説明

製氷機

【課題】水冷凝縮器の凝縮効率を高め得ると共に効率的な製氷運転を行なうことができるようにする。
【解決手段】外部水源に接続された第3給水管34に、制御手段Cにより開閉制御される第3給水バルブ35が配設される。冷却水タンク45には、制御手段Cへ水量検知信号を送る冷却水量検知手段50が配設される。製氷部21での製氷運転後において製氷水タンク26に残留した残留製氷水W2Aを冷却水タンク45に回収すると共に、第3給水バルブ35を開放制御して、冷却水量検知手段50が水量検知信号を送出するまで外部水源からの外部水を該冷却水タンク45に給水する。制御手段Cは、冷却水量検知手段50からの水量検知信号に基づき、第3給水バルブ35を制御して前記外部水(W1)の給水量を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製氷運転後に発生した残留製氷水を、冷凍装置を構成する水冷凝縮器の冷却水として利用するよう構成した製氷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
氷塊を製造する自動製氷機として、製氷部において縦向きに配置した2枚の製氷板間に、冷凍装置を構成する蒸発器(蒸発管)を蛇行状に配設して、前記蒸発器に冷媒を循環供給して製氷板を冷却したもとで該製氷板の外面に製氷水を供給することで、該製氷板の外面に氷塊を生成する製氷ユニットを備えた流下式の製氷機が知られている。前記製氷ユニットは、製氷部の下部に製氷水タンクが配設されると共に該製氷部の上部に製氷水供給装置が配設されており、製氷水タンク内に貯留した製氷水をポンプ等により製氷水供給装置に送り、該製氷水供給装置から製氷水を製氷板の外面へ供給するようになっている。そして、冷却された前記製氷板の外面を製氷水が流下する際に、該製氷水の一部が氷結して該外面に付着するようになると共に、氷結しなかった製氷水は前記製氷水タンクに回収されるようになっている。
【0003】
前記製氷部における製氷板の外面では、製氷水中の純水が氷結するようになる。このため、所要回数の製氷運転を行なった後に氷結せずに前記製氷水タンク内に回収された製氷水(以降「残留製氷水」という)は、不純物の濃度が高くなっていて製氷に適さなくなる。このような製氷に不適切となった残留製氷水は、前記製氷水タンクから排出する。
【0004】
前記残留製氷水は、製氷水として製氷部に供給されていたものであるから十分に冷却されており、該残留製氷水をそのまま製氷機外へ排出することは、エネルギー効率の低下に繋がる。そこで、前記冷凍装置において水冷凝縮器が採用されている場合では、前記製氷水タンクから排出した前記残留製氷水を、別のタンク(以降「冷却水タンク」という)に回収して前記水冷凝縮器へ供給するよう構成して、当該残留製氷水を水冷凝縮器の冷却水に利用した製氷機も実用化されている。このような製氷機は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−227546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記特許文献1に開示の製氷機では、製氷水タンク(水タンク)から冷却水タンク(排水貯留槽)に回収された残留製氷水(製氷残水)を、圧縮機から排出した高温冷媒ガスや外部水源から供給される製氷水と熱交換させることで、凝縮効率が高まる温度に調節するようになっている。しかしながら、特許文献1の構成では、残留製氷水の水温調節は可能であるが、該残留製氷水の水量は調節できない。従って特許文献1の製氷機では、残留製氷水の水量が水冷凝縮器の冷却に必要とされる量に満たない場合に、凝縮効率が高まる温度に該水冷凝縮器を冷却できない問題がある。
【0007】
本発明は、従来の製氷機に内在する前記問題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、水冷凝縮器の凝縮効率を高め得ると共に効率的な製氷運転を行なうことができる製氷機を提供する。
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明では、水冷凝縮器を備え、氷塊を生成する製氷部を冷却する冷凍装置と、製氷水を貯留すると共に前記製氷部に供給して氷結しなかった製氷水を回収する製氷水タンクと、製氷運転後に前記製氷水タンクに残留した残留製氷水を回収して貯留する冷却水タンクとを備え、前記冷却水タンクに貯留された前記残留製氷水を利用して前記水冷凝縮器を冷却するよう構成した製氷機において、
外部水源に接続され、該外部水源からの外部水を前記冷却水タンクに供給する外部給水手段と、
前記外部給水手段を制御して前記冷却水タンクへの外部水の供給量を調節し、前記残留製氷水に前記外部水を混合することで、前記水冷凝縮器を冷却する所要温度の凝縮器冷却水を生成する制御手段とを備えることを要旨とする。
【0009】
従って、請求項1に係る発明によれば、水冷凝縮器を冷却する凝縮器冷却水を、製氷運転の終了後に製氷水タンクに残留する残留製氷水と外部水源からの外部水とを混合して生成するようにした。従って凝縮器冷却水は、冷媒の凝縮効率が最も良くなる温度に水冷凝縮器を冷却するのに適した水温に生成することができ、製氷運転時における冷凍装置の作動効率を高めることができるので製氷効率を向上させ得る。また、凝縮器冷却水として残留製氷水を利用するので、水冷凝縮器を冷却するための外部水の給水量を減らすことができるから、製氷コストを抑えることもできる。
【0010】
本願の請求項2に係る発明では、前記冷却水タンクに貯留された前記凝縮器冷却水の水量を検知する水量検知手段を備え、
前記水量検知手段からの水量検知信号に基づき、前記制御手段が前記外部給水手段を制御して前記外部水の給水量を調節するよう構成したことを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、冷却水タンクに貯留される凝縮器冷却水の水量を検知しながら外部給水手段の制御を行なうので、水冷凝縮器を冷却するために必要な水量の凝縮器冷却水を生成することができる。
【0011】
本願の請求項3に係る発明では、前記冷却水タンクに貯留された前記凝縮器冷却水の水温を検知する水温検知手段を備え、
前記水温検知手段からの水温検知信号に基づき、前記制御手段が前記外部給水手段を制御して前記外部水の給水量を調節するよう構成したことを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、冷却水タンクに貯留される凝縮器冷却水の水温を検知しながら外部給水手段の制御を行なうので、水冷凝縮器を冷却するための最適な水温の凝縮器冷却水を生成することができる。
【0012】
本願の請求項4に係る発明では、前記外部給水手段による前記外部水の給水開始時点からの時間を計測する計時手段を備え、
前記外部水の給水開始時点から予め設定した時間を前記計時手段が計測したら、前記制御手段が前記外部給水手段を制御して前記外部水の給水を停止するよう構成したことを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、計時手段による計測によって外部給水手段を制御するので、冷却水タンクに給水される外部水の水量を適切に調節できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る製氷機によれば、冷凍装置を構成する水冷凝縮器用の冷却水として、製氷運転後に残留した残留製氷水および外部水源から供給される外部水を混合した凝縮器冷却水を使用するので、水冷凝縮器の凝縮効率を高め得ると共に外部水の使用量を抑えて効率的な製氷運転を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施例の製氷機の構成を概略的に示す説明図である。
【図2】第1実施例の製氷機における製氷ユニットを示す側面図である。
【図3】第1実施例の製氷機の構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】第1実施例の製氷機の運転態様を示すタイミングチャートである。
【図5】第1実施例の製氷機における冷却水タンクを示す説明図であって、(a)は、残留製氷水を冷却水タンクに回収する状態を示し、(b)は、外部水源からの外部水を冷却水タンクに供給して、残留製氷水と外部水とを混合して凝縮器冷却水を生成する状態を示している。
【図6】第2実施例の製氷機の構成を概略的に示す説明図である。
【図7】第2実施例の製氷機の構成を概略的に示すブロック図である。
【図8】第3実施例の製氷機の構成を概略的に示すブロック図である。
【図9】水冷凝縮器および空冷凝縮器を備えた製氷機の構成を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る製氷機について、好適な実施例を挙げ、添付図面を参照しながら、以下に説明する。
【実施例】
【0016】
(第1実施例)
図1は、第1実施例の製氷機Mの構成を概略的に示す説明図である。第1実施例の製氷機Mは、機内上部に製氷室10が画成されると共に、該製氷室10の下部(機内下部)に貯氷室11が画成されており、製氷室10の底部と貯氷室11の上部とがシュート部12で連通している。また、機内上部には、製氷室10に隣接して機械室13が画成されている。前記製氷室10には、複数(実施例では2つ)の製氷部21を備えた製氷ユニット20が配設され、前記機械室13には、冷凍装置60を構成する圧縮機61、水冷凝縮器62および膨張弁63等が収容されている。また、前記製氷ユニット20の各製氷部21には、前記冷凍装置60を構成する蒸発器(蒸発管)64が配設されている。
【0017】
前記製氷ユニット20の各製氷部21は、図1および図2に示すように、縦向きに対向して配置した2枚の製氷板22,22を備え、各製氷部21の両製氷板22,22間には、蛇行状に形成された前記蒸発器64が、両製氷板22,22の裏面22Bに接触した状態で配設されている。各製氷部21の上側には、各製氷板22の製氷面である表面22Aへ製氷水W2を噴出する製氷水供給装置24と、各製氷板22の裏面22B側へ除氷水を噴出する除氷水供給装置25とが、各製氷板22の上端に沿って延在するように配設されている。各製氷部21の下側には、製氷水W2を貯留するための製氷水タンク26が配設されている。各製氷部21の下部と製氷水タンク26の上部との間には、簀子状に形成された案内部材27が配設されている。この案内部材27は、各製氷板22から離脱して落下した氷塊ICを前記シュート部12へ案内すると共に、該製氷板22から流下した製氷水W2や除氷水を製氷水タンク26へ通出するようになっている。
【0018】
前記除氷水供給装置25には、図示省略した多数の噴出孔が形成されており、図1および図2に示すように、水道水供給部等の外部水源に接続された第1給水管30が連結されている。この第1給水管30には、制御手段C(図3参照)により開閉制御される第1給水バルブ31が配設されている。従って、前記制御手段Cにより前記第1給水バルブ31を開放制御することで、外部水源からの加圧された外部水(水道水)W1が除氷水供給装置25に給水され、該外部水W1は、除氷水として該除氷水供給装置25の各噴出孔から製氷部21における各製氷板22,22の裏面22Bへ噴出する。ここで、前記除氷水は製氷運転により0℃以下に冷却された製氷板22より温度が高く、該製氷板22は該除氷水が流下することで適宜温められるから、該製氷板22の表面22Aに生成された氷塊ICは、該製氷板22の表面22Aとの接触部分が融解して該表面22Aから滑落する。なお、除氷水供給装置25から噴出して製氷板22の裏面22Bを流下した除氷水は、前記製氷水タンク26に落下して次回の製氷運転時の製氷水W2となる。
【0019】
第1実施例の製氷機Mは、図1に示すように、外部水源に接続されて前記製氷水タンク26の上方開口に出口側を臨ませた第2給水管32を備えている。この第2給水管32には、前記制御手段Cにより開閉制御される第2給水バルブ33が配設されている。これにより、図4に示すように、製氷運転中の適時に制御手段Cにより前記第2給水バルブ33を開放制御することで、外部水源からの加圧された外部水W1が、前記製氷部21を経ずに前記製氷水タンク26へ直接給水される。
【0020】
前記製氷水供給装置24には、図示省略した多数の噴出孔が形成されており、図1および図2に示すように、第1送水管36を介して前記製氷水タンク26と接続されている。前記第1送水管36には、前記制御手段Cにより作動制御される第1送水ポンプ37が配設されている。従って、前記制御手段Cにより前記第1送水ポンプ37を作動させることで、製氷水タンク26に貯留された製氷水W2が製氷水供給装置24に給水され、該製氷水W2は、該製氷水供給装置24の各噴出孔から製氷部21における各製氷板22,22の表面22Aへ噴出する。前記製氷水W2は、0℃以下に冷却された製氷板22の表面22Aを流下する間にその一部が該表面22Aに氷結して付着するようになり、製氷運転の進行に伴って製氷水タンク26内の製氷水W2の貯留量が徐々に減少する。なお、各製氷板22,22の表面22Aで氷結せずに流下した製氷水W2は、前記製氷水タンク26に落下した後に、前記第1送水ポンプ37により再び製氷水供給装置24へ給水される。
【0021】
前記製氷水タンク26は、前記製氷ユニット20における各製氷部21の製氷板22,22に、1回の製氷運転において規定数および規定形状・サイズの氷塊ICを生成するのに必要な量の製氷水W2を貯留し得るバケット状に形成されている。この製氷水タンク26には、図1および図3に示すように、該製氷水タンク26に貯留された製氷水W2の水量を検知する製氷水検知手段38を配設されている。この製氷水検知手段38は、例えばフロートスイッチであって、製氷運転前において規定量の製氷水W2が製氷水タンク26に貯留された場合に該製氷水W2を検知する位置に配設された第1製氷水検知スイッチ39と、前記製氷ユニット20の各製氷部21に規定の氷塊ICが生成された状態において製氷水タンク26内の製氷水W2を検知しなくなる位置に配設された第2製氷水検知スイッチ40とを備えている。すなわち第1実施例の製氷機Mは、前記製氷水検知手段38の第2製氷水検知スイッチ40が製氷水W2を検知しなくなるまで該製氷水W2が減少すると、製氷ユニット20の各製氷部21に規定の氷塊ICが生成されたと判断して製氷運転から除氷運転に切り替わるように構成されている。また、製氷水タンク26にはオーバーフローパイプ41が形成されており、前記第1製氷水検知スイッチ39が製氷水W2を検知した状態から更に製氷水タンク26に給水された製氷水W2を、該オーバーフローパイプ41を介して排出するよう構成されている。
【0022】
前記冷凍装置60は、図1に示すように、圧縮機61、水冷凝縮器62、膨張弁63および前記蒸発器64が冷媒管65を介して順次連結されて閉回路をなし、内部に冷媒が循環するよう構成されている。また冷凍装置60は、圧縮機61の出口側と前記各蒸発器64の入口側とを直接接続するバイパス管66を備えており、このバイパス管66の中途にホットガス弁67が設けられている。このような冷凍装置60は、製氷運転に際して前記ホットガス弁67を閉成することで、圧縮機61で圧縮して気化させた冷媒を、水冷凝縮器62で凝縮液化し、各膨張弁63で減圧させた後、各蒸発器64で膨張、蒸発させることで該蒸発器64を冷却するようになり、前記製氷板22,22の表面22Aを氷点下まで冷却させる。また冷凍装置60は、除氷運転に際して前記ホットガス弁67を開放することで、圧縮機61で圧縮して気化させた高温の冷媒(ホットガス)を、前記バイパス管66を介して前記蒸発器64へ供給することで該蒸発器64を加熱するようになり、該製氷板22,22の表面22Aを温める。
【0023】
第1実施例の製氷機Mは、図1に示すように、前記水冷凝縮器62を冷却する凝縮器冷却水W3を貯留する冷却水タンク45を備えている。そして、前記第1送水管36において前記第1送水ポンプ37の下流側から分岐した第1排水管46が、その出口側を前記冷却水タンク45に臨ませた状態で配設されている。前記第1排水管46には、前記制御手段Cにより開閉制御される第1排水バルブ47が配設されている。従って、前記第1排水バルブ47を開放制御すると共に前記第1送水ポンプ37を作動することで、製氷水タンク26内に貯留されている製氷水W2は、製氷水供給装置24側へ送水されずに、第1排水管46側へ送水されて前記冷却水タンク45へ排出するようになっている。従って、製氷運転実行後の除氷運転において、不純物を含んで製氷に不適切となった製氷水(以降「残留製氷水W2A」という)が製氷水タンク26内に残留する場合に、この残留製氷水W2Aを、前記冷却水タンク45に排出して前記水冷凝縮器62を冷却する凝縮器冷却水W3として利用するようになっている。
【0024】
また、図1に示すように、前記製氷水タンク26のオーバーフローパイプ41に接続された第2排水管48が前記第1排水管46の中途に接続されており、製氷水W2の給水中や製氷運転中に製氷水タンク26からオーバーフローした製氷水W2を、該第2排水管48を介して前記冷却水タンク45へ排出するようになっている。
【0025】
更に、第1実施例の製氷機Mは、図1に示すように、外部水源に接続されて前記冷却水タンク45の上方開口に出口側を臨ませた第3給水管34を備えている。この第3給水管34には、前記制御手段Cにより開閉制御されて前記外部給水手段としての第3給水バルブ35が配設されている。これにより図4に示すように、除氷運転の後半に前記制御手段Cにより前記第3給水バルブ35を開放制御することで、外部水源からの加圧された外部水W1を、第3給水管34を介して前記冷却水タンク45へ給水して、該外部水W1を水冷凝縮器62の凝縮器冷却水W3として使用するようになっている。
【0026】
前記冷却水タンク45には、図1および図3に示すように、該冷却水タンク45に貯留された凝縮器冷却水W3の水量を検知する冷却水量検知手段(水量検知手段)50が配設されている。この冷却水量検知手段50は、例えばフロートスイッチであって凝縮器冷却水W3の水量を検知して前記制御手段Cへ水量検知信号を送出するもので、製氷運転前において規定量の凝縮器冷却水W3が冷却水タンク45に貯留された場合に該凝縮器冷却水W3を検知する位置に配設された第1冷却水検知スイッチ51と、冷却水タンク45内の凝縮器冷却水W3の有無を検知する第2冷却水検知スイッチ52とを備えている。前記第1冷却水検知スイッチ51は、1回の製氷運転に際して前記水冷凝縮器62を冷却するのに必要とされる凝縮器冷却水W3が冷却水タンク45に貯留された場合に、検知状態(ON)となって検知信号を送出するように設定されている。
【0027】
すなわち第1実施例の製氷機Mでは、製氷水タンク26から排出された残留製氷水W2Aだけでは製氷運転中に水冷凝縮器62を冷却するのに必要な水量を確保できないため、該残留製氷水W2Aだけを冷却水タンク45に貯留しても第1冷却水検知スイッチ51は検知状態とならない。このため、残留製氷水W2Aが冷却水タンク45に排出された後に、前記第1給水バルブ31の開放制御により第1給水管30を介して製氷水タンク26内に規定量以上に供給された外部水W1を、オーバーフローパイプ41を介して冷却水タンク45に回収したり、前記第3給水バルブ35の開放制御により第3給水管34を介して外部水W1を該冷却水タンク45に給水して、前記第1冷却水検知スイッチ51が検知状態となることで、残留製氷水W2Aに外部水W1を混合して必要とされる水量の凝縮器冷却水W3を確保するように構成されている。
【0028】
なお、第1実施例の製氷機Mでは、前記外部水W1と前記残留製氷水W2Aとの混合比率が概ね1:1の割合となるように設定されており、よって該残留製氷水W2Aは外部水W1により約2倍に希釈されることになる。ここで、前記製氷水タンク26から前記冷却水タンク45に排出された残留製氷水W2Aは、直前に実施された製氷運転において製氷水W2として製氷部21に供給されていたものであるから、該冷却水タンク45に貯留された時点で0〜5℃程度に冷却されている。一方、前記第3給水管34を介して外部水源から冷却水タンク45へ供給される外部水W1は、季節によって多少の変動はあるが概ね5〜25℃の範囲内となっている。従って、前記残留製氷水W2Aと外部水W1とを混合して生成された凝縮器冷却水W3は、その水温が10℃前後となる。
【0029】
前記水冷凝縮器62は、10℃程度の水温の凝縮器冷却水W3で冷却する場合に凝縮効率が最も高く、10℃以下の水温の凝縮器冷却水W3で冷却しても凝縮効率の向上は僅少である。従って第1実施例の製氷機Mでは、外部水W1と残留製氷水W2Aとを1:1の割合で混合して生成された凝縮器冷却水W3が、水冷凝縮器62の凝縮効率が最も高まる水温の状態で該水冷凝縮器62に供給される。
【0030】
前記冷却水タンク45は、図1に示すように、第2送水管54を介して前記水冷凝縮器62と接続されている。前記第2送水管54には、前記制御手段Cにより作動制御される第2送水ポンプ55が配設されている。従って、製氷運転に際して前記第2送水ポンプ55を作動させることで、冷却水タンク45で生成して貯留された凝縮器冷却水W3が水冷凝縮器62に給水され、該凝縮器冷却水W3で該水冷凝縮器62を冷却することで前記冷凍装置60の冷媒の凝縮を好適に行なうことができる。
【0031】
また前記水冷凝縮器62には、図1に示すように、該水冷凝縮器62内に配設された冷却管62Aに接続された第3排水管57が配設されている。この第3排水管57には、水冷凝縮器62に供給される前記凝縮器冷却水W3の水温に応じて絞り量の調節が自動的に行なわれる絞り弁58が配設され、凝縮器冷却水W3の流量を調節し得るようになっている。すなわち前記絞り弁58は、凝縮器冷却水W3の温度が低いほど絞り量を大きく(閉方向に調節)して該凝縮器冷却水W3の給水過剰による水冷凝縮器62の過冷却を防止し、凝縮器冷却水W3の温度が高くなると絞り量を小さく(開方向に調節)して該凝縮器冷却水W3の給水量を増加させて水冷凝縮器62の温度上昇を防止するようになっている。従って、前記第2送水ポンプ55で凝縮器冷却水W3を圧送すると共に前記絞り弁58で凝縮器冷却水W3の流量を調節することで、水冷凝縮器62に対して適切な量の凝縮器冷却水W3が供給される。
【0032】
前記制御手段Cは、製氷機Mを総合的に制御するものであり、図3に示すように、前記製氷水検知手段38の第1製氷水検知スイッチ39および第2製氷水検知スイッチ40や、冷却水量検知手段50の第1冷却水検知スイッチ51および第2冷却水検知スイッチ52から検知信号が入力されると共に、図示省略した各種測定手段や検知手段等から検知信号や検出信号等も入力される。また制御手段Cは、各種検知信号および図示しないコントロールパネルから入力された各種設定条件等に基づき、冷凍装置60の圧縮機61、前記第1送水ポンプ37、第2送水ポンプ55、前記第1給水バルブ31、第2給水バルブ33、第3給水バルブ35および第1排水バルブ47等を総合的に制御する。
【0033】
(第1実施例の作用)
次に、前述のように構成された第1実施例の製氷機Mの作用について説明する。第1実施例の製氷機Mは、前記制御手段Cにより図4に示すタイミングチャートの如く運転される。すなわち、製氷機MのメインスイッチをONにして電源を投入すると、まず起動初期運転として除氷運転を行ない、この起動初期運転が完了したら、製氷運転および除氷運転を交互に行なって氷塊ICを生成する。そして、第1実施例の製氷機Mでは、除氷運転について、製氷水タンク26内に残留した製氷水W2を排出しない「通常除氷運転」と、製氷水タンク26内に残留した製氷水を前記残留製氷水W2Aとして排出する「排出除氷運転」とを、交互に実行するようになっている。すなわち、製氷運転→通常除氷運転→製氷運転→排出除氷運転→製氷運転→通常除氷運転→製氷運転→排出除氷運転・・・となる。このように製氷機Mを運転するのは、1回の製氷運転を行なった後に製氷水タンク26内に残留した製氷水は、製氷に不適切となる程の不純物が含まれておらず、次回の製氷運転時の製氷水としても利用し得るからである。従って第1実施例の製氷機Mでは、2回の製氷運転を行なった後に製氷水タンク26内に残留した製氷水を、前記残留製氷水W2Aとして排出する。なお製氷運転は、従来の製氷機と基本的に同じであり、ここでは詳細な説明は省略する。
【0034】
前記通常除氷運転では、冷凍装置60の前記ホットガス弁67を開放制御して圧縮機61からの高温の冷媒を蒸発器64に供給する一方、図4に示すように、前記第2送水ポンプ55を停止して水冷凝縮器62に対する凝縮器冷却水W3の給水を停止する。また、前記第1送水ポンプ37を停止すると共に、前記第1排水バルブ47を閉成状態に保持することで、製氷水タンク26内に残留した製氷水W2を該製氷水タンク26内に貯めておく。そして、第1給水バルブ31を開放制御して除氷水供給装置25を介して除氷水を供給し、製氷部21に生成された各氷塊ICを製氷板22から落下させる。各製氷部21から全ての氷塊ICが落下したら、所定時間後に前記第1給水バルブ31を閉成制御することで、製氷水タンク26内には次の製氷運転に必要な製氷水W2が貯留される。なお、各製氷部21に対して規定量以上の除氷水が給水された場合には、その余剰給水分は製氷水タンク26のオーバーフローパイプ41を介して前記冷却水タンク45に回収される。
【0035】
また、前記第1給水バルブ31の閉成制御と同時に、前記第3給水バルブ35を開放制御して外部水源からの外部水W1を前記冷却水タンク45に給水する。そして、冷却水タンク45内への外部水W1の給水により、前記冷却水量検知手段50の第1冷却水検知スイッチ51からの水量検知信号を制御手段Cが受信したら、前記第3給水バルブ35を閉成制御して外部水W1の給水を停止する。これにより冷却水タンク45内には、次の製氷運転に際して水冷凝縮器62を冷却するために必要な凝縮器冷却水W3が確保されたことになる。そして、当該通常除氷運転の完了により製氷運転に移行したら、前記冷凍装置60のホットガス弁67を閉成制御すると共に、当該製氷運転の開始から所定時間経過した後に前記第2送水ポンプ55を作動させて冷却水タンク45内の凝縮器冷却水W3を水冷凝縮器62へ給水することで、該水冷凝縮器62が凝縮効率が最も高い温度に冷却されて該水冷凝縮器62において冷媒が適切に凝縮される。従って、前記製氷ユニット20における各製氷部21の製氷板22,22を適切に冷却して、該製氷板22,22の表面22Aにおいて氷塊ICを適切に生成することができる。
【0036】
前記排出除氷運転では、冷凍装置60の前記ホットガス弁67を開放制御して圧縮機61からの高温の冷媒を蒸発器64に供給する一方、図4および図5に示すように、前記第2送水ポンプ55を停止して水冷凝縮器62に対する凝縮器冷却水W3の給水を停止する。また、前記第1排水バルブ47を開放制御すると共に、前記第1送水ポンプ37を停止させず所定時間に亘って継続運転することで、製氷水タンク26内に残留している残留製氷水W2Aを、前記第1排水管46を介して前記冷却水タンク45へ排出する(図5(a))。そして、前記第1送水ポンプ37により前記製氷水タンク26内の前記残留製氷水W2Aを完全に排出するのに要する時間として制御手段Cに予め設定されている排出完了時間が経過して、該製氷水タンク26から該残留製氷水W2Aの排出が完了したら、前記第1送水ポンプ37の作動を停止させると共に前記第1排水バルブ47を閉成制御した後、第1給水バルブ31を開放制御して除氷水供給装置25を介して除氷水を供給して、製氷部21に生成された各氷塊ICを製氷板22から落下させる。各製氷部21から全ての氷塊ICが落下したら、所定時間後に前記第1給水バルブ31を閉成制御することで、製氷水タンク26内には次の製氷運転に必要な製氷水W2が貯留される。なお、各製氷部21に対して規定量以上の除氷水が給水された場合には、その余剰給水分は製氷水タンク26のオーバーフローパイプ41を介して前記冷却水タンク45に回収される。
【0037】
また、前記第1給水バルブ31の閉成制御により該第1給水バルブ31が閉成されたことが確認されたら、前記第3給水バルブ35を開放制御して外部水源からの外部水W1を前記冷却水タンク45に給水する(図5(b))。そして、第3給水管34を介した冷却水タンク45内への外部水W1の給水により、前記冷却水量検知手段50の第1冷却水検知スイッチ51からの水量検知信号を制御手段Cが受信したら、前記第3給水バルブ35を閉成制御して外部水W1の給水を停止する。これにより冷却水タンク45内には、前記残留製氷水W2Aと外部水W1とが混合されて、次の製氷運転に際して水冷凝縮器62を冷却するために必要な水量の凝縮器冷却水W3が確保されたことになる。そして、当該排出除氷運転の完了により製氷運転に移行したら、前記冷凍装置60のホットガス弁67を閉成制御すると共に、当該製氷運転の開始から所定時間経過した後に前記第2送水ポンプ55を作動させて冷却水タンク45内の凝縮器冷却水W3を水冷凝縮器62へ給水することで、該水冷凝縮器62が凝縮効率が最も高い温度に冷却されて水冷凝縮器62において冷媒が適切に凝縮される。従って、前記製氷ユニット20における各製氷部21の製氷板22,22を適切に冷却して、該製氷板22,22の表面22Aにおいて氷塊ICを適切に生成することができる。
【0038】
すなわち、第1実施例の製氷機Mによれば、水冷凝縮器62を冷却する凝縮器冷却水W3は、2回の製氷運転の終了後に製氷水タンク26に残留した冷却状態の残留製氷水W2Aと、外部水源から供給されて前記残留製氷水W2Aより水温が高い外部水W1とを、該凝縮器冷却水W3の水量を検知しながら混合して生成されたものである。しかも、凝縮器冷却水W3として利用される外部水W1の一部は、除氷水として製氷部21に供給された後に製氷水タンク26からオーバーフローパイプ41を介して回収されたものであるから、除氷水の熱エネルギーの有効利用を図り得る。従って凝縮器冷却水W3は、冷媒の凝縮効率が最も良くなる温度に水冷凝縮器62を冷却するのに適した水温に生成されるようになり、製氷運転時における冷凍装置60の作動効率を高めることができるので製氷ユニット20における氷塊ICの製氷効率を向上させ得る。また、凝縮器冷却水W3として残留製氷水W2Aを使用するので、水冷凝縮器62を冷却するために外部水源からの外部水W1の給水量を減らすことができるから、氷塊ICの製氷コストを抑えることもできる。
【0039】
(第2実施例)
図6は、第2実施例の製氷機Mにおける冷却水タンク45を示した説明図であり、図7は、第2実施例の製氷機Mにおける構成を示したブロック図である。第2実施例の製氷機Mでは、前記冷却水タンク45に、該冷却水タンク45に貯留された凝縮器冷却水W3の水量を検知する冷却水量検知手段(水量検知手段)50と、該凝縮器冷却水W3の水温を検知する冷却水温検知手段(水温検知手段)70とが配設されている。前記冷却水量検知手段50は、前記第1実施例で例示したフロートスイッチと同じものであって、製氷運転前において規定量の凝縮器冷却水W3が冷却水タンク45に貯留された場合に該凝縮器冷却水W3を検知する位置に配設された第1冷却水検知スイッチ51と、冷却水タンク45内の凝縮器冷却水W3の有無を検知する第2冷却水検知スイッチ52とから構成されている。また前記冷却水温検知手段70は、例えば熱電対温度計であって、0℃近くに冷却された残留製氷水W2Aと該残留製氷水W2Aより水温が高い外部水W1とを混合して生成される凝縮器冷却水W3の水温を随時検知するようになっている。従って、第2実施例の製氷機Mでは、前記冷却水量検知手段50からの水量検知信号および前記冷却水温検知手段70からの水温検知信号の各々を前記制御手段Cが受信することで、凝縮効率が高められる温度に水冷凝縮器62を冷却し得る水量および水温の凝縮器冷却水W3を生成するように外部水W1の給水量を調節して、適切な水量および水温に生成された凝縮器冷却水W3を該水冷凝縮器62に給水するように構成したものである。
【0040】
前記第2実施例の製氷機Mにおける排出除氷運転では、冷凍装置60の前記ホットガス弁67を開放制御して圧縮機61からの高温の冷媒を蒸発器64に供給する一方、前記第2送水ポンプ55を停止して水冷凝縮器62に対する凝縮器冷却水W3の給水を停止する。また、前記第1排水バルブ47を開放制御すると共に、前記第1送水ポンプ37を停止させず所定時間に亘って継続運転することで、製氷水タンク26内に残留している残留製氷水W2Aを、前記第1排水管46を介して前記冷却水タンク45へ排出する。そして、前記第1送水ポンプ37により前記製氷水タンク26内の前記残留製氷水W2Aを完全に排出するのに要する時間として制御手段Cに予め設定されていた排出完了時間が経過して、該製氷水タンク26から該残留製氷水W2Aの排出が完了したら、前記第1送水ポンプ37の作動を停止させると共に前記第1排水バルブ47を閉成制御した後、第1給水バルブ31を開放制御して除氷水供給装置25を介して除氷水を供給して、製氷部21に生成された各氷塊ICを製氷板22から落下させる。各製氷部21から全ての氷塊ICが落下したら、所定時間後に前記第1給水バルブ31を閉成制御することで、製氷水タンク26内には次の製氷運転に必要な製氷水W2が貯留される。なお、各製氷部21に対して規定量以上の除氷水が給水された場合には、その余剰給水分は製氷水タンク26のオーバーフローパイプ41を介して前記冷却水タンク45に回収される。
【0041】
また、前記第1給水バルブ31の閉成制御により該第1給水バルブ31が閉成されたことが確認されたら、前記第3給水バルブ35を開放制御して外部水源からの外部水W1を前記冷却水タンク45に給水する。そして、第3給水管34を介した冷却水タンク45内への外部水W1の給水により、前記冷却水量検知手段50の第1冷却水検知スイッチ51からの水量検知信号を制御手段Cが受信すると共に、前記冷却水温検知手段70からの水温検知信号が予め設定された所定の温度となったら、前記第3給水バルブ35を閉成制御して外部水W1の給水を停止する。これにより冷却水タンク45内には、前記残留製氷水W2Aと外部水W1とが混合されて、次の製氷運転に際して水冷凝縮器62により冷媒を凝縮するのに最適な水量および水温の凝縮器冷却水W3が確保されたことになる。そして、当該排出除氷運転の完了により製氷運転に移行したら、前記冷凍装置60のホットガス弁67を閉成制御すると共に、当該製氷運転の開始から所定時間経過した後に前記第2送水ポンプ55を作動させて冷却水タンク45内の凝縮器冷却水W3を水冷凝縮器62へ給水することで、水冷凝縮器62が凝縮効率が最も高い温度に冷却されて該水冷凝縮器62において冷媒が適切に凝縮される。従って、前記製氷ユニット20における各製氷部21の製氷板22,22を適切に冷却して、該製氷板22,22の表面22Aにおいて氷塊ICを適切に生成することができる。
【0042】
すなわち、第2実施例の製氷機Mによれば、水冷凝縮器62を冷却する凝縮器冷却水W3は、製氷運転の終了後に製氷水タンク26に残留した冷却状態の残留製氷水W2Aと、外部水源から供給されて前記残留製氷水W2Aより水温が高い外部水W1とを、該凝縮器冷却水W3の水量および水温を検知しながら混合して生成されたものである。しかも、凝縮器冷却水W3として利用される外部水W1の一部は、除氷水として製氷部21に供給された後に製氷水タンク26からオーバーフローパイプ41を介して回収されたものであるから、除氷水の熱エネルギーの有効利用を図り得る。従って凝縮器冷却水W3は、冷媒の凝縮効率が最も良くなる温度に水冷凝縮器62を冷却するのに適した水温に生成されるようになり、製氷運転時における冷凍装置60の運転効率を高めることができるので製氷ユニット20における氷塊ICの製氷効率を向上させ得る。また、凝縮器冷却水W3として残留製氷水W2Aを使用するので、水冷凝縮器62を冷却するために外部水源からの外部水W1の給水量を減らすことができるから、氷塊ICの製氷コストを抑えることもできる。
【0043】
(第3実施例)
図8は、第3実施例の製氷機Mの構成を示すブロック図である。第3実施例の製氷機Mでは、計時手段としてのタイマ71を備えている。このタイマ71は、前記第3給水バルブ35による前記外部水源からの外部水W1の給水開始時点からの時間を計測するようになっている。ここで、前記製氷水タンク26に規定量の製氷水W2が貯留された状態で製氷運転を行なうことで各製氷部21において規定の氷塊ICが生成された場合には、製氷運転後に該製氷水タンク26に残留する前記残留製氷水W2Aの水量は概ね一定となる。また、除氷運転時に外部水源から各製氷部21に供給される除氷水の給水量は該除氷水の給水時間によって決定されるから、製氷水タンク26のオーバーフローパイプ41から排出されて冷却水タンク45内に回収される外部水W1の水量は、除氷水の給水時間から算出することが可能である。そして、前記第3給水バルブ35は、制御手段Cにより開放制御した際の単位時間当たりの規定流量が決まっているので、開放時間に基づいて冷却水タンク45に対する給水量を算出することが可能である。従って第3実施例の製氷機Mは、残留製氷水W2Aの水量と、前記製氷水タンク26から前記冷却水タンク45に回収された除氷水の水量と、最終的に生成される凝縮器冷却水W3の水量とから、前記第3給水管34を介して供給される前記外部水W1の給水量を求めて前記第3給水バルブ35の開放時間を算出したもとで、前記制御手段Cにより前記タイマ71による計時に基づいて該第3給水バルブ35を開閉制御することで、所望量の凝縮器冷却水W3を生成するよう構成したものである。
【0044】
前記第3実施例の製氷機Mにおける排出除氷運転では、冷凍装置60の前記ホットガス弁67を開放制御して圧縮機61からの高温の冷媒を蒸発器64に供給する一方、前記第2送水ポンプ55を停止して水冷凝縮器62に対する凝縮器冷却水W3の給水を停止する。また、前記第1排水バルブ47を開放制御すると共に、前記第1送水ポンプ37を停止させず所定時間に亘って継続運転することで、製氷水タンク26内に残留している残留製氷水W2Aを、前記第1排水管46を介して前記冷却水タンク45へ排出する。そして、前記第1送水ポンプ37により前記製氷水タンク26内の前記残留製氷水W2Aを完全に排出するのに要する時間として制御手段Cに予め設定されていた排出完了時間が経過して、該製氷水タンク26から該残留製氷水W2Aの排出が完了したら、前記第1送水ポンプ37の作動を停止させると共に前記第1排水バルブ47を閉成制御した後、第1給水バルブ31を開放制御して除氷水供給装置25を介して除氷水を供給して、製氷部21に生成された各氷塊ICを製氷板22から落下させる。各製氷部21から全ての氷塊ICが落下したら、所定時間後に前記第1給水バルブ31を閉成制御することで、製氷水タンク26内には次の製氷運転に必要な製氷水W2が貯留される。なお、各製氷部21に対して規定量以上の除氷水が給水された場合には、その余剰給水分は製氷水タンク26のオーバーフローパイプ41を介して前記冷却水タンク45に回収される。
【0045】
また、前記第1給水バルブ31の閉成制御により該第1給水バルブ31が閉成されたことが確認されたら、前記第3給水バルブ35を開放制御して外部水源からの外部水W1を前記冷却水タンク45に給水する。そして、前記第3給水バルブ35の開放制御と同時に前記タイマ71が計時を開始すると共に、残留製氷水W2Aの水量、前記冷却水タンク45に回収された除氷水の水量および最終的に生成される凝縮器冷却水W3の水量から、前記第3給水バルブ35の開放時間を算出する。そして制御手段Cは、第3給水バルブ35を開放制御した後、前記タイマ71の計時が前記算出された開放時間を経過すると同時に該第3給水バルブ35を閉成制御して外部水W1の給水を停止する。これにより冷却水タンク45内には、前記残留製氷水W2Aと外部水W1とが混合されて、次の製氷運転に際して水冷凝縮器62により冷媒を凝縮させるために必要な水温および水量の凝縮器冷却水W3が確保される。そして、当該排出除氷運転の完了により製氷運転に移行したら、前記冷凍装置60のホットガス弁67を閉成制御すると共に、当該製氷運転の開始から所定時間経過した後に前記第2送水ポンプ55を作動させて冷却水タンク45内の凝縮器冷却水W3を水冷凝縮器62へ給水することで、水冷凝縮器62が凝縮効率が最も高い温度に冷却されて該水冷凝縮器62において冷媒が適切に凝縮される。従って、前記製氷ユニット20における各製氷部21の製氷板22,22が適切に冷却されて、該製氷板22,22の表面22Aにおいて氷塊ICを適切に生成することができる。
【0046】
すなわち、第3実施例の製氷機Mによれば、水冷凝縮器62を冷却する凝縮器冷却水W3は、製氷運転の終了後に製氷水タンク26に残留した冷却状態の残留製氷水W2Aと、外部水源から供給されて前記残留製氷水W2Aより水温が高い所定量の外部水W1とを、該凝縮器冷却水W3の水量を検知しながら混合して生成されたものである。しかも、凝縮器冷却水W3として利用される外部水W1の一部は、除氷水として製氷部21に供給された後に製氷水タンク26からオーバーフローパイプ41を介して回収されたものであるから、除氷水の熱エネルギーの有効利用を図り得る。従って凝縮器冷却水W3は、冷媒の凝縮効率が最も良くなる温度に水冷凝縮器62を冷却するのに適した水温に生成され、製氷運転時における冷凍装置60の運転効率を高めることができるので製氷ユニット20における氷塊ICの製氷効率を向上させ得る。また、凝縮器冷却水W3として残留製氷水W2Aを使用するので、水冷凝縮器62を冷却するために外部水源からの外部水W1の給水量を減らすことができ、氷塊ICの製氷コストを抑えることもできる。
【0047】
(変更例)
(1)前記第1〜第3の各実施例では、水冷凝縮器62を備えた冷凍装置60を例示したが、図9に示すように、冷凍装置60は、水冷凝縮器62および空冷凝縮器75の両方を備えたものであってもよい。このように水冷凝縮器62および空冷凝縮器75を備えた冷凍装置60を装備した製氷機Mでは、例えば前記残留製氷水W2Aおよび前記外部水W1を混合して凝縮器冷却水W3を生成した際に、この水量の凝縮器冷却水W3により水冷凝縮器62を凝縮効率が最も高くなる温度に冷却しきれない場合に、前記空冷凝縮器75を作動させることで、冷凍装置60の冷媒を適切に凝縮することができる利点がある。すなわち、残留製氷水W2Aおよび外部水W1を混合して生成された凝縮器冷却水W3による水冷凝縮器62の冷却のみで冷媒を適切に凝縮できる場合には前記空冷凝縮器75を作動させず、凝縮器冷却水W3による水冷凝縮器62の冷却のみでは冷媒を適切に凝縮できない場合は、前記空冷凝縮器75を作動させるよう構成されている。なお前記空冷凝縮器75は、あくまで水冷凝縮器62の補助として機能するものであるから、小型・小容量のものでよく、排熱や騒音が低く抑えられる。
【0048】
(2)前記第1実施例および第2実施例では、冷却水量検知手段50としてフロートスイッチを例示したが、凝縮器冷却水W3の水量を規定するものとしては、フロースイッチに限らず、例えば冷却水タンク45に配設したオーバーフローパイプや、前記第3給水管34に配設した流量計等であってもよい。
(3)第2実施例では、冷却水温検知手段70として熱電対温度計を例示したが、この冷却水温検知手段70は冷却水タンク45に貯留された凝縮器冷却水W3の水温を適切に検知するものであれば熱電対温度計に限定されるものではなく、既存の様々な温度検知手段を採用可能である
(4)第1実施例では、除氷運転について通常除氷運転および排出除氷運転を交互に行なうようにしたが、排出除氷運転を実行する間隔はこれに限定されず、製氷運転後に残留した製氷水W2が製氷に適していれば、排出除氷運転の実行間隔を、3回毎や4回毎等に変更し得る。また、排水除氷運転は、1回毎に行なうようにしてもよい。
(5)前記各実施例では、外部水源に接続された第3給水管34を冷却水タンク45に上方に臨ませ、該外部水源からの外部水W1を冷却水タンク45に給水するように構成したが、該第3給水管34を水冷凝縮器62の冷却管62Aに直接に接続して、外部水W1を水冷凝縮器62へ直接供給するようにしてもよい。このように構成すれば、前記第2送水ポンプ55を作動することなく外部水W1を水冷凝縮器62に供給することができ、該第2送水ポンプ55を作動するエネルギーを削減できる。
(6)第3実施例の製氷機Mに、第1実施例の冷却水量検知手段50または第2実施例の冷却水温検知手段70を設けてもよい。
(7)本願発明が対象とする製氷機は、実施例で例示した流下式製氷機の限定されず、様々な形態の製氷機が対象とされる。
【符号の説明】
【0049】
21 製氷部,26 製氷水タンク,35 第3給水バルブ(外部給水手段)
45 冷却水タンク,50 冷却水量検知手段(水量検知手段),60 冷凍装置
62 水冷凝縮器,70 冷却水温検知手段(水温検知手段),71 タイマ(計時手段)
C 制御手段,IC 氷塊,W1 外部水,W2 製氷水,W2A 残留製氷水
W3 凝縮器冷却水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水冷凝縮器(62)を備え、氷塊(IC)を生成する製氷部(21)を冷却する冷凍装置(60)と、製氷水(W2)を貯留すると共に前記製氷部(21)に供給して氷結しなかった製氷水(W2)を回収する製氷水タンク(26)と、製氷運転後に前記製氷水タンク(26)に残留した残留製氷水(W2A)を回収して貯留する冷却水タンク(45)とを備え、前記冷却水タンク(45)に貯留された前記残留製氷水(W2A)を利用して前記水冷凝縮器(62)を冷却するよう構成した製氷機において、
外部水源に接続され、該外部水源からの外部水(W1)を前記冷却水タンク(45)に供給する外部給水手段(35)と、
前記外部給水手段(35)を制御して前記冷却水タンク(45)への外部水(W1)の供給量を調節し、前記残留製氷水(W2A)に前記外部水(W1)を混合することで、前記水冷凝縮器(62)を冷却する所要温度の凝縮器冷却水(W3)を生成する制御手段(C)とを備える
ことを特徴とする製氷機。
【請求項2】
前記冷却水タンク(45)に貯留された前記凝縮器冷却水(W3)の水量を検知する水量検知手段(50)を備え、
前記水量検知手段(50)からの水量検知信号に基づき、前記制御手段(C)が前記外部給水手段(35)を制御して前記外部水(W1)の給水量を調節するよう構成した請求項1記載の製氷機。
【請求項3】
前記冷却水タンク(45)に貯留された前記凝縮器冷却水(W3)の水温を検知する水温検知手段(70)を備え、
前記水温検知手段(70)からの水温検知信号に基づき、前記制御手段(C)が前記外部給水手段(35)を制御して前記外部水(W1)の給水量を調節するよう構成した請求項1または2記載の製氷機。
【請求項4】
前記外部給水手段(35)による前記外部水(W1)の給水開始時点からの時間を計測する計時手段(71)を備え、
前記外部水(W1)の給水開始時点から予め設定した時間を前記計時手段(71)が計測したら、前記制御手段(C)が前記外部給水手段(35)を制御して前記外部水(W1)の給水を停止するよう構成した請求項1記載の製氷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−24435(P2013−24435A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157197(P2011−157197)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】