説明

複合粘弾性食品及び複合チューインガムの製法

【課題】喫食前には粘弾性食品の少なくとも一面に形成された、個々に異なるカラフルで不規則な模様を視覚的に楽しめ、喫食時には一体化したしなやかな食感を有し、配合の異なる成分を同時に味わうことができ、更には、劣化反応の可能性がある成分同士を粘弾性食品中に安定して共存させることができ、また、複合粘弾性食品を生産したときに出るロス生地を再利用しても、シート状粘弾性食品や模様部の色調に影響することなく、環境に配慮した効率の良い複合粘弾性食品及び特別な装置を用いずに従来の装置で連続的に量産可能な製法の提供。
【解決手段】シート状粘弾性食品の少なくとも一面に、該シート状粘弾性食品と配合の異なる粒状粘弾性食品を展延し、該シート状粘弾性食品に接合して模様部形成する。シート状粘弾性食品と上記模様部との表面積比を1:0.2〜1.5とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状粘弾性食品の少なくとも一面に、不規則な模様が形成、表出されている複合粘弾性食品及び複合チューインガムの製法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、模様が入った複合粘弾性食品としては、ガムベースに甘味料を添加したチューインガムである風船ガムに、この風船ガムとは別途に作成した水不溶性でありガムベースに対して親和性があるカラーチップを物理的に局在分布させてなり、前記カラーチップは特定組成から構成されるため甘味料を添加しないガムベースであることを特徴とする模様入り風船ガムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。これによると、このカラーチップは、咀嚼中に違和感がなく、咀嚼により模様発現効果が低下せず、着色模様物質の作成工程が簡単である模様入り風船ガムが得られる。
しかしながら、このカラーチップを用いると、風船ガム全体中のガムベース比率が増加するため、ガム噛み始めでの甘味が出にくかったり、香りがたちにくかったりするので、美味しくない上に、ガムベース特有の食感が強過ぎて、食べ難いという欠点があった。
【0003】
種々の色彩と模様をもつガムを製造する技術に関しては、ガムを製造する一般工程において、別々に調製された種々の色彩と模様を持つソフトガム片を、粉末砂糖と共にホッパーに充填し、次に、このガム片をハードガムシート上に分散しローリングして、ガム片をガムシートに自由に接着させ、各部分が異なる色彩と模様をもつようにした技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。これによると、ガムシートを温度10乃至20℃に保持し、そのガムシート上に25乃至30℃のガム片を分散し、シートとガム片を一緒にローリングする製造方法が開示されている。
しかしながら、一般的な製造方法では、混練直後のガムシート品温は混連中の摩擦熱で50℃前後となるので、上記文献に記載のガムシート品温に調整するには、特別な冷却装置か、長時間の放冷による品温低下が必要になる。このため、生産効率性に改善の余地があった。
また、ガム片とともにローリングする際のガムシートの品温が10〜20℃である場合には、展延性が劣り、シートが破れたり、千切れたり、ひびが入りやすく、連続生産性に劣る。
また、25乃至30℃のガム片は、ガム片同士の付着を防止するために、予め粉末砂糖と共に分散しておく必要があるので、ガムーシート上に供給すると、粉末砂糖が、ガム片と粉末砂糖との間に入り込み、両者の接着性を阻害する。このため、(たとえ粉末砂糖量を少なめに調整していたとしても)製造直後には接着性があるように見えても、保存中にガム片が、剥がれたり浮いてくるなどの問題を生じる。あるいは、シュガーレスのチューインガムに設計することができない。また、20乃至30℃のガム片は、ガムシートよりも軟らかくするためにソルビトールを添加しているが、ソルビトールは吸湿性が強く粘着性を付与し、ガム片同士が付着したり、ローラーにこびりついたりして、連続生産性を悪くするという問題も有するものである。
更には、通常、得られる模様ガムは、所定のサイズに切断するときに、シート状の生地の端(耳)が、ロスとなって排出される。このロスは、環境保護及びコストパフォーマンスの観点から廃棄せずに再利用(リワーク)することが望ましいが、ロス部分は、ガムシートの無色、ガム片のオレンジ、赤、緑が混ざった色のロスとなるので、どの生地の色に混ぜても、本来の生地の色を暗く汚くしてしまうため、再利用が不可能であり、廃棄せざるを得ないという欠点を有する。
【0004】
また、ガムシートに、ガムシートとは異なる色の菓子製品(チューインガム、キャンデ
ィなど)を埋め込んで、ガムシート上に表面に露出するようにした多色板状チューインガム製品も知られている(例えば、特許文献3参照。)。これによると、ロープ状の菓子製品を連続的にガムシートに供給して縞模様にしたり、ロータリーカッターによって菓子製品を丸く削って水玉模様にしたりしたものを、ガムシートに埋設するというものである。
しかしながら、この菓子製品によって形成される模様は、縞模様、水玉などの連続模様であり、アトランダムな位置に不連続に模様を形成するものではない。
【0005】
更に、膨らませた際に、模様のついたチューインガムを生じる技術としては、風船ガムに、絹糸等の天然繊維や編物、鱗片、和紙等を添加したり、これらの混合物を疎水性物質で被覆した水不溶性物質を添加したりする技術が知られている(例えば、特許文献4、5参照)。
しかしながら、これらの技術では、添加物が食用ではないものを使用している為に、噛んだ際に異物感がある上に、鱗片入りなどでは食欲が湧かない等、嗜好性や視覚性の面で大きな欠点があった。
【0006】
【特許文献1】特公平3−76904号公報
【特許文献2】特許第3298892号公報
【特許文献3】国際公開第94/22323号公報
【特許文献4】特公昭60−12012号公報
【特許文献5】特公昭54−38189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、喫食前には粘弾性食品の少なくとも一面に形成された、個々に異なるカラフルで不規則な模様を視覚的に楽しめ、喫食時には一体化したしなやかな食感を有し、配合の異なる成分を同時に味わうことができ、更には、劣化反応の可能性がある成分同士を粘弾性食品中に安定して共存させることができ、また、複合粘弾性食品を生産したときに出るロス生地を再利用しても、シート状粘弾性食品や模様部の色調に影響することなく、環境に配慮した効率の良い複合粘弾性食品及び特別な装置を用いずに従来の装置で連続的に量産可能な製法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シート状粘弾性食品の少なくとも一面に、該シート状粘弾性食品と配合の異なる粒状粘弾性食品を展延し、該シート状粘弾性食品に接合することによって形成した模様部を有する複合粘弾性食品であって、上記シート状粘弾性食品と上記模様部との表面積比が1:0.2〜1.5であることを特徴とする複合粘弾性食品により上記目的を達成する。
【0009】
好適には、複合粘弾性食品を混合して略均一化した色調とシート状粘弾性食品の色調との色差値△tが6.0以下である。更に好適には、シート状粘弾性食品及び模様部の少なくとも一方が、シュガーレスである。また、模様部が形成された面の少なくとも一面に、可食性フィルム粉末が施与されてなることが好適である。
【0010】
本発明の複合粘弾性食品は、複合チューインガムであってもよく、シート状粘弾性食品が、40〜50℃品温における硬度が40〜80g/mm2のガムシートであり、粒状粘弾性食品が、50〜60℃品温における硬度が40〜80g/mm2の粒ガムであることが好適である。
【0011】
また、本発明は、下記工程を順次備えてなる複合チューインガムの製法により上記目的
を達成する。
(1)ガムシート用チューインガムをシート状に成形する工程。
(2)上記シート状に成形されたガムシート用チューインガムの少なくとも一面上に、該ガムシート用チューインガムとは異なる配合の粒ガムを供給する工程。
(3)上記ガムシート用チューインガム上に供給された粒ガムを展延し、ガムシート用チューインガムに接合することにより、ガムシート用チューインガム表面に模様部として表出させる工程。
(4)上記模様部を表出させたガムシート用チューインガムを切断することにより、ガムシートの少なくとも一面に模様部を有する複合チューインガムを得る工程。
【0012】
好適には、請求項7記載の工程(4)において、その搬送方向と垂直の方向が、複合チューインガムの長手方向となるよう切断する。
【0013】
すなわち、本発明者らは、チューインガム等の粘弾性食品において、喫食前に不規則模様を視覚的に楽しむことができ、また、喫食したときには、模様部が違和感無く、ベース部と相俟ってしなやかな食感を有する粘弾性食品を、従来の装置で連続的に量産化できないかと考えた。
その結果、配合の異なる2種類以上の粘弾性生地を準備し、1種類をシート状粘弾性食品として用い、それ以外を粒状粘弾性食品とし、該粒状粘弾性食品をシート状粘弾性食品上に、特定表面比率となるように展延し、シート状粘弾性食品に接合することにより、1つとして同じ模様がなく、2種類以上の粘弾性生地を用いているにも拘わらず、一体化したしなやかな食感が得られる複合粘弾性食品となることを見出した。
更には、その複合粘弾性食品に可食性フィルム粉末を施与すると、キラキラしたラメ状の光沢を付与できるとともに、見る角度によって不規則模様の陰影が微妙に異なるホログラム状の模様を呈し、視覚的効果が高まると共に、シート状粘弾性食品と粒状粘弾性食品からなる模様部との接合をより強固にし、複合粘弾性食品の吸湿防止性が高まることを見出した。
【発明の効果】
【0014】
本発明の複合粘弾性食品によれば、シート状粘弾性食品の少なくとも一面に、粒状粘弾性食品を展延し、シート状粘弾性食品に接合することにより、特定の表面積比率でシート状粘弾性食品上に模様部として表出しているので、喫食前には不規則模様を楽しむことができ、また、喫食時には様々な風味や食感を同時に味わうことができながら、複数の成分を用いているにも拘わらず、一体化してしなやかな食感を付与することができる。
また、本発明によれば、一体混合して用いる場合に劣化反応を生じる可能性のある成分同士であっても、複数の異なる配合の粒状粘弾性食品を準備し、劣化反応を起こす成分をそれぞれ別の粒状粘弾性食品に含有させることによって、劣化反応を起こすことなく安定して添加することができる。
【0015】
また、複合粘弾性食品を混合して略均一化した色調とシート状粘弾性食品の色調との色差値△tを特定範囲とすることにより、複合粘弾性食品生産時に生じるロスを再利用しても、本来の色調を損なうことなく、安定して複合粘弾性食品を調製することができる。
【0016】
更には、その複合粘弾性食品に可食性フィルム粉末を施与することにより、キラキラしたラメ状の光沢を付与でき、見る角度によって不規則模様の陰影が微妙に異なるホログラム状の模様を呈する等視覚的効果が高まると共に、シート状粘弾性食品と模様部との接合をより強固にし、吸湿防止性を高めることができる。
【0017】
また、本発明の複合チューインガムの製法は、配合の異なる2種類以上のチューインガム生地を準備し、まず1種類をガムシート用チューインガムとして供給し、その上に、そ
れ以外を粒ガムとして供給して、圧延することにより、上記粒ガムがその形状や供給された位置に応じてガムシート上で様々な形状に展延され、ガムシート上に接合し、ガムシート上に特定の表面積比率で模様部として表出するので、複合チューインガムを従来の装置を用いて、連続的に安定して製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明を詳しく説明する。
本発明の複合粘弾性食品は、シート状粘弾性食品の少なくとも一面に、該シート状粘弾性食品と配合の異なる粒状粘弾性食品を展延し、該シート状粘弾性食品に接合することにより形成された模様部を有するものである。
【0019】
本発明では、シート状粘弾性食品と粒状粘弾性食品とは、同様の原料を用いて(同種の粘弾的性質を有する食品を用いて)互いに配合が異なるようにする。具体的には、シート状粘弾性食品をチューインガムとすると、粒状粘弾性食品もチューインガムとし、その色素、香味料等を異なるものとするのである。
すなわち、このようにすることにより、粘弾性食品の食感を維持すると共に、シート状粘弾性食品と粒状粘弾性食品との接合を強化し、シート状粘弾性食品と模様部との視覚的変化を強化することができるのである。
【0020】
本発明における接合とは、シート状粘弾性食品上に粒状粘弾性食品が展延されることにより形成された模様部が、離れないように付着していればよい。
接合手段は、圧力をかける、糊を用いる等が挙げられる。この中でも、圧力をかけて接合することは、風味に影響を及ぼさず、簡便に安定して複合粘弾性食品を供給できる点で好適である。更に好ましくは、シート状粘弾性食品上で圧力をかけることにより粒状粘弾性食品を展延し、同時にシート状粘弾性食品に接合することが望ましい。
【0021】
本発明にかかるシート状粘弾性食品とは、その表面の少なくとも一面に、粒状粘弾性食品を展延することにより形成された模様部を接合し得れば特に限定されるものではなく、その形状は、複合粘弾性菓子によって適宜選択すればよく、例えば、板状、ブロック状等が挙げられる。
また、その大きさも、限定されるものではなく、適宜決定すればよい。
【0022】
本発明にかかる粒状粘弾性食品とは、展延し得えれば特に限定するものではないが、その大きさは、好ましくは0.01〜1g/粒、最長径1〜20mm、更に好ましくは0.05〜0.2g/粒、最長径5〜15mmとすることが、シート状粘弾性食品上に分散させやすく、不規則模様が密に現れる点で好適である。
また、その形状は、特に限定するものではなく、例えば、球状、楕円状、フットボール形状、立方体、直方体、三角形、四角形、多角形、円柱状、円錐状、多角錐状等が挙げられ、適宜選択すればよい。この中でも、特に好適には、楕円状、直方体のように、いずれかよりも長い辺(径)を持つ形状の方が落下方向が不揃いで展延した時に、より不規則模様となる点で望ましい。また、球状、多角形の方が、粒状粘弾性食品同士が重ならずに分散しやすい点で好適である。
【0023】
上記粒状粘弾性食品は、1種に限らず、2種以上の配合であってもよい。
特に、模様をカラフルにしたり、風味の変化や味の強弱をつけたり、成分同士の反応を防止するには、2種以上の配合の粒状粘弾性食品とすることが望ましい。
具体例を挙げると、酸味の強さの異なる2種以上の粒状粘弾性食品を用いると、噛む場所により酸味の異なる風味が味わうことができる。また、例えば、キシリトールと有機酸等の組合せのように共存させると粘弾性食品が吸湿しやすくなる等の問題が生じる場合には、両者を各々異なる配合の粒状粘弾性食品に分けて添加すれば、両者の反応が防止され
、吸湿劣化等の問題が生じないのである。
【0024】
本発明の複合粘弾性食品は、上記シート状粘弾性食品と、上記粒状粘弾性食品を展延することにより形成された模様部との表面積比が1:0.2〜1.5であることが、大量生産した場合でも確実にシート状粘弾性食品に模様部が形成されると共に、その接合強度が良好で、模様部が剥離することなく、更にはシート状粘弾性食品の端部を切断回収して再利用する際に、色調が良好のまま維持される点で重要である。更に好ましくは、1:0.5〜1.0である。
なお、個々の模様部の大きさや厚みは、何ら限定されるものではなく、模様部全体としての表面比率が重要である。
シート状粘弾性食品と模様部との表面積比の算出方法は、特に限定されるものではないが、例えば、実物大の写真やコピーをとり、シート状粘弾性食品と模様部とに切り分けて、重量を測ることにより算出する等の方法を採ればよい。
【0025】
また、本発明の複合粘弾性食品の色調は、次のように設定すると、複合粘弾性食品生産時に生じるロスを再利用しても、本来の色調を損なうことなく安定した色調で連続生産できる点で好適である。
すなわち、複合粘弾性食品全体が混合され、略均一化された状態で測定した色調Aと、シート状粘弾性食品の色調Bとの色差値△tが、好ましくは6.0以下、更に好ましくは5.5以下である。
【0026】
なお、色差値Δtは、JISZ8729に基づくLab表色系によって示される。Lは明度、a、bは色度(色相と彩度を示す色の方向性)である。aは赤方向、−aは緑方向、bは黄方向、−bは青方向を示す。L、a、bを3次元の表色系色度図(図4参照)としたとき、各値を結んだ点がその物体の色調を示す。数値が大きくなるに従って色鮮やかとなり、中心部になるにしたがってくすんだ色となる。
【0027】
具体的には下記数式1で示される。なお、下記式は、図4に示す色調XとYとの色差値△tを求めるものである。
【数1】

【0028】
色差Δtは、すなわち、色調AB間の距離によって示される。
なお、ロスの再利用は、各粘弾性食品生地全体重量中、20重量%以下、好ましくは10重量%以下にすることが色調を保持する点で望ましい。
【0029】
なお、本発明の複合粘弾性食品は、模様部が形成されている面の少なくとも一面に、可食性フィルム粉末が施与されていることがキラキラしたラメ状の光沢を付与でき、見る角度によって不規則模様の陰影が微妙に異なるホログラム状の模様を呈する等視覚的効果が高まると共に、シート状粘弾性食品と模様部との接合をより強固にし、複合粘弾性食品の吸湿防止性が高まる点で好適である。
【0030】
上記可食性フィルム粉末としては、例えば、オブラート、アラビアガム等が挙げられ、適宜単独もしくは複数組み合わせて用いればよい。この中でも、特にオブラートは光沢、模様部の接合安定性、吸湿防止性の点で優れている。
粉末の粒度は、特に限定するものではないが、好ましくは粒径0.1〜1.5mm、更に好ましくは0.25〜0.5mmとすることが、上記の効果を得る点で好適である。
また、施与量は、複合粘弾性食品全体重量中、好ましくは0.05〜2.0重量%、更に好ましくは0.1〜1.0重量%とすることが上記の効果を得る点で好適である。
【0031】
本発明の複合粘弾性食品とは、例えば、チューインガム、ソフトキャンディ等が挙げられる。この中でも、特にチューインガムは、模様を形成しやすく、異なる配合の部位が一体化した食感を良好に感じられる点で好適である。
【0032】
本発明の複合粘弾性食品の一例である複合チューインガムを、図1を用いて説明する。
まず、図1は複合チューインガムの斜視図である。複合チューインガム1は、シート状粘弾性食品であるガムシート2の平面に、展延された粒ガムをガムシート2上に接合することにより形成された模様部3が多数形成されている。なお、模様部3は、平面のみならず、側面にも一部が形成されている。
なお、図1の複合チューインガムのガムシート2と模様部3との表面積比は、1:0.8に設定されている。
【0033】
上記ガムシート及び粒ガムは、ガムベース、糖質甘味料及び適宜副原料等から構成されるものである。
【0034】
上記ガムベースは、樹脂(酢酸ビニル樹脂、エステルガム、天然樹脂(チクル、ジェルトン等))弾性体、ワックス、無機質、乳化剤等から適宜選択して使用される。
【0035】
弾性体は、ゴム様物質とも言われ、例えば、天然ゴム、ポリイソブチレン(イソブチレン重合体)、ポリブテン、ブチルゴム等が挙げられ、これらは単独でも複数組み合わせてもよい。
ワックスとしては、例えば、ライスワックス、キャンデリラワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバロウなどが挙げられ、これらは単独でも複数組み合わせてもよい。
無機質としては、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられ、これらは単独でも複数組み合わせてもよい。
乳化剤としては、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステルなどが挙げられ、これらは単独でも複数組み合わせてもよい。
【0036】
上記ガムベースは、酢酸ビニル樹脂を主体とする風船ガムタイプ、天然樹脂(チクル、グッタ、ソルバ、ジェルトン等)を主体とするレギュラーガムタイプ等の各種に分類されるが、本発明の場合は特に限定するものではなく、適宜選択すればよい。
【0037】
上記糖質甘味料は、グルコースなどの単糖類、砂糖,麦芽糖,乳糖,トレハロースなどの二糖類、マルトトリオース,パノースなどの三糖類、マルトオリゴ糖,ガラクトオリゴ糖などのオリゴ糖、ソルビトール,キシリトール,エリスリトール,マルチトール,ラクチトール,還元パラチノースなどの糖アルコール等が挙げられ、単独でも数種組み合わせてもよい。
これらの中でも、粒ガムは、好ましくはマルチトールを含有することが、更に好ましくは主体(糖質甘味料全体重量中40重量%以上)とすることが、物性をやわらかくし展延性、接合性をよくする点で望ましい。また、粒ガムは、ソルビトールやキシリトールを不含とすることが、粒ガム同士の付着や、圧延ローラーへの付着、保存中の吸湿防止の点で
望ましい。更には、粒ガムには、粉末砂糖を添加しないほうが、展延性、接着性を損なわない点で望ましい。
また、ガムシートは、好ましくはマルチトールを含有し、更に好ましくは主体(糖質甘味料全体重量中40重量%以上)とすることが粒ガムとの接合性をよくする点で望ましく、より好適にはパラチノースを併用することが、マルチトールによる硬度低下を補ってガムシートの硬度を粒ガムよりも硬い物性に設計しやすい点で好適である。
更に好ましくは、粒ガム、ガムシート共に、シュガーレスとすることが、好適な物性に調整する点で望ましい。また、得られる複合チューインガムが、う蝕予防、カロリー低減となる点で好適である。
【0038】
上記副原料としては、香料、スクラロースやアセスルファムKなどの非糖質甘味料、調味料、色素、安定剤、軟化剤、各種機能性物質等が挙げられ、適宜選択すればよい。
【0039】
また、粒ガムの硬度は、ガムシートの硬度よりも低い(軟らかい)ことが不規則模様形成特性、展延性、接合性の点で望ましい。
更に好ましくは、ガムシートは、40〜50℃品温における硬度が40〜80g/mm2であることが望ましく、粒ガムは、50〜60℃品温における硬度が40〜80g/mm2であることが望ましい。上記ガムシート及び粒ガムの硬度は、両者のいずれかが上記範囲内であることに限定されないが、好ましくは両者が上記範囲内であることが、圧延時の模様部表面のひび割れを防止し、ガムシートや模様部に亀裂等が生じることを防止し、結果的に成形不良品を少量とし、模様を鮮明に表出する点で望ましい。
なお、粒ガム硬度−ガムシート硬度<−10g/mm2となるよう、粒ガムの硬度がより低く(軟らかく)あることがより好ましい。
【0040】
なお、ガムシートと粒ガムの硬度を設定する際、適宜配合量等を設定すればよいが、粒ガムにおけるガムベース含有量を、粒ガム全体重量中15〜30重量%とすることが、展延性、接合性、風味の発現性の点で望ましい。
【0041】
なお、上記硬度は、各々次の条件のものを意味する。
まず、ガムシートの硬度とは、ガムシート生地を調製後、シート状に成形され、粒ガムが供給される直前の硬度を言う。
また、粒ガムの硬度とは、粒ガムを成形し、エージングした後所定の品温となるよう保温した、ガムシート上へ供給直前の粒ガムの硬度を言う。
【0042】
上記硬度は、下記の方法で測定した圧縮強度試験による硬度をいう。
(1)測定機器
総合物性測定装置SUN RHEO METER COMPACK-100((株)サン科学製)、データ解析ソフトCR-200D((株)サン科学製)
(2)硬度
硬度(Hardness)=Gl/La
G:最大荷重(g)
l:サンプルの高さ(mm)
L:最大荷重に達するまでの距離(mm)
a:アダプターの面積(mm2
(3)測定条件
定深度測定モード、最大荷重上限10Kg/cm2、移動距離5mm、
アダプターφ5mm円柱、移動速度3mm/min、サンプル高さ10mm
【0043】
次に、本発明の複合チューインガムを製造する際に用いる装置について図2を用いて説明する。
図2(A)は、本発明の複合チューインガムを製造する装置の一例を示す説明図であり、図2(B)は、図2(A)における反射板40、集積手段50、ならし手段70’の部分拡大説明図であり、図2(C)は、図2(A)におけるならし手段70の部分拡大説明図である。
図2(A)に示すように、複合チューインガム製造装置100は、ガムシートを供給するガムシート供給手段10と、圧延手段60〜64、粒ガムを供給する粒ガム供給手段20、ならし手段70、70’、チャンバー30、反射板40、集積手段50、可食性フィルム供給手段80、切断手段90の各部からなるものである。以下、これら各部の詳細について説明する。
【0044】
上記ガムシート供給手段10は、上方にガムシート用チューインガム2’を投入するための投入口11、下方にガムシート用チューインガム2’を吐出する吐出口12を備えている。また、図示はされていないが、ガムシート供給手段10の内部にはスクリューが具備されており、このスクリューの回転により、投入口11から投入されたガムシート用チューインガム2’が一定の厚みのシート状に成形されて吐出口12から吐出される機構になっている。
【0045】
上記圧延手段60〜64は、上下1対からなるローラー機構となっている。具体的に、圧延手段60を用いて説明すると、圧延手段60は、ローラー60a、60bとを具備しており、ガムシート用チューインガム2’は、ローラー60a、60bの間に挟まれて、ローラー60a、60bとがそれぞれQ、R方向に回転することにより、搬送方向Pに送り出されながら圧延されるのである。
図2(A)では、粒ガムが供給される前段階においては、上記圧延手段は、圧延手段60、61、62と多段的に設置されており、上下1対のローラー同士の間隔を順次狭め、ローラーの回転数を順次早めることにより、所定の厚みにまでガムシート用チューインガム2’を段階的に圧延できるようになっている。このように、段階的に圧延手段60、61、62を設けることにより、滞りなく厚さを均一に圧延できる点で好適である。なお、圧延手段の段数は、ガムシートの厚みや物性、製造ラインの長さ等により、適宜増減すればよい。
具体的には、板状チューインガムの場合、粒ガム3’供給直前時点である圧延手段62通過時点で厚みは30〜150mm、更に好適には60〜90mmとなるように設定することが好適である。なお、ブロック状チューインガムを調製する場合には、ローラー同士の間隔を板状チューインガムより開けて設定すればよい。
【0046】
また、更に圧延手段63、64が、粒ガム3’が供給された後と、可食性フィルムが供給された後に、それぞれ設けられている。この圧延手段63は、ガムシート用チューインガム2’上に粒ガム3’を展延させ、ガムシート用チューインガム2’に接合させるためのものであり、圧延手段64は、可食性フィルムを粒ガム3’が展延、接合したガムシート用チューインガム2’上に接着させるためのものである。
なお、図2(A)では、粒ガム3’を展延接合させるための圧延手段63、可食性フィルムを接着させるための圧延手段64は、各1段としているが、粒ガムの大きさ、供給量、物性、製造ラインの長さ等により、適宜段数を増減すればよい。なお、粒ガム3’の供給量が多い場合は、圧延手段63、64の回転スピードを上げて設定することが、圧延ラインを停滞させない点で好適である。
【0047】
上記粒ガム供給手段20は、ホッパー21と、搬送コンベア22と、シューター28とを備えている。
ホッパー21は、上方に開口部、下方に排出口を備えている。なお、ホッパー排出口には、一定数量計量する開閉シャッターを任意で備えてもよく、また、ホッパー21内に、排出口で粒ガム3’の排出やほぐしを円滑に行なうために、攪拌羽や、スクリューをモー
ターによって回転させる装置等の攪拌手段を任意で備えてもよい。あるいは、排出口にメッシュを設けて、ほぐされた粒ガム3’のみが通過するようにしてもよい。
【0048】
搬送コンベア22は、適宜間隔をあけて設けられた1対のギア24、25と、該ギア24、25に巻回したベルトコンベア27と、該ギア24、25を回転させるモーター(図示せず)、シューター28とが具備されている。
そして、上記モーターが駆動することによって、上記ギア24、25及びベルトコンベア27は、駆動回転もしくは従動回転することにより、搬送方向Sに回転移動するようになっている。
【0049】
また、シューター28は、ベルトコンベア27の搬送端から反射板40方向に延びる板状物である。このシューター27は、粒ガム3’を安定してガムシート用チューインガム2’上に供給するために、ベルトコンベア27の搬送端から反射板40までガイドするものである。その傾斜角度は、粒ガム3’が自然滑落し得れば、特に限定するものではない。また、その材質も、特に限定するものではない。なお、形状は、波板形状とし、波板の凹部が落下方向と平行であるように設置すると、落下方向を制御しやすくなる点で好適である。
なお、シューター28は、任意で設ければよい。
【0050】
上記ならし手段70は、板状物であり、ガムシート用チューインガム2’の有効幅H(図3(A)に示す)に合わせて幅が決められている。有効幅Hは、実際の切断幅H’(図3(B)に示す)よりも若干広めに設定され、切断幅H’端まで充分模様部3が形成可能となるようになっている。また、ならし手段70の設置高さは、粒ガム3’が1粒〜数粒の高さで通過できる程度の隙間を開けてベルトコンベア27上に設置されている。このならし手段70は、粒ガム3’を略均一にガムシート用チューインガム2’の有効幅Hいっぱいに分散させるために、上下に重なっていたり、特定箇所に集中している粒ガム3’をベルトコンベア27上でならすものである。
上記ならし手段70は、ベルトコンベア27上に粒ガム3’が1粒〜数粒通過できる程度の高さ間隔をあけて設置できるものであれば、その形状、大きさ、材質等は特に限定されるものではない。
なお、好適には、図2(C)に示すようなならし手段70を用いると好適である。すなわち、ならし手段70は、ならし板70a〜70eの5枚から構成され、各板が連接して合体し、かつ各板は自在に高さ調整できるようになっている。そして、上記ならし板70a〜70eは、変則的にすきま高さが調整されており、各々h1〜h5に設定されている。この高さh1〜h5は、粒ガム3’の供給量、偏り具合などに応じ、適宜高さを調整し、スムーズにならしを行いうるようになっている。
【0051】
上記チャンバー30は、トンネル状の構造を有する設備で、粒ガム3’を展延、接合するのに好適な物性を保持するための外気温度遮断手段である。
チャンバー30には、保温手段31が備えられており、粒ガム3’の品温を好適な物性に保持する点で好適である。
保温手段31としては、具体的には、電球などの緩和加熱手段、温風等の流体加熱手段等が挙げられる。中でも温風は、粒ガム3’の品温を略均一に保持できる点で好適である。なお、保温手段31の設置は、任意である。
【0052】
なお、図2(A)においては、上記チャンバー30は、粒ガム供給手段20の周囲全体に設けられているが、ホッパー21上とベルトコンベア27上に分けて設置してもよく、あるいは、ガムシート供給手段10より下流の任意の位置にも適宜設定してもよい。このようにすることにより、粒ガム3’の物性を保持するだけではなく、ガムシート用チューインガム2’の物性も好適に保持することができる。
【0053】
上記反射板40は、板状物である。この反射板40は、シューター28から自然滑落した粒ガム3’がガムシート用チューインガム2’上に自然落下する際に、落下位置を揃えるためのものである。
上記反射板40は、板状物であればよいが、波板状の形状で、波板の凹部分長手方向が、落下方向と平行するように設置すると、反射板40にあたった粒ガム3’が、当たった位置からそのまま凹部分にガイドされて落下していくので、落下位置を揃える点で更に好適である。
【0054】
上記集積手段50は、図2(B)に示すように、底のない角筒形状で、その幅はガムシート用チューインガム2’の有効幅Hに設定された枠である。この集積手段50は、粒ガム3’の落下位置をガムシート用チューインガム2’の有効幅Hいっぱいに制御するものである。すなわち、ガムシート用チューインガム2’は、圧延時に両端部が不揃いに圧延されるため、最終的にはこの部分をロス5として切り離すのであるが、このロス5部分に、粒ガム3’が過度に供給されないよう、かつ、切断幅H’の端にも充分模様部3が形成されるよう有効幅Hいっぱいに制御するのである。
上記集積手段50の材質等は、特に限定されるものではない。
【0055】
上記ならし手段70’は、圧延手段63の搬送方向上流側に設置されており、上述したならし手段70と同様のものである。
【0056】
なお、上記反射板40、集積手段50、ならし手段70、70’は、それぞれ任意で設ければよい。
【0057】
上記可食性フィルム供給手段80は、上方に開口部、下方に排出口を備えている。なお、排出口には、一定数量計量する開閉シャッターを任意で備えてもよく、また、可食性フィルム供給手段80内に、排出口で可食性フィルムの排出を円滑に行なうための攪拌羽や、スクリューをモーターによって回転させる装置等の攪拌手段を任意で備えてもよい。
なお、この可食性フィルム供給手段80は、複合チューインガムの表面に可食性フィルムを施与する場合にのみ備えればよい。
【0058】
上記切断手段90は、ローラーに切り刃を設けたロールカッターである。なお、ブロック状チューインガムを製造する場合は、一定の間隔で上下動をおこなうカッターでもよく、これらは従来から用いられているものでよい。
【0059】
以下に、上記構成を備えた複合チューインガム製造装置100により、複合チューインガムを製造する方法の一例について図2(A)及び(B)を用いて説明する。
【0060】
まず、図面を用いる説明に入る前に、ガムシート用チューインガム2’と粒ガム3’とを準備する。
【0061】
ガムシート用チューインガム2’は、ガムベース、糖質甘味料及び副原料を適宜添加したものを、加熱混合して均質化することにより調製する。好適には、ガムシート供給手段10に連続的に供給することを考慮し、予備供給装置をガムシート供給手段10の前に設けることが好ましい。あるいは、少ロット生産の場合、適宜の大きさに切断・成形しておいてもよい。
【0062】
他方、粒ガム3’は、ガムシートとは異なる配合となるよう、ガムベース、糖質甘味料及び副原料を適宜添加したものを、加熱混合して均質化し、所望の粒ガム3’形状に成形する。
成形は、例えば、ロールカッターのように、ローラー表面に所定の粒ガムの大きさの切り刃が縦横に設けられた切断機を用いて、粒ガム用のシート生地を連続的に切断するなど行えばよい。
なお、粒ガム3’は、半日〜3日間室温(20〜25℃程度)で放置してエージングすることが、成形後、粒ガム3’同士が切断手段90で充分切り離されずに連なっている場合も、ほぐれてばらけやすくなり好適である。また、このようにエージングすると、粉末砂糖を用いなくても、粒ガム3’同士がほぐされ、互いに付着しないので、展延性、接着性への影響が無く、シュガーレスチューインガムに設計できる点でも好適である。
また、粒ガム3’を展延する際には、予め40〜70℃の保温庫で5〜24時間保温することが、粒ガム3’の展延性、接合性の点で好適である。
【0063】
上記のようにして得られたガムシート用チューインガム2’をガムシート供給手段10の投入口11に適量供給する。供給されたガムシート用チューインガム2’は、スクリュー(図示せず)の回転により、一定の厚みのシート状に成形され吐出口12から送り出される。
このとき、ガムシート用チューインガム2’の品温は、好適には40〜60℃、更に好ましくは40〜50℃であることが、後工程の圧延手段による圧延が良好に行なえ、粒ガム3’との接合性の点で好適である。
【0064】
次に、ガムシート供給手段10の吐出口12から送り出されたガムシート用チューインガム2’は、まず圧延手段60であるローラー60a、60bによって搬送方向Pに送り出されながら、所定の厚みのシート状に圧延される。引き続き、ガムシート用チューインガム2’は、圧延手段61、62によって段階的に所定の厚みのシート状に成形される。
【0065】
他方で、上記主ラインとは別の第2ラインにおいて、予め準備・保温された粒ガム3’を、粒ガム供給手段20であるホッパー21の開口部に供給する。供給された粒ガム3’は、ホッパー21内部に貯留されるが、順次排出口から、ホッパー21の下方に備えられている搬送手段22のベルトコンベア27上に自然落下する。そして、ベルトコンベア27上に落下した粒ガム3’は、ならし手段70によりガムシート用チューインガム2’の有効幅Hいっぱいにまで分散されるように、ベルトコンベア27上でならされながら、搬送方向Sに搬送される。そして、搬送端まで到達すると、シューター28にガイドされながら自然滑落する。
【0066】
なお、この粒ガム供給手段20はチャンバー30で覆われており、保温手段31で、粒ガム3’品温がガムシート用チューインガム2’上で展延し、ガムシート用チューインガム2’に接合するのに適した物性に保持されている。具体的には、粒ガム3’品温が、好ましくは40〜70℃、更に好ましくは50〜60℃となっていることが望ましい。
【0067】
上記シューター28にガイドされながら自然滑落した粒ガム3’がガムシート用チューインガム2’上に自然落下する際、反射板40及び集積手段50が設けられているため、ガムシート用チューインガム2’上の有効幅Hいっぱいに確実に供給することができる。
【0068】
このガムシート用チューインガム2’への落下工程を図2(B)を用いて説明する。
ベルトコンベア27の搬送端からシューター28にガイドされながら自然滑落した粒ガム3’は、反射板40にあたり、そのまま反射板40にガイドされながら毎時粒ガム3’未供給のガムシート用チューインガム2’上に落下するのである。
更に、集積手段50が設けられていることから、反射板40にガイドされ落下した粒ガム3’は、ガムシート用チューインガム2’の有効幅Hを超えるような場合には、集積手段50にガイドされガムシート用チューインガム2’の有効幅H内に確実に落下するのである。
【0069】
このとき、ガムシート用チューインガム2’に対する粒ガム3’の供給割合は、好ましくは、重量比で100:8〜33、更に好ましくは、100:15〜20とすることが、最終製品におけるシート状粘弾性食品と模様部の表面積比を特定範囲に設定する点で好適である。
【0070】
引き続き、図2(B)を用いて説明する。ガムシート用チューインガム2’に落下した粒ガム3’は、主ライン上で方向Pに引き続き搬送される。落下地点から下流方向に、ならし手段70’が設けられており、このならし手段70’によって、上下に重なっていたり、特定箇所に集中して供給された粒ガム3’は、ガムシート用チューインガム2’の有効幅Hいっぱいに分散される。
【0071】
図2(A)に戻り、粒ガム3’がガムシート用チューインガム2’の有効幅Hいっぱいに分散したガムシート用チューインガム2’は、圧延手段63まで搬送され、ローラー63a、64bにより、粒ガム3’がガムシート用チューインガム2’上で展延され、ガムシート用チューインガム2’に接合される。
その結果、不定形であったり、落下位置や落下方向が不規則な粒ガム3’は、ガムシート用チューインガム2’上で様々な形状、位置に展延され、不規則な模様部3となり、ガムシート用チューインガム2’表面に表出するのである。
【0072】
粒ガム3’が展延、接合されることにより模様部3が形成されたガムシート用チューインガム2’は、可食性フィルム供給手段80の排出口の下まで到達すると、該排出口から可食性フィルムが排出されることにより、ガムシート用チューインガム2’の少なくとも可食性フィルム供給手段80の排出口に面している面に可食性フィルムが施与される。
【0073】
この可食性フィルムが施与されたガムシート用チューインガム2’は、再び圧延手段64により圧延され、可食性フィルムがガムシート用チューインガム2’に接着されると共に、ガムシート用チューインガム2’への模様部3の接合がより強固になる。
【0074】
可食性フィルムが接着されたガムシート用チューインガム2’は、切断手段90によって切断されることにより、図1に示すような複合チューインガム1を得ることができるのである。
その後、適宜包装され、製品化される。
【0075】
上記のようにして得られた複合チューインガム1は、ガムシート2と模様部3との比率が表面積比率で1:0.2〜1.5となっている。
【0076】
上述の切断工程における、好適な切断方向について、図3を用いて説明する。図3は、切断方向を示す説明図である。
図3において、(A)はガムシート用チューインガム2’上に粒ガム3’が供給された状態(図2(A)ならし手段70’通過後)を粒ガム供給方向から見た図(平面図)であり、(B)はガムシート用チューインガム2’上の粒ガム3’が展延され、ガムシート用チューインガム2’に接合されることにより模様部3を形成した状態(図2(A)圧延手段63通過後)の平面図であり、(C)は切断手段90により切断された状態の平面図であり、(D)は切断手段90により切断され、個別に切り離した複合チューインガム1の平面図である。なお、図3において、方向Pは図2(A)における主ラインの搬送方向を示している。
【0077】
まず、図3(A)に示すように、粒ガム3’が有効幅H内に不規則に供給されたガムシート用チューインガム2’を、図3(B)に示すように、ガムシート用チューインガム2
’上に粒ガム3’を展延接合した後、図3(C)に示すように、ガムシート用チューインガム2’の搬送方向P(すなわち、ガムシート用チューインガム2’の長手方向)に対して垂直の方向T(すなわち、ガムシート用チューインガム2’の短手方向)に所定幅間隔で切断すると共に、搬送方向Pと同一方向にも所定幅間隔で切断する。ここで、個別の複合チューインガム1として切り離した時、複合チューインガム1の長手方向が、ガムシート用チューインガム2’の搬送方向Pに対して垂直方向Tの切断辺となるように切断することが好ましい。このように切断することにより、図3(D)に示すように、不規則模様を偏り無く、全ての複合チューインガム1に形成することができる、すなわち、同じ表面積であっても、垂直方向Tを長手方向とするほうが多種・多数の模様部を1つの複合チューインガム1中に配置させることができる傾向にある。
【0078】
上記の製造方法によれば、従来の製造装置に、一部設備を付加する程度で製造することができるため、新たに装置を作製・購入する必要がなく、連続的に安定して複合チューインガムを大量生産することができる。
なお、先に説明した製造装置は、それに限定されるものではなく、適宜手段を設定すればよい。
【実施例】
【0079】
次に、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。
【0080】
〈実施例1〜7、比較例1〜2〉
《ガムシート用チューインガム、粒ガムの調製》
表1に示す組成で各々ガムシート用チューインガム、粒ガム生地を調製した。
すなわち、ガムシート用チューインガムは、各成分を加熱混合して均質化することにより調製した。
また、粒ガム生地は、各成分を加熱混合して均質化することにより粒ガム用シートを調製した後、ロールカッターを用いて上記粒ガムシートを連続的に直方体(0.1g/個、縦6mm×横7mm×2.2mm厚み)に切断、成形した。
【0081】
《複合チューインガムの調製》
上記のようにして得たガムシート用チューインガム及び粒ガムを、図2に示す複合チューインガム製造装置を用いて、表2に示す条件で、板状の複合チューインガムを得た。
すなわち、主ラインとして、ガムシート用チューインガム2’をガムシート供給手段10の投入口11に適量投入した。ガムシート用チューインガム2’は、このガムシート供給手段10内のスクリュー(図示せず)の回転により、厚さ約22mmのシート状に成形されて吐出口12から送り出された。この成形されたガムシート用チューインガム2’は、圧延手段60、61、62で展延され、圧延手段62を通過した時点で厚み7.5mmのシート状であった。
【0082】
他方で、第二ラインとして、粒ガム供給手段20のホッパー21の開口部に粒ガム3’を供給した。供給された粒ガム3’は、ホッパー21の排出口から順次自然落下により、ベルトコンベア27上に落下し、ならし手段70によりベルトコンベア27の幅内に均一に分散されながら搬送方向Sに搬送され、搬送端まで到達すると、シューター28により自然滑落し、反射板40にあたり、ガイドされながら主ラインのガムシート用チューインガム2’上に落下する。このとき、ガムシート用チューインガム2’の有効幅を超えて落下しようとするものは、集積手段50によりガイドされ、確実にガムシート用チューインガム2’の有効幅内に供給された。
【0083】
ガムシート用チューインガム2’上に供給された粒ガム3’は、ならし手段70’により、再度ガムシート用チューインガム上での供給位置が略均一となるように分散されなが
ら、主ラインの搬送方向Pに搬送され、圧延手段63まで到達すると、圧延手段63により粒ガム3’が展延され、ガムシート用チューインガム2’上に接合された。その結果、ガムシート用チューインガム上に、粒ガム3’が展延接合した模様部3が形成された。その後、実施例5は、可食性フィルム供給手段80により、オブラート(粒度0.25〜0.5mm)が模様部3の形成されたガムシート用チューインガム2’上に散布され、再度圧延手段64を通過することにより、オブラートがガムシート用チューインガム2’上に接着するとともに、模様部3が強固に接合された。その後、切断手段90により、図3に示す方向にガムシート用チューインガム2’を切断し、図1に示すようなガムシート2に模様部3が形成された複合チューインガム1(1.9×8×0.16cm)を得た。
なお、表2に記載の粒ガム、ガムシートの硬度は、段落0038の測定機器及び条件によって測定したものである。
【0084】
得られた板状複合チューインガムについて、専門パネラー10名によって、模様の形成状態、連続生産性、色調を目視にて判断し、評価した。
その結果を表2に合わせて示す。
なお、実施例、比較例の複合チューインガム製品全体を、再度混練して略均一化したものの色調と、ガムシートの色調を、各々「測色色差計ZE−2000」(日本電色工業株式会社製)を用いて測定し、色差値△tを上記数式1により求めた。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
以上の結果より、実施例1〜7の板状複合チューインガムは、大柄で、不規則な模様が形成され、模様部のない板状複合チューインガムが形成されることなく連続的に量産化可能であった。特に実施例1は、大柄で不規則かつ複雑な模様を形成しており、ひとつとして同じ模様の板状チューインガムがなく、良好であった。また、実施例4は、見る角度によってホログラムのように微妙に不規則模様の陰影が変わり、更に視覚的効果が高まると共に、模様部のガムシートへの接合性が良好であった。
これに対し、比較例は、模様の形成状態、色調、連続生産性のいずれかが悪く好ましくなかった。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の複合粘弾性食品の一例を示す斜視図。
【図2】(A)本発明の複合チューインガムの製造装置の一例を示す説明図。 (B)図2(A)における反射板40、集積手段50、ならし手段70’の部分拡大説明図。 (C)図2(A)におけるならし手段70の部分拡大説明図。
【図3】本発明の複合チューインガムの切断方向の一例を示す説明図。
【図4】L、a、bの3次元の表色系色度図の一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0089】
1 複合チューインガム
2 ガムシート
2’ ガムシート用チューインガム
3 模様部
3’ 粒ガム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状粘弾性食品の少なくとも一面に、該シート状粘弾性食品と配合の異なる粒状粘弾性食品を展延し、該シート状粘弾性食品に接合することによって形成した模様部を有する複合粘弾性食品であって、上記シート状粘弾性食品と上記模様部との表面積比が1:0.2〜1.5であることを特徴とする複合粘弾性食品。
【請求項2】
複合粘弾性食品を混合して略均一化した色調とシート状粘弾性食品の色調との色差値△tが6.0以下である請求項1記載の複合粘弾性食品。
【請求項3】
シート状粘弾性食品及び模様部の少なくとも一方が、シュガーレスである請求項1又は2記載の何れか1項に記載の複合粘弾性食品。
【請求項4】
模様部が形成された面の少なくとも一面に、可食性フィルム粉末が施与されてなる請求項1乃至3の何れか1項に記載の複合粘弾性食品。
【請求項5】
複合粘弾性食品が、複合チューインガムである請求項1乃至4の何れか1項に記載の複合粘弾性食品。
【請求項6】
シート状粘弾性食品が、40〜50℃品温における硬度が40〜80g/mm2のガムシートである請求項5記載の複合粘弾性食品。
【請求項7】
粒状粘弾性食品が、50〜60℃品温における硬度が40〜80g/mm2の粒ガムである請求項5又は6記載の複合粘弾性食品。
【請求項8】
下記工程を順次備えてなる複合チューインガムの製法。
(1)ガムシート用チューインガムをシート状に成形する工程。
(2)上記シート状に成形されたガムシート用チューインガムの少なくとも一面上に、該ガムシート用チューインガムとは異なる配合の粒ガムを供給する工程。
(3)上記ガムシート用チューインガム上に供給された粒ガムを展延し、ガムシート用チューインガムに接合することにより、ガムシート用チューインガム表面に模様部として表出させる工程。
(4)上記模様部を表出させたガムシート用チューインガムを切断することにより、ガムシートの少なくとも一面に模様部を有する複合チューインガムを得る工程。
【請求項9】
請求項7記載の工程(4)において、その搬送方向と垂直の方向が、複合チューインガムの長手方向となるよう切断する請求項7記載の複合チューインガムの製法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状粘弾性食品の少なくとも一面に、該シート状粘弾性食品と配合の異なる粒状粘弾性食品を展延し、該シート状粘弾性食品に接合することによって形成した模様部を有する複合粘弾性食品であって、上記シート状粘弾性食品と上記模様部との表面積比が1:0.2〜1.5であることを特徴とする複合粘弾性食品。
【請求項2】
複合粘弾性食品を混合して略均一化した色調とシート状粘弾性食品の色調との色差値△tが6.0以下である請求項1記載の複合粘弾性食品。
【請求項3】
シート状粘弾性食品及び模様部の少なくとも一方が、シュガーレスである請求項1又は2記載の複合粘弾性食品。
【請求項4】
模様部が形成された面の少なくとも一面に、可食性フィルム粉末が施与されてなる請求項1乃至3の何れか1項に記載の複合粘弾性食品。
【請求項5】
複合粘弾性食品が、複合チューインガムである請求項1乃至4の何れか1項に記載の複合粘弾性食品。
【請求項6】
シート状粘弾性食品が、40〜50℃品温における硬度が40〜80g/mm2のガムシートである請求項5記載の複合粘弾性食品。
【請求項7】
粒状粘弾性食品が、50〜60℃品温における硬度が40〜80g/mm2の粒ガムである請求項5又は6記載の複合粘弾性食品。
【請求項8】
下記工程を順次備えてなる複合チューインガムの製法。
(1)ガムシート用チューインガムをシート状に成形する工程。
(2)上記シート状に成形されたガムシート用チューインガムの少なくとも一面上に、該ガムシート用チューインガムとは異なる配合の粒ガムを供給する工程。
(3)上記ガムシート用チューインガム上に供給された粒ガムを展延し、ガムシート用チューインガムに接合することにより、ガムシート用チューインガム表面に模様部として表出させる工程。
(4)上記模様部を表出させたガムシート用チューインガムを切断することにより、ガムシートの少なくとも一面に模様部を有する複合チューインガムを得る工程。
【請求項9】
請求項記載の工程(4)において、その搬送方向と垂直の方向が、複合チューインガムの長手方向となるよう切断する請求項記載の複合チューインガムの製法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−149324(P2006−149324A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347889(P2004−347889)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000000952)カネボウ株式会社 (120)
【出願人】(393029974)カネボウフーズ株式会社 (64)
【Fターム(参考)】