説明

複合酵素を使用する黄麻の脱ゴム化法(3)

a.ペクチナーゼとラッカーゼの配合によって造られた1つの複合酵素の水溶液であって、黄麻との重量比を調整された水溶液に黄麻を浸漬するステップと、b.複合酵素の水溶液のpHを調整し、そして一定の温度で暫く保温するステップと、c.次に溶液のpHを再調整し、一定の温度下で暫く保温するステップと、d.複合酵素による処理を経た黄麻に対して複合酵素の不活化処理を行うステップと、からなることを特徴とする、ペクチナーゼとラッカーゼを含む複合酵素を使用して黄麻を脱ゴム化する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は黄麻を脱ゴム化する方法に関し、特に複合酵素を使用して黄麻を脱ゴム化する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
麻繊維は優れた水分吸収性、気体透過性があり、静電気をあまり発生せず、そして優れた抗菌特性を持っているため、麻類紡績品の衣料材料として、ますます人々に好まれている。既存の麻類紡績品の衣料材料といえば、主に亜麻、ケナフ、またはこの種の原料と他の繊維、例えば綿、羊毛、化学繊維、生糸などとを混紡/交織して造られたものを指すが、亜麻、ケナフの価格が高いため、麻類の紡績品が広く使用されていない。黄麻は綿に次ぐ世界第二の繊維素繊維であり、その価格は安く、しかも亜麻、ケナフと比べてより優れた吸湿性と懸垂性を有し、抗菌能力はわずかに大麻に劣るが、大きな使用価値と開発の可能性を持っている。しかし、黄麻の中にあるリグニンの含有量が大きく(10−13に達することがある)、亜麻の数倍にもなるため、通常の脱ゴム方法では黄麻繊維を脱ゴム化し、そのリグニンを除去する効果をあまり得られず、このことが黄麻を衣料材料に使用する上での大きな制約となっている。
【0003】
「天津工業大学学報」2005年8月第24巻第4期「酵素処理が黄麻繊維の性能に及ぼす影響」という論文は、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リグニナーゼ及びペクチン分解酵素が黄麻繊維を処理する時に及ぼす影響についての研究であるが、主に上述の各種の酵素を利用して単独に黄麻繊維を処理することである。文中に言及した複合酵素処理も、ただラッカーゼ及びヘミセルラーゼを使用してそれぞれセルラーゼと複合させるだけに限られ、当該論文によって公開された方法は、実証されているように、黄麻繊維の脱ゴム化、そしてリグニンの除去効果は決して満足できるものではなかった。
【0004】
中国特許文献CN1232691C(特許文献1)では、複合酵素を使用して黄麻を脱ゴム化する方法を開示している。この方法は、ペクチナーゼとラッカーゼの複合酵素を用いて、黄麻繊維に対して脱ゴム化処理を加え、得られた黄麻繊維を他の繊維と、例えば綿、化学繊維と混紡、または交織させることを通じて、衣料材料としての要求を基本的に満たしている。しかし、本特許文献によって開示された方法は、黄麻繊維の中にあるリグニン類の雑物の除去に関しては依然不十分であり、除去率はわずか76%前後で、得られた黄麻繊維中のリグニンの含有量は依然として高く、また得られた黄麻繊維の強度、断裂伸張率などの機械的特性と物理的特性は決して高い水準ではないため、他の繊維と、例えば綿、化学繊維と混紡、または交織される必要があり、作られた衣料材料の品質をさらに向上させる余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許文献CN1232691C
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明で解決すべき技術的課題は、一種の複合酵素を使って黄麻を脱ゴム化する方法で、黄麻繊維中のペクチンとリグニンのような不純物を効率的に除去し、総合性能の高い黄麻繊維を獲得することができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の技術問題を解決するために、本発明の第1の技術案は、
a.ペクチナーゼとラッカーゼの配合によって造られた1つの複合酵素の水溶液に黄麻を浸漬するステップと、
ここにおいて前記複合酵素の水溶液と前記黄麻の重量比は12:1〜40:1の範囲であり、
b.前記複合酵素の水溶液のpHの値を5.0〜5.5になるように調整し、そして温度を55℃〜60℃の範囲に高め、20分〜120分の範囲の時間保持するステップと、
c.次に前記溶液のpHを8.0より大きく且つ9.5以下の範囲になるように調整し、40℃〜70℃の範囲の温度下で20分〜120分の範囲の時間保持するステップと、
d.前記複合酵素による処理を経た黄麻に対して前記複合酵素の不活化処理を行うステップと、
からなることを特徴とする、ペクチナーゼとラッカーゼを含む複合酵素を使用して黄麻を脱ゴム化する方法である。
上記方法には、ステップdの前に効果向上のための1つの堆積放置処理のステップをさらに含む。効果向上のための堆積放置処理の時間は6〜24時間の範囲の時間である。ステップdにおける酵素の不活化処理は、高温水洗い、pH調整、又は両者の組み合わせによる。複合酵素におけるペクチナーゼの重量比は30〜90%の範囲にある。複合酵素と黄麻の重量比は0.5:100〜5:100の範囲にある。高温水洗いを行う時の水の温度は75℃以上であり、pH調整により酵素の不活化処理を行う時のpHは10.0以上、又は4.0より小さい。また、ステップaの前に黄麻に対する1つの事前処理ステップを更に含む。事前処理ステップは水洗い、酸洗い又は過酸化水素水への浸漬の中の1つ、又は複数の組合せである。水洗いの温度は30℃〜65℃の範囲であり、酸洗いは、硫酸又は酢酸を使用する。
【0008】
上述の技術問題を解決するために、本発明の第2の技術案は、
a.ペクチナーゼとラッカーゼの配合によって造られた1つの複合酵素の水溶液に黄麻を浸漬するステップと、
ここにおいて前記複合酵素の水溶液と前記黄麻の重量比は15:1で、前記複合酵素と前記黄麻の重量比は2:100より大きく且つ、5:100以下の範囲であり、
b.前記複合酵素の水溶液のpHを5.0〜5.5の範囲になるように調整し、そして温度を55℃以上且つ、60℃以下の範囲に上げ、25分〜50分の範囲の時間保持するステップと、
c.次に前記溶液のpHを7.5〜8.0の範囲になるように調整し、60℃〜70℃の範囲の温度下で25分〜50分の範囲の時間保持するステップと、
d.前記複合酵素による処理を経た黄麻に対して前記複合酵素の不活化処理を行うステップと、
からなることを特徴とする、ペクチナーゼとラッカーゼを含む複合酵素を使用して黄麻を脱ゴム化する方法である。
上記方法には、ステップdの前に効果向上のための1つの堆積放置処理のステップをさらに含む。効果向上のための堆積放置処理の時間は6〜24時間の範囲の時間である。ステップdにおける酵素の不活化処理は、高温水洗い、pH調整、又は両者の組み合わせによる。複合酵素におけるペクチナーゼの重量比は30〜90%の範囲にある。複合酵素と黄麻の重量比は0.5:100〜5:100の範囲にある。高温水洗いを行う時の水の温度は75℃以上であり、前記pH調整により酵素の不活化処理を行う時のpHは10.0以上、又は4.0より小さい範囲にある。また、ステップaの前に黄麻に対する1つの事前処理ステップを更に含む。事前処理ステップは水洗い、酸洗い又は過酸化水素水への浸漬の中の1つ、又は複数の組合せである。水洗いの温度は30℃〜100℃の範囲であり、酸洗いは、硫酸又は酢酸を使用する。
【0009】
上述の技術問題を解決するために、本発明の第3の技術案は、
a.ペクチナーゼとラッカーゼの配合によって造られた1つの複合酵素の水溶液に黄麻を浸漬するステップと、
ここにおいて前記複合酵素の水溶液と前記黄麻の重量比は12:1〜40:1の範囲であり、
b.前記複合酵素の水溶液のpHを5.0〜5.5の範囲になるように調整し、そして温度を55℃−60℃の範囲に上げ、25分〜50分の範囲の時間保持するステップと、
c.次に前記溶液のpHを7.5〜8.0の範囲になるように調整し、60℃〜70℃の範囲の温度下で51分〜120分の範囲の時間保持するステップと、
d.前記複合酵素による処理を経た黄麻に対して前記複合酵素の不活化処理を行うステップと、
からなることを特徴とする、ペクチナーゼとラッカーゼを含む複合酵素を使用して黄麻を脱ゴム化する方法である。
上記方法は、ステップdの前に効果向上のための1つの堆積放置処理のステップをさらに含む。効果向上のための堆積放置処理の時間は6〜24時間の範囲の時間である。ステップdにおける酵素の不活化処理は、高温水洗い、pH調整、又は両者の組み合わせによる。複合酵素におけるペクチナーゼの重量比は30〜90%の範囲にある。複合酵素と黄麻の重量比は0.5:100〜5:100の範囲にある。高温水洗いを行う時の水の温度は75℃以上であり、pH調整により酵素の不活化処理を行う時のpHは10.0以上、又は4.0より小さい範囲にある。また、ステップaの前に黄麻に対する1つの事前処理ステップを更に含む。事前処理ステップは水洗い、酸洗い又は過酸化水素水への浸漬の中の1つ、又は複数の組合せである。水洗いの温度は30℃〜100℃の範囲であり、酸洗いは、硫酸又は酢酸を使用する。
【発明の効果】
【0010】
既存の技術と比べ、本発明の技術案は下記のような利点を有する。
(1)本発明の方法は、複合酵素を使って黄麻繊維に対して脱ゴム化処理し、適合した工程パラメータを選び、酵素溶液のpHを8.0より大きい値(ペクチナーゼはpH8.0〜9.0の時に、活性が最も高いが、pHが8.0より小さいか、9.0より大きくなれば、ペクチナーゼの活性は次第に弱くなる)に調整し、そして複合酵素の使用量を増やし、即ち酵素の使用量を黄麻繊維重量の2%以上、又はペクチナーゼの活性が高いpH区間内で保温時間が50分以上になるようにし、その他の各パラメータを調整し、ペクチナーゼが脱ゴム効果を最高に発揮できるようにし、さらに複合酵素によって処理された黄麻に対して高温水洗い、又はpHを調整して、不活化処理を行う前に、効果向上のため堆積放置処理を行い、黄麻繊維の中にあるペクチンとリグニンを効果的に除去することができ、そのペクチンの除去率は90%前後、最高で96%に達すし、リグニンの除去率は78%以上、最高で86%に達するため、得られた脱ゴム化処理を経た黄麻繊維は比較的高い紡績可能性を有する。
(2)本発明の方法は、複合酵素を脱ゴム化する前に事前処理を行うため、黄麻が比較的好適に膨張して単繊維間の結合力を弱め、酵素液と麻繊維との直接的接触に有利となり、黄麻繊維中のペクチンとリグニンを効率的に取り除くことができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例1)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。また水洗いの事前処理を行い、水洗いの温度は65℃、保温時間は2時間とする。ペクチナーゼとラッカーゼを3:7の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比0.5:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の12倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pH5.5で、温度を55℃にまで上げ、20分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを8.5になるまで調整し、65℃まで温度を上げ、20分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行うが、処理時間は24時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻を80℃の熱湯で洗い、それにより酵素の不活化処理をし、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴム化を経た黄麻繊維の中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0012】
(実施例2)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。さらに酸洗いと水洗いの事前処理を行い、用いる酸は濃度が90%以上の濃硫酸で、水洗いの温度は30℃、保温時間は1時間とする。ペクチナーゼとラッカーゼを9:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比5:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の40倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.0で、温度を60℃にまで上げ、120分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを9.5になるように調整し、55℃に温度を上げ、40分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は6時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻を95℃の熱湯で洗い、それにより酵素の不活化処理をし、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴム化を経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0013】
(実施例3)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。さらに酸洗いの事前処理を行い、用いる酸は濃度が90%以上の濃硫酸で、ペクチナーゼとラッカーゼを重量比1:1の割合で複合酵素を配合し、黄麻との重量比1:100の割合で配合された複合酵素を計量し、水で黄麻重量の20倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.5で、温度を55℃に上げ、40分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを8.5になるように調整し、50℃に温度を上げ、50分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は10時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻を85℃の熱湯で洗い、それにより酵素の不活化処理をし、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0014】
(実施例4)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。そして過酸化水素水浸漬の事前処理を行い、用いる過酸化水素水の濃度は5g/L。ペクチナーゼとラッカーゼを2:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比2:100の割合で配合した複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の30倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.0で、温度を59℃にまで上げ、50分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを9.0になるように調整し、60℃にまで温度を上げ、80分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は15時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻を90℃の熱湯で洗い、それをもって酵素の不活化処理し、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0015】
(実施例5)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。そして水洗いの事前処理を行い、用いる水洗いの温度は100℃、保温時間は30分とする。ペクチナーゼとラッカーゼを5:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比3:100の割合で配合した複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の12倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用い黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.1で、温度を60℃にまで上げ、60分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを8.5になるように調整し、45℃にまで温度を上げ、70分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は20時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻をpH11.0の水性溶液で洗い、それをもって酵素の不活化処理し、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。表中から分かるように、本実施例の技術案を使用した効果は最大級の1つである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0016】
(実施例6)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。ペクチナーゼとラッカーゼを4:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比4:100の割合で配合した複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の14倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.2で、温度を58℃にまで上げ、70分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを9.0になるように調整し、40℃にまで温度を上げ、90分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して、堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は12時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻をpH3.0の水性溶液で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をし、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られるようになる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。表中から分かるように、当該実施例の技術案を使用した効果は最大級の1つである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0017】
(実施例7)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。ペクチナーゼとラッカーゼを2:3の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比1:100の割合で配合した複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の13倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.3で、温度を57℃にまで上げ、80分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを8.3になるように調整し、65℃にまで温度を上げ、100分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して、堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は8時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻を85℃の熱湯で洗浄し、それをもって酵素の不活化処理をし、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。

【0018】
(実施例8)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。ペクチナーゼとラッカーゼを3:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比2:100の割合で配合した複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の13倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.4で、温度を56℃にまで上げ、90分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを8.1になるように調整し、70℃にまで温度を上げ、110分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して、pHが10.0、温度が75℃の熱湯で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をし、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0019】
(実施例9)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。ペクチナーゼとラッカーゼを2:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比1:100の割合で配合した複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の16倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.5で、温度を55℃にまで上げ、100分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを8.2になるように調整し、55℃にまで温度を上げ、120分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出し、さらにpHが3.5、温度が80℃の熱湯で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をし、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られるようになる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0020】
(実施例10)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。水洗いの事前処理を行い、水洗いの温度は65℃、保温時間は2時間とする。ペクチナーゼとラッカーゼを3:7の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比2.1:100の割合で配合した複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の15倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.5で、温度を55℃に上げ、25分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを7.5になるように調整し、60℃にまで温度を上げ、25分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は24時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻を80℃の熱湯で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られるようになる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0021】
(実施例11)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。酸洗いと水洗いの事前処理を行い、用いる酸は濃度が90%以上の濃硫酸で、水洗いの温度は30℃、保温時間は1時間とする。ペクチナーゼとラッカーゼを9:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比5:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の15倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.0で、温度を60℃に上げ、50分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを7.5になるように調整し、65℃にまで温度を上げ、40分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は6時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻を95℃の熱湯で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴム化を経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0022】
(実施例12)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。黄麻に対して酸洗いの事前処理を行い、用いる酸は濃度が90%以上の濃硫酸で、ペクチナーゼとラッカーゼを1:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比4:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の15倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.0で、温度を55℃に上げ、40分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを8.0になるように調整し、60℃にまで温度を上げ、50分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は10時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻を85℃の熱湯で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴム化を経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0023】
(実施例13)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。過酸化水素水浸漬の事前処理を行い、用いる過酸化水素水の濃度は5g/Lとする。ペクチナーゼとラッカーゼを2:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比4:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の15倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用い黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.3で、温度を58℃に上げ、50分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを7.8になるように調整し、70℃にまで温度を上げ、30分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は12時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻を90℃の熱湯で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴム化を経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0024】
(実施例14)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。水洗いの事前処理を行い、水洗いの温度は100℃、保温時間は30分間とする。ペクチナーゼとラッカーゼを5:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比3.5:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の15倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.0で、温度を55℃に上げ、30分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを7.7になるように調整し、65℃にまで温度を上げ、40分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は20時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻をpH11.0の水性溶液で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。表中から分かるように、当該実施例の技術案を使用した効果は最大級の一つである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0025】
(実施例15)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。ペクチナーゼとラッカーゼを4:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比3:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の15倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.0で、温度を60℃にまで上げ、45分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを8.0になるように調整し、65℃にまで温度を上げ、45分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は15時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻をpH3.5の水性溶液で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。表中から分かるように、当該実施例の技術案を使用した効果は最大級の一つである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0026】
(実施例16)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。ペクチナーゼとラッカーゼを2:3の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比2.5:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の15倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.2で、温度を57℃にまで上げ、35分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを8.0になるように調整し、65℃にまで温度を上げ、35分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は8時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻を85℃の熱湯で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0027】
(実施例17)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。ペクチナーゼとラッカーゼを3:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比4.5:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の15倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用い黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.0で、温度を58℃にまで上げ、35分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを7.8になるように調整し、70℃にまで温度を上げ、45分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出し、pHが10.0、温度が75℃の熱湯で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0028】
(実施例18)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。ペクチナーゼとラッカーゼを2:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比2.5:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の15倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.4で、温度を56℃にまで上げ、25分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを7.6になるように調整し、65℃にまで温度を上げ、30分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出し、pHが3.0、温度が80℃の熱湯で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0029】
(実施例19)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。水洗いの事前処理を行い、水洗いの温度は65℃、保温時間は2時間とする。ペクチナーゼとラッカーゼを3:7の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比0.5:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の12倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.5で、温度を55℃に上げ、50分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを7.5になるように調整し、60℃にまで温度を上げ、51分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は24時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻を80℃の熱湯で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0030】
(実施例20)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。酸洗いと水洗いの事前処理を行い、用いる酸の濃度は90%以上の濃硫酸、水洗いの温度は30℃、保温時間は1時間とする。ペクチナーゼとラッカーゼを9:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比5:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の40倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用い黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.0で、温度を60℃に上げ、25分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを7.5になるように調整し、65℃に温度を上げ、120分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は6時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻を95℃の熱湯で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0031】
(実施例21)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。黄麻に対して酸洗いの事前処理を行い、用いる酸は濃度90%以上の酢酸とする。ペクチナーゼとラッカーゼを1:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比1:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の20倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.0で、温度を55℃に上げ、30分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを8.0になるように調整し、70℃に温度を上げ、60分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、効果向上堆積放置処理の時間は10時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻を85℃の熱湯で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0032】
(実施例22)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。そして過酸化水素水による浸漬予処理を行い、用いる過酸化水素水の濃度は5g/Lである。ペクチナーゼとラッカーゼを2:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比2:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の30倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用い黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.3で、温度を58℃に上げ、40分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを7.8になるように調整し、69℃に温度を上げ、90分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は15時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻を90℃の熱湯で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0033】
(実施例23)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。水洗いの事前処理を行い、水洗いの温度は100℃、保温時間は30分とする。ペクチナーゼとラッカーゼを5:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比3:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の12倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.0で、温度を55℃に上げ、50分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを7.7になるように調整し、65℃に温度を上げ、80分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は20時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻をpH3.0の水性溶液で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴム化を経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。表中から分かるように、当該実施例の技術案を使用した効果は最大級の一つである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0034】
(実施例24)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。ペクチナーゼとラッカーゼを4:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比4:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の14倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.0で、温度を60℃に上げ、40分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを8.0になるように調整し、65℃に温度を上げ、70分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は12時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻をpH11.0の水性溶液で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴム化を経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。表中から分かるように、当該実施例の技術案を使用した効果は最大級の一つである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0035】
(実施例25)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。ペクチナーゼとラッカーゼを2:3の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比1:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の13倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.2で、温度を57℃に上げ、30分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを8.0になるように調整し、60℃にまで温度を上げ、100分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出して堆積放置し、効果向上のための堆積放置処理を行い、処理時間は8時間とする。効果向上のための堆積放置処理を経た黄麻を90℃の熱湯で洗浄し、それをもって酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0036】
(実施例26)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。ペクチナーゼとラッカーゼを3:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比2:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の13倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.0で、温度を58℃に上げ、25分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを7.8になるように調整し、70℃に温度を上げ、110分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出し、pHが10.0、温度が75℃の熱湯で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0037】
(実施例27)
市場から購入した黄麻の梱包を解き、約0.5kgの一個一個の小束に分ける。ペクチナーゼとラッカーゼを2:1の重量比で複合酵素に配合し、黄麻との重量比1:100の割合で配合された複合酵素を計量し、そして水で黄麻重量の16倍相当に希釈し、希釈後の複合酵素の水性溶液を用いて黄麻を水漬けする。希釈した後の溶液のpHを酢酸とソーダを用いて調整し、pHは5.4で、温度を56℃に上げ、50分間保持する。その後、ソーダで溶液のpHを7.6になるように調整し、55℃に温度を上げ、100分間保持する。それから黄麻を溶液の中から取り出し、pHが3.5、温度が80℃の熱湯で洗浄し、それにより酵素の不活化処理をして、脱ゴム化を経た黄麻繊維が得られる。得られた脱ゴムを経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率は表1に示される通りである。
上述の脱ゴム化を経た黄麻繊維を既存技術に従って漂白脱色、打ち砕き、すすぎ、脱水、乾燥処理をすることにより、紡績性能に優れた黄麻繊維製品が得られる。
【0038】
上述実施例の中で用いられたペクチナーゼとラッカーゼは、それぞれデンマークのノボザイムズ社(NOBOZYMES)が生産したペクチナーゼ(Bioprep)とラッカーゼ(Denilite)である。表1から各実施例で得られた脱ゴム化を経た黄麻繊維中のペクチンとリグニンの除去率を示されている。
明らかなように、上述の実施例はただ詳細に説明するために提供した実例であって、本発明に対する制限では決してない。この分野における当業者にとっては、ここですべての実施方式を挙げる方法も必要もなく、上述の説明に基づいて、その他異なる形式の変化形又は変更を導き出すことは可能であるが、これによって導かれた明らかな変化形、又は変更は依然として本発明の権利の範囲内である。
【0039】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.ペクチナーゼとラッカーゼの配合によって造られた1つの複合酵素の水溶液に黄麻を浸漬するステップと、
ここにおいて前記複合酵素の水溶液と前記黄麻の重量比は12:1〜40:1の範囲であり、
b.前記複合酵素の水溶液のpHの値を5.0〜5.5になるように調整し、そして温度を55℃〜60℃の範囲に高め、20分〜120分の範囲の時間保持するステップと、
c.次に前記溶液のpHを8.0より大きく且つ9.5以下の範囲になるように調整し、40℃〜70℃の範囲の温度下で20分〜120分の範囲の時間保持するステップと、
d.前記複合酵素による処理を経た黄麻に対して前記複合酵素の不活化処理を行うステップと、
からなることを特徴とする、ペクチナーゼとラッカーゼを含む複合酵素を使用して黄麻を脱ゴム化する方法。
【請求項2】
前記ステップdの前に効果向上のための1つの堆積放置処理のステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記効果向上のための堆積放置処理の時間は6〜24時間の範囲の時間であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップdにおける前記酵素の不活化処理は、高温水洗い、pH調整、又は両者の組み合わせによることを特徴とする請求項1−3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記複合酵素におけるペクチナーゼの重量比は30〜90%の範囲にあることを特徴とする請求項1−3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複合酵素と前記黄麻の重量比は0.5:100〜5:100の範囲にあることを特徴とする請求項1−3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記高温水洗いを行う時の水の温度は75℃以上であり、前記pH調整により酵素の不活化処理を行う時のpHは10.0以上、又は4.0より小さいことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップaの前に前記黄麻に対する1つの事前処理ステップを更に含むことを特徴とする請求項1−3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記事前処理ステップは水洗い、酸洗い又は過酸化水素水への浸漬の中の1つ、又は複数の組合せであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記水洗いの温度は30℃〜100℃の範囲であり、前記酸洗いは、硫酸又は酢酸を使用することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
a.ペクチナーゼとラッカーゼの配合によって造られた1つの複合酵素の水溶液に黄麻を浸漬するステップと、
ここにおいて前記複合酵素の水溶液と前記黄麻の重量比は15:1で、前記複合酵素と前記黄麻の重量比は2:100より大きく且つ、5:100以下の範囲であり、
b.前記複合酵素の水溶液のpHを5.0〜5.5の範囲になるように調整し、そして温度を55℃〜60℃の範囲に上げ、25分〜50分の範囲の時間保持するステップと、
c.次に前記溶液のpHを7.5〜8.0の範囲になるように調整し、60℃〜70℃の範囲の温度下で25分〜50分の範囲の時間保持するステップと、
d.前記複合酵素による処理を経た黄麻に対して前記複合酵素の不活化処理を行うステップと、
からなることを特徴とする、ペクチナーゼとラッカーゼを含む複合酵素を使用して黄麻を脱ゴム化する方法。
【請求項12】
前記ステップdの前に効果向上のための1つの堆積放置処理のステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記効果向上のための堆積放置処理の時間は6〜24時間の範囲の時間であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップdにおける前記酵素の不活化処理は、高温水洗い、pH調整、又は両者の組み合わせによることを特徴とする請求項11−13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記複合酵素におけるペクチナーゼの重量比は30〜90%の範囲にあることを特徴とする請求項11−13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記高温水洗いを行う時の水の温度は75℃以上であり、前記pH調整により酵素の不活化処理を行う時のpHは10.0以上、又は4.0より小さい範囲にあることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップaの前に前記黄麻に対する1つの事前処理ステップを更に含むことを特徴とする請求項11−13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記事前処理ステップは水洗い、酸洗い又は過酸化水素水への浸漬の中の1つ、又は複数の組合せであることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記水洗いの温度は30℃〜100℃の範囲であり、前記酸洗いは、硫酸又は酢酸を使用することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
a.ペクチナーゼとラッカーゼの配合によって造られた1つの複合酵素の水溶液に黄麻を浸漬するステップと、
ここにおいて前記複合酵素の水溶液と前記黄麻の重量比は12:1〜40:1の範囲であり、
b.前記複合酵素の水溶液のpHを5.0〜5.5の範囲になるように調整し、そして温度を55℃−60℃の範囲に上げ、25分〜50分の範囲の時間保持するステップと、
c.次に前記溶液のpHを7.5〜8.0の範囲になるように調整し、60℃〜70℃の範囲の温度下で51分〜120分の範囲の時間保持するステップと、
d.前記複合酵素による処理を経た黄麻に対して前記複合酵素の不活化処理を行うステップと、
からなることを特徴とする、ペクチナーゼとラッカーゼを含む複合酵素を使用して黄麻を脱ゴム化する方法。
【請求項21】
前記ステップdの前に効果向上のための1つの堆積放置処理のステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記効果向上のための堆積放置処理の時間は6〜24時間の範囲の時間であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ステップdにおける前記酵素の不活化処理は、高温水洗い、pH調整、又は両者の組み合わせによることを特徴とする請求項20−22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記複合酵素におけるペクチナーゼの重量比は30〜90%の範囲にあることを特徴とする請求項20−22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記複合酵素と前記黄麻の重量比は0.5:100〜5:100の範囲にあることを特徴とする請求項20−22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記高温水洗いを行う時の水の温度は75℃以上であり、前記pH調整により酵素の不活化処理を行う時のpHは10.0以上、又は4.0より小さい範囲にあることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記ステップaの前に前記黄麻に対する1つの事前処理ステップを更に含むことを特徴とする請求項20−22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記事前処理ステップは水洗い、酸洗い又は過酸化水素水への浸漬の中の1つ、又は複数の組合せであることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記水洗いの温度は30℃〜100℃の範囲であり、前記酸洗いは、硫酸又は酢酸を使用することを特徴とする請求項28に記載の方法。

【公表番号】特表2010−540785(P2010−540785A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526133(P2010−526133)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【国際出願番号】PCT/CN2008/001660
【国際公開番号】WO2009/049485
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(510042965)チャンス レッドバッド テキスタイル テクノロジー カンパニー リミテッド (5)
【Fターム(参考)】