説明

複合装甲板およびそれを用いた複合装甲

【課題】効果的に銃弾あるいは飛散物の破壊衝撃エネルギーを消耗させて防護性能を向上させると共に、破壊部位を容易に修復できる複合装甲板およびそれを用いた複合装甲を提供する。
【解決手段】 銃弾あるいは飛散物からの運動エネルギーを吸収して分散させる複合装甲板1であって、実質的に円柱形状の複数個のペレット3から構成され、各ペレット3間の隙間をペレット3よりも硬度の低い充填材4で埋めた構造を有するペレット層2と、ペレット層2の銃弾あるいは飛散物から衝撃を受ける面と反対側の面に複層から成る基材層10とを少なくとも有する複合装甲板1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銃弾あるいは飛散物から防護するための複合装甲板およびそれを用いた複合装甲に関する。
【背景技術】
【0002】
銃弾あるいは爆発による飛散物からの防護の必要性は年々高まっている。防護方法には、銃弾あるいは飛散物により破壊されない材料を用いた防護体によって守る方法と、銃弾あるいは飛散物により破壊されても大きな破壊に至らしめない防護体によって守る方法とがある。前者の場合には、どのような銃弾あるいは飛散物よりも硬くかつ強靱な材料を防護体の材料として選択する必要がある。したがって、多種多様な銃弾あるいは飛散物が想定される用途では採用しにくい。また、硬度と強靭さ(強靭)とが両立する材料は希有であるため、コストがかさむという問題もある。このような理由から後者の方法を採用することが多い。例えば、防弾ガラス、防弾チョッキ等は、このような方法を採用したものである。
【0003】
従来から、様々な防護体が開発されてきている。例えば、樹脂とセラミックスとからなるペレット防護体として、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastic: FRP)の表面にセラミックス板を配設した構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる構造により、FRPのみよりも、さらに防弾性能や防刃性能が向上することが期待される。
【0004】
また、第1のセラミックスからなる長尺状の芯材の外周に第2のセラミックスからなる被覆層を配した複合繊維体を集束した繊維集束層と、単一セラミックス層とを積層した構造のものが、既に開示されている(例えば、特許文献2参照)。かかる構造により、割れにくく、衝撃吸収性を高めることが期待できる。
【0005】
さらに、衝撃面に対し、第1の副層の上に積層され、そして隣接し合うセグメント同士が密着している複数の隣接し合うセラミックス製の表層セグメントで構成されている表層と、衝撃面と反対の方向に面している裏層と、表層と裏層の間に配置された支持層を少なくとも含んでなる複合装甲板材料も知られている(例えば、特許文献3参照)。かかる構造によって、防護性能をある程度向上させることは可能である。
【特許文献1】特開2002−316319号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2005−281035号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特表2003−532561号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1および特許文献2に開示される発明では、必ずしも銃弾あるいは飛散物による防護性能は十分とは言えない。確かに、セラミックス層が破壊することによって、金属等の銃弾あるいは飛散物の運動エネルギーを吸収し、ある程度、銃弾あるいは飛散物から防護できる。しかし、高速の銃弾あるいは飛散物の衝撃を受けると、セラミックス層の構造は、柔軟に変形することはできないため、十分にその衝撃を吸収することができない。したがって、銃弾あるいは飛散物の運動エネルギーが大きい場合には、十分な防護ができないという問題がある。
【0007】
また、特許文献3に開示される発明の場合も同様に、積層構造においてセラミックス板が面接触するように配置されている状況では、防護性能は十分とは言えない。銃弾あるいは飛散物の運動エネルギーは、セラミックス板同士の面を介して広範囲に伝搬してしまい、破壊部分が大きくなり、連続的な衝撃に耐えられないことがその理由の一つに挙げられる。更に、破壊箇所が大きいと、修復が難しく、一度銃弾あるいは飛散物により損傷を受けると、再度の使用ができないという問題もある。
【0008】
すなわち、銃弾あるいは飛散物が衝突した際に、いかにその運動エネルギーを消耗させて防護体の裏側にあって守るべき対象の損傷を低減させるかということと同時に、一度破壊されてもその破壊された箇所を速やかに修復できるかということが重要となる。
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、効果的に銃弾あるいは飛散物の破壊衝撃エネルギーを消耗させて防護性能を向上させると共に、破壊部位を容易に修復できる複合装甲板およびそれを用いた複合装甲を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、銃弾あるいは飛散物からの運動エネルギーを吸収して分散させる複合装甲板であって、実質的に円柱形状の複数個のペレットから構成され、各ペレット間の隙間をペレットよりも硬度の低い充填材で埋めた構造を有するペレット層と、ペレット層の銃弾あるいは飛散物から衝撃を受ける面と反対側の面に複層から成る基材層とを少なくとも有する複合装甲板としている。
【0011】
このため、ペレット層に銃弾あるいは飛散物が衝突した際に、衝突の一部の運動エネルギーは、ペレット層の変形に消費されている。また、十分に吸収できない運動エネルギーは基材層により消耗される。複層から成る基材層を配置することによって、単一の層を配置する場合と比べて、破壊箇所が大きく、あるいはペレット層から基材層が分離する等の問題を解決できる。さらに、複数の層から成る基材層がその運動エネルギーを段階的に減少させるので、確実に衝撃物を阻止することができる。その結果、装甲板の防弾機能が高まり、装甲板の裏側にある保護すべき対象を効果的に保護することができる。
【0012】
なお、「実質的に円柱形状とは、完全な円柱のみならず、楕円柱も含まれる。また、円柱若しくは楕円柱の表面に凹凸が存在するものも、全体として円柱若しくは楕円柱の形状と認められる限り、実質的に円柱形状の範疇に含まれる。また、ペレットのサイズは、全て同じサイズであっても、大小複数種のサイズであっても良い。
【0013】
また、別の本発明は、ペレット層の外側を、ラッピング層により包んでいる複合装甲板としている。ラッピング層を用いてペレット層を包むことにより、ラッピング層とペレット底面との滑り効果がさらに促進され、横方向への破壊衝撃伝播をより確実に分散させることができる。この結果、隣接するペレットに与えられる破壊運動エネルギーが低減できる。また、衝突により破砕したペレットおよび充填材の破片が外方に飛散するのも防止できる。
【0014】
また、別の本発明は、基材層が硬度の異なる層を組み合わせて成る複合装甲板としている。このため、高速の銃弾あるいは飛散物から衝撃を受けると、基材層は、ある程度、柔軟に変形することができるため、十分に衝撃の運動エネルギーを吸収することができる。したがって、銃弾あるいは飛散物の運動エネルギーが大きい場合にも十分な防護を図ることができる。
【0015】
また、別の本発明は、基材層の内の少なくとも1つの層が繊維強化プラスチックの層である複合装甲板としている。このため、衝撃の運動エネルギーをより吸収することができ、衝撃物の貫通を阻止する能力が向上する。
【0016】
また、別の本発明は、ペレット層と前記基材層の内の少なくとも1つの層とを、ラッピング層により包んでいる複合装甲板としている。
【0017】
このため、銃弾あるいは飛散物が衝突した際に、ラッピング層が設けられることによって、ペレット層および基材層が補強され、衝撃物の貫通を阻止する能力が向上する。また、衝突により破砕したペレットおよび充填材の破片が外方に飛散するのも防止できる。
【0018】
また、別の本発明は、ペレットの側面に凸部を設け、ペレット同士は、当該凸部同士あるいは当該凸部と当該凸部以外の部位で接触するように配設されている複合装甲板としている。
【0019】
このため、ペレットに与えられた衝撃は、凸部を介して周囲のペレットに伝播される。凸部を設けることにより、ペレット同士の接触を確実にすることができるので、より効果的に、ペレットの破壊領域の拡大を抑えることができる。
【0020】
また、別の本発明は、銃弾あるいは飛散物からの運動エネルギーを吸収して分散させる複合装甲であって、前述のような複合装甲板の周囲をチャンネル材で囲み、複合装甲板のペレット層の表面を被覆するように、表面板が配設されており、複合装甲板および表面板に形成された貫通孔に、複合装甲板の表面側から取り付け棒材を挿通させ、複合装甲板の裏側にて取り付け棒材の頂部と締結している構造を有するる複合装甲としている。
【0021】
複合装甲板の周囲にチャンネル材を配設することによって、銃弾あるいは飛散物からの衝突を受けた際に、主にペレット層と基材層からなる複合装甲板の積層分離を阻止でき、同時に、装甲板の縁から被弾口径の2〜3倍の範囲では耐弾効果がなくなることを解消し、防弾有効面積を100%確保することもできる。このため、複合装甲板の優れた性能が発揮できる。また、複合装甲を装着した際に、取り付け棒材および取り付け支柱を設けることによって、複数個の複合装甲の各高さ調整を行い、全体を平面にできる。このため、複合装甲と被着体との間に空間を形成することができる。被着体の表面に突出物が存在していても、複合装甲板を被着体に取り付けることができる。また、前述の空間により、爆裂弾等の被弾貫通爆破衝撃を阻止することができる。加えて、破壊箇所のみにある複合装甲板を棒材取り付けにより容易に修復できる。
【0022】
本発明に係る複合装甲板およびそれを用いた複合装甲を構成するペレット層に用いられるペレットは、セラミックス、金属(合金も含まれる)、エンジニアリングプラスチック、木材等、いかなる材料で構成されたものでも良いが、強度に優れるセラミックスあるいは金属製の方が好ましい。セラミックス製のペレットとしては、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化鉄(Fe、Fe)等の酸化物系セラミックス、炭化珪素(SiC)、炭化チタニウム(TiC)、炭化ホウ素(BC)等の炭化物系セラミックス、窒化珪素(Si)、窒化チタニウム(TiN)、六方晶窒化ホウ素(cBN)等の窒化物系セラミックス、ホウ化チタニウム(TiB)、ホウ化ジルコニウム(ZrB)等のホウ化物系セラミックスのいずれの種類のセラミックス焼結体でも採用可能である。また、ガラス、炭素製のペレットでも良い。また、金属製のペレットとしては、鉄、アルミニウム、鉛、銅等の金属単体のペレットでも、ステンレス、アルミニウム合金等の合金製のペレットでも良い。また、隣接するペレットをそれぞれ異なる材料で構成するようにしても良い。
【0023】
また、本発明に係る複合装甲板およびそれを用いた複合装甲を構成するペレット層に用いられる充填材としては、例えば、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を採用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、ポリメタクリル樹脂(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、GF強化ポリブチレンテレフタレート(GF−PBT)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)、ウレタン樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、シリコン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂のうち、耐熱性、耐寒性、および不燃性が良好である点から、特に、シリコン樹脂を用いるのがより好ましい。ただし、上述の樹脂材料は一例に過ぎず、他の樹脂材料を採用しても良い。なお、樹脂材料は、上記のような一種類の樹脂材料でも、二種類以上の樹脂材料を組み合わせたものでも良い。
【0024】
なお、充填材の硬化後の柔軟性を保持できるための理想的な数値は、硬度90〜95(測定法:ASTM D−2240)、伸び380〜420%(測定法:ASTM D−412)、引張強度2700〜3000psi(測定法:ASTM D−412)、吸水率1.6%(測定法:ASTM D−570)である。
【0025】
また、本発明に係る複合装甲板およびそれを用いた複合装甲に用いられるラッピング層の材料には、天然繊維から成る布の他、グラスファイバー、ケブラー繊維、アラミド、カーボン繊維またはスペクトラ繊維等の引っ張り強度の高い繊維にエポキシフェノール、ポリエチレン等の樹脂を含浸し、常温または加熱、加圧して固化することにより製造された合成繊維類を好適に用いることができる。
【0026】
また、本発明に係る複合装甲板およびそれを用いた複合装甲の基材層に用いられる繊維強化プラスチック層には、グラスファイバー系、HPPE系、PBO系、アラミド系、カーボン系、または液晶ポリマー系の繊維体から構成される織布あるいはシート状素材を積層し、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用い、加圧成形することにより製造されたものを用いるのが好ましい。より具体的には、一方向に揃っている繊維体を内在して形成される織布あるいはシート状素材を用い、それぞれの層の繊維体が直交するように、複数の織布あるいはシート状素材を積層したものを好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、効果的に銃弾あるいは飛散物の破壊衝撃エネルギーを消耗させて防護性能を向上させると共に、破壊部位を容易に修復できる複合装甲板およびそれを用いた複合装甲を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明に係る複合装甲板1およびそれを用いた複合装甲20の好適な各実施の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施の形態に何ら限定されるものではない。
【0029】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る複合装甲板1の構造を示す断面図である。ただし、ペレット3のみを斜視的に示す。
【0030】
図1に示すように、複合装甲板1は、第1ラッピング層5により包まれたペレット層2と、当該ペレット層2の銃弾等から衝撃を受ける面と反対側の面に配置された基材層10とを備え、さらに、第2ラッピング層6によりペレット層2と基材層10とが覆われている。基材層10は、4つの繊維強化プラスチック層12を積層して構成されている。ただし、繊維強化プラスチック層を2、3または5つ以上積層しても良い。
【0031】
複合装甲板1を構成するペレット層2は、側面に凸部31を有する円柱形状のペレット3を互いに側面にて接触する状態で配列させ、各ペレット3間の隙間を当該ペレット3よりも硬度の低い充填材4で満たし、その外側を第1ラッピング層5により包んだ形態を有する。ペレット3は、セラミックス、金属(合金も含まれる)、エンジニアリングプラスチック、木材等、いかなる材料で構成されたものでも良いが、強度に優れたセラミックスあるいは金属製の方が好ましい。また、充填材4の材料としては、好適には、シリコン樹脂が用いられている。ただし、シリコン樹脂以外の樹脂を用いても良い。また、第1ラッピング層5および第2ラッピング層6は、天然繊維から成る布または合成繊維からなる布の他、樹脂成形体を好適に用いることができ、複合装甲板1の用途によって、第1ラッピング層5および第2ラッピング層6の各材料を同一の材料または異なる材料としても良い。ラッピング層5,6の形態については、織物あるいは網状体等の形態であっても良い。
【0032】
図2は、第1の実施の形態に係る複合装甲板1を構成するペレット層2に用いられるペレット3を示す図であり、(A)は、ペレット3の斜視図であり、(B)は、(A)に示すペレット3を上方から見た平面図であり、(C)は、(B)に示すペレット3の構造のA−A線断面図である。
【0033】
図2に示すように、ペレット3は、複数の凸部31を有する円柱側面32と、実質的に平面形状の底面33と、円柱側面32の直径を有し、外方向に突出する曲面形状の天面34とを有するセラミックス製成形体である。円柱側面32は、底面33に向かってテーパーをもつ円錐台の形状を呈し、さらに、円錐台の側面と底面33との間には曲部35が形成されている。具体的には、ペレット3の高さ(H)は10mmであり、天面34の曲率半径Rは28mmであり、円柱の直径(D)は15mm、凸部31の頂面同士を結ぶ長さ(L)は20mmである。また、ペレット3の下方部は、底面33から3.3mmの高さ(h)だけ下方に向かって狭まる形状を有している。底面33と、下方部の円柱側面32とのなす角Aは120度である(すなわち、下方部の円柱側面32と鉛直方向のなす角度は30度。)。また、円錐台の側面と底面33との間に形成された曲部35の曲率半径rは3mmである。
【0034】
なお、「実質的に平面」とは、完全な平面のみならず、局部的な凹凸、全体としてわずかに凹または凸の状態も含むように解釈され、天面34の曲面よりも外方向に突出していない面はすべて、実質的に平面の範疇に含まれるものとする。
【0035】
また、ペレット3の円柱側面に設けた凸部31は、半円柱である。しかし、半円に限定されず、半円よりも角度を小さくあるいは大きくした両底面を有する柱形状の凸部31を採用しても良い。その場合、各ペレット3同士の接触部分により、衝撃の伝達を分散させて、もって破壊領域を小さくする効果が得られる。
【0036】
ペレット層2を上述のような複数のペレット3から構成したのは、複合装甲板1全体の破壊を防ぎ、破壊箇所のみを容易に修復できるようにするためである。また、上述のようなペレットの円錐台部分の側面と底面との間の曲部35が形成されると同時に、ペレット層2を第1ラッピング層5により包んだことにより、ペレット3底辺部の滑り効果が高まり、横方向への破壊衝撃の伝播をより確実に分散させることができる。また、複数のペレット3は、第1ラッピング層5を介して基材層10との接触部分が平面になるようにしている。このため、衝撃が与えられたペレット3が破壊されながら、基材層10の方向に押し込まれる。すると、基材層10は、第1ラッピング層5を介してペレット3の底面部分との接触を維持しながらへこむ。この結果、ペレット層2に与えられる破壊エネルギーが低減できる。
【0037】
また、先に説明したように、ペレット3の底面が実質的に平面であるため、銃弾あるいは飛散物の衝撃をペレットから第1ラッピング層5を介して、その直下の基材層10に広い面積で伝えることができる。したがって、基材層10が破壊される確率を低くすることができる。
【0038】
図2に示すように、基材層10は、4枚の繊維強化プラスチック層12を積層して構成されている。ペレット層2のみでは銃弾あるいは飛散物の運動エネルギーに耐えられない場合に、基材層10がその運動エネルギーを段階的に減少させるので、確実に衝撃物を阻止することができる。繊維強化プラスチック層12の積層数は、好適には2以上であり、用途によって、変更可能であり、特に限定されない。次に、繊維強化プラスチック層12を成形するには、加圧成形、RIM成形、ブレイディング製法、フィラメントワインディング製法、シートワインディング製法等の種々の方法が挙げられる。なお、繊維強化プラスチック層12の積層数を1としても良い。
【0039】
また、基材層10の下側に、さらにバッキング層を配置しても良い。バッキング層の材料は、特に限定されず、公知の材料を用いることができる。例えば、金属、合金等の材料から成るバッキング層を採用することができる。これにより、より高い耐衝撃性が得られる。
【0040】
次に、第1の実施の形態に係る複合装甲板1を構成するペレット層2に用いられるペレット3の変形例について説明する。
【0041】
図3は、第1の実施の形態に係る複合装甲板1を構成するペレット層2に用いられるペレット3の別の形態を示す図であり、(A)は、ペレット3の斜視図であり、(B)は、(A)に示すペレット3を上方から見た平面図であり、(C)は、(B)に示すペレット3の構造のB−B線断面図である。
【0042】
図3に示すように、ペレット3の高さ(H)は17mmであり、天面34の曲率半径Rは28mmであり、円柱の直径(D)は15mm、凸部31の頂面同士を結ぶ長さ(L)は20mmである。また、ペレット3の下方部は、底面33から3.3mmの高さ(h)だけ下方に向かって狭まる形状を有している。底面33と、下方部の円柱側面32とのなす角Aは120度である(すなわち、下方部の円柱側面32と鉛直方向のなす角度は30度。)。また、円錐台の側面と底面33との間に形成された曲部35の曲率半径rは3mmである。このため、銃弾あるいは飛散物の運動エネルギーをペレット3に消費させる割合が大きくなる。
【0043】
図4は、第1の実施の形態に係る複合装甲板1を構成するペレット層2に用いられるペレット3の別の形態を示す図であり、(A)は、ペレット3の斜視図であり、(B)は、(A)に示すペレット3を上方から見た平面図であり、(C)は、(B)に示すペレット3の構造のC−C線断面図である。
【0044】
図4に示すように、ペレット3の高さ(H)は20mmであり、天面34の曲率半径Rは52mmであり、円柱の直径(D)は20mm、凸部31の頂面同士を結ぶ長さ(L)は26.6mmである。また、ペレット3の下方部は、底面33から4.3mmの高さ(h)だけ下方に向かって狭まる形状を有している。底面33と、下方部の円柱側面32とのなす角Aは120度である(すなわち、下方部の円柱側面32と鉛直方向のなす角度は30度。)。また、円錐台の側面と底面33との間に形成された曲部35の曲率半径rは4mmである。このため、銃弾あるいは飛散物の運動エネルギーをペレットに消費させる割合がより大きくなる。ただし、ペレット3の寸法は一例に過ぎず、上述した3種類と異なる寸法を採用しても良い。例えば、ペレット3の高さまたは円柱の直径を、もっと大きくしたり、逆に小さくするようにしても良い。
【0045】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る複合装甲板1の製造工程について説明する。
【0046】
図5は、第1の実施の形態に係る複合装甲板1の製造工程を示すフローチャートである。
【0047】
まず、ペレット3を製造する(ステップS101)。ペレット3は、公知の製法で製造可能である。すなわち、セラミックス製のペレットの場合には、原料粉末と焼結助剤との混合、混合粉末の顆粒化、顆粒を用いた成形、成形物の焼結という各工程を経てペレット3を製造できる。成形方法には、金型に粉末を充填して加圧するプレス成形の他、原料を口金から押出す押出し成形、熱可塑性のプラスチックを加えて加熱しつつ金型の中に射出して成形する射出成形等がある。また、焼結方法には、常圧焼結、加圧焼結(ホットプレス、HIP等)がある。また、金属製のペレット3の場合には、金属粉末の成形(上記セラミックスと同様の成形方法を適用可能)とその後の常圧若しくは加圧焼結を経る方法、溶融金属の金型への射出成形と冷却を経る方法等がある。
【0048】
ステップS101に続き、平板または成形型を準備する(ステップS102)。次に、平板または成形型の周囲に枠を配置する(ステップS103)。この枠は、複合装甲板の厚さと同じ若しくはそれより大きい高さとする。枠と平板または成形型との隙間はできるだけないようにするのが好ましい。枠の材質は、特に限定せず、その後の工程に支障のない材質であれば良い。例えば、熱硬化性樹脂を充填材とする場合には、固化に際して加熱する必要があるので、枠の材質をその加熱に耐えられる材質とするのが好ましい。
【0049】
ステップS103に続き、ペレット3を平板または成形型の所定位置に配置する(ステップS104)。本発明の第1の実施の形態に係る複合装甲板1の場合には、ペレット3同士が互いに接触するようにペレット3を配置する。ペレット3の配置に際して、単に、ペレット3を平板または成形型上に置くだけでも、ペレット3若しくは平板または成形型の少なくともいずれか1つの一面に粘着材(両面テープ等)若しくは粘着剤(接着剤等)をつけてペレットと平板または成形型とを固定するようにしても良い。
【0050】
ステップS104に続き、枠内に充填材4を供給する(ステップS105)。充填材4として熱可塑性樹脂を採用する場合には、加熱された溶融樹脂を枠内に流し込む方法を用いると良い。また、充填材4として熱硬化性樹脂を採用する場合には、硬化前の液状の樹脂を枠内に供給すると良い(2液混合方式を採用するエポキシ樹脂の場合には、2液を混合して供給するのが良い)。また、充填材4として木材を採用する場合には、接着剤を付けた大鋸屑等を枠内に入れると良い。
【0051】
ステップS105に続き、充填材4の固化を行う(ステップS106)。固化の方法としては、充填材4の固化を所定時間待つ方法、充填材4を固化させるために熱を加える方法等が挙げられる。
【0052】
次に、枠をはずす(ステップS107)。ただし、枠を付けたまま使用することもできる。その場合には、ステップS107の工程を省いても良い。そして、ステップS107の工程を経て得られたペレット層2を、第1ラッピング層5により包む(ステップS108)。第1ラッピング層5の材料には、例えば、天然繊維若しくは合成繊維から成る布また炭素繊維−樹脂複合材等が挙げられる。
【0053】
続いて、接着剤等を用いて、第1ラッピング層5のペレット層2の衝撃を受ける面と反対側の面を基材層10に装着する(ステップS109)。基材層10を構成する各繊維強化プラスチック層12同士は、接着しても、接着しなくても良い。さらに、第2ラッピング層6により全体を包む(ステップS110)。第2ラッピング層6は、天然繊維若しくは合成繊維から成る布、樹脂成形体等を好適に用いることができ、複合装甲板1の用途によって、第1ラッピング層5と同一若しくは異なる材料を使用しても良い。なお、上記の製造工程以外の製法を採用しても良く、図5に示す製造工程に限定されない。例えば、上方を開放した状態の第1ラッピング層5の材料からなる容器に、互いに接触するようにペレット3を敷き詰めて、充填材4を容器の上方から供給して固化させても良い。
【0054】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る複合装甲板1について説明する。
【0055】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る複合装甲板1の構造を示す断面図である。ただし、ペレット3のみを斜視的に示す。
【0056】
図6に示すように、複合装甲板1は、ペレット層2と、当該ペレット層2の衝撃を受ける面と反対側の面に配置される基材層10とを備え、さらに、ラッピング層7によりペレット層2と基材層10を包んでいる。基材層10は、複数の繊維強化プラスチック層12,13を積層して成る。
【0057】
ペレット層2を構成するペレット3と充填材4との材料および形態については、第1の実施の形態で説明した内容と共通するので、その説明を省略する。ラッピング層7は、織物あるいは網状体としても良い。
【0058】
図6に示すように、基材層10は、異なる材質の繊維強化プラスチック層12,13を積層して構成しても良い。例えば、熱可塑性樹脂を用いた軟質材である繊維強化プラスチック層12と熱硬化性樹脂を用いた硬質材である繊維強化プラスチック層13の組み合わせにより構成された基材層10を用いると、面密度および耐衝撃性を共に向上させることができる。
【0059】
この実施の形態において、銃弾あるいは飛散物が衝突した際に、ラッピング層7に包まれることによって、ペレット層2および基材層10が補強され、衝撃物の貫通を阻止する能力が向上すると共に、衝突により破砕したペレット3および充填材4の破片が外方に飛散するのも防止できる。
【0060】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る複合装甲板1の製造工程について説明する。
【0061】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る複合装甲板1の製造工程を示すフローチャートである。図7に示すステップS201〜ステップS207は、図5に示すステップS101〜ステップS107の各ステップと同様の工程である。このため、重複した説明を省略する。
【0062】
図7に示すステップS207に引き続き、ステップS207の工程を経て得られたペレット層2を、接着剤等を用いて、繊維強化プラスチック層12,13からなる基材層10に装着する(ステップS208)。次に、ペレット層2と基材層10とを接着したものを、ラッピング層7により包む(ステップS209)。ただし、接着剤を用いずに、ペレット層2と基材層10を単に積層配置して、ラッピング層7で包んでも良い。
【0063】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態に係る複合装甲板1について説明する。
【0064】
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る複合装甲板1の構造を示す断面図である。ただし、ペレット3のみを斜視的に示す。
【0065】
図8に示すように、第3の実施の形態に係る複合装甲板1は、ペレット層2と、当該ペレット層2の衝撃を受ける面と反対側の面に配置される複数の繊維強化プラスチック層12を積層して成る基材層10とを備え、ラッピング層7によりペレット層2と基材層10を包む他に、ラッピング層7を挟んでその基材層10の下側に複数枚のバッキング層15を備えている。これにより、銃弾あるいは飛散物が衝突した際に、複合装甲板1を貫通するのを、より確実に阻止することができる。
【0066】
積層したバッキング層15の枚数は、特に限定されない。ただし、重ねる枚数が多くなると、銃弾あるいは飛散物が複合装甲板1を貫通する危険性を低減できる一方で、複合装甲板1の重量が増す。したがって、用途に応じて枚数を決めるのが良い。
【0067】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る複合装甲板1の製造工程について説明する。
【0068】
図9は、本発明の第3の実施の形態に係る複合装甲板1の製造工程を示すフローチャートである。図9に示すステップS301〜ステップS309は、図7に示すステップS201〜ステップS209の各ステップと同様の工程である。このため、重複した説明を省略する。
【0069】
図9に示すステップS309に引き続き、ペレット層2と基材層10とをラッピング層7に包まれたものを、接着剤等を用いて、バッキング層15に装着する(ステップS310)。
【0070】
(第4の実施の形態)
次に、本発明に係る複合装甲板1を用いた複合装甲20の実施の形態について説明する。
【0071】
図10は、本発明に係る複合装甲板1を用いた複合装甲20の構造を示す断面図である。
【0072】
図10に示すように、本発明に係る複合装甲20は、上述したような複合装甲板1と、チャンネル材22と、表面板23と、取り付けボルト24と、取り付け支柱25とを備えている。複合装甲板1の周囲をチャンネル材22で囲み、また、複合装甲板1のペレット層2の表面を被覆するように、表面板23が配設されている。また、複合装甲板1および上記表面板23に形成された複数の貫通孔に、複合装甲板1の表面側から複数本の取り付けボルト24を挿通させ、各取り付けボトル24と複合装甲板1の裏側に配置される各取り付け支柱25の頂部とを締結している。
【0073】
複合装甲板1の周囲をチャンネル材22で囲む構造によって、銃弾あるいは飛散物からの衝突を受けた際に、複合装甲板1の積層分離を阻止できると共に、複合装甲板1の縁から被弾口径の2〜3倍の範囲において耐弾効果がなくなるのを解消し、防弾有効面積を100%確保することもできる。また、複合装甲20を装着した際に、取り付けボルト24および取り付け支柱25を設けることによって、複数枚の複合装甲20の高さを調整し、平面成形が可能となる。このため、複合装甲20と被着体との間に空間を形成することができる。その結果、被着体の表面に突出物があっても、複合装甲板1を装着できると共に、爆裂弾等の衝撃を阻止することができる。また、取り付けボルト24を設けることにより、破壊箇所のみにある複合装甲板1を修復できる。
【0074】
チャンネル材22の装着方法は、公知の装着方法を採用できる。チャンネル材22の装着に際して、使用環境よって複合装甲板1の厚さが変動するので、チャンネル材22のサイズおよび側面の厚さを変えるのが好ましい。表面板23の材質は、金属(合金も含まれる)製とするのが好ましい。
【0075】
また、取り付け支柱25の構造については、3本の支柱を有することが好ましいが、用途に応じて本数を決めても良い。また、取り付け支柱25の成型方法については、公知の方法で行っても良い。
【0076】
以上、複合装甲板1およびそれを用いた複合装甲20の各実施の形態および製造工程について説明したが、本発明は、上述の構造および製造工程に限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0077】
例えば、図11に示すように、第1の実施の形態に係る複合装甲板1に用いられたペレット層2を2段に重ねた構造を持つ複合装甲板1を採用しても良い。この場合、例えば、図5に示す製造工程における枠の高さをもっと高くして、ステップS106に続いて、固化した充填材2の上に、再度、ステップS104、ステップS105およびステップS106の工程を繰り返すことによって製造できる。ペレット層2を重ねる段数は3段以上でも良い。重ねる段数が多くなると、銃弾あるいは飛散物が複合装甲板1を貫通する危険性を低減できる一方で、複合装甲板1の重量が増す。したがって、用途に応じて複合装甲板1の重さおよび耐衝撃性を両立させるのが望ましい。
【0078】
また、第1の実施の形態に係る複合装甲板1は、繊維強化プラスチック層12を積層して成る基材層10を備えているが、本発明はこれに限定されるものではない。図12は、本発明に係る複合装甲板1の別の形態の構造を示す断面図である。図12に示すように、繊維強化プラスチック層12の上側に、充填材4と同じ充填材料から成る充填材層16をさらに配置しても良い。このため、衝撃を受けたペレット層2が破壊され際に、基材層10の方向に押し込まれる。すると、その衝突の一部は充填材層16の変形に消費される。したがって、繊維強化プラスチック層12のへこみを低減でき、基材層10が破壊される確率を低くすることができる。その結果、銃弾あるいは飛散物が複合装甲板1を貫通する危険性を低減できる。充填材層16の厚さは、特に限定されないが、用途によって変えるのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、戦闘車両(戦車、装甲車、砲車等)、船舶(艦船、艦艇、警備艇、貨物船等)、航空機(固定翼機、回転翼機等)警備用車両、現金輸送車(耐弾装甲板)等の特殊車両、一般乗用車における付加装甲材(A)、高速回転体(発電機、ジェットエンジン等のタービン回転部)からの高速回転部分の破片による周辺機器(制御機器、配管等)の損傷を防止するための防護板(B)、防弾チョッキの付加防弾板、爆発物収納場所の内張り(C)ボイラー、反応釜等の高圧容器等の破損による周辺機器(制御機器、配管等)の損傷を防止する防護板(D)等を製造および使用する産業において実施可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る複合装甲板の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る複合装甲板を構成するペレット層に用いられるペレットを示す図であり、(A)は、ペレットの斜視図であり、(B)は、(A)に示すペレットを上方から見た平面図であり、(C)は、(B)に示すペレットの構造のA−A線断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る複合装甲板を構成するペレット層に用いられるペレットの別の形態を示す図であり、(A)は、ペレットの斜視図であり、(B)は、(A)に示すペレットを上方から見た平面図であり、(C)は、(B)に示すペレットの構造のB−B線断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る複合装甲板を構成するペレット層に用いられるペレットの別の形態を示す図であり、(A)は、ペレットの斜視図であり、(B)は、(A)に示すペレットを上方から見た平面図であり、(C)は、(B)に示すペレットの構造のC−C線断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る複合装甲板の製造工程を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る複合装甲板の構造を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る複合装甲板の製造工程を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る複合装甲板の構造を示す断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る複合装甲板の製造工程を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係る複合装甲板を用いた複合装甲の構造を示す断面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る複合装甲板に用いられたペレット層を2段に重ねた構造を持つ複合装甲板である。
【図12】本発明に係る複合装甲板の別の形態の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 複合装甲
2 ペレット層
3 ペレット
4 充填材
5 第1ラッピング層
6 第2ラッピング層
7 ラッピング層
10 基材層
12 繊維強化プラスチック層
13 繊維強化プラスチック層
15 バッキング層
16 充填材層
20 複合装甲
22 チャンネル材
23 表面板
24 取り付けボルト
25 取り付け支柱
31 凸部
32 円柱側面
33 底面
34 天面
35 曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銃弾あるいは飛散物からの運動エネルギーを吸収して分散させる複合装甲板であって、
実質的に円柱形状の複数個のペレットから構成され、各上記ペレット間の隙間を上記ペレットよりも硬度の低い充填材で埋めた構造を有するペレット層と、
上記ペレット層の上記銃弾あるいは上記飛散物から衝撃を受ける面と反対側の面に複層から成る基材層とを少なくとも有することを特徴とする複合装甲板。
【請求項2】
前記ペレット層の外側を、ラッピング層により包んでいることを特徴とする請求項1に記載の複合装甲板。
【請求項3】
前記基材層は、硬度の異なる層を組み合わせて成ることを特徴とする請求項1または2に記載の複合装甲板。
【請求項4】
前記基材層の内の少なくとも1つの層は、繊維強化プラスチックの層であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の複合装甲板。
【請求項5】
前記ペレット層と前記基材層の内の少なくとも1つの層とを、ラッピング層により包んでいることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の複合装甲板。
【請求項6】
前記ペレットの側面に凸部を設け、前記ペレット同士は、当該凸部同士あるいは当該凸部と当該凸部以外の部位で接触するように配設されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の複合装甲板。
【請求項7】
銃弾あるいは飛散物からの運動エネルギーを吸収して分散させる複合装甲であって、
請求項1から6のいずれか1項に記載の複合装甲板の周囲をチャンネル材で囲み、上記複合装甲板のペレット層の表面を被覆するように、表面板が配設されており、
上記複合装甲板および上記表面板に形成された貫通孔に、上記複合装甲板の表面側から取り付け棒材を挿通させ、上記複合装甲板の裏側にて取り付け棒材の頂部と締結している構造を有することを特徴とする複合装甲。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−202876(P2008−202876A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−40714(P2007−40714)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(505015934)株式会社ケィズ・アロー (5)
【Fターム(参考)】