説明

複合物理作用装身具の製造方法および製造材料

【課題】磁気とマイナスイオンと遠赤外線の3種類の物理作用を同時に得るようにした複合物理作用装身具の製造に際し、その放射線レベルがあらかじめ定めた適正範囲に調整された製品の製造を低コストかつ高効率に行わせる。
【解決手段】永久磁石材料21、マイナスイオンを発生する放射線素材22、および遠赤外線放射素材23を含有させることにより、磁気とマイナスイオンと遠赤外線の3種類の物理作用を同時に得るようにした複合物理作用の製造に際し、上記材料21および素材22,23を含む熱可塑性エラストマーを、成形加工の原材料形態であるコンパウンド13に加工するとともに、このコンパウンド13の放射線強度が最終加工製品である上記装身具に求められる微弱放射線強度の範囲内となるように上記放射線素材22の添加量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石材料、マイナスイオンを発生する放射線素材、および遠赤外線放射素材を含有させた熱可塑性エラストマーを帯状または紐状等に被覆成形し、この被覆成形体を所定の装身具形状に加工することにより、磁気とマイナスイオンと遠赤外線の物理作用を同時に得るようにした複合物理作用装身具の製造方法および製造材料に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気、マイナスイオン、および遠赤外線はそれぞれ、人体に対して有意な効果をもたらす物理作用のあることが知られている。たとえば磁気治療器は、磁気の作用により人体の各部の血行を促進させ、肩こり、首や腕、腰のなどの筋肉等のこりをほぐすのに効果的な医療器具として、広く人々に使用されている。
【0003】
磁気以外にも、たとえば微量放射線素材にはマイナスイオン発生効果、ゲルマニウムには遠赤外線放射効果があるとされ、少なくとも人体に対して有意な物理作用をもたらすとされている。とくに最近は、微量放射線のホルミシス効果が注目されているが、これもその物理作用に含まれる。
【0004】
本発明は、それらの物理作用を人体に安全なレベルで持続的に与えるために使用される、たとえばブレスレッド、ネックレス、アンクレット、その他の装身具の製造方法と、この装身具を製造するための材料すなわち熱可塑性エラストマーをベースにした製造材料(樹脂コンパウンド)に関する。
【0005】
熱可塑性エラストマーはゴムのような柔軟性を有する熱可塑性樹脂であって、スチレン系熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性加硫エラストマー、コポリエステルエラストマーなどがある。熱可塑性の合成ゴムも熱可塑性エラストマーに含まれる。これらの熱可塑性エラストマーは単体または2種類以上を混合して用いられる。
【0006】
上記熱可塑性エラストマーに酸化鉄等の永久磁石材料を混入させることにより、人体に有意な磁気作用効果を与えることが可能な磁気治療器を作製することができる(たとえば特許文献1参照)。
【0007】
ここで、本発明者は、上記熱可塑性エラストマーに永久磁石材料、マイナスイオンを発生する放射線素材、および遠赤外線放射素材を含有させることにより、磁気とマイナスイオンと遠赤外線の3種類の物理作用を同時に得るようにした複合物理作用装身具の製品化を検討した。これにより、一種類の装身具で3種類の物理作用を人体に持続的に与えることが可能になって、それによる相乗的な効果が期待されるからである。
【0008】
【特許文献1】特開2001−9049
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
熱可塑性エラストマーはその熱可塑性により、たとえばブレスレッドやネックレス、アンクレット、あるいは貼着用シート等、種々の形状に成形加工するのが容易であるという利点がある。磁気治療器の加工製造では、ベース材料である熱可塑性エラストマーに永久磁石材料を所定割合で混入した混合成形材料を押し出し成型機で所定の形状に成形加工することが行われている。
【0010】
磁気とマイナスイオンと遠赤外線の3種類の物理作用を同時に得るようにした複合物理作用装身具の場合についても、磁気治療器の場合と同様、フェライト等の永久磁石材料、モナサイト等の天然放射線素材、ゲルマニウム含有鉱物等の遠赤外線素材をそれぞれ所定割合ずつ混入した混合成形材料を押し出し成型機で所定の形状に成形加工することにより、種々の形態の装身具を製造することが可能である。
【0011】
この場合、その装身具に含まれる放射線素材の放射線レベルは、当然のことながら、危険とされるレベルからはまったくかけ離れた低レベルで、ホルミシス効果だけが期待できる安全レベルに設定される。治療的効果を期待した装身具の場合、その装身具の放射線レベルは、300個〜3000個/分のマイナスイオンが発せられるレベルにあらかじめ調整されていることが望ましい。このためには、そのマイナスイオンの発生量あるいは放射線量を適正に管理する必要がある。
【0012】
しかし、放射線とくに低レベルの放射線の管理には高価な放射線モニター装置が必要であり、また低レベルの放射線を測定するには時間もかかる。このため、最終製品である装身具の放射線レベルを所定範囲内に管理・調整しようとすると、設備コスト負担が大きくなるとともに生産効率が低下するという問題が生じることが判明した。
【0013】
樹脂コンパウンドからの成形加工を専業とする二次加工業者にとって、放射性物質の扱いは、それが安全とされる低レベルのものであっても、その扱いと管理は大きな負担となる。このことは、磁気とマイナスイオンと遠赤外線の物理作用を同時に得るようにした複合物理作用装身具の低コスト化および製品の多様化をはかる上で大きな阻害要因となる。
【0014】
本発明は、以上のような背景を鑑みたものであって、その目的は、磁気とマイナスイオンと遠赤外線の3種類の物理作用を同時に得るようにした複合物理作用装身具の製造に際し、その放射線レベルがあらかじめ定めた適正範囲に調整された製品の製造を低コストかつ高効率に行えるようにすることにある。
本発明の上記以外の目的および構成については、本明細書の記述および添付図面からあきらかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明が提供する解決手段は以下のとおりである。
(1)永久磁石材料、マイナスイオンを発生する放射線素材、および遠赤外線放射素材を含有させた熱可塑性エラストマーを帯状または紐状等に被覆成形し、この被覆成形体を所定の装身具形状に加工することにより、磁気とマイナスイオンと遠赤外線の物理作用を同時に得るようにした複合物理作用装身具の製造方法であって、
上記複合物理作用装身具の製造工程を、
熱可塑性エラストマーに永久磁石材料、マイナスイオンを発生する放射線素材、および遠赤外線放射素材をそれぞれ所定量ずつ添加した後、混練および押し出し成形を経て樹脂成形加工材料となる粒状のコンパウンドに加工する一次成形工程と、
この一次成形工程で得られたコンパウンドを帯状または紐状等に被覆成形する二次成形工程とに分けて行い、
さらに上記一次成形工程にて、コンパウンドの放射線強度が最終加工製品である上記装身具に望まれる範囲内となるようにコンパウンドの放射線量モニターおよび上記放射線素材の添加量調整を行うことを特徴とする複合物理作用装身具の製造方法。
【0016】
(2)永久磁石材料、マイナスイオンを発生する放射線素材、および遠赤外線放射素材を含有させることにより、磁気とマイナスイオンと遠赤外線の物理作用を同時に得るようにした複合物理作用装身具の製造材料であって、
永久磁石材料、マイナスイオンを発生する放射線素材、および遠赤外線放射素材を含有した熱可塑性エラストマーが樹脂成形加工材料形態をなす粒状のコンパウンドに加工されるとともに、このコンパウンドの放射線強度が最終加工製品である上記装身具に求められる微弱放射線強度の範囲内となるように上記放射線素材の添加量が調整されていることを特徴とする複合物理作用装身具の製造材料。
【発明の効果】
【0017】
磁気とマイナスイオンと遠赤外線の3種類の物理作用を同時に得るようにした複合物理作用装身具の製造に際し、その放射線レベルがあらかじめ定めた適正範囲に調整された製品の製造を低コストかつ高効率に行わせることができる。
上記以外の作用/効果については、本明細書の記述および添付図面からあきらかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明による複合物理作用装身具の製造方法の概要を示す。また、図2は、本発明方法によって製造された装身具素材40を示す。
【0019】
図1に示すように、本発明では、まず、ベース材料である熱可塑性エラストマー11に、永久磁石材料21、マイナスイオンを発生する放射線素材22、および遠赤外線放射素材23をそれぞれ所定の配合率で混入する(混合/調整)。
【0020】
熱可塑性エラストマー11としては、熱可塑性合成ゴムのように、常温で柔軟性を有する熱可塑性樹脂、たとえば、スチレン系熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性加硫エラストマー、コポリエステルエラストマーなどが使用される。これらはペレット等の粒状をなす樹脂コンパウンドの形で市場に提供されている。
【0021】
永久磁石材料21としてはフェライト磁性体の粉末を使用する。放射線素材22としては、トリウムやウランなどの放射性物質を含む弱放射性鉱物の粉末を使用する。このような弱放射性鉱物としては自然界に多く分布埋蔵されているモナサイトが好適である。遠赤外線放射素材23としてはゲルマニウムを含む鉱物、たとえば黒雲母鉱が適している。これらをコンパウンド状の熱可塑性エラストマー11に混合する。
【0022】
この混合に際しては、混入材(21,22,23)とくに放射線素材22が材料全体に均一に分散するように混合する。放射線素材22にモナサイト等の天然鉱物を使用する場合は、放射性物質の含有量および含有状態にバラツキがあるため、混合に際しては、その混合体の放射線レベルをモニターし、そのモニターレベルが所定の基準範囲(マイナスイオン発生が300個〜3000個/分)となるように上記放射線素材22の添加量を調整する。このような混合に使用する機器としては、スリーハンズミキサー(日本シーム株式会社製)が好適である。
【0023】
スリーハンズミキサーで混合調整した樹脂はMS式加圧ニーダーで混練して、2軸1軸押出成形機で4mmφ〜6mmφの紐状に押出成形するとともに、その押出成形物を所定長さに裁断してペレット状にし、振動スパイラルペットクーラーを用いて冷却する。
【0024】
このようにして得られたペレット12は、通常の熱可塑性エラストマーの加工原料である樹脂コンパウンドと同じ形態をなし、押し出し成形の原料としてそのまま使用できる。この再加工により製造した樹脂コンパウンド13は、放射線量が所定範囲の微放射線であるか否かを検査した後、各種装身具の加工原料として出荷される。
【0025】
上記装身具の成型加工では、通常の樹脂コンパウンドを用いる場合と同様、上記樹脂コンパウンド13を押出成型機で加熱可塑化しながら所定の紐状あるいは帯状あるいはシート状等の連続状に成形加工しながら強磁界印加による着磁を行う。
【0026】
さらに、その連続成形体を別の被覆用熱可塑性エラストマーで連続的に被覆処理することにより、図2に例示するように、コア部41と被覆部42を有する装身具素材40を得る。この装身具素材40を適当な長さに裁断し、さらに必要に応じて適当な金具を取りつけることにより、ブレスレッドやネックレス、アンクレット等の装身具を作製することができる。
【0027】
上記のように、本発明では、永久磁石材料21、マイナスイオンを発生する放射線素材22、および遠赤外線放射素材23を含有させた熱可塑性エラストマー11を帯状または紐状等に被覆成形し、この被覆成形体を所定の装身具形状に加工することにより、磁気とマイナスイオンと遠赤外線の3種類の物理作用を同時に得るようにした複合物理作用装身具を製造するが、この製造を一次と二次の2つの独立した成形工程に分けている。
【0028】
そして、一次成形工程では、熱可塑性エラストマー11に永久磁石材料21、マイナスイオンを発生する放射線素材22、および遠赤外線放射素材23をそれぞれ所定量ずつ添加した後、混練および押し出し成形によりペレット12に加工することにより、上記装身具の成形加工用材料である樹脂コンパウンド13を製造する。
【0029】
また、二次成形工程では、一次成形工程で製造した樹脂コンパウンド13を材料とし、この材料の押し出しおよび被覆成形等により帯状または紐状等に被覆成形する。
【0030】
このとき、上記一次成形工程では、コンパウンド13の放射線強度が最終加工製品である上記装身具に望まれる範囲内となるように、そのコンパウンド13の放射線量モニターおよび上記放射線素材22の添加量調整を行うようにしている。
【0031】
この一次成形工程で製造した樹脂コンパウンド13を二次成形工程の原材料として使用することにより、最終製品である装身具は、放射線レベルを管理するための設備あるいは装置のコスト負担等をともなうことなく、効率よく製造することができる。
【0032】
一方、一次成形工程における放射線レベルの管理は、粒状のペレット12の集合体であるコンパウンド13に対して行うので、所定形状に加工された製品に対する放射線レベルの管理に比べて、非常に高効率かつ確実に行うことができる。仮に、その放射線レベルに過不足が生じた場合も、たとえば放射線素材以外の材料(たとえば、未混入熱可塑性エラストマーのコンパウンド)を追加混入することによる希薄化、あるいは放射性素材を追加混入することによる高濃度化によって、簡単に調整することができる。
【0033】
これにより、磁気とマイナスイオンと遠赤外線の3種類の物理作用を同時に得るようにした複合物理作用装身具の低コスト化および多様化をはかることができる。
【0034】
また、上記一次成形工程で製造された樹脂コンパウンド13は、磁気とマイナスイオンと遠赤外線の3種類の物理作用を同時に得るようにした複合物理作用装身具の加工素材として流通させるのにも適している。最終製品の加工業者は、その樹脂コンパウンド13を購入して成形加工することにより、通常の樹脂コンパウンドを原材料に用いる場合と同様の工程手順でもって、任意の形態の装身具を低コストかつ高効率に製造することができる。
【0035】
以上、本発明をその代表的な実施例に基づいて説明したが、本発明は上述した以外にも
種々の態様が可能である。たとえば、上記樹脂コンパウンド13は、図1に例示したペレット12でなく、球状あるいはその他の形状の粒状態であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
磁気とマイナスイオンと遠赤外線の3種類の物理作用を同時に得るようにした複合物理作用装身具の製造に際し、その放射線レベルがあらかじめ定めた適正範囲に調整された製品の製造を低コストかつ高効率に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による複合物理作用装身具の製造方法の概要を工程概念図である。
【図2】本発明方法によって製造された装身具素材40の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
11 熱可塑性エラストマー、
12 ペレット、
13 樹脂コンパウンド、
21 永久磁石材料、
22 放射線素材、
23 遠赤外線放射素材、
40 装身具素材、
41 コア部、
42 被覆部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石材料、マイナスイオンを発生する放射線素材、および遠赤外線放射素材を含有させた熱可塑性エラストマーを帯状または紐状等に被覆成形し、この被覆成形体を所定の装身具形状に加工することにより、磁気とマイナスイオンと遠赤外線の物理作用を同時に得るようにした複合物理作用装身具の製造方法であって、
上記複合物理作用装身具の製造工程を、
熱可塑性エラストマーに永久磁石材料、マイナスイオンを発生する放射線素材、および遠赤外線放射素材をそれぞれ所定量ずつ添加した後、混練および押し出し成形を経て樹脂成形加工材料となる粒状のコンパウンドに加工する一次成形工程と、
この一次成形工程で得られたコンパウンドを帯状または紐状等に被覆成形する二次成形工程とに分けて行い、
さらに上記一次成形工程にて、コンパウンドの放射線強度が最終加工製品である上記装身具に望まれる範囲内となるようにコンパウンドの放射線量モニターおよび上記放射線素材の添加量調整を行うことを特徴とする複合物理作用装身具の製造方法。
【請求項2】
永久磁石材料、マイナスイオンを発生する放射線素材、および遠赤外線放射素材を含有させることにより、磁気とマイナスイオンと遠赤外線の物理作用を同時に得るようにした複合物理作用装身具の製造材料であって、
永久磁石材料、マイナスイオンを発生する放射線素材、および遠赤外線放射素材を含有した熱可塑性エラストマーが樹脂成形加工材料形態をなす粒状のコンパウンドに加工されるとともに、このコンパウンドの放射線強度が最終加工製品である上記装身具に求められる微弱放射線強度の範囲内となるように上記放射線素材の添加量が調整されていることを特徴とする複合物理作用装身具の製造材料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−228838(P2008−228838A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69571(P2007−69571)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(595147928)株式会社川口化成 (4)
【Fターム(参考)】