説明

複合粒子を含むインクジェット記録要素

支持体と該支持体上に塗布された1つ又は2つ以上の層とを含むインクジェット受容体であって、該層のうちの少なくとも1つの層が、粒子材料とバインダーとを含み、該粒子材料が、内側部分と外側部分とを有する複合粒子を含み、該内側部分が、負に帯電したラテックス、正に帯電したラテックス、及び官能化されたラテックスから選択されたラテックス粒子を含む有機ポリマー材料を含み、そして該外側部分が、保持特性が高められ、オオゾン誘発染料退色が減少した無機材料を含むインクジェット受容体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアを形成する帯電した又は官能化されたラテックス粒子と、シェルを形成する金属酸化物とに基づく複合粒子を含むインクジェット受容体に関する。より具体的には、本発明は、優れた印刷色濃度、画質、及びオゾンに対する曝露から生じる退色に対する耐性を有するインクジェット記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なインクジェット記録又は印刷システムにおいて、媒体上に画像を生成するために、インク液滴が高速でノズルから記録要素又は記録媒体に向かって射出される。インク液滴又は記録液は一般に、記録剤、例えば染料又は顔料、及び多量の溶剤を含む。溶剤、又はキャリヤ液は典型的には、水及び1種又は2種以上の有機材料、例えば一価アルコール、又は多価アルコールなどを含む水性混合物から形成される。
【0003】
インクジェット受容体又はインクジェット記録要素は典型的には、少なくとも一方の表面上に少なくとも1つのインク受容層を有する支持体を含む。一般には概ね2つのタイプのインク受容層がある。第1のタイプのインク受容層は、高い膨潤能力を有するポリマーの無孔質塗膜を含み、この無孔質塗膜は分子拡散によってインクを吸収する。カチオン性又はアニオン性染料のための染料定着剤又は媒染剤として役立つために、塗膜にカチオン性又はアニオン性物質を添加することができる。典型的には、支持体は平滑な樹脂塗布紙であり、この塗膜は任意選択的に透明で極めて平滑であり、極めて高い光沢を有する「写真グレード」インクジェット記録要素をもたらす。膨潤性バインダーは、経時的に画像染料を劣化させるおそれのある空気中の汚染物質に対するバリアを形成する。しかしながら、このタイプのインク受容層は通常、インクをゆっくりと吸収する傾向があり、その結果、画像形成された受容体又はプリントは、即座には指触乾燥状態にならない。
【0004】
第2のタイプのインク受容層は、無機粒子、高分子粒子、又は有機−無機複合粒子、高分子バインダー、及び任意の添加剤、例えば染料定着剤又は媒染剤から成る多孔質塗膜を含む。これらの粒子は、化学組成、サイズ、形状、及び粒子内多孔率が変わることが可能である。この場合、即座に指触乾燥状態になるプリントを得るように、印刷用液体は実質的には毛管作用により、インク受容層の開いた相互連通孔内に吸収される。典型的には、1つ又は2つ以上の層を含んでよい多孔質媒体の相互連通した粒子間の孔の総容積は、画像を形成する適用されたインク全てを保持するのに十分すぎるほどである。多孔質粒子に吸着された画像染料は、空気に曝露され、短時間で許容できないほどに退色するおそれがある。
【0005】
国際公開第2005/09747号パンフレットにおいてBringley他によって記載された、コア/シェル粒子を含有する多孔質インクジェット媒体の場合、粒子のシェルは、オリゴマー又はポリマーアルミノケイ酸塩錯体又はアルミノケイ酸塩粒子であり、そして好ましいコア材料は、負の表面電荷を有するコア材料、例えばシリカが好ましい。媒体上に印刷された画像染料の耐退色性は、シリカ又はアルミナの標準的な粒子と比較して改善される。このような粒子は比較的高い密度を示し、ひいてはかなりの重量がインク受容層のために必要となる。
【0006】
米国特許第6,475,603号明細書においてWexlerによって開示された、コア−シェル粒子を含有する多孔質最上層を含むインクジェット記録要素の場合、コアは熱可塑性ポリマーであり、シェルは無機コロイド粒子、好ましくはコロイド・アルミナ又はコロイドシリカから成るシェルを含む。好ましい高分子コア材料はポリエステル、アクリルポリマー及びポリスチレンを含む。受容体は、材料をシールするフィルムを形成するために、印刷後に溶融するように意図されている。光沢の改善、及び亀裂の低減が観察された。染料安定化特性の改善は報告されていない。
【0007】
米国特許第6,726,991号明細書においてKaeding他は、多孔質ポリマーから成るコアと、無機コロイドから成るシェルとを含む、中央値直径約70nm未満のコア/シェル粒子を開示している。無機コロイド粒子は、シリカ、アルミナ、及びアルミナ−シリカなどから選択される。この製造方法は、有機乳化剤なしに、小さな粒子サイズ、狭いサイズ分布を提供する。架橋モノマーは、医薬剤の制御放出のような用途のための粒子孔を提供する。インクジェット受容体の染料安定化特性の改善は報告されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
印刷直後に指触乾燥状態になり、そして、印刷過程において融解工程又はシーリング工程を行わなくても、大気汚染物質に対する曝露時の退色に抵抗する、高い濃度と優れた画質とを提供する多孔質インクジェット受容媒体の必要が満たされないままである。
【0009】
従って本発明の目的は、高いインク容量と優れた画像安定性とを同時に提供するインクジェット記録媒体を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、これらの望ましい特性を提供するように、インクジェット受容体の好適な層内で使用するための粒子材料を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、本発明によるインクジェット記録媒体を採用する印刷方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の観点によれば、支持体と支持体上に塗布された1つ又は2つ以上の層とを含むインクジェット受容体であって、層のうちの少なくとも1つの層が、粒子材料とバインダーとを含み、粒子材料が、内側部分と外側部分とを有する複合粒子を含み、内側部分が、負に帯電したラテックス、正に帯電したラテックス、及び官能化されたラテックスから選択されたラテックス粒子を含む有機ポリマー材料を含み、そして外側部分が、保持特性が高められた無機材料を含む、インクジェット受容体が提供される。
【0013】
本発明の第2の観点によれば、インクジェット受容体上にインク受容層を形成するための塗布用組成物であって、この組成物が、塗布用媒体中の、前記粒子材料及びバインダーの分散体を含む、塗布用組成物が提供される。
【0014】
本発明の第3の観点において、インクジェット受容体の製造方法であって、この方法が、支持体を用意し、そして支持体上に上記塗布用組成物及びバインダーの少なくとも1つの層を塗布し、そして塗布された支持体を乾燥させることを含む、インクジェット受容体の製造方法が提供される。
【0015】
本発明の第4の観点において、印刷方法であって、(a)デジタルデータ信号に応答するインクジェットプリンタを用意する工程;(b)インクジェットプリンタに、前記インクジェット受容体を装填する工程;(c)インクジェットプリンタにインクジェット・インクを装填する工程;そして(d)デジタルデータ信号に応答して、インクジェット・インクを使用してインクジェット受容体上に印刷を施す工程を含んで成る印刷方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明において使用するための粒子材料は、同様の塗布性を有する従来技術の純粋な無機粒子材料よりも低密度である一方、良好な乾燥時間及び画質を有する多孔質の、インクジェット受容体のインク受容層を提供することができる。このような複合粒子を含む層を含むインクジェット受容体は、保持力の改善、及びオゾンによって誘発される画像退色に対する耐性の向上に加えてこれらの利点を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の上記及びその他の目的、特徴、及び利点は、下記説明及び図面と併せるとより明らかになる。
【0018】
【図1】図1は、300×の倍率で比較ラテックス分散体Nの粒子を示す透過電子顕微鏡写真である。
【図2】図2は、300×の倍率で本発明の複合分散体CD−1の粒子を示す透過電子顕微鏡写真である。
【図3】図3は、本発明の複合分散体CD−1の粒子のエッジ領域をエネルギー分散分光法(EDS)によって分析した図である。x軸は、粒子上を横切るプローブ・スポットの変位を表し、y軸は強度を表す。菱形を含む線はAl Kα線からの信号を表し、四角形を含む線は、Si Kα線からの信号を表す。
【図4】図4は、175×の倍率で比較ラテックス分散体Pの粒子を示す透過電子顕微鏡写真である。
【図5】図5は、300×の倍率で本発明の複合分散体CD−9の粒子を示す透過電子顕微鏡写真である。
【図6】図6は、175×の倍率で比較ラテックス分散体Fの粒子を示す透過電子顕微鏡写真である。
【図7】図7は、300×の倍率で本発明の複合分散体CD−10の粒子を示す透過電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上記のように、本発明は、優れた画質、迅速な乾燥時間、及び高められた画像保持特性を有する、1つ又は2つ以上のインク受容層を含む多孔質インクジェット受容体又はインクジェット記録要素であって、インク受容層が、内側部分と外側部分とを有する複合粒子を含み、内側部分が、負に帯電したラテックス、正に帯電したラテックス、及び官能化されたラテックスから選択されたラテックス粒子を含む有機ポリマー材料を含み、そして、外側部分が、保持特性が高められた無機材料を含む、多孔質インクジェット受容体又はインクジェット記録要素を提供することである。
【0020】
複合粒子を有する粒子材料について説明するが、有機ラテックス・ポリマーを含む内側部分と、画像保持力向上無機材料を含む外側部分とを有する複合粒子が、好ましくはコア−シェル粒子として提供される。
【0021】
コア−シェル粒子は、負に帯電したラテックス、正に帯電したラテックス、及び官能化されたラテックスから選択された粒子を含む有機ラテックス粒子を含むコアを含み、またシェルは、インクジェット受容体内の画像保持力を高めることができる無機材料を含む。コアは、不連続有機ポリマー粒子又はこのような粒子の凝集体であってよく、そして粒子のシェルは、不連続無機材料粒子の凝集によって不連続粒子上に形成されてよく、或いは有機ポリマーコア上で「成長」させられてもよい。コアとシェルとは互いに隣接していてよく、或いは中間層を有していてもよいが、しかし隣接していることが好ましい。好ましくは、コアとシェルとは、任意選択的な薄い外側の上塗り層を有する状態で、2部分から成る粒子を形成する。
【0022】
本発明の複合粒子の部分に関して使用される「内側」及び「外側」という用語は、粒子の外側部分と粒子の内側部分とを区別するものである。これらの部分のそれぞれのサイズは、サイズ、厚さ、それぞれの重量、又は形成手段に関して他の形で定義されるのでなければ、形成された材料から主に形成される粒子の量として定義される。内側部分は、個別の粒子又はこのような粒子の凝集体を含み、そして外側部分は、絶対に必要というわけではないが、1粒子の別個の部分を意味することができる。
【0023】
「多孔質層」という用語は、液体拡散よりもむしろ、毛管作用によって適用されたインクを吸収することを特徴とする層を規定するために、本明細書中に使用される。有孔率は、粒子とバインダーとの比によって影響される可能性もあるが、粒子間の間隔によって形成された孔に基づく。層の有孔率は、臨界顔料容積濃度(CPVC)に基づいて、予測することができる。支持体上に1つ又は2つ以上の多孔質層(好ましくは実質的に全ての層)を有するインクジェット記録要素を、たとえ少なくとも支持体が多孔質とは考えられなくても、「多孔質インクジェット記録要素」と呼ぶことができる。
【0024】
特に断りがなければ、本明細書中で言及される粒子サイズとは、NANOTRAC (Microtac Inc.)、MALVERN、又はCILAS機器又は事実上同等の手段(この情報は製品案内にしばしば提供されている)を採用して、レーザー回折技法又は光子相関分光法(PCS)技法を用いて測定した、水中で分散された希釈粒子の光散乱測定によって測定された中央粒径である。0.3μmを上回る粒子サイズに対しては、粒子測定は、Micromeritics SediGraph(登録商標)5100又は同等の手段によって行われる。約50nm以下の粒子サイズに対しては、粒子測定は、直説法、代表的な試料の透過電子顕微鏡法(TEM)、又は同等の手段によって行われる。
【0025】
本明細書中に使用されるように、インクジェット媒体中の層に関する「上」、「上方」、「上側」、「下」、「下方」、「下側」などの用語は、支持体上における層の順序を意味するが、しかし、層がすぐに隣接し合うこと又は中間層がないことを必ずしも示すものではない。
【0026】
本出願に関して、「画像受容層」という用語は、印刷された画像が実質的に存在する顔料捕捉層、染料捕捉層、又は染料・顔料捕捉層として使用される層を規定するように意図される。好ましくは、画像受容層は、染料系インクのための媒染剤を含む。染料系インクの場合、画像は任意選択的に、2つ以上の画像形成性層内に存在してもよい。
【0027】
本発明の方法に関して、「ベース層」 (「溜め層」又は「インクキャリヤ液受容層」と呼ばれることもある)は、相当量のインクキャリヤ液を吸収する少なくとも1つの他のインク保持層の下側の層を意味するために使用される。使用中、インクのためのキャリヤ流体のかなりの量、好ましくはほとんどがベース層内に受容される。ベース層は、画像含有層の上方にはなく、そしてそれ自体は画像含有層でもない。好ましくは、ベース層は、支持体に最も近いインク保持層であり、そして炭酸カルシウムを含む。
【0028】
「インク受容性層」、「インク受容層」又は「インク保持層」という用語は、適用されたインク組成物を受容する、支持体の上方のいずれか及び全ての層を含み、これらの層は、後で乾燥によって除去されるとしても、インクジェット受容体又はインクジェット記録要素内に画像を形成するために使用されるインクキャリヤ流体及び着色剤を含む1種又は2種以上のインク組成物の任意の部分を吸収又は捕捉する。インク受容性層は従って、画像が染料及び/又は顔料によって形成される画像受容層、ベース層、又は例えば該インクジェット受容体若しくはインクジェット記録要素の、ベース層と最上層との間の任意の追加の層を含むことができる。典型的には、支持体の上方の全ての層はインク受容性である。インク受容層がその上に塗布される支持体は、インクキャリヤ流体を吸収することもでき、この場合にはこれはインク受容層ではなく、インク吸収層又はインク吸収性層と呼ばれる。
【0029】
内側部分又はコアは、負に帯電したラテックス、正に帯電したラテックス、及び官能化されたラテックスから選択されたラテックス粒子を含む有機ポリマー材料を含む。このように、材料は、負に帯電した表面置換基若しくは正に帯電した表面置換基、又は官能基を有する表面改質を有することができ、これらの基は、例えば、重合中又は重合後に帯電成分を内蔵すること、追加の反応性表面置換基又は特性向上表面置換基、又はポリマーの機械特性に影響を与えるために無機成分を導入することによって、本発明の粒子の形成時に、シェル材料と共有結合基を形成する。好ましい改変は、重合中に施される表面改質である、これにより例えば、形成された有機ポリマー粒子の電荷を変えるか、又は無機粒子材料との反応性又は相互活性を高める。負に帯電した、正に帯電した、及び官能化されたラテックス・ポリマー材料は、その特性、例えば粒子のシェル又は外側部分を形成することになる好適な特性向上無機材料とのその相互作用を改善するために改質されたいかなるラテックスであってもよい。粒子のコアを形成するラテックス・ポリマー材料は、このようなラテックス粒子の凝集体を含むこともできる。
【0030】
コア粒子のサイズは、明確な用途、シェル内で使用される材料の相対量、及びその特性、並びにコアの形成方法に応じて変化することできる。しかし典型的には、コアのサイズは直径約0.005μm〜約10μm、好ましくは約0.01μm〜約1μm、より好ましくは約0.05μm〜約0.5μmとなる。直径約75nm〜約100nmの塗布された粒子は、インクジェット受容体の画像受容層に有用な用途を見いだす。
【0031】
粒子のシェル又は外側部分は、インクジェット受容体内に使用するための粒子材料に利益をもたらす任意の好適なサイズであってよい。典型的には、シェルは、粒子の総重量を基準として約0.5〜約60重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは約10〜約40重量%であり、最も好ましくは粒子の総重量を基準として約30重量%である。
【0032】
正電荷若しくは負電荷又は官能化置換基を保持するラテックスは、無機粒子と一体化又は結合することにより、インクジェット媒体成分としての特性が改善された複合材料又は好ましくはコア・シェル材料を提供する。
【0033】
有機ポリマーラテックスに結合(共有的又は非共有的)することができる無機粒子のうち、オゾン退色に対する染料又は顔料の耐性を高める粒子又は材料が好ましい。このような粒子の例は、国際公開第2004/039724号パンフレットに記載されているようなアルミノケイ酸塩ポリマー粒子、国際公開第2004/009494号パンフレットに記載されているようなハイブリッド型アルミノケイ酸塩ポリマー粒子、Inkjet Recording Element (Kodak整理番号85977GB)と題する同日付けの我々の同時係属中の英国特許出願第0625592.1号明細書に記載されているような金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子、国際公開第2006/013024号パンフレットに記載されているような非晶質アルミノール表面粒子、及び酸触媒型シリカを含む。これらの開示内容を参考のために引用する。
【0034】
粒子のスタック(例えば稠密粒子材料)の典型的なボイド容積は40%である。インクジェットプリンタは典型的には最大40ml/m2を供給し、これは、この量が粒子スタックのボイド容積によって吸収されなければならないことを意味する。十分なインクビヒクル捕捉を保証するように、積み重ねられた粒子100ml/m2の塗膜体積、すなわち容積M/m2=100×d(ここでdは粒子の密度である)が提供されるべきである。塗布された粒子又はビードの密度が高ければ高いほど、塗布すべき単位表面当たりの質量は高くなる。この因子は、インクジェット受容体の製造コストと強く相関する。
【0035】
ラテックス・コアを有するように形成された複合材料を使用することの1つの利点は、ラテックスがほぼ1.05という低い比重を有することである。従って、ラテックス粒子/シリカのコア/シェルが80/20ならば、密度は約1.3となり、これは、例えば純アルミナの約3分の1である。高多孔質及び低密度のヒュームド・シリカは、高い固形分において粘度が高くなることに起因して、高い固形分を有する塗布用組成物として調製することが難しい。このことは、等しい塗布重量及び比較可能な粒子サイズにおいて、塗膜厚及びボイド容積が大きくなることを意味する。
【0036】
加えて、ラテックス・コアを有する複合材料は、他の多孔質インクジェット材料、例えば高密度無機粒子を凌ぐ機械的な利点をもたらす。例えば、インクジェット媒体の切断中に、高密度受容層(例えば高密度無機粒子から成る受容層)は厚いほど、切断中に機械応力を散逸させにくく、このことは結果として、カットエッジからの亀裂を成長させるおそれがある。より展性の高い有機ポリマー含有粒子が、この問題を克服するのを助けることができる。
【0037】
さらに、複合材料、例えばコア−シェル配列を有する複合材料は、活性無機粒子材料のより効率的な使用を可能にする。それというのも、使用される無機材料の単位重量当たりの露出表面積が大きくなるからである。複合粒子は、無機粒子単独(又は凝集された無機粒子)から成る層とは僅かに異なる表面及び表面特性を染料に対して提供することもできる。このことは、負に帯電した、正に帯電した、及び官能化されたラテックスから選択されたラテックス粒子を含む有機ポリマーコアと、インクジェット印刷に対して有益な特性を有する無機粒子材料から成るシェルとを含むことの相乗効果を提供することができる。
【0038】
有機ラテックス・ポリマーコアを、任意の好適なポリマー材料から形成することができる。好適なポリマーは例えば、アクリル又はスチレンのポリマー、セルロースの誘導体、ポリビニル樹脂、例えばポリ塩化ビニル、塩化ビニルとビニルアセテートとのコポリマー、及びポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、エチレン−ビニルアセテート・コポリマー、エチレン−ビニルアルコール・コポリマー、及びエチレン−アリル・コポリマー、例えばエチレン−アリルアルコール・コポリマー、エチレン−アリルアセトン・コポリマー、エチレン−アリルベンゼン・コポリマー、エチレン−アリルエーテル・コポリマー、エチレン−アクリル・コポリマー、及びポリオキシメチレン、重縮合ポリマー、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン及びポリカーボネートを含むポリエステルであってよい。
【0039】
アクリルのポリマー、ポリエステル、又は特にスチレンモノマーが好ましい。このようなスチレンポリマーを形成する上で任意の好適なエチレン系不飽和型モノマー又はモノマーの混合物、例えばスチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、塩化ビニルベンジル又はビニルナフタレン;又はアクリルポリマー、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルクロロアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びこれらの混合物を使用することができる。
【0040】
改質ポリマーの調製の際に使用するのに特に好ましい重合可能なモノマーは、スチレン及びビニルモノマー、例えばスチレン、メチルメタクリレート又はブチルアクリレートを含む。スチレン、ブチルアクリレート及びメチルメタクリレートのようなモノマーの混合物を重合することにより、所望のポリマー特性を得ることができる。最も好ましくは、有機ポリマーはポリスチレンである。
【0041】
本発明において使用するための複合粒子材料は、典型的には、内側部分又はコア有機ラテックス・ポリマー材料を形成し、次いで、有機ポリマー材料と無機粒子材料とを任意選択的に触媒を用いて共分散体中で接触させることにより、コアの周りにシェルを形成するか、又は有機ポリマーコアを、金属酸化物ポリマー前駆体及び好適な触媒と反応媒体中で接触させることにより、金属酸化物ポリマーをコア上で成長させることにより調製される。該複合材料は典型的には水性媒体内で調製される。
【0042】
本発明の3つの好ましい態様に関して本発明を以下に説明する。第1の態様では、コアは、負に帯電した有機ポリマーラテックス材料を含む。第2の態様では、コアは、正に帯電した有機ポリマーラテックス材料を含む。第3の態様では、コアは、官能化有機ポリマーラテックス材料を含む。
【0043】
第1の態様によれば、コアは負に帯電したラテックス・ポリマーを含む。負に帯電したラテックス・ポリマーコアは、ラテックス・ポリマー粒子又はこのような粒子の凝集体であり、好ましくは、負電荷、例えば負に帯電した表面置換基を提供するように、表面上の改質を有している。好ましい態様の場合、負に帯電したラテックス・ポリマー粒子は、ラテックス・ポリマー粒子を形成する際に、負帯電部分、例えばスルホン酸塩を提供することができるラジカル重合開始剤又は重合触媒を利用することにより得られる。例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及び開始剤過硫酸アンモニウムの存在においてスチレンをラジカル重合すると、ラテックス粒子上に負に帯電した表面部分が提供される。
【0044】
負帯電成分、例えばカルボン酸塩又はリン酸塩、不安定プロトンを有するコモノマー、例えばアクリル酸又はその誘導体を有する任意の開始剤又は界面活性剤を含む、ラテックス・ポリマー粒子の表面に負電荷を提供することができる他の反応性成分を使用することもできる。
【0045】
負に帯電したラテックス・ポリマー粒子は、少なくとも-5mV、好ましくは、-10mV〜-75mV、より好ましくは、-25mV〜-60mV、そしてさらに好ましくは、-30mV〜-50mVのゼータ電位を有するのがよい。これらの粒子のゼータ電位は、例えばMalvern Zetasizer Nano ZS装置を使用して測定することができる。
【0046】
好ましくは、負電荷型ラテックス粒子コアはポリスチレン粒子である。
【0047】
この態様によれば、複合粒子は、有利には有益な保持特性を提供することができる無機粒子を含む外側部分又はシェルを有する。この無機粒子は、負に帯電した粒子コアとの結合を促進するように正帯電されているのがよい。
【0048】
好適な正に帯電した無機粒子は、例えば、好ましくは有益な特性、特に保持特性を有するアルミナ、ベーマイト、又はギブサイトであってよく、また例えば、国際公開第2004/039724号パンフレットに記載されているようなアルミノケイ酸塩ポリマー粒子、国際公開第2004/009494号パンフレットに記載されているようなハイブリッド型アルミノケイ酸塩ポリマー粒子、及びInkjet Recording Element (Kodak整理番号85977GB)と題する同日付けの我々の同時係属中の英国特許出願第0625592.1号明細書に記載されているような金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子を含むこともできる。これらのそれぞれの開示内容を参考のために引用する。複合粒子の外側部分又はシェル内には、他の特性向上無機粒子材料、例えば無水物を含む水酸化ホウ素種、例えば、式[B(OH)3nを有する種を内蔵することもできる。
【0049】
好ましいアルミノケイ酸塩ポリマー粒子は、式:
AlxSiya(OH)b・nH2
(上記式中、x:yの比は0.5〜4であり、a及びbは、電荷の中立性の法則性に従うように選択され、またnは0〜10である。より好ましくは、x:yの比は1〜3である)を有する粒子である。
【0050】
より好ましくは、アルミノケイ酸塩ポリマー粒子は、アルミニウム化合物、例えばハロゲン化物、過塩素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、又はアルコキシド種(Al(OR)3)、とケイ素化合物、例えばアルコキシド種との混合物の水性アルカリ溶液を制御下状態で加水分解することによって得ることができ、モル比Al/Siが1〜3.6で維持され、アルカリ/Alモル比が2.3〜3で維持され、Rは炭素原子1〜5のアルキル基である。このような材料は、国際公開第2004/039724号パンフレットに記載されており、その開示内容を参考のため本明細書中に引用する。
【0051】
或いは、アルミノケイ酸塩ポリマー粒子は、アルミニウム化合物、例えばハロゲン化物、過塩素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、又はアルコキシド種(Al(OR)3)と、テトラアルコキシドSi(OR)4及び有機トリアルコキシドR’Si(OR)3の混合物であるケイ素化合物との混合物(ここで、各Rは独立して炭素原子数1〜5のアルキル基であり、そしてR’はH又は置換型又は無置換型のアルキル、アルケニル、アリール、又はベンジル基又はビニル基、特に炭素原子数1〜8のアルキル又はアルケニル基である)の水性アルカリ溶液を制御下状態で加水分解することによって得ることもできる。そしてこの際、モル比Al/Siは1〜3.6に維持され、そしてアルカリ/Alモル比は2.3〜3に維持される。このような材料は、国際公開第2004/009494号パンフレットに記載されており、その開示内容は、引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0052】
この態様による別の好ましい無機粒子は、(アルミニウム、マグネシウム、ストロンチウム、カルシウム又は亜鉛のうちの1つ又は2つ以上から選択された)金属塩と、加水分解性置換基及び非加水分解性置換基を含むケイ素含有化合物とを、塩基(塩基性基を含むケイ素含有化合物によって提供されてよい)の存在において、又は有機溶剤中で接触させることにより得ることができる金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料であり、特に金属のケイ素に対する比は3:2〜1:2である。このような材料は、Inkjet Recording Element (Kodak整理番号85977GB)と題する同日付けの我々の同時係属中の英国特許出願第0625592.1号明細書に記載されている。この開示内容を参考のため本明細書中に引用する。
【0053】
好適なこのような金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子は、式MmM’n(SiR’)p(SiR’’)qに基づく金属、ケイ素、有機置換基配列を有する材料であり、上記式中、M及びM’は同じか又は異なるものであり、そしてマグネシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、及びアルミニウムのうちの1つ又は2つ以上、好ましくはマグネシウム、亜鉛、及びストロンチウムから選択され、最も好ましくはM及びM’の少なくとも一方はマグネシウムであり;R’及びR’’は同じか又は異なるものであってよく、そして上記R’に関して定義された有機置換基であり、(m+n)/(p+q)の比は1.5〜0.5である。
【0054】
無機粒子材料の粒子サイズは約0.5nm〜30nm、好ましくは1nm〜10nm、より好ましくは2.5nm〜7.5nmであってよい。
【0055】
この態様による粒子材料は、先ず負帯電コアを形成し、次いで、その周りに無機ポリマー粒子シェルを形成することにより調製することができる。例えば、負に帯電したラテックス粒子は、負帯電部分を保持するラジカル重合開始剤、例えば過硫酸アンモニウム、及び任意選択的に界面活性剤(好ましくは負の電荷を有する)、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩とともに、モノマー、例えばスチレンの分散体を加熱することにより調製することができる。
【0056】
負に帯電した有機ポリマー粒子と無機ポリマー粒子(例えばアルミノケイ酸塩)との混合物を水中で発生させ、そしてガラスビーズの存在において所定の時間にわたってこの分散体を混合することにより、シェルを生成する。或いは、シェル材料はシェル形成工程中にその場で生成することもできる。
【0057】
第2の態様によれば、コアは、正に帯電したラテックス・ポリマーを含む。正に帯電したラテックス・ポリマーコアは、ラテックス・ポリマー粒子又はこのような粒子の凝集体であり、好ましくは正電荷、例えば正に帯電した表面置換基を提供するようにその表面上に改質を有している。好ましい態様の場合、正に帯電したラテックス・ポリマー粒子は、正帯電部分を提供することができるラジカル重合開始剤又は重合触媒を、ラテックス・ポリマー粒子の形成に際して利用することにより得られる。例えば臭化セチルトリメチルアンモニウム及び開始剤2,2’−アゾビス(2−メチル−プロピオンアミジン)ジヒドロクロリドの存在においてスチレンをラジカル重合することにより、ラテックス粒子上に正に帯電した表面部分が提供される。
【0058】
改質ラテックス・ポリマー粒子の表面に正電荷を提供することができる他の反応性成分を使用することもできる。例えば正帯電成分、又は或るpHで正電荷を含むコモノマーを有する任意の開始剤又は界面活性剤を使用することができる。
【0059】
正に帯電したラテックス・ポリマー粒子は、少なくとも+5mV、好ましくは、+10mV〜+75mV、より好ましくは、+25mV〜+60mV、さらにより好ましくは、+30mV〜+50mVのゼータ電位を有するのがよい。これらの粒子のゼータ電位は、例えばMalvern Zetasizer Nano ZS装置を使用して測定することができる。
【0060】
好ましくは、正に帯電したラテックス粒子コアはポリスチレン粒子である。
【0061】
この態様によれば、複合粒子は、有利には有益な保持特性、又は、インクジェット受容体における使用にとって有益な他の活性特性を提供することができる無機粒子を含む外側部分又はシェルを有する。この無機粒子は、正に帯電した粒子コアとの結合を促進するように負帯電されていてよい。好ましくは、負に帯電した無機粒子は、ポリマー金属酸化物である。
【0062】
好適な負に帯電した無機粒子は例えば、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、硫酸バリウム、及び粘土鉱物、例えばモンモリロナイトを含む。他の好適な無機粒子は、国際公開第2006/013024号パンフレット(この開示内容を参考のために引用する)に記載されているような非晶質アルミノール表面粒子、及び酸触媒型シリカを含む。好ましくは、無機粒子は、インクジェット受容体内に使用するための複合材料に、高められた保持特性及び染料安定化特性を提供するために、非晶質シリカ、非晶質アルミナ及び他の金属酸化物、酸触媒型シリカ、及びこれらの混合物である。粒子が酸触媒型シリカ又は他の酸触媒型金属酸化物ポリマー粒子である場合、これらは予め形成されるか、又はその場で形成されてよい。このことは、酸触媒型シリカ又はその他の粒子が、正に帯電したラテックス粒子上にシェルを形成する前に調製されてよく、或いは、シェル形成工程中に生成されてもよい。
【0063】
負に帯電した無機粒子が非晶質酸触媒型シリカ粒子である場合、これは75%〜88%、好ましくは80%〜86%の濃度を有することが好ましい。
【0064】
無機粒子材料の粒子サイズは約0.5nm〜30nm、好ましくは1nm〜10nm、より好ましくは2.5nm〜7.5nmであってよい。
【0065】
この態様による粒子材料は、先ず正帯電コアを形成し、次いで、その周りに無機ポリマー粒子シェルを形成することにより調製されてよい。例えば、正に帯電したラテックス粒子は、正帯電成分又は反応生成物を有するラジカル重合開始剤、例えば2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、及び任意選択的に界面活性剤(好ましくは正の電荷を有する)、例えば臭化セチルトリメチルアンモニウムとともに、モノマー、例えばスチレンの分散体を加熱することにより調製することができる。
【0066】
正に帯電した有機ポリマー粒子と無機ポリマー粒子(例えばシリカ)との混合物を水中で発生させ、そしてガラスビーズの存在において所定の時間にわたってこの分散体を混合することにより、シェルを生成する。或いは、シェル材料はシェル形成工程中にその場で生成することもできる。
【0067】
第3の態様によれば、複合粒子は、内側部分又はコアが、官能化されたラテックス粒子を含む有機ポリマー材料を含み、そして外側部分又はシェルが、オリゴマー又はポリマー金属酸化物を含むコア−シェル粒子を含み、オリゴマー又はポリマー金属酸化物は、連結基を介してラテックス材料に共有結合されている。
【0068】
連結基は、このような有機ポリマーを高分子金属酸化物と結合することができるいかなる基であってもよい。好ましくは、連結基はこのような有機ポリマーに由来する。
【0069】
好ましくは、連結基は末端−M−O−基を含み、Mは、オリゴマー又はポリマー金属酸化物の金属と同じか又は異なるものであってよい金属を表し、そしてO基はオリゴマー又はポリマー金属酸化物に結合されている。より好ましくは、連結基は−Si−O−基である。
【0070】
連結基は典型的には、官能化有機ポリマー材料、例えば官能化されたラテックス上の金属酸化物反応性官能化基を、活性化金属酸化物と反応させることにより得ることができる。金属酸化物反応性官能化基は、好ましくは、金属水酸化物末端部分、例えば水酸化ケイ素を含む。
【0071】
好適なこのような金属酸化物反応性官能化基は、この態様による粒子のコアを形成する官能化有機ポリマー材料、又は官能化されたラテックス上の末端モノマーとして形成されてよい。このような末端モノマーは、例えば3−(トリメトキシシリル)−プロピルメタクリレートであってよく、これにより、ポリマー粒子の表面上の加水分解性シラン部分を形成する。このシラン部分は加水分解して水酸化ケイ素部分になり、この水酸化ケイ素部分は、活性化金属酸化物モノマー、例えばこの態様による好ましい金属酸化物モノマーであるテトラエトキシシラン(TEOS)と反応する。
【0072】
この態様による粒子は、金属酸化物反応性官能化基を有する官能化有機ポリマー粒子又は官能化されたラテックス粒子を形成し、その表面上に金属酸化物ポリマーを成長させ、これにより連結基を介して有機ポリマー又はラテックス材料に共有結合された、望ましい特性を有するポリマー材料酸化物から成るシェルを形成することによって、調製することができる。官能化有機ポリマー粒子又は官能化されたラテックス粒子は、例えばシラノール官能化されたラテックスを生成するために、例えばMacromolecules, 2001, 34, 17, 5737-5739(この開示内容を参考のため本明細書中に引用する)に記載された方法によって調製されてよい。
【0073】
官能化有機ポリマー粒子の表面上でポリマー金属酸化物を成長させるために、官能化有機ポリマー粒子を塩酸溶液中で分散し、これを金属酸化物モノマー(エタノール中のテトラエトキシシラン)の溶液で処理することができる。結果として生じた混合物を凍結乾燥させることにより、複合粒子が白い粉末として提供される。金属酸化物モノマーは、例えば金属酸化物重合触媒又はアクチベータによって活性化させると金属酸化物ポリマーを形成するいかなるモノマーであってもよい。
【0074】
金属酸化物ポリマーが官能化有機ポリマーの表面上に形成されることを保証するために、金属酸化物重合は一般に希釈条件において行われる。好ましくは、金属酸化物モノマーの濃度が所定の希釈レベル、例えば官能化されたラテックス1g当たりの金属酸化物モノマー3mmol未満のレベルに維持されることを保証するために、金属酸化物は反応混合物にゆっくりと、好ましくは液滴状に添加される。反応は典型的には、官能化されたラテックス1g当たり最大30mmol、好ましくは3mmol〜30mmol/g、より好ましくは5mmol〜10mmol/gの量の金属酸化物(例えばTEOS)を採用する。
【0075】
第3の態様によるコア−シェル粒子は、金属酸化物重合触媒の存在において、官能化されたラテックス粒子を含む官能化有機ポリマーを金属酸化物モノマーと反応させることにより得ることができる。
【0076】
好ましい金属酸化物モノマーは、金属アルコキシド、例えば、テトラエトキシシランである。好ましい重合触媒は塩酸である。
【0077】
上記粒子材料は、インクジェット受容体のインク受容層、好ましくは画像受容層内に利用される。インクジェット受容体は支持体と、上記タイプの複合粒子を含む少なくとも1つのインク受容層と、バインダーとを含む。
【0078】
支持体はいかなる好適な支持体であってもよく、所期用途に応じて選択することができ、また例えば透明又は不透明の熱可塑性フィルム、特にポリエステル系フィルム、例えばポリエチレンテレフタレート又はポリメチルメタクリレート;セルロース誘導体、例えばセルロース・エステル、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース;ポリアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリスチレン;プロオレフィン;ポリスルホン;ポリエーテルイミド;ビニルポリマー、例えばポリ塩化ビニル;及びこれらの混合物であってよい。或いは、支持体は紙であってもよく、紙の一方又は好ましくは両方の側にはポリエチレン層が塗布されていてよい。紙パルプを含む支持体の両側にポリエチレンが塗布されている場合、これは一般に樹脂塗布紙(RCペーパー)と呼ばれる。支持体の使用側に、ベース層、例えばゼラチン又は別の組成物から成る極めて薄い層を塗布することにより、支持体上の第1層の付着を保証することができる。
【0079】
使用される支持体はいかなる好適な厚さであってもよく、例えば50〜500μm又は好ましくは75〜300μmであってよい。所望の場合には、支持体中に抗酸化剤、静電防止剤、可塑剤又は他の周知の添加剤を内蔵してよい。
【0080】
インクジェット受容体は、支持体上に塗布された1つ又は2つ以上の層を有しており、これらの層のうちの少なくとも1つの層は、少なくとも1種の上記複合粒子材料を含み、この材料を含むと、本明細書中に記載する保持力の利点を引き出すことができる。それぞれのこのような層は、複合粒子材料と、バインダーと、任意の更なる成分、例えば所望の通りに、別の複合粒子材料、金属酸化物又は粒子、充填剤、又は他の成分とを含む。
【0081】
本発明によるインクジェット受容体は、支持体上に塗布された、複合粒子材料とバインダーとを含む1つの層、又は複数の層を含んでよく、これらの層のうちの1つ又は2つ以上は、複合粒子材料を含む。2つ以上の層が支持体上に塗布されている場合には、インクジェット受容体(インクジェット記録要素)は、インク受容パックを有するものとして記述することがある。このインク受容パックは、染料(又は顔料)画像が実際に形成されるインク受容層である画像受容層を含むインク受容層を構成する。インクジェット受容体は、インク受容パックと支持体との間の1つ又は2つ以上のベース層、及びインク受容パックを保護するためのトップ層を含んでよい。
【0082】
インク受容パックは、例えば1つ又は2つ以上の画像受容層(典型的には1つの画像受容層)と、インク受容過程に関与する更なる層、例えば、インクのキャリヤ流体を吸収するか、又はキャパシティ(例えば溜め)を提供するか、又は受容体表面からのインク引き込み量又は吸収速度を高めるように意図された層とを含む。典型的には、インク受容パックは、画像受容層と、液体吸収層と、任意の中間層とを含む。
【0083】
インクジェット受容体の少なくとも1つの複合粒子材料含有層内に使用されるバインダーは、インクジェット受容体層内の複合粒子材料を結合するための任意の好適な材料であってよい。好適なこのようなバインダーは、例えば天然発生型の親水性コロイド及びガム、例えばゼラチン、アルブミン、グアール、キサンタン、アカシア及びキトサン及びこれらの誘導体、機能化タンパク質、機能化ガム及び澱粉、セルロースエーテル及びこれらの誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース、ラテックス・ポリマー、例えばスチレンブタジエン・ラテックス及びスチレンアクリレート・ラテックス、ポリビニルオキサゾリン及びポリビニルメチルオキサゾリン、ポリオキシド、ポリエーテル、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリアクリルアミド及びポリビニルピロリドンを含むn−ビニルアミド、ポリエチレンオキシド及びポリビニルアルコール、その誘導体及びコポリマー、のうちの1種又は2種以上から選択されてよい。好ましくは、バインダーは、少なくとも1種の水溶性バインダーであり、この水溶性バインダーは好ましくはゼラチン又はポリビニルアルコールである。バインダーは、写真分野で従来より使用されているようなゼラチンであってよい。このようなゼラチンは、Research Disclosure, 1994年9月, 第36544号、第IIA部に記載されている。Research Disclosureは、Dudley House, 12 North Street, Emsworth, Hampshire PO10 7DQ, United Kingdom在、Kenneth Mason Pulications Ltdの刊行物である。ゼラチンは仏国SKWから、そしてポリビニルアルコールはNippon Gohsei又はAlfa Aesarから得ることができる。好ましくは、バインダーはポリビニルアルコールである。
【0084】
インクジェット受容体の任意の他の層が、上記バインダーを含んでもよい。
【0085】
任意選択的に、インク受容層は、本発明の複合粒子と、別の無機粒子材料、本発明による異なる複合粒子、又はインクジェット媒体内に使用される別の無機粒子とを含んでいてよい。更なる無機粒子材料は、本発明の複合粒子材料及び好適なバインダーを有する多孔質受容層を形成することができる、いかなる好適な無機粒子であってもよい。好適なこのような無機粒子材料は、例えばシリカ(例えばコロイドシリカ)、アルミナ(例えばアルミナ・ゾル、コロイド・アルミナ、カチオン性酸化アルミニウム又はその水和物、プソイドベーマイトなど)、表面処理型カチオン性コロイドシリカ、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サテンホワイト、珪藻土、ケイ酸カルシウム、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト(例えば分子篩3A、4A、5A及び13X)、又は水酸化マグネシウムを含んでよい。好ましくは、このような更なる無機粒子材料は、コロイドシリカ又はアルミナである。好適なコロイドシリカの例は、例えばNalco(登録商標)1115(4 nm)、Ludox(登録商標)SM-30(7 nm)、Ludox(登録商標)LS-30(12 nm)、Ludox(登録商標)TM-40(22 nm)、Ludox(登録商標)AM(〜30 nm)、Ludox(登録商標)TM-30(〜50 nm)、及びLudox(登録商標)PW-50(〜80 nm)、又はこれらの混合物を含む。
【0086】
アルミナは、アルミナの1つ又は2つ以上の形態、例えば多孔質アルミナ、非晶質アルミナ、ベーマイト(米国特許第6,256,419号明細書(この開示内容を参考のため本明細書中に引用する)に記載されている希土類で改質されたプソイドベーマイト)、アルミナ水和物粒子、アルミナ水和物で表面被覆された粒子(例えばアルミナ水和物で表面被覆されたシリカ粒子)、又はヒュームド・アルミナのうちの1種又は2種以上の形態であってよい。ヒュームド・アルミナの具体例は、Cab-O-SPERSE(登録商標) PG003の商品名でCabot Corporationによって入手可能なものを含む。
【0087】
上記複合粒子材料は、インク受容層を形成するために、支持体又はインクジェット受容体前駆体材料上に塗布することができる。複合粒子材料は典型的には、複合粒子材料、バインダー、及びキャリヤ媒体を含む塗布用組成物で塗布される。バインダーは、上記のいかなるバインダーであってもよいが、しかし好ましくは、水溶性バインダー、例えばポリビニルアルコールである。キャリヤ媒体は、インク受容体上に層を塗布するのに適した任意の好適な有機又は水性キャリヤ媒体であってよく、好ましくは水である。
【0088】
塗布用組成物はさらに、塗布の補助に有用な、又はインクジェット受容体に追加の有益な特性を提供するのに有用な他の成分を含むこともできる。例えば、塗布用組成物は、組成物の塗布を補助するための界面活性剤、及び結果として得られる画像の特性を改善するための、当業者に知られた任意の他の添加剤、例えばUV線吸収剤、蛍光増白剤、抗酸化剤、可塑剤などを含むことができる。
【0089】
用いられる塗布法に応じて塗布用組成物の塗布性を改善するために添加される界面活性剤、例えば、フルオロ界面活性剤、例えばLodyne(登録商標)S100又はZonyl(登録商標)FSN、又は非フルオロ界面活性剤、例えばOlin(登録商標)10Gを含む。
【0090】
塗布用組成物及びこれから形成されるインク受容層は、結果として得られるインク受容層内に高い有孔度を維持しながら、複合粒子が層内で結合されるのを可能にするのに適した量のバインダーを含む。
【0091】
バインダーは複合粒子材料含有層の総乾燥固形分の3〜40乾燥重量%、好ましくは、5〜30%、さらにより好ましくは、7〜15%の量で存在することができる。
【0092】
本発明によるインクジェット受容体又はインクジェット記録要素は、上記インク受容層の他に、前記インク受容層の上方又は下方に配列された別の機能を有する他の層を含むことができる。好ましくは、上記のような複合粒子材料を含有する少なくとも1つのインク受容層は、画像受容層である。
【0093】
インクジェット受容体は、同時塗布又は順次マルチパス塗布によって、支持体上に1つ又は2つ以上の塗布用組成物層を塗布し、次いで乾燥させることにより形成される。用いられる塗布技法は、任意の好適な技法、例えば浸漬塗布、巻線ロッド塗布、ドクターブレード塗布、ロッド塗布、エアナイフ塗布、グラビア及びリバース・ロール塗布、スライド塗布、ビード塗布、押し出し塗布、及びカーテン塗布などであってよい。好ましくは、押し出し塗布又はカーテン塗布技法が用いられる。
【0094】
塗布過程において、任意のサビング層を好ましくは先ず支持体上に塗布し、そして乾燥させ、次いでインク受容パックの層を、任意に塗布された支持体上に同時又は順次に塗布する。インク受容パック内に2つの層がある場合、これら2つの層は、第1層の塗布前に第2層を乾燥させることにより順次に塗布してよく、或いは同時に塗布してもよい。インク受容パックの第3層又は後続の層は、上側の層の前に塗布してよく、或いは、第2層、又は第2層及び第1層と同時に塗布してもよい。
【0095】
上記インクジェット受容体(又は記録要素)のインク受容層を形成するために支持体上に塗布されるように意図された塗布用組成物を製造する際に、好ましくは水溶性バインダー、例えばポリビニルアルコールであるバインダーは、その粘度を調節しその塗布を容易にするために、溶剤(好ましくは水)中に希釈される。このバインダー溶液を複合粒子の分散体と混合することにより、塗布用溶液を形成し、そして任意の追加の成分を含ませる。この場合組成物は、全ての所要成分を含有する水溶液又は分散体の形態を有する。
【0096】
組成物は好ましくは、湿潤状態の厚さほぼ20〜300μm、より好ましくは100〜300μm、及び最も好ましくは約200μmで適用される。インク受容層を形成する組成物は、支持体の両側に適用することができる。インク受容層を塗布される支持体の背面に、静電防止層又は巻き防止層を提供することも可能である。
【0097】
好ましくは複合粒子材料含有層である画像受容層は、任意選択的に、媒染剤を含んでいてよい。媒染剤は、例えばカチオン性ポリマー、例えば高分子第四アンモニウム化合物、又は塩基性ポリマー、例えばポリ(ジメチルアミノエチル)メタクリレート、ポリアルキレンポリアミン、及びジシアノジアミドとのこれらの縮合生成物、アミン-エピクロロヒドリン重縮合物、二価II族金属イオン、レシチン及びリン脂質化合物、又は媒染剤に転移された染料材料の定着を支援することができる任意の好適な媒染剤のうちの任意の1種又は2種以上であってよい。このような媒染剤の例は、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド/エチレングリコールジメタクリレート、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(2−N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルメタクリレートメトスルフェート、及びポリ(3−N,N,N−トリメチルアンモニウム)プロピルクロリドを含む。好ましい媒染剤は第四アンモニウム化合物、例えばN,N−ジメチルメタンアミンで四級化された(m−及びp−クロロメチル)エチレンベンゼン及び2−メチル−2−プロペン酸1,2−エタンジイルエステルのポリマーである。或いは、画像受容層内に含まれる本発明の複合粒子材料は、無機粒子シェルの特性に起因して、又はシェル形成混合物中に媒染剤成分を含むことによって、媒染剤能力を有している。
【0098】
層は、印刷された受容体が高温多湿で貯蔵されるときに画像のスミア形成を低減するために、任意選択的にさらに非晶質水和アルミノケイ酸塩を含む。好適なこのような材料は、国際公開第2004/039724号パンフレット及び同第2004/009494号パンフレットに記載されており、これらの開示内容を参考のため本明細書中に引用する。
【0099】
インク受容層は、好ましくは、乾燥状態のインク受容層の総重量と比較して、5〜95重量%の複合粒子材料を含む。
【0100】
本発明において使用するための複合粒子材料は、特に粒子材料がインク受容パックの主成分を形成する場合、典型的には、インクジェット受容体のインク受容層内に、5〜40g/m2、好ましくは15〜25g/m2の量で存在してよい。他の粒子材料が存在する場合、複合粒子材料は典型的には、有益な特性が経済的に提供されるのを保証するために、粒子材料の少なくとも5重量%(例えば5〜95重量%)、好ましくは、5%〜15%を占める。多層システム内で使用する場合、活性複合材料は、複合粒子材料の乾燥レイダウン率は例えば0.5〜5g/m2、より好ましくは、1.5〜3g/m2であってよい薄い染料受容層内で使用することができる。
【0101】
任意選択的に、インクジェット受容体は、支持体とインク受容パックとの間にサビング層を含む。サビング層は、好ましくは、インク受容パックの最下層を塗布する前に支持体上に塗布され、例えばサビング層は、インク受容パックのパスに通じる、塗布ステーションの別個のパス内で塗布される。サビング層は、インク受容パックの最下層に隣接していてよく、或いは、1つ又は2つ以上の中間層によって分離されていてもよい。
【0102】
支持体に対するインク受容パックの下層の付着力を改善するサビング層は典型的にはポリマー材料、例えばスルホン化ポリエステル、ゼラチン、ポリ(ビニルピロリドン)、セルロースエーテル及びこれらの誘導体、例えばインク受容パックの下層を支持体に対する付着を改善することができるメチルセルロールを含む。好ましくは、サビング層はホウ酸、ホウ酸塩、又はこれらの誘導体及び/又は塩を含む。好適なホウ酸、ホウ酸塩及びこれらの誘導体及び/又は塩は、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸の誘導体、及び無水ホウ酸などを含む。特に好ましいホウ酸塩は、四ホウ酸ナトリウム十水塩であり、これは、Borax(登録商標)Decahydrateの商品名でBorax Limitedから入手可能である。
【0103】
サビング層内の材料の総乾燥レイダウン量は好ましくは0.5〜3g/m2、より好ましくは1.5〜2.5g/m2である。
【0104】
サビング層内に含むための任意選択的な追加の成分は、支持体上へのサビング層の塗布を容易にするための界面活性剤を含む。
【0105】
本発明のインクジェット受容体は、インク受容パック及び任意の選択的な追加の層、例えばサビング層を支持体上に、当業者に知られた任意の好適な方法によって塗布することにより製造することができる。インク受容パック及び任意の選択的な追加の層の支持体に対する付着力を改善するために、支持体の表面には任意選択的に、塗膜を適用する前にコロナ放電処理を施してもよい。
【0106】
本発明において有用なインク受容層は、乾燥状態で一般に1μm〜50μmの厚さを有している。このようなインク受容層を含むインクジェット記録要素は、改善された経時的染料保持特性、並びに改善された速乾性を有する。このインクジェット記録要素は、いかなるタイプのインクジェットプリンタにも使用することができ、またこの技法のために開発された全てのインクに対して使用することもできる。
【0107】
本発明の別の観点は、印刷方法であって、(a)デジタルデータ信号に応答するインクジェットプリンタを用意する工程;(b)インクジェットプリンタに上記インクジェット受容体を装填する工程;(c)インクジェットプリンタにインクジェット・インクを装填する工程;そして(d)デジタルデータ信号に応答して、インクジェット・インクを使用してインクジェット受容体上に印刷を施す工程を含んで成る印刷方法に関する。
【0108】
ここに記載された一般的な、そして具体的な複合粒子配合物を利用することによって、保持力の改善に加えて、又はその代わりに、インクジェット受容体に有益な特性、例えば光沢、着色力又は白化作用の向上、画像鮮鋭度の増大、又は乾燥時間の改善を引き出すこともできると考えられる。任意選択的に、外側部分又はシェルは、他の追加の又は代わりの特性、例えば上記特性を有する、又はそのように官能化され得る無機材料を含んでもよい。
【0109】
下記例でさらに本発明を説明する。
【実施例】
【0110】
例1
(a)正に帯電したラテックス水性分散体、ラテックスPの合成
臭化セチルトリメチルアンモニウム(7.5g)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド(7.5g)、スチレン(500g)、及び脱イオン水(4500g)を反応器内に装入し、そして内容物を70℃まで加熱した。混合物を30分間にわたって70℃に維持した。この第1の重合工程後、45分間にわたって不連続モードを介して反応器内に反応物質を添加することにより、重合過程を続けた。添加された混合物の組成は、臭化セチルトリメチルアンモニウム(15g)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド(4g)、スチレン(700g)、及び脱イオン水(500g)であった。添加終了時に、反応器を2時間にわたって70℃に維持することにより、スチレンモノマーの重合反応を完了させた。合成されたラテックスは次のような特徴を有した:固形分20.0%、ポリマー内容物19.6%、変換率98.8%。光子相関分光法(Malvern Zetasizer Nano ZS)によって測定された平均粒子直径は、78nmであった。ゼータ電位(Malvern Zetasizer Nano ZS)は+36mVであった。
【0111】
(b)負に帯電したラテックス水性分散体Nの合成
反応器に脱イオン水(6000g)を装入し、そして窒素フラックス下で脱ガスし、次いで70℃まで加熱した。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(4.8g)を、攪拌しながら水中に添加した。完全な溶解後、窒素雰囲気下で、反応混合物にメタクリル酸(35g)を添加し、続いてスチレン(1611g)を添加した。反応混合物を、攪拌しながら窒素雰囲気下で、70℃で維持した。重量触媒過硫酸アンモニウム(3.18g)を添加し、そして反応を3時間にわたって維持した。合成されたラテックスは次のような特徴を有した:固形分20.6%、変換率100%。光子相関分光法によって測定された平均粒子直径は、112nmであった。ゼータ電位は-47mVであった。
【0112】
負に帯電したラテックス分散体N(平均粒子サイズ112nm、固形分20.6%)及び正に帯電したラテックス分散体P(平均粒子サイズ78nm、固形分20.0%)を含む、Laboratoire de Chimie et des Procedes de Polimerisation (仏国リヨン大学)のE. Bourgeat-Lamyによって提供されたラテックスN及びPを、上記手順に従って調製し、そして本発明の複合分散体を調製するために使用した。
【0113】
(c)アルミノケイ酸塩ポリマー粒子分散体AS−1の調製:
アルミノケイ酸塩ポリマー粒子分散体AS−1を次の手順に従って調製した:15.4kgのAlCl3・6H2Oを47.5gの浸透水及び690gのエタノール中に可溶化した。次いで7.48kgのテトラエトキシシランを混合物に添加した。14.9Lの10M NaOH水溶液を攪拌しながら添加した。混合物を室温で一晩にわたって攪拌した。次いで分散体を、Filmtec NF 2540ナノ濾過膜(表面積6m2)を使用して、ナトリウム塩を除去するようにダイアフィルトレートすることにより、Al/Na比を100超にした。ナノ濾過によるダイアフィルトレーションから生じた残留物を濃縮することにより、本発明に使用される約16.6重量%のアルミノケイ酸塩ポリマーを有するゲルを得た。平均粒子サイズは5nmであった(TEM顕微鏡写真、Philips)。
【0114】
例2
負に帯電したラテックスNとアルミノケイ酸塩ポリマー粒子材料とを含む複合粒子
本発明による複合粒子を以下の手順によって製造した。水中の負に帯電したラテックスNの分散体と、水中のアルミノケイ酸塩AS−1の分散体とを、アルミノケイ酸塩ポリマー粒子が10から30重量%まで変化する種々異なる比率で含み、そして固形分20.6%の総重量7gを含む混合物を調製した。合体された分散体を、5つのガラスビーズ(10mm)の存在においてローラ攪拌器上で4時間にわたって混合した。ラテックス分散体N(シェルのない負に帯電したラテックス・ポリマー)及びアルミノケイ酸塩AS−1(シェル材料、アルミノケイ酸塩AS−1だけから成る粒子)の比較分散体を同様に調製した。
【0115】
図1及び2のTEM顕微鏡写真は、コア−シェル粒子が形成されたことを示している。球状複合粒子上のAl及びSiのエネルギー分散分光法(EDS)プロフィールは、アルミノケイ酸塩ポリマーがコア・ラテックス粒子の周りに形成されたことを示している(図3)。加えて、Zetasizer Nano ZS (Malvern)上で測定されたゼータ電位値は、元のラテックス粒子の負表面電位が、複合粒子を形成するためにアルミノケイ酸塩ポリマーが添加されると正表面電位に変換されたことを示している。
【0116】
【表1】

【0117】
インクジェット記録材料の調製
表1に挙げたそれぞれの懸濁液7gに、水中9%の2gのポリビニルアルコールを添加し、続いて、0.01gのOLIN(登録商標) 10G界面活性剤を添加した。水を添加することにより総重量11gを達成した。結果として生じる混合物を、樹脂塗布ベース紙(Edge Paper, Kodak(登録商標))上に、湿潤厚200μmで塗布し、そして室温で乾かした。
【0118】
塗膜の評価
結果として得られた塗膜のそれぞれを、Hewlett Packard(登録商標) 5550インクジェットプリンタを使用して印刷した。各インク(ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエロー)を6ステップの高くなる濃度で印刷し、そして各ステップの光学濃度を測定した。次いで、試料を、100万分の1のオゾン濃度の制御された大気中に一緒に置き、そして24時間後に各ステップの濃度を再測定した。オゾン曝露時の最大濃度損失%を表2においてインク毎に要約した。
【0119】
【表2】

【0120】
活性材料の比率の欄は、分散体中の無機アルミノケイ酸塩ポリマーの重量分率を表す。
【0121】
塗膜厚を塗膜断面上でSEMによって測定し、表3で報告する。
【表3】

【0122】
本発明における使用のためのラテックスとアルミノケイ酸塩との複合粒子を含有する塗布用組成物は、比較アルミノケイ酸塩ポリマー粒子を含む塗布用組成物よりも大きい塗膜厚を提供し、ひいては、稠密球状粒子に関連して有孔率が40%であることを考えれば、所与の塗膜重量に対してより大きいインク容量を提供したことになる。また、オゾン誘発退色に対する耐性が、単に負に帯電したラテックス粒子だけを含む組成物と比較して、複合粒子を含む塗膜において改善された。また驚くべきことに、複合分散体CD−2及び特にCD−3は、複合分散体内のアルミノケイ酸塩ポリマーの比率が100%を大きく下回るとしても、単にアルミノケイ酸塩だけを含む等重量の分散体AS−1と比較して、等価であるか又は優れた耐オゾン退色性を提供した。比較2はCD−1と比較して、またいくつかの色に関してはCD−2と比較して、濃度損失が改善されてはいるものの、このことは、CD−1及びCD−2の両方が、より高い有孔率の結果として、より良好なインク受容容量を提供することによって相殺される。
【0123】
例3
負に帯電したラテックスNと金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料とを含む複合粒子
それぞれ複合分散体CD−4〜CD−6を製造するために、アルミノケイ酸塩ポリマー粒子の分散体の代わりに、金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料1(OS−1)を使用する以外は、例2と同じ手順に従って複合粒子を調製した。Journal of Materials Chemistry, 1998. 8(8), 1927-1932に記載された合成経路に従って、OS−1を調製した。
【0124】
OS−1は次のように調製した:1.2モルのMgCl2・6H2Oを2900gのエタノール中に可溶化し、次いで312gの(3−アミノプロピル)トリエトキシシランを素早く添加した。白い沈殿物を形成し、そして混合物を室温で24時間にわたって攪拌した。濾過後、白い沈殿物を2000gのエタノールで洗浄した。白い粉末を室温で2日間にわたって乾燥させた。Mgに対する収率は93%であった。Mg/Siのモル比は0.6であった。ICP−AES(誘導結合プラズマ原子発光分光法)によって測定して0.6であった。
【0125】
例2に記載したのと同じ手順によって、塗布用組成物を調製し、そして評価した。
【0126】
複合材料の調製と同じ式組成を用いてOS−1(比較3)によって、比較塗膜を調製した。
結果を表4に示す。
【0127】
【表4】

【0128】
本発明において使用するための複合粒子は、単にラテックス粒子だけを含む受容体と比較して、インクジェット受容体内の、オゾン曝露から生じる濃度損失に対する耐性が改善された。驚くべきことに、活性材料だけを用いて形成された塗膜(比較3)と比較して、本発明において使用するための複合分散体CD−5又はCD−6によって形成された塗膜内の活性材料が著しく少量であるにもかかわらず、優れた耐オゾン劣化性が得られた。耐オゾン退色性はCD−4において、比較3と比較してシアンに関してだけしか優れていなかったが、このことは、より高い有孔率の結果として、より良好なインク受容容量を提供することによって相殺される。
【0129】
例4
正に帯電したラテックスとシリカ又は酸触媒型シリカとを含む複合粒子
シリカ粒子は、照会番号Nalco 2329でNalcoによって提供された。国際公開第2006/013024号パンフレットのポリマー6に関して記載されている合成経路に従って、酸触媒型シリカを合成した。表5の要約に従って、複合分散体CD−7及びCD−8を製造するために、アルミノケイ酸塩ポリマーの分散体の代わりにシリカ分散体を使用する以外は、例2と同じ手順に従って複合粒子を調製した。水中の分散体ラテックスPと、水中16.66%の酸触媒型シリカの分散体、又はシリカの比率が10重量%から100重量%まで種々に変化するNalco 2329 シリカ(Nalco)とを含み、そして総重量14.6gを含む混合物を調製した。合体された分散体を、5つのガラスビーズ(10mm)の存在においてローラ攪拌器上で4時間にわたって混合した。
【0130】
以下の手順に従って、塗布用組成物を調製した。上記それぞれの分散体14.6gに、水中9%の4gのポリビニルアルコール、及び0.02gのOLIN(登録商標) 10G界面活性剤を添加した。水を添加することにより総重量22gを達成した。結果として生じる混合物を、樹脂塗布ベース紙(Edge Paper, Kodak(登録商標))上に、湿潤厚200μmで塗布し、そして室温で乾かした。複合材料の調製と同じ式組成を用いてラテックスP(シェルなし)(比較4)によって、比較塗膜を調製した。
【0131】
塗膜の評価
塗膜の評価を例1と同様に行った。結果を下記表6に要約する。
【0132】
【表5】

【0133】
本発明において使用するための複合粒子は、単にラテックス粒子だけを含む受容体(比較4)と比較して、インクジェット受容体内の、オゾン曝露から生じる濃度損失に対する改善された耐性を提供した。濃度損失は本発明の複合粒子では、比較5と比較して改善されなかったが、光沢は改善された。それというのもCD−7及びCD−8が不連続粒子から形成されているのに対して、比較5はシリカ連続体を含むからである。
【0134】
例5
複合粒子分散体を形成するための正に帯電したラテックスの存在における酸触媒型シリカの合成
温度調節型反応器に51gのラテックスP、49gの脱イオン水、及び1mlの塩酸(0.1mol/l)を装入し、次いで60℃まで加熱した。次いで、テトラエトキシシラン(TEOS、33.2g)とエタノール(4.2g)との混合物を90分間にわたって液滴状に添加した。TEOS添加終了時に、さらに2.5時間60℃で加熱した後にゲルになる懸濁液を得た。結果として生じた懸濁液を次いで凍結乾燥させ、そして白い粉末CD−9を得た。図4及び5に示したTEM顕微鏡写真から明らかなように複合材料を得た。
【0135】
インクジェット記録材料の調製
7.5gの水中の上記固形分1.5gを、水中9%の2gのポリビニルアルコールと、5つのガラスビーズ(10mm)の存在においてローラ攪拌器上で一晩にわたって混合した。結果として生じる混合物を、樹脂塗布ベース紙(Edge Paper, Kodak(登録商標))上に、湿潤厚200μmで塗布し、そして室温で乾かした。
【0136】
塗膜の評価
結果として得られた塗膜のそれぞれを、例1に記載した手順に従って、オゾン誘導された退色に対する耐性に関して評価した。結果を下記表5に要約する。
【0137】
【表6】

【0138】
本発明において使用するための複合粒子は、単に正に帯電したラテックス粒子だけを含む受容体と比較して、インクジェット受容体内の、オゾン曝露から生じる濃度損失に対する改善された耐性を提供した。
【0139】
例6
複合粒子分散体を形成するための官能化されたラテックスの存在における酸触媒型シリカの合成
(a)シラノール官能化されたラテックスの調製(Macromolecules, 2001, 34, 17, 5737-5739に基づく)
良好な攪拌装置を有する温度制御型反応器に、脱イオン・脱ガス水(400g)、二水素リン酸塩(0.4g)、二水素炭酸塩(0.4g)、Rafulon界面活性剤(0.8g)、過硫酸カリウム(0.4g)、及びスチレン(40g)を装入した。混合物を70℃まで加熱し、そして90分間にわたって不活性雰囲気窒素下で維持した。90分間の加熱後、3−(トリメトキシ−シリル)プロピルメタクリレート(4.25g)を添加し、次いで、反応をさらに3.5時間にわたって70℃で維持した。結果として生じた懸濁液を、透析袋を使用して、15Lの脱イオン水中に24時間にわたって3回にわたって洗浄した。次いで、官能化ラックスFを、9.8%固形分の懸濁液として得た。
【0140】
(b)複合粒子の調製
攪拌装置を有する温度制御型反応器に、官能化されたラテックスF(9.8%固形分の溶液、100g)及び塩酸(0.1mol/1.2ml)を装入した。反応器を60℃で加熱し、次いで、33.2gのテトラエトキシシラン(TEOS、33.2g)とエタノール(4.2g)との混合物を90分間にわたって液滴状に添加した。温度を3時間維持した。壁上のゲル相を凍結乾燥させ、そして白い粉末CD−10を得た。図6及び7に示したTEM顕微鏡写真から明らかなように複合材料を得た。
【0141】
本発明において使用するための複合分散体、及びラテックスF単独の比較分散体(比較5)を、例5に記載されているように塗布用組成物、インクジェット記録媒体、及びインクジェット印刷を形成することによって評価した。オゾン誘発された退色に対する耐性に関する試験の結果を表6に示す。
【0142】
【表7】

【0143】
本発明において使用するための複合粒子は、単に表面改質ラテックス粒子だけを含む受容体と比較して、インクジェット受容体内の、オゾン曝露から生じる濃度損失に対する改善された耐性を提供した。
【0144】
本発明を好ましい態様に関連して説明してきた。しかしながら、本発明の範囲を逸脱することなしに当業者によって変更及び改変を施し得ることは明らかである。
【0145】
本明細書中で参照した特許明細書及び刊行物は、引用することによりそれらの全体を本明細書に組み入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と該支持体上に塗布された1つ又は2つ以上の層とを含むインクジェット受容体であって、該層のうちの少なくとも1つの層が、粒子材料とバインダーとを含み、該粒子材料が、内側部分と外側部分とを有する複合粒子を含み、該内側部分が、負に帯電したラテックス、正に帯電したラテックス、及び官能化されたラテックスから選択されたラテックス粒子を含む有機ポリマー材料を含み、そして該外側部分が、保持特性が高められた無機材料を含むインクジェット受容体。
【請求項2】
該複合粒子が、該内側部分がコアであり、該外側部分がシェルであるコア−シェル粒子であり、該コア−シェル粒子が、
該有機ポリマー材料を含むコア;及び
高められた保持特性を提供することができる該無機材料を含むシェル
を含む請求項1に記載のインクジェット受容体。
【請求項3】
該ラテックスがポリスチレンである請求項1又は2に記載のインクジェット受容体。
【請求項4】
該複合粒子が、該内側部分がコアであり、該外側部分がシェルであるコア−シェル粒子であり、該コア−シェル粒子が、
負に帯電したラテックス・ポリマーを含むコア;及び
高められた保持特性を提供することができる正に帯電した無機粒子を含むシェル
を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
【請求項5】
該正に帯電した無機粒子が、アルミノケイ酸塩ポリマー粒子材料、及び金属有機ケイ酸塩ポリマー粒子材料から選択される請求項4に記載のインクジェット受容体。
【請求項6】
該負に帯電したラテックス・ポリマーのゼータ電位が-25mV〜-50mVである請求項4又は5に記載のインクジェット受容体。
【請求項7】
該複合粒子が、該内側部分がコアであり該外側部分がシェルであるコア−シェル粒子であり、該コア−シェル粒子が、
正に帯電したラテックス・ポリマーを含むコア;及び
高められた保持特性を提供することができる負に帯電した無機粒子を含むシェル
を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
【請求項8】
該負に帯電した無機粒子が、ポリマー金属酸化物粒子である請求項7に記載のインクジェット受容体。
【請求項9】
該ポリマー金属酸化物粒子が、シリカ、予め形成されたポリマー触媒型シリカ、及びその場で形成されるポリマー触媒型シリカから選択される請求項8に記載のインクジェット受容体。
【請求項10】
該正に帯電したラテックス・ポリマーのゼータ電位が+25mV〜+50mVである請求項7〜9のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
【請求項11】
該複合粒子が、該内側部分がコアであり該外側部分がシェルであるコア−シェル粒子であり、該コア−シェル粒子が、
官能化されたラテックスである有機ポリマーを含むコア;及び
該ラテックスに連結基を介して共有結合されたオリゴマー又はポリマー金属酸化物を含むシェル
を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
【請求項12】
該連結基が末端−M−O−基を含み、該Mが該オリゴマー又はポリマー金属酸化物の金属と同じか又は異なるものであってよい金属を表し、そして該O基が、該オリゴマー又はポリマー金属酸化物に結合された酸素である請求項11に記載のインクジェット受容体。
【請求項13】
該末端−M−O−基が、−Si−O−基である請求項12に記載のインクジェット受容体。
【請求項14】
該連結基が、官能化有機ポリマー材料上の金属酸化物反応性官能化基を、活性化金属酸化物と反応させることにより得ることができる請求項11〜13のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
【請求項15】
該金属酸化物反応性官能化基が、金属水酸化物末端部分を含む請求項14に記載のインクジェット受容体。
【請求項16】
該金属水酸化物末端部分が水酸化ケイ素である請求項15に記載のインクジェット受容体。
【請求項17】
該オリゴマー又はポリマー金属酸化物が、酸触媒型シリカポリマーである請求項11〜16のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
【請求項18】
該粒子材料がコア−シェル粒子を含み、該コア−シェル粒子が、
官能化されたラテックスを含む有機ポリマーを含むコア;及び
該ラテックス材料に連結基を介して共有結合されたオリゴマー又はポリマー金属酸化物を含むシェル
を含み、該コア−シェル粒子が、金属酸化物重合触媒の存在において、官能化されたラテックスを金属酸化物と反応させることにより得ることができる請求項1に記載のインクジェット受容体。
【請求項19】
該外側部分又はシェルが、該複合粒子の60重量%までの量で存在する請求項1〜18のいずれか一項に記載のインクジェット受容体。
【請求項20】
該外側部分又はシェルが、該複合粒子の10〜40重量%の量で存在する請求項19に記載のインクジェット受容体。
【請求項21】
インクジェット受容体上にインク受容層を形成するための塗布用組成物であって、該組成物が、塗布用媒体中の請求項1〜20のいずれか一項に記載の粒子材料及びバインダーの分散体を含む、塗布用組成物。
【請求項22】
インクジェット受容体の製造方法であって、該方法が、支持体を用意し、そして該支持体上に請求項21に記載の塗布用組成物の少なくとも1つの層を塗布し、そして該塗布された支持体を乾燥させることを含む、インクジェット受容体の製造方法。
【請求項23】
印刷方法であって、
(a)デジタルデータ信号に応答するインクジェットプリンタを用意する工程;(b)該インクジェットプリンタに請求項1〜20のいずれか一項に記載のインクジェット受容体を装填する工程;(c)該インクジェットプリンタにインクジェット・インクを装填する工程;そして(d)デジタルデータ信号に応答して、該インクジェット・インクを使用して該インクジェット受容体上に印刷を施す工程
を含んで成る印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−513080(P2010−513080A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542212(P2009−542212)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004888
【国際公開番号】WO2008/075047
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】