説明

製造ラインの部品搬送装置

【課題】人手を介することなく製造日時順に部品を組立ラインに供給することができ、組立ラインが複数ある場合に各組立ラインにおいて部品の不足が生じないように割り当てできる製造ラインの部品搬送装置を提供する。
【解決手段】部品供給ライン1と組立ライン5a,5bとの間にバッファライン4を設ける。台車2に載置された部品3には、部品番号等を表示したラベル7と、部品情報を記憶したRFIDタグ8とが取り付けられている。バッファライン4の搬入口44においてタグリーダ10で部品3の部品情報を読み取り、組立ライン5a,5bからの部品要求に基づきコントローラ13が部品3を製造日時順に搬出口45a,45bから搬出する。組立ライン5aにおいて部品3が不足しているときは、組立ライン5bに搬送されるべき同種の部品3を代替部品として組立ライン5aに搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部品を組み立てて製品を製造するための製造ラインにおいて部品を搬送する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等の複数の部品を組み立てて製品を製造する製造ラインにおいては、多数の部品製造ラインから供給される部品や、部品メーカーから搬入される部品等が組立ラインに向けて搬送され、組立ラインにおいてこれらの部品が組み立てられて製品が製造されている。また、部品製造ラインや部品メーカーから搬送された部品は、一度受け入れ場所等に保管され、その上で各組立ラインに搬送される。
【0003】
一般に、部品が組立ラインに搬送される際には、部品が製造された日時の早いものから順に組立ラインに供給されることが必要とされている。それは、ある部品に不具合があることが判明し、その部品を含む製品の回収等を行わなければならないとき、部品の製造日時によって回収が必要な製品の特定を行うために必要となるからである。製造日時の早い部品から順に組立ラインに供給されている場合、仮にその部品に不具合が発生しても、不具合が生じた製造日時(日数或いは時間)の部品が含まれる製品のみを特定することができる。このため、回収にあたっては回収が必要な製品のみを回収することが可能となる。
【0004】
ところが、製造日時の早いものから順に組立ラインに供給されていない場合は、ある一定の期間内に組み立てられた製品であっても、不具合を有する部品を含む製品と正常な部品を含む製品とが混在することになる。従って、回収すべき製品を特定するために、不具合を有する部品を含む可能性がある期間内に製造された製品すべてを回収の対象としなければならない。従って、本来回収すべき製品のみならず、回収が不要な製品まで回収の対象としなければならなくなる。
【0005】
従来は、上記不都合を解消するために、作業員が部品の保管場所において、複数の部品に取り付けられた伝票を目視で確認するか、或いは伝票に付されているバーコードを読み取ることにより当該部品の製造日時を把握し、その製造日時の順に組立ラインに搬送していた。例えば、部品を台車の上に載置して台車により組立ラインに搬送する製造ラインにおいては、作業員が台車を部品の製造日時順に並べて組立ラインに搬送するという作業を行っていた。しかしながら、このような人手による作業は繁雑であり、作業ミスが生じるおそれがあった。
【0006】
一方、下記特許文献1には、伝票やバーコードではなくIDタグを用いて製品の生産管理及び出荷管理を行う技術が開示されている。この特許文献1に開示された技術は、製品の注文があった際に出荷管理用と生産管理用にそれぞれIDタグを生成し、生産管理と出荷管理に当該IDタグを利用するものである。
【0007】
この特許文献1に開示された技術では、複数の部品収納エリアを有する棚にIDタグを貼り付け、そのIDタグが貼られている棚に生産された製品を一時的に収納し、すべてのIDタグに対応する製品が棚に収納されたときに、すべての製品をコンテナに収納して次工程に移動させている。また、製品の出荷時に出荷エリアに貼り付けられたIDタグと製品のIDタグとを照会し、すべての製品が揃ったことを確認して出荷を行っている。
【0008】
ところが、このような構成では、IDタグを利用しているにもかかわらず、棚への製品の収納やコンテナでの製品の収納に際して人手が必要となるため、自動化が困難であった。また、棚やコンテナへの製品の収納時には作業員が目視で確認を行うため、出荷ミス等が発生するおそれもある。
【特許文献1】特開2004−182408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、製造ラインの部品搬送装置の改良を目的とし、さらに詳しくは前記不都合を解消するために、人手を介することなく製造日時順に部品を組立ラインに供給することができる部品搬送装置を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、組立ラインが複数ある場合に、各組立ラインにおいて部品の不足が生じないように割り当てを行うことができる製造ラインの部品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の製造ラインの部品搬送装置は、複数の部品を組み立てて製品を製造する製造ラインで用いられる部品搬送装置であって、部品供給ラインと組立ラインとの間に循環軌道を有するバッファラインが設けられ、前記部品には少なくとも前記部品が製造された日時を含む部品情報が記録されたRFIDタグが付随し、前記バッファラインは、前記部品が前記部品供給ラインから搬入される搬入口と、前記部品が前記組立ラインに搬出される搬出口と、前記RFIDタグの部品情報を読み取る読取手段と、前記部品を搬送する駆動手段と、前記搬出口から前記部品を搬出させる搬出手段と、前記駆動手段と前記搬出手段とを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記組立ラインからの部品要求に対し、前記読取手段で読みとられた前記部品情報を基にして前記製造日時が早い順に前記部品を前記搬出口から搬出させることを特徴とする。
【0011】
本発明の製造ラインの部品搬送装置によれば、前記部品供給ラインと前記組立ラインとの間に循環軌道を有するバッファラインが設けられており、当該バッファライン上の部品は前記制御手段により前記RFID(Radio Frequency Identification)タグに記憶された製造日時が早い順に前記搬出口から搬出される。このため、前記部品が前記搬入口から前記バッファラインに搬入される際に当該部品の製造日時順に搬送されていなくても、前記搬出口から搬出される際には製造日時順に搬出される。従って、人手を介することなく部品を製造日時順に組立ラインに供給することができる。
【0012】
また、本発明の製造ラインの部品搬送装置において、前記バッファラインが複数の組立ラインに対して部品を搬出し、前記RFIDタグ内の部品情報を変更可能な情報書込手段を有し、前記RFIDタグの部品情報に搬送先の組立ラインを含むものであるときは、前記制御手段は、部品要求のあった一の組立ラインに搬送される部品が前記バッファライン上に存在せず、他の組立ラインに搬送される部品であって前記一の組立ラインで使用可能な代替部品が存在するとき、前記情報書込手段によって前記代替部品に付随するRFIDタグの搬送先組立ラインに関する部品情報を前記一の組立ラインに変更し、前記代替部品を前記一の組立ラインに搬出することが好ましい。
【0013】
また、この場合、前記制御手段は、前記代替部品を前記一の組立ラインに搬出した後、前記搬入口から前記代替部品と同種の部品が搬入されたときは、搬入された部品に付随するRFIDタグの搬送先組立ラインに関する部品情報を前記他の組立ラインに変更し、前記同種の部品を前記他の組立ラインに搬出することが好ましい。
【0014】
生産ラインにおいては、ある組立ラインにおいて必要とされる部品が前記バッファライン上にないという事態も生じうるが、各部品は通常生産計画に基づいて組立ラインに供給されているため、このような事態は一時的であると考えられる。そこで、前記制御手段が前記代替部品を当該部品が不足している組立ラインに一時的に供給することにより、当該組立ラインにおいて生産が滞るという事態を解消することができる。
【0015】
また、代替部品として使用された部品と同種の部品については、前記生産計画に基づき程なく前記バッファラインに搬入されてくることが予想される。このため、前記制御手段により前記バッファラインに搬入されてきた当該部品のRFIDタグの部品情報を書き換えて、一時的に部品を使用された組立ラインに搬送することにより、当該組立ラインにおいて部品が不足するという事態を解消することができる。
【0016】
このように、本発明の部品搬送装置によれば、ある組立ラインで必要とされる部品が前記バッファライン上に存在しない場合に、前記代替部品を当該組立ラインに供給し、後に前記代替部品と同種の部品が搬送されてきた際に他の組立ラインに搬送することにより、各組立ラインにおいて部品の不足が生じないように割り当てを行うことができる。
【0017】
また、本発明の製造ラインの部品搬送装置においては、前記読取手段が前記搬入口に設けられ、前記RFIDタグの部品情報を読み取る際に前記部品が搬入される前記バッファラインの位置情報を読み取り、前記制御手段が前記部品の位置情報を基に前記部品を前記搬出口から搬出する際に前記バッファライン上での移動が最小限となるように前記駆動手段を駆動させることが好ましい。
【0018】
或いは、前記RFIDタグが電源を内蔵するアクティブRFIDタグであり、前記読取手段は前記バッファライン上にあるすべての前記RFIDタグと交信可能な位置に設けられており、前記RFIDタグの部品情報を読み取る際に前記バッファラインにおける部品の位置情報を読み取り、前記制御手段が前記部品の位置情報を基に前記部品を前記搬出口から搬出する際に前記バッファライン上での移動が最小限となるように前記駆動手段を駆動させることが好ましい。
【0019】
このように、前記部品について前記バッファライン上の位置情報を取得することにより、前記制御手段は前記搬出口から部品を搬出する際に前記バッファラインの駆動を最小限とすることができるため、部品の迅速で効率の良い搬出が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の製造ラインの部品搬送装置の実施形態の一例について、図1乃至図3を参照して説明する。本実施形態の製造ラインは自動二輪車を組み立てるラインであり、図1に示すように、複数の部品供給ライン1から台車2によって搬送される部品3を、バッファライン4を介して複数の組立ライン5a,5bに搬送するものである。
【0021】
部品供給ライン1は、部品組立ライン(図示省略。以下同じ。)によって組み立てられたエンジンや、部品製造メーカーから供給されたバッテリ等の部品を台車2によって搬送するラインである。これらの複数の部品供給ライン1から運ばれてきた台車2は、後述するバッファライン4の搬入口44から順次バッファライン4に搬入される。
【0022】
部品3は、図2に示すように、本実施形態では1台の台車2に同種の部品3が複数一組となって載置されており、その一組の部品3について1枚のラベル7が貼付されている。このラベル7には、その部品3が組み付けられる製品名71と、販売される国名72、部品3の種類等の情報を表す部品番号73と、製造日時74と、供給されるべき組立ラインの情報である供給先組立ライン75が記載されている。このラベル7に記載されている製造日時74は、図2に示すように、複数ある部品3の内、最も早い時期に製造された部品の製造日時と、最も遅い時期に製造された部品の製造日時とが記載される。
【0023】
また、ラベル7にはRFIDタグ8が取り付けられている。このRFIDタグ8にはラベル7に記載されている情報と同一の部品情報が記憶されている。また、このRFIDタグ8は、情報を記憶する領域に書き換え可能なエリアを有しており、供給先組立ライン75の情報はこの書き換え可能領域に記憶されている。尚、本実施形態においては、このRFIDタグ8は内部に電源を有しないパッシブ型のタグを使用している。
【0024】
この部品3が載置される台車2は、部品を載置する載置面の下方に被係止部(図示省略。以下同じ。)が設けられており、各ラインにおいてこの被係止部が係止されて台車の移動が行われている。
【0025】
組立ライン5a,5bは、バッファライン4から供給されたエンジン等の部品を組み立てて自動二輪車を製造するラインである。本実施形態では、組立ライン5a,5bの側方に必要な部品の台車2が並べられるようになっている。また、組立ライン5a,5bが所定の速度で流れており、作業員9は組み立て途中の自動二輪車にと共に移動する。そして、作業者が部品3を組み付ける際には必要な部品3が組立ライン5aの近傍に準備されている状態とすることにより、作業効率の良い組み立て作業を可能としている。
【0026】
バッファライン4は、部品供給ライン1から搬送される部品3を一時的にストックしておき、必要に応じて組立ライン5aに部品3を供給するラインである。本実施形態では、図1に示すように、台車2の被係止部を係止して略楕円軌道上を移動する移動係止部41を有しており、移動係止部41はベルト42及びモータ43(駆動手段)により移動される。
【0027】
また、バッファライン4には、部品供給ライン1から供給された部品3を搬入する搬入口44を備えている。この搬入口44には、部品3に貼付されたRFIDタグ8に記憶されている部品情報を読み取るタグリーダ10(読取手段)が設けられている。また、バッファライン4には、組立ライン5aに部品3を排出する搬出口45a,45bが設けられている。搬出口45aは組立ライン5aに部品を搬出するための搬出口であり、搬出口45bは組立ライン5bに部品を搬出するための搬出口である。この搬出口45a,45bには、部品3に貼付されたRFIDタグ8に記憶されている部品情報を読み取ると共に、RFIDタグ8の書き換え可能領域における情報の書き換えを行うリーダライタ11a,11bが設けられている。また搬出口45a,45bの近傍には、後述するように供給先組立ライン75が変更になった際に変更があった旨のラベルを貼付するラベリング装置12a,12bが設けられている。
【0028】
また、本実施形態においては、バッファライン4の移動係止部41の移動や搬出口45aからの部品の搬出の指示を行うコントローラ13(制御手段)が設けられている。このコントローラ13は、CPU、ROM(EEPROM等)やRAMなどのメモリ、信号入力回路、信号出力回路等と、CPUに特定の情報処理機能を付与するためメモリ(または記憶装置)に格納されている本発明を実行するためのプログラムを含むコンピュータ及びインターフェース等から構成されている。また、コントローラ13は、タグリーダ10及びリーダライタ11a,11bからの情報を読み取り、バッファライン4の駆動手段であるモータ43を駆動させ、バッファライン4における台車2の流れを制御している。また、コントローラ13はラベリング装置12aの制御も行っている。
【0029】
次に、本実施形態の製造ラインの部品搬送装置の作動について説明する。まず、部品供給ライン1において、部品組立ラインや部品製造業者から台車2によって部品3が搬送されてきたときは、搬送されてきた順に搬入口44からバッファライン4に搬入される。このとき、部品組立ラインから部品供給ライン1までの距離が相違する等の理由により、同種の部品について必ずしも製造日時順に搬送されるわけではないが、そのまま搬入口44からバッファライン4上に搬入される。
【0030】
搬入口44においては、移動係止部41によって台車2の被係止部が係止されて台車2のままバッファライン4に送られる。このとき、タグリーダ10によって台車2上の部品3に取り付けられているRFIDタグ8の部品情報が読み取られ、当該部品情報はコントローラ13に送信される。コントローラ13では、タグリーダ10から部品情報を受け取ったときは、その部品情報と共にその部品3がバッファライン4のどの移動係止部41で搬送されるかというバッファライン4における位置情報を入手する。
【0031】
このようにバッファライン4に搬入された部品3及び台車2は、バッファライン4上を移動しながら組立ライン5a又は5bに搬送されるのを待つ。
【0032】
コントローラ13には、必要に応じて組立ライン5a,5bから部品搬送要求がなされる。例えば、組立ライン5aが部品であるバッテリ31を必要としているときは、コントローラ13に対してバッテリ31の搬出指示を出す。コントローラ13では、組立ライン5aからの部品搬送要求に基づき、バッテリ31がバッファライン4上に存在するか検索する。検索対象は搬入口44から搬入されてタグリーダ10によって読み込まれた部品情報である。コントローラ13は、この部品情報の中からバッテリ31に関するものを検索し、その中で製造日時が一番早いものを検索する。
【0033】
組立ライン5aに搬送されるべき部品であり、部品種類が同一である部品(例えばバッテリ31)が図1に示すように複数ある場合、その中で製造日時が一番早いバッテリが選択される。同様に、コントローラ13になされた他の部品(例えばエンジン32)に関する部品要求についても、同様に製造日時が一番早い部品3が選択される。
【0034】
コントローラ13では、各組立ライン5aからの部品要求について、先着順に先頭から第5番目までの部品要求を基礎として、バッファライン4をどのように移動させるか移動プログラムの構築を行う。具体的には、部品要求がなされた部品をすべて搬出口45aから搬出させるのにバッファライン4の駆動距離が一番短くなるようにプログラムを行う。例えば、バッファライン4を時計回りに回転させて順次部品の搬出を行ったときの移動距離に対して、部品3を搬出した後、次に搬出されるべき部品3を搬出する際にバッファライン4を反転させて反時計回りに回転させたほうが移動距離が短くなる場合は、部品3を搬出した後にバッファライン4を逆転させて部品3を搬出するようにしている。
【0035】
このように、本実施形態の製造ラインの部品搬送装置では、組立ライン5a,5bに搬送される部品3は製造日時の早いものから順に搬送されるので、後日部品3の不具合等が判明した場合であっても、当該不具合のある部品3を組み付けた自動二輪車の特定が容易となる。また、当該自動二輪車を回収しなければならない場合であっても、回収が必要なものだけを回収することができる。
【0036】
次に、組立ライン5bからの部品要求がバッテリ31であり、その部品要求があった際にバッファライン4上に組立ライン5bに搬送されるべきバッテリ31がない場合について説明する。この場合、コントローラ13は、バッファライン4上にバッテリ31と同種の部品(即ちバッテリ)であって、組立ライン5bで使用可能な代替部品があるかを検索する。通常、バッテリ31は汎用的に用いることができる場合が多いので、代替部品がバッファライン4上に存在する可能性が高い。
【0037】
コントローラ13は、組立ライン5bで使用可能な代替部品であるバッテリ31がある場合は、そのバッテリ31を組立ライン5bに向けて搬出口45bから搬出する。その際、リーダライタ11aによってバッテリ31のRFIDタグ8の部品情報のうち、供給先組立ライン75の情報を組立ライン5aから組立ライン5bに書き換える。また、コントローラ13は、ラベリング装置12aによってバッテリ31の梱包の表面に供給先組立ライン75が変更された旨のラベルを貼付するよう指示する。
【0038】
このようにしてRFIDタグ8の部品情報が変更され、梱包の表面に供給先組立ライン75が変更された旨のラベルが貼付されたバッテリ31は、台車2に載置された状態で組立ライン5bまで搬送される。本実施形態では、このようにRFIDタグ8の部品情報が変更されているため、後の組立ライン5bにおいてこのRFIDタグ8の情報を利用する場合に、供給されるべきラインが異なると誤って判断されることがない。また、供給先組立ライン75が変更された旨のラベルによって、作業員9が目視でラベル7の点検を行った場合にラインが変更されたことの確認が容易になる。
【0039】
その後、バッファライン4の搬入口44から組立ライン5bに搬送されるべきバッテリ31が搬入され、組立ライン5aからバッテリ31の部品要求があったときは、コントローラ13は当該バッテリ31を組立ライン5aに搬送されるようバッファライン4上を移動させる。そして、搬出口45aにおいて、リーダライタ11aによりバッテリ31のRFIDタグ8の供給先組立ライン75の情報を組立ライン5bから組立ライン5aに変更し、ラベリング装置12aによりバッテリ31の梱包の表面に供給先組立ライン75が変更された旨のラベルを貼付するよう指示する。
【0040】
このように、組立ラインの一部で部品3が不足した場合、コントローラ13が代替部品を検索して部品が不足している組立ラインに代替部品を供給するため、組立ラインにおいて部品不足となる事態が解消される。尚、本実施形態においては、コスト面を重視してRFIDタグ8としてパッシブ型のタグを用いているが、セミパッシブ型、或いはアクティブ型のタブを用いてもよい。
【0041】
ここで、パッシブ型のRFIDタグは、リーダライタ側のアンテナから送信された電波をアンテナで受信し、この電波を整流してエネルギーとして使用し、リーダライタから送信されてきたコマンドに応じてICチップがメモリから情報を読み出し、その情報をアンテナから発信するものである。セミパッシブ型のRFIDタグは、動作は基本的にパッシブ型と同じであるが、搭載電池の電力をエネルギーとして使用してパッシブ型よりも電波の送信距離を長くすることもでき、リーダライタからのコマンドに応じて動作するものである。アクティブ型のRFIDタグは、セミパッシブ型と同様に搭載電池の電力をエネルギーとして使用するが、リーダライタからのコマンドに応じて電波を発信するのではなく、一定時間毎にアンテナから所定の電波を発信するものである。また、RFIDタグの利用周波数帯は、135KHz未満、13.56MHz帯、950MHz帯(UHF)、2.45GHz帯等、種々の周波数帯が選択されうる。
【0042】
次に、本発明の他の実施形態における製造ラインの部品搬送装置について、図3を参照して説明する。当該他の実施形態においては、RFIDタグ8’が電源を内蔵したアクティブ型のタグを用いており、部品3ではなく台車2に取り付けられている。また、図3に示すように、バッファライン4の搬入口44と搬出口45a,45bにはタグリーダやリーダライタは設けられておらず、バッファライン4のほぼ中央に位置するリーダライタ14によりRFIDタグ8’の部品情報のリードライトを行っている。
【0043】
当該他の実施形態においては、RFIDタグ8’がアクティブ型であり、部品情報のリードライトを離れた位置から行うことができるため、リーダライタ14を1箇所に設けることによりバッファライン4上のすべての部品3のRFIDタグ8’のリードライトができるようになっている。尚、その他の構成については上記実施形態と同様であるので、同様の構成には図中において上記実施形態と同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0044】
次に、他の実施形態における作動について説明する。部品供給ライン1から供給された部品3は、リーダライタ14によって台車2に取り付けられたRFIDタグ8’の部品情報とバッファライン4上の位置情報が読み取られる。また、リーダライタ14は、その他に所定時間毎(例えば1秒毎)にバッファライン4上で搬送されている台車2のRFIDタグ8’の部品情報とバッファライン4上の位置情報とを読み取っている。
【0045】
組立ライン5a,5bから部品要求があると、コントローラ13は要求された部品がバッファライン4上に存在するかどうか検索する。そして、検索された部品3が複数ある時は、コントローラ13はその中で製造日時が一番早いものから順に搬出口45a,45bから搬出するようバッファライン4の移動を制御する。このとき、コントローラ13は、上記実施形態と同様に、どのようにバッファライン4を移動させればバッファライン4の移動距離が最も短くなるかを計算し、その順序に従ってバッファライン4を移動させる。他の実施形態においては、リーダライタ14は所定時間毎にバッファライン4上で搬送されている台車2のRFIDタグ8’の部品情報とバッファライン4上の位置情報とを読み取っているため、台車2の搬送順の計算も迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態の一例である製造ラインの部品搬送装置を示す説明図。
【図2】本実施形態における部品、台車、ラベル及びRFIDタグを示す説明図。
【図3】本発明の他の実施形態である製造ラインの部品搬送装置を示す説明図。
【符号の説明】
【0047】
1…部品供給ライン、3…部品、4…バッファライン、5a,5b…組立ライン、8…RFIDタグ、10…タグリーダ(読取手段)、13…コントローラ(制御手段)、42…ベルト(駆動手段)、43…モータ(駆動手段)、44…搬入口、45a,45b…搬出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を組み立てて製品を製造する製造ラインで用いられる部品搬送装置であって、
部品供給ラインと組立ラインとの間に循環軌道を有するバッファラインが設けられ、前記部品には少なくとも前記部品が製造された日時を含む部品情報が記録されたRFIDタグが付随し、
前記バッファラインは、前記部品が前記部品供給ラインから搬入される搬入口と、前記部品が前記組立ラインに搬出される搬出口と、前記RFIDタグの部品情報を読み取る読取手段と、前記部品を搬送する駆動手段と、前記搬出口から前記部品を搬出させる搬出手段と、前記駆動手段と前記搬出手段とを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記組立ラインからの部品要求に対し、前記読取手段で読みとられた前記部品情報を基にして前記製造日時が早い順に前記部品を前記搬出口から搬出させることを特徴とする製造ラインの部品搬送装置。
【請求項2】
前記バッファラインが複数の組立ラインに対して部品を搬出し、前記RFIDタグ内の部品情報を変更可能な情報書込手段を有し、前記RFIDタグの部品情報に搬送先の組立ラインを含むものであるときは、
前記制御手段は、部品要求のあった一の組立ラインに搬送される部品が前記バッファライン上に存在せず、他の組立ラインに搬送される部品であって前記一の組立ラインで使用可能な代替部品が存在するときは、前記情報書込手段によって前記代替部品に付随するRFIDタグの搬送先組立ラインに関する部品情報を前記一の組立ラインに変更し、前記代替部品を前記一の組立ラインに搬出することを特徴とする請求項1に記載の製造ラインの部品搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記代替部品を前記一の組立ラインに搬出した後、前記搬入口から前記代替部品と同種の部品が搬入されたときは、搬入された部品に付随するRFIDタグの搬送先組立ラインに関する部品情報を前記他の組立ラインに変更し、前記同種の部品を前記他の組立ラインに搬出することを特徴とする請求項2に記載の製造ラインの部品搬送装置。
【請求項4】
前記読取手段が前記搬入口に設けられ、前記RFIDタグの部品情報を読み取る際に前記部品が搬入される前記バッファラインの位置情報を読み取り、
前記制御手段が前記部品の位置情報を基に前記部品を前記搬出口から搬出する際に前記バッファライン上での移動が最小限となるように前記駆動手段を駆動させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造ラインの部品搬送装置。
【請求項5】
前記RFIDタグが電源を内蔵するアクティブRFIDタグであり、
前記読取手段は前記バッファライン上にあるすべての前記RFIDタグと交信可能な位置に設けられており、前記RFIDタグの部品情報を読み取る際に前記バッファラインにおける部品の位置情報を読み取り、
前記制御手段が前記部品の位置情報を基に前記部品を前記搬出口から搬出する際に前記バッファライン上での移動が最小限となるように前記駆動手段を駆動させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造ラインの部品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−137549(P2007−137549A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330521(P2005−330521)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】