説明

複合熱交換器

【課題】一体型管における放熱効率の向上効果の大きい複合熱交換器を提供する。
【解決手段】複合熱交換器32を構成する一方の冷媒ヘッダータンク33と他方の冷媒ヘッダータンクとは、複数本の複数一体型冷媒管35によって繋がれている。複数一体型冷媒管35の幅方向Hの中央部と側壁42側の複数一体型冷媒管35の側縁との間の部位は、第1冷媒管52として形成されている。複数一体型冷媒管35の幅方向Hの中央部と側壁43側の複数一体型冷媒管35の側縁との間の部位は、第2冷媒管53として形成されている。冷媒管52,53の並設方向(幅方向H)及び媒体流通方向の両方向に垂直な方向Qにおける冷媒管52,53同士の連結部分Uの幅Tは、冷媒管52,53の通路壁521,531の厚みt1,t2の2倍より大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1ヘッダータンクと、第2ヘッダータンクと、一端が前記第1ヘッダータンクに繋がると共に、他端が前記第2ヘッダータンクに繋がる媒体管と、前記媒体管に接する熱伝達部材とを有する熱交換器を複数備えた複合熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
空調装置用凝縮器と廃熱回収装置用凝縮器とを車両前後方向に直列に配設する構成では、特許文献1に開示のように、前後で対となるチューブ(冷媒管)を一体形成したチューブ構造が複合熱交換器の製作容易性の観点に関して好ましい。
【0003】
特許文献1に開示の複合熱交換器では、元は一本である偏平なチューブの一方の偏平壁面に凹状部を設けて該チューブ内に2つの流路を形成している。2つの流路は、凹状部の壁面を他方の偏平壁面に接合させることによって区画形成され、元は一本である偏平なチューブが一対の分割チューブに形成される。
【0004】
空調装置が作動していないときには、廃熱回収装置用凝縮器側の熱が廃熱回収装置用凝縮器側の分割チューブから空調装置用凝縮器側の分割チューブへ伝達する。これは、廃熱回収装置用凝縮器における放熱効率の向上に寄与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62−185369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、元は一本である偏平なチューブを変形させて一対の分割チューブ(一体型管)を形成する方法では、廃熱回収装置用凝縮器側の分割チューブと空調装置用凝縮器側の分割チューブとの間の肉厚が薄いためにその部分が熱抵抗となってしまい、放熱効率の向上効果が小さくなってしまう。
【0007】
本発明は、一体型管における放熱効率の向上効果の大きい複合熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1ヘッダータンクと、第2ヘッダータンクと、一端が前記第1ヘッダータンクに繋がると共に、他端が前記第2ヘッダータンクに繋がる媒体管と、前記媒体管に接する熱伝達部材とを有する熱交換器を複数備えた複合熱交換器を対象とし、請求項1の発明では、少なくとも2つの前記熱交換器の前記第1ヘッダータンク同士、及び前記第2ヘッダータンク同士はそれぞれ隣り合って配置され、前記少なくとも2つの前記熱交換器の前記媒体管同士は、並設して連結された状態で一体形成されて一体型管を構成し、前記媒体管の並設方向及び媒体流通方向の両方向に垂直な方向における前記媒体管同士の連結部分の幅をT、前記媒体管の通路壁の厚みをtとすると、T>2tである。
【0009】
特許文献1では、廃熱回収装置用凝縮器側の分割チューブから空調装置用凝縮器側の分割チューブへの熱伝達では、凹状部の壁部が伝達経路となるが、該壁部の厚みは、チューブの壁厚の僅かに2倍である。T>2tという大小関係は、媒体管同士の連結部分の幅を大きくし、媒体管同士の連結部分の肉厚が大きくなって熱抵抗が低減される。その結果、一体型管における放熱効率の向上効果が大きい。
【0010】
好適な例では、前記一体型管は、押し出し成形又は引き抜き成形によって形成されている。
押し出し成形又は引き出し成形によって一体形成された一体型管では、媒体管同士の間のシール性の確保が容易である。
【0011】
好適な例では、前記熱伝達部材に対する前記複数の熱交換器の前記媒体管のそれぞれの接触面は、同一平面上に形成されている。
同一平面の選択は、複数の熱交換器の前記媒体管のそれぞれに対する熱伝達部材の接触性の向上、つまり熱伝達効率の向上に寄与する。
【0012】
好適な例では、前記熱伝達部材に対する前記複数の熱交換器の前記媒体管のそれぞれの接触面は、連続した同一平面に形成されている。
複数の熱交換器の前記媒体管のそれぞれの接触面が連続している構成では、各接触面間で凹みがない。そのため、一方の媒体管と他方の媒体管との一方から他方への熱伝達効率は、特許文献1に比べて高くなる。
【0013】
好適な例では、前記複数の熱交換器のうちの1つは、ランキンサイクル回路を構成する第1凝縮器であり、前記複数の熱交換器のうちの他の1つは、冷凍回路を構成する第2凝縮器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、一体型管における放熱効率の向上効果の大きい複合熱交換器を提供することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態の廃熱回収装置を示す模式図。
【図2】複合熱交換器の正断面図。
【図3】(a)は、複合熱交換器の平面図。(b)は、図2のA−A線断面図。
【図4】(a)は、図3(b)のB−B線断面図。(b)は、部分拡大断面図。
【図5】(a)は、一部破断平断面図。(b)は、一部破断平断面図。
【図6】第2の実施形態を示す部分拡大断面図。
【図7】第3の実施形態を示す部分拡大断面図。
【図8】別の実施形態を示す一部破断平断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
図1に示すように、廃熱回収装置11は、廃熱源としてのエンジン12(燃焼機関)と、ランキンサイクル回路13とを備えている。ランキンサイクル回路13では、エンジン12からの廃熱によって加熱される第1冷媒が循環する。廃熱回収装置11を構成する回転電機14は、ランキンサイクル回路13の一部を構成している。ランキンサイクル回路13は、膨張機15、第1凝縮器16、ギヤポンプ17、及びボイラ18によって構成されている。回転電機14は、膨張機15、ギヤポンプ17、モータ・ジェネレータ25から構成される。
【0017】
ボイラ18は、ギヤポンプ17と膨張機15との間の冷媒流路19上に設けられていると共に、エンジン12に接続された排気通路20上に設けられている。エンジン12から排気通路20へ排気された排気ガスの熱は、ボイラ18を介して冷媒流路19内の第1冷媒に伝達される。排気通路20内の排気ガスは、マフラ21から排気される。
【0018】
なお、エンジン12を冷却した冷却水は、冷却水循環経路22を循環してラジエータ23で放熱する。
ボイラ18で加熱された高温高圧の第1冷媒は、冷媒流路19を経由して膨張機15に導入される。膨張機15は、例えばスクロール式の膨張機である。
【0019】
第1凝縮器16は、膨張機15とギヤポンプ17との間の冷媒流路24上に設けられている。膨張機15は、膨張機15内で膨張する第1冷媒を利用してギヤポンプ17及びモータ・ジェネレータ25を駆動する。駆動されたモータ・ジェネレータ25は、発電し、発電された電気は、バッテリ10に蓄えられる。
【0020】
膨張機15で膨張した低圧の第1冷媒は、冷媒流路24を経由して第1凝縮器16へ送られる。第1凝縮器16を通過した第1冷媒は、ギヤポンプ17のポンプ作用により、ポンプ室に吸入されてポンプ室から冷媒流路19へ吐出される。ポンプ室から吐出された第1冷媒は、ボイラ18を経由して膨張機15へ還流する。
【0021】
空調装置用の冷凍回路26は、圧縮機27と、第2凝縮器28と、膨張弁29と、蒸発器30とを備えている。圧縮機27から冷媒流路31へ吐出された第2冷媒は、第2凝縮器28、膨張弁29及び蒸発器30を経由して圧縮機27へ還流する。第2凝縮器28は、第1凝縮器16と直列となるように配設されている。
【0022】
図3(a),(b)は、直列に配設された第1凝縮器16と第2凝縮器28とからなる複合熱交換器32を示す。
次に、複合熱交換器32の構造を説明する。
【0023】
図2に示すように、複合熱交換器32は、一対の冷媒ヘッダータンク33,34と、冷媒ヘッダータンク33,34を繋ぐ複数本の複数一体型冷媒管35と、隣り合う複数一体型冷媒管35間に配設された放熱フィン36とから構成されている。熱伝達部材である放熱フィン36は、単板を波型に折り曲げて形成されている。冷媒流入用の冷媒ヘッダータンク33及び冷媒流出用の冷媒ヘッダータンク34は、容器本体37A,37Bと上蓋38と下蓋39とから構成されている。以下においては、冷媒ヘッダータンク33を流入用冷媒ヘッダータンク33と記したり、冷媒ヘッダータンク34を流出用冷媒ヘッダータンク34と記すこともある。
【0024】
一体型管としての複数一体型冷媒管35の一端351は、第1ヘッダータンクとしての冷媒ヘッダータンク33に繋げられていると共に、他端352が第2ヘッダータンクとしての第2ヘッダータンクとしての冷媒ヘッダータンク34に繋げられている。
【0025】
図4(a)は、流入用冷媒ヘッダータンク33及び複数本の複数一体型冷媒管35を示す。
図5(a)に示すように、流入用冷媒ヘッダータンク33側の容器本体37Aは、背壁40と、背壁40に対向する接続壁41と、接続壁41と背壁40とを連結する一対の側壁42,43と、接続壁41と背壁40とを連結する区画壁44とから構成されている。流出用冷媒ヘッダータンク34側の容器本体37Bは、背壁40と、背壁40に対向する接続壁41と、接続壁41と背壁40とを連結する一対の側壁42,43と、接続壁41と背壁40とを連結する区画壁44とから構成されている。
【0026】
容器本体37A側の区画壁44は、側壁42との間で容器本体37A内に第1タンク室45を区画すると共に、側壁43との間で容器本体37A内に第2タンク室46を区画する。容器本体37B側の区画壁44は、側壁42との間で容器本体37B内に第3タンク室47を区画すると共に、側壁43の間で容器本体37B内に第4タンク室48を区画する。
【0027】
図5(b)に示すように、容器本体37A側の接続壁41には第1接続口411が第1タンク室45に連通するように貫設されており、接続壁41には第2接続口412が第2タンク室46に連通するように貫設されている。容器本体37B側の接続壁41には第3接続口413が第3タンク室47に連通するように貫設されており、接続壁41には第4接続口414が第4タンク室48に連通するように貫設されている。
【0028】
複数一体型冷媒管35の一端部には嵌合溝49Aが複数一体型冷媒管35の厚み方向〔紙面と垂直な方向〕に延びる形状に形成されており、複数一体型冷媒管35の他端部には嵌合溝49Bが複数一体型冷媒管35の厚み方向に延びる形状に形成されている。嵌合溝49A,49Bは、複数一体型冷媒管35の幅方向H〔矢印で示す方向〕の中央部に形成されている。複数一体型冷媒管35の幅方向Hの中央部と側壁42側の複数一体型冷媒管35の側縁との間の複数一体型冷媒管35の内部には複数の通路50が複数一体型冷媒管35の一端から他端にわたって貫設されている。複数一体型冷媒管35の幅方向Hの中央部と側壁43側の複数一体型冷媒管35の側縁との間の複数一体型冷媒管35の内部には複数の通路51が複数一体型冷媒管35の一端から他端にわたって貫設されている。図4(b)に示すように、本実施形態では、通路50,51の横断面形状は、四角孔形状である。
【0029】
図5(b)に示すように、複数一体型冷媒管35の幅方向Hの中央部と側壁42側の複数一体型冷媒管35の側縁との間の部位は、媒体管である第1冷媒管52として形成されている。複数一体型冷媒管35の幅方向Hの中央部と側壁43側の複数一体型冷媒管35の側縁との間の部位は、媒体管である第2冷媒管53として形成されている。媒体管である第1冷媒管52と媒体管である第2冷媒管53とは、並設して連結された状態で一体型管である複数一体型冷媒管35に一体形成されている。第1冷媒管52及び第2冷媒管53の一端(一端351)は、第1ヘッダータンクである冷媒ヘッダータンク33に繋げられており、第1冷媒管52及び第2冷媒管53の他端(他端352)は、第2ヘッダータンクである冷媒ヘッダータンク34に繋げられている。
【0030】
図4(b)に示すように、放熱フィン36に対する第1冷媒管52の接触面S11,S12は、平面であり、放熱フィン36に対する第2冷媒管53の接触面S21,S22は、平面である。第1接触面である接触面S11と第2接触面である接触面S21とは、仮想平面So1上にあり、第1接触面である接触面S12と第2接触面である接触面S22とは、仮想平面So2上にある。本実施形態では、接触面S11と接触面S21とは連続しており、接触面S12と接触面S22とは連続している。
【0031】
仮想面である仮想平面So1,So2は、いずれも、複数一体型冷媒管35の長さ方向に延びる直線を複数一体型冷媒管35の幅方向Hに平行移動して形成される滑らかな仮想面である。仮想平面So1と仮想平面So2とは平行であり、仮想平面So1に一致する接触面S11,S21と、仮想平面So2に一致する接触面S12,S22とは、平行である。つまり、接触面S11,S21と接触面S12,S22との間の幅Tが一定である。
【0032】
媒体管である第1冷媒管52及び第2冷媒管53の並設方向(複数一体型冷媒管35の幅方向H)、及び図5(b)に示す媒体流通方向R〔図4(b)の紙面に垂直な方向〕の両方向に垂直な方向Qにおける冷媒管52,53同士の連結部分Uの幅Tは、通路50の形成壁面と接触面S11,S12との間隔、つまり通路壁521の厚みt1の2倍(2×t1)よりも大きい。又、幅Tは、通路50の形成壁面と接触面S11,S12との間隔、つまり通路壁531の厚みt2の2倍(2×t2)よりも大きい。本実施形態では、厚みt1,t2は、同じ厚みtである。
【0033】
図5(b)に示すように、第1冷媒管52の一端部〔嵌合溝49Aと側壁42側の複数一体型冷媒管35の側縁との間の部位〕は、第1接続口411に嵌入されており、通路50が第1タンク室45に連通している。第2冷媒管53の一端部〔嵌合溝49Aと側壁43側の複数一体型冷媒管35の側縁との間の部位〕は、第2接続口412に嵌入されており、通路51が第2タンク室46に連通している。第1冷媒管52の他端部〔嵌合溝49Bと側壁42側の複数一体型冷媒管35の側縁との間の部位〕は、第3接続口413に嵌入されており、通路50が第3タンク室47に連通している。第2冷媒管53の他端部〔嵌合溝49Bと側壁43側の複数一体型冷媒管35の側縁との間の部位〕は、第4接続口414に嵌入されており、通路51が第4タンク室48に連通している。
【0034】
第1タンク室45と第3タンク室47とは、第1冷媒管52の通路50によって連通されており、第2タンク室46と第4タンク室48とは、第2冷媒管53の通路51によって連通されている。
【0035】
複数一体型冷媒管35は、押し出し成形又は引き抜き成形によって形成されている。
流入用冷媒ヘッダータンク33の側壁42には流入管54が第1タンク室45に連通するように接続されており、流出用冷媒ヘッダータンク34の側壁42には流出管55が第3タンク室47に連通するように接続されている。流入管54は、膨張機15と第1凝縮器16との間の冷媒流路24の一部であり、流出管55は、第1凝縮器16とギヤポンプ17との間の冷媒流路24の一部である。
【0036】
流入用冷媒ヘッダータンク33の側壁43には流入管56が第2タンク室46に連通するように接続されており、流出用冷媒ヘッダータンク34の側壁43には流出管57が第4タンク室48に連通するように接続されている。流入管56は、圧縮機27と第2凝縮器28との間の冷媒流路31の一部であり、流出管57は、第2凝縮器28と膨張弁29との間の冷媒流路31の一部である。
【0037】
次に、第1の実施形態の作用を説明する。
圧縮機27が作動している状態では、圧縮機27から第2冷媒が吐出され、圧縮機27から吐出された第2冷媒は、流入管56を経由して流出用冷媒ヘッダータンク34の第2タンク室46へ流入する。第2タンク室46内の第2冷媒は、第2冷媒管53の通路51を経由して第4タンク室48へ流入する。通路51を流れる第2冷媒の熱は、複数一体型冷媒管35及び放熱フィン36を介して大気へ伝達(放熱)される。第4タンク室48へ流入した第2冷媒は、流出管57を経由して膨張弁29へ送られる。
【0038】
膨張機15が作動している状態では、膨張機15から流出した第1冷媒は、流入管54を経由して流入用冷媒ヘッダータンク33の第1タンク室45へ流入する。第1タンク室45内の第1冷媒は、第1冷媒管52の通路50を経由して第3タンク室47へ流入する。通路50を流れる第1冷媒の熱は、複数一体型冷媒管35及び放熱フィン36を介して大気へ伝達(放熱)される。第3タンク室47へ流入した第1冷媒は、流出管55を経由してギヤポンプ17へ送られる。
【0039】
圧縮機27が作動しておらず、且つ膨張機15が作動している状態では、通路50を流れる第1冷媒の熱は、第1冷媒管52から放熱フィン36へ伝達されるのみならず、第1冷媒管52から第2冷媒管53をも介して放熱フィン36へ伝達される。つまり、圧縮機27が作動しておらず、且つ膨張機15が作動している状態では、第1冷媒管52のみならず第2冷媒管53も第1冷媒の熱の伝達(放熱)に寄与する。
【0040】
又、圧縮機27が作動しており、且つ膨張機15が作動していない状態では、通路51を流れる第2冷媒の熱は、第2冷媒管53から放熱フィン36へ伝達されるのみならず、第2冷媒管53から第1冷媒管52をも介して放熱フィン36へ伝達される。つまり、圧縮機27が作動しており、且つ膨張機15が作動していない状態では、第2冷媒管53のみならず第1冷媒管52も第2冷媒の熱の伝達(放熱)に寄与する。
【0041】
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
(1)第1冷媒管52と第2冷媒管53とを押し出し成形又は引き出し成形によって一体にした複数一体型冷媒管35では、第1冷媒管52内の通路50と第2冷媒管53内の通路51との間のシール性が確実に確保される。
【0042】
(2)放熱フィン36に対する接触面S11と接触面S21とは、仮想平面So1に一致しており、接触面S12と接触面S22とは、仮想平面So2に一致している。このような面構成では、波型に折り曲げ形成された放熱フィン36と接触面S11,S21との接触、及び放熱フィン36と接触面S12,S22との接触が線接触となる。そのため、第1冷媒管52と第2冷媒管53とに対する放熱フィン36の接触性が良く、第1冷媒及び第2冷媒の熱の伝達効率が高い。
【0043】
(3)T>2tという大小関係は、冷媒管52,53同士の連結部分Uの幅Tを大きくし、冷媒管52,53同士の連結部分Uの肉厚が大きくなって熱抵抗が低減される。その結果、複数一体型冷媒管35における放熱効率の向上効果が大きい。
【0044】
(4)平面の接触面S11と平面の接触面S21とは、連続しており、平面の接触面S12と平面の接触面S22とは、連続しており、接触面S11,S21と接触面S12,S22との間の厚みが一定である。従って、第1冷媒管52から第2冷媒管53への熱伝達効率が高い。その結果、第2冷媒の循環がない場合の第1冷媒の放熱効率が高く、第1冷媒の循環がない場合の第2冷媒の放熱効率が高い。
【0045】
次に、図6の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合を用い、その詳細説明は省略する。
第1冷媒管52と第2冷媒管53との境付近の複数一体型冷媒管35Aの部位には凹溝58,59が形成されている。凹溝58,59の底の間隔K1は、通路壁521の厚みt1の2倍(2×t1)よりも大きい。又、間隔K1は、通路壁531の厚みt2の2倍(2×t2)よりも大きい。放熱フィン36の幅方向の中央部には突条60,61が形成されている。突条60は、凹溝59に入り込んでおり、突条61は、凹溝58に入り込んでいる。
【0046】
第2の実施形態では、第1の実施形態における(1)〜(3)項と同様の効果が得られる。
次に、図7の第3の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合を用い、その詳細説明は省略する。
【0047】
第1冷媒管52と第2冷媒管53との境付近の複数一体型冷媒管35Bの部位には突条62,63が形成されている。突条62,63の先端の間隔K2は、幅Tよりも大きい。放熱フィン36の幅方向Hの中央部には孔64が放熱フィン36の長さ方向に所定間隔をおいて貫設されている。突条62,63は、孔64に入り込んでいる。
【0048】
第3の実施形態では、第1の実施形態における(1)〜(3)項と同様の効果が得られる。
本発明では以下のような実施形態も可能である。
【0049】
○図8に示すように、第1冷媒管52用の流入用冷媒ヘッダータンク65と第2冷媒管53用の流入用冷媒ヘッダータンク66とを別体に形成してもよい。又、第1冷媒管52用の流出用冷媒ヘッダータンク67と第2冷媒管53用の流出用冷媒ヘッダータンク68とを別体に形成してもよい。
【0050】
○複数一体型冷媒管の長さ方向に延びる直線を曲線に沿って平行移動して形成された曲面を仮想面としてもよい。この場合、該曲線の曲率は、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。
【0051】
○平行に配設された多数枚の平板形状の放熱板(熱伝達部材)を複数一体型冷媒管が貫通する構成の複合熱交換器に本発明を適用してもよい。
○多数枚の平板形状の放熱板が平行に配設された構成の複合熱交換器において、第1冷媒管の厚みと第2冷媒管の厚みとが異なっていてもよい。
【0052】
○ラジエータと第1凝縮器16とを直列に配設した複合熱交換器に本発明を適用してもよい。
○ラジエータと第2凝縮器28とを直列に配設した複合熱交換器に本発明を適用してもよい。
【0053】
○ラジエータ、第1凝縮器16及び第2凝縮器28を直列に配設した複合熱交換器に本発明を適用してもよい。
前記した実施形態から把握できる技術思想について以下に記載する。
【0054】
(イ)前記熱伝達部材に接する一対の媒体管の一方の媒体管の第1接触面と、他方の媒体管の第2接触面との間には凹条が設けられており、前記凹条とは反対側の前記一体型管における裏面と、前記凹条の先端との間隔は、前記一方の媒体管の通路壁の厚みと、前記他方の媒体管の通路壁の厚みとのうち、大きい方の厚みの2倍よりも大きい請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の複合熱交換器。
【0055】
(ロ)前記第1接触面と前記第2接触面との間には突条が設けられている前記(イ)項に記載の複合熱交換器。
【符号の説明】
【0056】
13…ランキンサイクル回路。16…熱交換器である第1凝縮器。26…冷凍回路.28…熱交換器である第2凝縮器。33…第1ヘッダータンクとしての冷媒ヘッダータンク。34…第2ヘッダータンクとしての冷媒ヘッダータンク。35…一体型管としての一体型冷媒管。351…一端。352…他端。36…熱伝達部材である放熱フィン。52…媒体管としての第1冷媒管。53…媒体管としての第2冷媒管。So1,So2…仮想面である仮想平面。S11,S12…第1接触面である接触面。S21,S22…第2接触面である接触面。T…幅。t,t1,t2…厚み。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ヘッダータンクと、第2ヘッダータンクと、一端が前記第1ヘッダータンクに繋がると共に、他端が前記第2ヘッダータンクに繋がる媒体管と、前記媒体管に接する熱伝達部材とを有する熱交換器を複数備えた複合熱交換器において、
少なくとも2つの前記熱交換器の前記第1ヘッダータンク同士、及び前記第2ヘッダータンク同士はそれぞれ隣り合って配置され、
前記少なくとも2つの前記熱交換器の前記媒体管同士は、並設して連結された状態で一体形成されて一体型管を構成し、
前記媒体管の並設方向及び媒体流通方向の両方向に垂直な方向における前記媒体管同士の連結部分の幅をT、前記媒体管の通路壁の厚みをtとすると、
T>2tである複合熱交換器。
【請求項2】
前記一体型管は、押し出し成形又は引き抜き成形によって形成されている請求項1に記載の複合熱交換器。
【請求項3】
前記熱伝達部材に対する前記複数の熱交換器の前記媒体管のそれぞれの接触面は、同一平面上に形成されている請求項1または2に記載の複合熱交換器。
【請求項4】
前記熱伝達部材に対する前記複数の熱交換器の前記媒体管のそれぞれの接触面は、連続した同一平面に形成されている請求項3に記載の複合熱交換器。
【請求項5】
前記複数の熱交換器のうちの1つは、ランキンサイクル回路を構成する第1凝縮器であり、前記複数の熱交換器のうちの他の1つは、冷凍回路を構成する第2凝縮器である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の複合熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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