製紙における改良
【課題】本発明は、幅広の不浸透性基板を含む用紙を作製するための改良された製紙方法を提供する。
【解決手段】単層紙の製造方法であって、多孔質支持表面をブラインドするステップと、ブラインド領域の周囲の支持表面上に紙繊維の第1層を堆積させ、ストリップの少なくとも縁部を積層された繊維層上に載置して、ストリップが支持表面上のブラインド領域に当接するようにストリップを配置し、紙繊維の第2層を、第1層およびストリップの上に堆積させて、用紙内にストリップの縁部を十分に埋め込む。ブラインド領域は、セキュリティ部材が載置される前に繊維層が堆積することを防ぎ、用紙の第1の表面において、ストリップの一方の表面が露出した窓部を形成し、用紙の第2の表面において、ストリップの一方の表面と対向する他方の表面上の中央領域において紙繊維が積層されず、ストリップの中央領域が連続的に露出する。
【解決手段】単層紙の製造方法であって、多孔質支持表面をブラインドするステップと、ブラインド領域の周囲の支持表面上に紙繊維の第1層を堆積させ、ストリップの少なくとも縁部を積層された繊維層上に載置して、ストリップが支持表面上のブラインド領域に当接するようにストリップを配置し、紙繊維の第2層を、第1層およびストリップの上に堆積させて、用紙内にストリップの縁部を十分に埋め込む。ブラインド領域は、セキュリティ部材が載置される前に繊維層が堆積することを防ぎ、用紙の第1の表面において、ストリップの一方の表面が露出した窓部を形成し、用紙の第2の表面において、ストリップの一方の表面と対向する他方の表面上の中央領域において紙繊維が積層されず、ストリップの中央領域が連続的に露出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、延伸不浸透性部材を組み込んだ紙に対する改良、およびその製紙方法、ならびに当該紙から製造された証券に関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティ用紙は、セキュリティ部材として、プラスチックフィルム、金属箔、金属化プラスチック、金属ワイヤなどからなるスレッド、ストリップまたはリボンのような延伸偽造防止部材を含むことが一般に知られている。こうしたセキュリティ部材は、そのセキュリティ用紙から作製される証券の偽造をより難しくするために、用紙の厚み内に取り込まれる。セキュリティ部材により、反射光と透過光とでセキュリティ用紙の見え方が異なるので用紙を認証しやすくする。こうした延伸部材を組み込んでセキュリティ機能を向上させるために、延伸部材自体に1つまたはそれ以上の認証可能な特性を付与することも知られている。このような付加的な特性は、磁気特性、導電性、X線および蛍光の吸収特性を含む。
【0003】
さらなるセキュリティ機能を与えるものとして、用紙の一方の表面に、離間した位置で延伸部材を露出させる窓部を設けることがとりわけ有効であることが知られている。窓部を含む、または含まないセキュリティ部材を組み込んだ用紙の製紙方法の具体例について以下に説明する。「窓開きスレッド入り用紙(windowed thread paper)」とは、任意の延伸セキュリティ部材を組み込んだ窓開き用紙を含むものと理解されたい。
【0004】
欧州特許出願公開第0059056号は、成形シリンダ製紙機械上で窓開きスレッド入り用紙を製紙する方法を記載している。その技術は、シリンダ成形カバーをエンボス加工し、水様原材料容器に浸漬する前に、成形カバーの隆起領域に不浸透性の延伸セキュリティ部材を当接させることを含む。エンボス加工された隆起領域において、不浸透性の延伸セキュリティ部材が密接に当接すると、繊維は積層し得ない。用紙が十分に製紙され、シリンダ成形カバーから離型した後、当接部分は露出領域として形成され、最終的には、紙幣用紙の一方の表面上に設けられた反射光で視認される窓部を構成するものとなる。
【0005】
国際特許出願公開第93/08327号は、長網抄紙機により窓開きスレッド入り用紙を製紙する方法を開示している。エンボスにより外形形状を変形させた回転式埋め込み手段を用いて、不浸透性の延伸セキュリティ部材をドレイン製紙容器内に移動させる。埋め込み手段は、隆起領域が埋め込みプロセス中セキュリティ部材と当接した状態で維持されるような外形形状を有する。すなわち、セキュリティ部材と埋め込み手段との間に紙繊維が取り込まれることを防止し、その結果、セキュリティ部材が用紙の窓開き領域で露出したものとなる。
【0006】
製造上の理由により、窓開きまたは窓なし用紙に用いられるセキュリティ部材は、たとえばその中心線に対してプラス・マイナス6mmの微小量で用紙基板内において振動させる。これは主として、500枚のシートからなる積層体をスレッドにおいて切断または裁断しやすくするためのものである。スレッドを振動させなければ、裁断刃は、500枚のシートからなるポリマ/金属/紙の積層体のたとえば1〜2mmの極めて限定的な面積が与えられる。これにより、切断刃の切れ味が鈍くなるか、切断刃が欠けやすくなる。スレッドを振動させることにより、この領域を10〜15mmの幅広の領域に広げ、刃が500枚のシートの積層体を貫通しやすくする。スレッドを振動させることにより、用紙から作製される紙幣がすべて同様に見えるようにする必要ある場合、窓部をデザインする際に平行なバー(bars)だけが使用できる。
【0007】
最近の調査によれば、上記製紙方法を用いて、4〜6mmの最大幅を有する不浸透性スレッドを用紙内に組み込むことができることが確認されている。これは、製紙原料がスレッドの周囲を流れ、完成した用紙においてはスレッドの前面で十分な紙領域が形成されるという要求に応えるものである。
【0008】
カナダ特許第2122528号明細書には、2〜4mm幅の幅広の不浸透性セキュリティストリップを組み込んだ偽造防止用紙が記載されている。その用紙は、別個の製紙機械で製紙された少なくとも2層の紙を有する多層デザインのものである。このセキュリティストリップは、第1層に埋め込まれ、その縁部に沿って貫通孔を有し、その貫通孔により排水を可能にし、スレッドの縁部に沿って紙繊維が堆積することができる。接触領域に露出したストリップの窓部を形成するために、製紙原料容器に隆起領域を浸漬する前に、エンボス加工されたシリンダ成形カバー上にストリップの前面を載置する。紙繊維がストリップの貫通孔を透過できるように、隆起領域の幅はストリップの幅より狭小となっている。ただし、ストリップの幅は十分に広いので、用紙の裏面に形成される紙のストリップの領域において任意の穴の形態にある欠陥が形成される。一般的な用紙の第2層は個別に形成され、上記2層が互いに重ね合わされて処理され、第2層が第1層の裏面にある欠陥を覆い、少なくとも1つの均質な紙表面を形成する。別の実施形態では、セキュリティストリップを完全に埋め込むように、第3層を第1層上に重ね合わさせる。さらに別の実施形態では、紙の第1層の裏面上に紙を形成することなく、当該裏面上で連続的な露出領域が形成されるようにストリップの幅を選択する。ストリップの前面に連続した露出領域を形成するために、隆起領域を製紙原料容器内に浸漬する前に、ストリップの前面を連続する隆起領域の上に載置する。そして紙の第2層は第1層に重ね合わされ、一方の表面には均質な紙の層を有し、他方の表面には連続した露出ストリップを有する完成したセキュリティ用紙が作製される。
【0009】
上述したすべての従来技術では、使用可能な延伸部材の幅は非常に制限される。また、必要とされるエンボス技術により生ずる制約に起因して、露出されるスレッドの領域の形状が限定され、製紙技術自体の特徴に起因してスレッドの領域の面積が限定される。
【0010】
したがって、本発明の1つの目的は、窓部または装飾パターンを表すセキュリティまたは非セキュリティ部材として用いられる幅広の不浸透性基板を含む用紙を作製するための改良された製紙方法を提供することである。
【発明の概要】
【0011】
本発明によれば、少なくとも部分的に埋め込まれた延伸不浸透性ストリップを含む単層紙の製造方法であって、多孔質支持表面の1つまたはそれ以上の選択された領域をブラインドするステップと、ブラインドされた領域の周囲の多孔質支持表面上に紙繊維の第1層を堆積させるステップと、不浸透性ストリップの少なくとも縁部を積層された繊維層上に載置して、不浸透性ストリップが多孔質支持表面上のブラインドされた領域に当接するように不浸透性ストリップを配置するステップと、紙繊維の第2層を、第1層および不浸透性ストリップの上に堆積させて、用紙内にストリップの縁部を十分に埋め込むステップとを有し、ブラインドされた領域は、不浸透性であるため、セキュリティ部材が載置される前に繊維層が堆積することを実質的に防ぎ、用紙の第1の表面において、不浸透性ストリップの一方の表面が露出した複数の離散的な半透明または透明の窓部を形成し、用紙の第2の表面において、不浸透性ストリップの一方の表面と対向する他方の表面上の長さ方向に沿った縁部の間の中央領域において紙繊維が実質的に積層されず、不浸透性ストリップの中央領域が連続的に露出することを特徴とする方法が提供される。
【0012】
窓開きセキュリティ用紙の好適な従来技術の製造方法は、エンボス加工されたシリンダ成形カバーを必要とする。用紙は均一かつ均質であることが好ましいという理由から、製紙技術においてブラインド加工は一般には利用されない。穴や穿孔が生じることは、通常あまり好ましいものではない。ティーバッグを作製するために用いられる紙が1つの例外であるが、こうした紙の製造方法はブラインド加工を含まない。
【0013】
不浸透性ストリップは、多少の紙繊維がブラインド領域の周囲に堆積した後に支持表面と接触するので、繊維がさらにブラインド領域上に堆積することを防止して、ブラインド処理で形成されるデザインを透明領域とすることができる。シリンダ成形カバーをエンボス加工した場合には埋め込まれるセキュリティスレッドの幅には制約が生じるところ、本発明の方法によれば、証券用紙自体の幅までの任意の幅の不浸透性ストリップを含み、かつ、証券用紙の表面に任意のデザインの透かしである用紙「コーティング」を有する証券用紙を作製することができる。証券用紙の裏面には、証印などの表示のために用いられる連続的に露出するストリップを含むものとすることができる。
【0014】
ストリップの一方の表面を支持表面に当接させる前に、ストリップの一方の表面に接着剤が塗布されることが好ましい。
【0015】
ストリップの他方の表面の1つのまたはそれ以上の領域に接着剤が塗布されることが好ましい
【0016】
ストリップは、製紙時に機械的に振動させないことが好ましい。
【0017】
これは、より精緻かつ微細なパターンをストリップの周囲に形成できることを意味するので、デザイン条件において有用である。
【0018】
本発明は、上記製紙方法により製紙された単層紙を提供することにあり、この単層紙は、第1および第2の表面と、少なくとも部分的に埋め込まれた延伸不浸透性ストリップとを有し、ストリップの縁部は第1および第2の表面の間に十分に埋め込まれ、ストリップの他方の表面上の中央領域が、紙の第1の表面において露出し、ストリップの一方の表面が、紙の第2の表面を構成する紙繊維の第1層により少なくとも部分的に覆われることを特徴とするものである。
【0019】
紙の第2の表面において、複数の離散的な窓部が形成され、当該窓部において、不浸透性ストリップがその離間した領域で露出することが好ましい。
【0020】
ストリップの幅が6〜25mmの範囲にあることが好ましい。
【0021】
このようにストリップが幅広であるとき、その上に繊維がほとんどまたはまったく堆積しないようにすることができる。ストリップの幅が8〜10mmの範囲にあることがさらに好ましい。
【0022】
ストリップが証印、イメージ、または情報を担持することが好ましい。
【0023】
ストリップが完全に、または部分的に金属化されており、そして/または1つまたはそれ以上のホログラフィ像を担持することが好ましい。
【0024】
ストリップが1つまたはそれ以上のカラーシフト領域を有し、そして/または少なくとも1つのセキュリティエンボス部材を有することが好ましい。
【0025】
ストリップの一方または両方の表面に印刷され、そして/または液晶部材を有することが好ましい。
【0026】
ストリップが25〜100μmの厚みを有することが好ましく、50μmの厚みを有することがより好ましい。
【0027】
ストリップの一方の表面に接着剤が塗布されていることが好ましい。
【0028】
ストリップの他方の表面が部分的な領域において接着剤が塗布され、ストリップの露出した中央領域に沿って紙パターンを形成するように接着領域において、紙が形成されていてもよい。
【0029】
本発明はまた、上述した紙またはセキュリティ証券から製造された証券を提供する。
【0030】
例示的な意図で添付図面を参照して、本発明について以下説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る製紙方法で用いられる製紙容器の概略的な側方断面図である。
【図2】本発明に係る製紙方法のステップを示す概略的な側方断面図である。
【図3】本発明に係る製紙方法のステップを示す概略的な側方断面図である。
【図4】本発明に係る製紙方法のステップを示す概略的な側方断面図である。
【図5】本発明に係る製紙方法のステップを示す概略的な側方断面図である。
【図6】本発明に係る製紙方法のステップを示す概略的な側方断面図である。
【図7】本発明に係る択一的な用紙の製紙時に用いられるシリンダ成形カバーにおける、ブラインド技術のみにより形成された一部を示す平面図である。
【図8】図7のシリンダ成形カバーのVIII−VIII線から見た側方断面図である。
【図9】図10のIX−IX線から見たときの、図7のシリンダ成形カバー上に形成された紙の側方断面図である。
【図10】図9の用紙の平面図である。
【図11】XI−XI線から見たときの図10の用紙の側方断面図である。
【図12】ブラインド技術により形成されたより複雑なデザインを示す図7と同様の図である。
【図13】ブラインド技術により形成されたより複雑なデザインを示す図8と同様の図である。
【図14】ブラインド技術により形成されたより複雑なデザインを示す図9と同様の図である。
【図15】ブラインド技術により形成されたより複雑なデザインを示す図10と同様の図である。
【図16】ブラインド技術により形成されたより複雑なデザインを示す図11と同様の図である。
【図17】本発明に係る実施形態による用紙の製紙時に用いられるシリンダ成形カバーにおける、エンボス技術およびブラインド技術により形成された一部を示す平面図である。
【図18】XVIII−XVIII線上の図7のシリンダ成形カバーの側方断面図である。
【図19】製紙プロセス中の紙繊維の部分的堆積を示す図8と同様の断面図である。
【図20】シリンダ成形カバー上に載置された不浸透性部材を示す図18および図19と同様の断面図である。
【図21】図17のシリンダ成形カバー上に形成された用紙を示す図18および図20と同様の断面図である。
【図22】図18〜図21に示すステップにより図17のシリンダ成形カバーを用いて形成された用紙の平面図である。
【図23】異なるレイアウトを有するシリンダ成形カバーを用いて本発明により製紙された択一的な用紙の平面図である。
【図24】異なるレイアウトを有するシリンダ成形カバーを用いて本発明により製紙された択一的な用紙の平面図である。
【図25】異なるレイアウトを有するシリンダ成形カバーを用いて本発明により製紙された択一的な用紙の平面図である。
【図26】異なるレイアウトを有するシリンダ成形カバーを用いて本発明により製紙された択一的な用紙の平面図である。
【図27】XXVI−XXVI線上からみた図26の用紙の側方断面図である。
【図28】異なるレイアウトを有するシリンダ成形カバーを用いて本発明により製紙された択一的な用紙の平面図である。
【図29】異なるレイアウトを有するシリンダ成形カバーを用いて本発明により製紙された択一的な用紙の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
まず図1〜図11を参照して、本発明に係る製紙方法について説明する。たとえばシリンダ成形カバー10の形態を有する多孔質支持表面は既知の手法により作製される。成形カバー10は、欧州特許出願公開第0070172号に開示のようなエンボス技術で形成された隆起領域を有するものではないが、成形カバー10上の選択領域12においては、成形カバー10にブラインド部材を固定することにより遮蔽される(覆い隠される)。ブラインド部材は、通常、シリンダ成形カバー10に溶着した金属部材であり(図2、図7、図8を参照されたい。)、完成用紙16に形成される窓部の形状を決定するものである。こうしたブラインド部材12は、ワックス、ポリマ、または排水ひいては繊維付着を防止するためにシリンダ成形カバー10に確実に固定できる他の任意の部材であってもよい。本明細書において、「窓部」なる用語には、規則的または不規則な形状および間隔で形成される用紙の透明または半透明の領域を含む。
【0033】
既知の手法において、図1に示すように、シリンダ成形カバー10を製紙原料容器11内で回転させる。シリンダ成形カバー10が回転するとき、幅広の延伸不浸透性基板13が、好ましくは6mm以上の幅を有するが、製紙材料11の水面下でシリンダ成形カバー10と接触する。これは、たとえば40gsmのシートを形成するために、紙繊維の層14がシリンダ成形カバー10上に堆積することを意味する(図3および図4を参照されたい。)。不浸透性基板13がブラインド部材に当接すると、さらなる紙繊維15が不浸透性基板13の上側表面および側部の周囲に堆積して、通常、80〜90gsmのシート15の残余部分を形成する(図5、図6および図9を参照されたい。)。製紙時において、不浸透性基板13の振動が起こらないことが好ましい。
【0034】
上述したように、基板13が浸漬される前に、紙繊維の層がシリンダ成形カバー10上に積層される。ただし、基板13がブラインド部材12に当接する前においては、ブラインド領域12には紙繊維がほとんどあるいはまったくカバーされないが、ブラインド領域12の間には紙繊維が完全にカバーされる。基板13が不浸透性であるため、基板13の上側表面の大部分には紙繊維がほとんどあるいはまったくカバーされない。すなわち、用紙16がシリンダ成形カバー10から取り外されたとき(図10を参照されたい。)、用紙16は、不浸透性基板の幅広ストリップ13が組み込まれ、ストリップ13の両側側部は、用紙16の2つの表面の間に完全に埋め込まれ、ストリップ13は所定位置に確実に保持される。ストリップ13が透明であれば、用紙にはブラインド領域12に対応する1つまたはそれ以上の半透明または透明の窓部17が形成される。
【0035】
本発明により製紙され得る用紙の別の具体例について図12〜図16に図示され、シリンダ成形カバー10のブラインド領域としてより複雑なデザインが採用されている。ここで用いられるブラインド部材は、ストリップ13によりカバーされる否かに依存して、所定領域において異なる透明度を実現するために、さまざまな高さおよび/または幅を有する。
【0036】
図17〜図21に示すように、本発明の変形例において、1つまたはそれ以上の隆起領域19を形成するようにエンボス加工されたワイヤ(網)を構成するダイスを用いて、シリンダ成形カバー10が既知の手法で作製される。これらの隆起領域19は、完成用紙16の窓部17の形状を決定するものである。そして隆起領域19の上側表面は、ブラインド部材12で遮蔽される(覆い隠される)。不浸透性ストリップ13が原料11の水面下で隆起領域19に当接したときに、図20に示すようにストリップの側部が隆起領域の両側縁部から突出するように、隆起領域19の幅が設定される。
【0037】
いずれの方法においても、不浸透性ストリップ13は、少なくとも一方の表面上に均一な接着剤または他の適当なコーティングを有していてもよい。これにより、ストリップ13が製紙原料11の容器内に浸漬されたとき(図1を参照されたい。)、ストリップ13のコーティングされた表面が成形カバー10に対向し(図22参照)、繊維ブリッジ領域18において、そしてストリップ13の縁部に沿って、繊維がストリップ13に十分に付着する。成形カバー10の周囲のストリップ13の縁部上では、紙は継続して堆積される。好適にも基板が疎水性であるとき、主としてストリップ13の幅に起因して、接着剤がコーティングされていない領域上においては、繊維はほとんど、またはまったく堆積しない。このとき、接着剤コーティングは好適には親水性であるが、繊維をストリップの表面から引き離す傾向がある。接着剤がコーティングされていない領域に積層されたわずかな繊維は、その後、プレスロールにより、一般の製紙プロセスの最終段階でシリンダを乾燥させる際に取り除かれる。
【0038】
本発明の別の実施形態では、接着剤がコーティングされていない領域に疎水性コーティングを付して、繊維で覆われることを防止しやすくしてもよい。
【0039】
ストリップ13が浸漬される前に、多少の繊維がブラインド部材上に積層した場合であっても、用紙の周辺の残余部分に比して、紙繊維が存在する割合が小さいため、ブラインド部材上の紙繊維密度はかなり小さいものとなる。こうして、反射光および透過光の両方において、用紙の「ワイヤ」側の表面で明確に視認できる半透明または透明な「ストライプ」21が形成される(図10および図15を参照されたい。)。このストライプ21内において、ストリップ13が窓部17で部分的に露出する。用紙のもう一方の「フェルト」側の表面では、ストリップの中央領域が完全に露出している。用いられるブラインド部材が大きいほど(図2〜図6)、ストリップ13が浸漬される前に堆積する紙は少なく、ストライプ21の透明度は高くなる。用いられるブラインド部材が小さいほど(図7〜図11)、より多くの紙が堆積し、ストライプ21の透明度は低くなる。
【0040】
この方法によれば、不浸透性基板からなるたとえば6mm〜25mmの幅広ストリップを用紙基板として組み込むことができる。ストリップ13の幅を紙幣の幅とほぼ同程度にして、完成した紙幣の各縁部において用紙の狭小な余白部分が形成されるようにしてもよい(注:この文脈において、ストリップ13は、狭小でなく、細長くなく、完成した紙幣においてストリップと表現されるには適切でないものであってもよく、製紙時における用紙シート全体に対するストリップである。したがって、本明細書で「ストリップ」というとき、そのように解釈されたい。)。用紙の「ワイヤ」側の表面から反射光を見るとき、大きな透明窓部17は、半透明ストライプ21内で明瞭に視認することができる。
【0041】
不浸透性基板からなるこの幅広ストリップ13は、大きい窓部17において明瞭に視認できる証印(indicia)を示す表示表面として用いることができ、こうした証印は、たとえば非金属化像、ホログラフィ像、カラーシフト領域、印刷、またはこれらの内の任意のものまたはすべてのものによる組み合わせを含む。ただし、無地の透明なストリップ13を用いた場合、窓部17は部分的に半透明または完全に透明となる。ワイヤ側表面から透過光で見たとき、ストリップ13の完全に埋め込まれた縁部上に形成された証印、金属化物または着色を同様に視認することができる。ストリップ13の露出部分上の証印が滲み出すような証印、または露出部分上の証印を補完するような証印が、こうした縁部に設けられていてもよい。
【0042】
ストリップの幅に依存するが、窓部17はたとえば20mm四方の正方形または5mm×15mmの長方形であってもよい。
【0043】
用紙16のフェルト表面から見たとき、ストリップ13自体は、透明であり、光沢を有し、着色され、あるいは金属化された領域として、すなわち連続的な露出領域として視認され、こうした領域に証印、情報またはイメージを形成することができる。こうした領域は、用紙16の長さまたは幅全体に沿って、あるいは長さまたは幅の実質的部分に沿って拡張するものであってもよい。
エンボス技術による、またはエンボス技術によらないブラインド部材が、単純な長方形または正方形以外の画像パターンまたは幾何学的パターンを有する場合、こうしたパターンは、ストリップ13の長さ方向に沿って確認することができ、透明ストリップ13の窓部においては、完全または部分的に視認することができる。
【0044】
ストリップ13に対する好適な材料として、たとえば50μm厚のPET製ストリップがあり、これにより、窓部領域上に用紙16の「バルク(bulk)」を形成しやすくなる。ただし、異なる厚みを有するOPP、PEまたはPKのような他の材料を用いてもよい。1つの実施形態では、窓部内において金属化領域と非金属化領域との間のコントラストをより大きくするために、大面積の透明領域を有する非金属化像が用いられる。用紙16をワイヤ側表面から見たとき、金属化のコントラストにより、窓部17の間の紙ブリッジ領域18の視認性が改善される。
【0045】
本発明の上記実施形態では、ストリップ13の一方の表面には均一に接着剤を塗布し、他方の表面にはバンド−スリット状(in bands and slit)に、すなわちストリップ13の縁部にのみ接着剤を塗布してもよいことについて説明した。さらに用紙16のフェルト側表面上に追加的なパターンを形成するために、転写または他の印刷プロセスにより所定のパターンで接着剤を塗布してもよい。
【0046】
ただし本発明の別の実施形態では、ストリップ13の両方の表面の全体に接着剤またはコーティングを塗布してもよい。このとき、フェルト側表面上に紙の層が堆積し、ストリップ13のその表面全体がカバーされる。ストリップ13の第2の部分の領域では、半透明ストライプ21が周囲の紙16と比べると依然として明瞭に視認される。
【0047】
埋設される窓開きセキュリティスレッドを作製するための既知のプロセスで用いられる標準の接着剤またはコーティングを用いてもよいし、あるいは初期の製紙段階で紙繊維を保持する親水性表面を与える熱活性接着剤または水性接着剤の任意の形態のものを用いてもよい。
【0048】
好ましくはストリップ13を振動させることなく、不浸透性基板からなる幅広ストリップ13と、カバー10のブラインド部材とを組み合わせることにより、従来技術では実現されない他の興味深い特徴を得ることができる。その特徴として、他のデザインまたは証印を形成するために紙ブリッジ領域18を変形することが含まれる。より複雑なデザインおよび英数字パターンを含め、山形状、波状、および他の幾何学パターンを形成することができる。いくつかの具体例が図23および図24に図示されている。
【0049】
成形カバー10上にブラインド部材を作製するために電気版技術を用いると、幅広の平坦領域を有するプレートを用いて、規則的な透明窓部を任意の形状に形成することができる。ただし狭小な電気版を用いると、透明領域が形成されず、代わりに細部を緻密なものとすることができる半透明領域が形成される。これは、ストリップ13の領域の明帯において改善された電気版イメージの高い視認性効果を実現する。
【0050】
ストリップ13は、好適にも、情報担体として利用でき、そして/または広範な既知のセキュリティ部材を含むことができる。以下のものを含み得る。
【0051】
ベースフィルムの透明性を活用するとともに、大面積の透明窓部17を形成するために、実質的に金属を除去した領域を含む非金属化デザインである。
【0052】
金属形成領域、中間調画像(half-tone screen)領域、および/または金属非形成領域を有するホログラフィデザインである。特定の視認条件下では、金属が形成されないとき、ホログラフィ像がなお視認される。
【0053】
偽造しようとしたときに表裏面にモアレパターンがはっきりと現れる特徴部材を印刷した表裏印刷位置合わせ(front to back print registration)である。択一的には、セキュリティ部材としてのストリップ13を用紙内に挿入する前に、透明フィルム上にこうしたパターンを形成することもできる。こうしたパターンを正確に再現することは極めて困難であり、偽造できない。
【0054】
表面と裏面に異なる色で印刷することである。かかる印刷は、ストリップの一方の表面または両方の表面にしてもよく、一方の表面上の1つの色が他方の色で隠れるが、他方の表面から透けて見えるものであってもよい。
【0055】
国際特許出願公開第94/02329号に記載されたような、液晶分子材料が透かしの上にコーティングされるとき、色の変化が視認される液晶フィルムである。用紙表面の散乱効果により、大部分の色強度が損なわれる。完全に透明な窓部を用いることにより、反射光および透過光の両方で非常に鮮明な色変化を視認することができる。
【0056】
発光材料または磁気材料である。
【0057】
埋め込まれた非金属化領域である。ストリップ13の各縁部における領域は、完全に埋め込まれているため、証券用紙を透過光で見たときにだけ視認される非金属化イメージを含むことができる。この領域は、反射光および透過光で視認される類似の隣接領域を模倣してもよいし、あるいは金属化領域が隣接領域に滲み出てもよい(bleed out)。
【0058】
印刷プロセス時に形成されるセキュリティデザイン(たとえば大蔵省の紋章(treasury seal))を有する透明フィルムからなるセキュリティエンボスである。これらは、触覚/視覚の特徴を与えるために、エンボス処理されたブラインド部材であってもよいし、視認性をさらに改善するための印刷インクであってもよい。
【0059】
ストリップの少なくとも一方の表面がその長さ全体に沿って接触することができる接触測定である。測定は、ストリップを流れる電流について測定される抵抗、ストリップ内に埋設された超小型回路との接触、および、たとえばPVDFエレクトロクロミック導電性ポリマなどのストリップ内の材料を活性化する接触を含むことができる。
【0060】
転写プロセスのような印刷プロセス時に、ストリップの連続的に露出した表面に対して接着剤またはコーティングを塗布して、こうした領域に紙繊維が選択的に堆積されることである。これらは、登録済(registered)または未登録(non-registered)のデザインを形成でき、模倣品で再現することは困難である。図25および図26は、紙繊維が選択的に堆積して、たとえば符号19a,19bのイメージ、パターン、英数字などを形成することを示す。
【0061】
このように利用可能領域が広範であることに伴い、数多くの部材をストリップ13上で組み合わせて用いることができる。また図28および図29に示すように、ストリップ13にさまざまな形の穴が穿孔されて、新規な特徴を有し、あるいは空気流などによる機械判読性を有するものであってもよい。
【0062】
上述した用紙16は、紙幣、小切手、トラベラーズチェック、身分証明書、パスポート、債権などのセキュリティ用紙を含むすべての形態の証券を作製するために裁断し、印刷することができる。
【0063】
必要であれば、紙基板の第2層は、ストリップ13の一方の表面の視認性の効果を完全に滅殺するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10…シリンダ成形カバー、11…製紙原料、12…ブラインド部材、13…不浸透性基板またはストリップ、14…層、15…紙繊維、16…用紙。
【技術分野】
【0001】
本発明は、延伸不浸透性部材を組み込んだ紙に対する改良、およびその製紙方法、ならびに当該紙から製造された証券に関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティ用紙は、セキュリティ部材として、プラスチックフィルム、金属箔、金属化プラスチック、金属ワイヤなどからなるスレッド、ストリップまたはリボンのような延伸偽造防止部材を含むことが一般に知られている。こうしたセキュリティ部材は、そのセキュリティ用紙から作製される証券の偽造をより難しくするために、用紙の厚み内に取り込まれる。セキュリティ部材により、反射光と透過光とでセキュリティ用紙の見え方が異なるので用紙を認証しやすくする。こうした延伸部材を組み込んでセキュリティ機能を向上させるために、延伸部材自体に1つまたはそれ以上の認証可能な特性を付与することも知られている。このような付加的な特性は、磁気特性、導電性、X線および蛍光の吸収特性を含む。
【0003】
さらなるセキュリティ機能を与えるものとして、用紙の一方の表面に、離間した位置で延伸部材を露出させる窓部を設けることがとりわけ有効であることが知られている。窓部を含む、または含まないセキュリティ部材を組み込んだ用紙の製紙方法の具体例について以下に説明する。「窓開きスレッド入り用紙(windowed thread paper)」とは、任意の延伸セキュリティ部材を組み込んだ窓開き用紙を含むものと理解されたい。
【0004】
欧州特許出願公開第0059056号は、成形シリンダ製紙機械上で窓開きスレッド入り用紙を製紙する方法を記載している。その技術は、シリンダ成形カバーをエンボス加工し、水様原材料容器に浸漬する前に、成形カバーの隆起領域に不浸透性の延伸セキュリティ部材を当接させることを含む。エンボス加工された隆起領域において、不浸透性の延伸セキュリティ部材が密接に当接すると、繊維は積層し得ない。用紙が十分に製紙され、シリンダ成形カバーから離型した後、当接部分は露出領域として形成され、最終的には、紙幣用紙の一方の表面上に設けられた反射光で視認される窓部を構成するものとなる。
【0005】
国際特許出願公開第93/08327号は、長網抄紙機により窓開きスレッド入り用紙を製紙する方法を開示している。エンボスにより外形形状を変形させた回転式埋め込み手段を用いて、不浸透性の延伸セキュリティ部材をドレイン製紙容器内に移動させる。埋め込み手段は、隆起領域が埋め込みプロセス中セキュリティ部材と当接した状態で維持されるような外形形状を有する。すなわち、セキュリティ部材と埋め込み手段との間に紙繊維が取り込まれることを防止し、その結果、セキュリティ部材が用紙の窓開き領域で露出したものとなる。
【0006】
製造上の理由により、窓開きまたは窓なし用紙に用いられるセキュリティ部材は、たとえばその中心線に対してプラス・マイナス6mmの微小量で用紙基板内において振動させる。これは主として、500枚のシートからなる積層体をスレッドにおいて切断または裁断しやすくするためのものである。スレッドを振動させなければ、裁断刃は、500枚のシートからなるポリマ/金属/紙の積層体のたとえば1〜2mmの極めて限定的な面積が与えられる。これにより、切断刃の切れ味が鈍くなるか、切断刃が欠けやすくなる。スレッドを振動させることにより、この領域を10〜15mmの幅広の領域に広げ、刃が500枚のシートの積層体を貫通しやすくする。スレッドを振動させることにより、用紙から作製される紙幣がすべて同様に見えるようにする必要ある場合、窓部をデザインする際に平行なバー(bars)だけが使用できる。
【0007】
最近の調査によれば、上記製紙方法を用いて、4〜6mmの最大幅を有する不浸透性スレッドを用紙内に組み込むことができることが確認されている。これは、製紙原料がスレッドの周囲を流れ、完成した用紙においてはスレッドの前面で十分な紙領域が形成されるという要求に応えるものである。
【0008】
カナダ特許第2122528号明細書には、2〜4mm幅の幅広の不浸透性セキュリティストリップを組み込んだ偽造防止用紙が記載されている。その用紙は、別個の製紙機械で製紙された少なくとも2層の紙を有する多層デザインのものである。このセキュリティストリップは、第1層に埋め込まれ、その縁部に沿って貫通孔を有し、その貫通孔により排水を可能にし、スレッドの縁部に沿って紙繊維が堆積することができる。接触領域に露出したストリップの窓部を形成するために、製紙原料容器に隆起領域を浸漬する前に、エンボス加工されたシリンダ成形カバー上にストリップの前面を載置する。紙繊維がストリップの貫通孔を透過できるように、隆起領域の幅はストリップの幅より狭小となっている。ただし、ストリップの幅は十分に広いので、用紙の裏面に形成される紙のストリップの領域において任意の穴の形態にある欠陥が形成される。一般的な用紙の第2層は個別に形成され、上記2層が互いに重ね合わされて処理され、第2層が第1層の裏面にある欠陥を覆い、少なくとも1つの均質な紙表面を形成する。別の実施形態では、セキュリティストリップを完全に埋め込むように、第3層を第1層上に重ね合わさせる。さらに別の実施形態では、紙の第1層の裏面上に紙を形成することなく、当該裏面上で連続的な露出領域が形成されるようにストリップの幅を選択する。ストリップの前面に連続した露出領域を形成するために、隆起領域を製紙原料容器内に浸漬する前に、ストリップの前面を連続する隆起領域の上に載置する。そして紙の第2層は第1層に重ね合わされ、一方の表面には均質な紙の層を有し、他方の表面には連続した露出ストリップを有する完成したセキュリティ用紙が作製される。
【0009】
上述したすべての従来技術では、使用可能な延伸部材の幅は非常に制限される。また、必要とされるエンボス技術により生ずる制約に起因して、露出されるスレッドの領域の形状が限定され、製紙技術自体の特徴に起因してスレッドの領域の面積が限定される。
【0010】
したがって、本発明の1つの目的は、窓部または装飾パターンを表すセキュリティまたは非セキュリティ部材として用いられる幅広の不浸透性基板を含む用紙を作製するための改良された製紙方法を提供することである。
【発明の概要】
【0011】
本発明によれば、少なくとも部分的に埋め込まれた延伸不浸透性ストリップを含む単層紙の製造方法であって、多孔質支持表面の1つまたはそれ以上の選択された領域をブラインドするステップと、ブラインドされた領域の周囲の多孔質支持表面上に紙繊維の第1層を堆積させるステップと、不浸透性ストリップの少なくとも縁部を積層された繊維層上に載置して、不浸透性ストリップが多孔質支持表面上のブラインドされた領域に当接するように不浸透性ストリップを配置するステップと、紙繊維の第2層を、第1層および不浸透性ストリップの上に堆積させて、用紙内にストリップの縁部を十分に埋め込むステップとを有し、ブラインドされた領域は、不浸透性であるため、セキュリティ部材が載置される前に繊維層が堆積することを実質的に防ぎ、用紙の第1の表面において、不浸透性ストリップの一方の表面が露出した複数の離散的な半透明または透明の窓部を形成し、用紙の第2の表面において、不浸透性ストリップの一方の表面と対向する他方の表面上の長さ方向に沿った縁部の間の中央領域において紙繊維が実質的に積層されず、不浸透性ストリップの中央領域が連続的に露出することを特徴とする方法が提供される。
【0012】
窓開きセキュリティ用紙の好適な従来技術の製造方法は、エンボス加工されたシリンダ成形カバーを必要とする。用紙は均一かつ均質であることが好ましいという理由から、製紙技術においてブラインド加工は一般には利用されない。穴や穿孔が生じることは、通常あまり好ましいものではない。ティーバッグを作製するために用いられる紙が1つの例外であるが、こうした紙の製造方法はブラインド加工を含まない。
【0013】
不浸透性ストリップは、多少の紙繊維がブラインド領域の周囲に堆積した後に支持表面と接触するので、繊維がさらにブラインド領域上に堆積することを防止して、ブラインド処理で形成されるデザインを透明領域とすることができる。シリンダ成形カバーをエンボス加工した場合には埋め込まれるセキュリティスレッドの幅には制約が生じるところ、本発明の方法によれば、証券用紙自体の幅までの任意の幅の不浸透性ストリップを含み、かつ、証券用紙の表面に任意のデザインの透かしである用紙「コーティング」を有する証券用紙を作製することができる。証券用紙の裏面には、証印などの表示のために用いられる連続的に露出するストリップを含むものとすることができる。
【0014】
ストリップの一方の表面を支持表面に当接させる前に、ストリップの一方の表面に接着剤が塗布されることが好ましい。
【0015】
ストリップの他方の表面の1つのまたはそれ以上の領域に接着剤が塗布されることが好ましい
【0016】
ストリップは、製紙時に機械的に振動させないことが好ましい。
【0017】
これは、より精緻かつ微細なパターンをストリップの周囲に形成できることを意味するので、デザイン条件において有用である。
【0018】
本発明は、上記製紙方法により製紙された単層紙を提供することにあり、この単層紙は、第1および第2の表面と、少なくとも部分的に埋め込まれた延伸不浸透性ストリップとを有し、ストリップの縁部は第1および第2の表面の間に十分に埋め込まれ、ストリップの他方の表面上の中央領域が、紙の第1の表面において露出し、ストリップの一方の表面が、紙の第2の表面を構成する紙繊維の第1層により少なくとも部分的に覆われることを特徴とするものである。
【0019】
紙の第2の表面において、複数の離散的な窓部が形成され、当該窓部において、不浸透性ストリップがその離間した領域で露出することが好ましい。
【0020】
ストリップの幅が6〜25mmの範囲にあることが好ましい。
【0021】
このようにストリップが幅広であるとき、その上に繊維がほとんどまたはまったく堆積しないようにすることができる。ストリップの幅が8〜10mmの範囲にあることがさらに好ましい。
【0022】
ストリップが証印、イメージ、または情報を担持することが好ましい。
【0023】
ストリップが完全に、または部分的に金属化されており、そして/または1つまたはそれ以上のホログラフィ像を担持することが好ましい。
【0024】
ストリップが1つまたはそれ以上のカラーシフト領域を有し、そして/または少なくとも1つのセキュリティエンボス部材を有することが好ましい。
【0025】
ストリップの一方または両方の表面に印刷され、そして/または液晶部材を有することが好ましい。
【0026】
ストリップが25〜100μmの厚みを有することが好ましく、50μmの厚みを有することがより好ましい。
【0027】
ストリップの一方の表面に接着剤が塗布されていることが好ましい。
【0028】
ストリップの他方の表面が部分的な領域において接着剤が塗布され、ストリップの露出した中央領域に沿って紙パターンを形成するように接着領域において、紙が形成されていてもよい。
【0029】
本発明はまた、上述した紙またはセキュリティ証券から製造された証券を提供する。
【0030】
例示的な意図で添付図面を参照して、本発明について以下説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る製紙方法で用いられる製紙容器の概略的な側方断面図である。
【図2】本発明に係る製紙方法のステップを示す概略的な側方断面図である。
【図3】本発明に係る製紙方法のステップを示す概略的な側方断面図である。
【図4】本発明に係る製紙方法のステップを示す概略的な側方断面図である。
【図5】本発明に係る製紙方法のステップを示す概略的な側方断面図である。
【図6】本発明に係る製紙方法のステップを示す概略的な側方断面図である。
【図7】本発明に係る択一的な用紙の製紙時に用いられるシリンダ成形カバーにおける、ブラインド技術のみにより形成された一部を示す平面図である。
【図8】図7のシリンダ成形カバーのVIII−VIII線から見た側方断面図である。
【図9】図10のIX−IX線から見たときの、図7のシリンダ成形カバー上に形成された紙の側方断面図である。
【図10】図9の用紙の平面図である。
【図11】XI−XI線から見たときの図10の用紙の側方断面図である。
【図12】ブラインド技術により形成されたより複雑なデザインを示す図7と同様の図である。
【図13】ブラインド技術により形成されたより複雑なデザインを示す図8と同様の図である。
【図14】ブラインド技術により形成されたより複雑なデザインを示す図9と同様の図である。
【図15】ブラインド技術により形成されたより複雑なデザインを示す図10と同様の図である。
【図16】ブラインド技術により形成されたより複雑なデザインを示す図11と同様の図である。
【図17】本発明に係る実施形態による用紙の製紙時に用いられるシリンダ成形カバーにおける、エンボス技術およびブラインド技術により形成された一部を示す平面図である。
【図18】XVIII−XVIII線上の図7のシリンダ成形カバーの側方断面図である。
【図19】製紙プロセス中の紙繊維の部分的堆積を示す図8と同様の断面図である。
【図20】シリンダ成形カバー上に載置された不浸透性部材を示す図18および図19と同様の断面図である。
【図21】図17のシリンダ成形カバー上に形成された用紙を示す図18および図20と同様の断面図である。
【図22】図18〜図21に示すステップにより図17のシリンダ成形カバーを用いて形成された用紙の平面図である。
【図23】異なるレイアウトを有するシリンダ成形カバーを用いて本発明により製紙された択一的な用紙の平面図である。
【図24】異なるレイアウトを有するシリンダ成形カバーを用いて本発明により製紙された択一的な用紙の平面図である。
【図25】異なるレイアウトを有するシリンダ成形カバーを用いて本発明により製紙された択一的な用紙の平面図である。
【図26】異なるレイアウトを有するシリンダ成形カバーを用いて本発明により製紙された択一的な用紙の平面図である。
【図27】XXVI−XXVI線上からみた図26の用紙の側方断面図である。
【図28】異なるレイアウトを有するシリンダ成形カバーを用いて本発明により製紙された択一的な用紙の平面図である。
【図29】異なるレイアウトを有するシリンダ成形カバーを用いて本発明により製紙された択一的な用紙の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
まず図1〜図11を参照して、本発明に係る製紙方法について説明する。たとえばシリンダ成形カバー10の形態を有する多孔質支持表面は既知の手法により作製される。成形カバー10は、欧州特許出願公開第0070172号に開示のようなエンボス技術で形成された隆起領域を有するものではないが、成形カバー10上の選択領域12においては、成形カバー10にブラインド部材を固定することにより遮蔽される(覆い隠される)。ブラインド部材は、通常、シリンダ成形カバー10に溶着した金属部材であり(図2、図7、図8を参照されたい。)、完成用紙16に形成される窓部の形状を決定するものである。こうしたブラインド部材12は、ワックス、ポリマ、または排水ひいては繊維付着を防止するためにシリンダ成形カバー10に確実に固定できる他の任意の部材であってもよい。本明細書において、「窓部」なる用語には、規則的または不規則な形状および間隔で形成される用紙の透明または半透明の領域を含む。
【0033】
既知の手法において、図1に示すように、シリンダ成形カバー10を製紙原料容器11内で回転させる。シリンダ成形カバー10が回転するとき、幅広の延伸不浸透性基板13が、好ましくは6mm以上の幅を有するが、製紙材料11の水面下でシリンダ成形カバー10と接触する。これは、たとえば40gsmのシートを形成するために、紙繊維の層14がシリンダ成形カバー10上に堆積することを意味する(図3および図4を参照されたい。)。不浸透性基板13がブラインド部材に当接すると、さらなる紙繊維15が不浸透性基板13の上側表面および側部の周囲に堆積して、通常、80〜90gsmのシート15の残余部分を形成する(図5、図6および図9を参照されたい。)。製紙時において、不浸透性基板13の振動が起こらないことが好ましい。
【0034】
上述したように、基板13が浸漬される前に、紙繊維の層がシリンダ成形カバー10上に積層される。ただし、基板13がブラインド部材12に当接する前においては、ブラインド領域12には紙繊維がほとんどあるいはまったくカバーされないが、ブラインド領域12の間には紙繊維が完全にカバーされる。基板13が不浸透性であるため、基板13の上側表面の大部分には紙繊維がほとんどあるいはまったくカバーされない。すなわち、用紙16がシリンダ成形カバー10から取り外されたとき(図10を参照されたい。)、用紙16は、不浸透性基板の幅広ストリップ13が組み込まれ、ストリップ13の両側側部は、用紙16の2つの表面の間に完全に埋め込まれ、ストリップ13は所定位置に確実に保持される。ストリップ13が透明であれば、用紙にはブラインド領域12に対応する1つまたはそれ以上の半透明または透明の窓部17が形成される。
【0035】
本発明により製紙され得る用紙の別の具体例について図12〜図16に図示され、シリンダ成形カバー10のブラインド領域としてより複雑なデザインが採用されている。ここで用いられるブラインド部材は、ストリップ13によりカバーされる否かに依存して、所定領域において異なる透明度を実現するために、さまざまな高さおよび/または幅を有する。
【0036】
図17〜図21に示すように、本発明の変形例において、1つまたはそれ以上の隆起領域19を形成するようにエンボス加工されたワイヤ(網)を構成するダイスを用いて、シリンダ成形カバー10が既知の手法で作製される。これらの隆起領域19は、完成用紙16の窓部17の形状を決定するものである。そして隆起領域19の上側表面は、ブラインド部材12で遮蔽される(覆い隠される)。不浸透性ストリップ13が原料11の水面下で隆起領域19に当接したときに、図20に示すようにストリップの側部が隆起領域の両側縁部から突出するように、隆起領域19の幅が設定される。
【0037】
いずれの方法においても、不浸透性ストリップ13は、少なくとも一方の表面上に均一な接着剤または他の適当なコーティングを有していてもよい。これにより、ストリップ13が製紙原料11の容器内に浸漬されたとき(図1を参照されたい。)、ストリップ13のコーティングされた表面が成形カバー10に対向し(図22参照)、繊維ブリッジ領域18において、そしてストリップ13の縁部に沿って、繊維がストリップ13に十分に付着する。成形カバー10の周囲のストリップ13の縁部上では、紙は継続して堆積される。好適にも基板が疎水性であるとき、主としてストリップ13の幅に起因して、接着剤がコーティングされていない領域上においては、繊維はほとんど、またはまったく堆積しない。このとき、接着剤コーティングは好適には親水性であるが、繊維をストリップの表面から引き離す傾向がある。接着剤がコーティングされていない領域に積層されたわずかな繊維は、その後、プレスロールにより、一般の製紙プロセスの最終段階でシリンダを乾燥させる際に取り除かれる。
【0038】
本発明の別の実施形態では、接着剤がコーティングされていない領域に疎水性コーティングを付して、繊維で覆われることを防止しやすくしてもよい。
【0039】
ストリップ13が浸漬される前に、多少の繊維がブラインド部材上に積層した場合であっても、用紙の周辺の残余部分に比して、紙繊維が存在する割合が小さいため、ブラインド部材上の紙繊維密度はかなり小さいものとなる。こうして、反射光および透過光の両方において、用紙の「ワイヤ」側の表面で明確に視認できる半透明または透明な「ストライプ」21が形成される(図10および図15を参照されたい。)。このストライプ21内において、ストリップ13が窓部17で部分的に露出する。用紙のもう一方の「フェルト」側の表面では、ストリップの中央領域が完全に露出している。用いられるブラインド部材が大きいほど(図2〜図6)、ストリップ13が浸漬される前に堆積する紙は少なく、ストライプ21の透明度は高くなる。用いられるブラインド部材が小さいほど(図7〜図11)、より多くの紙が堆積し、ストライプ21の透明度は低くなる。
【0040】
この方法によれば、不浸透性基板からなるたとえば6mm〜25mmの幅広ストリップを用紙基板として組み込むことができる。ストリップ13の幅を紙幣の幅とほぼ同程度にして、完成した紙幣の各縁部において用紙の狭小な余白部分が形成されるようにしてもよい(注:この文脈において、ストリップ13は、狭小でなく、細長くなく、完成した紙幣においてストリップと表現されるには適切でないものであってもよく、製紙時における用紙シート全体に対するストリップである。したがって、本明細書で「ストリップ」というとき、そのように解釈されたい。)。用紙の「ワイヤ」側の表面から反射光を見るとき、大きな透明窓部17は、半透明ストライプ21内で明瞭に視認することができる。
【0041】
不浸透性基板からなるこの幅広ストリップ13は、大きい窓部17において明瞭に視認できる証印(indicia)を示す表示表面として用いることができ、こうした証印は、たとえば非金属化像、ホログラフィ像、カラーシフト領域、印刷、またはこれらの内の任意のものまたはすべてのものによる組み合わせを含む。ただし、無地の透明なストリップ13を用いた場合、窓部17は部分的に半透明または完全に透明となる。ワイヤ側表面から透過光で見たとき、ストリップ13の完全に埋め込まれた縁部上に形成された証印、金属化物または着色を同様に視認することができる。ストリップ13の露出部分上の証印が滲み出すような証印、または露出部分上の証印を補完するような証印が、こうした縁部に設けられていてもよい。
【0042】
ストリップの幅に依存するが、窓部17はたとえば20mm四方の正方形または5mm×15mmの長方形であってもよい。
【0043】
用紙16のフェルト表面から見たとき、ストリップ13自体は、透明であり、光沢を有し、着色され、あるいは金属化された領域として、すなわち連続的な露出領域として視認され、こうした領域に証印、情報またはイメージを形成することができる。こうした領域は、用紙16の長さまたは幅全体に沿って、あるいは長さまたは幅の実質的部分に沿って拡張するものであってもよい。
エンボス技術による、またはエンボス技術によらないブラインド部材が、単純な長方形または正方形以外の画像パターンまたは幾何学的パターンを有する場合、こうしたパターンは、ストリップ13の長さ方向に沿って確認することができ、透明ストリップ13の窓部においては、完全または部分的に視認することができる。
【0044】
ストリップ13に対する好適な材料として、たとえば50μm厚のPET製ストリップがあり、これにより、窓部領域上に用紙16の「バルク(bulk)」を形成しやすくなる。ただし、異なる厚みを有するOPP、PEまたはPKのような他の材料を用いてもよい。1つの実施形態では、窓部内において金属化領域と非金属化領域との間のコントラストをより大きくするために、大面積の透明領域を有する非金属化像が用いられる。用紙16をワイヤ側表面から見たとき、金属化のコントラストにより、窓部17の間の紙ブリッジ領域18の視認性が改善される。
【0045】
本発明の上記実施形態では、ストリップ13の一方の表面には均一に接着剤を塗布し、他方の表面にはバンド−スリット状(in bands and slit)に、すなわちストリップ13の縁部にのみ接着剤を塗布してもよいことについて説明した。さらに用紙16のフェルト側表面上に追加的なパターンを形成するために、転写または他の印刷プロセスにより所定のパターンで接着剤を塗布してもよい。
【0046】
ただし本発明の別の実施形態では、ストリップ13の両方の表面の全体に接着剤またはコーティングを塗布してもよい。このとき、フェルト側表面上に紙の層が堆積し、ストリップ13のその表面全体がカバーされる。ストリップ13の第2の部分の領域では、半透明ストライプ21が周囲の紙16と比べると依然として明瞭に視認される。
【0047】
埋設される窓開きセキュリティスレッドを作製するための既知のプロセスで用いられる標準の接着剤またはコーティングを用いてもよいし、あるいは初期の製紙段階で紙繊維を保持する親水性表面を与える熱活性接着剤または水性接着剤の任意の形態のものを用いてもよい。
【0048】
好ましくはストリップ13を振動させることなく、不浸透性基板からなる幅広ストリップ13と、カバー10のブラインド部材とを組み合わせることにより、従来技術では実現されない他の興味深い特徴を得ることができる。その特徴として、他のデザインまたは証印を形成するために紙ブリッジ領域18を変形することが含まれる。より複雑なデザインおよび英数字パターンを含め、山形状、波状、および他の幾何学パターンを形成することができる。いくつかの具体例が図23および図24に図示されている。
【0049】
成形カバー10上にブラインド部材を作製するために電気版技術を用いると、幅広の平坦領域を有するプレートを用いて、規則的な透明窓部を任意の形状に形成することができる。ただし狭小な電気版を用いると、透明領域が形成されず、代わりに細部を緻密なものとすることができる半透明領域が形成される。これは、ストリップ13の領域の明帯において改善された電気版イメージの高い視認性効果を実現する。
【0050】
ストリップ13は、好適にも、情報担体として利用でき、そして/または広範な既知のセキュリティ部材を含むことができる。以下のものを含み得る。
【0051】
ベースフィルムの透明性を活用するとともに、大面積の透明窓部17を形成するために、実質的に金属を除去した領域を含む非金属化デザインである。
【0052】
金属形成領域、中間調画像(half-tone screen)領域、および/または金属非形成領域を有するホログラフィデザインである。特定の視認条件下では、金属が形成されないとき、ホログラフィ像がなお視認される。
【0053】
偽造しようとしたときに表裏面にモアレパターンがはっきりと現れる特徴部材を印刷した表裏印刷位置合わせ(front to back print registration)である。択一的には、セキュリティ部材としてのストリップ13を用紙内に挿入する前に、透明フィルム上にこうしたパターンを形成することもできる。こうしたパターンを正確に再現することは極めて困難であり、偽造できない。
【0054】
表面と裏面に異なる色で印刷することである。かかる印刷は、ストリップの一方の表面または両方の表面にしてもよく、一方の表面上の1つの色が他方の色で隠れるが、他方の表面から透けて見えるものであってもよい。
【0055】
国際特許出願公開第94/02329号に記載されたような、液晶分子材料が透かしの上にコーティングされるとき、色の変化が視認される液晶フィルムである。用紙表面の散乱効果により、大部分の色強度が損なわれる。完全に透明な窓部を用いることにより、反射光および透過光の両方で非常に鮮明な色変化を視認することができる。
【0056】
発光材料または磁気材料である。
【0057】
埋め込まれた非金属化領域である。ストリップ13の各縁部における領域は、完全に埋め込まれているため、証券用紙を透過光で見たときにだけ視認される非金属化イメージを含むことができる。この領域は、反射光および透過光で視認される類似の隣接領域を模倣してもよいし、あるいは金属化領域が隣接領域に滲み出てもよい(bleed out)。
【0058】
印刷プロセス時に形成されるセキュリティデザイン(たとえば大蔵省の紋章(treasury seal))を有する透明フィルムからなるセキュリティエンボスである。これらは、触覚/視覚の特徴を与えるために、エンボス処理されたブラインド部材であってもよいし、視認性をさらに改善するための印刷インクであってもよい。
【0059】
ストリップの少なくとも一方の表面がその長さ全体に沿って接触することができる接触測定である。測定は、ストリップを流れる電流について測定される抵抗、ストリップ内に埋設された超小型回路との接触、および、たとえばPVDFエレクトロクロミック導電性ポリマなどのストリップ内の材料を活性化する接触を含むことができる。
【0060】
転写プロセスのような印刷プロセス時に、ストリップの連続的に露出した表面に対して接着剤またはコーティングを塗布して、こうした領域に紙繊維が選択的に堆積されることである。これらは、登録済(registered)または未登録(non-registered)のデザインを形成でき、模倣品で再現することは困難である。図25および図26は、紙繊維が選択的に堆積して、たとえば符号19a,19bのイメージ、パターン、英数字などを形成することを示す。
【0061】
このように利用可能領域が広範であることに伴い、数多くの部材をストリップ13上で組み合わせて用いることができる。また図28および図29に示すように、ストリップ13にさまざまな形の穴が穿孔されて、新規な特徴を有し、あるいは空気流などによる機械判読性を有するものであってもよい。
【0062】
上述した用紙16は、紙幣、小切手、トラベラーズチェック、身分証明書、パスポート、債権などのセキュリティ用紙を含むすべての形態の証券を作製するために裁断し、印刷することができる。
【0063】
必要であれば、紙基板の第2層は、ストリップ13の一方の表面の視認性の効果を完全に滅殺するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10…シリンダ成形カバー、11…製紙原料、12…ブラインド部材、13…不浸透性基板またはストリップ、14…層、15…紙繊維、16…用紙。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に埋め込まれた延伸不浸透性ストリップを含む単層紙の製造方法であって、
多孔質支持表面の1つまたはそれ以上の選択された領域をブラインドするステップと、
ブラインドされた領域の周囲の多孔質支持表面上に紙繊維の第1層を堆積させるステップと、
不浸透性ストリップの少なくとも縁部を積層された繊維層上に載置して、不浸透性ストリップが多孔質支持表面上のブラインドされた領域に当接するように不浸透性ストリップを配置するステップと、
紙繊維の第2層を、第1層および不浸透性ストリップの上に堆積させて、用紙内にストリップの縁部を十分に埋め込むステップとを有し、
ブラインドされた領域は、不浸透性であるため、セキュリティ部材が載置される前に繊維層が堆積することを実質的に防ぎ、用紙の第1の表面において、不浸透性ストリップの一方の表面が露出した複数の離散的な半透明または透明の窓部を形成し、
用紙の第2の表面において、不浸透性ストリップの一方の表面と対向する他方の表面上の長さ方向に沿った縁部の間の中央領域において紙繊維が実質的に積層されず、不浸透性ストリップの中央領域が連続的に露出することを特徴とする方法。
【請求項2】
不浸透性ストリップの一方の表面を多孔質支持表面に当接するように、不浸透性ストリップを多孔質支持表面上に配置するステップの前に、不浸透性ストリップの一方の表面に、接着剤または疎水性コーティングが塗布されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
不浸透性ストリップの他方の表面の1つのまたはそれ以上の領域に接着剤が塗布されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ストリップは、製紙時に機械的に振動させないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載の方法により製紙された単層紙であって、
第1および第2の表面と、少なくとも部分的に埋め込まれた延伸不浸透性ストリップとを有し、
ストリップの縁部は第1および第2の表面の間に十分に埋め込まれ、
ストリップの他方の表面上の中央領域が、紙の第1の表面において露出し、
ストリップの一方の表面が、紙の第2の表面を構成する紙繊維の第1層により少なくとも部分的に覆われることを特徴とする単層紙。
【請求項6】
紙の第2の表面において、複数の離散的な窓部が形成され、
当該窓部において、不浸透性ストリップがその離間した領域で露出することを特徴とする請求項5に記載の単層紙。
【請求項7】
ストリップの幅が6〜25mmの範囲にあることを特徴とする請求項5または6に記載の単層紙。
【請求項8】
ストリップが証印、イメージ、または情報を担持することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項9】
ストリップが完全に、または部分的に金属化されていることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項10】
ストリップが1つまたはそれ以上のホログラフィ像を担持することを特徴とする請求項5〜9のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項11】
ストリップが1つまたはそれ以上のカラーシフト領域を有することを特徴とする請求項5〜10のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項12】
ストリップが少なくとも1つのセキュリティエンボス部材を有することを特徴とする請求項5〜11のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項13】
ストリップの一方または両方の表面に印刷されていることを特徴とする請求項5〜12のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項14】
ストリップが液晶部材を有することを特徴とする請求項5〜13のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項15】
ストリップが25〜100μmの厚みを有することを特徴とする請求項5〜14のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項16】
ストリップが50μmの厚みを有することを特徴とする請求項15に記載の単層紙。
【請求項17】
ストリップの一方の表面に接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項5〜16のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項18】
ストリップの他方の表面が部分的な領域において接着剤が塗布され、ストリップの露出した中央領域に沿って紙パターンを形成するように接着領域において、紙が形成されることを特徴とする請求項17に記載の単層紙。
【請求項19】
請求項5〜18のいずれか1に記載の単層紙から製造された証券。
【請求項20】
請求項5〜18のいずれか1に記載の単層紙から製造された偽造防止証券。
【請求項1】
少なくとも部分的に埋め込まれた延伸不浸透性ストリップを含む単層紙の製造方法であって、
多孔質支持表面の1つまたはそれ以上の選択された領域をブラインドするステップと、
ブラインドされた領域の周囲の多孔質支持表面上に紙繊維の第1層を堆積させるステップと、
不浸透性ストリップの少なくとも縁部を積層された繊維層上に載置して、不浸透性ストリップが多孔質支持表面上のブラインドされた領域に当接するように不浸透性ストリップを配置するステップと、
紙繊維の第2層を、第1層および不浸透性ストリップの上に堆積させて、用紙内にストリップの縁部を十分に埋め込むステップとを有し、
ブラインドされた領域は、不浸透性であるため、セキュリティ部材が載置される前に繊維層が堆積することを実質的に防ぎ、用紙の第1の表面において、不浸透性ストリップの一方の表面が露出した複数の離散的な半透明または透明の窓部を形成し、
用紙の第2の表面において、不浸透性ストリップの一方の表面と対向する他方の表面上の長さ方向に沿った縁部の間の中央領域において紙繊維が実質的に積層されず、不浸透性ストリップの中央領域が連続的に露出することを特徴とする方法。
【請求項2】
不浸透性ストリップの一方の表面を多孔質支持表面に当接するように、不浸透性ストリップを多孔質支持表面上に配置するステップの前に、不浸透性ストリップの一方の表面に、接着剤または疎水性コーティングが塗布されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
不浸透性ストリップの他方の表面の1つのまたはそれ以上の領域に接着剤が塗布されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ストリップは、製紙時に機械的に振動させないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載の方法により製紙された単層紙であって、
第1および第2の表面と、少なくとも部分的に埋め込まれた延伸不浸透性ストリップとを有し、
ストリップの縁部は第1および第2の表面の間に十分に埋め込まれ、
ストリップの他方の表面上の中央領域が、紙の第1の表面において露出し、
ストリップの一方の表面が、紙の第2の表面を構成する紙繊維の第1層により少なくとも部分的に覆われることを特徴とする単層紙。
【請求項6】
紙の第2の表面において、複数の離散的な窓部が形成され、
当該窓部において、不浸透性ストリップがその離間した領域で露出することを特徴とする請求項5に記載の単層紙。
【請求項7】
ストリップの幅が6〜25mmの範囲にあることを特徴とする請求項5または6に記載の単層紙。
【請求項8】
ストリップが証印、イメージ、または情報を担持することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項9】
ストリップが完全に、または部分的に金属化されていることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項10】
ストリップが1つまたはそれ以上のホログラフィ像を担持することを特徴とする請求項5〜9のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項11】
ストリップが1つまたはそれ以上のカラーシフト領域を有することを特徴とする請求項5〜10のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項12】
ストリップが少なくとも1つのセキュリティエンボス部材を有することを特徴とする請求項5〜11のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項13】
ストリップの一方または両方の表面に印刷されていることを特徴とする請求項5〜12のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項14】
ストリップが液晶部材を有することを特徴とする請求項5〜13のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項15】
ストリップが25〜100μmの厚みを有することを特徴とする請求項5〜14のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項16】
ストリップが50μmの厚みを有することを特徴とする請求項15に記載の単層紙。
【請求項17】
ストリップの一方の表面に接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項5〜16のいずれか1に記載の単層紙。
【請求項18】
ストリップの他方の表面が部分的な領域において接着剤が塗布され、ストリップの露出した中央領域に沿って紙パターンを形成するように接着領域において、紙が形成されることを特徴とする請求項17に記載の単層紙。
【請求項19】
請求項5〜18のいずれか1に記載の単層紙から製造された証券。
【請求項20】
請求項5〜18のいずれか1に記載の単層紙から製造された偽造防止証券。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2009−197384(P2009−197384A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−118688(P2009−118688)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【分割の表示】特願2000−591271(P2000−591271)の分割
【原出願日】平成11年12月16日(1999.12.16)
【出願人】(598151304)ドゥ ラ リュ インターナショナル リミティド (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118688(P2009−118688)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【分割の表示】特願2000−591271(P2000−591271)の分割
【原出願日】平成11年12月16日(1999.12.16)
【出願人】(598151304)ドゥ ラ リュ インターナショナル リミティド (20)
【Fターム(参考)】
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