説明

複合成形材料

【課題】 薄物射出成形を可能にするガラス繊維と熱可塑性樹脂との複合成形材料を提供する。
【解決手段】 ガラス繊維と熱可塑性樹脂との複合成形材料であって、前記ガラス繊維がガラス短繊維である。ガラス短繊維は、シランカップリング剤及び/又はフィルムフォーマを含む溶液を噴霧して表面処理される。ガラス短繊維に対する重量百分率は、シランカップリング剤が0.24wt%、フィルムフォーマが2.4wt%である。ガラス短繊維は、平均繊維長が600μmで、繊維径が3.4μmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形に用いられるガラス繊維を熱可塑性樹脂と混練した複合成形材料に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化樹脂は、母材の樹脂(マトリックス樹脂)が熱可塑性の場合にはFRTP(Fiber Reinforced Thermo Plastics)とよばれ、母材の樹脂に比べて強度があり、熱に対しても変形し難く寸法の安定性もよい。そこで、FRTPの射出成形品が、軽量化などの要求により金属やセラミックの代替品として電子機器の筐体、電気電子部品や自動車部品などに使用されている。強化材料としてFRTPに用いられるガラス長繊維の繊維径は10〜18μmである。
【0003】
特許文献1にはポリアセタール樹脂の分解によりホルムアルデヒド等のガスが成形時あるいは成形品から発生しやすいという問題を解消するため、ガラス繊維用集束剤にアルデヒド捕捉剤、皮膜形成剤及びシランカップリング剤を含有させることが提案されている。具体的には、ガラス表面に被膜を形成する機能を有する皮膜形成剤、そしてホルムアルデヒド等のガスを捕捉する性能を有するアルデヒド捕捉剤、さらにガラスを構成する珪素と易結合性を有する基と樹脂等の有機物と易結合性を有する基をもつシランカップリング剤の以上の3種類の成分を少なくとも併せもつものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−007179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、FRTPに使用されるガラス長繊維は、その繊維径が10〜18μmであるため、繊維含有率が20ないし50%のFRTPを薄肉(厚さ1mm以下)に射出成形すると、繊維の均一分散性が損なわれ、且つ射出成形品の表面に凹凸を生じたり、図1の走査型電子顕微鏡写真に見られるように、繊維が浮き出したりするなどの表面平滑性の不良が問題になっている。
【0006】
本発明は、従来の技術が有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、薄物射出成形を可能にするガラス繊維と熱可塑性樹脂との複合成形材料を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく請求項1に係る発明は、ガラス繊維と熱可塑性樹脂との複合成形材料であって、前記ガラス繊維をガラス短繊維とした。このガラス短繊維は、シランカップリング剤、またはシランカップリング剤と皮膜形成剤を含む溶液を噴霧して表面処理する。
【0008】
また、前記ガラス短繊維に対するシランカップリング剤の重量百分率は、0.1〜2.0wt%、好ましくは0.15〜0.4wt%、さらに好ましくは0.24wt%であり、皮膜形成剤の重量百分率はシランカップリング剤に対して5〜15倍であることが好ましい。
【0009】
更に、前記ガラス短繊維の繊維長は特に限定されないが、好ましくは平均繊維長300〜1000μm程度であり、繊維径は3〜6μmであることが好ましい。
平均繊維長が300μm未満ではアスペクト比が小さくなって補強効果が不足し、平均繊維長が1000μmを超えると、樹脂中への繊維の分散が不十分となり、また繊維同士が絡み合って繊維間に空気が取り込まれボイドの原因となる。
【発明の効果】
【0010】
図2は0.8mm厚の射出成形品表面の走査型電子顕微鏡写真(500倍)であって、(a)は無添加、(b)は繊維径13μm、繊維長3mmのチョップドストランド(CSF 3PE 455S(NTB製))を20wt%含有、(c)はチョップドストランドを微粉末状にした繊維径13μm、繊維長約100μmのミルドファイバー(MF06MW2-20(AFG製))を20wt%含有、(d)は本発明における繊維径3.4μm、繊維長600μmのガラス短繊維を20wt%含有したものであり、本発明に係る複合成形材料は射出成形品表面の平滑性を損なわないことが分かる。
【0011】
図3(a)は本発明に係る複合成形材料の焼成前の写真、(b)は同複合成形材料の焼成後の写真であり、これらの写真から、ガラス短繊維は射出成形時の樹脂内において、均一に分散することが分かる。
【0012】
加えて、本発明によれば、ガラス長繊維に比べて繊維長及び繊維径が共に小さいガラス短繊維を補強材として使用することで薄肉成形が容易となるため厚さ1mm以下の射出成形品を作製しても外観不良を少なくすることができ、更に、従来短繊維では補強効果はないと考えられていたが、チョップドストランドに見劣りしない補強効果があることを確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来のFRTPの表面の走査型電子顕微鏡写真(2000倍)
【図2】樹脂表面の走査顕微鏡写真(500倍)であって、(a)は無添加、(b)はチョップドストランド、(c)はミルドファイバー、(d)は本発明のガラス短繊維を添加
【図3】(a)は本発明に係る複合成形材料の焼成前の写真、(b)は同複合成形材料の焼成後の写真
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、工業生産可能なガラス短繊維(グラスウール)をFRTP用ガラス補強材として使用することで、従来のガラス長繊維を用いたFRTPと同程度の強度を有し、且つ薄肉の射出成形が可能なFRTPを実現するものである。
【0015】
従来のチョップドストランド含有FRTPは、一般に繊維径10〜18μmのガラス長繊維を重量百分率で20〜50wt%含むが、射出成形厚さを1mm以下に薄くしていくと、樹脂内に繊維が均一に行き渡らなかったり、外観不良が生じたりする。この問題は、繊維径を数μm程度に細くしたり、繊維を微粉化したりすることにより解決できる。
【0016】
しかし、前者の場合には、技術的に可能であるが生産性が著しく低下するためにコストアップとなる。後者の場合にも、粉砕工程が必要となるためコストアップとなる上に、補強効果が低下する。繊維径と繊維長の比(アスペクト比)が大きい程補強効果に優れるとされる。
【0017】
ガラス短繊維は、周囲に1mm程度の小孔を多数設けたスピナを高速回転させることにより製造される。この製造プロセスは、一般に遠心法と呼ばれ、3〜4μm程度の細い繊維を経済的に製造することができる。FRTP用ガラス補強材に、このガラス短繊維(グラスウール)を使用することで、外観不良のない表面平滑な厚さ1mm以下の薄肉成形品を得ることができる。
【0018】
また、FRTPの強度は、同一径であればガラス繊維の繊維長が長い程有利であるから、繊維長が短く繊維一本当たりの強度がガラス長繊維の2分の1から3分の1程度しかないガラス短繊維は、補強材として効果が乏しく不適であるとされてきた。
【0019】
しかしながら、ガラス短繊維であっても一定以上の繊維長があり、且つマトリックス樹脂に応じた適切な表面処理を施せば、従来のガラス長繊維含有のFRTPと同程度の補強効果を得ることができる。ガラス短繊維は、ガラス長繊維に比べ繊維径が細いため、樹脂に対する含有率が同じであれば、繊維の総表面積はガラス長繊維よりも広い。
【0020】
従って、ガラス短繊維の方がガラス長繊維よりも接着面積を広く有することになり、繊維長の面で不利であるガラス短繊維含有のFRTPが、強度の面でガラス長繊維含有のFRTPに匹敵することができる。
【実施例1】
【0021】
マトリックス熱可塑性樹脂としてポリアミド(PA)樹脂(三菱エンジニアプラスチックス(株)製ノバミッド)、シランカップリング剤として3−アミノプロピルトリエトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6011)、皮膜形成剤としてエポキシ樹脂((株)アデカ製EM−058)を使用した。使用したガラス短繊維は、遠心法により製造され、平均繊維径は約3.4μmである。
【0022】
ガラス短繊維の表面処理は、スピナから繊維化されたガラス短繊維に、バインダノズルよりシランカップリング剤及び皮膜形成剤を含む溶液を噴霧することにより行われる。この時、ガラス短繊維に対する重量百分率は、シランカップリング剤が0.24wt%、皮膜形成剤が2.4wt%である。
【0023】
この後、ガラス短繊維を150℃で1時間乾燥させた後、カッタミルで平均繊維長600μmに粉砕処理した。次いで、二軸押出混練機により表面処理を施したガラス短繊維をPA樹脂と混練して繊維添加樹脂ペレットを作成し、これを射出成形することでFRTP(実施例1)を作製した。
【0024】
次に、機械強度を評価するため、このFRTPを110×10×1mmの成形品にして引張強さ、及び80×10×1mmの成形品にして曲げ強さを測定した。表1に示すように、PA樹脂単体(比較例1)に比べて引張強さは約1.4倍向上している。測定後、この試験片の破断面を走査型電子顕微鏡で観察すると、繊維にPA樹脂が絡み付いている状態が観察されたことから、樹脂−繊維界面の接着状態が良好であると判断できる。
【0025】
【表1】

【0026】
更に、引張強さの比較試験を実施するため、ガラス短繊維の場合と同様に、二軸押出混練機で市販のチョップドストランドとミルドファイバーをPA樹脂と混練してペレットを試作後、そのペレットを射出成形してFRTPの試験片を試作した。ガラス短繊維と含有率の等しいチョップドストランドのFRTP(比較例2)は、PA樹脂単体(比較例1)に比べて引張強さは約1.5倍向上している。ガラス短繊維のFRTP(実施例1)の引張強さは、比較例2より若干低い値であるがほぼ同程度であった。
【0027】
このことは、強度については、チョップドストランドの方が繊維長の点で優位であるとしても、繊維の重量比が等しければ、表面積がガラス短繊維の方が広くなるため、PA樹脂と界面における接着力がチョップドストランドよりも勝っていることを示唆している。
【0028】
また、ミルドファイバーのFRTP(比較例3)と比べると、ガラス短繊維のFRTP(実施例1)の方が高い引張強さを示した。ミルドファイバーの繊維長は約100μmと短く、且つガラス長繊維相当の繊維径を有することから、十分な補強効果が得られなかったと推察される。
【0029】
更に繊維長とボイドの関係についても検証した。比較例2の繊維長は3000μm、比較例5の繊維長は1200μmであり、いずれもボイドが観測された。これは繊維長が長いため、分散性が悪く繊維が絡まり内部に空気を抱持してしまうからと考えられる。これに対し、実施例1、比較例3及び比較例4はボイドの発生が見られなかった。
【0030】
従来のガラス繊維含有樹脂では、厚さ1mmのように薄い成形品を射出成形すると、表面平滑性を損なうなどの外観不良を起こし易い。そこで、射出成形機を用い、比較例1〜3と実施例1について、0.8mm厚のASTM D1822 Type L型引張試験片を成形し、表面を走査型電子顕微鏡で観察した。
【0031】
PA樹脂単体(比較例1)の場合は、試験片表面は平滑であった。一方、チョップドストランド含有のFRTP(比較例2)の場合は、射出時における充填圧力不足による欠陥(ボイド)以外に、表面が凹凸で滑らかでない部位が観察された。この凹凸は試験片の表面付近に分散配置される繊維径13μmのチョップドストランドによる影響だと考えられる。
【0032】
また、ミルドファイバー含有のFRTP(比較例3)も若干のボイドが観察されるが、チョップドストランド含有のFRTP(比較例2)と比較すると表面に大きな凹凸箇所はなく、比較的平滑であった。ガラス短繊維含有のFRTP(実施例1)には、比較例2,3のような外観不良はなかった。従って、表面平滑性の点において、ガラス短繊維の優位性が確認されたといえる。
【0033】
このように、従来補強効果がないと考えられていたガラス短繊維のFRTP(実施例1)であったが、PA樹脂単体(比較例1)の表面平滑性を損なうことなく、チョップドストランドのFRTP(比較例2)に見劣りしない補強効果があることが確認された。また、ミルドファイバーのFRTP(比較例3)は、表面平滑性においてチョップドストランドのFRTP(比較例2)より良好であるが、補強効果が損なわれる結果となった。
【実施例2】
【0034】
マトリックス熱可塑性樹脂としてポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(三菱エンジニアプラスチックス(株)製ノバデュラン5010R5N)、シランカップリング剤として3−アミノプロピルトリエトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6011)と3−グリシドキシプロピルトリメトキシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)、皮膜形成剤としてエポキシ樹脂((株)アデカ製EM−058)を使用した。これらの配合は、表2に示す。使用したガラス短繊維は、遠心法により製造され、平均繊維径は約3.4μmである。
【0035】
【表2】

【0036】
ガラス短繊維の表面処理は、遠心法によりスピナから繊維化されたガラス短繊維に、バインダノズルよりシランカップリング剤及び/又は皮膜形成剤を含む溶液(3種)を噴霧することにより行われる。この後、ガラス繊維を150℃で1時間加熱乾燥させた後、カッタミルで平均繊維長600μmに粉砕処理した。次いで、表面処理を施したガラス短繊維をPBT樹脂とラボプラストミルで混練し、3種のFRTP(実施例2−1,実施例2−2,実施例2−3)を得た。
【0037】
これらのFRTP(実施例2−1,実施例2−2,実施例2−3)をPBTの溶融温度である250℃で加熱しながらプレスし、次いで、レバー式切断機で打ち抜いてJIS K 7113 2号型に引張試験片を作製し、引張試験機で引張強さを測定した。そして、表2に示すように、ガラス短繊維の表面処理した実施例2−1,実施例2−2,実施例2−3において、PBT樹脂単体(比較例6)に対し、1.13倍、1.31倍、1.49倍の強度向上が確認された。
【実施例3】
【0038】
マトリックス熱可塑性樹脂としてポリプロピレン(PP)樹脂(日本ポリケム(株)製ノバテックBC03Bに三洋化成工業(株)製ユーメックス1010を1wt%添加)、シランカップリング剤として3−アミノプロピルトリエトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6011)、皮膜形成剤としてエポキシ樹脂((株)アデカ製EM−058)を使用した。
【0039】
ガラス短繊維の表面処理は、遠心法によりスピナから繊維化されたガラス短繊維に、バインダノズルよりシランカップリング剤(0.24wt%)及び皮膜形成剤(2.4wt%)を含む溶液を噴霧することにより行われる。この後、ガラス繊維を150℃で1時間加熱乾燥させた後、このガラス短繊維をPP樹脂と二軸押出混練機により混練してペレット状のFRTP(実施例3)を得た。
【0040】
このFRTPを射出成形機により成形し、引張試験片、曲げ試験片、衝撃試験片を作製し、引張強さ、曲げ強さ、衝撃強さを測定した。また、比較のため、ガラス繊維の代わりにチョップドストランド((株)日東紡製)を実施例3と同じ条件で混練・成形し試験片を作製し、引張強さ、曲げ強度、衝撃強さを測定した。
【0041】
【表3】

【0042】
表3に示すように、表面処理を施したガラス繊維をPP樹脂に混練した実施例3において、PP樹脂単体(比較例7)に対し、引張強さが1.54倍、曲げ強さが1.58倍、衝撃強さが1.24倍向上したことが確認された。いずれの測定結果も、チョップドストランド(20wt%)含有のFRTP(比較例8)には及ばないが、実施例3において樹脂の補強効果が確認された。
【実施例4】
【0043】
マトリックス熱可塑性樹脂としてノンハロゲン・難燃タイプのポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(ポリプラスチックス(株)製ジュラネックスXFR4840)、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)、皮膜形成剤としてエポキシ樹脂((株)アデカ製EM−058)を使用した。
【0044】
ガラス短繊維の表面処理は、遠心法によりスピナから繊維化されたガラス短繊維に、バインダノズルよりシランカップリング剤(0.24wt%)及び皮膜形成剤(2.4wt%)を含む溶液を噴霧することにより行われる。この後、ガラス繊維を150℃で1時間加熱乾燥させた後、このガラス短繊維をPBT樹脂とラボプラスミルで混練してFRTP(実施例4)を得た。
【0045】
このFRTP(実施例4)を打ち抜き加工して引張試験片を作製し、引張試験機で引張強さを測定した。また、PBT樹脂にチョップドストランドを30wt%含有させた市販の繊維強化樹脂(6840 GF30)でも、実施例4と同じ条件で混練・加工して試験片を作製し、引張強さを測定した。
【0046】
【表4】

【0047】
表4に示すように、表面処理を施したガラス繊維をPBT樹脂に混練した実施例4において、PBT樹脂単体(比較例9)に対し、引張強さが1.31倍向上したことが確認された。また、チョップドストランド(30wt%)含有のFRTP(比較例10)と比べても高い強度が得られており、ガラス短繊維含有のFRTP(実施例4)は従来のFRTPに対して強度面で必ずしも劣るわけではないことが確認された。
【実施例5】
【0048】
マトリックス熱可塑性樹脂としてシンジオタクチックポリスチレン(SPS)樹脂(出光興産(株)製ザレックS−104)、シランカップリング剤として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング Z-6040)と3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング Z-6030)、皮膜形成剤としてエポキシ樹脂((株)アデカ製EM−058)を使用した。
【0049】
ガラス短繊維の表面処理は、遠心法によりスピナから繊維化されたガラス短繊維に、バインダノズルよりシランカップリング剤及び/又は皮膜形成剤を含む溶液を噴霧することにより行われる。この後、ガラス繊維を150℃で1時間加熱乾燥させた後、カッタミルで平均繊維長600μmに粉砕処理した。次いで、表面処理を施したガラス短繊維とSPS樹脂とをラボプラストミルで混練し、FRTPを得た。
【0050】
これらのFRTPをSPSの溶融温度である300℃で加熱しながらプレスし、次いで、レバー式切断機で打ち抜いてJIS K 7113 2号型に引張試験片を作製し、引張試験機で引張強さを測定した。
【0051】
【表5】

【0052】
(表5)に示すように、ガラス短繊維の表面処理した実施例5−1、実施例5−2、実施例5−3において、SPS樹脂単体(比較例11)に対し、1.28倍、1.35倍、1.24倍の強度向上が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によれば、厚さ1mm以下の射出成形品を作製しても外観不良が発生することがない複合成形材料を、ガラス短繊維を熱可塑性樹脂に混練することで提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス繊維と熱可塑性樹脂との複合成形材料であって、前記ガラス繊維がガラス短繊維であることを特徴とする複合成形材料。
【請求項2】
請求項1に記載の複合成形材料において、前記ガラス短繊維は、シランカップリング剤及び/又はフィルムフォーマを含む溶液を噴霧して表面処理されることを特徴とする複合成形材料。
【請求項3】
請求項2に記載の複合成形材料において、前記ガラス短繊維に対する重量百分率は、シランカップリング剤が0.24wt%、フィルムフォーマが2.4wt%であることを特徴とする複合成形材料。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の複合成形材料において、前記ガラス短繊維は、平均繊維長が600μmで、繊維径が3.4μmであることを特徴とする複合成形材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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