説明

複合単価算出装置、複合単価算出方法及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】 転記する作業を省略し、建築物の仕様の変更及び複合単価表の種々の形式に対応することができる複合単価算出装置、複合単価算出方法及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【解決手段】 積算資料が記憶された第1の記憶装置1と、建設物価が記憶された第2の記憶装置2と、名称30、規格・摘要31、単位32、数量33、補給率34、付属品率35、雑材料36、電工歩掛37、普通工歩掛38及び補正39の項目を有し、第1の記憶装置1及び第2の記憶装置2から積算資料及び建設物価が読み取られる第3の記憶装置と、第3の記憶装置にデータを入力する入力手段5と、第3の記憶装置のデータに基づいて計算された単価が記憶される第4の記憶装置と、第4の記憶装置から選択された単価を記憶する第5の記憶装置とを有する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、国又は地方自治体等が建設予定の建築物を入札する際に使用される複合単価算出装置、複合単価算出方法及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、特に、建築物の仕様変更及び入札の様式に対応できる複合単価算出装置、複合単価算出方法及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】国又は地方自治体等が建設予定の建築物を入札する際に、工事を発注する側の発注金額の予定価格(予算金額)を算出する標準手法として複合単価がある。この複合単価の算出方法が昭和60年頃に建設省により公表された。
【0003】近時、この複合単価は諸官庁等の公共建築物だけでなく、第3セクター又は民間大型プロジェクト等にも広く採用されている。
【0004】複合単価は材料費と労務費との合計であり、建設予定の建築物に使用される部材の数量が増減しても合計金額を1回の計算で算出することができる利点を有している。
【0005】また、複合単価を使用しない場合、建設予定の建築物に使用される部材の数量が増減すると、材料費の増減又は労務費の増減を個別に算出しなければならず、計算が複数回に及ぶという問題点がある。更に、労務費が一式計上され、内訳が不明瞭になるという問題点がある。
【0006】従来、この複合単価は算出基準となる財団法人建設物価調査会が毎月刊行している建物物価又は財団法人経済調査会が毎月刊行している積算資料から素材単価、掲載頁及び都市名を人手により転記し、材料費及び労務費を計算することにより算出されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、算出基準となる建物物価又は積算資料から転記する作業があるため、時間がかかると共に、転記を誤るという虞がある。また、建築物の仕様に変更が生じた場合、新たに建物物価又は積算資料から転記しなければならないという問題点がある。更に、複合単価の算出基準は4つの形式があり、それに対応するにも人手によるため、大変な労力がかかるという問題点がある。
【0008】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、転記する作業を省略し、建築物の仕様の変更及び複合単価表の種々の形式に対応することができる複合単価算出装置、複合単価算出方法及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る複合単価算出装置は、積算資料が記憶された第1の記憶装置と、建設物価が記憶された第2の記憶装置と、名称、規格・摘要、単位、数量、補給率、付属品率、雑材料、電工歩掛、普通工歩掛及び補正の項目を有し、前記第1の記憶装置及び第2の記憶装置から前記積算資料及び前記建設物価が読み取られる第3の記憶装置と、前記第3の記憶装置にデータを入力する入力手段と、前記第3の記憶装置のデータに基づいて計算された単価が記憶される第4の記憶装置と、前記第4の記憶装置から選択された単価を記憶する第5の記憶装置とを有することを特徴とする。
【0010】本発明に係る他の複合単価算出装置は、積算資料が記憶された第1の記憶装置と、建設物価が記憶された第2の記憶装置と、名称、規格・摘要、単位、数量、補給率、付属品率、雑材料、電工歩掛、普通工歩掛及び補正の項目を有し、前記第1の記憶装置から前記積算資料が読み取られる第3の記憶装置と、名称、規格・摘要、単位、数量、補給率、付属品率、雑材料、電工歩掛、普通工歩掛及び補正の項目を有し、前記第2の建設物価から前記建設物価が読み取られる第4の記憶装置と、前記第3の記憶装置及び第4の記憶装置にデータを入力する入力手段と、前記第3の記憶装置の単価と前記第4の記憶装置の単価とを比較する比較手段と、前記比較手段により選択された単価を記憶する第5の記憶装置とを有することを特徴とする。
【0011】本発明においては、第3の記憶装置に入力手段により、データを入力し、第4の記憶装置から入札する物件に必要な名称の素材の単価を選択することにより、複合単価を算出することができ、その結果は第5の記憶装置に記憶させることができる。このため、人手に頼ることなく、また、誤記もなく、複合単価を算出することができる。また、全ての名称の単価は計算されて第4の記憶装置に記憶されているので、入札する建築物の仕様が変更になっても選択する単価を変更することにより、複合単価を算出することができる。
【0012】また、積算資料が読み取られる第3の記憶装置及び建設物価が読み取られる第4の記憶装置を設け、更に第3の記憶装置の単価と前記第4の記憶装置の単価とを比較する比較手段を設けることにより、選択される単価の抽出が容易になるので、処理時間を短縮することができる。
【0013】本発明に係る複合単価算出方法は、積算資料が記憶された第1の記憶装置と建設物価が記憶された第2の記憶装置とから前記積算資料及び前記建設物価を名称、規格・摘要、単位、数量、補給率、付属品率、雑材料、電工歩掛、普通工歩掛及び補正の項目を有する第3の記憶装置に読み取る工程と、前記名称及び前記規格・摘要に照合コードを付ける工程と、査定率、スタイル、電工及び普通工の日当並びにその他率を有する入力項目を入力する工程と、前記スタイルに基づいて複合単価を計算する工程と、前記複合単価のうち、必要なものだけを選択し第4の記憶装置に記憶させる工程とを有することを特徴とする。
【0014】本発明に係る他の複合単価算出方法は、積算資料が記憶された第1の記憶装置と建設物価が記憶された第2の記憶装置とから前記積算資料及び前記建設物価を指定された月次毎に集計する工程と、この集計データを名称、規格・摘要、単位、数量、補給率、付属品率、雑材料、電工歩掛、普通工歩掛及び補正の項目を有する第3の記憶装置及び第4の記憶装置に分類して夫々記憶させ、名称及び規格・摘要に照合コードを付与し、査定率、電工及び普通工の日当並びにその他率に基づいて複合単価を計算する工程と、スタイルに基づいて複合単価を抽出する工程と、前記複合単価のうち、必要なものだけを選択し第5の記憶装置に記憶させる工程とを有することを特徴とする。
【0015】この場合、前記スタイルは前記積算資料及び前記建設物価に記録された単価のうち、前記積算資料の単価を優先することが好ましい。
【0016】また、前記スタイルは前記積算資料及び前記建設物価に記録された単価のうち、前記建設物価の単価を優先することが好ましい。
【0017】更に、前記スタイルは前記積算資料及び前記建設物価に記録された単価のうち、安いほうを単価とすることが好ましい。
【0018】更にまた、前記スタイルは前記積算資料及び前記建設物価に記録された単価の平均を単価とすることが好ましい。
【0019】また、前記複合単価のうち、必要なものだけを選択する工程の後工程として、表形式にまとめる工程を有することが好ましい。
【0020】本発明においては、積算資料が記憶された第1の記憶装置と建設物価が記憶された第2の記憶装置とから積算資料及び建設物価を名称、規格・摘要、単位、数量、補給率、付属品率、雑材料、電工歩掛、普通工歩掛及び補正の項目を有する第3の記憶装置に読み取り、入力されたスタイルに基づいて複合単価を計算し、単価のうち必要なものだけを選択して第4の記憶装置に記憶させているので、短時間で所望のスタイルに応じた複合単価を算出することができる。
【0021】また、積算資料及び建設物価について、夫々第3の記憶装置と第4の記憶装置に分類させて記憶させ、個別に複合単価を算出しているので、同一名称のものに対して同一照合コードを付与することができ、比較手段による適正価格データの比較が容易になるため、スタイルに基づく抽出作業が容易になる。
【0022】更に、例えば、建築物の仕様変更に伴い使用される素材等の変更が生じた場合、入力項目又は計算された単価の抽出を変更することにより、変更に対応することができるので、従来のように再度転記した後に、計算する必要がなくなる。
【0023】本発明に係る複合単価算出方法プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前述の工程(手順)をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例に係る複合単価算出装置及び複合単価算出方法について添付の図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施例に係る複合単価算出装置を示す模式図である。図2は複合単価マスタの詳細を示す模式図である。
【0025】本発明の実施例に係る複合単価算出装置においては、図1に示すように、積算資料が記憶された第1の記憶装置1と建設物価が記憶された第2の記憶装置2とに、この第1の記憶装置1及び第2の記憶装置2のデータを読み取る複合単価マスタ(第3の記憶装置)3が接続されている。また、この複合単価マスタ3にデータを入力する入力手段5が設けられている。この複合単価マスタ3のデータに基づいて計算された単価を記憶する単価テーブル(第4の記憶装置)6が接続されている。更に、この単価テーブル6から、入札する物件に必要な単価が選択されて記憶される複合単価ワークシート(第5の記憶装置)7が接続されている。
【0026】この複合単価マスタ3には、図2に示すように、名称30、規格・摘要31、単位32、数量33、補給率34、付属品率35、雑材料36、電工歩掛37、普通工歩掛38及び補正39の項目が作成されている。名称30とは、素材の名前を示す。規格・摘要31とは、素材の大きさと使用される場所を示す。単位32とは、素材の単位を示す。数量33とは、素材の量を示す。補給率34とは、素材の切しろ等の無駄分の割合を示す。付属品率35とは、素材に必要な付属品の素材単価に対する割合を示す。付属品としては、例えば、ウエス又はろう材等である。雑材料36とは、素材を使用する際に発生する雑材部分の割合を示す。電工歩掛37とは、電工がある素材を1単位取りつけるに必要な労務標準値(固定費)である。普通工歩掛38とは、普通工がある素材を1単位取りつけるに必要な労務標準値(固定費)である。なお、補給率34及び雑材料36は建設省の積算基準で定められた素材単価に対する値である。
【0027】本実施例においては、積算資料が記憶された第1の記憶装置1と、建設物価が記憶された第2の記憶装置2とに、積算資料及び建設物価のデータを読み取る複合単価マスタ3が接続され、複合単価マスタ3に入力手段5により、データを入力し、この複合単価マスタ3から計算された単価を記憶する単価テーブル6を接続することにより、単価テーブル6から入札する物件に必要な素材の単価を選択して、複合単価を算出することができ、この結果は複合単価テーブル7に記憶させることができる。このため、人手に頼ることなく、また、誤記もなく、複合単価を算出することができる。更に、全ての素材に対して単価は計算され、単価テーブル6に記憶されるので、入札する建築物の仕様が変更になっても選択する単価を変更することにより、複合単価を算出することができる。
【0028】また、本実施例においては、複合単価ワークシート7を電子データ又は印刷物として加工したデータを記憶する配布用データ記憶装置を設けてもよい。
【0029】以下、本発明の実施例に係る複合単価算出方法ついて添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0030】図1に示すように、先ず、積算資料が記憶された第1の記憶装置1から、名称、規格・摘要、単価、掲載頁及び都市名を複合単価マスタ3に読み取る。次に、建設物価が記憶された第2の記憶装置2から、名称、規格・摘要、単価、掲載頁及び都市名を複合単価マスタ3に読み取る。
【0031】次に、複合単価マスタ3に記憶された名称30及び規格・摘要31に照合コードを付ける。
【0032】次に、複合単価マスタ3のリスト4を作成する。
【0033】次に、査定率、スタイル、電工及び普通工の日当並びにその他率を有する入力項目(データ)を入力手段5から複合単価マスタ3に入力する。
【0034】次に、このスタイルにより素材単価を決定し、これをもとに単価を計算し単価テーブル6を作成する。
【0035】この場合、スタイルとは、積算資料及び建設物価から読み取られた素材単価のデータに基づいて決定されるものである。この素材単価の決定方法は4通りある。即ち、建設物価を優先して素材単価とする方法、積算資料を優先して素材単価とする方法、建設物価と積算資料とを比較して安値を素材単価とする方法及び建設物価の素材単価と積算資料の素材単価との平均値とする方法である。
【0036】次に、計算された単価のうち、複合単価を算出する建築物に必要な素材だけを単価テーブル6から選択し、複合単価ワークシート7を作成する。
【0037】なお、設計変更等により、使用する素材が変更した場合には、単価テーブル6から、再度必要なものだけを選択し直す。
【0038】また、査定率、スタイル、電工若しくは普通工の日当又はその他率に変更があった場合には、再度入力手段5から入力をやり直して単価テーブル6を算出し直す。
【0039】本実施例においては、積算資料及び建設物価のデータを読み込んで、照合コードを付け、入力手段5によりスタイルを入力し、これにより決定された素材単価に基づいて、全ての素材に対して単価を算出した単価テーブル6を作成しているので、建築物に必要な素材の単価を抽出することにより複合単価ワークシート7を作成することができる。また、全ての素材について単価を算出しているので建築物に変更がある場合でも、選択する素材を変更するだけですむので、データの読み出し及び単価の計算が必要がなくなり複合単価の算出時間を短縮することができる。
【0040】また、作成された複合単価ワークシート7を電子データ又は印刷物として配布することもできる。
【0041】図3は本発明の第1の実施例に係る複合単価表の一例であり、名称を示す模式図であって、図4は同じく、その材料計を示し、図5は同じく、その労務費計を示す模式図である。なお、図3乃至図5は建設物価を素材単価として算出された複合単価を示す複合単価表である。
【0042】以下、建設物価を素材単価として算出された複合単価について説明する。図3に示すように、建設物価から名称及び規格・摘要、単位、数量が読み取られる。図4に示すように、この名称に対応した単価、掲載頁及び都市名が読み取られる。採用単価はスタイルにより決定される。即ち、素材単価が決定される。建設省の積算基準で定められた補給率、付属品率及び雑材料が付与される。これにより、材料費の合計である材料計が算出される。図5に示すように、歩掛の欄に電工及び普通工歩掛が入力され、また、補正が入力されている。更に、その他率の欄にその他率が入力されている。ここで、その他率とは、下請経費のことであり、2次下請けにかかる費用を示す。このその他率には一定の幅があり、発注元より指示される。
【0043】これにより、労務費の合計である労務費計が算出される。次に、材料計と労務費計とが加算され複合単価が算出される。端数処理して採用単価が算出される。必要に応じて、この採用単価に査定率を乗じ、端数処理をして内訳書計上採用単価とする。
【0044】具体的には、図3乃至図5に示す複合単価表の一番上の段に記載された名称がビニル電線、規格・摘要がIV 5.5×1(管内)を例にして複合単価を算出する。なお、IV 5.5×1(管内)において、IVはビニル電線の種類を示す。また、5.5はビニル電線の断面積を示し、この場合5.5mm2である。更に、×1はビニル電線の本数を示し、この場合1本である。更にまた、(管内)は工法を示し、この場合管内にビニル電線を設けることである。なお、この工法は建設省で定められた工法に準拠している。
【0045】この場合、材料の素材単価となる建設物価から、単価が29円、掲載頁がP.658、都市名が東京であり、採用単価を29円とした。この採用単価に補給率として1.15、付属品率はなし、雑材料として1.05を乗じて下記数式1に示すように材料計を算出する。
【0046】
【数1】
29×1.15×1.05=35.0175(円)
【0047】次に、電工の1日あたりの人件費20300円に電工歩掛として0.014を乗じて、下記数式2に示すように、ビニル電線1mを敷設するのに必要な人件費を算出する。
【0048】
【数2】20300×0.014=284.2(円)
【0049】この人件費にその他率として1.12を乗じて、下記数式3に示すように、ビニル電線1mを敷設するのに必要な労務費計を算出する。
【0050】
【数3】284.2×1.12=318.304(円)
【0051】下記数式4に示すように、数式1及び数式3により算出された材料費計と労務費計との和を求め複合単価を算出する。
【0052】
【数4】35.0175+318.304=353.0515(円)
【0053】上記数式4の結果を端数処理して353円とする。これを採用単価とする。この採用単価に査定率として0.90を乗じ、端数処理をして317円とし、これを内訳書計上採用単価とする。
【0054】次に、本発明の第2の実施例について添付の図面を参照して詳細に説明する。図6は本発明の第2の実施例に係る複合単価算出装置を示す模式図である。なお、図1乃至図5に示す第1の実施例と同一構成物には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0055】本実施例に係る複合単価算出装置においては、第1の実施例と比較して、図6に示すように、積算資料と建設物価に対して、夫々積算資料データベース(以下、積算資料DBという。)(第3の記憶装置)8及び建設物価DB(第4の記憶装置)9並びに比較手段(図示せず)が設けられており、第1の実施例における単価テーブル6がなく、また、複合単価ワークシート7の替わりに物件別DB(第5の記憶装置)10が配置されている点で異なり、それ以外は第1の実施例と同様である。
【0056】本実施例においては、積算資料DB8及び建設物価DB9を設け、更に積算資料DB8及び建設物価DB9の単価データを比較する比較手段を設けることにより、選択される単価の抽出が容易になるので、処理時間を短縮することができる。
【0057】また、本実施例においては、物件別DB10をデータ加工して、電子データ又は印刷物として配布する配布用データ11としてもよい。
【0058】次に、本実施例に係る複合単価算出方法について添付の図面を参照して説明する。
【0059】先ず、図6に示すように、積算資料が記録された第1の記憶装置1及び建設物価が記録された第2の記憶装置2からデータを読み取り、指定月次テキストデータを作成する(S1)。
【0060】次に、指定月次テキストデータから積算資料を抜き出し、第1の実施例の複合単価マスタ3と同様に、名称30、規格・摘要31、単位32、数量33、補給率34、付属品率35、雑材料36、電工歩掛37、普通工歩掛38及び補正39の項目が形成された積算資料ファイルに記憶させ、各素材には名称及び前記規格・摘要に照合コードを付与し、また、査定率、電工及び普通工の日当並びにその他率が入力手段(図示せず)により入力し、単価が計算された積算資料DB8を作成する。
【0061】次に、指定月次テキストデータから建設物価を抜き出し、第1の実施例の複合単価マスタと同様に、名称30、規格・摘要31、単位32、数量33、補給率34、付属品率35、雑材料36、電工歩掛37、普通工歩掛38及び補正39の項目が形成された建設物価ファイルに記憶させ、各素材には名称及び前記規格・摘要に照合コードを付与し、また、査定率、電工及び普通工の日当並びにその他率が入力手段(図示せず)により入力し、単価が計算された建設物価DB9を作成する。
【0062】次に、複合単価のスタイルを選択し、積算資料DB8及び建設物価DB9の素材単価を優先、比較又は平均して適正価格のデータの抽出を行う(S2)。
【0063】次に、入札する物件別に使用される材料を選定し、物件毎にまとめ物件別DB10を作成する。
【0064】次に、物件別に電子データ又は印刷物の配布用データ11を作成する。
【0065】なお、査定率、電工及び普通工の日当並びにその他率に変更があった場合には、入力手段から入力をやり直して、複合単価を算出する。また、物件に仕様変更があった場合、適正価格データの抽出を再度やり直す。
【0066】本実施例においては、積算資料及び建設物価について、夫々積算資料DB8と建設物価DB9とを作成しているので、同一名称のものに対して同一照合コードを付与することができ、比較手段により適正価格データを抽出する場合、適正価格データの比較が容易になるため、適正価格のデータの抽出作業が容易になる。
【0067】上述のいずれの実施例においても、積算資料及び建設物価は、例えば、フロッピーディスク等の記録媒体から第1の記憶装置1又は第2の記憶装置2に記憶されるものである。
【0068】なお、上述の複合単価算出方法をコンピュータ読み取り可能な記録媒に記録させ、コンピュータにこの方法を実行させてもよい。
【0069】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、第3の記憶装置に入力手段により、データを入力し、第4の記憶装置から入札する物件に必要な名称の素材の単価を選択することにより、複合単価を算出することができ、その結果は第5の記憶装置に記憶させることができる。このため、人手に頼ることなく、また、誤記もなく、複合単価を算出することができる。また、全ての名称の単価は計算されて第4の記憶装置に記憶されているので、入札する建築物の仕様が変更になっても選択する単価を変更することにより、複合単価を算出することができる。
【0070】また、積算資料が読み取られる第3の記憶装置及び建設物価が読み取られる第4の記憶装置を設け、更に第3の記憶装置の単価と前記第4の記憶装置の単価とを比較する比較手段を設けることにより、選択される単価の抽出が容易になるので、処理時間を短縮することができる。
【0071】本発明の複合単価算出方法によれば、積算資料が記憶された第1の記憶装置と建設物価が記憶された第2の記憶装置とから積算資料及び建設物価を名称、規格・摘要、単位、数量、補給率、付属品率、雑材料、電工歩掛、普通工歩掛及び補正の項目を有する第3の記憶装置に読み取り、入力されたスタイルに基づいて複合単価を計算し、単価のうち必要なものだけを選択して第4の記憶装置に記憶させているので、短時間で所望のスタイルに応じた複合単価を算出することができる。
【0072】また、積算資料及び建設物価について、夫々第3の記憶装置と第4の記憶装置に分類させて記憶させ、個別に複合単価を算出しているので、同一名称のものに対して同一照合コードを付与することができ、比較手段による適正価格データの比較が容易になるため、スタイルに基づく抽出作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る複合単価算出装置を示す模式図である。
【図2】複合単価マスタの詳細を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る複合単価表の一例であり、名称を示す模式図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る複合単価表の一例であり、材料計を示す模式図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係る複合単価表の一例であり、労務費計を示す模式図である。
【図6】本発明の第2の実施例に係る複合単価算出装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1;第1の記憶装置
3;第2の記憶装置
3;複合単価マスタ
4;リスト
5;入力手段
6;単価テーブル
7;複合単価ワークシート
8;積算資料DB
9;建設物価DB
10;物件別DB
11;配布用データ
30;名称
31;規格・摘要
32;単位
33;数量
34;補給率
35;付属品率
36;雑材料
37;電工歩掛
38;普通工歩掛
39;補正

【特許請求の範囲】
【請求項1】 積算資料が記憶された第1の記憶装置と、建設物価が記憶された第2の記憶装置と、名称、規格・摘要、単位、数量、補給率、付属品率、雑材料、電工歩掛、普通工歩掛及び補正の項目を有し、前記第1の記憶装置及び第2の記憶装置から前記積算資料及び前記建設物価が読み取られる第3の記憶装置と、前記第3の記憶装置にデータを入力する入力手段と、前記第3の記憶装置のデータに基づいて計算された単価が記憶される第4の記憶装置と、前記第4の記憶装置から選択された単価を記憶する第5の記憶装置とを有することを特徴とする複合単価算出装置。
【請求項2】 積算資料が記憶された第1の記憶装置と、建設物価が記憶された第2の記憶装置と、名称、規格・摘要、単位、数量、補給率、付属品率、雑材料、電工歩掛、普通工歩掛及び補正の項目を有し、前記第1の記憶装置から前記積算資料が読み取られる第3の記憶装置と、名称、規格・摘要、単位、数量、補給率、付属品率、雑材料、電工歩掛、普通工歩掛及び補正の項目を有し、前記第2の建設物価から前記建設物価が読み取られる第4の記憶装置と、前記第3の記憶装置及び第4の記憶装置にデータを入力する入力手段と、前記第3の記憶装置の単価と前記第4の記憶装置の単価とを比較する比較手段と、前記比較手段により選択された単価を記憶する第5の記憶装置とを有することを特徴とする複合単価算出装置。
【請求項3】 積算資料が記憶された第1の記憶装置と建設物価が記憶された第2の記憶装置とから前記積算資料及び前記建設物価を名称、規格・摘要、単位、数量、補給率、付属品率、雑材料、電工歩掛、普通工歩掛及び補正の項目を有する第3の記憶装置に読み取る工程と、前記名称及び前記規格・摘要に照合コードを付ける工程と、査定率、スタイル、電工及び普通工の日当並びにその他率を有する入力項目を入力する工程と、前記スタイルに基づいて複合単価を計算する工程と、前記複合単価のうち、必要なものだけを選択し第4の記憶装置に記憶させる工程とを有することを特徴とする複合単価算出方法。
【請求項4】 積算資料が記憶された第1の記憶装置と建設物価が記憶された第2の記憶装置とから前記積算資料及び前記建設物価を指定された月次毎に集計する工程と、この集計データを名称、規格・摘要、単位、数量、補給率、付属品率、雑材料、電工歩掛、普通工歩掛及び補正の項目を有する第3の記憶装置及び第4の記憶装置に分類して夫々記憶させ、名称及び規格・摘要に照合コードを付与し、査定率、電工及び普通工の日当並びにその他率に基づいて複合単価を計算する工程と、スタイルに基づいて複合単価を抽出する工程と、前記複合単価のうち、必要なものだけを選択し第5の記憶装置に記憶させる工程とを有することを特徴とする複合単価算出方法。
【請求項5】 前記スタイルは前記積算資料及び前記建設物価に記録された単価のうち、前記積算資料の単価を優先することを特徴とする請求項3又は4に記載の複合単価算出方法。
【請求項6】 前記スタイルは前記積算資料及び前記建設物価に記録された単価のうち、前記建設物価の単価を優先することを特徴とする請求項3又は4に記載の複合単価算出方法。
【請求項7】 前記スタイルは前記積算資料及び前記建設物価に記録された単価のうち、安いほうを単価とすることを特徴とする請求項3又は4に記載の複合単価算出方法。
【請求項8】 前記スタイルは前記積算資料及び前記建設物価に記録された単価の平均を単価とすることを特徴とする請求項3又は4に記載の複合単価算出方法。
【請求項9】 前記複合単価のうち、必要なものだけを選択する工程の後工程として、表形式にまとめる工程を有することを特徴とする請求項3乃至8のいずれか1項に記載の複合単価算出方法。
【請求項10】 積算資料が記憶された第1の記憶装置と建設物価が記憶された第2の記憶装置とから前記積算資料及び前記建設物価を名称、規格・摘要、単位、数量、補給率、付属品率、雑材料、電工歩掛、普通工歩掛及び補正の項目を有する第3の記憶装置に読み取る手順と、前記名称及び前記規格・摘要に照合コードを付ける手順と、査定率、スタイル、電工及び普通工の日当並びにその他率を有する入力項目を入力する手順と、前記スタイルに基づいて複合単価を計算する手順と、前記複合単価のうち、必要なものだけを選択し第4の記憶装置に記憶させる手順とを有することを特徴とする複合単価算出方法プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項11】 積算資料が記憶された第1の記憶装置と建設物価が記憶された第2の記憶装置とから前記積算資料及び前記建設物価を指定された月次毎に集計する手順と、この集計データを名称、規格・摘要、単位、数量、補給率、付属品率、雑材料、電工歩掛、普通工歩掛及び補正の項目を有する第3の記憶装置及び第4の記憶装置に分類して夫々記憶させ、名称及び規格・摘要に照合コードを付与し、査定率、電工及び普通工の日当並びにその他率に基づいて複合単価を計算する手順と、スタイルに基づいて複合単価を抽出する手順と、前記複合単価のうち、必要なものだけを選択し第5の記憶装置に記憶させる手順とを有することを特徴とする複合単価算出方法プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項12】 前記スタイルは前記積算資料及び前記建設物価に記録された単価のうち、前記積算資料の単価を優先することを特徴とする請求項10又は11に記載の複合単価算出方法プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項13】 前記スタイルは前記積算資料及び前記建設物価に記録された単価のうち、前記建設物価の単価を優先することを特徴とする請求項10又は11に記載の複合単価算出方法プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項14】 前記スタイルは前記積算資料及び前記建設物価に記録された素材単価のうち、安いほうを単価とすることを特徴とする請求項10又は11に記載の複合単価算出方法プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項15】 前記スタイルは前記積算資料及び前記建設物価に記録された単価の平均を単価とすることを特徴とする請求項10又は11に記載の複合単価算出方法プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項16】 前記複合単価のうち、必要なものだけを選択する工程の後工程として、表形式にまとめる工程を有することを特徴とする請求項10乃至15のいずれか1項に記載の複合単価算出方法プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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