部90は、ユニット取付部材60の天板部61の裏面に前記仕切板24の支持突片26が当接した状態において、製氷水タンクTに設けた前記第3位置決め部35に下方から係合するように設定されている。従って、製氷水タンクTに対しユニット取付部材60を上方から取付けるに際して、第2位置決め部38が弾性変形して第1保持部87,87の下方への通過を許容し、両第1保持部87,87が下方へ完全に通過して該第2位置決め部38が弾性復帰すると、第3保持部90と第3位置決め部35とが該ユニット取付部材60の取付方向である上下方向で係合する。そして、第3保持部90と第3位置決め部35とが上下方向で係合することで、製氷水タンクTに対するユニット取付部材60の上下方向の位置決めおよび保持を図り得る。
【0038】
前記右板部63は、図4に示すように、タンク収容部20に収容した製氷水タンクTにユニット取付部材60をセットした状態において、前記ベース板18の上面に相対する高さ寸法に設定されている。そして、右板部63の下縁には、右方へ水平に延出する当接リブ81が、該下縁に沿って前後方向へ延在している。また後板部64は、図8に示すように、タンク収容部20に収容した製氷水タンクTにユニット取付部材60をセットした状態において、前記ベース板18の上面におよび前記傾斜部19に相対する高さ寸法に設定されている。そして、後板部64の下縁には、後方へ水平に延出する当接リブ81が、該下縁に沿って前後方向へ延在している。
【0039】
前記ユニット取付部材60の天板部61における左縁前部には、図2〜図7に示すように、上方へ立ち上がった第1取付部(取付保持部)92が、前後方向に延在するように形成されている。この第1取付部92は、後方へ開口した鉤状になっており、タンク収容部20に収容した製氷水タンクTにユニット取付部材60をセットした状態において、前記右側壁部13の前側下部に設けた第1ネジ孔93に整合するようになっている。従って、タンク収容部20に収容した製氷水タンクTにユニット取付部材60をセットした状態において、第1ネジ孔93に第1取付ボルト(取付手段)94を螺合することで、第1取付部92が該第1取付ボルト94の頭部と右側壁部13とで挟持される。また、前記ユニット取付部材60の右板部63における下縁前部には、図2〜図4および図7に示すように、右方へ延出した第2取付部(取付保持部)95が形成されている。この第2取付部95は、後方へ開口した鉤状になっており、タンク収容部20に収容した製氷水タンクTにユニット取付部材60をセットした状態において、前記ベース板18の前部に設けた第2ネジ孔96に整合するようになっている。従って、タンク収容部20に収容した製氷水タンクTにユニット取付部材60をセットした状態において、第2ネジ孔96に第2取付ボルト(取付手段)97を螺合することで、第2取付部95が該第2取付ボルト97の頭部とベース板18とで挟持されるようになっている。更に、前記ユニット取付部材60の後板部64における下縁右部には、図3および図11に示すように、後方へ延出した第3取付部98が形成されている。この第3取付部98は、タンク収容部20に収容した製氷水タンクTにユニット取付部材60をセットした状態において、前記ベース板18の上部において前方へ延出した掛止片99の下方へ突入して掛止するようになっている。
【0040】
前記ユニット取付部材60には、前記前板部62、右板部63および後板部64の略全面を覆う平面視において略コ字形に形成された断熱部材100が配設されている。この断熱部材100は、平板状で所定の輪郭形状に形成された1枚の部材であって、ユニット取付部材60の前板部62、右板部63および後板部64の外面に沿わせるようにして、接着剤または両面テープ等で貼り付けられている。これにより、機械室11側に画成されたタンク収容部20の第2収容領域22は、ユニット取付部材60に配設した断熱部材100により該機械室11内から断熱的に隔離され、製氷室10内が機械室11の熱により温度上昇することを抑制し得る。更に、天板部61の左縁に設けた当接リブ81の右側壁部13に相対する面と、前板部62の下縁に設けた当接リブ81の支持板23に相対する面と、前板部62の右縁に設けた当接リブ81のベース板18に相対する面と、右板部63の下縁に設けた当接リブ81のベース板18に相対する面と、後板部の下縁に設けた当接リブ81のベース板18に相対する面には、シール部材82が貼り付けられている。
【0041】
(実施例の作用)
次に、前述のように構成された実施例の製氷機の作用について説明する。
【0042】
製氷水タンクTをタンク収容部20へ収容する際には、先ず、ユニット取付部材60に前記ポンプユニットPUおよびフロートユニットFUを取付け、該ポンプユニットPUおよびフロートユニットFUを配設したユニット取付部材60を、該製氷水タンクTの第2タンク部T2に上方から取付ける。ポンプユニットPUは、前述したように、モータ取付板50によりユニット取付部材60の天板部61にがたつきなく取付けられると共に、フロートユニットFUはフランジ板52により該天板部61にがたつきなく取付けられる。
【0043】
ユニット取付部材60は、製氷水タンクTの第2タンク部T2にセットする際に、製氷水タンクTに設けた前記被保持部30の第1位置決め部31とユニット取付部材60に設けた前記保持部86の第1保持部87とを整合させて該ユニット取付部材60の左右方向の位置決めを図ると共に、該被保持部30の第2位置決め部32と該保持部86の第2保持部88とを整合させて該ユニット取付部材60の前後方向の位置決めを図る。そして、被保持部30と保持部86とが整合した状態で、ユニット取付部材60を水平状態で垂直下方へ押下げることで、製氷水タンクTに設けた前記仕切板24に設けた各支持突片26,26と、ユニット取付部材60に設けた前記位置決めリブ80,80とが整合することで、更に該ユニット取付部材60の前後方向の位置決めが図られる。
【0044】
そして、製氷水タンクTに設けた前記仕切板24に設けた各支持突片26,26が、該ユニット取付部材60における天板部61の下面に当接すると、製氷水タンクTに設けた前記第3位置決め部35とユニット取付部材60に設けた前記第3保持部90とが係止し、当該ユニット取付部材60は、所定の姿勢および位置に保持された状態で製氷水タンクTに安定的に固定される。これにより、ユニット取付部材60に取付けたポンプユニットPUのポンプPは、図8に示すように、製氷水タンクTの第2タンク部T2内へ垂下して規定の高さおよび位置に適切に保持される。また、ユニット取付部材60に取付けた前記フロートユニットFUのフロート部Fも、製氷水タンクTの第2タンク部T2内へ垂下して規定の高さおよび位置に適切に保持される。
【0045】
そして、図12に示すように、ポンプユニットPUおよびフロートユニットFUを取付けたユニット取付部材60を載置した製氷水タンクTを、製氷機本体Bの前面に開口したタンク挿通口17を介して、タンク収容部20へスライドさせながら押し込む。ここで、製氷水タンクTをタンク収容部20へ押し込む過程において、支持板23に設けた各ガイド溝23B,23Bにタンク付属部材40に設けた各ガイドピン49,49を係合させた後、前記タンク付属部材40に設けたロックレバー45の係止凸部48が支持板23に当接することで、該ロックレバー45のレバー部46が上方へ弾性変形する。そして、製氷水タンクTがタンク収容部20へ完全に収容されると、図3および図6に示すように、ロックレバー45が弾性復帰して係止凸部48が支持板23の係止口23Aに係止され、該製氷水タンクTはタンク収容部20に位置決め保持される。
【0046】
また、製氷水タンクTがタンク収容部20へ収容保持されると、図4に示すように、ユニット取付部材60の前板部62の下縁に設けた当接リブ81が支持板23に相対して、シール部材82を介して該支持板23に当接する。また、ユニット取付部材60の右板部63の下縁に設けた当接リブ81がベース板18に相対して、シール部材82を介して該ベース板18に当接すると共に、該ユニット取付部材60の後板部64の下縁に設けた当接リブ81がベース板18に相対して、シール部材82を介して該ベース板18に当接する。更に、天板部61の左縁に設けた当接リブ81が右側壁部13に相対して、シール部材82を介して該右側壁部13に当接する。
【0047】
そして、ベース板18および右側壁部13に対してユニット取付部材60が位置決めされると、第1取付部92に整合した第1ネジ孔93に第1取付ボルト94を螺合することで該ユニット取付部材60が右側壁部13に固定されると共に、第2取付部95に整合した第2ネジ孔96に第2取付ボルト97を螺合することで該ユニット取付部材60がベース板18に固定される。更に、この第3取付部98が掛止片99の下方へ突入して掛止することで、該ユニット取付部材60が更にベース板18に固定される。これにより図2および図3に示すように、ユニット取付部材60の各当接リブ81が、右側壁部13、ベース板18および支持板23に夫々当接することで、タンク収容部20(製氷室10)と機械室11とが適切に区画される。
【0048】
一方、製氷水タンクTをタンク収容部20から引出す際には、先ず第1取付ボルト94および第2取付ボルト97を適宜緩めるか若しくは外した後、ロックレバー45の操作部47を押し上げて係止凸部48と係止口23Aとの係止を解除したもとで、製氷水タンクTをタンク挿通口17から前方へ引張る。これにより製氷水タンクTは、各ガイドピン49,49が対応するガイド溝23B,23Bに沿って移動することで前方へ移動し、ユニット取付部材60は該製氷水タンクTに取付けられた状態で水平前方へ移動する。
【0049】
このように実施例の製氷機は、製氷水タンクTに設けられた被保持部30の第1位置決め部31とユニット取付部材60に設けられた保持部86の第1保持部87とが整合することで、製氷水タンクTに対するユニット取付部材60の左右方向の位置決めが図られると共に、前記被保持部30の第2位置決め部32と前記保持部86の第2保持部88とが整合することで、製氷水タンクTに対するユニット取付部材60の前後方向の位置決めが図られ、製氷水タンクTに対する当該ユニット取付部材60の取付方向と各々交差する2方向での位置決めが適切になされる。また、製氷水タンクTに設けられた第3位置決め部35とユニット取付部材60に設けられた第3保持部90とが整合することで、製氷水タンクTに対してユニット取付部材60が規定位置で適切に保持され、製氷水タンクTに対するポンプPおよびフロート部Fの取付位置を規定の位置に適切に位置決め保持することができる。このように実施例の製氷機は、ポンプPおよび該ポンプPを作動するモータMからなるポンプユニットPUおよびフロートユニットFUを取付けて構成されたユニット取付部材60を、製氷機本体Bのタンク収容部20に配設するようにした製氷水タンクTの第2タンク部T2に位置決め保持するようにした。従って、製氷水タンクTに対するポンプPの取付位置が規定の位置となるから、製氷水タンクT内の製氷水を製氷部へ適切に供給することができる。また、製氷水タンクTに対するフロート部F1の取付位置が規定の位置となるから、製氷水タンクT内の製氷水の貯留量を正確に検知することができる。
【0050】
また実施例の製氷機は、製氷機本体B側に設けられた係止口23Aと製氷水タンクT側に設けられた係止凸部48とを係合することで、製氷機本体Bのタンク収容部20に対して製氷水タンクTを規定の位置に位置決め保持することができる。従って、製氷水タンクTが製氷機本体Bに対して適切に位置決め保持されると共に、該製氷水タンクTにユニット取付部材60を介して位置決め保持されたポンプユニットPUおよびフロートユニットFUも該製氷機本体Bに対して適切に位置決め保持されるから、製氷機本体Bに対する製氷水タンクT、ポンプユニットPUおよびフロートユニットFUの組付作業が簡易化されて製氷機の組立作業の合理化を図り得る。
【0051】
そしてユニット取付部材60は、第1取付ボルト94により第1取付部92が右側壁部13に固定され、第2取付ボルト97により第2取付部95がベース板18に固定されると共に、第3取付部98が掛止片99に掛止されることで、製氷機本体Bに対してがたつきなく保持される。これにより、ユニット取付部材60、ポンプユニットPUおよびフロートユニットFUの重さは製氷機本体Bで受け止められるので、製氷水タンクTに加わるユニット取付部材60、ポンプユニットPUおよびフロートユニットFUによる荷重を軽減し得る。しかも、ユニット取付部材60が製氷機本体Bに保持されるので、該製氷機本体Bに対する製氷水タンクのがたつきも防止し得る。
【0052】
更に、ポンプユニットPUのモータMが機械室11側に取付けられているので、製氷水の蒸発による湿気や塩素等が該モータMに付着することがなく、これを起因としたモータMの腐食や故障の発生を好適に防止し得る。また更に、製氷水タンクTは、ロックレバー45の操作部47を上方へ引き上げて係止凸部48と係止口23Aとの係合を解除させるだけで、製氷機本体Bから簡単に引き出すことができる。
【0053】
(変更例)
(1)実施例では、製氷水タンクに対して上方から取付けられるユニット取付部材を例示したが、該ユニット取付部材は、製氷水タンクに対して左方向または右方向から取付けられるものや、製氷水タンクに対して前方向または後ろ方向から取付けられるものであってもよい。
(2)保持部および被保持部の配設位置は、実施例で例示した位置に限らず、製氷水タンクおよびユニット取付部材が対向する位置であればよい。
(3)保持部の形態および被保持部の形態は、実施例に例示のものに限定されず、製氷水タンクに対してユニット取付部材を位置決めおよび保持し得れば他の形態であってもよい。また、保持部と被保持部とは、実施例と逆であってもよく、保持部をフック形態とすると共に被保持部を突起形態等としてもよい。
(4)係合部の形態および被係合部の形態は、実施例に例示のものに限定されず、製氷機本体に対して製氷水タンクを位置決めおよび保持し得れば他の形態であってもよい。また、係合部と被係合部とは、実施例と逆であってもよく、係合部を突起形態とすると共に、被係合部を孔形態としてもよい。
(5)実施例では、製氷機本体のタンク収容部に対して前方からスライド収容可能な製氷水タンクを例示したが、該製氷水タンクは、製氷機本体に対して側方がスライド可能なものや、後方からスライド収容可能なものであってもよい。
(6)製氷水タンクは、係合部と被係合部との係合により製氷機本体に位置決め保持されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
23A 係止口(被係合部),30 被保持部,31 第1位置決め部(第1被保持部),
32 第2位置決め部(第2被保持部),35 第3位置決め部(第3被保持部),
46 レバー部,48 係止凸部(係合部),60 ユニット取付部材,86 保持部,
87 第1保持部,88 第2保持部,90 第3保持部,92 取付保持部,
94 第1取付ボルト(取付手段),95 取付保持部,97 第2取付ボルト(取付手段),
B 製氷機本体,FU フロートユニット(製氷水検知手段),M モータ,P ポンプ,
T 製氷水タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷機本体(B)に配設される製氷水タンク(T)と、該製氷水タンク(T)内の製氷水を製氷部へ供給するポンプ(P)と、該ポンプ(P)を作動するモータ(M)とを備える製氷機において、
前記ポンプ(P)および前記モータ(M)が配設され、前記製氷水タンク(T)に取付けられるユニット取付部材(60)と、
前記ユニット取付部材(60)に設けられた保持部(86)と、
前記製氷水タンク(T)に設けられ、前記保持部(86)に係脱自在に係合して製氷水タンク(T)に対してユニット取付部材(60)を位置決め保持する被保持部(30)と、
前記製氷水タンク(T)に設けられた係合部(48)と、
前記製氷機本体(B)に設けられ、前記係合部(48)と係脱自在に係合して製氷機本体(B)に対して製氷水タンク(T)を位置決め保持する被係合部(23A)とを備えた
ことを特徴とする製氷機。
【請求項2】
前記保持部(86)は、前記製氷水タンク(T)に対する前記ユニット取付部材(60)の取付方向と交差する方向で前記被保持部(30)の第1被保持部(31)と係合する第1保持部(87)と、前記ユニット取付部材(60)の取付方向と交差し、かつ前記第1被保持部(31)と第1保持部(87)との係合方向と交差する方向で被保持部(30)の第2被保持部(32)と係合する第2保持部(88)と、前記ユニット取付部材(60)の取付方向で被保持部(30)の第3被保持部(35)と係止する第3保持部(90)とを備える請求項1記載の製氷機。
【請求項3】
前記係合部(48)は、前記製氷水タンク(T)に弾性変形可能に配設されたレバー部(46)に設けられ、該レバー部(46)の弾性変形により該係合部(48)と前記被係合部(23A)との係合および係合解除が行なわれるよう構成した請求項1または2記載の製氷機。
【請求項4】
前記ユニット取付部材(60)は、前記製氷機本体(B)に対して取付手段(94,97)により着脱自在に固定保持される取付保持部(92,95)を備える請求項1〜3の何れか一項に記載の製氷機。
【請求項5】
前記ユニット取付部材(60)には、前記製氷水タンク(T)内に貯留する製氷水の貯留量を検知する製氷水検知手段(FU)が配設された請求項1〜4の何れか一項に記載の製氷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−184901(P2012−184901A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49500(P2011−49500)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)