説明

複合成形体およびその製造方法

【課題】予め成形された予備成形体と後から供給される溶融樹脂との間で十分に高い接合強度が容易に得られるようにし、強度・剛性に優れた最終成形品としての複合成形体を効率よく製造できる方法、およびその方法により製造された複合成形体を提供する。
【解決手段】重量平均繊維長1mm以上の強化繊維を含む第1の繊維強化樹脂を用いて予備成形体を予め成形し、該予備成形体を型内に配置し、該型内に溶融した第2の繊維強化樹脂を射出し、射出された第2の繊維強化樹脂を予備成形体に接合して複合成形体を製造する方法であって、複合成形体に用いられる熱可塑性樹脂として少なくとも樹脂Aおよび樹脂Bの互いに異なる処方の樹脂を用い、予備成形体の少なくとも表層部を樹脂Bを用いて形成し、射出される第2の繊維強化樹脂には樹脂Aを使用し、樹脂Aにより与えられる熱により樹脂Bを溶融させ、該溶融を介して、第2の繊維強化樹脂を予備成形体に接合することを特徴とする複合成形体の製造方法、およびその方法により製造された複合成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合成形体およびその製造方法に関し、とくに、予め成形した所定形状の熱可塑性樹脂を用いた繊維強化樹脂からなる予備成形体に対し、型内で熱可塑性樹脂を用いた別の繊維強化樹脂を射出成形などにより接合する複合成形体の製造方法およびその方法により製造された複合成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性樹脂の繊維強化樹脂と熱可塑性樹脂の繊維強化樹脂とを接合し、全体として繊維強化樹脂からなる複合成形体を製造する方法は知られている(例えば、特許文献1、2)。熱可塑性樹脂自体および熱可塑性樹脂を用いた繊維強化樹脂は、射出成形を比較的容易に行うことができること等から、熱硬化性樹脂およびそれを用いた繊維強化樹脂に比べ、成形性や量産性に優れており、とくに大量生産品等の製造において、熱可塑性樹脂を用いた繊維強化樹脂同士を効率よく接合できる複合成形体の製造方法が求められている。
【0003】
このような複合成形体の製造方法として、例えば次のような方法が考えられる。すなわち、プレス成形や射出成形で賦形した熱可塑性樹脂を用いた繊維強化樹脂製品(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を用いた繊維強化樹脂製品、これを予備成形体あるいは一次成形品と呼ぶ)を型内に設置し、その後、射出成形やプレス成形等において、 溶融した熱可塑性樹脂(例えば、PPS)を用いた繊維強化樹脂を型内に供給し、射出融着やプレス融着等にて、PPS樹脂自身の熱で、インサートされている予備成形体を融解させ、両繊維強化樹脂を接合する方法が考えられる。このような射出融着による、互いに異なる熱可塑性樹脂を用いた繊維強化樹脂のハイブリッド化成形(ハイブリッド成形)にて、例えばリブ等が配置された強度・剛性を兼ね揃えた最終成形品としての複合成形体を得ることが可能である。
【0004】
しかし、例えば上記のような通常のPPSグレードを用いたインサート成形品(予備成形体)では、PPS樹脂の結晶化速度が比較的速いため、結果として溶融状態からの冷却時の固化が速い。後工程で射出等により供給される溶融樹脂の熱量で予備成形体の表面が溶かされたとしても、この部分の冷却/固化が最初に開始される。このため、先に型内に配置されている予備成形体と後から供給される溶融樹脂との間で期待したほどの接合強度が得られない。そのため、最終成形品としての複合成形体の強度・剛性が目標値に達しないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3906319号公報
【特許文献2】特許第4543696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明の課題は、成形性や量産性に優れた熱可塑性樹脂を用いた繊維強化樹脂の複合成形体を製造するに際し、予め成形された予備成形体と後から供給される溶融樹脂との間で十分に高い接合強度が容易に得られるようにし、強度・剛性に優れた最終成形品としての複合成形体を効率よく製造できる方法、およびその方法により製造された複合成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る複合成形体の製造方法は、重量平均繊維長1mm以上の強化繊維を含む第1の繊維強化樹脂を用いて予備成形体を予め成形し、該予備成形体を型内に配置し、該型内に溶融した第2の繊維強化樹脂を射出し、射出された第2の繊維強化樹脂を前記予備成形体に接合して複合成形体を製造する方法であって、複合成形体に用いられる熱可塑性樹脂として少なくとも樹脂Aおよび樹脂Bの互いに異なる処方の樹脂を用い、前記予備成形体の少なくとも表層部を樹脂Bを用いて形成し、射出される前記第2の繊維強化樹脂には樹脂Aを使用し、樹脂Aにより与えられる熱により前記樹脂Bを溶融させ、該溶融を介して、前記第2の繊維強化樹脂を前記予備成形体に接合することを特徴とする方法からなる。
【0008】
上記重量平均繊維長1mm以上の強化繊維を含む予備成形体としては、例えば、
(1)重量平均繊維長が1mm〜50mmの範囲の強化繊維が実質上ランダム配向したマット状基材と樹脂の組み合わせによるもの、
(2)該予備成形体の任意の2端部間にわたって連続繊維が配置されるように強化された成形体、
のいずれか、または、これらが組み合わされた成形体を採用できる。すなわち、熱可塑性樹脂を用いた繊維強化樹脂の成形品では、例えば構造材として求められる高い力学的特性の発現を実現するためには、強化繊維長が長いことが必要となるので、重量平均繊維長1mm以上の強化繊維、とくに成形性等を考慮して、重量平均繊維長が1mm〜50mmの範囲の強化繊維の強化繊維基材を用いた成形品であることが好ましく、この範囲の繊維長の強化繊維が実質上ランダム配向したマット状基材と樹脂の組み合わせによるものが好ましい。あるいは、予備成形体の任意の2端部間(例えば、対向する2辺となる2端部間)にわたって連続繊維に形成された強化繊維が配置されるように強化された成形体も好ましい。さらには、これらが組み合わされた形態の成形体も採用できる。
【0009】
予備成形体として、任意の2端部間にわたって連続繊維が配置されるよう強化された成形体を用いることは本発明の好ましい形態のひとつである。繊維の分断がなく、ある強化繊維を用いた場合に最も高い力学的特性を得ることができる。該連続繊維強化の予備成形体を、構造の骨格材のように配置すれば、本発明における複合一体成形品において、高い力学的特性と、複雑な形状を両立することができる。
【0010】
予備成形体の強化繊維として不連続強化繊維を使用する場合には、その重量平均繊維長が上記の如く1mm〜50mmの繊維からなることが好ましい。重量平均繊維長が1mm未満では、強化繊維の特性が引き出せず、射出成形などと組み合わせる予備成形体として必要な高い力学的特性を発揮することができない。重量平均繊維長が50mmを超えると、不連続繊維強化とした場合のひとつの特徴である賦形性が失われてしまう。
【0011】
また特に耐衝撃性などの力学的特性を重視する場合には、重量平均繊維長が20mm〜50mmの範囲をより望ましい範囲として示すことができる。これは後述の図6に示すように耐衝撃性向上への寄与につき、繊維長が大きく影響するためである。
【0012】
該不連続繊維の配向などは特に限定されず、実質上ランダム配向したものを使用することができる。この実質上ランダムという範囲としては、面内に等方性分散した、あるいはゆるやかな一定の配向を有するシート状のマットを例示することができ、これは抄紙法やカーディング法、エアレイ法など既存の繊維マット製造法によるものを使用できる。
【0013】
また、本発明の好ましい形態のひとつとして、予構成形体の少なくとも表層部が、連続繊維からなる強化繊維を一方向に配向した層を含むものからなる形態を挙げることもできる。この予備成形体と、射出される第2の繊維強化樹脂とを、複合一体成形するのである。
【0014】
上記樹脂Aおよび樹脂Bには、互いに異なる処方の熱可塑性樹脂(つまり、同種の熱可塑性樹脂であるが、物性や特性が互いに異なるように互いに異なる処方で調製された樹脂)が用いられる。熱可塑性樹脂同士の接合形態であるから、本質的に、容易に良好な接合状態が得られやすく、また、成形品全体を粉砕して再利用(リサイクル)も行いやすい。本発明では、熱可塑性樹脂同士の接合ではあっても、予備成形体が予め先に成形されているので、少なくとも予備成形体の表層部を形成する樹脂Bと、射出により供給される樹脂Aとの間に高い接合強度を持たせることを狙っており、とくにこれを達成するために、本発明では以下のような手法を採ることができる。例えば、上記樹脂Aおよび樹脂Bが結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とし、かつ樹脂Aの結晶化温度が、樹脂Bの結晶化温度より高くなるように処方された樹脂を用いることができる。このように結晶化温度に高低の差をつける形態を採用することにより、とくに、予備成形体の少なくとも表層部を形成する樹脂Bの結晶化温度を相対的に低くして結晶化速度を遅くすることが可能になり(結晶化温度が高いものほど結晶化速度が速い)、射出されてくる樹脂Aの熱により、樹脂Bを結晶化前に十分に溶融させ、樹脂Aと樹脂Bの高強度接合を狙うことが可能になる。したがって、予備成形体と射出される第2の繊維強化樹脂とを高い接合強度をもって接合した複合成形体の製造が可能になる。なお、この結晶化温度(Tc)の測定に関しては、対象樹脂を、示差走査熱量計(DSC)により溶融状態から一定速度(10℃/分)で冷却し、結晶化発熱ピーク温度〔結晶化温度(Tc)〕を測定することにより、上記結晶化速度を評価する(結晶化温度(Tc)が高いものほど結晶化速度が速い。)。
【0015】
また、上記のような結晶化温度特性を満たすために、あるいは、上記結晶化温度特性とは別に、上記樹脂Aが、特定のモノマーを重合したホモポリマーからなる熱可塑性樹脂であり、かつ、上記樹脂Bが、2種類以上の異なったモノマーの共重合によるコポリマー(共重合体)で、その2種類以上のモノマーのひとつに樹脂Aと同一のモノマーを含んだコポリマーからなる熱可塑性樹脂、またはそのコポリマーがブレンドされた樹脂組成物である形態を採用することができる。このような形態においては、樹脂B側の結晶化温度を樹脂A側に比較して低くすることが可能となり、より多く熱エネルギーを有する樹脂A側(射出される側)から樹脂B側(予備成形体側)に熱が与えられた場合に、溶融された樹脂B側から冷却が開始されても、その結晶化速度が遅く、より長い時間にわたって樹脂Aおよび樹脂Bが溶融状態で接することなり、樹脂Aと樹脂Bの高強度接合を狙うことが可能となる。したがって、予備成形体と射出される第2の繊維強化樹脂とを高い接合強度をもって接合した複合成形体の製造が可能となる。
【0016】
なお、樹脂Aおよび樹脂Bの両方の結晶化温度を下げて、系全体の結晶化速度を遅くすることは可能であるが、この場合後工程の射出成形時の固化速度が遅くなる。すなわち、全体の成形サイクルが長くなってしまい、この方法は、工業的に有利な方法とは言えない。樹脂Aと樹脂Bの結晶化温度に差を設けることで、両者の十分な接合強度を得ると共に、成形サイクルは長くしないで済む。
【0017】
また、本発明に係る複合成形体の製造方法においては、表層部を含む予備成形体の全体が樹脂Bを用いて形成される形態、あるいは、予備成形体の表層部が樹脂Bを用いて形成され、該予備成形体の表層部以外の部分が、樹脂Bとは異なる樹脂Cを用いて形成される形態のいずれも採用可能である。後者の形態では、樹脂Bを用いて形成される予備成形体の表層部は、予備成形体全体と射出されてくる樹脂A側との間の、接合のための中間層として機能できる。
【0018】
該中間層としては、例えば樹脂Bを使用した、フィルムや不織布を使用することができる。これは、予備成形体をプレスなどで事前に成形する際に、表面に配置しあらかじめ一体化しておくことが望ましい。
【0019】
本発明に係る複合成形体の製造方法における、より具体的な樹脂Aと樹脂Bとの組み合わせ例として、例えば、次のような組み合わせを挙げることができる。例えば、樹脂Aが、ポリフェニレンサルファイドからなり、樹脂Bが、共重合ポリフェニレンサルファイドからなる組み合わせを挙げることができる。この場合、共重合ポリフェニレンサルファイドとしては、p−フェニレンサルファイド単位にm−フェニレンサルファイド単位が共重合されたポリマーを用いることができる。
【0020】
ポリフェニレンサルファイドを用いた形態は本発明の最も好ましい形態のひとつである。ポニフェニレンサルファイドは、剛直な骨格を有するポリマーで高い剛性を有し、炭素繊維などの強化繊維との組み合わせで高い力学的特性を発現する。このため、たとえ強化繊維の重量平均繊維長が1mm〜20mmと短めであったとして比較的高い力学的特性を示す。さらに繊維長が長かったり、連続強化繊維であった場合はさらに高い特性を示す。また難燃性であり、各種電子機器や自動車電装部品などの難燃性が求められる用途に好適である。さらに、通常のポリフェニレンサルファイドは結晶化速度がはやく、通常複合一体成形が難しい系であるが、本発明を用い、例えば樹脂Bに結晶化温度を低くした(結晶化速度を遅くした)樹脂系を用いることにより接合強度の高い複合成形体を得ることができる。
【0021】
また、別の組み合わせとして、樹脂Aが、ポリアミドからなり、樹脂Bが、共重合ポリアミドからなる形態も採用できる。
【0022】
なお、本発明における樹脂Aと樹脂Bの組み合わせは、上述の例に限らない。樹脂B側の結晶化温度が樹脂A側に比較して低いものが望ましく、これを実現すための手法も限定されない。高分子の結晶化温度を変化させる手法として公知の技術を活用することができ、上述のコポリマーを使用した手法以外にもタルク、カオリン、有機リン化合物、特定のポリマーの少量添加など、各種結晶核剤を添加して結晶化温度を制御することができる。また、樹脂A、樹脂Bの主ポリマー鎖の末端を特定の基とすることによっても結晶化温度を変化させることが可能である。
【0023】
また、本発明に係る複合成形体の製造方法において、用いる強化繊維の種類としてはとくに限定されず、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維などを使用でき、これらを組み合わせたハイブリッド構成とすることも可能である。複合成形体の製造の強度設計や製造の容易性等を狙う場合、とくに炭素繊維を含む形態が好ましい。例えば、上記第1および第2の繊維強化樹脂の少なくとも一方の強化繊維として炭素繊維を含む形態が好ましい。
【0024】
本発明では、上記のような方法により製造された複合成形体も提供される。製造される複合成形体の構造はとくに限定されないが、例えば、上記第2の繊維強化樹脂により、上記予備成形体に対する補強部が形成されている構造を挙げることができる。補強部としては、例えば、リプやボスを有する構造を採用できる。第1の繊維強化樹脂を用いた予備成形体と第2の繊維強化樹脂の融着部は、その形状の許す限り広い面積を確保することが望ましい。嵌合形状とすることもできる。第2の繊維強化樹脂は、通常の射出成形機を用いてペレット様材料を射出することを例示することができるが、これに類似する動作をする成形手法を用いることもできる。例えば射出とプレスの動作を組み合わせているいわゆる射出プレス成形を用いることもできる。さらに、何らかの機構により、開いた金型の上に、第2の繊維強化樹脂を射出した後に、金型をプレスすることで成形を行うこともできる。このような成形に用いる成形機は、通常の射出成形機や射出プレス成形機のように横型であってもよいし、竪型の射出プレス成形機や、プレス成形機を活用することもできる。使用する第2の繊維強化樹脂は、通常ペレット状のものをスクリュー混練して射出するが、該ペレットは通常のコンパウンドペレットでもよいし、いわゆる長繊維ペレットであってもよい。
【発明の効果】
【0025】
このように、本発明に係る複合成形体の製造方法によれば、予備成形体の少なくとも表層部を形成する樹脂Bと、射出される第2の繊維強化樹脂の樹脂Aとを、同種ではあるが互いに異なる処方の熱可塑性樹脂とし、樹脂Bの結晶化速度を遅くするようにしたので、樹脂Aにより与えられる熱により、樹脂Bの結晶化前に十分に樹脂Bを溶融させることができ、樹脂A側と樹脂B側との良好な接合が可能になって、予備成形体と第2の繊維強化樹脂とを高い接合強度をもって接合した目標とする複合成形体を得ることができる。このような複合成形体は、高い機械的強度や剛性を有し、また、同種の熱可塑性樹脂同士の接合体であることから、優れたリサイクル性能も兼ね備えたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明における予備成形体の構造例を示す概略構成図である。
【図2】本発明において予備成形体に接合される第2の繊維強化樹脂の構造例を示す概略構成図である。
【図3】本発明において用いられる樹脂または繊維強化樹脂を例示した、図面上樹脂の種類を区別するための説明図である。
【図4】本発明における複合成形体の構造例を示す概略構成図である。
【図5】本発明に関連して接合される第1、第2の繊維強化樹脂の組み合わせ例と接合強度の評価結果を示す説明図である。
【図6】本発明に関連して強化繊維の繊維長とコンポジット特性および成形性との一般的な関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1および図2に、本発明における予備成形体の構造例と、該予備成形体に接合される第2の繊維強化樹脂の構造例を示している。図1において、(A)は、予備成形体1aが、相対的に結晶化温度がより低い樹脂B(熱可塑性樹脂B、例えば、低結晶化温度PPS[低結晶化温度共重合ポリフェニレンサルファイド])を用いた繊維強化樹脂(内部の点が強化繊維の存在を示している。以下、同じ)からなる構造例、(B)は、予備成形体1bの表層部1bs以外の部分1bmが、相対的に結晶化温度がより高い樹脂A(熱可塑性樹脂A、例えば、通常の結晶化温度のPPS)を用いた繊維強化樹脂からなり、表層部1bsが、相対的に結晶化温度がより低い樹脂B(熱可塑性樹脂B、例えば、低結晶化温度PPS)からなる構造例、(C)は、予備成形体1cの表層部1cs以外の部分1cmが、相対的に結晶化温度がより高い樹脂A(熱可塑性樹脂A、例えば、通常の結晶化温度のPPS)を用いた繊維強化樹脂からなり、表層部1csが、相対的に結晶化温度がより低い樹脂B(熱可塑性樹脂B、例えば、低結晶化温度PPS)を用いた繊維強化樹脂からなる構造例、をそれぞれ示している。
【0028】
上記のような予備成形体1a,1b、1cに対し、射出される樹脂Aを用いた第2の繊維強化樹脂からなる補強構造体(例えば、補強リブ)は、例えば、図2に示すように構成される。図2(A)に示す例では、相対的に結晶化温度がより高い樹脂A(熱可塑性樹脂A、例えば、通常の結晶化温度のPPS)を用いた繊維強化樹脂からなる補強構造体2aが例示されている。図2(B)に示す例では、図2(A)に示した例よりは結晶化温度がより低い樹脂Aではあるが、図1(A)に示した予備成形体1aの樹脂B、あるいは、図1(B)、(C)に示した予備成形体1b、1cの表層部1bs、1csにおける樹脂Bよりは相対的に結晶化温度がより高い樹脂A(熱可塑性樹脂A、例えば、適度に低結晶化温度のPPS)を用いた繊維強化樹脂からなる補強構造体2bが例示されている。
【0029】
上記のような予備成形体1a,1b、1cが型内に配置され、その型内に、溶融した第2の繊維強化樹脂が射出されて上記のような補強構造体2a、2b部分が形成され、補強構造体2a、2b部分を形成する樹脂Aにより与えられた熱により、予備成形体1a,1b、1cの表層部が溶融され、該溶融を介して、第2の繊維強化樹脂が予備成形体1a,1b、1cに接合されて所望の複合成形体が成形される。
【0030】
これら複合成形体の成形例(予備成形体と第2の繊維強化樹脂の組み合わせ例)について、図4を参照して説明するが、その説明において図面上樹脂の種類を区別するために、
用いられる樹脂または繊維強化樹脂の表示方法を、図3を用いて説明しておく。図3は、とくに熱可塑性樹脂としてポリフェニレンサルファイド(PPS)、強化繊維として炭素繊維(CF)を使用する場合を例示しており、図3において、(A)は低結晶化温度のPPS(材料形態3a)の場合の表示方法を、(B)は通常結晶化温度のPPS(材料形態3b)の場合の表示方法を、(C)は、低結晶化温度のPPSと炭素繊維(CF)とのコンポジット(繊維強化樹脂)(材料形態3c)の場合の表示方法を、(D)は通常結晶化温度のPPSと炭素繊維(CF)とのコンポジット(繊維強化樹脂)(材料形態3d)の場合の表示方法を、それぞれ示している。
【0031】
図4は、複合成形体を成形する際の、予備成形体と第2の繊維強化樹脂の各種組み合わせ例を示している。図4(A)に示す例では、前述の相対的に結晶化温度がより低い樹脂B(例えば、低結晶化温度PPS[低結晶化温度共重合ポリフェニレンサルファイド])を用いた繊維強化樹脂からなる予備成形体1aと、射出される側の相対的に結晶化温度がより高い樹脂A(例えば、通常の結晶化温度のPPS)を用いた繊維強化樹脂からなる補強構造体2aとが接合された複合成形体4aが示されている。
【0032】
図4(B)に示す例では、前述の表層部1bs以外の部分1bmが、相対的に結晶化温度がより高い樹脂A(例えば、通常の結晶化温度のPPS)を用いた繊維強化樹脂からなり、表層部1bsが、相対的に結晶化温度がより低い樹脂B(例えば、低結晶化温度PPS)からなる予備成形体1bの表層部1bsと、射出される側の相対的に結晶化温度がより高い樹脂A(例えば、通常の結晶化温度のPPS)を用いた繊維強化樹脂からなる補強構造体2aとが接合された複合成形体4bが示されている。
【0033】
図4(C)に示す例では、前述の表層部1cs以外の部分1cmが、相対的に結晶化温度がより高い樹脂A(例えば、通常の結晶化温度のPPS)を用いた繊維強化樹脂からなり、表層部1csが、相対的に結晶化温度がより低い樹脂B(例えば、低結晶化温度PPS)を用いた繊維強化樹脂からなる予備成形体1cの表層部1csと、射出される側の相対的に結晶化温度がより高い樹脂A(例えば、通常の結晶化温度のPPS)を用いた繊維強化樹脂からなる補強構造体2aとが接合された複合成形体4cが示されている。
【0034】
図4(D)に示す例では、前述の相対的に結晶化温度がより低い樹脂B(例えば、低結晶化温度PPS)を用いた繊維強化樹脂からなる予備成形体1aと、射出される側の相対的に結晶化温度がより高い樹脂A(例えば、通常の結晶化温度よりは低いが予備成形体1aを構成する樹脂Bよりは高結晶化温度のPPS)を用いた繊維強化樹脂からなる補強構造体2bとが接合された複合成形体4dが示されている。
【0035】
図4(E)に示す例では、前述の表層部1bs以外の部分1bmが、相対的に結晶化温度がより高い樹脂A(例えば、通常の結晶化温度のPPS)を用いた繊維強化樹脂からなり、表層部1bsが、相対的に結晶化温度がより低い樹脂B(例えば、低結晶化温度PPS)からなる予備成形体1bの表層部1bsと、射出される側の相対的に結晶化温度がより高い樹脂A(例えば、通常の結晶化温度よりは低いが予備成形体1bの表層部1bsを構成する樹脂Bよりは高結晶化温度のPPS)を用いた繊維強化樹脂からなる補強構造体2bとが接合された複合成形体4eが示されている。
【0036】
図4(F)に示す例では、前述の表層部1cs以外の部分1cmが、相対的に結晶化温度がより高い樹脂A(例えば、通常の結晶化温度のPPS)を用いた繊維強化樹脂からなり、表層部1csが、相対的に結晶化温度がより低い樹脂B(例えば、低結晶化温度PPS)を用いた繊維強化樹脂からなる予備成形体1cの表層部1csと、射出される側の相対的に結晶化温度がより高い樹脂A(例えば、通常の結晶化温度よりは低いが予備成形体1cの表層部1csを構成する樹脂Bよりは高結晶化温度のPPS)を用いた繊維強化樹脂からなる補強構造体2bとが接合された複合成形体4fが示されている。
【0037】
このように、予備成形体側と射出される繊維強化樹脂からなる補強構造体側とは、各種の組み合わせ形態を採り得る。いずれの形態にあっても、本発明では、予備成形体の表層部を構成する樹脂Bと、補強構造体部を成形するために射出される樹脂Aとの間には、樹脂Aにより与えられる熱により、予備成形体の表層部を構成する樹脂Bが十分に溶融され、高い接合強度をもって互いに接合されるよう、上述したような結晶化温度(それに伴う結晶化速度)の高低の関係が付与され、最終成形品としての複合成形体の十分に高い接合強度、それに基づく高い機械強度、剛性が達成される。
【0038】
繊維強化樹脂の組み合わせの接合強度への影響度を調べるために、図5に示すような組み合わせで試験を行った。図における左側が予備成形体の繊維強化樹脂側を示しており、右側が射出される繊維強化樹脂側を示している。図5(A)は、予備成形体側および射出側の双方の材料として、図3に示した通常結晶化温度のPPSと炭素繊維(CF)とのコンポジット(繊維強化樹脂)の材料形態3dを用いた場合を示している。この場合には、接合強度は低く、接合強度のばらつきは大であった。図5(B)は、予備成形体側の材料として、図3に示した低結晶化温度のPPSと炭素繊維(CF)とのコンポジット(繊維強化樹脂)の材料形態3cを用い、射出側の材料として、通常結晶化温度のPPSと炭素繊維(CF)とのコンポジット(繊維強化樹脂)の材料形態3dを用いた場合を示している。この場合には、接合強度は高く、接合強度のばらつきは小であった。図5(C)は、予備成形体側の材料として、図3に示した通常結晶化温度のPPSと炭素繊維(CF)とのコンポジット(繊維強化樹脂)の材料形態3dを用い、射出側の材料として、低結晶化温度のPPSと炭素繊維(CF)とのコンポジット(繊維強化樹脂)の材料形態3cを用いた場合を示している。この場合には、接合強度は低く、接合強度のばらつきは大であった。図5(D)は、予備成形体側および射出側の双方の材料として、図3に示した低結晶化温度のPPSと炭素繊維(CF)とのコンポジット(繊維強化樹脂)の材料形態3cを用いた場合を示している。この場合には、接合強度は高いものが得られるが、複合成形体の成形時に射出した第2の繊維強化樹脂の結晶化速度(固化速度)が遅いため、成形が完了し脱型できるまでに相当の時間を要する。すなわち、系全体の成形サイクルが伸びてしまい。工業的に有利な方法とは言えない。このように、本発明の規定に沿った形態、つまり、図5(B)に示したように、予備成形体側の材料(少なくともその表層部の材料)として、低結晶化温度のPPSと炭素繊維(CF)とのコンポジット(繊維強化樹脂)の材料形態3cを用い、射出側の材料として、通常結晶化温度のPPSと炭素繊維(CF)とのコンポジット(繊維強化樹脂)の材料形態3dを用いる形態とすることで、高い接合強度を有し、接合強度のばらつきが小さい優れた接合状態が実現される。
【0039】
上記においては、PPSをベースとした樹脂Aと樹脂Bの組み合わせについて例示した。例えば、前述したように、この組み合わせは、樹脂Aが、ポリフェニレンサルファイドからなり、樹脂Bが、共重合ポリフェニレンサルファイドからなる組み合わせを挙げることができ、共重合ポリフェニレンサルファイドとしては、例えば、p−フェニレンサルファイド単位にm−フェニレンサルファイド単位が共重合されたポリマーを用いることができる。本発明では、このようなPPSをベースとした樹脂Aと樹脂Bの組み合わせ以外にも、例えば前述したように、樹脂Aが、ポリアミドからなり、樹脂Bが、共重合ポリアミドからなる組み合わせ形態も採用できる。このような共重合ポリアミドを使用する場合、共重合し得るポリアミド形成性成分の例としては、6ーアミノカプロン酸(a−1の場合を除く)、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−アミノカプロラクタム(a−1の場合を除く)、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられる。また、得たい成形品の要求特性に応じて、難燃剤、耐候性改良剤、その他酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、相溶化剤、導電性フィラー等を樹脂中に添加しておくことができる。
【0040】
また、本発明では、予備成形体が、重量平均繊維長1mm以上の強化繊維を含む第1の繊維強化樹脂を用いて予め成形され、好ましくは、例えば、
(1)重量平均繊維長が1mm〜50mmの範囲の強化繊維が実質上ランダム配向したマット状基材と樹脂の組み合わせによるもの、
(2)該予備成形体の任意の2端部間にわたって連続繊維が配置されるように強化された成形体、
のいずれか、または、これらが組み合わされた成形体とされるが、これは、予備成形体自体、ひいては最終成形品としての複合成形体の、各種機械特性と成形性・賦型性とについて、双方とも良好な特性を満足させるために規定したものである。
【0041】
すなわち、図6に、繊維強化樹脂(コンポジット)における、成形材料に含まれる強化繊維の長さ(重量平均繊維長、単位:mm)と成形された繊維強化樹脂の各種特性の相対レベルとの一般的な関係について示すように、繊維長が短くなると弾性率、強度、耐衝撃性は低下するが成形性・賦型性は良くなり、逆に繊維長が長くなると弾性率、強度、耐衝撃性は高くなるが成形性・賦型性は悪化する。これら特性をバランスよく高く維持するためには、とくに重量平均繊維長が1mm〜50mmの範囲の強化繊維が含有されていることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る複合成形体およびその製造方法は、あらゆる複合成形体の用途に適用可能であり、とくに比較的大量生産することが要求される成形体を効率よく優れた生産性をもって製造する場合に好適なものである。本発明に係る複合成形体の用途としては、例えば、パソコン、ディスプレイ、OA機器、携帯電話、携帯情報端末、ファクシミリ、コンパクトディスク、ポータブルMD、携帯用ラジオカセット、PDA(電子手帳などの携帯情報端末)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、光学機器、オーディオ、エアコン、照明機器、娯楽用品、玩具用品、その他家電製品などの電気、電子機器の筐体及びトレイやシャーシなどの内部部材やそのケース、機構部品、パネルなどの建材用途、モーター部品、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、サスペンション部品、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係、排気系または吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、各種アーム、各種フレーム、各種ヒンジ、各種軸受、燃料ポンプ、ガソリンタンク、CNGタンク、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、バッテリートレイ、ATブラケット、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング、ハンドル、ドアビーム、プロテクター、シャーシ、フレーム、アームレスト、ホーンターミナル、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ノイズシールド、ラジエターサポート、スペアタイヤカバー、シートシェル、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、アンダーカバー、スカッフプレート、ピラートリム、プロペラシャフト、ホイール、フェンダー、フェイシャー、バンパー、バンパービーム、ボンネット、エアロパーツ、プラットフォーム、カウルルーバー、ルーフ、インストルメントパネル、スポイラーおよび各種モジュールなどの自動車、二輪車関連部品、部材および外板やランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、エレベーター、フェイリング、リブなどの航空機関連部品、部材および外板などが挙げられる。
【符号の説明】
【0043】
1a,1b、1c 予備成形体
1bm、1cm 表層部以外の部分
1bs、1cs 表層部
2a、2b 射出される樹脂を用いた第2の繊維強化樹脂からなる補強構造体
3a、3b、3c、3d 材料形態
4a、4b、4c、4d、4e、4f 複合成形体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均繊維長1mm以上の強化繊維を含む第1の繊維強化樹脂を用いて予備成形体を予め成形し、該予備成形体を型内に配置し、該型内に溶融した第2の繊維強化樹脂を射出し、射出された第2の繊維強化樹脂を前記予備成形体に接合して複合成形体を製造する方法であって、複合成形体に用いられる熱可塑性樹脂として少なくとも樹脂Aおよび樹脂Bの互いに異なる処方の樹脂を用い、前記予備成形体の少なくとも表層部を樹脂Bを用いて形成し、射出される前記第2の繊維強化樹脂には樹脂Aを使用し、樹脂Aにより与えられる熱により前記樹脂Bを溶融させ、該溶融を介して、前記第2の繊維強化樹脂を前記予備成形体に接合することを特徴とする、複合成形体の製造方法。
【請求項2】
前記重量平均繊維長1mm以上の強化繊維を含む予備成形体が、
(1)重量平均繊維長が1mm〜50mmの範囲の強化繊維が実質上ランダム配向したマット状基材と樹脂の組み合わせによるもの、
(2)該予備成形体の任意の2端部間にわたって連続繊維が配置されるように強化された成形体、
のいずれか、または、これらが組み合わされた成形体である、請求項1に記載の複合成形体の製造方法。
【請求項3】
前記重量平均繊維長1mm以上の強化繊維を含む予構成形体が、重量平均繊維長が20mm〜50mmの範囲の強化繊維が実質上ランダム配向したマット状基材と樹脂の組み合わせによるものである、請求項2に記載の複合成形体の製造方法。
【請求項4】
前記予構成形体の少なくとも表層部が、連続繊維からなる強化繊維を一方向に配向した層を含むものからなる、請求項1に記載の複合成形体の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂Aおよび樹脂Bが結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とし、かつ樹脂Aの結晶化温度が、樹脂Bの結晶化温度より高い、請求項1〜4のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂Aが、特定のモノマーを重合したホモポリマーからなる熱可塑性樹脂であり、かつ、前記樹脂Bが、2種類以上の異なったモノマーの共重合によるコポリマーで、その2種類以上のモノマーのひとつに樹脂Aと同一のモノマーを含んだコポリマーからなる熱可塑性樹脂、またはそのコポリマーがブレンドされた樹脂組成物である、請求項1〜5のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
【請求項7】
前記表層部を含む前記予備成形体の全体が前記樹脂Bを用いて形成される、請求項1〜6のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
【請求項8】
前記予備成形体の前記表層部が前記樹脂Bを用いて形成され、該予備成形体の前記表層部以外の部分が、前記樹脂Bとは異なる樹脂Cを用いて形成される、請求項1〜6のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂Aが、ポリフェニレンサルファイドからなり、前記樹脂Bが、共重合ポリフェニレンサルファイドからなる、請求項1〜8のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
【請求項10】
前記共重合ポリフェニレンサルファイドが、p−フェニレンサルファイド単位にm−フェニレンサルファイド単位が共重合されたポリマーからなる、請求項9に記載の複合成形体の製造方法。
【請求項11】
前記樹脂Aが、ポリアミドからなり、前記樹脂Bが、共重合ポリアミドからなる、請求項1〜8のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
【請求項12】
前記第1および第2の繊維強化樹脂の少なくとも一方の強化繊維として炭素繊維を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の方法により製造された複合成形体。
【請求項14】
前記第2の繊維強化樹脂により、前記予備成形体に対する補強部が形成されている、請求項13に記載の複合成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−139834(P2012−139834A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292269(P2010−292269)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】