説明

複合材ベルトとその製造方法

【課題】この発明は、外側に有る二つのフリース素材ベルト(2)と、それらの間に部分的に配置された弾力性の有るフォイル(4)のフォイルストリップ(3)とを有し、フリース素材ベルト(2)が、フォイルストリップ(3)間の領域(5)で互いに連結されている複合材ベルト及びその製造方法に関する。
【解決手段】この発明では、フォイルストリップ(3)が、二つの縦の縁(6)の各々でのみ、上側と下側の両側をフリース素材ベルト(2)の内面と連結されるとともに、フリース素材ベルト(2)が、フォイルストリップ(3)を覆う領域にベルト方向に延びる弱体部(7)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外側に有る二つのフリース素材ベルトとそれらの間に部分的に配置された弾力性の有るフォイルのフォイルストリップとを備え、フリース素材ベルトが、フォイルストリップ間の領域で互いに連結されている複合材ベルト及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような複合材ベルトは、例えば、赤ん坊のおむつ又は成人のおむつ用の弾力性の有る閉鎖バンドを製造するために使用することができ、そのようなおむつは、おむつの耳状部分を備えるとともに、それぞれ弾力性の有る中間領域及びそれの両側に繋がる弾力性の小さい終端部分を持つこともできる。これらの弾力性の無い、或いは弾力性の小さい終端部分は、閉鎖部材、例えば、留め用テープを固定するとともに、閉鎖バンドをおむつの本体に取り付けるために使用される。安価に製造するために、多くの弾力性の有るフォイルストリップをフリース素材から成る幅の広いベルトの間に互いに間隔を空けて貼り合わている。そして、得られた複合材ベルトから、おむつの製造に必要な閉鎖バンドを切り分けている。
【0003】
冒頭に述べた特徴を有する複合材ベルトは、特許文献1により周知である。そこでは、フォイルストリップは、弾力性の有る粘着性のコア部分を有し、そのコア部分は、片側又は両側を薄い不織布層で覆われており、コア部分の粘着性にも関わらず、フォイルストリップの処理が可能となっている。複合材ベルトの所望の弾力性を保証するために、これらのベルトに対して、リングロールプロセスを施している。そうすることによって、回転されて弾力性の無い形に再設定可能なフリース素材ベルト内に、伸縮プロセス時に平らに引き延ばされる皺を生じさせている。
【0004】
所望の特性を有する複合材ベルトを製造するための簡単な手法は、二つのフリース素材ベルトを弾力性の有るフォイルによって互いに連結させることである。しかし、そのような積層体の非対称的な構造は、一般的に接着剤により連結が行われるフォイルとフリース素材ベルト間の領域に破れを生じさせる傾向が有る。更に、その場合、弾力性の有るフォイルが露出してしまい、それによってその領域の複合材ベルトが、おむつの残りの表面において快適な布特性を持たなくなるということが欠点である。
【特許文献1】欧州特許公開第1686209号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の課題は、簡単に製造することが可能であると同時に、十分に高い安定性を有する、おむつ、特に、大人のおもつ用の閉鎖部材を製造するための複合材ベルト及びその製造方法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、冒頭に述べた特徴を有する複合材ベルトを出発点として、この発明にもとづき、フォイルストリップが、二つの縦の縁の各々でのみ上側と下側の両側をフリース素材ベルトの内面と連結されることと、フリース素材ベルトが、フォイルストリップを覆う領域にベルト方向に延びる弱体部を有することとによって解決される。この弱体部は、穿孔として、或いはそれに代わってスリット又は小さな裂け目として形成することができる。フォイルストリップの両側を外側に有るフリース素材ベルトと連結することによって、おむつの閉鎖部材の負荷に難なく耐える非常に安定した連結が実現されることとなる。この発明による複合材ベルトを横方向に拡げると、弱体部と弾力性の有るフォイルストリップが引き裂かれて露出する。そのため、フォイルストリップの弾力性をフルに活用することができる。弱体部を備えたおもつ閉鎖部材を最初に拡げることは、通常おむつを履かせる人によって行われ、大人のおもつの場合には、それに対応して場合によってはおむつを装着する人自身によって行われる。
【0007】
有利には、フリース素材ベルトは、フォイルストリップ毎にそれぞれ一つの弱体部を有し、弱体部は、それぞれフォイルストリップに対して対称的に延びている。この発明の目的に適うこととして、弱体部は、フォイルストリップの全長に渡って延びる。弾力性の無い部分を製造するために、フォイルストリップ間の領域において、フリース素材ベルトを互いに貼り合わせることができる。この発明の目的に適うこととして、フォイルストリップの周縁領域もフリース素材ベルトの内面と貼り合わせることができる。両方の場合において、接着剤として、貼り合わせプロセスにより連結を形成するホットメルト接着剤を使用することができる。
【0008】
弾力性の有るフォイルストリップの露出後においても、おもつ閉鎖部材の全面に渡っての布特性を保持するために、フォイルストリップは、それぞれ一つのエラストマー層と、エラストマー層の上に被せられた、フリース素材から成る少なくとも一つの外側層とから構成することができる。このエラストマー層は、多くの場合粘着性を持つので、この層の両側にフリース素材から成る外側層を配備することが、この発明の目的に適うことである。一方における考慮すべき機能、即ち、布特性と他方における粘着性のエラストマー層の被覆を満たすために、フリース素材の外側層の厚さは、フリース素材ベルトよりも大幅に薄くすることができる。
【0009】
更に、この発明の対象は、請求項8による複合材ベルトの製造方法である。この発明の目的に適う方法の実施形態は、請求項9と10に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下において、一つの実施例のみを図示した図面にもとづき、この発明を詳しく説明する。
【0011】
図1には、複合材ベルトが図示されており、その複合材ベルトから単一のおもつ閉鎖部材1を製造することができる。複合材ベルトは、外側に有る二つのフリース素材ベルト2と、それらの間に部分的に配置された弾力性の有るフォイル4のフォイルストリップ3(図3参照)とを有する。フリース素材ベルト2は、フォイルストリップ3間の領域5において互いに連結されている。フォイルストリップ3は、二つの縦の縁6の各々においてのみ上側と下側の両側をフリース素材ベルト2の内面と連結されている。フリース素材ベルト2は、フォイルストリップ3を覆う領域にベルト方向に延びる弱体部7を有し、これらの弱体部は、この実施例では、穿孔として形成されている。この場合、フリース素材ベルト2は、フォイルストリップ3毎に、それぞれ一つの穿孔7を有し、更に、それらの穿孔は、それぞれフォイルストリップ3に対して対称的に延びている。穿孔7は、フォイルストリップ3の全長に渡って延びている。フォイルストリップ3間の領域5において、フリース素材ベルト2は全面に渡り互いに貼り合わされている一方、フォイルストリップ3の周縁領域は、全面に渡りフリース素材ベルト2の内面と貼り合わされている。この貼り合わせは、例えば、ホットメルト接着剤8を用いて、貼り合わせプロセスの枠組みで行うことができる。更に、図1から、フォイルストリップ3が、それぞれ一つのエラストマー層9と、エラストマー層9の上に被せられた、フリース素材から成る少なくとも一つの外側層10とから構成されていることが分かる。この実施例では、エラストマー層9は、粘着性を有し、従って、両側をフリース素材から成る薄い外側層10を備えている。この発明の目的に適うこととして、これらの外側層10は、5g/m2 〜15g/m2 の斤量を有し、それに対して、フリース素材ベルト2は、それぞれ明らかにそれより大きい斤量を有する。
【0012】
図3には、この発明による複合材ベルトの製造方法が図示されている。先ずは、切り分けプロセスにより、一つの弾力性の有るフォイル4から、複数のフォイルストリップ3を作り、それらのフォイルストリップを方向転換器11を介して案内し、互いに間隔を空けた平行なストリップとして貼り合わせ機器12に供給して、その機器において、フォイルストリップ3をフリース素材ベルト2の間に部分的に配置して貼り合わせる。フォイルストリップ3間の領域5の全面に渡って接着剤を塗ることによって、フリース素材ベルト2を互いに連結する。両方のフリース素材ベルト2の内面に接着剤を相応に塗ることによって、フォイルストリップ3は、二つの縦の縁6の各々でのみ上側と下側の両側をフリース素材ベルト2の内面と連結されることとなる。両方のフリース素材ベルト2の連結とフォイルストリップ3の両方のフリース素材ベルト2との連結は、両方とも貼り合わせ機器で行われる。フリース素材ベルト2は、事前にフォイルストリップ3を覆う領域内において、各フォイルストリップ3に対して対称的にベルト方向に向かって穿孔しておく。そのために、フリース素材ベルト2を相応の穿孔機器13に通す。このようにして製造された複合材ベルトは、相応の裁断プロセスによって、それぞれ一つのフォイルストリップ3だけを備えた弾力性の有るおもつ閉鎖部材1として更に処理することができる。
【0013】
互いに連結されたフリース素材ベルト2は、フォイルストリップ3間の領域5において、弾力性の無い領域を形成する一方、それぞれ一つのフォイルストリップ3を有する部分は、露出可能な弾力性の有る領域を形成することとなる。この発明の目的に適うこととして、フリース素材ベルト2とフォイルストリップ3の外側層10は、同じ原料、例えば、ポリプロピレン繊維から作られる。フォイルストリップ3の外側層10は、繊維構造に関して、フリース素材ベルト2と異なるようにすることができる。この発明の目的に適うこととして、フォイルストリップ3の外側層10に対して、ローラーに巻き付けられた状態に留まることを防止する密な繊維構造が選択される。しかし、所望の布状の表面を保証するために、外側層の厚さは、比較的薄くて十分である。それに対して、この発明の目的に適うこととして、外側に貼り合わされるフリース素材ベルト2は、快適な布状の表面構造を実現するために、緩いふかふかした繊維構造を有するが、外側層10よりも明らかに厚くなっている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明による複合材ベルトから製造したおもつ閉鎖部材の横断面図
【図2】図1のX方向から見た平面図
【図3】この発明による複合材ベルトの製造方法
【符号の説明】
【0015】
1 おもつ閉鎖部材
2 フリース素材ベルト
3 フォイルストリップ
4 弾力性の有るフォイル
5 フォイルストリップ間の領域
6 縦の縁
7 弱体部(穿孔)
8 ホットメルト接着剤
9 エラストマー層
10 外側層
11 方向転換器
12 貼り合わせ機器
13 穿孔機器
X 視線方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側に有る二つのフリース素材ベルト(2)と、それらの間に部分的に配置された弾力性の有るフォイル(4)のフォイルストリップ(3)とを有し、フリース素材ベルト(2)が、フォイルストリップ(3)間の領域(5)で互いに連結されている複合材ベルトにおいて、
フォイルストリップ(3)が、二つの縦の縁(6)の各々でのみ上側と下側の両側をフリース素材ベルト(2)の内面と連結されていることと、
フリース素材ベルト(2)が、フォイルストリップ(3)を覆う領域にベルト方向に延びる弱体部(7)を有することと、
を特徴とする複合材ベルト。
【請求項2】
フリース素材ベルト(2)が、フォイルストリップ(3)毎にそれぞれ一つの弱体部(7)を有することと、
弱体部(7)が、それぞれフォイルストリップ(3)に対して対称的に延びていることと、
を特徴とする請求項1に記載の複合材ベルト。
【請求項3】
弱体部(7)が、それぞれフォイルストリップ(3)の全長に渡って延びていることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合材ベルト。
【請求項4】
フリース素材ベルト(2)が、フォイルストリップ(3)間の領域で互いに貼り合わされていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載の複合材ベルト。
【請求項5】
フォイルストリップ(3)の周縁領域が、フリース素材ベルト(2)の内面と貼り合わされていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の複合材ベルト。
【請求項6】
フォイルストリップ(3)が、それぞれ一つのエラストマー層(9)と、エラストマー層(9)の上に被せられた、フリースから成る少なくとも一つの外側層(10)とから構成されることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の複合材ベルト。
【請求項7】
エラストマー層(9)が、その両側にフリースから成る外側層(10)を有することを特徴とする請求項6に記載の複合材ベルト。
【請求項8】
切り分けプロセスにより、一つの弾力性の有るフォイルから複数のフォイルストリップを作り、
次に、フォイルストリップをフリース素材ベルトの間に部分的に配置し、
次に、フォイルストリップ間の領域でフリース素材ベルトを互いに連結する、
複合材ベルトの製造方法において、
フォイルストリップが、二つの縦の縁の各々でのみ、上側と下側の両側をフリース素材ベルトの内面と連結されることと、
フリース素材ベルトが、フォイルストリップを覆う領域においてベルト方向に延びる弱体部を配設されることと、
を特徴とする方法。
【請求項9】
フリース素材ベルトが、フォイルストリップ毎にそれぞれ一カ所、フォイルストリップに対して対称的に弱体部を配設されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
フリース素材ベルトが、フォイルストリップ間の領域で互いに貼り合わされ、フォイルストリップの周縁領域が、フリース素材ベルトの内面と貼り合わされることを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−114590(P2008−114590A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279954(P2007−279954)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(507356774)ノルデニア・テヒノロギース・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (11)
【Fターム(参考)】