説明

製氷機

【課題】氷塊の過剰生成を防止する。
【解決手段】貯氷庫S内には、設定貯氷量の下限位置に相対して配設された第1貯氷検知スイッチ50と、該第1検知スイッチ50より上方に位置して、設定貯氷量の上限位置に相対して配設された第2貯氷検知スイッチ51とを備える。制御手段は、第1貯氷検知スイッチ50からの検知信号だけを受信した状態では、第1製氷ユニット部の製氷機構と第2製氷ユニット部の製氷機構とを、予め設定された順序で交互に作動するように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、氷塊を生成する製氷運転と生成された氷塊を離脱させる除氷運転とを交互に繰り返す製氷サイクルを行なう複数の製氷部と、前記複数の製氷部から離脱した氷塊を貯留する貯氷庫とを備えた製氷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製氷機構および冷凍機構を備える製氷ユニット部と、角氷等の氷塊を貯留する貯氷庫とを機構的に別体として独立分離し、貯氷庫に必要数の製氷ユニット部を載置して必要な貯氷容量および製氷能力を備えるようにしたスタックオンタイプの製氷機が知られている。図7は、前記スタックオンタイプの製氷機M1を概略的に示す正面図であって、貯氷庫Sの上部に、2基の製氷ユニット部U1,U2を段積みして構成されている。各製氷ユニットU1,U2は、直方枠体形状に組立てられた筐体10の内部に、仕切板11により製氷室12と機械室13とが左右に画成されている。前記製氷室12内には、製氷機構Dが配設されており、前記機械室13内には、冷凍機構Eを構成する圧縮機20および凝縮器21や、制御ボックス24および電源トランス25等が配設されている。また前記製氷機構Dには、前記冷凍機構Eを構成する蒸発器22が配設されている。前記製氷機構Dは、下向きに開口した多数の製氷小室を形成した製氷部30を備えている。
【0003】
前記製氷機M1では、各製氷ユニット部U1,U2の製氷機構Dにおいて、製氷部30を冷却することで氷塊ICを生成すると共に、該製氷部30を加熱することで該製氷部30で生成された氷塊を放出する。そして、下段の製氷ユニット部U1で生成された氷塊ICは、該製氷ユニット部U1に設けられたシュート14を介して貯氷庫S内に落下する。また、上段の製氷ユニット部U2で生成された氷塊ICは、該製氷ユニット部U2に設けられたシュート14および前記下段の製氷ユニット部U1のシュート14を介して貯氷庫S内に落下する。そして、貯氷庫S内に配設された貯氷検知スイッチ35の位置まで氷塊ICが貯留されて該氷塊ICが貯氷検知スイッチ35を押すことで、該貯氷検知スイッチ35からの検知信号が当該製氷機M1を制御する制御手段(図示せず)に送出され、これにより該制御手段は、各製氷ユニット部U1,U2の製氷機構Dでの製氷サイクルを停止するように制御する。このような製氷機は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−248946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記従来の製氷機M1は、前述したように1つの貯氷検知スイッチ35のON・OFFに基づいて、各製氷ユニット部U1,U2が同時に運転・停止するようになっている。すなわち、貯氷庫S内の氷塊ICの貯氷量が少なく、貯氷検知スイッチ35がOFFとなっている場合は、各製氷ユニット部U1,U2を同時に運転して氷塊ICを生成し、貯氷庫S内の氷塊ICの貯氷量が貯氷検知スイッチ35の検知レベルを越えて、貯氷検知スイッチ35がON(満杯検知)となった場合は、各製氷ユニット部U1,U2が同時に停止するようになっている。このため、貯氷検知スイッチ35の満杯検知状態から貯氷庫S内の氷塊Sが取り出されて貯氷検知スイッチ35が氷塊ICを検知しなくなると、該貯氷検知スイッチ35の検知レベルより僅かに少ない量の氷塊ICが貯氷されている状態で両製氷ユニット部U1,U2で製氷サイクルが実行されることから、当該製氷サイクルにより氷塊ICが過剰生成されてしまう。従って、貯氷庫S内の氷塊ICの貯氷量が多くなりすぎると、該貯氷庫S内の下方に貯氷されている氷塊ICに加わる重みが増加して、該下方の氷塊ICの再氷結(アーチング)が発生する不都合がある。また、上段の製氷ユニット部U2の製氷機構Dから放出された氷塊ICが、下段の製氷ユニット部U1のシュート14に詰ったり、場合によっては下段の製氷ユニット部U1における製氷機構Dまで氷塊ICが到達するおそれもある。このような状況では、下段の製氷ユニット部U1の製氷機構Dにおいて、氷塊ICの噛み込みが発生したり異型の氷塊ICが生成される等の不都合も発生する。
【0006】
本発明は、従来の製氷機に内在する前記問題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、氷塊の過剰生成を防止するようにした製氷機を提供する。
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明では、氷塊を生成する製氷運転と生成された氷塊を離脱させる除氷運転とを交互に繰り返す製氷サイクルを行なう複数の製氷部と、前記複数の製氷部から離脱した氷塊を貯留する貯氷庫とを備えた製氷機において、
前記貯氷庫に上下方向に離間して配設され、異なる貯氷レベルで前記氷塊を検知可能な複数の貯氷検知手段と、
前記各貯氷検知手段から送出された検知信号を受信する制御手段とを備え、
前記制御手段は、各貯氷検知手段の状態に応じて前記複数の製氷部を選択的に運転制御するよう構成したことを要旨とする。
【0008】
従って、請求項1に係る発明によれば、複数の貯氷検知手段の状態に応じて、複数の製氷部を選択して運転させて氷塊を生成するから、該氷塊の過剰生成を抑えて貯氷庫内に貯氷された氷塊の再氷結(アーチング)の発生を抑えることができる。また、氷塊の過剰生成が抑えられることで、氷塊が最下部の製氷部まで到達することもなく、該製氷部での氷塊の噛み込みを防止できると共に、異型の氷塊が生成されることも防止し得る。更に、複数の製氷部を選択的に運転することで、製氷サイクルによる電力消費量を低く抑えることができる。
【0009】
本願の請求項2に係る発明では、前記制御手段は、各貯氷検知手段の状態に応じて一部の製氷部を運転する場合は、一部の前記貯氷検知手段の状態が切り替わる毎に、予め設定された順序で前記各製氷部を作動するよう構成したことを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、各貯氷検知手段の状態に応じて一部の製氷部を運転する場合は、予め設定された順序で製氷部を順次運転させるので、複数の製氷部の何れかが集中的に運転することが防止されて各製氷部の運転時間の平準化が図られ、特定の製氷部の運転時間が極端に長くなることによる故障発生率が高まることを防止できる。
【0010】
本願の請求項3に係る発明では、前記制御手段は、前記各製氷部毎に実行された製氷サイクル数を記憶する記憶部を備え、
前記制御手段は、各貯氷検知手段の状態に応じて一部の製氷部を運転する場合は、前記記憶部に記憶されている製氷サイクル数が相対的に少ない製氷部を運転させるよう構成したことを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、各貯氷検知手段の状態に応じて一部の製氷部を運転する場合は、製氷サイクル数が相対的に少ない製氷部を運転させるようにするので、複数の製氷部の何れかが集中的に運転することが防止されて各製氷部の運転時間の平準化が図られ、特定の製氷部の運転時間が極端に長くなることによる故障発生率が高まることを防止できる。
【0011】
本願の請求項4に係る発明では、前記制御手段は、製氷サイクル数が同じ製氷部が複数ある場合に、前回の運転後からの停止時間が最も長い製氷部を作動させるよう構成したことを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、複数の製氷部を均一的に運転させることができ、各製氷部の運転時間の平準化が図られて該製氷部の寿命を長くすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る製氷機によれば、氷塊の過剰生成を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施例の製氷機の概略構成を示す正面図である。
【図2】第1実施例の製氷機の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】第1実施例の製氷機における運転態様を示すタイミングチャートである。
【図4】第2実施例の製氷機の構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】第2実施例の製氷機における運転態様を示すフローチャートである。
【図6】第2実施例の製氷機における運転態様を示すタイミングチャートである。
【図7】従来の製氷機の概略構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る製氷機について、好適な実施例を挙げ、添付図面を参照しながら、以下に説明する。なお、各実施例では、図7に示した従来のスタックオンタイプの製氷機M1と基本的な構成が略同じ製氷機Mを例示する。従って、前記製氷機M1を構成する部材、部位と同一の部材、部位については、同一の符号を付して説明する。
【実施例】
【0015】
(第1実施例)
図1は、第1実施例の製氷機Mの構成を概略的に示す説明図である。第1実施例の製氷機Mは、貯氷庫Sと2基の製氷ユニット部U1,U2とが個別に組立てられてユニット化されており、貯氷庫Sの上部に、各製氷ユニット部U1,U2を順次段積みして構成されている。なお、以下では、下段の製氷ユニット部を「第1製氷ユニット部U1」、上段の製氷ユニット部を「第2製氷ユニット部U2」とする。
【0016】
第1製氷ユニット部U1および第2製氷ユニット部U2は、直方枠体形状に組立てられた筐体10の内部に、仕切板11により製氷室12と機械室13とが左右に画成されている。前記製氷室12内には、製氷機構Dが配設されており、前記機械室13内には、冷凍機構Eを構成する圧縮機20および凝縮器21や、制御ボックス24および電源トランス25等が配設されている。また前記製氷機構Dには、前記冷凍機構Eを構成する蒸発器22が配設されている。
【0017】
前記製氷機構Dは、下向きに開口した多数の製氷小室を形成した製氷部30と、各製氷小室を開閉可能な水皿31と、水皿31の下部に配設されて上方へ開口し、外部水源に連結された給水弁から供給された製氷水を貯留する製氷水タンク32と、これら水皿31および製氷水タンク32を一体的に傾動させる水皿開閉機構33等から構成されている。そして、前記冷凍機構Eにより前記製氷機構Dの製氷部30を冷却することで該製氷部30において氷塊ICを生成し、該冷凍機構Eにより該製氷部30を加熱することで、該製氷部30に生成された氷塊ICを離脱させるように構成されている。このような製氷部30で氷塊ICを生成する「製氷運転」と生成された氷塊ICを該製氷部30から離脱させる「除氷運転」とを交互に繰り返す「製氷サイクル」を連続することで、製氷部30において氷塊ICを連続して生成することができる。なお、第1製氷ユニット部U1および第2製氷ユニット部U2は、筐体10の底部中央に、氷塊ICを下方へ案内するシュート14が配設されている。また、第1製氷ユニット部U1および第2製氷ユニット部U2には、製氷水タンク32から落下した製氷水を受け止めて排出するドレンパン34が、製氷機構Dの下方に配設されている。
【0018】
前記貯氷庫Sは、前側に開口部40を開設した矩形ボックスであって、外側に露出する外箱41と貯氷空間を画成する内箱42との間に断熱材が配設された断熱構造に構成されている。貯氷庫Sの前側には、前記開口部40を開閉する開閉扉43が配設されており、該開閉扉43を開放して開口部40を介して貯留された氷塊ICの取り出しが可能となっている。また、貯氷庫Sの上部には、前記第1製氷ユニット部U1に配設された前記シュート14が挿通され、該第1製氷ユニット部U1と該貯氷庫Sの内箱42内とが該シュート14を介して空間的に連通している。
【0019】
また、前記貯氷庫S内には、図1に示すように、上下方向に離間して第1貯氷検知スイッチ(貯氷検知手段)50および第2貯氷検知スイッチ(貯氷検知手段)51が配設されている。前記第2貯氷検知スイッチ51が、前記第1貯氷検知スイッチ50より貯氷庫S内の上方に配設されている。すなわち、第1貯氷検知スイッチ50は、貯氷庫Sの設定貯氷量の下限位置に対応する位置に配設されており、貯氷された氷塊ICが該設定貯氷量の下限位置より低いとOFF状態(非検知状態)となり、貯氷された氷塊ICが該設定貯氷量の下限位置以上となるとON状態(検知状態)となって検知信号を送出するようになっている。また、第2貯氷検知スイッチ51は、貯氷庫Sの設定貯氷量の上限位置に対応する位置に配設されており、貯氷された氷塊ICが該設定貯氷量の上限位置より低いとOFF状態(非検知状態)となり、貯氷された氷塊ICが該設定貯氷量の上限位置以上となるとON状態(検知状態)となって検知信号を送出するようになっている。なお、第1貯氷検知スイッチ50および第2貯氷検知スイッチ51は、氷塊ICに押されることで揺動するレバーと、該レバーに押された際に検知信号を送出するプッシュオンスイッチとを備えている。
【0020】
前記制御手段Cは、製氷機Mを総合的に制御するものであり、図2に示すように、前記第1貯氷検知スイッチ50および第2貯氷検知スイッチ51から送出された検知信号が入力されると共に、図示省略した各種検知手段や測定手段等からの検知信号も入力される。また制御手段Cは、前記各第1貯氷検知スイッチ50および第2貯氷検知スイッチ51からの検知信号や、図示しないコントロールパネルから入力された各種設定条件等に基づき、第1製氷ユニット部U1の製氷機構D、第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dおよび各種機器を総合的に制御する。
【0021】
そして第1実施例の製氷機Mでは、前記第1貯氷検知スイッチ50および第2貯氷検知スイッチ51を備えていることで、前記制御手段Cの制御により、図3に示すように運転するよう構成されている。先ず、制御手段Cが前記第1貯氷検知スイッチ50の検知信号および第2貯氷検知スイッチ51の検知信号を何れも受信しない場合(第1貯氷検知スイッチ50および第2貯氷検知スイッチ51の両方がOFF状態(非検知状態)の場合)は、貯氷庫S内に設定貯氷量に満たない量の氷塊ICが貯氷されているか、或いは該貯氷庫S内に氷塊ICが全くない状態である。従って制御手段Cは、前記第1製氷ユニット部U1の冷凍機構Eおよび第2製氷ユニット部U2の冷凍機構Eの両方を運転させ、両製氷ユニット部U1,U2の製氷部30において氷塊ICを生成するよう設定されている。両製氷ユニット部U1,U2の製氷部30が作動することで単位時間当たりの氷塊ICの生成量が大きくなり、設定貯氷量まで短時間で氷塊ICを生成することができる。
【0022】
また、前記制御手段Cが前記第1貯氷検知スイッチ50の検知信号および第2貯氷検知スイッチ51の検知信号を両方を受信する場合(第1貯氷検知スイッチ50および第2貯氷検知スイッチ51の両方がON状態(検知状態)の場合)は、貯氷庫S内に設定貯氷量の上限位置を超える氷塊ICが貯氷されている。従って制御手段Cは、前記第1製氷ユニット部U1の冷凍機構Eおよび第2製氷ユニット部U2の冷凍機構Eの両方を停止させ、両製氷ユニット部U1,U2の製氷部30における氷塊ICの生成を停止するよう設定されている。両製氷ユニット部U1,U2の製氷部30が停止することで、必要以上の氷塊ICの生成を抑えることができる。
【0023】
そして、前記制御手段Cが前記第1貯氷検知スイッチ50の検知信号を受信していると共に第2貯氷検知スイッチ51の検知信号を受信していない場合(第1貯氷検知スイッチ50がON状態(検知状態)で、第2貯氷検知スイッチ51がOFF状態(非検知状態)の場合)は、貯氷庫S内に所定貯氷量の下限位置以上で上限位置より少ない氷塊ICが貯氷されている。従って制御手段Cは、前記第1製氷ユニット部U1および第2製氷ユニット部U2を選択的に運転制御するように設定されている。具体的に前記制御手段Cは、図3に示すように、前記第1貯氷検知スイッチ50からの検知信号だけを受信する状態となると、前記第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dと第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dとを交互に作動するように設定されている。
【0024】
すなわち制御手段Cは、前記第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dおよび前記第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dの両方を作動させて、貯氷庫S内に設定貯氷量の下限位置まで氷塊ICが貯氷されて第1貯氷検知スイッチ50からの検知信号を受信すると、先ず第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dを停止させ、第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dだけを作動させる。そして、第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dだけを作動させた状態で製氷サイクルを続けて、貯氷庫S内に設定貯氷量の上限位置まで氷塊ICが貯氷されて第2貯氷検知スイッチ51からの検知信号を受信すると、第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dを停止させ、両製氷ユニット部U1,U2の製氷機構Dを停止した状態とする。
【0025】
制御手段Cは、貯氷庫S内からの氷塊ICの取り出しにより、氷塊ICの貯氷量が設定貯氷量の上限位置より低くなって第2貯氷検知スイッチ51からの検知信号を受信しなくなると、先に停止していた前記第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dを作動させる。そして、第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dだけを作動させた状態で製氷サイクルを続け、貯氷庫S内に設定貯氷量の上限位置まで氷塊ICが貯氷されて第2貯氷検知スイッチ51からの検知信号を再び受信すると、該第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dを停止させ、両製氷ユニット部U1,U2の製氷機構Dを停止した状態とする。更に制御手段Cは、貯氷庫S内からの氷塊ICの取り出しにより、氷塊ICの貯氷量が設定貯氷量の上限位置より低くなって第2貯氷検知スイッチ51からの検知信号を受信しなくなると、今度は第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dを作動させる。なお制御手段Cは、貯氷庫S内からの氷塊ICの取り出し量が多くて氷塊ICの貯氷量が設定貯氷量の下限位置より低くなり、第1貯氷検知スイッチ50からの検知信号を受信しなくなると、第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dおよび第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dの両方を作動させる。
【0026】
すなわち第1実施例の製氷機Mでは、第1貯氷検知スイッチ50および第2貯氷検知スイッチ51の両方から検知信号を制御手段Cが受信する状態から、第1貯氷検知スイッチ50からの検知信号だけを該制御手段Cが受信する状態となる毎に、第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dおよび第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dを交互に作動、停止するように構成されている。従って、貯氷庫S内における氷塊ICの貯氷量が、設定貯氷量の下限位置と上限位置との間にある場合には、第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dおよび第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dの何れか一方だけが作動して氷塊ICを生成するから、単位時間当たりの氷塊ICの生成量が抑えられる。これにより、貯氷庫S内における氷塊ICの貯氷量が、設定貯氷量の上限位置より僅かに低い位置にある場合において更に氷塊ICが生成されたとしても、氷塊ICの過剰生成を抑えることができるから、貯氷庫S内に貯氷された氷塊ICの再氷結(アーチング)が発生し難い。また、氷塊ICの過剰生成を抑えることができるから、氷塊ICがシュート14を介して第1製氷ユニット部U1の製氷部30まで到達することもなく、該製氷部30と水皿31との間で氷塊ICの噛み込みが発生することが防止されると共に、異型の氷塊ICが生成されることも防止し得る。更に、氷塊ICがドレンパン34上に溜まることもないから、除氷運転に際して製氷機構Dの水皿31および製氷水タンク32が下方へ傾動することが阻害されることもない。また更に、貯氷庫S内における氷塊ICの貯氷量が、設定貯氷量の下限位置と上限位置との間にある場合には、製氷サイクルによる電力消費量を低く抑えることができ、当該製氷機Mに電気を供給する電力設備に対する負担を軽減し得る。
【0027】
(第2実施例)
図4は、第2実施例の製氷機Mの構成を示すブロック図、図5は、第2実施例の製氷機Mにおける運転態様を示すフローチャート、図6は、第2実施例の製氷機Mにおける運転態様を示すタイミングチャートである。第2実施例の製氷機Mは、基本的な構成は前記第1実施例の製氷機Mと同じであり、ここでは第1製氷ユニット部U1および第2製氷ユニット部U2、貯氷庫Sの具体的な構成等の説明は省略する。なお、第2実施例の製氷機Mにおける制御手段Cは、図4に示すように、第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dの製氷サイクル数および第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dの製氷サイクル数を個々にカウントして記憶する記憶部C1を備えると共に、該記憶部C1での各製氷機構Dの製氷サイクル数を比較する機能を備えている。
【0028】
第2実施例の製氷機Mでは、前記第1貯氷検知スイッチ50および第2貯氷検知スイッチ51を備えていることで、貯氷庫S内の氷塊ICの貯氷量が前記設定貯氷量の下限位置より低い場合および上限位置より高い場合には、前記第1実施例の場合と同じ制御を行なう。すなわち制御手段Cは、前記制御手段Cが前記第1貯氷検知スイッチ50の検知信号および第2貯氷検知スイッチ51の検知信号を何れも受信しない場合(第1貯氷検知スイッチ50および第2貯氷検知スイッチ51の両方がOFF状態(非検知状態)の場合)は、前記第1製氷ユニット部U1の冷凍機構Eおよび第2製氷ユニット部U2の冷凍機構Eの両方を作動させる。また前記制御手段Cは、前記第1貯氷検知スイッチ50の検知信号および第2貯氷検知スイッチ51の検知信号を両方を受信する場合(第1貯氷検知スイッチ50および第2貯氷検知スイッチ51の両方がON状態(検知状態)の場合)は、前記第1製氷ユニット部U1の冷凍機構Eおよび第2製氷ユニット部U2の冷凍機構Eの両方を停止させる。
【0029】
そして、前記制御手段Cが前記第1貯氷検知スイッチ50の検知信号を受信していると共に第2貯氷検知スイッチ51の検知信号を受信していない場合は、前記第1製氷ユニット部U1および第2製氷ユニット部U2を選択的に運転制御するように設定されている。具体的に前記制御手段Cは、図5および図6に示すように、前記第1貯氷検知スイッチ50からの検知信号だけを受信する状態となると、前記記憶部C1に記憶されている前記第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dが実行した製氷サイクル数と第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dが実行した製氷サイクル数とを比較して、製氷サイクル数が少ない方の製氷機構Dを作動するように設定されている。
【0030】
すなわち制御手段Cは、図5に示すように、製氷機構Dの運転を開始すると、先ず第1貯氷検知スイッチ50がOFF状態(非検知状態)かを確認する(ステップS11)。第1貯氷検知スイッチ50がOFF状態である場合には、前記第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dおよび前記第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dの両方を作動させる(ステップS12)。第1貯氷検知スイッチ50がON状態(検知状態)となったかを確認し(ステップS13)、貯氷庫S内に設定貯氷量の下限位置まで氷塊ICが貯氷されて第1貯氷検知スイッチ50からの検知信号を受信すると、前記記憶部C1に記憶されている最新の前記第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dの製氷サイクル数と前記第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dの製氷サイクル数とを比較する(ステップS14)。そして、両製氷ユニット部U1,U2の製氷機構Dのうち、製氷サイクル数が多い方の製氷機構Dを備えた製氷ユニット部の作動を停止する(ステップS15)。なお図6では、第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dの方が製氷サイクル数が多いため、該第1製氷ユニット部U1の作動を停止するようにした状態を示している。
【0031】
第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dだけを作動させることで、貯氷庫S内に設定貯氷量の上限位置まで氷塊ICが貯氷されて第2貯氷検知スイッチ51からの検知信号を受信すると(ステップS16)、第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dを停止させ、両製氷ユニット部U1,U2の製氷機構Dを停止した状態とする(ステップS17)。
【0032】
そして制御手段Cは、貯氷庫S内からの氷塊ICの取り出しにより、氷塊ICの貯氷量が設定貯氷量の上限位置より低くなって第2貯氷検知スイッチ51からの検知信号を受信しなくなると(ステップS18)、前記記憶部C1に記憶されている最新の前記第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dの製氷サイクル数と前記第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dの製氷サイクル数とを比較する(ステップS19)。そして、両製氷ユニット部U1,U2の製氷機構Dうち、製氷サイクル数が多い方の製氷機構Dを備えた製氷ユニット部U1,U2は停止状態に保持し、製氷サイクル数が少ない方の製氷機構Dを備えた製氷ユニット部U1,U2の製氷サイクルを開始する(ステップS20)。なお図6では、第2製氷ユニット部U2における製氷機構Dの方が製氷サイクル数が少ないため、再度該第2製氷ユニット部U2を運転するようにした状態を示している。
【0033】
なお制御手段Cは、第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dだけを作動させた状態において、貯氷庫S内からの氷塊ICの取り出し量が多くて、氷塊ICの貯氷量が設定貯氷量の下限位置より低くなって第1貯氷検知スイッチ50からの検知信号を受信しなくなると(ステップS21)、ステップS12に戻り、第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dおよび第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dの両方を作動する。また制御手段Cは、貯氷庫S内の氷塊ICの貯氷量が設定貯氷量の上限位置に達して第2貯氷検知スイッチ51からの検知信号を受信すると(ステップS22)、ステップS17に戻り、両製氷ユニット部U1,U2の製氷機構Dを停止する。
【0034】
なお、前記ステップS11において、第1貯氷検知スイッチ50がON状態である場合には、第2貯氷検知スイッチ51がOFF状態か否かを確認する(ステップS23)。第2貯氷検知スイッチ51がOFF状態である場合には、貯氷庫S内には所定貯氷量の下限位置以上で上限位置より低い氷塊ICが貯氷されているため、ステップS19へ移動して、前記記憶部C1に記憶されている前記第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dの製氷サイクル数と前記第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dの製氷サイクル数とを比較する。そして、両製氷ユニット部U1,U2のうち、製氷サイクル数が少ない方の製氷機構Dを備えた製氷ユニット部U1,U2の運転を開始する(ステップS20)。また、ステップS23において第2貯氷検知スイッチ51がON状態である場合には、貯氷庫S内に所定貯氷量の上限位置以上の氷塊ICが貯氷されているため、第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dおよび第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dを停止状態に保持してステップS18へ移動する。
【0035】
また、前記ステップS14およびステップS19において、前記記憶部C1に記憶されている両製氷ユニット部U1,U2の製氷機構Dの製氷サイクル数が同じ場合には、前回の作動後からの停止時間が長い方の製氷機構Dを作動させるようになっている。なお、製氷ユニット部U1,U2の停止時間を確認する方法としては、前記記憶部C1において各製氷ユニット部U1,U2毎に運転停止した時刻を記憶する方法や、別途のタイマを設けて各製氷ユニット部U1,U2毎に停止時点からの時間を計測する方法等が実施可能である。また、製氷機Mの主電源を投入した際には、各製氷ユニット部U1,U2の各製氷機構Dの製氷サイクル数および停止時間が同じであるため、第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dの運転だけを開始し、第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dは停止状態とする。
【0036】
すなわち第2実施例の製氷機Mでは、第1貯氷検知スイッチ50および第2貯氷検知スイッチ51の両方から検知信号を制御手段Cが受信する状態から、第1貯氷検知スイッチ50からの検知信号だけを該制御手段Cが受信する状態となる毎に、製氷サイクル数が少ない製氷機構Dを備えた製氷ユニット部U1,U2を選択して運転するように構成されている。従って、貯氷庫S内における氷塊ICの貯氷量が、設定貯氷量の下限位置と上限位置との間にある場合には、第1製氷ユニット部U1の製氷機構Dおよび第2製氷ユニット部U2の製氷機構Dの何れか一方だけが作動して氷塊ICを生成するから、単位時間当たりの氷塊ICの生成量が抑えられる。これにより、貯氷庫S内における氷塊ICの貯氷量が、設定貯氷量の上限位置より僅かに低い位置にある場合において更に氷塊ICが生成されたとしても、氷塊ICの過剰生成を抑えることができるから、貯氷庫S内に貯氷された氷塊ICの再氷結(アーチング)が発生し難い。また、氷塊ICの過剰生成を抑えることができるから、氷塊ICが第1製氷ユニット部U1の製氷部30まで到達することもなく、該製氷部30と水皿31との間で氷塊ICの噛み込みが発生することが防止されると共に、異型の氷塊ICが生成されることも防止し得る。更に、貯氷庫S内における氷塊ICの貯氷量が、設定貯氷量の下限位置と上限位置との間にある場合には、製氷サイクルによる電力消費量を低く抑えることができ、当該製氷機Mに電気を供給する電力設備に対する負担を軽減し得る。更にまた、常に製氷サイクル数が少ない製氷機構Dを作動するようにするから、各製氷ユニット部U1,U2の製氷機構Dの作動時間の平準化が図られ、特定の製氷機構Dの作動時間が極端に長くなることによる故障発生率が高まることも防止できる。
【0037】
(変更例)
(1)第1実施例および第2実施例では、2基の製氷ユニット部を備えた製氷機を例示したが、第1貯氷検知センサおよび第2貯氷検知センサの状態に応じて複数の製氷部を選択的に運転制御するようにすれば、製氷ユニット部の数は3基以上であってもよい。製氷機構が3つ以上の場合では、第1実施例においては、各製氷ユニット部の運転順序を予め決めておき、第1貯氷検知センサだけがON状態となる毎に、該運転順序に従って製氷ユニット部を選択して運転するようにすればよい。また第2実施例においては、第1貯氷検知センサだけがON状態となる毎に、制御手段Cの記憶部C1に記憶された各製氷ユニット部の製氷機構の各製氷サイクル数を比較して、製氷サイクル数が最も少ない製氷機構を備えた製氷ユニット部を選択して運転するようにすればよい。
(2)第1実施例および第2実施例では、2つの製氷検知センサを設けた場合を例示したが、該製氷検知手段は上下に離間して3つ以上設けてもよく、各貯氷検知手段の状態に応じて運転する製氷ユニット部を切り替えるようにすればよい。
(3)3基以上の製氷ユニット部を備える場合には、運転する製氷ユニット部は、1基単位に限らず複数単位としてもよい。例えば、3基の製氷ユニット部と、上下に離間する3つの貯氷検知手段(下から「第1貯氷検知手段」、「第2貯氷検知手段」、「第3貯氷検知手段」とする)を備える製氷機の場合では、第1〜第3の貯氷検知手段の全てがOFF状態では3基の製氷ユニット部の全てを運転するようにし、第1〜第3の貯氷検知手段の全てがON状態では3基の製氷ユニット部の全てを停止する。そして、第1貯氷検知手段だけがON状態の場合は、3基のうちの何れか2基の製氷ユニット部を運転するようにし、第1貯氷検知手段および第2貯氷検知手段の2つがON状態の場合は、3基のうちの何れか1基の製氷ユニット部を運転するようにする。
(4)第1実施例および第2実施例ではスタックオンタイプの製氷機を例示したが、製氷ユニット部が上下段積み形態に限定されず、横並び形態とした製氷機であってもよい。
(5)製氷機構は、実施例に例示した噴射式のものに限らず、流下式等であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
30製氷部,50第1貯氷検知センサ(第1貯氷検知手段)
51第2貯氷検知センサ(第2貯氷検知手段),C制御手段,C1 記憶部,IC氷塊
S貯氷庫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
氷塊(IC)を生成する製氷運転と生成された氷塊(IC)を離脱させる除氷運転とを交互に繰り返す製氷サイクルを行なう複数の製氷部(30)と、前記複数の製氷部(30)から離脱した氷塊(IC)を貯留する貯氷庫(S)とを備えた製氷機において、
前記貯氷庫(S)に上下方向に離間して配設され、異なる貯氷レベルで前記氷塊(IC)を検知可能な複数の貯氷検知手段(50,51)と、
前記各貯氷検知手段(50,51)から送出された検知信号を受信する制御手段(C)とを備え、
前記制御手段(C)は、各貯氷検知手段(50,51)の状態に応じて前記複数の製氷部(30)を選択的に運転制御するよう構成した
ことを特徴とする製氷機。
【請求項2】
前記制御手段(C)は、各貯氷検知手段(50,51)の状態に応じて一部の製氷部(30)を運転する場合は、一部の前記貯氷検知手段(50,51)の状態が切り替わる毎に、予め設定された順序で前記各製氷部(30)を作動するよう構成した請求項1記載の製氷機。
【請求項3】
前記制御手段(C)は、前記各製氷部(30)毎に実行された製氷サイクル数を記憶する記憶部(C1)を備え、
前記制御手段(C)は、各貯氷検知手段(50,51)の状態に応じて一部の製氷部(30)を運転する場合は、前記記憶部(C1)に記憶されている製氷サイクル数が相対的に少ない製氷部(30)を運転させるよう構成した請求項1記載の製氷機。
【請求項4】
前記制御手段(C)は、製氷サイクル数が同じ製氷部(30)が複数ある場合に、前回の運転後からの停止時間が最も長い製氷部(30)を作動させるよう構成した請求項3記載の製氷機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−29292(P2013−29292A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167342(P2011−167342)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】