説明

複合紙葉類供給装置、複合紙葉類供給方法及び、郵便機械

【課題】 種類の異なる封筒体の郵便物が混在する郵便物束であっても、郵便物に損傷を与えることなく分離送出処理が行えるようにする。
【解決手段】 腰の強さが標準の標準封筒の郵便物と該標準封書より腰が柔らかい柔封筒の郵便物とを含む郵便物の束が搬送されてきた当該郵便物束の先頭郵便物の封筒種類を検出する種類検出器と、所定速度で回転するサクションベルトを含み、先頭郵便物がサクションベルトに接触した際の摩擦力で当該先頭郵便物を他の郵便物から引き離すサクション部と、所定速度で回転する1対のピックアップローラを含み、サクション部により引き離された先頭郵便物を把持して送り出すピックアップ部と、種類信号に基づき先頭郵便物の封筒種類を判断して、サクション部及びピックアップ部の回転速度を制御する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒種類の異なる複数の郵便物を連続して分離送出する複合紙葉類供給装置、複合紙葉類供給方法及び、郵便機械に関する。
【背景技術】
【0002】
郵便物の束から1通毎に郵便物を分離して仕分け等を行う郵便機械において、分離仕分処理の効率化が望まれている。そこで、扱える郵便物のサイズを拡張し、また外装の異なる郵便物でも処理できるようにして、これらの郵便物を一台の郵便機械で損傷を与えることなく連続的に処理する技術開発が検討されている。
【0003】
例えば、扱える郵便物サイズとしては、C4サイズ(縦324x横229mm、厚みt=10mm、重さ300g)までの拡張が望まれている。また、外装としては、紙封書以外にビニール封書、オープンマガジン等までの拡張が望まれている。以下、郵便物の外装を封筒体と記載し、紙の封筒体を標準封筒体、紙より腰の弱いビニール等の封筒体を柔封筒体と記載する。
【0004】
しかし、標準封筒体用に設定された分離処理条件を柔封筒体の郵便物に対してそのまま適用すると、柔封筒体は標準封筒体より腰が弱いために、皺や破れ等の損傷が容易に発生してしまう問題がある。このため、標準封筒体と柔封筒体とが混在している郵便物の束(以下、郵便物束と記載する)を連続して分離仕分処理するためには、分離対象の郵便物が柔封筒体であるか否かを検出して、標準封筒体と異なる分離送出処理を行う必要がある。即ち、封筒体の種類に応じた分離処理が必要となる。
【0005】
特許文献1には、状態が異なる紙幣を連続して鑑別する技術が開示されている。即ち、傷んでいる可能性のある紙幣を高速で搬送すると、紙詰まりや集積不良等の障害が発生し易くなる。そこで、搬送中の紙幣を鑑別する鑑別部を設けて、搬送されている紙幣が傷みやすい特定金種の紙幣である場合には、制御部は搬送モータおよび分離集積モータを減速することにより後続する紙幣の繰り出し速度を遅くしている。これにより紙幣を高速で搬送した際の紙詰まりや集積不良等の障害を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−134225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1が対象とする紙幣はサイズや厚みが既知であるが、郵便物の場合にはサイズ、厚み、重さがそれぞれ異なるため、搬送速度を調整しただけでは、異なる種類の封筒体の郵便物が混在している郵便物束を連続して分離処理できない場合があった。
【0008】
そこで、本発明の主目的は、種類の異なる封筒体の郵便物が混在する郵便物束であっても、郵便物に損傷を与えることなく分離送出処理が行える複合紙葉類供給装置、複合紙葉類供給方法及び、郵便機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる、複合紙葉類供給装置は、腰の強さが標準の標準封筒の郵便物と該標準封書より腰が柔らかい柔封筒の郵便物とを含む郵便物の束が搬送されてきた当該郵便物束の先頭郵便物の封筒種類を検出する種類検出器と、所定速度で回転するサクションベルトを含み、先頭郵便物がサクションベルトに接触した際の摩擦力で当該先頭郵便物を他の郵便物から引き離すサクション部と、所定速度で回転する1対のピックアップローラを含み、サクション部により引き離された先頭郵便物を把持して送り出すピックアップ部と、種類信号に基づき先頭郵便物の封筒種類を判断して、サクション部及びピックアップ部の回転速度を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、腰の強さが標準の標準封筒の郵便物と該標準封書より腰が柔らかい柔封筒の郵便物とを含む郵便物の束が搬送されてきた当該郵便物束の先頭郵便物の封筒種類を検出する種類検出手順と、先頭郵便物が所定速度で回転するサクションベルトに接触した際の摩擦力で当該先頭郵便物を他の郵便物から引き離すサクション手順と、サクション手順により引き離された先頭郵便物を、所定速度で回転する1対のピックアップローラにより把持して送り出すピックアップ手順と、種類信号に基づき先頭郵便物の封筒種類を判断して、サクション手順及びピックアップ手順の回転速度を制御する制御手順と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、封筒体の種類を検出して、封筒体の種類に応じた制御を行うので、種類の異なる封筒体の郵便物が混在する郵便物束であっても、郵便物に損傷を与えることなく分離送出処理が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明にかかる実施の形態の説明に適用される郵便機械における複合紙葉類供給装置の部分側面図である。
【図2】実施の形態にかかるピックアップローラの斜視図である。
【図3】実施の形態にかかる郵便物から分離ユニットを待避させたときの複合紙葉類供給装置の部分側面図である。
【図4】実施の形態にかかる郵便機械の複合紙葉類供給装置のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明にかかる郵便機械2の複合紙葉類供給装置4の部分側面図である。複合紙葉類供給装置4は、搬送ユニット6、制御ユニット8、供給ユニット10、分離ユニット46を備える。
【0014】
以下、コンベア21により搬送されてきた郵便物の束を郵便物束K1、その郵便物束K1の中から分離する先頭の郵便物を先頭郵便物K2、分離されて送り出される郵便物を送出郵便物K3と記載する。郵便物束K1には、柔封筒体や標準封筒体が混在しているとする。このとき、柔封筒体としてビニール製品の封筒体を例に説明するが、ビニール製品に限定するものではない。
【0015】
制御ユニット8は、状態検出器31、種類検出器32、圧力検出器33、制御部34を含む。
制御部34は、状態検出器31からの検出信号、種類検出器32からの種類信号、圧力検出器33からの圧力信号に基づき、搬送ユニット6及び供給ユニット10を制御する。
【0016】
状態検出器31は、先頭郵便物K2の有無を検出し、検出結果を検出信号として制御部34に出力する。種類検出器32は、先頭郵便物K2からの反射光を検出し、検出結果を種類信号として制御部34に出力する。
【0017】
圧力検出器33は、供給ユニット10の裏側(図1において裏面側)に配置されて、バックアッププレート22が郵便物束K1を供給ユニット10側に押さえ付けている力を検出する。そして、圧力検出器33は、検出結果を圧力信号として制御部34に出力する。
【0018】
搬送ユニット6は、コンベア21、バックアッププレート22を含む。コンベア21は、一端が供給ユニット10まで延設されて、郵便物束K1を当該供給ユニット10に搬送する。バックアッププレート22は、コンベア21の駆動状態に対応して動作する。
【0019】
そして、状態検出器31が先頭郵便物K2を検出すると、制御部34は、コンベア21を停止させると共に、バックアッププレート22を動作させる。このバックアッププレート22の動作により、コンベア21により搬送されてきた郵便物束K1は供給ユニット10側に押し付けられる。
【0020】
供給ユニット10は、ピックアップ部41、サクション部43を備える。ピックアップ部41は、一対のピックアップローラ41a,41b及びこのピックアップローラ41a,41bを回転駆動するピックアップローラ駆動部(図示せず)を備える。
【0021】
サクション部43は、テンションローラ43a、サクションローラ43b、サクションベルト43c、従動ローラ43d、サクションローラ43bを回転駆動するサクションローラ駆動部(図示せず)、この供給ユニット10を揺動させる供給ユニット揺動部(図示せず)を備える。
【0022】
ピックアップローラ駆動部及びサクションローラ駆動部は、サーボモータ等の駆動源を含み、制御部34により回転速度等が制御される。
【0023】
ピックアップローラ41aは、図2に示すように2段ローラであり、軸部47aと、この軸部47aに連結された第1ローラ部47bと、第1ローラ部47bより直径が小さく、軸部47aに挿入されて自在に回転する第2ローラ部47cとにより形成されている。そして、第1ローラ部47bがピックアップローラ41bと所定の間隔(接する場合を含む)で対向している。ピックアップローラ41a又はピックアップローラ41bの少なくとも一方は、図示しないピックアップローラ駆動部により回転動力を受けて回転する。これによりピックアップ部41は、コンベア21により搬送されてきた郵便物を把持して送出する。
【0024】
サクションベルト43cは、ピックアップローラ41a、サクションローラ43b、テンションローラ43a、従動ローラ43dに掛け渡されて、ゴム等の摩擦係数の高い材料により形成されている。テンションローラ43aは、サクションベルト43cの張力を調整して、先頭郵便物K2に加わる摩擦力が変動しないようにする。そして、サクションベルト43cが回転することにより、先頭郵便物K2は、このサクションベルト43cとの摩擦力によりサクションベルト43cの回転方向に移動し、他の郵便物束K1と分離される。その後、先頭郵便物K2は、ピックアップローラ41a、41bで挟まれて送出される。
【0025】
供給ユニット揺動部は、制御部34によりピックアップローラ41aを揺動中心として、供給ユニット10を図1における矢印D1(時計回りの方向)又は,矢印D2(反時計回りの方向)の方向に揺動させる。
【0026】
先頭郵便物K2が受ける圧力は、この先頭郵便物K2がサクションベルト43cや他の郵便物束K1から受ける摩擦力の起源となる。そして、サクションベルト43cから受ける摩擦力と、他の郵便物束K1から受ける摩擦力は、方向が逆である。このため、先頭郵便物K2が柔封筒体の場合に大きな圧力が働くと、この先頭郵便物K2は摩擦力により皺や破損等の損傷を受けることある。そこで、圧力検出器33は先頭郵便物K2に加わっている力を検出し、制御部34は、圧力信号が圧力基準値以下になるように、供給ユニット揺動部を駆動して供給ユニット10を揺動させる。
【0027】
即ち、制御部34は圧力基準値より大きな圧力が先頭郵便物K2に働いていると判断した場合は、供給ユニット10を図1の矢印D1の方向に回転させて、先頭郵便物K2に加わる圧力を小さくする。一方、制御部34は圧力基準値より小さな力が先頭郵便物K2に働いていると判断した場合は、供給ユニット10を矢印D2の方向に回転させて、先頭郵便物K2に加わる圧力を大きくする。これにより、先頭郵便物K2には圧力基準値の圧力が働くようになる。
【0028】
分離ユニット46は、分離ローラ46aや複数のローラ46b、これらのローラ46a,46bに掛け渡された分離ベルト46c、分離ユニット位置調整部(図示しない)、分離ユニット駆動部(図示しない)を備える。分離ユニット駆動部は、複数のローラ46a,46bのうちの少なくとも1つのローラを回転駆動する。これにより分離ベルト46cがサクションベルト43cの回転方向と逆方向に回転する。この方向が逆の力が分離力となる。
【0029】
分離ユニット位置調整部は、サクションベルト43cに対する分離ローラ46aの位置を調整する。サクションベルト43cにより、先頭郵便物K2を他の郵便物束K1と完全に分離することができない場合でも、分離ベルト46cが先頭郵便物K2と共に移動してきた他の郵便物束K1に接して、この郵便物束K1を押し戻す。従って、先頭郵便物K2のみの分離が行える。
【0030】
なお、このとき分離ベルト46cがサクションベルト43cに強く押し付けられていると、先頭郵便物K2に大きな分離力が働く。この大きな分離力により先頭郵便物K2に皺が発生したり破損が生じたりすることがある。
【0031】
特に、先頭郵便物K2が柔封筒体の場合には、容易に皺や破損等が発生する。そこで、制御部34は、種類検出器32からの種類信号に基づき先頭郵便物K2が柔封筒体であると判断した場合には、サクションローラ43bの回転速度を遅くしてサクションベルト43cの回転を遅くする。また、これと同時にピックアップ部41の回転も遅くする。さらに、サクションベルト43cが先頭郵便物K2から待避するように、制御部34からの信号に基づき分離ユニット位置調整部が分離ユニット46の位置を制御する。図3は、先頭郵便物K2から分離ユニット46を待避させたときの供給ユニット10の複合紙葉類供給装置4の部分側面図である。
【0032】
先頭郵便物K2が標準封筒体の場合は、分離ユニット46は初期設定位置に位置するが、柔封筒体のように皺や破損が起き易い先頭郵便物K2の場合は、分離ベルト46cが先頭郵便物K2に強く当たらないように分離ユニット46を後退させる。これにより、先頭郵便物K2に働く分離力が小さくなるので、皺や破損等の発生が抑制できる。
【0033】
なお、先頭郵便物K2の厚みは一定でない。そこで、上記初期設定値を郵便物の厚みに応じて複数設定すると共に、郵便物の厚みを検出することで、分離ユニット46の位置を郵便物の厚みに応じて変えるようにしても良い。そして、同じ厚みでも、標準封筒体と柔封筒体では、分離ユニット46の位置を変えるようにする。これにより、郵便物の厚みや種類に応じた分離処理が行える。
【0034】
次に、郵便機械2の複合紙葉類供給装置4の動作を、図4のフローチャートに従い説明する。図4に示す各処理の順序は例示であり、本発明はこの順番に限定するものではない。
【0035】
ステップS1:先ず、制御部34は、コンベア21を動作させて、複数の郵便物束K1を供給ユニット10に搬送させる。この複数の郵便物束K1には、標準封筒体や柔封筒体が含まれている。そして、制御部34は、状態検出器31からの検出信号、種類検出器32からの種類信号、圧力検出器33からの圧力信号の受信待ちとなる。
【0036】
ステップS2:制御部34は、状態検出器31から郵便物束K1を検出したことを示す検出信号を受信すると、コンベア21を停止させて、バックアッププレート22を動作させる。これにより、先頭の先頭郵便物K2はサクションベルト43cに押さえ付けられる。
【0037】
ステップS3:また、制御部34は、圧力検出器33からの圧力信号に基づき、バックアッププレート22が先頭郵便物K2を押している圧力が圧力基準値より大きいか否かを判断する。以下、圧力基準値を圧力基準値F1、郵便物に働いている圧力信号が示す実際の圧力を計測圧力F2と記載する。
【0038】
計測圧力F2が圧力基準値F1より小さい場合は(F2<F1)、ステップS4に進み、計測圧力F2が圧力基準値F1より大きい場合は(F2≧F1)、ステップS5に進む。
【0039】
ステップS4:計測圧力F2が圧力基準値F1より小さい場合(F2<F1)、制御部34は、供給ユニット10が図1の矢印D2の方向に回転するように、供給ユニット揺動部を制御する。これにより、供給ユニット10は先頭郵便物K2側に回転するので、計測圧力F2が増大して、先頭郵便物K2に圧力基準値F1が加わるようになる。その後、ステップS7に進む。
【0040】
ステップS5:一方、計測圧力F2が圧力基準値F1より大きい場合には(F2≧F1)、制御部34は計測圧力F2が圧力基準値F1と等しいか否かを判断する。計測圧力F2が圧力基準値F1と等しい場合は(F2=F1)、圧力調整を行わずステップS7に進むが、計測圧力F2が圧力基準値F1より大きい場合は(F2>F1)、ステップS6に進み、圧力調整する。
【0041】
ステップS6:計測圧力F2が圧力基準値F1より大きいので、制御部34は供給ユニット10を図1の矢印D1の方向に回転させる。これにより、供給ユニット10は先頭郵便物K2から離れる方向に回転して、計測圧力F2が減少する。従って、郵便物F2に圧力基準値F1が加わるようになる。その後、ステップS7に進む。
なお、ステップS3〜ステップS6により、先頭郵便物K2に加わる圧力は、この郵便物の種類にかかわらず一定の圧力基準値F1となるが、本発明はこれに限定されない。即ち、標準封筒体用の圧力基準値や、柔封筒体用の圧力基準値等の複数の圧力基準値を設定することが可能である。
【0042】
ステップS7:次に、制御部34は、種類検出器32からの種類信号に基づき、先頭郵便物K2の種類を判断する。この種類信号は、先頭郵便物K2の表面で反射された光の輝度値に対応する。そこで、制御部34は、種類信号の値が予め設定された規定値(以下、種類判断基準と記載する)以上であれば、先頭郵便物K2は柔封筒体であると判断してステップS4に進む。一方、種類信号の値が種類判断基準以下であれば標準封筒体であると判断してステップS6に進む。これにより、先頭郵便物K2の種類が、柔封筒体や標準封筒体等に応じて分離処理の制御を変更することが可能になる。
【0043】
なお、先頭郵便物K2が柔封筒体であっても、柔封筒体の表面を白色等の下地処理を施して住所氏名が記載されている場合や、内容物に記載された住所氏名が透視できるように透明状態のままの場合等がある。従って、柔封筒体からの反射光の輝度は、柔封筒体の表面状態に依存する。しかし、下地処理が施されている場合には、この下地処理は封書全面に対して行われている場合は少ない。即ち、宛名等の領域のみに対して下地処理が行われ、他の領域は宣伝等が印刷されている場合が多い。印刷領域の表面は高い光沢を示すが、下地処理領域の表面は高い光沢を示さない。このような場合を考慮して、先頭郵便物K2の複数の表面位置からの反射光が受光できるように、種類検出器32を複数設けてもよい。
【0044】
ステップS8:先頭郵便物K2が柔封筒体であると判断した場合、制御部34は、サクションローラ43bの回転速度を減速させるように、その各駆動部を制御する。なお、ステップS7で、先頭郵便物K2が柔封筒体でないと判断した場合には、サクションローラ43bの回転速度は減速されない。即ち、先頭郵便物K2が標準封筒体であるとしてサクションローラ43bの回転速度は初期設定されているので、先頭郵便物K2が標準封筒体であると判断した場合は、この設定値は変更されない。サクションローラ43bの回転速度が遅くなると、先頭郵便物K2を引き上げようとする分離力も小さくなるので、先頭郵便物K2が皺を起こしたり、損傷を受けたりすることが抑制できる。
【0045】
ステップS9:制御部34は、ピックアップ部41の回転速度を減速させるように、その各駆動部を制御する。なお、ステップS7で、先頭郵便物K2が柔封筒体でないと判断した場合には、サクションローラ43bと同様にピックアップローラ41a,41bの回転速度は変更されない。ピックアップ部41の回転速度が遅くなると、先頭郵便物K2の送出力が小さくなるので、先頭郵便物K2に無理な力が働いて、皺を起こしたり、損傷を受けたりすることが抑制できる。
【0046】
ステップS10:制御部34は、サクションローラ43bの回転速度を減速すると共に、分離ユニット46を供給ユニット10から後退するように、位置調整する。このとき、分離ユニット46の後退位置は、分離ベルト46cと先頭郵便物K2とが、完全に接触しない位置のみならず、軽く接する位置を含んでいる。いずれの位置とするかは、先頭郵便物K2に与える影響を勘案して、ユーザが設定する。分離ベルト46cと先頭郵便物K2との接触度合いが小さくなると、分離ベルト46cによる分離力が小さくなるので、先頭郵便物K2が皺を起こしたり、損傷を受けたりすることが抑制できる。
【0047】
ステップS11:これまでの処理により、先頭郵便物K2はサクションベルト43cによる摩擦力でピックアップ部41側に引き上げられ、分離ユニット46により先頭郵便物K2のみに分離される。そして、分離された先頭郵便物K2は一対のピックアップローラ41a,41bで挟まれて当該ピックアップローラ41a,41bの回転に従い送り出される。
【0048】
ステップS12:制御部34は、先頭郵便物K2の送り出しが完了すると、コンベア21の運転を開始させて、ステップS1に戻り、全ての先頭郵便物K2の送り出しが完了するまで、上述した処理が繰り返される。
【0049】
以上により、コンベアにより供給された郵便物の束の中に、柔封筒体の種類の異なる郵便物が含まれていても、種類に応じた制御を行うので、郵便物に皺や損傷等を与えることなく連続処理することができる。
【符号の説明】
【0050】
2 郵便機械
4 複合紙葉類供給装置
6 搬送ユニット
8 制御ユニット
10 供給ユニット
21 コンベア
22 バックアッププレート
31 状態検出器
32 種類検出器
33 圧力検出器
34 制御部
41 ピックアップ部
41a,41b ピックアップローラ
43 サクション部
43b サクションローラ
46 分離ユニット
46a 分離ローラ
46c 分離ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腰の強さが標準の標準封筒の郵便物と該標準封書より腰が柔らかい柔封筒の郵便物とを含む郵便物の束が搬送されてきた当該郵便物束の先頭郵便物の前記封筒種類を検出する種類検出器と、
所定速度で回転するサクションベルトを含み、前記先頭郵便物が前記サクションベルトに接触した際の摩擦力で当該先頭郵便物を他の前記郵便物から引き離すサクション部と、
所定速度で回転する1対のピックアップローラを含み、前記サクション部により引き離された前記先頭郵便物を把持して送り出すピックアップ部と、
前記種類信号に基づき前記先頭郵便物の前記封筒種類を判断して、前記サクション部及び前記ピックアップ部の回転速度を制御する制御部と、を備えることを特徴とする複合紙葉類供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の複合紙葉類供給装置であって、
前記制御部は、前記先頭郵便物の前記封筒種類が前記標準封筒と判断した場合には、前記サクション部及び前記ピックアップ部の回転速度を標準速度に設定し、前記柔封筒と判断した場合には、前記サクション部及び前記ピックアップ部の回転速度を前記標準速度より遅くすることを特徴とする複合紙葉類供給装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の複合紙葉類供給装置であって、
前記サクションベルトと逆方向に回転して、前記先頭郵便物と共連れして引き離された他の郵便物に接触して該他の前記郵便物と前記先頭郵便物とを分離する分離ユニットを備え、
前記制御部が、前記先頭郵便物の前記封筒種類が前記柔封筒と判断した場合には、前記標準封筒における前記分離ユニットの位置より前記先頭郵便物から離れた位置に当該分離ユニットを設定することを特徴とする複合紙葉類供給装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか1項記載の複合紙葉類供給装置であって、
搬送されてきた前記郵便物束がサクション部に当接した際に、前記先頭郵便物に加わる力を検出する圧力検出器を備え、
前記制御部は、前記圧力検出器からの圧力信号に基づき前記先頭郵便物に所定の圧力が加わるように前記サクション部の位置を制御することを特徴とする複合紙葉類供給装置。
【請求項5】
請求項4に記載の複合紙葉類供給装置であって、
前記制御部が前記サクション部の位置を制御する際に、前記ピックアップローラの回転軸を揺動中心として当該サクション部を揺動させることを特徴とする複合紙葉類供給装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の複合紙葉類供給装置と、
前記複合紙葉類供給装置に腰の強さが標準の標準封筒の郵便物と該標準封書より腰が柔らかい柔封筒の郵便物とを含む郵便物の束を搬送する搬送ユニットとを備えることを特徴とする郵便機械。
【請求項7】
腰の強さが標準の標準封筒の郵便物と該標準封書より腰が柔らかい柔封筒の郵便物とを含む郵便物の束が搬送されてきた当該郵便物束の先頭郵便物の前記封筒種類を検出する種類検出手順と、
前記先頭郵便物が所定速度で回転する前記サクションベルトに接触した際の摩擦力で当該先頭郵便物を他の前記郵便物から引き離すサクション手順と、
前記サクション手順により引き離された前記先頭郵便物を、所定速度で回転する1対のピックアップローラにより把持して送り出すピックアップ手順と、
前記種類信号に基づき前記先頭郵便物の前記封筒種類を判断して、前記サクション手順及び前記ピックアップ手順の回転速度を制御する制御手順と、を含むことを特徴とする複合紙葉類供給方法。
【請求項8】
請求項7に記載の複合紙葉類供給方法であって、
前記制御手順は、前記先頭郵便物の前記封筒種類が前記標準封筒の場合には、前記サクションベルト及び前記ピックアップローラの回転速度を標準速度に設定し、前記柔封筒の場合には、前記サクションベルト及び前記ピックアップローラの回転速度を前記標準速度より遅くする手順を含むことを特徴とする複合紙葉類供給方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の複合紙葉類供給方法であって、
前記サクションベルトと逆方向に回転する分離ユニットにより、前記先頭郵便物と共連れして引き離された他の郵便物に接触して該他の前記郵便物と前記先頭郵便物とを分離する分離手順と含み、
前記制御手順は、前記先頭郵便物の前記封筒種類が前記柔封筒と判断した場合には、前記標準封筒における前記分離ユニットの位置より前記先頭郵便物から離れた位置に当該分離ユニットを設定する手順を含むことを特徴とする複合紙葉類供給方法。
【請求項10】
請求項7乃至9いずれか1項記載の複合紙葉類供給方法であって、
搬送されてきた前記郵便物束が前記サクションベルトに当接した際に、前記先頭郵便物に加わる力を検出する圧力検出手順を含み、
前記制御手順は、前記圧力検出手順からの圧力信号に基づき前記先頭郵便物に所定の圧力が加わるように、該先頭郵便物に対する前記サクションベルトの位置を制御する手順を含むことを特徴とする複合紙葉類供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−166180(P2012−166180A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31493(P2011−31493)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】