説明

複層建築物に敷設する立体庭園における自動日照システム

【課題】複層建築物に敷設する立体庭園の日照において、各階庭園へ、上階の影響を受けずに日光を照射するための自動日照システムを提供する。
【解決手段】複層建築物1の各階に設けた庭園6の日照において、各階庭園6の各階の日照を受ける側に曲面反射板113、3と太陽光発電装置12を、各階庭園の天井に反射板113aまたは曲面反射板4を設け、日照を受ける側の反射板113、3に自動角度調整装置を取り付け、前記自動角度調整装置を太陽光発電により駆動して反射板113、3より、天井の反射板113a、4に日光を照射することによって、各階庭園6に上部から広くまたは集中して日光を照射する。また、地上または屋上に集光機7と投光機8を設け、集光機7から投光機内反射板9へ、投光機8から各階庭園6の天井の反射板4へ、反射板4から各階庭園6へ日光を照射しても良い。自動角度調整装置の制御のためにGPSを用いても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複層建築物に敷設する立体庭園における自動日照システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
限られた日照量の環境下で大規模な緑化を実現する緑化装置の技術があった。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10―248388
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
都市はますます高層化し、緑が少なくなってきている。高層ビル群の中では地上の緑だけでは十分ではない。ヒートアイランドの公害も発生している。二酸化炭素削減の課題もある。建築物に敷設した立体庭園(ヴァーチカルガーデン)が望まれる。
【0005】
建築物に敷設した立体庭園の場合、各階庭園に当たる日照が、上階の影響を受けるので、各階庭園へいかにして日照するかが課題になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
複層建築物の各階に設けた庭園の日照において、
各階庭園の各階の日照を受ける側に平面反射板または曲面反射板と太陽光発電装置を、
または各階庭園の日照を受ける側の地上に集光機と連動した投光機と太陽光発電装置を、各階庭園の天井に平面反射板または曲面反射板を設け、太陽光発電装置、前記日照を受ける各階の反射板または投光機に自動角度調整装置を取り付け、
前記自動角度調整装置を太陽光発電により駆動して反射板または投光機より、
前記天井の反射板に日光を照射することによって、各階庭園に上部から広くまたは集中して日光を照射することを特徴とする自動日照システムである。
平面反射板または曲面反射板と太陽光発電装置は、一体に、または、同一回転軸上に設け、反射板は反射光が天井の反射板に当たるように、太陽光発電装置は太陽光に垂直になるよう取り付けることが効率的である。
投光機は、少なくとも各階庭園の数だけ設ける。集光装置と投光器を屋上に設けても良い。また、天井の反射板にも自動角度調整装置を取り付け、日照を受ける側の反射板または投光機の自動角度調整装置と天井の反射板の自動角度調整装置を連動しても良い。さらに自動角度調整装置に合わせて自動移動装置を取り付けても良い。
集光機にGPSを取り付けることによって、各反射板の位置を算出し、各自動角度調整装置の角度を自動的に算出して、自動角度調整装置を駆動させることができる。
【0007】
各階庭園へ自動で潅水を行うエネルギー、各階庭園へ自動で養液、薬液を補給するエネルギーを前記太陽光発電によるようにしても良い。
【発明の効果】
【0008】
都市内建築物に日照を受け、持続可能な立体庭園(ヴァーチカルガーデン)を敷設することにより、都市の景観を良くし、ヒートアイランド、二酸化炭素の削減にも寄与する。また、そこで暮す人、仕事をする人に潤いを与える。庭園の替りに、菜園または稲園とすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1の(1)参照。各階庭園(6)の各階の日照を受ける側に凸面反射板(113)と太陽光発電装置(12)を設け、前記凸面反射板(113)に自動角度調整装置(図示せず)を取り付けている。前記凸面反射板(113)の自動角度調整装置を太陽光発電(12)により駆動して各階庭園(6)に日光を照射、または、各階庭園の天井に反射板(113a)を設け、上部の反射板(113a)に前記日照を受ける凸面反射板(113)の日光を拡げて照射することによって各階庭園(6)に日光を上部から広く照射する。自動角度調整装置の図示は省略する。太陽光発電装置も、日照を受ける凸面反射板(113)と同じく、太陽に追従することが望ましいので、太陽光発電装置は、凸面反射板(113)と並べて配置されることになる。凸面反射板(113)は、2次元的な凸面反射板(かまぼこ状)または3次元的な凸面反射板(凸レンズの面状)にすることができる。かまぼこ状凸面反射板にして1軸回転にする場合は、回転軸を南北軸に垂直にする。朝から夕刻まで反射板(113)を反射して天井に当たる日光は東西(南北移動は、回転によって調整できる。)に大きく移動する。従って、この日光を受ける天井の反射板は、長さと形状が要求される。形状は、南北軸を軸にした凹面状が望ましい。日照を受ける反射板も長さを活かそうとすれば、かまぼこ状の形をさらに南北軸に対して凹面形にした3次曲面が望ましい。日照を受ける反射板を、凸レンズの面と同じ3次曲面とし、2軸回転とすることによって、概略受けた日光の全てを天井の反射板へ照射できるので、各階庭園への日光の照射範囲、照射量の制御を容易、正確にできる。長さと面積のある2次元的凸面反射板にするか、一つまたは複数の3次元的凸面反射板にするかは、各階庭園への日光の照射範囲、照射量、コストによって決めることになる。
【0010】
図1の(2)の上部を参照。各階庭園(6)の各階の日照を受ける側に凹面反射板(3)と太陽光発電装置を、各階庭園(6)の天井に凸面反射板(4)を設けた例である。前記凹面反射板(3)に自動角度調整装置(図示せず)を取り付け、前記自動角度調整装置を太陽光発電により駆動して凹面反射板(3)より、前記天井の凸面反射板(4)に日光を照射し、天井の凸面反射板(4)より各階庭園(6)に、上部から日光を拡げて広く照射することを特徴とする自動日照システムである。日照を受ける反射板を凹面反射板(3)として、日光を集光して天井の凸面反射板(4)に照射することによって、天井の凸面反射板(4)を小さくすることができる。凹面反射板(3)を2次曲面とするか3次曲面とするかは、前記と同じである。
双方の曲面の形状と曲率、大きさ、自動角度調整装置の取り付け範囲(天井にも取り付けるかどうか、1軸回転とするか2軸回転とするか)の費用対効果の算出は可能である。
【0011】
図1の(2)参照。各階庭園(6)の日照を受ける側の地上に集光機(7)と各階庭園ごとに少なくとも一つの投光機(8)と太陽光発電装置(13)を、各階庭園(6)の天井に凸面反射板(4)を設ける。前記集光機(7)または投光機(8)に自動角度調整装置を取り付け、集光機(7)と投光機(8)を連動させ、前記自動角度調整装置を太陽光発電により駆動して、集光機(7)から投光機(8)の反射板(9)へ、投光機内反射板(9)から各階庭園(6)の天井の凸面反射板(4)に日光を照射し、天井の凸面反射板(4)より各階庭園(6)に、上部から日光を拡げて広く照射することを特徴とする自動日照システムである。投光機(8)の数は少なくとも各階庭園の数だけ必要であるが、図では省略して二つだけ表現している。自動角度調整装置は省略しているが、二つの回転軸が図示されている。一つの軸(14)は東西軸に、他方の軸(14)は南北軸になる。投光機内反射板(9)を凸面反射板として、集光機(7)から日光を、凸面反射板の大きさ内に照射することによって、投光機(8)の大きさを小さくすることもできる。当然安全上から小さくする限度はある。一つの集光機(7)から日光を複数の投光機内反射板(9)へ分割して照射するには、集光機の中央反射板(32)からの一束の光束を投光機内複数の反射板(9)で分割して受ける方法と、集光機の中央反射板(32)から複数の光束をそれぞれの投光機内反射板(9)に照射する方法がある。前者の方法によるには、一つの投光機内に複数の反射板(9)を収納することが考えられ、後者の方法によるには、集光機の中央反射板(32)からの複数の光束を複数の投光機(8)で受けることが考えられる。
【0012】
図1の(2)参照。 前記集光機(7)と投光機(8)を一体化して、
投光機(8)に直接日光を照射する集光機の中央反射板(32)にGPS(27)を取り付け、
GPS[投光機に直接日光を照射する集光機の中央反射板(32)の位置]→自動角度調整装置(内PC)[投光機内平面反射板(9)の位置を算出→集光機の反射板(32)の位置と投光機内平面反射板(9)の位置と天井の反射板(4)の位置より投光機内反射板(9)の角度を算出]→自動角度調整装置[前記算出された角度に投光機内平面反射板(9)を駆動]→投光機内平面反射板(9)より各階庭園天井の反射板(4)へ日光を照射
とすることを特徴とする。
【0013】
複層建築物(1)の各階に設けた庭園(6)の日照において、
各階庭園の屋上に集光機(17)、太陽光発電装置(23)、
前記集光機(17)後部に第1の投光機(18)、及び、
各階の日照を受ける側の反射板(10)に向け照射する各階毎用の少なくとも一つの第2の投光機(28)を設け、
各階の日照を受ける側に反射板(10)を、
各階庭園の天井に曲面反射板(4)を設け、
当該第1の投光機(18)と第2の投光機(28)内は、それぞれ少なくとも一つの平面反射板(19)、平面反射板(29)からなり、
前記集光機(17)、第1の投光機(18)内の平面反射板(19)、及び、第2の投光機(28)または第2の投光機(28)内の平面反射板(29)に自動角度調整装置を取り付け、
集光機(17)、第1の投光機(18)内の平面反射板(19)、及び、第2の投光機(28)または第2の投光機(28)内の平面反射板(29)を連動させ、
前記自動角度調整装置を太陽光発電(23)により駆動して、
集光機(17)から第1の投光機(18)内の平面反射板(19)へ、
前記平面反射板(19)から第2の投光機内(28)の平面反射板(29)へ、
前記平面反射板(29)から各階の日照を受ける反射板(10)に、
前記反射板(10)から天井の曲面反射板(4)に日光を照射し、
天井の曲面反射板(4)より各階庭園に、
上部から日光を拡げて広くまたは集中して照射することを特徴とする。
図2では、各階庭園(6)は、南側に面している。各階庭園(6)を北側に面して設けることもできる。北側に面して設ける場合は、第1の投光機(18)内の平面反射板(19)より直接各階の日照を受ける反射板(10)に日光を照射すればよい。
【0014】
図3の(1)参照。複層建築物(1)の各階に設けた庭園(6)の日照において、
集光機(77)と投光機(88)を一体化し、
投光機(88)内に一つまたは複数の反射板(99)を設け、
集光機(77)が集光した日光を投光機(88)により、
各階庭園(6)へ直接または天井の反射板に日光を照射することによって、
各階庭園(6)に日光を照射することを特徴とする自動日照システムである。
集光機の凹面反射板(31)は、支柱(101)にヒンジ接合(102)されており、
支柱(101)も自動的に回転するので、集光機(77)は太陽を追従することができる。支柱(101)をジャッキー(103)などで上下するようにしておくことによって、集光機(77)の高さ調整ができる。
図3の(2)は、図3(1)のA−A断面図である。
前記反射板(99)を部分球状体とし、
前記投光機本体(88)に前記反射板(99)と同じ半径の部分球状凹面(91)を、
投光機本体(88)または反射板(99)にリニアモーターを設け、
前記リニアモーターを自動的に駆動させることによって、
前記反射板(99)の部分球状体の切断面(100)より、
集光機(77)からの日光を各階庭園(6)へ、
直接または天井の反射板に日光を照射することを特徴とする。
投光機本体(88)の部分球状凹面(91)と反射板(99)の部分球状面に3箇所以上の磁極(92)を設けることにより反射板(99)をリニアモーターによって自由に動かすことができる。
図4は、前記集光機(77)と投光機(88)を用いて、各階庭園(2)の天井の凸面反射板(4)に日光を照射し、天井の凸面反射板(4)より各階庭園(2)に上部から日光を拡げて広く照射した実施例である。
【0015】
図1の(2)参照。前記集光機(7)と投光機(8)を一体化して、
投光機(8)に直接日光を照射する集光機の中央部反射板(32)にGPS(27)を取り付け、投光機内(8)平面反射板(9)の自動角度調整装置は、GPSによる前記集光機の反射板(32)の位置から投光機内平面反射板(9)の位置を自動的に算出し、
さらに、集光機の反射板(32)と投光機内平面反射板(9)の位置と天井の曲面反射板(4)の位置より天井の曲面反射板(4)に日光を照射するための投光機内平面反射板(9)の角度を自動的に算出することによって駆動し、
投光機内平面反射板(9)より各階庭園天井の曲面反射板(4)へ日光を照射することを特徴とする。
【0016】
図2参照。前記集光機(17)と第1の投光機(18)を一体化して、
第1の投光機(18)内の平面反射板(19)に直接日光を照射する集光機の中央部反射板(33)にGPS(27)を取り付け、
第2の投光機内平面反射板(29)の中心位置を固定し、
各階の日照を受ける側の反射板(10)は、第2の投光機内平面反射板(29)から照射される日光を天井の曲面反射板(4)へ反射する角度に設定され、
第1の投光機(18)内の平面反射板(19)の自動角度調整装置は、
GPSによる集光機の中央部反射板(33)の位置から第1の投光機(18)内の平面反射板(19)の位置を自動的に算出し、
さらに、集光機の中央部反射板(33)の位置と第1の投光機(18)内の平面反射板(19)の位置と第2の投光機内平面反射板(29)の中心位置より、第2の投光機内平面反射板(29)へ日光を照射するための第1の投光機(18)内の平面反射板(19)の角度を自動的に算出することによって駆動し、
第2の投光機内の平面反射板(29)の自動角度調整装置は、第1の投光機(18)内の平面反射板(19)の位置、第2の投光機内の平面反射板(29)の中心位置及び各階の反射板(10)の中心位置より、各階の反射板(10)へ日光を照射するため第2の投光機内平面反射板(29)の角度を自動的に算出することによって駆動し、
各階の反射板(10)より各階庭園の天井の曲面反射板(4)へ日光を照射することを特徴とする。
【0017】
前記自動角度調整装置(図示せず)が、前記GPS(27)による集光機(7、17)の位置と日時により、自動的に算出して集光機(7、17)に太陽を追従させることを特徴とする。
【0018】
図1の(1)参照。前記太陽光発電装置(12)に太陽を追従させ、
前記曲面反射板(113)と太陽光発電装置(12)の自動角度調整装置を連動させ、
曲面反射板(113)の自動角度調整装置に、太陽光発電装置(12)の自動角度調整装置の移動角の1/2を移動させることによって、
曲面反射板(113)より天井の曲面反射板(4)に日光を照射することを特徴とする請求項6記載の自動日照システムである。
図5は、太陽(S)の移動と太陽を追従する太陽光発電装置(12A〜12D)角度と天井の反射板(113a)に日光を照射する曲面反射板(113A〜113D)の角度の関係を示した断面図兼平面図である。まず、断面図として見る。
図面上の横の線は水平線(H)を、縦の線(V)は垂直線を示す。太陽(S)が、高度A、B、C、Dの位置にある時の太陽を追従する太陽光発電の位置がそれぞれ12A、12B、12C、12Dであり、曲面反射板(113A〜113D)が、天井の反射板(113a)を照射する角度がそれぞれ113A、113B、113C、113Dである。断面的に曲面反射板(113)が天井の反射板(113a)に日光を照射するための移動角が、太陽を追従する太陽光発電装置の移動角の1/2であることを図3は示している。
次に平面図として見る。図面上の縦の線は南北軸(So−N)を、横の線(E−W)は東西軸を示す。太陽(S)が、方位角A、B、C、Dの位置にある時の太陽を追従する太陽光発電の位置がそれぞれ12A、12B、12C、12Dであり、曲面反射板(113A〜113D)が、天井の反射板(113a)を照射する角度がそれぞれ113A、113B、113C、113Dである。平面的に曲面反射板(113)が天井の反射板(113a)に日光を照射するための移動角が、太陽を追従する太陽光発電装置の移動角の1/2であることを図3は示している。よって、曲面反射板(113)が天井の反射板(113a)に日光を照射するための移動角は、太陽を追従する太陽光発電装置の移動角の1/2である。
もし、太陽光発電装置(12A〜12D)と曲面反射板(113A〜113D)が一体移動した場合、曲面反射板(113D)の位置は図4の113D’の位置に来て、高度Dの太陽(S)の日光はD’の方向に向かい、天井の反射板(113a)から大きくそれることになる。
【0019】
前記太陽光発電装置(13、23)を前記集光機(7、17、77)の外周または中央に取り付け、前記太陽光発電装置(13、23)または前記各階の太陽光発電装置(12)の発電量が最大になるように自動角度調整装置が制御されることによって、自動角度調整装置が、集光機(7,17、77)または各階庭園の太陽光発電装置(12)に太陽を追従させることを特徴とする。さらに、以下詳細に説明する。
ある地点でのt時における太陽の方位角At 及び高度Htは、下記によって示される。
At=Ato±a 0≦a≦am
Ht=Hto±h 0≦h≦hm
At;t時における方位角
Ht;t時における高度
Ato;t時における標準方位角
Hto;t時における標準高度
a;方位偏差角
h;高度偏差度
am;最大方位偏差角
hm;最大高度偏差度
従って、下記制御をすることができる。
方位角の制御;毎時太陽光発電装置(12)の自動角度調整装置をAto±amの範囲で角度を変えてその角度範囲内で太陽光発電量が最大になった時の角度または偏差角を探知する。

太陽光発電が最大になった角度または偏差角に従って自動角度調整装置が駆動する。

太陽高度の制御

方位角制御に同じである。
Ato、Htoの数値は、1年を通じて制御を自動角度調整装置に委ねる場合には春分時または秋分時の数値を用いれば良い。その時am、hmの数値は、冬至または夏至の方位角、高度より算出する。Ato、Htoの数値を四季ごとまたは毎月ごとに設定することによって、自動角度調整装置の移動角を少なくすることができる。
【0020】
前記集光機(7、17、77)または前記各階の太陽光発電装置(12)に垂直光探知装置(200)を取り付け、前記太陽光発電装置(13、23)の発電量が最大になるように自動角度調整装置が制御される替わりに、前記垂直光探知装置(200)によって、集光機(7、17、77)または各階の太陽光発電装置(12)が日光に垂直になるように自動角度調整装置が制御されることによって、自動角度調整装置が、集光機(7,17、77)または各階庭園の太陽光発電装置(12)に太陽を追従させるようにしても良い。
図6は、垂直光探知装置(200)の実施例である。図(1)、図(2)、図(3)、図(4)は、それぞれ図(2)のA−A断面図、正面図、図(1)のB−B断面図、側面図を示す。日光を受ける面(201)に孔(202)が開けられており、孔(202)の真下に光センサー(203)が取り付けられているので、光センサー(203)は、日光を受ける面(201)に垂直に照射する日光のみを感知することができる。従って、自動角度調整装置は、垂直光探知装置(200)の光センサー(203)が日光を感知するように駆動することによって、集光機(7、17、77)または各階の太陽光発電装置(12)に太陽を追従させることができる。
【0021】
図1の(1)、(2)参照。前記天井の反射板(113a)または凸面反射板(4)の角度は、正午に日光が各階庭園の日光を必要とする範囲の中央部を照射する角度とする。それによって、太陽の移動に伴って、天井の反射板(113a、4)が照射する範囲の中央部が移動しても、各階庭園(6)の日光を必要とする範囲に最も多量の日光を照射することができる。天井の反射板(113a、4)にも自動角度調整装置を取り付け、日照を受ける反射板(113、3)または投光機内反射板(9)の自動角度調整装置と、天井の反射板(113a、4)の自動角度調整装置を連動して、天井の反射板(113a、4)が照射する範囲を絞り込むことができる。
【0022】
図1、図2参照。前記日照を受ける側の凸面反射板(113)、凹面反射板(3)、投光機(8、18)から各階庭園(6)へ日光を直接照射しても良い。植栽には、自然の状態に近い、上からの日照が望ましい。しかし、天井のある各階庭園(6)では、地上または屋上庭園に比べて、日照が不利であることは否めない。従って、上からの日照のみでなく、前面または下からの日照も同時に可能であるならば、受けた方が良い。もし、天井に蔓性の植物を這わすのであれば、下からの日照は有効である。投光機(7)が各階庭園より上になる場合は、投光機(8)から各階庭園へ直接照射することが有効になる。
前記日照を受ける反射板(113、3、10)投光機(8、18)または天井の反射板(113a、4)に自動移動装置を設けても良い。段落[0009]において、「朝から夕刻まで反射板(113)を反射して天井に当たる日光は、反射板(113)が東西軸による1軸回転の場合、東西(南北移動は、回転によって調整できる。)に大きく移動する。従って、この日光を受ける天井の反射板は、長さと形状が要求される。」と記載した。しかし、日照を受ける反射板(113,3)または天井の反射板(113a、4)に東西に移動する自動移動装置を設けることによって、反射板の長さを短くし、庭園が受ける日照の有効率を高めることもできる。
【0023】
図1の(1)、(2)参照。前記各階庭園(6)に面した室内に温度センサー(117)を設け、温度センサー(117)によって室内温度を探知し、前記日照を受ける平面反射板(10)または曲面反射板(113,3)、投光機(8)、天井の反射板(113a)または凸面反射板(4)の駆動を制御することによって、室内への輻射熱の取り入れを調整することで室内温度を調整することができる。逆に室内の温度を下げるには、別途出願の潅水システムで示すように、各階庭園(6)の植栽の水分、保水性舗装床板の水または池の水の蒸発による気化熱を利用する。例えば、
1室内温度センサーで、室内温度の所定の温度巾の下限を探知→
2天井の反射板を、室内側へ日光を照射するよう駆動→温度上昇→
3室内温度センサーで、室内温度の所定の温度巾の上限を探知→
4天井の反射板を、室内側へ日光を遮断するよう駆動→温度下降。
である。また、例えば、
1室内温度センサーで、室内温度の所定の温度巾の上限を探知→
2天井の反射板を、室内側へ日光を遮断するよう駆動→温度下降
3さらに、日照を受ける反射板を駆動して庭園内への日光の照射を遮断→温度下降→
4それでも所定の温度巾の下限に達しない場合は、庭園への潅水、散水または噴霧を行って気化熱によって庭園内の温度を下げる→
5換気または輻射熱によって庭園内冷気を室内に取り込む。
である。上記駆動は、室内センサーからの信号を受けて自動的に、駆動装置(自動角度調整装置、自動移動装置、自動開栓装置)電源のオン、オフによって行われる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図(1)は、自動日照システム実施例の断面図、図(2)は、別な自動日照システム実施例の断面図である。
【図2】別な自動日照システム実施例の断面図である。
【図3】図(1)は、集光機と投光機実施例の断面図、図(2)は、図(1)のA−A断面図である。
【図4】集光機(77)と投光機(88)を用いて、各階庭園(2)の天井の凸面反射板(4)に日光を照射し、天井の凸面反射板(4)より各階庭園(2)に上部から日光を拡げて広く照射した実施例の斜視図である。
【図5】太陽(S)の移動と太陽光発電装置(12A〜12D)と曲面反射板(113A〜113D)の角度の関係を示した断面図兼平面図である。
【図6】図(1)は、図(2)のA−A断面図、図(2)は正面図、図(3)は、図(1)のB−B断面図、図(4)は側面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 複層建築物
2 立体庭園
3 凹面反射板
4 (天井の)凸面反射板
6 各階庭園
7、17、77 集光機
8、88 投光機
18 第1の投光機
28 第2の投光機
9、19、29(投光機内)平面反射板
10、11 反射板
12,13 太陽光発電装置
14 回転軸
27 GPS
31 (集光機内)凹面反射板
32、33 (集光機内)中央反射板
92 磁極
99 部分球状反射板
113 凸面反射板
113a 天井の反射板
117 温度センサー
200 垂直光探知装置
201 日光を受ける面
202 孔
203 光センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複層建築物(1)の各階に設けた庭園(6)の日照において、
各階庭園の日照を受ける側の地上に集光機(7)、太陽光発電装置(13)、及び、
各階庭園の天井に向け照射する各階毎用の少なくとも一つの投光機(8)を設け、
各階庭園の天井に曲面反射板(4)を設け、
当該投光機内は少なくとも一つの平面反射板(9)からなり、
前記集光機(7)と投光機(8)または平面反射板(9)に自動角度調整装置を取り付け、集光機(7)と投光機(8)または平面反射板(9)を連動させ、
前記自動角度調整装置を太陽光発電(13)により駆動して、
集光機(7)から投光機内平面反射板(9)へ、
投光機内平面反射板(9)から前記天井の曲面反射板(4)に日光を照射し、
天井の曲面反射板(4)より各階庭園(6)に、
上部から日光を拡げて広くまたは集中して照射することを特徴とする自動日照システム。
【請求項2】
複層建築物(1)の各階に設けた庭園(6)の日照において、
各階庭園の屋上に集光機(17)、太陽光発電装置(23)、
前記集光機(17)後部に第1の投光機(18)、及び、
各階の日照を受ける側の反射板(10)に向け照射する各階毎用の少なくとも一つの第2の投光機(28)を設け、
各階の日照を受ける側に反射板(10)を、
各階庭園の天井に曲面反射板(4)を設け、
当該第1の投光機(18)と第2の投光機(28)内は、それぞれ少なくとも一つの平面反射板(19)、平面反射板(29)からなり、
前記集光機(17)、第1の投光機(18)内の平面反射板(19)、及び、第2の投光機(28)または第2の投光機(28)内の平面反射板(29)に自動角度調整装置を取り付け、
集光機(17)、第1の投光機(18)内の平面反射板(19)、及び、第2の投光機(28)または第2の投光機(28)内の平面反射板(29)を連動させ、
前記自動角度調整装置を太陽光発電(23)により駆動して、
集光機(17)から第1の投光機(18)内の平面反射板(19)へ、
前記平面反射板(19)から第2の投光機内(28)の平面反射板(29)へ、
前記平面反射板(29)から各階の日照を受ける反射板(10)に、
前記反射板(10)から天井の曲面反射板(4)に日光を照射し、
天井の曲面反射板(4)より各階庭園に、
上部から日光を拡げて広くまたは集中して照射することを特徴とする自動日照システム。
【請求項3】
複層建築物(1)の各階に設けた庭園(6)の日照において、
集光機(77)と投光機(88)を一体化し、
投光機(88)内に一つまたは複数の反射板(99)を設け、
集光機(77)が集光した日光を投光機(88)により、
各階庭園(6)へ直接または天井の反射板に日光を照射することによって、
各階庭園(6)に日光を照射することを特徴とする自動日照システム。
【請求項4】
前記反射板(99)を部分球状体とし、
前記投光機本体(88)に前記反射板(99)と同じ半径の部分球状凹面(91)を、
投光機本体(88)または反射板(99)にリニアモーターを設け、
前記リニアモーターを自動的に駆動させることによって、
前記反射板(99)の部分球状体の切断面(100)より、
集光機(77)からの日光を各階庭園(6)へ、
直接または天井の反射板に日光を照射することを特徴とする請求項3記載の自動日照システム。
【請求項5】
前記集光機(7)と投光機(8)を一体化して、
投光機(8)に直接日光を照射する集光機の中央部反射板(32)にGPS(27)を取り付け、
投光機内(8)平面反射板(9)の自動角度調整装置は、GPSによる前記集光機の反射板(32)の位置から投光機内平面反射板(9)の位置を自動的に算出し、
さらに、集光機の中央部反射板(32)と投光機内平面反射板(9)の位置と天井の曲面反射板(4)の位置より天井の曲面反射板(4)に日光を照射するための投光機内平面反射板(9)の角度を自動的に算出することによって駆動し、
投光機内平面反射板(9)より各階庭園天井の曲面反射板(4)へ日光を照射することを特徴とする請求項1に記載の自動日照システム。
【請求項6】
前記集光機(17)と第1の投光機(18)を一体化して、
第1の投光機(18)内の平面反射板(19)に直接日光を照射する集光機の中央部反射板(33)にGPS(27)を取り付け、
第2の投光機内平面反射板(29)の中心位置を固定し、
各階の日照を受ける側の反射板(10)は、第2の投光機内平面反射板(29)から照射される日光を天井の曲面反射板(4)へ反射する角度に設定され、
第1の投光機(18)内の平面反射板(19)の自動角度調整装置は、
GPSによる集光機の中央部反射板(33)の位置から第1の投光機(18)内の平面反射板(19)の位置を自動的に算出し、
さらに、集光機の中央部反射板(33)の位置と第1の投光機(18)内の平面反射板(19)の位置と第2の投光機内平面反射板(29)の中心位置より、第2の投光機内平面反射板(29)へ日光を照射するための第1の投光機(18)内の平面反射板(19)の角度を自動的に算出することによって駆動し、
第2の投光機内の平面反射板(29)の自動角度調整装置は、第1の投光機(18)内の平面反射板(19)の位置、第2の投光機内の平面反射板(29)の中心位置及び各階の反射板(10)の中心位置より、各階の反射板(10)へ日光を照射するため第2の投光機内平面反射板(29)の角度を自動的に算出することによって駆動し、
各階の反射板(10)より各階庭園の天井の曲面反射板(4)へ日光を照射することを特徴とする請求項2に記載の自動日照システム。
【請求項7】
前記自動角度調整装置が、前記GPS(27)による集光機(7、17)の位置と日時により、自動的に算出して集光機(7、17)に太陽を追従させることを特徴とする請求項5または6に記載の自動日照システム。
【請求項8】
複層建築物(1)の各階に設けた庭園(6)の日照において、
各階庭園(6)の各階の日照を受ける側に曲面反射板(113)と太陽光発電装置(12)を、各階庭園の天井にも曲面反射板(113a)を設け、
前記日照を受ける曲面反射板(113)または太陽光発電装置(12)に自動角度調整装置を取り付け、
前記自動角度調整装置を太陽光発電(12)により駆動して反射板(113)より、
前記天井の曲面反射板(113a)に日光を照射することによって、
各階庭園(6)に上部から日光を拡げて広くまたは集中して照射することを特徴とする自動日照システム。
【請求項9】
前記太陽光発電装置(12)に太陽を追従させ、
前記曲面反射板(113)と太陽光発電装置(12)の自動角度調整装置を連動させ、
曲面反射板(113)の自動角度調整装置に、太陽光発電装置(12)の自動角度調整装置の移動角の1/2を移動させることによって、
曲面反射板(113)より天井の曲面反射板(4)に日光を照射することを特徴とする請求項8記載の自動日照システム。
【請求項10】
前記太陽光発電装置(13、23)を前記集光機(7、17、77)の外周または中央に取り付け、前記太陽光発電装置(13、23)または前記各階の太陽光発電装置(12)の発電量が最大になるように自動角度調整装置が制御されることによって、自動角度調整装置が、集光機(7,17、77)または各階庭園の太陽光発電装置(12)に太陽を追従させることを特徴とする請求項1〜6までのいずれか一つに記載の自動日照システム。
【請求項11】
前記天井の曲面反射板(4、113a)にも自動角度調整装置を取り付け、
前記日照を受ける曲面反射板(3、10、113)または投光機内平面反射板(9、19)の自動角度調整装置と、
前記天井の曲面反射板(4、113a)の自動角度調整装置を連動して、
前記日照を受ける反射板(3、10、113)、投光機内平面反射板(9、19)、天井の曲面反射板(4、113a)の自動角度調整装置を太陽光発電(12、13、23)により駆動することを特徴とする請求項1〜10までのいずれか一つに記載の自動日照システム。
【請求項12】
前記日照を受ける反射板(3、10、113)、または、投光機(8、18)から各階庭園(6)へ日光を直接照射することを特徴とする請求項1、2または8記載の自動日照システム。
【請求項13】
前記日照を受ける反射板(3、10、113)、投光機(8、18)または天井の曲面反射板(4)に自動移動装置を設けたことを特徴とする請求項1〜5または7〜11までのいずれか一つに記載の自動日照システム。
【請求項14】
前記各階庭園(6)に面した室内に温度センサー(117)を設け、
温度センサー(117)によって室内温度を探知し、
前記日照を受ける反射板(3、10、113)、投光機(8、18)または天井の曲面反射板(4)の自動角度調整装置駆動を制御することによって、室内への輻射熱の取り入れを調整することで室内温度を調整することを特徴とする請求項1〜13までのいずれか一つに記載の自動日照システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−125276(P2011−125276A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287465(P2009−287465)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【特許番号】特許第4677537号(P4677537)
【特許公報発行日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(301041450)株式会社小笠原設計 (21)
【Fターム(参考)】