説明

複合材料及びそれを用いた成形体

【課題】 ガス吸着能力に優れる成形体及びその成形体に用いられる複合材料を提供すること。
【解決手段】 単層カーボンナノチューブと体積平均粒子径が3〜10nmの金属粒子とを含み、前記金属粒子の含有量が0.2〜5質量%である複合材料及び該複合材料をプレス成形して得られた成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単層カーボンナノチューブ及び金属粒子を含む複合材料及びそれを用いた成形体に関し、特に、細孔容積の大きな成形体及びそれに用いられる複合材料及に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、炭素六角網面が円筒状に閉じた構造あるいはこれらの円筒が入れ子状に配置された多層構造をしている。その径は数nm〜数十nmと非常に細いものである。このカーボンナノチューブは、今後電子材料やガス吸着材料等として応用が期待されている。さらに、金属粉末とカーボンナノチューブとを混合して得られる複合材粒子が、高熱伝導率複合材の原料として知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
カーボンナノチューブのうち、特に単層カーボンナノチューブにはガスの吸着材料としての応用が期待されている。
【0004】
単層カーボンナノチューブの製造には、Fe、Ni又はCo等の金属が触媒として用いられ、得られた単層カーボンナノチューブにはこれら触媒金属が残存する。そのため、単層カーボンナノチューブをガス吸着材料として用いる場合、単層カーボンナノチューブの純度を向上させるために金属触媒を除去することが好ましい。
【特許文献1】特開平10−168502号公報(請求項4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、単層カーボンナノチューブの純度を向上させてもガス吸着能力は十分なものではなかった。この理由としては、単層カーボンナノチューブはチューブ内部にガスを吸着して保持することが可能であっても、その外部にガスを保持することができないことによるものと考えられる。
【0006】
本発明は上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、ガス吸着能力に優れる成形体及びその成形体に用いられる複合材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、
<1> 単層カーボンナノチューブと、体積平均粒子径が3〜10nmの金属粒子と、を含み、前記金属粒子の含有量が0.2〜5質量%である複合材料である。
【0008】
<2> 前記金属粒子が、Pt、Ni、Fe、Co、Cu及びMoからなる群から選択される少なくとも一種を含有する<1>に記載の複合材料である。
【0009】
<3> 前記金属粒子が、前記単層カーボンナノチューブの表面に分散して担持された<1>又は<2>に記載の複合材料である。
【0010】
<4> <1>乃至<3>のいずれか1つに記載の複合材料をプレス成形して得られた成形体である。
【0011】
<5> 前記プレス成形の条件が、0〜200℃で50〜200MPaである<4>に記載の成形体である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ガス吸着能力に優れる成形体及びその成形体に用いられる複合材料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の複合材料及びそれを用いた成形体について詳細に説明する。
【0014】
本発明の複合材料は、単層カーボンナノチューブと、体積平均粒子径が3〜10nmの金属粒子と、を含み、前記金属粒子の含有量を0.2〜5質量%としたものである。
【0015】
本発明の複合材料をプレス成形することにより、ガス吸着能力に優れる本発明の成形体を得ることができる。
【0016】
本発明の複合材料は、単層カーボンナノチューブを含む。単層カーボンナノチューブを用いることにより、ガスを吸着可能な空間(細孔容積)を増大させることができる。単層カーボンナノチューブの直径は特に限定されるものではないが、1〜4nmが好ましく、2〜3nmが更に好ましい。
【0017】
なお、細孔容積はカーボンナノチューブの層数と反比例の関係にある。そのため、多層カーボンナノチューブを用いても細孔容積を増大させることが困難になる。多層カーボンナノチューブは本発明の複合材料には適さない。また、活性炭の平均総数は1.5〜3層程度といわれており、単層カーボンナノチューブに比べて細孔容積の形成には適さないものである。
【0018】
本発明の複合材料は、体積平均粒子径が3〜10nmの金属粒子を0.2〜5質量%含む。体積平均粒子径が3〜10nmの金属粒子を0.2〜5質量%含むことにより、本発明の成形体中の細孔容積を増大させることができる。これは、該金属粒子がスペーサの役割を果たして単層カーボンナノチューブ間に適度な間隔が保持されるためにカーボンナノチューブ内以外にもガス吸着が可能な空間が形成されるためであると考えられる。
【0019】
本発明の複合材料に含まれる金属粒子の体積平均粒子径が上記範囲外であると、細孔容積が不十分になり、成形体のガス吸着能が不十分になることがある。また、金属粒子の含有量が上記範囲外であると、細孔容積が不十分になり、成形体のガス吸着能が不十分になることがある。
【0020】
本発明に係る金属粒子の体積平均粒子径は、3〜7nmが好ましい。また、金属粒子の含有量は、0.5〜2質量%が好ましい。
【0021】
金属粒子の体積平均粒子径は、TEM像を任意に10視野程度観察し、粒子径の測定、分布を解析する方法により求めることができる。
【0022】
本発明に係る金属粒子の粒子径は、体積平均粒子径の±50%以内が好ましく、±30%以内が更に好ましい。金属粒子の粒子径が体積平均粒子径の±30%以内であると、先端のキャップの開放がより確実に行われる。これにより比表面積の大きい、すなわちガス吸着能の大きい単層カーボンナノチューブを得ることが可能となる。
【0023】
また、金属粒子の含有量は、重量法(Temperature Gravimetric Analysis;TGA)により測定することができる。
【0024】
本発明に係る金属粒子は、Pt、Ni、Fe、Co、Cu及びMoからなる群から選択される少なくとも一種を含有することが好ましい。本発明に係る金属粒子がこれらの金属を含有することにより、成型後の材料に含まれるガス吸着効果が現れない空間であるマクロ孔が低減する。すなわち、材料が内包している空間を低減することで、タンクへの材料充填率の向上が可能となる。
【0025】
これらの中でも、金属粒子に含有される金属はFe、Ptが好ましい。Feは元々単層カーボンナノチューブの生成時に触媒として用いられており、すでに10〜40質量%程度含有されている。したがって本発明の範疇まで減量すればよい。また、Ptは単層カーボンナノチューブ生成後に分散による粒子形成が可能である。
【0026】
本発明に係る金属粒子は、単層カーボンナノチューブの表面に分散して担持されていることが好ましい。上述のように、金属粒子がスペーサの役割を果たすことにより本発明の成形体中の細孔容積を増大させることができるものと考えられる。金属粒子が単層カーボンナノチューブの表面に分散して担持されることにより、本発明の成形体中の細孔容積を増大させることができる。なお、本発明において「カーボンナノチューブの表面」とは、チューブの外表面をいい、チューブ内空間は含まないものである。
【0027】
本発明の複合材料の製造方法は特に限定されるものではないが、市販の単層カーボンナノチューブ(以下、「原料カーボンナノチューブ」と称することがある)から製造することができる。
【0028】
原料カーボンナノチューブとしては、HiPCO法により合成されたものが好ましい。HiPCO法により合成されたカーボンナノチューブは触媒金属を10〜50質量%含むものの、その他の不純物や多層カーボンナノチューブ等を含まないものである。その他の原料カーボンナノチューブとして、レーザー法等その他の方法により合成されたものを用いることもできる。
【0029】
原料カーボンナノチューブには触媒由来の金属が本発明に係る範囲以上に含まれていることがある。その場合、原料カーボンナノチューブから金属が取り除かれる。金属を取り除く方法としては、原料カーボンナノチューブを酸性溶液に浸漬する方法が挙げられる。この方法に用いられる酸性溶液としては、塩酸、硫酸又は硝酸等が挙げられる。酸性溶液の濃度としては1〜70%が好ましく、5〜30%がさらに好ましい。原料カーボンナノチューブを酸性溶液に浸漬後、水洗浄及び乾燥が行われる。酸性溶液の種類、濃度、浸漬時間を適宜選択することにより金属粒子の体積平均粒子径を調節することもできる。
【0030】
原料カーボンナノチューブの直径は一般に0.7〜1.5nm程度であるが、ガス吸着能力をさらに向上させるためにチューブの直径を拡大するための処理を施すこともできる。具体的には、真空中又は不活性ガス雰囲気中で原料カーボンナノチューブを1700〜1800℃に加熱することによりチューブの直径を拡大することができる。
【0031】
さらに、原料カーボンナノチューブを真空中において1000℃以上で加熱することにより、原料カーボンナノチューブ中に含まれる金属粒子の含有量や金属粒子の体積平均粒子径等を調節することができる。具体的には、真空度が高いほど、かつ加熱時間が長いほど金属粒子の含有量が減少し、体積平均粒子径が大きくなる。
【0032】
なお、原料カーボンナノチューブ中に大量に金属が含まれている場合、加熱により多量のグラファイトが不純物として発生することがある。グラファイトの発生を抑制するため、金属含有量を1質量%以下まで減少させることが好ましい。
【0033】
例えば、金属含有量が1質量%の原料カーボンナノチューブと12質量%の原料カーボンナノチューブとについて各々1700℃5時間加熱処理を行ったところ、金属含有量が12質量%の原料カーボンナノチューブでは70質量%のグラファイトが生成したが、金属含有量が1質量%の原料カーボンナノチューブではグラファイトの生成量は10質量%以下であった。
【0034】
原料カーボンナノチューブを加熱する前に、原料カーボンナノチューブに欠陥を導入するようにしてもよい。欠陥を導入することにより容易にチューブの直径を拡大することができる。欠陥導入方法としては、例えば、原料カーボンナノチューブにイオンを照射する方法、原料カーボンナノチューブを酸性溶液に浸漬する方法又は原料カーボンナノチューブにマイクロ波を照射する方法等が挙げられる。
【0035】
原料カーボンナノチューブにイオンを照射する方法で用いられるイオンの具体例としては、Si、N、C又はBイオンが挙げられ、これらの中でもCイオンが好ましい。
【0036】
イオンの加速電圧としては、100〜300keVが好ましく、150〜250keVがさらに好ましい。照射されるイオンの密度としては、10〜1000cm-3が好ましく、100〜200cm-3がさらに好ましい。
【0037】
原料カーボンナノチューブを酸性溶液に浸漬する場合の酸性溶液の種類、濃度は原料カーボンナノチューブから金属を取り除く際に用いられる酸性溶液のそれと同様の種類、濃度とすることができる。
【0038】
原料カーボンナノチューブの先端部分はフラーレンの半球のようなキャップをかぶっているためにチューブ内にガスを取り込むことができないことがある。そのため、原料カーボンナノチューブを空気中で400〜500℃に加熱してキャップを取り除くことが好ましい。空気中での加熱時間としては5分〜1時間が好ましく、10〜30分が更に好ましい。このときに、触媒金属が原料カーボンナノチューブ中に0.2〜5質量%含まれていると、確実なキャップ開放を達成できるため好ましい。
【0039】
カーボンナノチューブ先端部のキャップが取り除かれたか否かは、ピーポッド(peapods)を形成させることにより確認可能である。
【0040】
図1は、ピーポッドの形成方法を説明するための図である。単層カーボンナノチューブ10(20〜30mg)とフラーレン20(C60;40〜50mg)とを石英管30(φ7.5mm)内へ投入する。石英管30内をロータリーポンプ40で真空引きしてその内部を1×10-6Pa以下にした状態で1時間保持した後、真空状態のままで石英管30を封じ切る。封じ切られた石英管30には、単層カーボンナノチューブ10及びフラーレン20が入っている。この封じ切られた石英管30を500℃で8時間加熱する。加熱後、石英管30を開封して中の試料(ピーポッド、単層カーボンナノチューブ10及びフラーレン20の混合物)を取り出し、これを10mlのトルエン中に加えて15分間超音波処理することにより余分なフラーレンを取り除く。その後、吸引ろ過で乾燥することによりピーポッドが得られる。ピーポッドの形成条件を表1にまとめて示す。
【0041】
【表1】

【0042】
得られたピーポッドをTEMで観察することにより、ピーポッドの収率を求める。ピーポッドが形成されれば、そのカーボンナノチューブの先端部のキャップは取り除かれていることを示す。
【0043】
本発明の複合材料に含まれる金属粒子の含有量は、上述のように金属触媒を含んだ原料カーボンナノチューブを酸性溶液で処理する方法及び/又は原料カーボンナノチューブを1700〜1800℃に加熱する方法により調節することができるが、これらに限定されるものではない。例えば、酸性溶液及び/又は加熱処理により0.1質量%以下にまで金属含有量を減少させたカーボンナノチューブに、浸漬担持法、即ちカーボンナノチューブを金属塩の水溶液中に浸して、金属成分をカーボンナノチューブ表面に吸着させ、乾燥・焼成・還元する方法により金属粒子の含有量を調節することができる。
【0044】
浸漬担持法に用いられる金属塩は適宜選択されるものであるが、金属粒子としてPtを用いる場合、金属塩としては塩化白金酸を用いることができる。金属粒子としてFeを用いる場合、金属塩としては酸化鉄を用いることができる。酸化鉄を金属塩として用いる場合、アルカリ処理によりカーボンナノチューブを水酸化物イオンで負にチャージさせておいてもよい。
【0045】
本発明の成形体は、上述した本発明の複合材料をプレス成形して得られたものである。本発明の成形体は、その形状、体積等に限定はない。
【0046】
プレス成形の条件としては、0〜200℃で50〜200MPaが好ましく、20〜50℃で100〜150MPaが更に好ましい。
【0047】
本発明の成形体は、本発明の複合材料をプレス成形して得られたものであるためにガス吸着能力に優れる。
【実施例】
【0048】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。
【0049】
[実施例1及び2並びに比較例1乃至5]
単層カーボンナノチューブ(CNI社製;HiPCO法により合成されたもの、平均直径1.0nm)1gを50%HCl水溶液に5時間浸漬した。この単層カーボンナノチューブを真空中1800℃で5時間加熱した。これにより単層カーボンナノチューブの平均直径が2.2nmに増大した。この単層カーボンナノチューブを1Nの塩化白金酸中に浸漬させた後、400℃3時間加熱して単層カーボンナノチューブ表面にPtを担持させた。浸漬時間は、Ptを0.2質量%担持する場合(実施例1)は0.5時間、Ptを4.5質量%担持する場合(実施例2)は5時間、Ptを6.0質量%担持する場合(比較例2)は7時間、Ptを10.0質量%担持する場合(比較例3)は10時間、とした。比較例1では浸漬を行わなかった。
【0050】
その後、空気中で420℃加熱によりキャップ開放処理を施して単層カーボンナノチューブと金属粒子とを含む複合材料を得た。複合材料中の金属粒子の含有量はTGA法を実施可能な装置であるTGA装置(TAインスツルメント製;SDT−2960)を用いて測定した。また、成形体に含まれる金属粒子の粒子径をTEMを用いて測定し、金属粒子の体積平均粒子径及び粒子径範囲(成形体に含まれる金属粒子の最大粒子径及び最小粒子径の値)を求めた。なお、単層カーボンナノチューブを真空中1700℃で5時間加熱後の金属粒子の含有量は0.1質量%以下であった。
【0051】
得られた複合材料を25℃120MPaでプレス成形して成形体を得た。さらに、CNI社製の平均層数が2.5層の多層カーボンナノチューブ(比較例4)及びCVD法により合成された平均層数が8層の多層カーボンナノチューブ(比較例5)を用いて上述と同様の条件でプレス成形して成形体を得た。得られた成形体の嵩密度、骨格密度、細孔容積及びマクロ孔容積を測定した。得られた結果を金属粒子の体積平均粒子径及び粒子径範囲とともに表2に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
表2における嵩密度は、成形体のサイズ(S)と質量(W)とに基づき、W/Sから求めた。細孔容積は、77K N2吸着法を実施可能なオートソーブ(ユアサ製)を用いて測定した。骨格容積(真密度)は、ピクノメトリー法を実施可能なピクノメータ(ユアサ製)を用いて測定した。また、成形体の単位質量あたりのみかけ容積(嵩密度の逆数)から、骨格容積、細孔容積を差し引いて得られた値をマクロ細孔容積とした。なお、マクロ孔容積とは成形体内部の空間であってガス吸着に関与しない空間をいう。ガス吸着に関与しないマクロ孔容積を減らすことは、成形体のガス吸着能の向上に重要である。
【0054】
表2から、Ptの体積平均粒子径及び含有量が本発明の範疇にあればマクロ孔容積が減少することがわかる。また、Ptが、6質量%以上含まれることにより、細孔がつぶれて細孔容積が大幅に低下することがわかる。なお、今後Ptを6質量%以上加えても細孔容積が減少しないプロセスが確立されたとしても、Ptが不純物となるため、かつコストUPとなるため、Ptの含有量を5質量%よりも多くすることは実用的ではない。さらに、多層カーボンナノチューブは細孔容積が小さくガス吸着能に劣る。
【0055】
[実施例3並びに比較例6及び7]
単層カーボンナノチューブ(CNI社製;HiPCO法により合成されたもの、平均直径1.0nm)1gを50%HCl水溶液に実施例3では20℃で1時間浸漬し、比較例7では80℃で1時間浸漬した。また、比較例6では浸漬しなかった。この単層カーボンナノチューブを真空中1700℃で5時間加熱した。これにより単層カーボンナノチューブの平均直径が1.8nmに増大した。その後、空気中で430℃加熱によりキャップ開放処理を施して単層カーボンナノチューブと金属粒子とを含む複合材料を得た。得られた複合材料を用いて、25℃120MPaでプレス成形を行った。得られた成形体の形状は円柱状、体積は0.5cm3であった。
【0056】
成形体中のFeの含有量をTGA法により測定した。また、成形体中のFeの体積平均粒子径及び粒子径範囲を測定した。さらに、得られた成形体の嵩密度、骨格密度、細孔容積及びマクロ孔容積を測定した。得られた結果を金属粒子の体積平均粒子径及び粒子径範囲とともに表3に示す。
【0057】
【表3】

【0058】
表3から、金属粒子の体積平均粒子径及び含有量が本発明の範疇にあればマクロ孔容積を減少させることができることがわかる。
【0059】
[実施例4及び5並びに比較例8乃至10]
単層カーボンナノチューブ(CNI社製;HiPCO法により合成されたもの、平均直径1.0nm)1gを50%HCl水溶液に実施例4では20℃で10時間浸漬し、実施例5では20℃で5時間浸漬し、比較例8では20℃で10時間浸漬し、比較例9では20℃で3時間浸漬し、比較例10では20℃で1時間浸漬した。この単層カーボンナノチューブを実施例4では真空中1600℃で5時間加熱後、さらに1800℃で2時間加熱し、実施例5では真空中1600℃で10時間加熱後、さらに1800℃で2時間加熱し、比較例8では真空中1600℃で10時間加熱後、さらに1800℃で2時間加熱し、比較例9では真空中1600℃で1時間加熱後、さらに1800℃で2時間加熱し、比較例10では真空中1600℃で1時間加熱後、さらに1800℃で2時間加熱した。これにより単層カーボンナノチューブの平均直径が2.0nmに増大した。その後、空気中で420〜450℃加熱によりキャップ開放処理を施して単層カーボンナノチューブと金属粒子とを含む複合材料を得た。得られた複合材料を用いて、25℃120MPaでプレス成形を行った。得られた成形体の形状は円柱状、体積は0.5cm3であった。
【0060】
成形体中のFeの含有量をTGA法により測定した。また、成形体中のFeの体積平均粒子径及び粒子径範囲を測定した。さらに、成形体の嵩密度、骨格密度、細孔容積及びマクロ孔容積、ピーポッド収率を測定した。得られた結果を金属粒子の体積平均粒子径及び粒子径範囲とともに表4に示す。
【0061】
【表4】

【0062】
表4から、金属粒子の体積平均粒子径及び含有量が本発明の範疇にあればマクロ孔容積を減少させることができるとともにピーポッド収率を向上させることができることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】ピーポッドの形成方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0064】
10 単層カーボンナノチューブ
20 フラーレン
30 石英管
40 ロータリーポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単層カーボンナノチューブと、体積平均粒子径が3〜10nmの金属粒子と、を含み、前記金属粒子の含有量が0.2〜5質量%である複合材料。
【請求項2】
前記金属粒子が、Pt、Ni、Fe、Co、Cu及びMoからなる群から選択される少なくとも一種を含有する請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記金属粒子が、前記単層カーボンナノチューブの表面に分散して担持された請求項1又は2に記載の複合材料。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合材料をプレス成形して得られた成形体。
【請求項5】
前記プレス成形の条件が、0〜200℃で50〜200MPaである請求項4に記載の成形体。

【図1】
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【公開番号】特開2007−22875(P2007−22875A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209506(P2005−209506)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】