説明

複数の偏光回折格子配置を有する偏光無依存型液晶ディスプレイ装置及び関連装置

液晶装置は、第1の偏光回折格子101、第2の偏光回折格子102及び液晶層103を有する。第1の偏光回折格子101は、入射光190を偏光させかつ回折させて、入射光190に対して偏光及び伝播方向が異なる第1のビーム195及び第2のビーム196にするように構成される。液晶層103は、第1の偏光回折格子101から第1のビーム195及び第2のビーム196を受け取るように構成される。液晶層103は、内部を通過する第1のビーム195及び第2のビーム196のそれぞれの偏光に実質的に影響を与えない第1の状態と、内部を通過する第1のビーム195及び第2のビーム196のそれぞれの偏光を変更する第2の状態との間で切り換えられるように構成される。第2の偏光回折格子102は、液晶層103からの第1のビーム195及び第2のビーム196を検光しかつ回折させて、液晶層103の状態に応じてその種々の伝播方向を変更するように構成される。関連する装置についても述べる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイに関し、特に、液晶偏光回折格子及び関連する製造方法に関する。
【0002】
政府支援の記述
本発明は、契約番号0621906の下で米国科学財団(National Science Foundation)(NSF)による政府支援によってなされた。米国政府は本発明に対し一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
液晶は、分子の規則正しい配向が存在する流動体を含むことができる。通常、液晶(LC)分子は、異方性であり、細長い(棒状の)形状又は平坦な(円盤状の)形状を有することができる。異方性分子が規則正しく配向する結果、バルクLCは、その機械的特性、電気的特性、磁気的特性及び/又は光学的特性の異方性等、その物理的特性の異方性を呈することが多い。
【0004】
棒状又は円盤状の性質である結果、LC分子の方位分布は、液晶ディスプレイ(LCD)等の光学的な用途において重要な役割を果たす可能性がある。これらの用途において、LC配向は、配向表面の影響を受ける場合がある。配向表面を、LCが予測可能かつ制御可能に表面に対して配向するように処理することができる。多くの場合、配向表面は、単一ドメインがLC装置の全体にわたることを確実にすることができる。配向表面が処理されていない場合、LCには、多くのドメイン及び/又は多くの方位不連続性がある可能性がある。光学的な用途において、これらのドメイン及び不連続性は、光の散乱をもたらし、ディスプレイの性能を劣化させることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの液晶装置(液晶ディスプレイを含む)は、入力光を、正確に機能するために偏光させる必要のある場合がある。しかしながら、大部分の光源は非偏光光をもたらすため(たとえば、蛍光灯、発光ダイオード、超高性能ランプ、白熱灯)、液晶装置は、1つ又は複数の直線偏光子を使用して、光源からの非偏光光を所望の偏光状態の光に変換する場合がある。従来の直線偏光子は、所望の偏光状態の光を通過させることができるが、こうした直線偏光子はまた、他の偏光状態の光を吸収する可能性もある。したがって、光源からの利用可能な光の少なくとも50%は、たとえば熱として喪失する可能性がある。したがって、液晶装置には、著しい光出力損失(たとえば50%を上回る)がある可能性があり、そのため、必要以上に強力な光源が必要である場合がある。これは、たとえば電力消費、熱及び/又はコストに関する理由により望ましくない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のいくつかの実施の形態によれば、液晶装置が、第1の偏光回折格子と、液晶層と、第2の偏光回折格子とを備える。前記第1の偏光回折格子は、入射光を偏光させかつ回折させて、該入射光と偏光が異なりかつ伝播方向が異なる第1のビーム及び第2のビームにするように構成されている。前記液晶層は、前記第1の偏光回折格子から前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取るように構成されると共に、内部を通過する前記第1のビーム及び前記第2のビームのそれぞれの偏光を実質的に変更しない第1の状態と、内部を通過する前記第1のビーム及び前記第2のビームの前記それぞれの偏光を変更する第2の状態との間で切り換えられるように構成されている。前記第2の偏光回折格子は、前記液晶層から前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取るように構成されると共に前記第1のビーム及び前記第2のビームを検光しかつ回折させて、前記液晶層の状態に応じてそのそれぞれの伝播方向を変更するように構成されている。
【0007】
いくつかの実施の形態では、前記第2の偏光回折格子は、前記第1のビーム及び前記第2のビームの前記伝播方向を、前記液晶層が前記第2の状態にあるとき、前記入射光の方向に対して実質的に平行な方向に伝播する光を伝達し、前記液晶層が前記第1の状態にあるとき、前記入射光の方向に対して実質的に平行な方向に伝播しない光を伝達するよう変更するように構成することができる。こうした実施の形態では、前記第1の偏光回折格子は第1の周期的複屈折パターンを有することができ、前記第2の偏光回折格子は、前記第1の周期的複屈折パターンに対して反転した第2の周期的複屈折パターンを有することができる。たとえば、前記第1の偏光回折格子は、第1の周期的ネマチックダイレクタパターンを含む重合液晶層である、前記第2の偏光回折格子は、前記第1の周期的ネマチックダイレクタパターンに対して同じ周期性を有しかつ約180度全体的に回転している第2の周期的ネマチックダイレクタパターンを含む、重合液晶層である。
【0008】
他の実施の形態では、前記第2の偏光回折格子は、前記第1のビーム及び前記第2のビームの前記伝播方向を、前記液晶層が前記第1の状態にあるとき、前記入射光の方向に対して実質的に平行な方向に伝播する光を伝達し、前記液晶層が前記第2の状態にあるとき、前記入射光の方向に対して実質的に平行な方向に伝播しない光を伝達するように変更するように構成することができる。こうした実施の形態では、前記第1の偏光回折格子及び前記第2の偏光回折格子は、周期性及び向きが同じであるそれぞれの第1の周期的複屈折パターン及び第2の周期的複屈折パターンを有することができる。たとえば、前記第1の偏光回折格子及び前記第2の偏光回折格子は、同様に向けられた局所的なネマチックダイレクタパターンを含む重合液晶層でありえる。
【0009】
いくつかの実施の形態では、液晶装置は、前記第2の偏光回折格子から伝達される出力光を受け取るように構成された角度フィルタリングステージを有することができる。該角度フィルタリングステージを、所望の角度を上回る角度で伝播する前記出力光を阻止し、所望の角度を下回る角度で伝播する前記出力光を画面に向けるように構成することができる。たとえば、前記角度フィルタリングステージを、前記入射光に対して実質的に平行な方向に伝播する前記出力光の通過を可能にするが、前記入射光に対して実質的に平行な方向に伝播しない前記出力光を阻止するように構成することができる。いくつかの実施の形態では、前記角度フィルタリングステージは、少なくとも1つのレンズと開口絞りとを有することができる。他の実施の形態では、前記角度フィルタリングステージは、プライバシフィルムである。
【0010】
他の実施の形態では、前記入射光は非偏光光であり、前記第1の偏光回折格子は、前記第1のビーム及び前記第2のビームが、それぞれ、可視波長範囲にわたり前記入射光の強度の約25%を上回る強度を有するように、前記入射光を回折させるように構成することができる。さらに、前記第2の偏光回折格子は、前記第1のビーム及び前記第2のビームを回折させて、約400nmから約700nmの可視波長範囲にわたり、前記入射光の前記強度の約50%を上回る強度を有する出力光を伝達するように構成することができる。いくつかの実施の形態では、前記第2の偏光回折格子は、約400nmから約700nmの波長範囲にわたり、約90%の透過率を有する出力光を伝達するように構成することができる。
【0011】
いくつかの実施の形態では、液晶装置は、第3の偏光回折格子と、中間層と、オフセット補償器を画定する第4の偏光回折格子とを備えることができる。
【0012】
前記第3の偏光回折格子は、前記第2の偏光からの前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取りかつ回折させて、その前記それぞれの伝播方向を変更するように構成することができる。前記中間層は、前記第3の偏光回折格子からの前記第1のビーム及び前記第2のビームを、そのそれぞれの伝播方向を実質的に変更することなく透過させるように構成することができる。前記第4の偏光回折格子は、前記中間層からの前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取りかつ回折させて、その前記それぞれの伝播方向を変更して、前記第2の偏光回折格子から出力される前記第1のビーム及び前記第2のビームの方向に対して実質的に平行な方向に伝播するオフセット補償された出力光を提供するように構成することができる。前記中間層は、前記オフセット補償された出力光が、前記第2の偏光回折格子から出力された前記第1のビーム及び前記第2のビームに対して空間オフセットが低減するように、前記第3の偏光回折格子及び前記第4の偏光回折格子を、前記第2の偏光と前記液晶層との間の距離と実質的に同様の距離だけ分離するように構成された厚さを有することができる。
【0013】
本発明の他の実施の形態によれば、液晶は、偏光回折格子と、液晶層と、反射性基板とを備える。偏光回折格子は、入射光を偏光させかつ回折させて、該入射光と偏光が異なりかつ伝播方向が異なる第1のビーム及び第2のビームにするように構成されている。液晶層は、前記第1の偏光回折格子から前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取るように構成されている。液晶層は、内部を通過する前記第1のビーム及び前記第2のビームのそれぞれの偏光を実質的に変更しない第1の状態と、内部を通過する前記第1のビーム及び前記第2のビームの前記それぞれの偏光を変更する第2の状態との間で切り換えられるように構成されている。反射性基板は、前記液晶層から前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取り、前記第1のビーム及び前記第2のビームを前記液晶層及び前記偏光回折格子を再び通るよう反射するように構成されている。前記偏光回折格子は、前記反射性基板からの前記反射された第1のビーム及び第2のビームを検光しかつ回折させて、前記液晶層の状態に応じてそのそれぞれの伝播方向を変更し、出力光を提供するように構成されている。
【0014】
いくつかの実施の形態では、前記偏光回折格子は第2の偏光回折格子であり、前記装置は、入射光を偏光させかつ回折させて、該入射光と偏光が異なりかつ伝播方向の異なる前記第1のビーム及び前記第2のビームにするにように構成された第1の偏光回折格子を備えることができる。前記装置は、前記第1の偏光回折格子から前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取ると共に、該第1のビーム及び該第2のビームを前記第2の偏光回折格子にその入力光として提供するように構成されたレンズを備えることができる。
【0015】
他の実施の形態では、前記装置は、前記レンズから前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取ると共に該第1のビーム及び該第2のビームを前記第2の偏光回折格子上に反射してそこに入力光を提供するように構成された反射性開口絞りを備えることができる。前記反射性開口絞りは、前記第2の偏光回折格子から内部を通過する前記出力光を画面に向かって伝達するように構成することができる。
【0016】
本発明のさらなる実施の形態によれば、前記装置は、入射光を受け取ると共に光を伝達するように構成された第1の偏光回折格子と、前記第1の偏光回折格子から前記光を受け取ると共に、そこから偏光の異なる第1の成分のビーム及び第2の成分のビームを含む出力光を伝達するように構成された第2の偏光回折格子とを具備する。前記第1の偏光回折格子及び前記第2の偏光回折格子のうちの少なくとも一方は、内部を通過する前記光のそれぞれの偏光及び伝播方向を実質的に変更しない第1の状態と、内部を通過する前記光の前記それぞれの偏光及び方向を変更する第2の状態との間で切り換えられるように構成された切換可能な偏光回折格子である。
【0017】
いくつかの実施の形態では、前記第1の偏光回折格子は、前記切換可能な偏光回折格子である。前記第1の状態では、前記第1の偏光回折格子は、前記入射光を、そのそれぞれの偏光及び伝播方向を実質的に変更することなく透過させるように構成することができる。前記第2の状態では、前記第1の偏光回折格子は、前記入射光を偏光させかつ回折させて、前記入射光と偏光が異なりかつ伝播方向が異なる第1のビーム及び第2のビームにするように構成することができる。前記第2の偏光回折格子は、前記第2の偏光回折格子が前記第2の状態にあるとき、前記第1の偏光回折格子からの前記第1のビーム及び前記第2のビームを検光しかつ回折させて、その前記それぞれの伝播方向を変更するように構成された固定回折格子であり、前記第1の偏光回折格子が前記第1の状態にあるとき、前記入射光を偏光させかつ回折させて、偏光及び伝播方向の異なる前記第1のビーム及び前記第2のビームにするように構成することができる。
【0018】
他の実施の形態では、前記第1の偏光回折格子は、前記入射光を偏光させかつ回折させて、前記入射光と偏光及び伝播方向の異なる第1のビーム及び第2のビームにするように構成された固定回折格子であり、前記第2の偏光回折格子は、切換可能な偏光回折格子である。前記第1の状態では、前記第2の偏光回折格子は、前記第1の偏光回折格子からの前記第1のビーム及び前記第2のビームを、そのそれぞれの偏光及び伝播方向を実質的に変更することなく透過させるように構成することができる。前記第2の状態では、前記第2の偏光回折格子は、前記第1の偏光回折格子からの前記第1のビーム及び前記第2のビームを検光しかつ回折させて、その前記それぞれの偏光及び伝播方向を変更するように構成することができる。
【0019】
いくつかの実施の形態では、前記第1の偏光回折格子及び前記第2の偏光回折格子は、向きが互いに対して反転しているそれぞれの複屈折パターンを有することができる。他の実施の形態では、前記第1の偏光回折格子及び前記第2の偏光回折格子は、向きが実質的に同様のそれぞれの複屈折パターンを有することができる。
【0020】
いくつかの実施の形態による他の要素及び/又は装置は、以下の図面及び詳細な説明を検討することにより当業者には明らかとなろう。こうした追加の装置はすべて、本明細書に含められ、本発明の範囲内にあり、かつ添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】本発明のいくつかの実施の形態による多重偏光回折格子配置を示すブロック図である。
【図1B】本発明のいくつかの実施の形態による多重偏光回折格子配置を示すブロック図である。
【図1C】図1A及び図1Bの偏光回折格子の局所的なネマチックダイレクタ方位を示す代替の図である。
【図1D】図1A及び図1Bの偏光回折格子の局所的なネマチックダイレクタ方位を示す代替の図である。
【図2A】本発明のいくつかの実施の形態による多重偏光回折格子配置を含む直視型液晶ディスプレイ装置を示すブロック図である。
【図2B】本発明のいくつかの実施の形態による多重偏光回折格子配置を有する直視型液晶ディスプレイ装置を示すブロック図である。
【図3A】本発明のいくつかの実施の形態による多重偏光回折格子配置を含む投射型液晶ディスプレイ装置を示すブロック図である。
【図3B】本発明のいくつかの実施の形態による非テレセントリック構成の多重偏光回折格子配置及び反射性基板を含む投射型液晶ディスプレイ装置を示すブロック図である。
【図3C】本発明のいくつかの実施の形態によるテレセントリック構成の多重偏光回折格子配置及び反射性基板を含む投射型液晶ディスプレイ装置を含むブロック図である。
【図4A】本発明のさらなる実施の形態による多重偏光回折格子配置を含む投射型液晶ディスプレイ装置を示すブロック図である。
【図4B】本発明のさらなる実施の形態による多重偏光回折格子配置を有する投射型液晶ディスプレイ装置を示すブロック図である。
【図5】本発明のまたさらなる実施の形態による多重偏光回折格子配置及びオフセット補償器を含む投射型液晶ディスプレイ装置を示すブロック図である。
【図6】本発明のいくつかの実施の形態による偏光回折格子配置のシミュレーション空間例を示す図である。
【図7A】図6のシミュレーション空間による偏光回折格子配置のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図7B】図6のシミュレーション空間による偏光回折格子配置のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図7C】図6のシミュレーション空間による偏光回折格子配置のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図7D】図6のシミュレーション空間による偏光回折格子配置のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図7E】図6のシミュレーション空間による偏光回折格子配置のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図7F】図6のシミュレーション空間による偏光回折格子配置のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図7G】図6のシミュレーション空間による偏光回折格子配置のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図8A】本発明のいくつかの実施の形態による偏光回折格子配置の実験結果を示すグラフである。
【図8B】本発明のいくつかの実施の形態による偏光回折格子配置の実験結果を示すグラフである。
【図8C】本発明のいくつかの実施の形態による偏光回折格子配置の実験結果を示すグラフである。
【図8D】本発明のいくつかの実施の形態による偏光回折格子配置の実験結果を示すグラフである。
【図8E】本発明のいくつかの実施の形態による偏光回折格子配置の実験結果を示すグラフである。
【図8F】本発明のいくつかの実施の形態による偏光回折格子配置の実験結果を示すグラフである。
【図9A】本発明のいくつかの実施の形態によるアクロマチック偏光回折格子を示す図である。
【図9B】図9Aのアクロマチック偏光回折格子から出力される光を示す写真である。
【図10A】本発明のいくつかの実施の形態による平行な偏光回折格子構成及び逆平行の偏光回折格子構成を示す図である。
【図10B】図10Aの両方の偏光回折格子構成に対する測定された透過率スペクトルを示すグラフである。
【図10C】図10Aの逆平行の偏光回折格子配置に対する測定された消光比を示すグラフである。
【図11A】本発明のいくつかの実施の形態による液晶ディスプレイ装置に対する透過率を示すグラフである。
【図11B】本発明のいくつかの実施の形態による液晶ディスプレイ装置に対するコントラスト比を示すグラフである。
【図12A】本発明のいくつかの実施の形態によるプロトタイププロジェクターを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照して、本発明をさらに十分に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化することが可能であり、本明細書に示す実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、この開示が、徹底的かつ完全となり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように、これらの実施形態を提供する。図面において、層及び領域の寸法及び相対的な大きさは、明瞭にするために誇張している場合がある。全体を通して、同様の番号は同様の要素を指している。
【0023】
本明細書において、さまざまな要素、構成部品、領域、層及び/又は部分について述べるために、第1の、第2の、第3の等という用語を用いる場合があるが、これらの要素、構成部品、領域、層及び/又は部分は、これらの用語に限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、1つの要素、構成部品、領域、層又は部分を、別の領域、層又は部分から区別するためにのみ用いている。したがって、以下に説明する第1の要素、構成部品、領域、層又は部分を、本発明の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成部品、領域、層又は部分と呼ぶことができる。
【0024】
本明細書では、「〜の真下に」、「〜の下方に」、「下方の」、「〜の下に」、「〜の上方に」、「上方の」等の空間的な関係を示す用語を、図に示すように、1つの要素又は特徴の別の要素(複数可)又は特徴(複数可)に対する関係を説明する記述を容易にするために用いる場合がある。空間的な関係を示す用語は、図に示す向きに加えて、使用時又は動作時における装置の種々の向きを含むことが意図されていることが理解されよう。例えば、図における装置が反転した場合、他の要素又は特徴の「下方に」、「真下に」、又は「下に」あると述べられている要素は、他の要素又は特徴の「上方に」向けられることになる。したがって、「〜の下方に」及び「〜の下に」という例示的な用語は、上方の向き及び下方の向きの両方を含むことができる。装置を、他のように向ける(90度又は他の向きで回転させる)ことも可能であり、本明細書で使用する空間的な関係を示す記述子も、それに従って解釈することができる。さらに。ある層が2つの層の「間」にあると言及されているとき、この層を、これらの2つの層の間の唯一の層とすることができ、又は1つ若しくは複数の介在層が存在してもよいことも理解されよう。
【0025】
本明細書で使用する専門用語は、単に特定の実施形態を説明することを目的とし、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用する単数形の「1つの(a、an)」及び「その(the)」は、文脈に特に明示されていない限り、同様に複数形を含むことが意図されている。「備える(comprise)」及び/又は「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用する場合、述べられている特徴、完全体、ステップ、動作、要素及び/又は構成部品の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、構成部品及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。本明細書で使用するとき、「及び/又は」という用語は、関連して列挙されている項目のうちの1つ又は複数のありとあらゆる組合せを含む。
【0026】
ある要素又は層は、別の要素又は層の「上に位置している」、別の要素又は層に「接続されている」、「結合されている」、又は「隣接している」と言及されている場合、他の要素若しくは層の上に直接位置し、他の要素又は層に直接接続され、結合され若しくは隣接されていてもよく、又は介在する要素若しくは層が存在していてもよいことが理解されよう。対照的に、ある要素が、別の要素又は層の「上に直接位置している」、別の要素又は層に「直接接続されている」、「直接結合されている」又は「直接隣接している」と言及されている場合、介在する要素又は層は存在しない。同様に、1つの要素「から」光が受け取られるか又は提供される場合、それが、その要素から直接又は介在する要素から受け取られるか又は提供されることが可能である。一方、光が1つの要素「から直接」受け取られるか又は提供される場合、介在する要素は存在しない。
【0027】
本明細書では、本発明の理想的な実施形態(及び中間的な構造)の概略図である断面図を参照して、本発明の実施形態を説明する。したがって、たとえば製造技法及び/又は許容誤差の結果として、図面の形状との違いがあることが予測される。したがって、本発明の実施形態は、本明細書に示す領域の特定の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば製造によって生じる形状の寸法誤差を含むものとする。したがって、図に示す領域は、本質的に概略図であり、それらの形状は、装置の領域の実際の形状を示すことを意図しておらず、本発明の範囲を限定するように意図されていない。
【0028】
特に定義しない限り、本明細書で使用する(技術用語及び科学用語を含む)全ての用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有している。一般的に用いられる辞書に定義されているような用語は、関連技術及び/又は本明細書の文脈におけるそれらの意味と一致している意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書において明示的に定義しない限り、理想化された意味又は過度に形式的な意味に解釈されないことがさらに理解されよう。
【0029】
当業者には、本明細書で用いる「透過性」又は「透明」基板が、入射光の少なくとも一部を通過させるものであることが理解されよう。したがって、透明基板は、いくつかの実施形態ではガラス基板であってもよい。対照的に、本明細書で述べる「反射性」基板は、入射光の少なくとも一部を反射するものとする。また、「重合性液晶」は、重合可能な比較的低分子量の液晶材料を指すものとし、本明細書では「反応性メソゲン」と述べる場合もある。対照的に、「非反応性液晶」は、重合され得ない比較的低分子量の液晶材料を指すものとする。
【0030】
本明細書では、本発明の実施形態を、液晶(LC)材料及びそれらの材料から構成される偏光回折格子に関連して説明する。本明細書で用いるとき、液晶は、ネマチック相、キラルネマチック相、スメクチック相、強磁性相及び/又は別の相を有することができる。さらに、本明細書で述べる偏光回折格子をもたらす配向層として、多数の光重合性ポリマーを用いることができる。これらの材料は、光重合性に加えて、LCに対して不活性であることが可能であり、LC装置の動作温度の範囲(例えば、約−50℃から約100℃)にわたって安定した配向をもたらすべきあり、かつ本明細書で述べる製造方法に適合するべきである。光重合性ポリマーのいくつかの例には、ポリイミド(例えば、JSR Micro, Inc(カルフォニア州、サニーベール(Sunnyvale, Calif.))から市販されているAL1254)、Brewer Science, Inc.(ミズーリ州、ローラ(Rolla, Mo.))から販売されているNissan RN−1199、及びケイ皮酸エステル(例えば、M.シャット(M. Schadt)他により、「線形重合化されたフォトポリマーによる液晶の表面誘起並行配向(Surface-Induced Parallel Alignment of Liquid Crystals by Linearly Polymerized Photopolymer)」(Jpn. J. Appl. Phys., Vol.31(1992), pp. 2155-2164)に記載されているポリビニル4−メトキシ−ケイ皮酸エステル)が含まれる。光重合性ポリマーの別の例は、Vantico Inc.(カルフォルニア州、ロサンゼルス(Los Angeles, Calif.))から市販されているStaralign.TM.である。さらなる例には、ドン・フン・チェ(Dong Hoon Choi)及び共同作業者により、「直接偏光されたUVの照射による、光化学的に二機能性のカルコン−エポキシ膜に対する低分子質量ネマティック液晶の光配向(Photo-alignment of Low-molecular Mass Nematic Liquid Crystals on Photochemically Bifunctional Chalocone-epoxy Film by Irradiation of a Linearly Polarized UV)」(Bull. Korean Chem. Soc., Vol. 23, No. 4587 (2002))において開示されているもの等のカルコン−エポキシ材料、及びM.リー(M. Ree)及び共同作業者により、「感光性ポリマーの薄膜に対する液晶の配向挙動−−光反応基及びUV暴露の効果(Alignment behavior of liquid-crystals on thin films of photosensitive polymers--Effects of photoreactive group and UV-exposure)」(Synth. Met., Vol. 117 (1-3), pp. 273-5 (2001))において開示されているもの等のクマリン側鎖ポリイミドが含まれる(これらの材料では、LCは、偏光の方向に対して略直交して配向する)。また、液晶配向の方法のさらなる例は、クローフォード(Crawford)他に対する米国特許第7,196,758号において検討されている。さらに、本明細書で述べるいくつかの構造は、スピンコーティングプロセスと液晶材料とのバランスによる精緻な作製法を含むことができる。本発明のいくつかの実施形態と共に用いられるさらなる構造及び/又は方法は、エスクーティ(Escuti)他に対する国際公開第2006/092758号において検討されており、その開示内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態による偏光回折格子は、内部を通過する光の局所偏光状態及び伝播方向を周期的に変更する透明な薄膜ビームスプリッタである。対照的に、従来の直線偏光子は、入射光を単一偏光状態に変換し、その偏光状態の光が内部を通過するのを可能にするが、他の偏光状態の光は吸収することによって動作する可能性がある。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態による偏光回折格子は、空間的に可変の一軸性複屈折を有することができ(すなわち、n(x)=[cos(πx/Λ),sin(πx/Λ),0])、かつ最大100%の非ゼロ次の回折効率を提供することができる。本明細書で用いる「ゼロ次」光は、入射光の方向に対して実質的に平行な方向に、すなわち入射角と実質的に同様の角度で伝播し、本明細書では「軸上」光とも呼ぶ。たとえば、以下に詳細に説明する実施形態のいくつかでは、入射光は、第1の偏光回折格子に対して垂直であり、したがって、これらの実施形態では、「ゼロ次」又は「軸上」光もまた、第1の偏光回折格子に対して実質的に垂直に伝播する。対照的に、「一次」光及び/又は「二次」光等の「非ゼロ次光」は、入射光に対して平行でない方向に伝播する。特に、二次光は、入射角に対して一次光より大きい角度で伝播する。したがって、一次光及び二次光を、本明細書ではまとめて「軸外」光と呼ぶ。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態は、2つの平行な偏光回折格子の連続した配置を使用して、入射光を著しい損失なしに回折させて2つのゼロ次ビームとすることができ、一方で2つの逆平行の偏光回折格子の連続した配置を使用して、入射光を著しい損失なしに回折させて2つの非ゼロ次ビームとすることができる、という理解から発生している。本明細書で使用するとき、「平行な」偏光回折格子配置は、複屈折n(x)が同じである第1の偏光回折格子及び第2の偏光回折格子を含み、すなわち、第1の偏光格子及び第2の偏光格子のそれぞれの複屈折パターンは、実質的に同じ向きを有している。対照的に、「逆平行の」偏光回折格子配置は、複屈折が反対である、すなわちn(x)及びn(−x)である第1の偏光回折格子及び第2の偏光回折格子を含む。言い換えれば、第2の偏光回折格子は、第1の偏光回折格子の複屈折パターンに対して反転又は約180度回転した複屈折パターンを有している。
【0034】
したがって、本発明のいくつかの実施形態は、液晶(LC)層に対して位置決めされた2つ以上の偏光回折格子を含む偏光回折格子配置を提供する。この配置を使用して、偏光に関連する実質的な損失なしに、非偏光光及び/又は任意の偏光の光と直接動作する液晶ディスプレイ(LCD)装置を提供することができる。より詳細には、第1の偏光回折格子及び第2の偏光回折格子を、それぞれ液晶層の入力及び出力に位置決めすることができる。こうした配置では、第2の偏光回折格子を、本明細書では概して「検光子」と呼び、したがって、それは、第1の偏光回折格子及び/又は液晶層から受け取る偏光光を「検光する」(すなわち偏光させる)。液晶層は、内部を通過する光の偏光に実質的に影響を与えない第1の状態と、内部を通過する光の偏光を「反転させる」(すなわち、光をその反対の又は直交する偏光に変換する)第2の状態との間で切り換えられるように構成されている。たとえば、液晶層は、比較的高精度にかつ比較的広い帯域幅で、印可される電圧に応じてゼロと半波長遅延との間で電気的に切り換えることができる、切換可能な複屈折液晶層である。液晶層は、モノリシックであってもよく、又は複数のピクセルを含むピクセルアレイを画定してもよい。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態による偏光回折格子を用いて、著しい損失なしに入射光を回折させて2つのビームにすることができるため、第1の偏光回折格子を使用して、LC層に入力するために入射光を回折させて2つの非ゼロ次ビームにする(最大50%効率で各ビームにする)ことができ、第2の偏光回折格子を使用して、LC層から出力される2つのビームを元の入射角に戻すように回折させて、LC層の状態に応じて表示スクリーンにゼロ次出力光を提供することができる。本発明のいくつかの実施形態は、本明細書で述べるように角度フィルタリング手段及び結像手段と組み合わせると、従来のLCD装置と比較して輝度が向上し(たとえば従来のLCD装置の輝度の2倍)かつ高コントラストな(最大5000:1)LCD装置を提供することができる。本発明の実施形態を、投射型LCD装置(前方又は後方、反射型又は透過型)及び/又は直視型LCD装置で使用することができる。
【0036】
本明細書で使用するとき、回折格子配置の「透過率」は、出力光の強度を入力光の強度で割った値を指すものとし、したがって、回折格子層に他のすべての層又は基板を足した効果を含む。対照的に、本明細書で使用するとき、「回折効率」は、特定の回折次数の出力強度を透過した総光強度で割った値を指すものとし、それを正規化として使用して、基板及び/又は他の層の影響を除去することができる。
【0037】
図1A及び図1Bは、本発明のいくつかの実施形態による多重偏光回折格子配置を示す。特に、図1Aは、液晶層に電圧が印可されていない第1の状態にある二重偏光回折格子配置を示し、図1Bは、液晶層に電圧が印可されている第2の状態にある二重偏光回折格子配置を示す。ここで図1A及び図1Bを参照すると、二重偏光回折格子配置は、ガラス基板110及び115として示す透過性基板の間に設けられている、第1の偏光回折格子101と、液晶層103と、第2の偏光回折格子102とを含む。基板110及び/又は115は、たとえば透明な酸化インジウム錫(ITO)コーティングによって提供されるように、その表面に1つ又は複数の電極(図示せず)を含んでもよい。偏光回折格子101及び102は、上にそれぞれの配向層107及び108を含み、液晶層103は、配向層107及び108によって提供される周期的な配向状態に従って偏光回折格子101と偏光回折格子102との間のセルギャップで配向される。液晶層103は、印可される電圧に応じて第1の方位と第2の方位との間で切り換えられるように構成されている液晶分子を有している。
【0038】
偏光回折格子101及び102は、いかなる偏向状態も実質的に吸収することなく、入射光を偏光させかつ回折させて、偏光状態及び/又は伝播方向の異なる少なくとも2つのビームにするように構成されている。本発明のいくつかの実施形態で使用することができる偏光回折格子は、たとえば、エスクーティ(Escuti)他に対する、2008年4月16日に出願された「多層アクロマチック液晶偏光回折格子及び関連する製造方法(Multi-Layer Achromatic Liquid Crystal Polarization Gratings and Related Fabrication Methods)」と題する国際出願PCT/US2008/004897号、及び/又はエスクーティ他に対する、2008年4月16日に出願された「低ねじれキラル液晶偏光回折格子及び関連する製造方法(Low-Twist Chiral Liquid Crystal Polarization Gratings and Related Fabrication Methods)」と題する国際出願PCT/US2008/004888号に記載されており、それらの開示は参照によりその全体が述べられたかのように本明細書に援用される。
【0039】
偏光回折格子101及び/又は102は、少なくとも3つの回折次数(0、±1)、非ゼロ次数の直交円偏光、及び/又は非常に偏光感受型の非ゼロ次数(ストークスパラメータに対して線形に比例する可能性がある)等の回折特性を提供することができる。たとえば、偏光回折格子101及び/又は102は、回折効率が約50%を上回り、いくつかの実施形態では約90%を上回るよう入射光を回折させるように構成された複屈折パターンを有する異方性の周期的分子構造を含む重合液晶フィルムである。特に、入射円偏光では、偏光回折格子101及び/又は102は、非ゼロ次光に最大約100%の効率を提供することができる。直線入射偏光又は非偏光入射光では、偏光回折格子101及び/又は102は、一次光のそれぞれに最大約50%の効率を提供することができる。いくつかの実施形態では、偏光回折格子101及び/又は102は、複数の偏光回折格子層を有することができ、それらは、それぞれの周期的な局所異方性パターンが、間に位相シフトを画定するように互いに対して角度をなしかつ/又はそのそれぞれの厚さにわたってねじれ角だけ回転し(又は「ねじれ」)ている。また、偏光回折格子層のうちの1つ又は複数は、切換可能な液晶偏光回折格子を提供するように、ネマチック液晶層である。
【0040】
いくつかの実施形態では、偏光回折格子101及び102は、タイプ、厚さ、周期性及び/又は分子方位が同一であってもよい。たとえば、偏光回折格子101及び102は、それらの局所複屈折パターンが同じ向き、すなわち「平行な」配置を有するような周期的分子構造を有することができる。他の実施形態では、偏光回折格子101及び102の周期的分子構造は、それぞれの局所複屈折パターンが「逆平行」配置で反対に向けられて(すなわち、約180度回転)いてもよい。
【0041】
図1A及び図1Bに示すように、偏光回折格子101及び102は、逆平行配置を有する重合液晶層である。図1C及び図1Dは、偏光回折格子101及び102のネマチックダイレクタ方位をより詳細に示す代替図を提供する。特に、図1Cは、偏光回折格子101のネマチックダイレクタ方位101’を示し、図1Dは、偏光回折格子102の反対のネマチックダイレクタ方位102’を示している。しかしながら、他の実施形態では、偏光回折格子101及び102の分子構造は平行であってもよく、かつ同じ周期性を有していてもよいが、それらの局所異方性パターンが、約0度から約180度の間の角度シフト又は位相シフトによって互いに対してシフトするように角度をなしていてもよい。
【0042】
図1A及び図1Bにおいて、液晶層103は、LC分子がホメオトロピック配向を有する垂直配向ネマチック(vertically aligned nematic)(VAN)型層である。したがって、液晶層103に電圧が印可されていないとき、図1Aに示すように、LC分子は、偏光回折格子101及び102の隣接する面に対して垂直に配向される。このように配向された場合(本明細書では「OFF」状態とも呼ぶ)、液晶層103は、その偏光状態に実質的に影響を与えることなく(すなわち、実質的にゼロ遅延で)光が内部を通過することを可能にすることができるように構成される。対照的に、図1Bに示すように、液晶層103にスイッチング電圧が印可されると、LC分子は、偏光回折格子101及び102の面に対して実質的に平行に配向される。図1Bに示すように配向された場合(本明細書では「ON」状態とも呼ぶ)、液晶層103は、内部を通過する光の偏光状態を変更するように構成される。いくつかの実施形態では、液晶層103は、厚さが、内部を通過する光の半波長遅延を提供するように構成されていてもよい。しかしながら、他の厚さ及び/又は位相シフトの液晶層を使用してもよい。
【0043】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による二重偏光回折格子配置の動作例について、図1AのOFF状態及び図1BのON状態に関して説明する。ここで図1Aを参照すると、第1の偏光回折格子101は、入力又は入射光190を偏光させて、偏光の異なる第1の成分のビーム195及び第2の成分のビーム196にするように構成されている。いくつかの実施形態では、入射光190は非偏光であってもよく、他の実施形態では偏光していてもよい。いくつかの実施形態では、第1のビーム195の偏光は、第2のビーム196の偏光に対して直交していてもよい。たとえば、第1のビーム195は左円偏光であってもよく、一方で第2のビーム196は右円偏光であってもよい。第1の偏光回折格子101はまた、第1のビーム195及び第2のビーム196が入射光190と異なる伝播方向を有するように、入射光190を回折させるように構成されている。言い換えれば、ビーム195及び196は、入射光109の入射角に対して異なる回折角で伝播する。たとえば、入射光190を最大約50%効率で回折させて、回折角が約±5℃から約±30度の範囲、いくつかの実施形態では約±20度である一次ビーム195及び196のそれぞれにすることができる。
【0044】
図1Aに示すように、OFF状態では、液晶層103に電圧が印可されない。したがって、液晶層103の分子方位103aは、第1のビーム195及び第2のビーム196が、第1のビーム195及び第2のビーム196のそれぞれの偏光に実質的に影響を与えることなく内部を透過するように構成されている。第2の偏光回折格子102も同様に、液晶層103から受け取られる第1のビーム195及び第2のビーム196を検光しかつ回折させるように構成されている。第2の偏光回折格子102は、第1の偏光回折格子101に対して逆平行であるため、LC層103がOFF状態であるとき、第2の偏光回折格子102は、左円偏光ビーム195及び右円偏光ビーム196の偏光をそれぞれ右円偏光ビーム及び左円偏光ビームに変化させ、ビーム195及び196のそれぞれの伝播方向を変更して、入射光190の伝播方向から離れる方向に(すなわち入射角から離れる方向に)さらに回折する出力光199aを透過させる。より全体的には、第2の偏光回折格子102は、ビーム195及び196を、液晶層103から出力されている後のそれらのそれぞれの偏光に基づいて異なる方向又は角度になるように回折させるように構成されている。この「一次」出力光199aは、入射光190と実質的に同じ強度を有することができるが、後により詳細に説明するように、コントラストを向上させるために、表示スクリーンまで伝達されないように阻止しかつ/又は他の方法で防止することができる。
【0045】
ここで図1Bを参照すると、第1の偏光回折格子101は、同様に、入射光190を偏光させかつ回折させて、入射光190に対して偏光及び伝播方向の異なる第1の成分のビーム195及び第2の成分のビーム196にするように構成されている。たとえば、上述したように、第1のビーム195は左円偏光であってもよく、第2のビーム196は右円偏光であってもよい。しかしながら、液晶層103にスイッチング電圧が印可されると、液晶層103の分子方位103bは、内部を通過する第1のビーム195及び第2のビーム196のそれぞれの偏光を変更するように構成されている。上記例では、ON状態にある液晶層103は、左円偏光ビーム195及び右円偏光ビーム196の偏光を半波長(すなわち180度)遅延させることにより、右円偏光ビーム195’及び左円偏光ビーム196’を提供することができる。第2の偏光回折格子102は、液晶層103から受け取られるビーム195’及び196’を検光しかつ回折させるように構成されている。しかしながら、ビーム195’及び196’が、図1Aにおける液晶層103から出力されるものとは反対の円偏光を有するため、第1の偏光回折格子101、102に対して逆平行である第2の偏光回折格子は、ビーム195’及び196’のそれぞれの伝播方向を変更して、入射光190の伝播方向に向かって回折する出力光199bを透過させるように構成されている。特に、図1Bに示すように、第2の偏光回折格子102は、液晶層103がON状態にあるとき、出力光199bが入射光190の方向に対して実質的に平行な(すなわち、入射角から向かう)方向に伝播するように、ビーム195’及び196’を平行に向け直す。偏光回折格子102は、最大100%の効率で、入射する円偏光ビーム195’及び196’を回折させることができる。したがって、「ゼロ次」出力光199bは、いくつかの実施形態では、入射光190と実質的に同様の強度を有することができ、それにより、後に詳細に説明するように、出力光199bを著しい偏光関連の損失なしに表示スクリーンまで伝達することができ、輝度を向上させることができる。
【0046】
垂直配向ネマチック(VAN)液晶層103に関して上述したが、液晶層103を提供するために他のタイプの液晶材料を使用してもよいことが理解されるべきである。たとえば、いくつかの実施形態では、液晶層103として、電圧が印可されていないときにLC分子が偏光回折格子101及び102の表面に対して平行に均質に配向される、均一な平面液晶層を用いてもよい。他の液晶材料を使用してもよい。こうした材料は、本技術分野において既知であり、本明細書においてさらに説明する必要はない。また、図1A及び図1Bにおいて、偏光回折格子101及び102並びに液晶層103が透過性基板110及び115の間に設けられる配置に関して図示しているが、たとえば図2A〜図4Cにおいて後述するように、いくつかの実施形態では、透過性基板110及び115並びに液晶層103を偏光回折格子101及び102の間に設けてもよいことが理解されるべきである。
【0047】
図2A及び図2Bは、直視型液晶ディスプレイ(LCD)装置に実装する本発明のいくつかの実施形態による多重偏光回折格子配置を示す。特に、図2Aは、逆平行配置で実装されている偏光回折格子201a及び202b(すなわち、そのネマチックダイレクタパターンが反対の旋光性を有する)を含むLCD装置200aを示し、図2Bは、平行配置で実装される偏光回折格子201b及び202b(すなわち、そのネマチックダイレクタパターンが同じ旋光性を有する)を含むLCD装置200bを示している。LCD装置200a及び200bは、それぞれ、光源205と、上に配向層207及び208を有する透過性基板210及び215と、透過性基板210と透過性基板215との間にありかつ配向層207及び208によって提供される周期的な配向状態に従って配向される液晶層203とを有している。図2A及び図2Bは、液晶層203を、例として2つのピクセルを含むように示すが、本発明のいくつかの実施形態では、液晶層203は、それより少ないか又は多いピクセルを有していてもよい。LCD装置200a及び200bは、マイクロレンズ225及び226並びにピンホール開口220を含む角度フィルタリングステージ227と、表示スクリーン230とをさらに含んでいる。光源205には、蛍光灯、発光ダイオード(LED)ベースのランプ、バックライト及び/又は非偏光光290を放出するように構成された他の光源が含まれ得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、光源205を、偏光光を放出するように構成してもよいことが理解されるべきである。角度フィルタリングステージ227は、入射光290に対して実質的に平行な方向に伝播している出力光が、表示スクリーン230に結像するのを可能にするが、入射光290に対して平行に伝播していない出力光を阻止するように構成されている。
【0048】
ここで、LCD装置200a及び200bの動作例について説明する。ここで図2Aの逆平行偏光回折格子配置を参照すると、光源205からの非偏光入射光290は、第1の偏光回折格子201aに入り、偏光しかつ回折して、異なる非ゼロ次伝播方向を有する2つの直交する円偏光ビーム295a(左円偏波)及び296a(右円偏光)になる。偏光回折格子201aの回折効率に応じて、ビーム295a及び296aは、各次数において略50%、可視光の全波長(たとえば約400nm〜約700nm)を含むことができる。両ビーム295a及び296aは、OFF状態である第1のピクセル204及びON状態である第2のピクセル206を含むように示すLC層203を通過する。OFFピクセル204を通過しているビーム295a及び296aは、それらのそれぞれの偏光は変化せず、その後、第2の偏光回折格子202aにより検光されかつ回折して、非偏光入力光290の入射角に対してより大きい角度の出力光299aになる。そして、この軸外出力光299aは、表示スクリーン230に達しないように角度フィルタリングステージ227によって阻止される。したがって、「暗い」ピクセル232(入力光290の0%程度を表わす)が見る人に提示される。
【0049】
対照的に、ONピクセル206を通過しているビーム295a及び296aは、半波長遅延し、共に、それぞれ反対の円偏波295a’(右円偏波)及び296a’(左円偏波)に変換される。そして、ビーム295a’及び296a’は、第2の偏光回折格子202aにより検光されかつ回折して、入力光290の元の入射角と実質的に同様の角度の出力光299bになる。この軸上光299bは、角度フィルタリングステージ277を介して表示スクリーン230に提供される。したがって、「明るい」ピクセル234(入射光290の強度/輝度の最大100%を表わす)が見る人に提示される。
【0050】
ここで、図2Bの平行な偏光回折格子配置を参照すると、光源205からの非偏光入力光290は、第1の偏光回折格子201bにより同様に偏光し回折して、2つの直交する円偏光ビーム295b(左円偏光)及び296b(右円偏光)になる。液晶層203のOFFピクセル204を通過しているビーム295b及び296bは、それらのそれぞれの偏光は変化せず、一方でONピクセル206を通過しているビーム295b及び296bは、半波長遅延して、それぞれ反対の円偏光295b’(右円偏光)及び296b’(左円偏光)を提供する。したがって、ビーム295b’及び296b’は、偏光が変化するため、第2の偏光回折格子202bにより検光されかつ回折して軸外出力光299aを伝達し、この軸外出力光299aは角度フィルタリングステージ227によって阻止される。対照的に、ビーム295b及び296bは、第2の偏光回折格子202bによって検光されかつ回折して軸上出力光299bを伝達し、この軸上出力光299bは、角度フィルタリングステージ227を介して表示スクリーン230に提供される。したがって、図2Bの実施形態では、OFFピクセル204は明るいピクセル234を提供し、ONピクセル206は暗いピクセル232を提供する。
【0051】
したがって、図2A及び図2Bを参照して上述した本発明のいくつかの実施形態は、従来のLCD装置の輝度の2倍である直視型LCD装置を提供することができる。いくつかの実施形態では、偏光回折格子201及び202は、赤色光、緑色光及び青色光を含む広い波長範囲に対して比較的高いコントラストを達成するように使用されるアクロマチック偏光回折格子である。さらに、本発明のいくつかの実施形態では、視角を拡大するためにディフューザ(図示せず)を含めることができる。同様に、いくつかの実施形態では、角度フィルタリングステージ227として、軸外光を阻止し軸上光を通過させるプライバシフィルム(3M(登録商標)社製のもの等)を使用してもよい。
【0052】
図3A〜図3Cは、液晶マイクロディスプレイを含む投射型システムに実装される本発明のいくつかの実施形態による多重偏光回折格子を示す。特に、図3Aは、透過モードの投射型LCD装置300aを示し、図3B及び図3Cは、反射モードの投射型LCD装置300b及び300cを示す。LCD装置300a〜300cは、それぞれ、第1の偏光回折格子301及び第2の偏光回折格子302と、上に配向層307及び308を含む基板305a/305b/305c及び315と、基板305a/305b/305cと基板315との間にありかつ配向層307及び308によって提供される周期的な配向状態に従って配向される液晶層303とを有している。偏光回折格子301及び302は、偏光回折格子301の複屈折パターンが偏光回折格子302の複屈折パターンに対して反転している(すなわち、約180度回転している)逆平行配置を有している。液晶層303は、例として2つのピクセルを含むように示すピクセルアレイを画定しているが、本発明のいくつかの実施形態では、液晶層303は、それより少ないか又は多いピクセルを有していてもよい。LCD装置300a〜300cは、投影レンズ325及び326並びに開口絞り320を含む角度フィルタリングステージ327と、表示スクリーン330とをさらに有している。角度フィルタリングステージ327は、入力/入射光390に対して実質的に平行な方向に伝播している出力光(すなわちゼロ次光)が表示スクリーン330に結像するのを可能にするが、入射光390に対して平行な方向に伝播していない出力光(すなわち、一次光及び/又は二次光)を阻止するように構成されている。
【0053】
ここで、LCD装置300a〜300cの動作例について説明する。ここで図3Aを参照すると、非偏光入射光390は、第1の偏光回折格子301に入り、偏光し回折して、異なる非ゼロ次伝播方向を有する2つの直交する円偏光ビーム395a(左円偏光)及び396a(右円偏光)になる。偏光回折格子301の回折効率により、ビーム395a及び396aは、各次数において略50%、可視光のすべての波長を含むことができる。両ビーム395a及び396aは、透過性基板305aと、OFF状態である第1のピクセル304とON状態である第2のピクセル306とを含むように示すLC層303とを通過する。OFFピクセル304を通過しているビーム395a及び396aは、それらのそれぞれの偏光は変化せず、透過性基板315を透過し、その後、第2の偏光回折格子302によって検光されかつ回折して、非偏光入力光390の入射角に対してより大きい角度の出力光399aになる。そして、この軸外出力光399aは、角度フィルタリングステージ327によって阻止され、それにより、光399aは表示スクリーン330に達しない。したがって、入力光390の0%程度を表わす「暗い」ピクセル332が、見る人に見える。
【0054】
対照的に、さらに図3Aを参照すると、ONピクセル306を通過しているビーム395a及び396aは、半波長遅延し、共に、それぞれ反対の円偏波395a’(右円偏波)及び396a’(左円偏波)に変換される。そして、ビーム395a’及び396a’は、第2の偏光回折格子302によって回折して、入力光390の元の入射角と実質的に同様の角度の出力光399bになる。この軸上(すなわちゼロ次)光399bは、角度フィルタリングステージ327によって通過が可能となり、表示スクリーン330に投射され結像する。したがって、入力光390の強度/輝度の最大100%を表わす「明るい」ピクセル334が見る人に提示される。したがって、ONピクセル306からの光399bの略すべてがスクリーン330に提供されるが、OFFピクセル304からの光399bのほとんどすべてがスクリーン330に提供されない。したがって、LC層303が、複数のピクセルを含むピクセルアレイを画定するとき、図3Aのプロジェクター型LCD装置300aを使用して、実行可能な画像を投射することができる。
【0055】
図3Bは、図3Aの透過性基板305aの代りに反射性基板305bを含む、非テレセントリック投射型LCD装置300bを示す。ここで図3Bを参照すると、非偏光入射光390は同様に、偏光回折格子302によって偏光し回折して、2つの直交する円偏光ビーム395b(左円偏波)及び396b(右円偏波)になる。入射光390は、いくつかの実施形態では、回折方向に比較して面外であってもよい。両ビーム395b及び396bは、透過性基板315及びLC層303を通過する。液晶層303のOFFピクセル304を通過しているビーム395b及び396bは、それぞれの偏光が変化しないが、反射性基板305bによって反射されて、反対の偏光になり再びLC層303を通り偏光回折格子302に向かい、偏光回折格子302は、ビーム395b及び396bを検光しかつ回折させて軸上出力光399bを提供する。軸上出力光399bは、角度フィルタリングステージ327によって通過が可能となり、表示スクリーン330に投射されかつ結像して、見る人に明るいピクセル334を提示する。
【0056】
さらに図3Bを参照すると、ONピクセル306を通過しているビーム395b及び396bは、半波長遅延して反対の円偏波のビームを提供し、それらは、反射性基板305bによって反射されて、戻ってLC層303を通り偏光回折格子302に向かう。より詳細には、図3BのLC層は、厚さが、図3AのLC層の厚さの約半分であってもよく、したがって、反射性基板305bによる反射の前及び後の両方でビーム395b及び396bの1/4波長遅延を提供することができる。偏光回折格子302は、ビーム395b及び396bを検光しかつ回折させて軸外出力光399aを提供し、それは角度フィルタリングステージ327によって阻止され、それにより、光399aは表示スクリーン330に達することなく、暗いピクセル332が見る人に提示される。
【0057】
図3Cは、図3Aの透過性基板305aの代りに反射性基板305cを含むテレセントリック投射型LCD装置300cを示す。ここで図3Cを参照すると、非偏光入射光390は、同様に第1の偏光回折格子301によって偏光し回折して、2つの直交する円偏光ビーム395c(左円偏光)及び396c(右円偏光)になる。そして、ビーム395c及び396cは、レンズ329aにより反射性開口絞り345に向けられ、反射性開口絞り345は、ビームを反対の偏光になるようにかつレンズ329bを通り第2の偏光回折格子302に向かうように反射する。第2の偏光回折格子302は、反射性開口絞り345によって反射されるビーム395c及び396cを検光しかつ回折させ、両ビーム395c及び396cは、透過性基板315及びLC層303を通過する。液晶層303のOFFピクセル304を通過しているビーム395c及び396cは、それぞれの偏光が変化しないが、反射性基板305cによって反射されて、反対の偏光になり、再びLC層303を通り第2の偏光回折格子302に向かい、第2の偏光回折格子302は、この場合もまた、ビーム395c及び396cを検光しかつ回折させて軸外出力光399aを提供する。軸外出力光399aは、反射性開口絞り345によって阻止され、光399aは表示スクリーン330に達することなく、暗いピクセル332が見る人に提示される。
【0058】
さらに図3Cを参照すると、ONピクセル306を通過しているビーム395c及び396cは、半偏波遅延して反対の円偏波のビームを提供し、それは、反射性基板305bによって反射されて、再びLC層303を通り第2の偏光回折格子302に向かう。より詳細には、LC層303は、反射性基板305cによる反射の前及び後の両方でビーム395c及び396cの1/4波長遅延を提供する。第2の偏光回折格子302は、この場合もまた、ビーム395c及び396cを検光しかつ回折させて、軸上出力光399bを提供し、それは反射性開口絞り345によって通過が可能となり、投影レンズ325/326により表示スクリーン330上に投射されかつ結像して、見る人に明るいピクセル334を提示する。
【0059】
したがって、図3A〜図3Cを参照して上述した本発明のいくつかの実施形態は、従来のLCD装置の輝度の2倍である投射ベースのLCD装置を提供することができる。また、偏光回折格子301及び/又は302は、赤色光、緑色光及び青色光を含む広い波長範囲に対して比較的高いコントラストを達成するようにアクロマチックである。図3Aでは、偏光回折格子301と偏光回折格子302との間に透過性基板305a及び315が含まれるように示しているが、図1A及び図1Bに同様に示すように、いくつかの実施形態では、偏光回折格子301及び302を基板305aと基板314との間に設けてもよいことが理解されるべきである。さらに、非偏光入力光390に関して示したが、いくつかの実施形態では、図3A〜図3Cの投射型システムに偏光入力光を使用してもよいことが理解されるべきである。また、図3A〜図3Cに示す配置と共に、既知の遅延補償技法を用いてもよい。
【0060】
図4A及び図4Bは、本発明のさらなる実施形態による、それぞれ投射型システム400a及び300bに実装される多重偏光回折格子配置を示す。特に、LCD装置400a及び400bは、それぞれ、第1の偏光回折格子401及び第2の偏光回折格子402と、上に配向層407及び408を含む基板410及び415と、基板410と基板415との間にありかつ配向層407及び408によって提供される周期的な配向状態に従って配向される液晶層403とを含む。偏光回折格子401及び402は、偏光回折格子401の複屈折パターンが偏光回折格子402と同じ向きである平行配置を有している。液晶層403は、例として2つのピクセルを有するように示すピクセルアレイを画定しているが、本発明のいくつかの実施形態では、液晶層403は、それより少ないか又は多いピクセルを有していてもよい。LCD装置400a〜400bは、投影レンズ425及び426並びに開口絞り420を含む角度フィルタリングステージ427と、表示スクリーン430とをさらに有している。角度フィルタリング427は、入射光490に対して実質的に平行な方向に伝播している出力光(すなわち、ゼロ次光)が表示スクリーン430上に結像することを可能にするが、入射光490に対して平行な方向に伝播していない出力光(すなわち一次光及び/又は二次光)を阻止するように構成されている。
【0061】
多くの投射型ディスプレイ設計において、光源からの入力光は軸上で提供され、マイクロディスプレイからの画像を、投影レンズにより、明視野(すなわち、ゼロ次、軸上光)又は暗視野(一次、軸外光)のいずれかで収集することができる。したがって、こうした設計は、投射光学系を、光が視野に対して垂直に伝播するようにテレセントリック構成で配置することができ、ゼロ次(すなわち軸上)光を比較的小さい開口で収集することができる。対照的に、図4A及び図4Bに示す本発明のいくつかの実施形態は、投影レンズ又はマイクロレンズアレイ405を使用して一次(すなわち軸外)回折光を収集することによりコントラスト(したがって画質)を向上させる。入射光490が、LC層403に軸外で(すなわち、一次角及び/又は二次角で)入るように配置されている場合、明るいピクセル構成の特性と暗いピクセル構成の特性が逆転する場合もある。言い換えれば、軸上光においてより優れたコントラストが観察される。
【0062】
図4Aは、液晶層403及び第2の偏光回折格子402に軸外光を提供する結像源としてのレンズ405をさらに含む、LCD装置400aを示す。特に、非偏光光490は、第1の偏光回折格子401に入り、偏光し回折して、異なる非ゼロ次伝播方向を有する2つの直交する円偏光ビーム495a(左円偏光)及び496a(右円偏光)になる。偏光回折格子401の回折効率のために、ビーム495a及び496aは、それぞれ、各次数において略50%、赤色光、緑色光及び青色光を有することができる。レンズ405は、液晶層403及び第2の偏光回折格子402に対称的な軸外入力光を提供するようにビーム495a及び496aを結像させる。両ビーム495a及び496aは、透過性基板410と、OFF状態である第1のピクセル404及びON状態である第2のピクセル406を含むように示すLC層403とを通過する。OFFピクセル404を通過しているビーム495a及び496aは、それぞれの偏光が変化せず、透過性基板415を透過し、その後、第2の偏光回折格子402によって検光され回折して、入射非偏光光490の入射角に対してより大きい角度の出力光499aになる。この軸外出力光499aは、角度フィルタリングステージ427によって阻止され、それにより光499aは表示スクリーン430に到達しない。したがって、入力光490の0%程度を表わす「暗い」ピクセル342が、見る人に見える。
【0063】
対照的に、ONピクセル406を通過しているビーム495a及び496aは半波長遅延し、共に、それぞれ反対の円偏波495a’(右円偏波)及び496a’(左円偏波)に変換される。そして、ビーム495a’及び496a’は、第2の偏光回折格子402によって検光されかつ回折して、入力光490の元の入射角と実質的に同様の角度である出力光499bになる。この軸上(すなわちゼロ次)光499bは、角度フィルタリングステージ427によって通過が可能になり、表示スクリーン430上に投射されかつ結像する。したがって、入力光490の強度/輝度の最大100%を表わす「明るい」ピクセル434が、見る人に提示される。
【0064】
図4Bは、軸外光を第2の偏光回折格子402に提供するように、液晶層403の後にレンズ405を配置する同様のLCD装置400bを示す。したがって、図4Aを参照して同様に上述したように、非偏光入力光490は、第1の偏光回折格子401により偏光しかつ回折されて、入射光490の伝播方向に対して異なる伝播方向を有する2つの直交する円偏光ビーム495b(左円偏波)及び496b(右円偏波)になる。ビーム495b及び496bは、透過性基板410及び液晶層403を通過する。液晶層403のOFFピクセル404を通過しているビーム495b及び496bは、それぞれの偏光が変化しないが、ONピクセル406を通過しているビーム495b及び496bは、半波長遅延して、それぞれ反対の円偏光495b’(右円偏光)及び496b’(左円偏光)のビームを提供する。レンズ405は、第2の偏光回折格子402内に対照的な軸外入力光を提供するように、ビーム495b〜496b及び/又は495b’〜496b’を結像させる。ビーム495b及び496bは、第2の偏光回折格子402によって検光されかつ回折して、軸外出力光499aを提供し、それは角度フィルタリングステージ427によって阻止される。ビーム495b’及び496b’は、図4Aを参照して同様に上述したように、第2の偏光回折格子402によって検光されかつ回折して軸上出力光499bを提供し、それは、角度フィルタリングステージ427を介して表示スクリーン430に提供される。
【0065】
したがって、図4A及び図4Bを参照して上述した本発明のいくつかの実施形態は、従来のLCD装置に対してコントラストを向上させることができる投射ベースのLCD装置を提供することができる。非偏光入力光490に関して示したが、いくつかの実施形態では、図4A及び図4Bの投射型システムにおいて偏光入射光を使用してもよいことが理解されるべきである。また、いくつかの実施形態では、LC層403、基板410及び415並びに偏光回折格子402の代りに、エスクーティ他に対する国際出願PCT/US2008/004888に記載されているもののような切換可能な液晶偏光回折格子を使用してもよい。したがって、こうした実施形態は、偏光回折格子401及び402の連続した配置を提供し、そこでは、偏光回折格子401及び402の少なくとも一方が、内部を通過している光のそれぞれの偏光及び/又は伝播方向を実質的に変更しない第1の状態と、内部を通過している光のそれぞれの偏光及び伝播方向を変更する第2の状態との間で切り換えられるように構成されている。偏光回折格子401及び402の他方は、上述したように、入力光を偏光させかつ回折させるように構成された固定のすなわち切換不能の回折格子である。言い換えれば、本発明のいくつかの実施形態は、2つの偏光回折格子の連続した配置であって、それらの一方又は両方を切換可能とすることができ、かつそれらの一方又は両方をピクセル化することができる配置を含むことができる。
【0066】
図5は、本発明のさらなる実施形態による投射型システム500で実装される多重偏光回折格子配置を示す。特に、LCD装置500は、第1の偏光回折格子501及び502と、上に配向層507及び508を含む基板510及び515と、基板510と基板515との間にありかつ配向層507及び508によって提供される周期的な配向状態に従って配向される液晶層503とを有している。偏光回折格子501及び502は平行な配置を有している。液晶層503は、例として2つのピクセルを有しているように示すピクセルアレイを画定するが、本発明のいくつかの実施形態では、液晶層503はそれより少ないか又は多いピクセルを有することができる。LCD装置500は、投影レンズ525及び526並びに開口絞り520を含む角度フィルタリングステージ527と、表示スクリーン530とをさらに含む。角度フィルタリングステージ527は、入射光590に対して実質的に平行な方向に伝播している出力光(すなわち、ゼロ次光)が表示スクリーン530上に結像するのを可能にするが、入射光590に対して平行な方向に伝播していない出力光(すなわち、一次光及び/又は二次光)を阻止するように構成されている。
【0067】
さらに図5を参照すると、LCD装置500は、第1の偏光回折格子501及び第2の偏光回折格子502の後にオフセット補償器550をさらに含む。オフセット補償器550は、第3の偏光回折格子551及び第4の偏光回折格子552とそれらの間の中間層553とを有している。中間層553は、厚さtが、液晶層503と第2の偏光回折格子502との間の距離dと実質的に同様であり、いくつかの実施形態では透過性基板である。偏光回折格子551及び552は、偏光回折格子551の局所的なネマチックダイレクタ方位が偏光回折格子552と同じ旋光性であるように平行な配置を有している。オフセット補償器550は、偏光回折格子502によって伝達される出力光の空間オフセットを、その伝播方向を実質的に変更することなく実質的に低減しかつ/又は除去し、この光を、表示スクリーン530上に結像させるために角度フィルタリングステージ527に提供する。言い換えれば、厚さtの中間層553を有するオフセット補償器550は、偏光回折格子502からの光の空間オフセットからもたらされる視差問題を改善することができる。
【0068】
より詳細には、図5に示すように、非偏光入射光590は、第1の偏光回折格子501により偏光し回折して、2つの直交する円偏光ビーム595(左円偏光)及び596(右円偏光)になる。液晶層503のOFFピクセル504を通過しているビーム595及び596は、それぞれの偏光が変化せず、ONピクセル506を通過しているビーム595及び596は半波長遅延して、それぞれ反対の円偏波595’(右円偏光)及び596’(左円偏光)のビームを提供する。ビーム595’及び596’は、第2の偏光回折格子502によって検光されかつ回折して軸外出力光599aを伝達し、一方で、ビーム595及び596は、第2の偏光回折格子502により検光されかつ回折して軸上出力光599bを伝達する。
【0069】
第3の偏光回折格子551は、第2の偏光回折格子502から伝達される光を受け取り、軸上ビーム599b及び軸外ビーム599aを回折させて、それぞれ軸外ビーム599b’及び軸上ビーム599a’にする。中間層553は、両ビーム599b’及び599a’を、それらの伝播方向を実質的に変更することなく厚さtを通して第4の偏光回折格子552に伝達する。第4の偏光回折格子552は、軸上ビーム599b’及び軸外ビーム599a’を回折させて、それぞれ軸外ビーム599b’’及び軸上ビーム599a’’に戻し、第2の偏光回折格子502を透過したビーム599b及び599aと同じ偏光及び方向であるが、空間オフセットが低減した、オフセット補償された出力光を提供する。特に、中間層の厚さにより、視差問題をもたらす、液晶層503と第2の偏光回折格子502との間の距離dからもたらされるオフセットを補償するために、空間オフセットがもたらされる。したがって、軸外出力光599a’’は、角度フィルタリングステージ527によって阻止されることにより、暗いピクセル532を見る人に提示し、一方で、軸上出力光599b’’は、角度フィルタリングステージ527によって通過が可能となり、表示スクリーン530上に投射されかつ結像することにより、見る人に明るいピクセル534を提示する。
【0070】
いくつかの実施形態では、中間層553は、液晶層503と第2の偏光回折格子502との間の透明基板515に類似する(すなわち、同じ厚さ及び/又は同じ屈折率を有する)基板である。中間層553内の第1のビーム及び第2のビームの光路長を、透明基板515内の第1のビーム及び第2のビームの光路長と一致させてもよい。この光路長は、中間層553の材料の回折角、厚さt及び/又は光学指数(屈折率)によって決まり得る。いくつかの実施形態では、中間層553は、ガラス等の等方性かつ透明な媒体である。
【0071】
図6は、図7A〜図7Gのシミュレーションデータを提供するために使用される本発明のいくつかの実施形態による偏光回折格子配置に対するシミュレーション空間例を示す。ここで図6を参照すると、均質に配向されたLC分子を含む均一な平面液晶層603が、アクロマチック偏光回折格子601及び602上の配向層607と配向層608との間に設けられ、偏光回折格子601及び602は、透過性基板610と透過性基板615との間に設けられている。LC層603は、印可される電圧に応じて、入力光を遅延させない「OFF」状態と、入力光を半波長遅延させる「ON」状態との間で切り換えられるように構成されている。LC層603の特徴には、約1.7μmの厚さd(偏光回折格子601及び602の対向する面の間の方向に沿って測定)と、約1.42の常光線屈折率nと、約0.159の直線複屈折Δnとが含まれる。
【0072】
偏光回折格子601は、2つの偏光回折格子層601a及び601bを含む。偏光回折格子層601a及び601bは、旋光性が反対であるキラル分子(すなわち、異なる左回り形態及び右回り形態を有する非対称分子)を含む。したがって、偏光回折格子層601aの分子方位は、その厚さにわたって回転し又は−70度のねじれ角Φで「ねじれて」いることにより、その局所異方性パターンにおける連続した位相シフトを提供する。偏光回折格子層601bの分子方位は、その厚さにわたって+70度のねじれ角Φで反対にねじれている。したがって、偏光回折格子601は、ねじれの向きが反対である2つの偏光回折格子層601a及び601bを有している。偏光回折格子602は、同様に、それぞれ−70度及び+70度の反対のねじれ角Φを有する2つの偏光回折格子層602a及び602bを有している。偏光回折格子601及び602のそれぞれの他の特徴には、約1〜4μmの光学ピッチと、約1.42の常光線屈折率nと、約0.159の直線複屈折Δnと、逆平行配置とが含まれる。
【0073】
偏光回折格子601及び602の透過性基板610及び615それぞれとの境界面に、屈折率反射防止(AR)コーティング606が施されている。シミュレーション空間を終端させかつ/又はシミュレーション時間を低減するために、周期的境界611及び一軸完全整合層(Uniaxial Perfectly Matched Layer)(UPML)技法を使用する整合層境界612を採用することができる。入力/入射光609は、偏光回折格子601の前のライン613において提供される、中心波長λが約550nmであるガウスパルスであり、出力回折効率を、偏光回折格子602の直後のライン614における電界から計算することができる。偏光回折格子601及び602は、グリッド間隔がλ/40=13.75nmであり、これはグリッド密度Nが40であるとも言える。
【0074】
図7A〜図7Gは、LC層603に対する印可電圧を変化させることにより、約0度〜約90度の範囲にわたりLC層603の分子の傾斜角θtiltを変化させることに応じて、本発明のいくつかの実施形態による偏光回折格子配置に対する回折特性を示すシミュレーション結果を示す。より詳細には、図7A〜図7Fは、偏光回折格子601及び602の対向する面に対する、それぞれ異なる傾斜角(θtilt)90度、60度、45度、30度、15度及び0度に対する正規化された遅延(Δnd/λ)の関数としての、ゼロ次、一次及び二次回折効率を示す。ゼロ次回折効率の和は、図7A〜図7Fでは波形700a〜700fによってそれぞれ表されており、入力光690の角度に対して実質的に平行な角度で伝播する、偏光回折格子配置から出力される光を示す。同様に、図7A〜図7Fでは、一次回折効率の和(入力光690と異なる角度で伝播する、偏光回折格子配置から出力される光を示す)は、波形701a〜701fで表されており、二次回折効率の和(入力光690の角度に対してさらに大きい角度で伝播する、偏光回折格子配置から出力される光を示す)は、波形702a〜702fによって表されている。
【0075】
図7Aに示すように、青色光、緑色光及び赤色光を含む、約400nm〜700nmの波長範囲にわたり、LC層603が「OFF」状態であるとき(すなわちθtilt=90度であるとき)に回折して二次光になる光に対し、比較的高い回折効率が提供される。したがって、この二次出力光を、上述したように、阻止しかつ/又は他の方法で表示スクリーンに伝達されないようにすることができる。対照的に、図7Fに示すように、同様の波長範囲にわたり、LC層603が「ON」状態にあるとき(すなわちθtilt=0度であるとき)、ゼロ次光に対して比較的高い回折効率が提供される。それにより、このゼロ次出力光を、偏光関連の損失がほとんどないか又はまったくなく表示スクリーンに提供することができる。図7Gは、図7Aのθtilt=90度に対するゼロ次効率700aに、図7Fのθtilt=0度に対するゼロ次効率700fを重ね合わせることにより、本発明のいくつかの実施形態による偏光回折格子配置のゼロ次偏光効率を示す。したがって、本発明の実施形態は、比較的広範囲のスペクトルにわたり、輝度の上昇(700fによって示す)及び高コントラスト(700aによって示す)を共に提供することができる。
【0076】
図8A〜図8Fは、本発明のいくつかの実施形態による偏光回折格子配置の透過率スペクトルを示す実験結果を提供する。特に、図8A〜図8Fは、2つの反応性メソゲンアクロマチック偏光回折格子801及び802の間の半波長遅延厚さを有する均質な液晶層803を含む偏光回折格子配置に対する、分光光度計によって測定された透過率対波長特性を示す。液晶層は、常光線屈折率nが約1.49であり、直線複屈折Δnが約0.11であり、厚さが約2.8μmである。偏光回折格子は、常光線屈折率nが約1.45であり、直線複屈折Δnが約0.159である。図8A及び図8Bに示すように、波形80aa及び800bは、LC層803を組み立てる前の、それぞれ偏光回折格子801及び802の個々のゼロ次透過率を示す。したがって、偏光回折格子801及び802は、入射光を略100%の効率で回折させて、非ゼロ次光にする。図8Fは、連続した偏光回折格子801及び802の組合せを含む配置に対するゼロ次透過率を示す。第1の偏光回折格子801を使用して、入射光を入射角から離れるように偏光させかつ回折させ、第2の偏光回折格子802を使用して、光を入射角に戻るように検光しかつ回折させ、波形800fに示すように、入射光の約80%以上の透過率を提供する。図8Cの波形800cは、平行な偏光回折格子801及び802の間に傾斜角が0度であり方位角が45度である液晶層803を含む、本発明のいくつかの実施形態による偏光回折格子配置のゼロ次透過率を示す。図8D及び図8Eは同様に、それぞれ波形800d及び800eによって示すように、液晶層803が90度及び0度の傾斜角を有する偏光回折格子801及び802の逆平行配置に対するゼロ次透過率特性を示す。
【0077】
したがって、本発明のいくつかの実施形態は、回折が偏光回折格子によって行われるが、変調が液晶層によって行われる、多重偏光回折格子配置を提供する。より詳細には、偏光回折格子は、広いスペクトル範囲にわたり透過光の方向及び/又は偏光状態を制御する回折光素子として使用される。こうした配置を使用して、スイッチング素子として従来の液晶材料を使用しながら、輝度及びコントラストを著しく向上させた投射型かつ/又は直視型LCD装置を提供することができる。本発明のさらなる実施形態について以下詳細に説明する。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態では、従来のLCD装置の偏光子の代りに、偏光回折格子(PG)として知られる、透明ポリマーの薄膜偏光ビームスプリッタを使用することにより、液晶(LC)マイクロディスプレイの光効率を2倍にすることができる。特に、図9A及び図10Aに示すアクロマチック、反応性メソゲン(重合性LC)フィルムを偏光子及び検光子の両方として採用することができる。その結果、両直交偏光(すなわち、非偏光光の実質的にすべて)を、同時にマイクロディスプレイを通過するように向けることができ、それにより、ディスプレイは、〜100%(輝度)効率(偏光子を使用した場合の<50%効率とは対照的に)を有することができる。こうした「ポリマー・PGディスプレイ」は、市販の既製のLCマイクロディスプレイに対してほとんど又はまったく変更が不要である。図10B、図10C、図11A及び図11Bは、こうしたポリマー・PGディスプレイの動作原理を示す実験結果を提供し、実験的に、最大±7度の開口で非偏光LED光に対し全体的な〜90%効率及び>200:1のコントラスト比を示す。さらに、図12A及び図12Bは、変更した市販のマイクロディスプレイを使用するポリマー・PG投射型システムのプロトタイプを示す。
【0079】
光効率の向上及び電力消費の低減は、今日のLCD市場に対し課題を提示する。1971年のツイステッドネマチック液晶の発明以来、LCDは、フラットパネルディスプレイの主な供給源であった。しかしながら、LCDの効率は、偏光子からの損失(>50%)のために制限される可能性がある。これは、大部分のLCDが、LC層の複屈折及びねじれを介して光偏光の方向を制御することによって動作する一方で、最も効率的な光源(すなわちCCFL及びLED)が非偏光光をもたらすためである。LCゲル、PDLC、H−PDLC及び2値LC回折格子を含む、偏光子のないディスプレイに対して多数の異なる手法がある。しかしながら、それらのすべてに、ある程度、低コントラスト比、非常に狭い受光角及び/又は限られたピーク効率という問題がある。近年、電気的に切換可能なLCPGが、非常に効率的な偏光無依存型光変調器として使用されてきた。さらに、最も近年ではLCOSバックプレーンを使用して、LCPGを使用する投射型システム用のマイクロディスプレイプロトタイプが実演されている。
【0080】
偏光回折格子は、空間的に可変の一軸性複屈折により一意の回折特性を有している。本発明のいくつかの実施形態では、高度架橋アクリレートポリマーフィルムで形成され、かつ従来のPGの同じ偏光依存型特性を有する、可視波長範囲全体にわたり経験的に>99%回折効率を有する周期的なLCプロファイルを有する偏光回折格子を採用する。図9Aは、白色の非偏光入力光を用いる本発明のいくつかの実施形態によるアクロマチック偏光回折格子(PG)901の挙動を示す。図9Bの写真に示すように、±1回折次数902及び902がそれぞれ円偏光され、直交であり、内部を伝播している入射光の(合計で)最大100%を有することができる。
【0081】
本発明の実施形態は、偏光子の代りに偏光素子及び検光素子として作用するアクロマチックPGを備えた、非常に効率のよい偏光無依存型マイクロディスプレイ(「ポリマー・PG LCディスプレイ」)を提供する。図1A及び図1Bは、本発明のいくつかの実施形態によるポリマー・PG LCディスプレイの基本形状及び動作原理を示す。従来の偏光子が使用されないため、ディスプレイの光効率を、2倍向上させることができる可能性がある。開口絞り及びレンズを使用して回折次数をフィルタリングすることによってコントラストを得ることができることが留意されるべきである。しかしながら、マイクロディスプレイの変更は不要である。
【0082】
従来のLCDと同様に、LCスイッチングにより光が変調される。第1のPGは、一次の円形偏光を出力し、その旋光性は、図1A及び図1Bに示すように、LCスイッチング、及び第1のPGと第2のPTGとの間の相対的な方位によって影響される。第2のPGは、第1のPGからの光の偏光旋光性に基づき、光をより高い角度になるように回折させるか、又はそれを垂直方向に向ける。図1A及び図1Bでは、PGの逆平行配向を有するように示すが、本発明の実施形態は、PG及び/又は他の変更された設計の平行な配向を含むことができることが理解されるべきである。
【0083】
図10Aは、本発明の実施形態による平行なPG配置1001及び逆平行なPG配置1002を示し、それらについては、輝度及びコントラスト比に対する上限を強調するように後述する。実験的論証のために、赤色LED光、緑色LED光及び青色LED光に対し高効率(>98%)な一対のアクロマチックPGサンプル(緑色光に対し回折格子周期=4μm、受光角±7度)。これらの回折格子の製造方法及び光学特性については前述した。平行な方位1001及び逆平行の方位1002は、それぞれ、ディスプレイの明るい状態及び暗い状態に略相当する。図10Bは、非偏光入力光に対し、両配置の真の(測定された)透過率スペクトルを示す。波形1003は、平行なPGが約90%の透過率を明示し得ることを示し、波形1004は、逆平行なPGが可視光(400〜700nm)に対して漏らすのが約0.5%未満であることを示す。波形1005は、平行な偏光子に対する透過率スペクトルを示す。図10Cの波形1006は、本発明のいくつかの実施形態による逆平行なPG配置1002(交差偏光子に類似している)の測定された消光比が≧200であり、赤色のピークが〜500であることを示す。フレネル損失を低減するために、反射防止コーティングされたガラスを使用したことが留意されるべきである。
【0084】
従来のLCセルを備えた(垂直配向(VA)モードの)単一モノリシックピクセルを用いて、電気光学スイッチングも論証した。図1A及び図1Bに示すように、2つのアクロマチックポリマーPGがLCセルに対して逆平行の方位で配向され、LCセルは、通過する光の偏光を制御する。より詳細には、比較的高い電圧(〜5B)が印可されると、VAモードLCセルは、その主に平面の配向により半波形遅延を提供し、したがって、(第1のPGからの)内部を通過する2つのビームの偏光を(同時に)反転させる。そして、この光は、図1Bに示すように、第2のPGによって垂直方向に向かうように向けられ、その後、スクリーン/見る人に投射される。しかしながら、VAモードのLCセルに電圧が印可されていないとき、それは非常にわずかな遅延を提供し、第1のPGからLC層に入る光は、図1Aに示すように、その元の偏光を(同時に)保持し、第2のPGによってさらに高い角度になるように回折する。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態によるポリマー・PG LCディスプレイにおける3つのLED色(非偏光)に対する透過率及びコントラスト比を、それぞれ図11A及び図11Bのグラフに示す。特に、図11Aでは、赤色の非偏光LED1101(625nm)、緑色の非偏光LED1102(530nm)及び青色の非偏光LED1103(470nm)に対して、明るい状態の透過率を示し、図11Bでは、3つのLED1101、1102及び1103に対するコントラスト比(明るい/暗い)を示す。図11Aのダッシュ1105は、同じ配置における交差偏光子のLCピクセルの推定される透過率を示す。図11Aに示すように、本発明のいくつかの実施形態によるポリマー・PG LC変調器の非偏光光に対する真の透過率は≧80%であり、従来の偏光子ベースのディスプレイの2倍を上回り、一方で、図11Bに示すように、適度なコントラスト比(200:1〜500:1)を依然として維持する。
【0086】
ポリマー・PGディスプレイの結像特性を確認するため、図12A〜図12Cに示すように、本発明のいくつかの実施形態によるアクロマチックPGフィルムを備えた市販のLCマイクロディスプレイパネル(Iljin Dislay、0.41’’VGA、平面配向モード)を使用して、プトロタイププロジェクターを構築した。カラーシーケンシャル表示操作をサポートするGolden−eyeLED光源を使用し、市販のマイクロディスプレイから偏光子を除去した。本発明のいくつかの実施形態によるPGフィルムを逆平行構成にかつ回折格子方向に配向させた。図12Aに、システム1200の全体形状を示し、図12Bにシステム1200の写真を示す。システム1200の要素は、図3Aのシステム300aに示す同様の要素に対応することができる。わずかな空間オフセットを有する投射画像に視差が観察され、それは、結像面と第2のPGとの間の距離(ガラス厚さ)に起因する可能性がある。この視差問題を、いくつかの実施形態では、LCセル内部に第2のPGを挿入することによって回避することができる。別の解決法は、第2のPGの後にガラスと同じギャップ厚さである2つの追加の平行なPG(すでに選択しているPGと同様か又は同じ)を配置するというものであり、それにより、図5の実施形態に関連して上述したように、空間オフセットを完全に補償することができる。
【0087】
ポリマー・PGディスプレイは、偏光子ベースのディスプレイの最大2倍明るい可能性のある明るいピクセルを投射する。図12Cは、元のディスプレイ1204と、同等に先鋭なエッジ及び優れた画像焦点を示す、本発明のいくつかの実施形態によるポリマー・PGディスプレイ1205とからの投射された画像の比較を提供する。図12Cのポリマー・PGディスプレイ画像1205に見られる色の劣化と低い画像コントラストは、これらの初期試験における任意の遅延補償の不在(偏光子と共に元のディスプレイから除去された)による可能性があり、それは、製造ディスプレイに組み込まれる。
【0088】
したがって、本発明のいくつかの実施形態によるポリマー・PGディスプレイは、回折透明ポリマー薄膜を使用することによってLCマイクロディスプレイの光効率を向上させることができる。(変更されていない)市販のLCマイクロディスプレイの輝度をおよそ倍にすることができ、エテンデューの制限された(etendue-limited)光源を使用することができる。本発明の実施形態を、システムが非常に効率的であるため、携帯型プロジェクターで使用するように目標を定めることができる。
【0089】
上述したことは、本発明を例示するものであり、それを限定するものとして解釈されるべきではない。本発明のいくつかの例示的な実施形態について説明したが、当業者は、本発明の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態において多くの変更が可能であることを容易に理解するであろう。たとえば、図1〜図12を参照して上述した偏光回折格子を、切換不能かつ/又は切換可能なLC材料を使用して製造することができることが理解されるべきである。さらに、本明細書で説明した基板は、たとえば、その表面に、基板上に透明な酸化インジウム錫(ITO)コーティングによって提供される、1つ又は複数の電極を有することができる。したがって、こうした変更のすべては、本発明の範囲内に含まれるように意図されている。したがって、上述したことは、本発明を例示するものであり、開示した特定の実施形態に限定されるように解釈されるべきではなく、開示した実施形態に対する変更は、他の実施形態と同様に、本発明の範囲内に含まれることが意図されていることが理解されるべきである。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を偏光させかつ回折させて、該入射光と偏光が異なりかつ伝播方向が異なる第1のビーム及び第2のビームにするように構成された第1の偏光回折格子と、
前記第1の偏光回折格子から前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取るように構成されると共に、内部を通過する前記第1のビーム及び前記第2のビームのそれぞれの偏光を実質的に変更しない第1の状態と、内部を通過する前記第1のビーム及び前記第2のビームの前記それぞれの偏光を変更する第2の状態との間で切り換えられるように構成された液晶層と、
前記液晶層から前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取るように構成されると共に、前記第1のビーム及び前記第2のビームを検光しかつ回折させて、前記液晶層の状態に応じてそのそれぞれの伝播方向を変更するように構成された、第2の偏光回折格子と
を具備する、液晶装置。
【請求項2】
前記第2の偏光回折格子は、前記第1のビーム及び前記第2のビームの前記伝播方向を、前記液晶層が前記第2の状態にあるとき、前記入射光の方向に対して実質的に平行な方向に伝播する光を伝達し、前記液晶層が前記第1の状態にあるとき、前記入射光の方向に対して実質的に平行な方向に伝播しない光を伝達するよう変更するように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の偏光回折格子は第1の周期的複屈折パターンを含み、前記第2の偏光回折格子は、前記第1の複屈折パターンに対して反転した第2の周期的複屈折パターンを含む請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の偏光回折格子は、第1の周期的ネマチックダイレクタパターンを含む重合液晶層を備え、前記第2の偏光回折格子は、前記第1の周期的ネマチックダイレクタパターンに対して同じ周期性を有しかつ約180度全体的に回転している第2の周期的ネマチックダイレクタパターンを含む、重合液晶層を備える請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の偏光回折格子は、前記第1のビーム及び前記第2のビームの前記伝播方向を、前記液晶層が前記第1の状態にあるとき、前記入射光の方向に対して実質的に平行な方向に伝播する光を伝達し、前記液晶層が前記第2の状態にあるとき、前記入射光の方向に対して実質的に平行な方向に伝播しない光を伝達するよう変更するように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の偏光回折格子は、第1の周期的複屈折パターンを含み、前記第2の偏光回折格子は、前記第1の周期的複屈折パターンと同じ周期性及び向きを有する第2の周期的複屈折パターンを含む請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記液晶層の前記第2の状態は、前記第1のビーム及び前記第2のビームの前記それぞれの偏光を反転させるように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の偏光回折格子から伝達される出力光を受け取るように構成された角度フィルタリングステージであって、所望の角度を上回る角度で伝播する前記出力光を阻止すると共に、前記所望の角度を下回る角度で伝播する前記出力光をスクリーンに向けるように構成された、角度フィルタリングステージをさらに具備する請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記角度フィルタリングステージは、前記入射光に対して実質的に平行な方向に伝播する、前記第2の偏光回折格子からの前記出力光が内部を通過することを可能にするが、前記入射光の方向に対して実質的に平行な方向に伝播しない前記第2の偏光回折格子からの前記出力光を阻止するように構成された、少なくとも1つのレンズ及び開口絞りを備える請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記角度フィルタリングステージは、前記入射光に対して実質的に平行な方向に伝播する前記第2の偏光回折格子からの前記出力光が内部を通過することを可能にするが、前記入射光の方向に対して実質的に平行な方向に伝播しない前記第2の偏光回折格子からの前記出力光を阻止するように構成されたプライバシフィルムを備える請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のビームの前記偏光は、前記第2のビームの前記偏光に対して直交している請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第1のビーム及び前記第2のビームは円偏光されている請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記入射光は非偏光光を含み、前記第1の偏光回折格子は、前記第1のビーム及び前記第2のビームが、それぞれ、可視波長範囲にわたり前記入射光の強度の約25%を上回る強度を有するように、前記入射光を回折させるように構成されている請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第2の偏光回折格子は、前記第1のビーム及び前記第2のビームを回折させて、約400nmから約700nmの可視波長範囲にわたり、前記入射光の前記強度の約50%を上回る強度を有する出力光を伝達するように構成されている請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の偏光回折格子及び前記第2の偏光回折格子の少なくとも一方は、
第1の周期的分子構造を備える第1の偏光回折格子層と、
前記第1の偏光回折格子層の上の第2の偏光回折格子層であって、前記第1の周期的分子構造と同じ周期性を有し、かつ前記第1の偏光回折格子と前記第2の偏光回折格子との間の境界面に沿って、前記第1の周期的分子構造に対して第1の位相シフトを画定する、第2の周期的分子構造を備える、第2の偏光回折格子層と、
前記第2の偏光回折格子層が前記第1の偏光回折格子層と前記第3の偏光回折格子層との間にあるように該第2の偏光回折格子層の上にある第3の偏光回折格子層であって、前記第2の周期的分子構造と同じ周期性を有し、かつ前記第2の偏光回折格子層と前記第3の偏光回折格子層との間の境界面に沿って、前記第2の周期的分子構造に対して第2の位相シフトを画定する、第3の周期的分子構造を備える、第3の偏光回折格子層と
を備える請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の偏光回折格子及び前記第2の偏光回折格子の少なくとも一方は、
前記基板上の第1の偏光回折格子層であって、該第1の偏光回折格子層の局所異方性パターンが第1の厚さにわたって連続的に可変の位相シフトを有するように、該第1の偏光回折格子層の対向する面の間に画定された該第1の厚さにわたり、第1のねじれ角だけ回転された分子構造を備える、第1の偏光回折格子層と、
前記第1の偏光回折格子層の上の第2の偏光回折格子層であって、該第2の偏光回折格子層の局所異方性パターンが第2の厚さにわたって、前記第1の偏光回折格子層の位相シフトとは反対の連続した可変位相シフトを有するように、前記第2の偏光回折格子層の対向する面の間に画定された該第2の厚さにわたり、前記第1のねじれ角と反対の第2のねじれ角だけ回転された分子構造を備える、第2の偏光回折格子と
を備える請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記液晶層は、前記第1の状態と前記第2の状態との間で切り換えられるようにそれぞれ構成された複数のピクセルを含むピクセルアレイを画定する請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記第1の偏光回折格子から前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取り、該第1のビーム及び該第2のビームを前記第2の偏光回折格子の上に結像させるように構成されたレンズをさらに具備する請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記第2の偏光回折格子からの前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取りかつ回折させて、その前記それぞれの伝播方向を変更するように構成された第3の偏光回折格子と、
前記第3の偏光回折格子からの前記第1のビーム及び前記第2のビームを、そのそれぞれの伝播方向を実質的に変更することなく透過させるように構成された中間層と、
前記中間層からの前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取りかつ回折させて、その前記それぞれの伝播方向を変更して、前記第2の偏光回折格子から出力される前記第1のビーム及び前記第2のビームの方向に対して実質的に平行な方向に伝播するオフセット補償された出力光を提供するように構成された第4の偏光回折格子と
をさらに具備し、前記中間層は、前記オフセット補償された出力光が、前記第2の偏光回折格子から出力された前記第1のビーム及び前記第2のビームに対して空間オフセットが低減するように、前記第3の偏光回折格子及び前記第4の偏光回折格子を、前記第2の偏光と前記液晶層との間の距離と実質的に同様の距離だけ分離するように構成された厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
入射光を偏光させかつ回折させて、該入射光と偏光が異なりかつ伝播方向が異なる第1のビーム及び第2のビームにするように構成された偏光回折格子と、
前記第1の偏光回折格子から前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取るように構成されると共に、内部を通過する前記第1のビーム及び前記第2のビームのそれぞれの偏光を実質的に変更しない第1の状態と、内部を通過する前記第1のビーム及び前記第2のビームの前記それぞれの偏光を変更する第2の状態との間で切り換えられるように構成された液晶層と、
前記液晶層から前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取り、前記第1のビーム及び前記第2のビームを前記液晶層及び前記偏光回折格子を再び通るよう反射するように構成された反射性基板と
を具備する液晶装置であって、前記偏光回折格子は、前記反射性基板からの前記反射された第1のビーム及び第2のビームを検光しかつ回折させて、前記液晶層の状態に応じてそのそれぞれの伝播方向を変更し、出力光を提供するように構成されている、液晶装置。
【請求項21】
前記偏光回折格子は第2の偏光回折格子を備え、
入射光を偏光させかつ回折させて、該入射光と偏光が異なりかつ伝播方向の異なる前記第1のビーム及び前記第2のビームにするにように構成された第1の偏光回折格子と、
前記第1の偏光回折格子から前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取ると共に、該第1のビーム及び該第2のビームを前記第2の偏光回折格子にその入力光として提供するように構成されたレンズと
をさらに具備する、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記レンズから前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取ると共に、該第1のビーム及び該第2のビームを前記第2の偏光回折格子上に反射してそこに入力光を提供するように構成された反射性開口絞りをさらに具備し、
前記反射性開口絞りは、前記第2の偏光回折格子から内部を通過する前記出力光を画面に向かって伝達するように構成されている請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記第2の偏光回折格子から前記出力光として出力される前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取りかつ回折させて、その前記それぞれの伝播方向を変更するように構成された第3の偏光回折格子と、
前記第3の偏光回折格子からの前記第1のビーム及び前記第2のビームを、その前記それぞれの伝播方向を実質的に変更することなく透過させるように構成された中間層と、
前記中間層から前記第1のビーム及び前記第2のビームを受け取りかつ回折させて、その前記それぞれの伝播方向を変更して、前記第2の偏光回折格子から前記出力光として出力される前記第1のビーム及び前記第2のビームに対して実質的に平行な方向に伝播するオフセット補償された出力光を提供するように構成された第4の偏光回折格子と
をさらに具備し、前記中間層は、前記オフセット補償された出力光が、前記第2の偏光回折格子から前記出力光として出力される前記第1のビーム及び前記第2のビームに対して空間オフセットが低減するように、前記第3の偏光回折格子及び前記第4の偏光回折格子を、前記第2の偏光と前記液晶層との間の距離と実質的に同様の距離だけ分離するように構成された厚さを有する、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
入射光を受け取ると共に、そこから光を伝達するように構成された第1の偏光回折格子と、
前記第1の偏光回折格子から前記光を受け取ると共に、そこから偏光の異なる第1の成分のビーム及び第2の成分のビームを含む出力光を伝達するように構成された第2の偏光回折格子と
を具備する装置であって、前記第1の偏光回折格子及び前記第2の偏光回折格子のうちの少なくとも一方は、内部を通過する前記光の前記それぞれの偏光及び伝播方向を実質的に変更しない第1の状態と、内部を通過する前記光の前記それぞれの偏光及び方向を変更する第2の状態との間で切り換えられるように構成された切換可能な偏光回折格子を備える、装置。
【請求項25】
前記第1の偏光回折格子は、前記切換可能な偏光回折格子を備え、かつ、前記第1の状態では、前記入射光を、その前記それぞれの偏光及び伝播方向を実質的に変更することなく透過させるように構成され、前記第2の状態では、前記入射光を偏光させかつ回折させて、前記入射光と偏光が異なりかつ伝播方向が異なる第1のビーム及び第2のビームにするように構成されており、
前記第2の偏光回折格子は、前記第2の偏光回折格子が前記第2の状態にあるとき、前記第1の偏光回折格子からの前記第1のビーム及び前記第2のビームを検光しかつ回折させて、その前記それぞれの伝播方向を変更するように構成された固定回折格子を備え、かつ前記第1の偏光回折格子が前記第1の状態にあるとき、前記入射光を偏光させかつ回折させて、偏光及び伝播方向の異なる前記第1のビーム及び前記第2のビームにするように構成されている請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記第1の偏光回折格子は、前記入射光を偏光させかつ回折させて、前記入射光と偏光及び伝播方向の異なる第1のビーム及び第2のビームにするように構成された固定回折格子を備え、
前記第2の偏光回折格子は、切換可能な偏光回折格子を備え、かつ、前記第1の状態では、前記第1の偏光回折格子からの前記第1のビーム及び前記第2のビームを、その前記それぞれの偏光及び伝播方向を実質的に変更することなく透過させるように構成され、前記第2の状態では、前記第1の偏光回折格子からの前記第1のビーム及び前記第2のビームを検光しかつ回折させて、その前記それぞれの偏光及び伝播方向を変更するように構成されている請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記第1の偏光回折格子及び前記第2の偏光回折格子は、向きが互いに対して反転しているそれぞれの複屈折パターンを備える請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記第1の偏光回折格子及び前記第2の偏光回折格子は、向きが実質的に同様のそれぞれの複屈折パターンを備えている請求項24に記載の装置。

【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−505430(P2012−505430A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531002(P2011−531002)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/011611
【国際公開番号】WO2010/042089
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(508290987)ノース・キャロライナ・ステイト・ユニヴァーシティ (7)
【Fターム(参考)】