複合構造建材
【課題】 金属部と接着材層との結合状態をさらに良好に確保することができる複合構造建材を提供する。
【解決手段】 複合構造建材からなる枠本体2は、木材層部21と金属層部22とを接着材層24で接合した構造を有する。そして、金属層部22側の接合面に溝部30を形成し、接着材の一部を該溝部30に充填する形で接合することで、該金属層部22と接着材層24との間のアンカー効果が高められる。そして、その溝部30の内側面が、深さ方向の途中位置にて、該深さ方向の前後に隣接する部分よりも溝幅を小となすくびれ形成部30bを有する。接着材層24は、エポキシ樹脂系接着剤等により木材層部21よりも硬質に形成される。
【解決手段】 複合構造建材からなる枠本体2は、木材層部21と金属層部22とを接着材層24で接合した構造を有する。そして、金属層部22側の接合面に溝部30を形成し、接着材の一部を該溝部30に充填する形で接合することで、該金属層部22と接着材層24との間のアンカー効果が高められる。そして、その溝部30の内側面が、深さ方向の途中位置にて、該深さ方向の前後に隣接する部分よりも溝幅を小となすくびれ形成部30bを有する。接着材層24は、エポキシ樹脂系接着剤等により木材層部21よりも硬質に形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓枠、引戸、ドア、カーテンウォールなど、建築物の壁部を構成する建材であって、一方の壁面側を金属、他方の壁面側を木材にて構成した複合構造建材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のような複合構造建材として、外装側をなす金属部と内装側をなす木材部とを接合した構造の複合建材がサッシやカーテンウォール等として実用化されている。特許文献1に開示された複合建材は、金属部と木材部との接合面に結合力増強のため、金属部側ないし木材部側に接着材を充填するための溝状の凹部が形成される。該凹部の断面形状は、接着材層の溝部からの離脱を起こりにくくするために、開口側の溝幅を底部側の溝幅よりも縮小した、いわゆるアリ溝形状とする提案がなされている。また、接着材層として、木材部と金属部との収縮差を吸収できるよう、木材よりも軟質で弾性に富むゴム材料(特に、シリコーンゴム材料)が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−60223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の複合構造建材では接着材層をゴム材料で構成しているので、強度が不足しやすく、金属部と木材部との間に強い剪断力が作用すると破断を生じやすい難点がある。また、金属側で接着剥離を生じた場合、接着材の可撓性が大きすぎるため、金属側の溝形状をアリ溝化してもこれを充填する接着材層が容易に変形し、溝から離脱しやすい問題がある。
【0005】
本発明の課題は、金属部と接着材層との結合状態をさらに良好に確保することができる複合構造建材を提供することにある。
【課題を解決する手段及び発明の効果】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の複合構造建材は、
建材外装側を形成する金属層部と、建材内装側を形成する木材層部と、それら金属層部と木材層部とを接着する接着材層とを有する複合構造建材であって、
金属層部の木材層部との接合面に接着材層をなす接着材の一部が充填される溝部が形成されるとともに、該溝部の内側面には、溝深さ方向にて溝底側に隣接する部分よりも溝幅が狭小となる狭小部が形成され、
かつ、接着材層が木材層部よりも硬質の高分子材料からなることを特徴とする。
【0007】
上記本発明の複合構造建材の構成によると、狭小部を有した金属側の溝部内に充填する接着材を、該金属層部に接合される木材層部よりも硬質に構成した。これにより、金属層部と木材層部との間に強い剪断力が作用しても接着材層に破断が生じにくくなる。また、金属層部側で仮に接着剥離を生じた場合でも、接着材層の剛性が木材層部以上に高いので、狭小部を含めて溝部を充填する接着材の弾性変形が抑制され、狭小部から離脱する不具合が生じにくくなる。
【0008】
この場合、木材層部を乾燥収縮等の起こりにくい堅木材にて構成すれば、金属層部と木材層部との収縮差が小さくなり、上記のごとく接着材層を硬質化しても該収縮差に由来した剥離等を生じにくくなる。また、堅木材の採用により、衝撃等に対する耐久性及び内装部としての装飾性を高めることができる。堅木材は、一般に広葉樹材であり、特に、ナラ、カシ、ケヤキ、ラワン、マホガニー、チーク、ウォルナット、タモ、シナノキ、マカバ、クリ、メープル、サクラ、ブナ、クヌギ、クスノキ及びケンパス等(特に望ましくは、ナラ、カシ、タモ、ラワン、クリ、チーク、ウォルナット、メープル)を本発明に好適に採用することができる(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0009】
一方、堅木以外の材質であっても圧縮材を採用すれば堅木を採用した場合と同様の効果が得られる。例えば、スギ、ヒノキ、マツ、ヒバ又はサワラ等の針葉樹の圧縮材を本発明に好適に採用できる(ただし、これらに限定されるものではない)。特に、スギを採用した場合、木目も美しく、スギ材独特の香りによる癒し効果も享受でき、防虫や防カビ効果も期待できる。そして、厚さ比(圧縮後厚さ/圧縮前厚さ)にて40%〜60%程度に圧縮したもの(例えば商品名:「つよスギ」(マイウッド・ツー株式会社製))が、施工後の収縮も少なく、強度、断熱性あるいは調湿性に優れた効果を発揮できる。また、間伐材を活用できるので、木材資源の有効利用にも寄与でき、環境保全への貢献も大である。
【0010】
次に、接着材層であるが、硬化接着時の体積収縮率のなるべく小さいものを用いることが望ましい。体積収縮率の大きいものを使用すると、特に、金属層部側溝部内で充填された接着材が収縮し、溝部から離脱しやすくなって結合力の低下を招く場合がある。また、収縮ひずみにより接着材層と金属層部ないし木材層部との間に剪断応力が残留しやすくなり、剥離や反りなどの要因ともなる。この観点にて、溶媒蒸発に伴う体積収縮が大きい溶液系の接着剤よりも、流動性有機化合物同士の反応により、低溶媒量でも硬化する反応系接着剤のほうが本発明に好適に採用できる。反応系接着剤は、初期状態は化学反応を起こす前の成分を主体とする液体状であり、混合により反応を始めるタイプは二液形または一方をマイクロカプセルなどに封止した状態にて供給される。また、硬化剤によって反応が始まるタイプは液体と硬化促進剤(種類により液体または固体)が分離梱包された状態で供給される。特に、異なる物質の混合により重合反応・吸湿・縮合反応などを起こし硬化するタイプは化学反応型と称され、溶媒の減損が無いため体積変化が小さく溝部の充填効果も高い。他方、加熱により硬化・接着する一液形のタイプ(熱硬化型)も採用可能である。また、二液形のものも加熱により硬化を促進できる場合がある。
【0011】
反応系接着剤としては、エポキシ樹脂系接着剤やウレタン樹脂系接着剤を本発明に好適に採用できる。
【0012】
(1)エポキシ樹脂系接着剤
エポキシ樹脂を主成分とする接着剤であり、硬化方式別に一液型と二液型とがあるがいずれも本発明に採用可能である。例えば汎用の二液型のものはビスフェノールAとエピクロルヒドリンとを縮合反応させたエポキシ樹脂プレポリマーを主剤として用いるものであり、これにアミン等の硬化剤を加えると、グラフト重合が起こり三次元高分子として経時的・熱硬化的に硬化・接着する。完全硬化前のプリキュアでの初期接着性が高いので、木材層部と金属層部との仮接着性も良好である。そして、三次元的に重合した高分子の特性として耐水性・耐湿性・耐薬品性・電気絶縁性などに優れ、金属/木材の異種接着にあっても強度や耐熱性を十分に確保できる利点がある。また、主剤状態での流動性を高めておけば、溝部の隅々へ接着材を均一に充填できるほか、木材側へ接着材を浸透させることができ、木材層部と金属層部との接合強度を高めることができる。なお、耐剥離性(たいはくりせい)や耐衝撃性を向上させるために、ナイロンやイソシアネートなどのポリマーとブレンドさせたものも採用可能である。
【0013】
(2)ウレタン樹脂系接着剤
ウレタン基を持つ接着剤の総称であり、広義にはイソシアネート基やヒドロキシ基から誘導され化合する接着剤を含む。一液型と二液型とがあり、一液型は、ウレタンプレポリマーと触媒の混合液を加湿または加熱により硬化・接着させるものである。二液型は、末端に水酸基を持つポリオールとポリイソシアネート、または末端にイソシアネート基を持つウレタンプレポリマーとポリオールを組み合わせ、混合することで化学反応を起こし硬化・接着させるものである。硬さはエポキシ樹脂系接着材よりも若干低いが、耐候性及び耐寒性に優れる特徴があり、寒冷地仕様等にも対応しやすい利点がある。
【0014】
次に、接着材層を形成するための接着剤は、反応系接着剤以外にホットメルト接着剤を採用することも可能である。ホットメルト接着剤は、熱可塑性樹脂成分の固形接着剤を加熱し融解した状態にして流動性を付与(ホットメルト)した上で塗布し、冷却により硬化・接着するもので、溶媒を全く含有しないため、結果として硬化時の収縮量はきわめて小さい利点がある。金属層部側を余熱して塗工し、木材層部を重ね合わせて接着する工程を採用すればよい。ホットメルト接着剤としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル樹脂ホットメルト接着剤、ウレタン樹脂系反応性ホットメルト接着剤、ポリアミド樹脂ホットメルト接着剤及びポリウレタン樹脂ホットメルト接着剤などを本発明に好適に採用することができる。
【0015】
次に、金属層部に形成される溝部としては、狭小部が溝開口位置に形成されるもの(例えば、台形状の断面を有するもの(いわゆるアリ溝))を例示できる。このような溝部は、接着材が充填されることにより、金属層部側との結合力を高め効果に特に優れている。
【0016】
一方、溝部の内側面にて、深さ方向の途中位置に、該深さ方向の前後に隣接する部分よりも溝幅を小となすくびれ形成部を形成することも可能である。溝部にこのようなくびれ形成部を形成することにより、次のような効果が達成される。
(1)溝部はくびれ形成部により、該くびれ形成部よりも溝開口側に位置する部分と、溝底側に位置する部分とに分かれる。そして、木材層部と金属層部との間に引き剥がし力が作用した場合、溝開口側からくびれ形成部を経て溝底側に位置する部分に充填された接着材は、凸状のくびれ形成部を乗り越えなければ溝開口から離脱できないので、接着材の抜け止め効果が飛躍的に高められる。
(2)溝部の溝開口側に位置する部分は、くびれ形成部よりも拡幅されているので接着面積が増大し、木材層部と金属層部との接合力向上に貢献する。
(3)木材層部と金属層部とを未硬化の接着剤を介して重ね合わせて圧迫したときに、溝部の溝開口側に位置する部分はくびれ形成部よりも拡幅されているので、未硬化接着材層の流れが溝開口側からくびれ形成部に向けて集約され、該くびれ形成部を経て溝底側に位置する部分に未硬化接着材を圧入する効果が高められる。その結果、溝底側に位置する部分にも接着材を均一に充填でき、金属層部と接着材層とのより良好な結合状態を得ることができる。
例えば、断熱性や質感向上のため木材層部の厚さを増しても、金属層部と接着材層との接合構造を良好に確保することができるようになる。
【0017】
溝部の接合面への開口位置での溝幅は、深さ方向におけるくびれ形成部の最小溝幅位置における溝幅よりも大とすることができる。これにより、溝開口から当該部分へ接着材をスムーズに流入させることができ、くびれ形成部により異形断面化した溝部内部の隅々に接着材を過不足なく均一に充填することができる。具体的には、溝部のくびれ形成部の最小溝幅位置よりも接合面側に位置する部分を、該最小溝幅位置から接合面への開口に向けて連続的に拡幅するように、当該部分の内側面を傾斜面状に形成しておけば、くびれ形成部に向けて接着材の流れをよりスムーズに集中することができ、特に、くびれ形成部よりも溝底側へ位置する部分へも接着材をスムーズに充填することができる。なお、当該部分の内側面は湾曲面状に形成しても同様の効果が達成できる。
【0018】
他方、溝部のくびれ形成部の最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分は、該最小溝幅位置から溝底に向けて段階的に拡幅するように、当該部分の内側面が段付き面状に形成することも可能である。段付き面化することで、溝底側に位置する部分に充填された接着材の抜け止め効果がより高められる。他方、溝部のくびれ形成部の最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分を、該最小溝幅位置から溝底に向けて連続的に拡幅するように、当該部分の内側面を傾斜面状に形成することができる。この形態では、該部分にて内側面が上記のごとく傾斜面状となることで溝底側縁に向け溝高さが縮小するので、流れ込んだ接着材は底側縁に向け鋭角状に絞り込まれて充填効果が高められる。また、傾斜面状となることによる接着面積増大効果も享受することができる。
【0019】
また、溝部のくびれ形成部の最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分は、該最小溝幅位置から溝底に向けて一旦拡幅し、幅極大位置を経て溝底に向け溝幅を再び縮小するように、当該部分の内側面が凹状面とすることができる。この構成によると、溝底側に位置する部分に流れ込んだ接着材が上記凹状面に沿って回り込み、該部分の隅々にまで接着材を過不足なく均一に充填することができる。
【0020】
次に、くびれ形成部を形成する溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分は鋭角状に形成することが可能である。突出部分の頂面部分は鋭角状に形成することで突出部分の溝深さ方向の寸法を減ずることができ、金属層部側の溝深さの確保代が小さい場合でも問題なく溝形成することができる。
【0021】
一方、くびれ形成部を形成する溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分を凸湾曲面状に形成することできる。これにより、流動状態の接着材が突出部分の頂面部分を乗り越える際の流体抵抗が小さくなり、くびれ形成部を経て溝底側に接着材をよりスムーズに充填することができる。
【0022】
また、くびれ形成部を形成する溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分は溝深さ方向に沿う切り立ち面状に形成することができ、この構成によってもくびれ形成部を経て溝底側に接着材をよりスムーズに充填することができる。
【0023】
金属層部はアルミ押出部材として形成することが、金属層部の生産性を向上する観点で望ましい。この場合、溝部は該アルミ押出部材の押出長手方向に沿って形成することが望ましい。これにより、上記のような形状の溝部であっても押出成型時にこれを同時形成でき、生産能率を大幅に向上することができる。この場合、溝部は、金属層部の接合面に対し、該押出長手方向と直交する向きに複数平行に形成することができる。溝部の形成本数を複数とすることで、金属層部と木材層部との結合力をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の複合構造建材の一実施形態に係るサッシ枠を示す斜視図。
【図2】図1のQ部を拡大して示す部分断面斜視図。
【図3】図1の要部を示す断面図。
【図4】溝部の断面形状の詳細をその作用・効果とともに示す断面図。
【図5】図4に続く断面図。
【図6】溝部の断面形状の第一変形例を示す断面図。
【図7】溝部の断面形状の第二変形例を示す断面図。
【図8】溝部の断面形状の第三変形例を示す断面図。
【図9】溝部の断面形状の第四変形例を示す断面図。
【図10】溝部の断面形状の第五変形例を示す断面図。
【図11】窓ガラスの保持構造の変形例を示す断面図。
【図12】異形断面の金属層部に木材層部を接合する例を示す断面図。
【図13】溝部の断面形状の第六変形例を窓ガラスの保持構造とともに示す断面図。
【図14】ペアガラスの保持構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態を添付の図面を用いて説明する。図1は本発明の複合構造建材の一実施形態をなすサッシ枠を示すものである。該サッシ枠1は、住居などの建築物の壁部Wを厚さ方向に貫通して形成される壁連通部PHに装着される枠本体2を有する。そして、該枠本体2は、厚さ方向における当該枠本体2の一方の表面を形成する木材層部21と、該木材層部21の裏面に接着材層を介して接合される金属層部22とを有する。
【0026】
木材層部21は、堅木の板材、特に、ナラ、カシ、ケヤキ、ラワン、マホガニー、チーク、ウォルナット、タモ、シナノキ、マカバ、クリ、メープル、サクラ、ブナ、クヌギ、クスノキ及びケンパス等(特に望ましくは、ナラ、カシ、タモ、ラワン、クリ、チーク、ウォルナット、メープル)の板材が採用されている。なお、これらの堅木の集成材や、堅木板材を内装側最表面部にのみ適用した合板材を採用することもできる。また、木材層部21は、スギ、ヒノキ、マツ、ヒバ又はサワラなどの針葉樹の圧縮材、例えばスギ圧縮材で形成することも可能である。
【0027】
接着材層24は木材層部21よりも硬質の高分子材料で構成される。具体的には、接着材層24は反応系接着剤にて形成され、本実施形態ではエポキシ系接着剤で構成されている。なお、エポキシ系接着剤以外の反応系接着剤としてウレタン樹脂系接着剤を採用してもよいし、エチレン-酢酸ビニル樹脂ホットメルト接着剤、ウレタン樹脂系反応性ホットメルト接着剤、ポリアミド樹脂ホットメルト接着剤及びポリウレタン樹脂ホットメルト接着剤などのホットメルト接着剤を使用してもよい。
【0028】
図2は、図1の枠本体2の角部Qを拡大して示す部分断面斜視図である。金属層部22の木材層部21との接合面には、接着材層24をなす接着材の一部が充填される溝部30が形成されている。図4にさらに拡大して示すごとく、該溝部30の内側面は、深さ方向の途中位置にて、該深さ方向の前後に隣接する部分(30a,30c)よりも溝幅を小となすくびれ形成部30bを有する。くびれ形成部30bをなす溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分は鋭角状に形成されている。
【0029】
金属層部22と木材層部21との接合は、例えば二液型の反応系接着剤を用いる場合は、金属層部22の溝部30の形成面に、ポットライフ継続中(つまり、未硬化)の流動状態の接着剤を、溝部30を充填しながら塗工し、木材層部21を重ね合わせ、ロール圧縮機などにより圧迫しつつ接着剤を硬化させることにより行なう。
【0030】
図4に示すごとく、木材層部21と金属層部22とは接着材層24により、金属層部22側の接合面に形成された溝部30に対しその接着材の一部を充填する形で接合されるので、該金属層部22と接着材層24との間のアンカー効果が高められる。また、木材層部21と金属層部22との間に引き剥がし力が作用した場合、溝開口側からくびれ形成部30bが形成する通路溝底側に位置する部分に充填された接着材は、凸状のくびれ形成部30bを乗り越えなければ溝開口から離脱できないので両部の結合力はさらに高められる。また、溝部30の溝開口側に位置する部分は、くびれ形成部30bでの溝幅よりも拡幅されているので接着面積が増大し、木材層部21と金属層部22との接合力向上に貢献している。
【0031】
また、図5に示すように、木材層部21と金属層部22とを未硬化接着材層24を介して重ね合わせて圧迫したときに、溝部30の溝開口側に位置する部分はくびれ形成部30bでの溝幅よりも拡幅されていることで、未硬化接着材層24の流れが溝開口側からくびれ形成部30bに向けて集約され、該くびれ形成部30bを経て溝底側に位置する部分30cに未硬化接着材を圧入する効果が高められる。その結果、溝底側に位置する部分30cにも接着材24Fを均一に充填でき、金属層部22と接着材層24とのより良好な結合状態を得ることができる。
【0032】
そして、接着材層24は、木材層部21よりも硬質であり、金属層部22と木材層部21との間に強い剪断力が作用しても接着材層24に破断が生じにくくなる。また、金属層部22側で仮に接着剥離を生じた場合でも、接着材層24の剛性が木材層部21より高いので、くびれ形成部30b(狭小部)を含めて溝部30を充填する接着材の弾性変形が抑制され、くびれ形成部30bを乗り越えて充填接着材が離脱する不具合が生じにくくなる。また、木材層部21が乾燥収縮等の起こりにくい堅木材にて構成されており、金属層部22と木材層部21との収縮差が小さく、接着材層24を硬質であるにもかかわらず該収縮差に由来した剥離等を生じにくい。
【0033】
図4に示すように、溝部30の接合面への開口位置での溝幅W1は、深さ方向におけるくびれ形成部30bの最小溝幅位置における溝幅W2よりも大とされている。これにより、溝開口から溝の開口側部分30aへ接着材をスムーズに流入させることができる。図4においては、くびれ形成部30bの最小溝幅位置よりも接合面側に位置する部分30aを、該最小溝幅位置から接合面への開口に向けて連続的に拡幅するように、当該部分30aの内側面を傾斜面状に形成している。なお、当該部分の内側面は湾曲面状(例えば、図7参照)に形成しても同様の効果が達成できる。
【0034】
他方、溝部30のくびれ形成部30bの最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分30cは、該最小溝幅位置から溝底に向けて連続的に拡幅するように、当該部分の内側面を傾斜面状に形成されている。この形態では、該部分30cにて内側面が上記のごとく傾斜面状となることで溝底側縁に向け、該部分の溝高さが縮小するので、図5に示すように、流れ込んだ接着材24Fは溝底側縁に向け鋭角状に絞り込まれるので充填効果が高められる。また、傾斜面状となることによる接着面積増大効果も享受することができる。
【0035】
本実施形態では、図1に示すように、金属層部22は、枠本体2の木材層部21が形成する一方の表面が建築物の屋内側(IS)の面を形成し、金属層部22が形成する他方の表面が建築物の屋外側(OS)の面を形成する。木材層部21により屋内側の面(つまり、内装面)を形成し、金属層部22により屋外側の面(つまり、外装面)を形成することで、内装面側がリアルな木材により意匠効果を大幅に高めることができ、外装面側は金属部材により風雨等に対する耐候性を良好に確保することができる。
【0036】
枠本体2の金属層部22はアルミ押出部材として形成され、その木材層部21との接合面は研磨等を施さない押出加工面となっている。溝部30は該アルミ押出部材の押出長手方向に沿って形成され、図2に示すように、部材端面に開放する形態となる。このような溝部30は押出成型時に部材に同時形成でき、生産能率を大幅に向上することができる。この実施形態では、枠本体2は、枠幅方向の互いに平行な1対の部材と枠高さ方向の互いに平行な1対の部材との都合4つの部材の組立構造体とされている。各部材は端面が枠辺と45度の角度をなす傾斜面とされ、隣接する傾斜端面同士を直角に付き合わせてボルト23により締結することにより枠状に一体化されている。
【0037】
図3に示すように、その金属層部22は、2枚の金属板22a,22bを積層し、厚さ方向に締結(例えばボルト25等による)された構造を有する。木材層部21は単一層であり、金属層部22の該木材層部21への接合面は第一の金属板22aに形成される。従って、溝部30も第一の金属板22aに形成され、具体的には、部材の押出長手方向と直交する向きに複数平行に形成されている。第一の金属板22aに形成された溝部30は部材の両端面に開放しており、未硬化接着材充填時には溝部30内の空気を溝部30の端面から排出することができる。
【0038】
図1に示すように、サッシ枠1の枠本体2の内側には窓ガラス5が保持される。図3に示すように、枠本体2の内周縁側において、木材層部21は金属層部22に対し該金属層部22の内縁よりも内側に延出する形で接合されている。そして、木材層部21の金属層部22からの延出部分21eの、接合面と同じ側に位置する面をガラス保持面21hとして、窓ガラス5は当該ガラス保持面21hに接する形で保持されている。これにより、木材層部21に窓ガラス5が直接接する形態となり、サッシの内装側の内側縁に金属層部22が露出しないようになっている。なお、本実施形態において窓ガラス5は、屋内面の外周縁部を木材層部21のガラス保持面21hに支持させる一方、屋外面の外周縁部に沿ってゴム等で構成された枠状シール部材6を配置し、さらに、第二の金属板22bを第一の金属板22aの側面よりも内側に延出させ、その延出部分にて枠状シール部材6を窓ガラス5との間で挟みつける形で圧縮することで、水密構造としている。
【0039】
以下、本発明の種々の変形例について説明する。
図6に示すように、くびれ形成部30bをなす溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分を凸湾曲面状に形成することできる。これにより、流動状態の接着材がくびれ形成部30b(突出部分)の頂面部分を乗り越える際の流体抵抗が小さくなり、溝底側の部分30cに接着材をよりスムーズに充填することができる。
【0040】
また、図7、図8及び図9に示すように、くびれ形成部30bを形成する溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分を、溝深さ方向に沿う切り立ち面状に形成することができる。この構成では、くびれ形成部30bの頂面同士が平行に対向する形になるので、溝底側の部分30cへ未硬化接着材をよりスムーズに流動させることができる。
【0041】
次に、図8に示すように、溝部30のくびれ形成部30bの最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分30cは、該最小溝幅位置から溝底に向けて段階的に拡幅するように、当該部分30cの内側面を段付き面状に形成することも可能である。
【0042】
また、図9に示すように、溝部30のくびれ形成部30bの最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分30cは、該最小溝幅位置から溝底に向けて一旦拡幅し、幅極大位置を経て溝底に向け溝幅を再び縮小するように、当該部分30cの内側面を凹状面(図9では凹湾曲面)とすることができる。この構成によると、溝底側に位置する部分に流れ込んだ接着材が上記凹状面に沿って回り込み、該部分への接着材の充填均一度を高めることができる。
【0043】
図10は、溝部30の切り立ち面状の内側面の深さ方向途中位置に、凸湾曲面状のくびれ形成部30bを形成した例である。
【0044】
なお、図11に示すように、枠本体2の厚みを増し、金属層部22の厚さ方向途中位置に窓ガラス5の保持面を形成する場合は、金属層部22の内側面の該保持面よりも木材層部21側に位置する部分を補助木材部21tにより被覆することも可能である。図11では、第一の金属板22aの厚みを増し、窓ガラス5側の側面に回りこむ形で接着材層24を形成し、補助木材部21tを接合している。溝部30は、補助木材部21tとの接合面をなす金属層部22(第一の金属板22a)の側面にも形成されている。他方、切削や集成材により、木材層部21と補助木材部21tとを一体不可分に形成することもできる(この場合は、金属層部22の側面への溝部の形成を省略することも可能である)。また、窓ガラス5は、屋内面の外周縁が第一の金属板22aの内縁と補助木材部21tとにより支持され、屋外側の外周縁は第二の金属版22bの内縁により覆われるとともに窓ガラス5との隙間がシリコーンゴム等からなるコーキング材6cで充填/シールされている。
【0045】
なお、図12に示すように、アルミ押出材からなる金属層部22は、中空部材あるいは異形材として形成することも可能であり、その屈曲した外周面に沿って木材層部21を接合することができる。板状の木材層部21は、金属層部22に形状毎に必要に応じて分割して接合することが可能である。
【0046】
また、図13は、図3と同様のサッシ枠構造において、溝部30を、その開口部に狭小部を有するアリ溝として形成した例を示すものである。
【0047】
図14は、図11と同様のサッシ枠構造において、窓ガラスをペアガラス5pにて構成した例を示すものである。
【0048】
なお、本実施形態では、サッシ枠1への適用例を説明したが、本発明の複合構造建材の適用対象はこれに限定されるものではなく、カーテンウォール、引戸、ドアなどへ適用することももちろん可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 サッシ枠(複合構造建材)
2 枠本体
5 窓ガラス
21 木材層部
22 金属層部
24 接着材層
30 溝部
30b くびれ形成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓枠、引戸、ドア、カーテンウォールなど、建築物の壁部を構成する建材であって、一方の壁面側を金属、他方の壁面側を木材にて構成した複合構造建材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のような複合構造建材として、外装側をなす金属部と内装側をなす木材部とを接合した構造の複合建材がサッシやカーテンウォール等として実用化されている。特許文献1に開示された複合建材は、金属部と木材部との接合面に結合力増強のため、金属部側ないし木材部側に接着材を充填するための溝状の凹部が形成される。該凹部の断面形状は、接着材層の溝部からの離脱を起こりにくくするために、開口側の溝幅を底部側の溝幅よりも縮小した、いわゆるアリ溝形状とする提案がなされている。また、接着材層として、木材部と金属部との収縮差を吸収できるよう、木材よりも軟質で弾性に富むゴム材料(特に、シリコーンゴム材料)が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−60223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の複合構造建材では接着材層をゴム材料で構成しているので、強度が不足しやすく、金属部と木材部との間に強い剪断力が作用すると破断を生じやすい難点がある。また、金属側で接着剥離を生じた場合、接着材の可撓性が大きすぎるため、金属側の溝形状をアリ溝化してもこれを充填する接着材層が容易に変形し、溝から離脱しやすい問題がある。
【0005】
本発明の課題は、金属部と接着材層との結合状態をさらに良好に確保することができる複合構造建材を提供することにある。
【課題を解決する手段及び発明の効果】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の複合構造建材は、
建材外装側を形成する金属層部と、建材内装側を形成する木材層部と、それら金属層部と木材層部とを接着する接着材層とを有する複合構造建材であって、
金属層部の木材層部との接合面に接着材層をなす接着材の一部が充填される溝部が形成されるとともに、該溝部の内側面には、溝深さ方向にて溝底側に隣接する部分よりも溝幅が狭小となる狭小部が形成され、
かつ、接着材層が木材層部よりも硬質の高分子材料からなることを特徴とする。
【0007】
上記本発明の複合構造建材の構成によると、狭小部を有した金属側の溝部内に充填する接着材を、該金属層部に接合される木材層部よりも硬質に構成した。これにより、金属層部と木材層部との間に強い剪断力が作用しても接着材層に破断が生じにくくなる。また、金属層部側で仮に接着剥離を生じた場合でも、接着材層の剛性が木材層部以上に高いので、狭小部を含めて溝部を充填する接着材の弾性変形が抑制され、狭小部から離脱する不具合が生じにくくなる。
【0008】
この場合、木材層部を乾燥収縮等の起こりにくい堅木材にて構成すれば、金属層部と木材層部との収縮差が小さくなり、上記のごとく接着材層を硬質化しても該収縮差に由来した剥離等を生じにくくなる。また、堅木材の採用により、衝撃等に対する耐久性及び内装部としての装飾性を高めることができる。堅木材は、一般に広葉樹材であり、特に、ナラ、カシ、ケヤキ、ラワン、マホガニー、チーク、ウォルナット、タモ、シナノキ、マカバ、クリ、メープル、サクラ、ブナ、クヌギ、クスノキ及びケンパス等(特に望ましくは、ナラ、カシ、タモ、ラワン、クリ、チーク、ウォルナット、メープル)を本発明に好適に採用することができる(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0009】
一方、堅木以外の材質であっても圧縮材を採用すれば堅木を採用した場合と同様の効果が得られる。例えば、スギ、ヒノキ、マツ、ヒバ又はサワラ等の針葉樹の圧縮材を本発明に好適に採用できる(ただし、これらに限定されるものではない)。特に、スギを採用した場合、木目も美しく、スギ材独特の香りによる癒し効果も享受でき、防虫や防カビ効果も期待できる。そして、厚さ比(圧縮後厚さ/圧縮前厚さ)にて40%〜60%程度に圧縮したもの(例えば商品名:「つよスギ」(マイウッド・ツー株式会社製))が、施工後の収縮も少なく、強度、断熱性あるいは調湿性に優れた効果を発揮できる。また、間伐材を活用できるので、木材資源の有効利用にも寄与でき、環境保全への貢献も大である。
【0010】
次に、接着材層であるが、硬化接着時の体積収縮率のなるべく小さいものを用いることが望ましい。体積収縮率の大きいものを使用すると、特に、金属層部側溝部内で充填された接着材が収縮し、溝部から離脱しやすくなって結合力の低下を招く場合がある。また、収縮ひずみにより接着材層と金属層部ないし木材層部との間に剪断応力が残留しやすくなり、剥離や反りなどの要因ともなる。この観点にて、溶媒蒸発に伴う体積収縮が大きい溶液系の接着剤よりも、流動性有機化合物同士の反応により、低溶媒量でも硬化する反応系接着剤のほうが本発明に好適に採用できる。反応系接着剤は、初期状態は化学反応を起こす前の成分を主体とする液体状であり、混合により反応を始めるタイプは二液形または一方をマイクロカプセルなどに封止した状態にて供給される。また、硬化剤によって反応が始まるタイプは液体と硬化促進剤(種類により液体または固体)が分離梱包された状態で供給される。特に、異なる物質の混合により重合反応・吸湿・縮合反応などを起こし硬化するタイプは化学反応型と称され、溶媒の減損が無いため体積変化が小さく溝部の充填効果も高い。他方、加熱により硬化・接着する一液形のタイプ(熱硬化型)も採用可能である。また、二液形のものも加熱により硬化を促進できる場合がある。
【0011】
反応系接着剤としては、エポキシ樹脂系接着剤やウレタン樹脂系接着剤を本発明に好適に採用できる。
【0012】
(1)エポキシ樹脂系接着剤
エポキシ樹脂を主成分とする接着剤であり、硬化方式別に一液型と二液型とがあるがいずれも本発明に採用可能である。例えば汎用の二液型のものはビスフェノールAとエピクロルヒドリンとを縮合反応させたエポキシ樹脂プレポリマーを主剤として用いるものであり、これにアミン等の硬化剤を加えると、グラフト重合が起こり三次元高分子として経時的・熱硬化的に硬化・接着する。完全硬化前のプリキュアでの初期接着性が高いので、木材層部と金属層部との仮接着性も良好である。そして、三次元的に重合した高分子の特性として耐水性・耐湿性・耐薬品性・電気絶縁性などに優れ、金属/木材の異種接着にあっても強度や耐熱性を十分に確保できる利点がある。また、主剤状態での流動性を高めておけば、溝部の隅々へ接着材を均一に充填できるほか、木材側へ接着材を浸透させることができ、木材層部と金属層部との接合強度を高めることができる。なお、耐剥離性(たいはくりせい)や耐衝撃性を向上させるために、ナイロンやイソシアネートなどのポリマーとブレンドさせたものも採用可能である。
【0013】
(2)ウレタン樹脂系接着剤
ウレタン基を持つ接着剤の総称であり、広義にはイソシアネート基やヒドロキシ基から誘導され化合する接着剤を含む。一液型と二液型とがあり、一液型は、ウレタンプレポリマーと触媒の混合液を加湿または加熱により硬化・接着させるものである。二液型は、末端に水酸基を持つポリオールとポリイソシアネート、または末端にイソシアネート基を持つウレタンプレポリマーとポリオールを組み合わせ、混合することで化学反応を起こし硬化・接着させるものである。硬さはエポキシ樹脂系接着材よりも若干低いが、耐候性及び耐寒性に優れる特徴があり、寒冷地仕様等にも対応しやすい利点がある。
【0014】
次に、接着材層を形成するための接着剤は、反応系接着剤以外にホットメルト接着剤を採用することも可能である。ホットメルト接着剤は、熱可塑性樹脂成分の固形接着剤を加熱し融解した状態にして流動性を付与(ホットメルト)した上で塗布し、冷却により硬化・接着するもので、溶媒を全く含有しないため、結果として硬化時の収縮量はきわめて小さい利点がある。金属層部側を余熱して塗工し、木材層部を重ね合わせて接着する工程を採用すればよい。ホットメルト接着剤としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル樹脂ホットメルト接着剤、ウレタン樹脂系反応性ホットメルト接着剤、ポリアミド樹脂ホットメルト接着剤及びポリウレタン樹脂ホットメルト接着剤などを本発明に好適に採用することができる。
【0015】
次に、金属層部に形成される溝部としては、狭小部が溝開口位置に形成されるもの(例えば、台形状の断面を有するもの(いわゆるアリ溝))を例示できる。このような溝部は、接着材が充填されることにより、金属層部側との結合力を高め効果に特に優れている。
【0016】
一方、溝部の内側面にて、深さ方向の途中位置に、該深さ方向の前後に隣接する部分よりも溝幅を小となすくびれ形成部を形成することも可能である。溝部にこのようなくびれ形成部を形成することにより、次のような効果が達成される。
(1)溝部はくびれ形成部により、該くびれ形成部よりも溝開口側に位置する部分と、溝底側に位置する部分とに分かれる。そして、木材層部と金属層部との間に引き剥がし力が作用した場合、溝開口側からくびれ形成部を経て溝底側に位置する部分に充填された接着材は、凸状のくびれ形成部を乗り越えなければ溝開口から離脱できないので、接着材の抜け止め効果が飛躍的に高められる。
(2)溝部の溝開口側に位置する部分は、くびれ形成部よりも拡幅されているので接着面積が増大し、木材層部と金属層部との接合力向上に貢献する。
(3)木材層部と金属層部とを未硬化の接着剤を介して重ね合わせて圧迫したときに、溝部の溝開口側に位置する部分はくびれ形成部よりも拡幅されているので、未硬化接着材層の流れが溝開口側からくびれ形成部に向けて集約され、該くびれ形成部を経て溝底側に位置する部分に未硬化接着材を圧入する効果が高められる。その結果、溝底側に位置する部分にも接着材を均一に充填でき、金属層部と接着材層とのより良好な結合状態を得ることができる。
例えば、断熱性や質感向上のため木材層部の厚さを増しても、金属層部と接着材層との接合構造を良好に確保することができるようになる。
【0017】
溝部の接合面への開口位置での溝幅は、深さ方向におけるくびれ形成部の最小溝幅位置における溝幅よりも大とすることができる。これにより、溝開口から当該部分へ接着材をスムーズに流入させることができ、くびれ形成部により異形断面化した溝部内部の隅々に接着材を過不足なく均一に充填することができる。具体的には、溝部のくびれ形成部の最小溝幅位置よりも接合面側に位置する部分を、該最小溝幅位置から接合面への開口に向けて連続的に拡幅するように、当該部分の内側面を傾斜面状に形成しておけば、くびれ形成部に向けて接着材の流れをよりスムーズに集中することができ、特に、くびれ形成部よりも溝底側へ位置する部分へも接着材をスムーズに充填することができる。なお、当該部分の内側面は湾曲面状に形成しても同様の効果が達成できる。
【0018】
他方、溝部のくびれ形成部の最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分は、該最小溝幅位置から溝底に向けて段階的に拡幅するように、当該部分の内側面が段付き面状に形成することも可能である。段付き面化することで、溝底側に位置する部分に充填された接着材の抜け止め効果がより高められる。他方、溝部のくびれ形成部の最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分を、該最小溝幅位置から溝底に向けて連続的に拡幅するように、当該部分の内側面を傾斜面状に形成することができる。この形態では、該部分にて内側面が上記のごとく傾斜面状となることで溝底側縁に向け溝高さが縮小するので、流れ込んだ接着材は底側縁に向け鋭角状に絞り込まれて充填効果が高められる。また、傾斜面状となることによる接着面積増大効果も享受することができる。
【0019】
また、溝部のくびれ形成部の最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分は、該最小溝幅位置から溝底に向けて一旦拡幅し、幅極大位置を経て溝底に向け溝幅を再び縮小するように、当該部分の内側面が凹状面とすることができる。この構成によると、溝底側に位置する部分に流れ込んだ接着材が上記凹状面に沿って回り込み、該部分の隅々にまで接着材を過不足なく均一に充填することができる。
【0020】
次に、くびれ形成部を形成する溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分は鋭角状に形成することが可能である。突出部分の頂面部分は鋭角状に形成することで突出部分の溝深さ方向の寸法を減ずることができ、金属層部側の溝深さの確保代が小さい場合でも問題なく溝形成することができる。
【0021】
一方、くびれ形成部を形成する溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分を凸湾曲面状に形成することできる。これにより、流動状態の接着材が突出部分の頂面部分を乗り越える際の流体抵抗が小さくなり、くびれ形成部を経て溝底側に接着材をよりスムーズに充填することができる。
【0022】
また、くびれ形成部を形成する溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分は溝深さ方向に沿う切り立ち面状に形成することができ、この構成によってもくびれ形成部を経て溝底側に接着材をよりスムーズに充填することができる。
【0023】
金属層部はアルミ押出部材として形成することが、金属層部の生産性を向上する観点で望ましい。この場合、溝部は該アルミ押出部材の押出長手方向に沿って形成することが望ましい。これにより、上記のような形状の溝部であっても押出成型時にこれを同時形成でき、生産能率を大幅に向上することができる。この場合、溝部は、金属層部の接合面に対し、該押出長手方向と直交する向きに複数平行に形成することができる。溝部の形成本数を複数とすることで、金属層部と木材層部との結合力をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の複合構造建材の一実施形態に係るサッシ枠を示す斜視図。
【図2】図1のQ部を拡大して示す部分断面斜視図。
【図3】図1の要部を示す断面図。
【図4】溝部の断面形状の詳細をその作用・効果とともに示す断面図。
【図5】図4に続く断面図。
【図6】溝部の断面形状の第一変形例を示す断面図。
【図7】溝部の断面形状の第二変形例を示す断面図。
【図8】溝部の断面形状の第三変形例を示す断面図。
【図9】溝部の断面形状の第四変形例を示す断面図。
【図10】溝部の断面形状の第五変形例を示す断面図。
【図11】窓ガラスの保持構造の変形例を示す断面図。
【図12】異形断面の金属層部に木材層部を接合する例を示す断面図。
【図13】溝部の断面形状の第六変形例を窓ガラスの保持構造とともに示す断面図。
【図14】ペアガラスの保持構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態を添付の図面を用いて説明する。図1は本発明の複合構造建材の一実施形態をなすサッシ枠を示すものである。該サッシ枠1は、住居などの建築物の壁部Wを厚さ方向に貫通して形成される壁連通部PHに装着される枠本体2を有する。そして、該枠本体2は、厚さ方向における当該枠本体2の一方の表面を形成する木材層部21と、該木材層部21の裏面に接着材層を介して接合される金属層部22とを有する。
【0026】
木材層部21は、堅木の板材、特に、ナラ、カシ、ケヤキ、ラワン、マホガニー、チーク、ウォルナット、タモ、シナノキ、マカバ、クリ、メープル、サクラ、ブナ、クヌギ、クスノキ及びケンパス等(特に望ましくは、ナラ、カシ、タモ、ラワン、クリ、チーク、ウォルナット、メープル)の板材が採用されている。なお、これらの堅木の集成材や、堅木板材を内装側最表面部にのみ適用した合板材を採用することもできる。また、木材層部21は、スギ、ヒノキ、マツ、ヒバ又はサワラなどの針葉樹の圧縮材、例えばスギ圧縮材で形成することも可能である。
【0027】
接着材層24は木材層部21よりも硬質の高分子材料で構成される。具体的には、接着材層24は反応系接着剤にて形成され、本実施形態ではエポキシ系接着剤で構成されている。なお、エポキシ系接着剤以外の反応系接着剤としてウレタン樹脂系接着剤を採用してもよいし、エチレン-酢酸ビニル樹脂ホットメルト接着剤、ウレタン樹脂系反応性ホットメルト接着剤、ポリアミド樹脂ホットメルト接着剤及びポリウレタン樹脂ホットメルト接着剤などのホットメルト接着剤を使用してもよい。
【0028】
図2は、図1の枠本体2の角部Qを拡大して示す部分断面斜視図である。金属層部22の木材層部21との接合面には、接着材層24をなす接着材の一部が充填される溝部30が形成されている。図4にさらに拡大して示すごとく、該溝部30の内側面は、深さ方向の途中位置にて、該深さ方向の前後に隣接する部分(30a,30c)よりも溝幅を小となすくびれ形成部30bを有する。くびれ形成部30bをなす溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分は鋭角状に形成されている。
【0029】
金属層部22と木材層部21との接合は、例えば二液型の反応系接着剤を用いる場合は、金属層部22の溝部30の形成面に、ポットライフ継続中(つまり、未硬化)の流動状態の接着剤を、溝部30を充填しながら塗工し、木材層部21を重ね合わせ、ロール圧縮機などにより圧迫しつつ接着剤を硬化させることにより行なう。
【0030】
図4に示すごとく、木材層部21と金属層部22とは接着材層24により、金属層部22側の接合面に形成された溝部30に対しその接着材の一部を充填する形で接合されるので、該金属層部22と接着材層24との間のアンカー効果が高められる。また、木材層部21と金属層部22との間に引き剥がし力が作用した場合、溝開口側からくびれ形成部30bが形成する通路溝底側に位置する部分に充填された接着材は、凸状のくびれ形成部30bを乗り越えなければ溝開口から離脱できないので両部の結合力はさらに高められる。また、溝部30の溝開口側に位置する部分は、くびれ形成部30bでの溝幅よりも拡幅されているので接着面積が増大し、木材層部21と金属層部22との接合力向上に貢献している。
【0031】
また、図5に示すように、木材層部21と金属層部22とを未硬化接着材層24を介して重ね合わせて圧迫したときに、溝部30の溝開口側に位置する部分はくびれ形成部30bでの溝幅よりも拡幅されていることで、未硬化接着材層24の流れが溝開口側からくびれ形成部30bに向けて集約され、該くびれ形成部30bを経て溝底側に位置する部分30cに未硬化接着材を圧入する効果が高められる。その結果、溝底側に位置する部分30cにも接着材24Fを均一に充填でき、金属層部22と接着材層24とのより良好な結合状態を得ることができる。
【0032】
そして、接着材層24は、木材層部21よりも硬質であり、金属層部22と木材層部21との間に強い剪断力が作用しても接着材層24に破断が生じにくくなる。また、金属層部22側で仮に接着剥離を生じた場合でも、接着材層24の剛性が木材層部21より高いので、くびれ形成部30b(狭小部)を含めて溝部30を充填する接着材の弾性変形が抑制され、くびれ形成部30bを乗り越えて充填接着材が離脱する不具合が生じにくくなる。また、木材層部21が乾燥収縮等の起こりにくい堅木材にて構成されており、金属層部22と木材層部21との収縮差が小さく、接着材層24を硬質であるにもかかわらず該収縮差に由来した剥離等を生じにくい。
【0033】
図4に示すように、溝部30の接合面への開口位置での溝幅W1は、深さ方向におけるくびれ形成部30bの最小溝幅位置における溝幅W2よりも大とされている。これにより、溝開口から溝の開口側部分30aへ接着材をスムーズに流入させることができる。図4においては、くびれ形成部30bの最小溝幅位置よりも接合面側に位置する部分30aを、該最小溝幅位置から接合面への開口に向けて連続的に拡幅するように、当該部分30aの内側面を傾斜面状に形成している。なお、当該部分の内側面は湾曲面状(例えば、図7参照)に形成しても同様の効果が達成できる。
【0034】
他方、溝部30のくびれ形成部30bの最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分30cは、該最小溝幅位置から溝底に向けて連続的に拡幅するように、当該部分の内側面を傾斜面状に形成されている。この形態では、該部分30cにて内側面が上記のごとく傾斜面状となることで溝底側縁に向け、該部分の溝高さが縮小するので、図5に示すように、流れ込んだ接着材24Fは溝底側縁に向け鋭角状に絞り込まれるので充填効果が高められる。また、傾斜面状となることによる接着面積増大効果も享受することができる。
【0035】
本実施形態では、図1に示すように、金属層部22は、枠本体2の木材層部21が形成する一方の表面が建築物の屋内側(IS)の面を形成し、金属層部22が形成する他方の表面が建築物の屋外側(OS)の面を形成する。木材層部21により屋内側の面(つまり、内装面)を形成し、金属層部22により屋外側の面(つまり、外装面)を形成することで、内装面側がリアルな木材により意匠効果を大幅に高めることができ、外装面側は金属部材により風雨等に対する耐候性を良好に確保することができる。
【0036】
枠本体2の金属層部22はアルミ押出部材として形成され、その木材層部21との接合面は研磨等を施さない押出加工面となっている。溝部30は該アルミ押出部材の押出長手方向に沿って形成され、図2に示すように、部材端面に開放する形態となる。このような溝部30は押出成型時に部材に同時形成でき、生産能率を大幅に向上することができる。この実施形態では、枠本体2は、枠幅方向の互いに平行な1対の部材と枠高さ方向の互いに平行な1対の部材との都合4つの部材の組立構造体とされている。各部材は端面が枠辺と45度の角度をなす傾斜面とされ、隣接する傾斜端面同士を直角に付き合わせてボルト23により締結することにより枠状に一体化されている。
【0037】
図3に示すように、その金属層部22は、2枚の金属板22a,22bを積層し、厚さ方向に締結(例えばボルト25等による)された構造を有する。木材層部21は単一層であり、金属層部22の該木材層部21への接合面は第一の金属板22aに形成される。従って、溝部30も第一の金属板22aに形成され、具体的には、部材の押出長手方向と直交する向きに複数平行に形成されている。第一の金属板22aに形成された溝部30は部材の両端面に開放しており、未硬化接着材充填時には溝部30内の空気を溝部30の端面から排出することができる。
【0038】
図1に示すように、サッシ枠1の枠本体2の内側には窓ガラス5が保持される。図3に示すように、枠本体2の内周縁側において、木材層部21は金属層部22に対し該金属層部22の内縁よりも内側に延出する形で接合されている。そして、木材層部21の金属層部22からの延出部分21eの、接合面と同じ側に位置する面をガラス保持面21hとして、窓ガラス5は当該ガラス保持面21hに接する形で保持されている。これにより、木材層部21に窓ガラス5が直接接する形態となり、サッシの内装側の内側縁に金属層部22が露出しないようになっている。なお、本実施形態において窓ガラス5は、屋内面の外周縁部を木材層部21のガラス保持面21hに支持させる一方、屋外面の外周縁部に沿ってゴム等で構成された枠状シール部材6を配置し、さらに、第二の金属板22bを第一の金属板22aの側面よりも内側に延出させ、その延出部分にて枠状シール部材6を窓ガラス5との間で挟みつける形で圧縮することで、水密構造としている。
【0039】
以下、本発明の種々の変形例について説明する。
図6に示すように、くびれ形成部30bをなす溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分を凸湾曲面状に形成することできる。これにより、流動状態の接着材がくびれ形成部30b(突出部分)の頂面部分を乗り越える際の流体抵抗が小さくなり、溝底側の部分30cに接着材をよりスムーズに充填することができる。
【0040】
また、図7、図8及び図9に示すように、くびれ形成部30bを形成する溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分を、溝深さ方向に沿う切り立ち面状に形成することができる。この構成では、くびれ形成部30bの頂面同士が平行に対向する形になるので、溝底側の部分30cへ未硬化接着材をよりスムーズに流動させることができる。
【0041】
次に、図8に示すように、溝部30のくびれ形成部30bの最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分30cは、該最小溝幅位置から溝底に向けて段階的に拡幅するように、当該部分30cの内側面を段付き面状に形成することも可能である。
【0042】
また、図9に示すように、溝部30のくびれ形成部30bの最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分30cは、該最小溝幅位置から溝底に向けて一旦拡幅し、幅極大位置を経て溝底に向け溝幅を再び縮小するように、当該部分30cの内側面を凹状面(図9では凹湾曲面)とすることができる。この構成によると、溝底側に位置する部分に流れ込んだ接着材が上記凹状面に沿って回り込み、該部分への接着材の充填均一度を高めることができる。
【0043】
図10は、溝部30の切り立ち面状の内側面の深さ方向途中位置に、凸湾曲面状のくびれ形成部30bを形成した例である。
【0044】
なお、図11に示すように、枠本体2の厚みを増し、金属層部22の厚さ方向途中位置に窓ガラス5の保持面を形成する場合は、金属層部22の内側面の該保持面よりも木材層部21側に位置する部分を補助木材部21tにより被覆することも可能である。図11では、第一の金属板22aの厚みを増し、窓ガラス5側の側面に回りこむ形で接着材層24を形成し、補助木材部21tを接合している。溝部30は、補助木材部21tとの接合面をなす金属層部22(第一の金属板22a)の側面にも形成されている。他方、切削や集成材により、木材層部21と補助木材部21tとを一体不可分に形成することもできる(この場合は、金属層部22の側面への溝部の形成を省略することも可能である)。また、窓ガラス5は、屋内面の外周縁が第一の金属板22aの内縁と補助木材部21tとにより支持され、屋外側の外周縁は第二の金属版22bの内縁により覆われるとともに窓ガラス5との隙間がシリコーンゴム等からなるコーキング材6cで充填/シールされている。
【0045】
なお、図12に示すように、アルミ押出材からなる金属層部22は、中空部材あるいは異形材として形成することも可能であり、その屈曲した外周面に沿って木材層部21を接合することができる。板状の木材層部21は、金属層部22に形状毎に必要に応じて分割して接合することが可能である。
【0046】
また、図13は、図3と同様のサッシ枠構造において、溝部30を、その開口部に狭小部を有するアリ溝として形成した例を示すものである。
【0047】
図14は、図11と同様のサッシ枠構造において、窓ガラスをペアガラス5pにて構成した例を示すものである。
【0048】
なお、本実施形態では、サッシ枠1への適用例を説明したが、本発明の複合構造建材の適用対象はこれに限定されるものではなく、カーテンウォール、引戸、ドアなどへ適用することももちろん可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 サッシ枠(複合構造建材)
2 枠本体
5 窓ガラス
21 木材層部
22 金属層部
24 接着材層
30 溝部
30b くびれ形成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建材外装側を形成する金属層部と、建材内装側を形成する木材層部と、それら金属層部と木材層部とを接着する接着材層とを有する複合構造建材であって、
前記金属層部の前記木材層部との接合面に前記接着材層をなす接着材の一部が充填される溝部が形成されるとともに、該溝部の内側面には、溝深さ方向にて溝底側に隣接する部分よりも溝幅が狭小となる狭小部が形成され、
かつ、前記接着材層が前記木材層部よりも硬質の高分子材料からなることを特徴とする複合構造建材。
【請求項2】
前記木材層部が堅木材からなる請求項1記載の複合構造建材。
【請求項3】
前記堅木材は、ナラ、カシ、ケヤキ、ラワン、マホガニー、チーク、ウォルナット、タモ、シナノキ、マカバ、クリ、メープル、サクラ、ブナ、クヌギ、クスノキ及びケンパスのいずれかにて構成される請求項1又は請求項2に記載の複合構造建材。
【請求項4】
前記木材層部が圧縮材からなる請求項1記載の複合構造建材。
【請求項5】
前記圧縮材がスギ、ヒノキ、マツ、ヒバ又はサワラの圧縮材にて構成される請求項4記載の複合構造建材。
【請求項6】
前記接着材層は反応系接着剤にて形成される請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項7】
前記反応系接着剤は、エポキシ樹脂系接着剤又はウレタン樹脂系接着剤にて構成される請求項6記載の複合構造建材。
【請求項8】
前記接着材層はホットメルト接着剤にて形成される請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項9】
前記ホットメルト接着剤は、エチレン-酢酸ビニル樹脂ホットメルト接着剤、ウレタン樹脂系反応性ホットメルト接着剤、ポリアミド樹脂ホットメルト接着剤及びポリウレタン樹脂ホットメルト接着剤のいずれかにて構成される請求項8記載の複合構造建材。
【請求項10】
前記溝部がアリ溝として形成される請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項11】
前記溝部は深さ方向の途中位置にて、該深さ方向の前後に隣接する部分よりも溝幅を小となすくびれ形成部を有する請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項12】
前記溝部の前記接合面への開口位置での溝幅が、前記深さ方向における前記くびれ形成部の最小溝幅位置における溝幅よりも大とされてなる請求項11記載の複合構造建材。
【請求項13】
前記溝部の前記くびれ形成部の最小溝幅位置よりも前記接合面側に位置する部分が該最小溝幅位置から前記接合面への開口に向けて連続的に拡幅するように、当該部分の内側面が傾斜面状に形成されている請求項12記載の複合構造建材。
【請求項14】
前記溝部の前記くびれ形成部の最小溝幅位置よりも前記接合面側に位置する部分が、該最小溝幅位置から前記接合面への開口に向けて連続的に拡幅するように、当該部分の内側面が湾曲面状に形成されている請求項12記載の複合構造建材。
【請求項15】
溝部のくびれ形成部の最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分が該最小溝幅位置から溝底に向けて連続的に拡幅するように、当該部分の内側面が傾斜面状に形成されている請求項12ないし請求項14のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項16】
前記溝部の前記くびれ形成部の最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分が該最小溝幅位置から前記溝底に向けて段階的に拡幅するように、当該部分の内側面が段付き面状に形成されている請求項12ないし請求項15のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項17】
前記溝部の前記くびれ形成部の最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分が、該最小溝幅位置から前記溝底に向けて一旦拡幅し、幅極大位置を経て前記溝底に向け溝幅を再び縮小するように、当該部分の内側面が凹状面とされている請求項12ないし請求項16のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項18】
前記くびれ形成部を形成する前記溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分が鋭角状に形成されてなる請求項12ないし請求項17のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項19】
前記くびれ形成部を形成する前記溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分が凸湾曲面状に形成されてなる請求項12ないし請求項18のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項20】
前記くびれ形成部を形成する前記溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分が溝深さ方向に沿う切り立ち面状に形成されてなる請求項12ないし請求項18のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項21】
前記金属層部がアルミ押出部材として形成され、前記溝部は該アルミ押出部材の押出長手方向に沿って形成されている請求項1ないし請求項20のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項22】
前記溝部が前記金属層部の前記接合面に対し、該押出長手方向と直交する向きに複数平行に形成されている請求項21記載の複合構造建材。
【請求項1】
建材外装側を形成する金属層部と、建材内装側を形成する木材層部と、それら金属層部と木材層部とを接着する接着材層とを有する複合構造建材であって、
前記金属層部の前記木材層部との接合面に前記接着材層をなす接着材の一部が充填される溝部が形成されるとともに、該溝部の内側面には、溝深さ方向にて溝底側に隣接する部分よりも溝幅が狭小となる狭小部が形成され、
かつ、前記接着材層が前記木材層部よりも硬質の高分子材料からなることを特徴とする複合構造建材。
【請求項2】
前記木材層部が堅木材からなる請求項1記載の複合構造建材。
【請求項3】
前記堅木材は、ナラ、カシ、ケヤキ、ラワン、マホガニー、チーク、ウォルナット、タモ、シナノキ、マカバ、クリ、メープル、サクラ、ブナ、クヌギ、クスノキ及びケンパスのいずれかにて構成される請求項1又は請求項2に記載の複合構造建材。
【請求項4】
前記木材層部が圧縮材からなる請求項1記載の複合構造建材。
【請求項5】
前記圧縮材がスギ、ヒノキ、マツ、ヒバ又はサワラの圧縮材にて構成される請求項4記載の複合構造建材。
【請求項6】
前記接着材層は反応系接着剤にて形成される請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項7】
前記反応系接着剤は、エポキシ樹脂系接着剤又はウレタン樹脂系接着剤にて構成される請求項6記載の複合構造建材。
【請求項8】
前記接着材層はホットメルト接着剤にて形成される請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項9】
前記ホットメルト接着剤は、エチレン-酢酸ビニル樹脂ホットメルト接着剤、ウレタン樹脂系反応性ホットメルト接着剤、ポリアミド樹脂ホットメルト接着剤及びポリウレタン樹脂ホットメルト接着剤のいずれかにて構成される請求項8記載の複合構造建材。
【請求項10】
前記溝部がアリ溝として形成される請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項11】
前記溝部は深さ方向の途中位置にて、該深さ方向の前後に隣接する部分よりも溝幅を小となすくびれ形成部を有する請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項12】
前記溝部の前記接合面への開口位置での溝幅が、前記深さ方向における前記くびれ形成部の最小溝幅位置における溝幅よりも大とされてなる請求項11記載の複合構造建材。
【請求項13】
前記溝部の前記くびれ形成部の最小溝幅位置よりも前記接合面側に位置する部分が該最小溝幅位置から前記接合面への開口に向けて連続的に拡幅するように、当該部分の内側面が傾斜面状に形成されている請求項12記載の複合構造建材。
【請求項14】
前記溝部の前記くびれ形成部の最小溝幅位置よりも前記接合面側に位置する部分が、該最小溝幅位置から前記接合面への開口に向けて連続的に拡幅するように、当該部分の内側面が湾曲面状に形成されている請求項12記載の複合構造建材。
【請求項15】
溝部のくびれ形成部の最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分が該最小溝幅位置から溝底に向けて連続的に拡幅するように、当該部分の内側面が傾斜面状に形成されている請求項12ないし請求項14のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項16】
前記溝部の前記くびれ形成部の最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分が該最小溝幅位置から前記溝底に向けて段階的に拡幅するように、当該部分の内側面が段付き面状に形成されている請求項12ないし請求項15のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項17】
前記溝部の前記くびれ形成部の最小溝幅位置よりも溝底側に位置する部分が、該最小溝幅位置から前記溝底に向けて一旦拡幅し、幅極大位置を経て前記溝底に向け溝幅を再び縮小するように、当該部分の内側面が凹状面とされている請求項12ないし請求項16のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項18】
前記くびれ形成部を形成する前記溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分が鋭角状に形成されてなる請求項12ないし請求項17のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項19】
前記くびれ形成部を形成する前記溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分が凸湾曲面状に形成されてなる請求項12ないし請求項18のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項20】
前記くびれ形成部を形成する前記溝内側面からの溝幅方向への突出部分の頂面部分が溝深さ方向に沿う切り立ち面状に形成されてなる請求項12ないし請求項18のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項21】
前記金属層部がアルミ押出部材として形成され、前記溝部は該アルミ押出部材の押出長手方向に沿って形成されている請求項1ないし請求項20のいずれか1項に記載の複合構造建材。
【請求項22】
前記溝部が前記金属層部の前記接合面に対し、該押出長手方向と直交する向きに複数平行に形成されている請求項21記載の複合構造建材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−281046(P2010−281046A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133249(P2009−133249)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(501459491)株式会社東和工業 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(501459491)株式会社東和工業 (3)
【Fターム(参考)】
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