説明

複数の処理段階において編成データにより記述される編物柄の作成方法

【課題】編物柄の改善された作成方法を提案する。
【解決手段】複数の処理段階において編成データにより記述される編物柄(10)の作成方法であって、少なくとも開始処理段階(1)に続く追従処理段階(2,3)において、又は開始処理段階(1)から追従処理段階(2,3)へ移行の際、又は1つの追従処理段階(2,3)から他の追従処理段階(2,3)への移行の際、編物柄(10)の編成データの変更が行われるものにおいて、編成データの変更の際、編物柄(10)において変更が行われた位置(16)が特に自動的にマークされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の処理段階において編成データにより記述される編物柄の作成方法、及び編機で製造される編物柄を複数の処理段階で設計する設計装置に関する。
【背景技術】
【0002】
横編機用編物柄の作成は、システムが柄作成に対して自動的な援助を行う場合、基本的に複数段階にわたって行われる。最初の処理段階(開始処理段階)において、編物柄の外観が規定される。更に使用すべき編成技術が規定される。
【0003】
続く処理段階(追従処理段階)の1つにおいて、又は1つの処理段階への移行の際複数の処理段階において、編物柄の変更が行われる。これらの変更は、設計装置により自動的に行うか、使用者により行うことができる。
【0004】
各処理段階は、抽象的な編物柄記述から編機制御データへの接近である。自動装置を含む柄出しシステムでは、柄作成の際少なくとも2つの処理段階が必要とされる。柄作成の際、すべての入力をできるだけ最初の処理段階で行い、最後の処理段階後に編物柄を製造する編機制御プログラムを編機へ伝送する、という目的が常にあるけれども、使用者にとって、次の処理段階において変更を行う必要がしばしばある。その理由は多様である。しかし大抵の場青。編機制御データにおいて所望の結果を得るために、特定の状況に対して最初の処理段階における入力が可能でない、という問題がある。
【0005】
その際使用者に対して次の問題が生じる。即ち次の処理段階において編物柄が修正されると直ちに、先行する処理段階がロードされると、利用者の入力が失われる。次の処理段階において変更が行われなかった編物柄でも、先行する処理段階がロードされると直ちに、データが失われたか否かを、使用者が確信することはできない。従って使用者により別の個所における変更が文書化されねばならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、前記の限定が生じない方法及び設計装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するため、複数の処理段階において編成データにより記述される編物柄の作成方法であって、少なくとも開始処理段階に続く追従処理段階において、又は開始処理段階から追従処理段階へ又は1つの追従処理段階から他の追従処理段階への移行の際、編物柄の編成データの変更が行われるものにおいて、本発明によれば、編成データの変更の際、編物柄において変更が行われた位置が特に自動的にマークされる。特に最初の処理段階の後にある処理段階(必ずしも最初の処理段階にすぐ続く処理段階でなくてもよい)において行われる編物柄の編成データの変更ごとに、変更されたすべての柄位置を正確なラスタ位置でマークされるようにすることができる。従って処理段階の編成データが変更されたことが直ちにわかる。その場合例えば目移し過程の記入後、目移しが行われる編物柄の適当な位置をマークするか、又は際立たせることができる。特に編物柄を、シンボル表示において例えば糸コース表示として、面表示として又は色表示として表示することができ、変更が行われた位置を、光特に色で際立たせることができる。設計装置の表示装置において、例えば位置を緑色の枠によって視覚化することができる。開始処理段階においてなるべく図面のみが作成され、その際変更の記憶可能性はない。
【0008】
各追従処理段階に1つの状態が割当てられると、特別な利点が生じる。例えば追従処理段階がロードされると、それが状態“変更されない”を示すことができる。しかし追従処理段階において編成データの変更が行われると、状態“変更された”をこの追従処理段階に割当てることができる。例えば追従処理段階が設計装置の表示装置に表示され、この段階において変更が行われると、全体の追従処理段階が変更されたものとしてマークされる。それにより使用者に対して、追従処理段階に先行した処理段階の再度のロードの際、変更が失われたことが明らかである。次の追従処理段階へ移行の際、この段階にまず常に状態“変更されない”が割当てられるようにすることができる。それにより特定の追従処理段階のロードの際変更が失われたか否かが、常に正確にわかる。これに関連して、追従処理段階に割当てられる状態が表示装置に表示されると、特に有利である。例えば編物柄が最初の追従処理段階において変更され、続いて次の追従処理段階へ移行されると、最初の追従処理段階が状態“変更された”で表示される。それにより最初の追従処理段階に先行する開始処理段階の再度のロードの際、変更が失われるけれども、最初の追従処理段階のロードの際には失われない。なぜならば、この最初の追従処理段階は変更されたデータと共に記憶されるからである。開始処理段階に対して、この段階に状態を割当てることは行われない。
【0009】
有利な方法変形例によれば、行われた変更が別々に記憶されるようにすることができる。それによりこれらの変更を再び使用することができる。例えば最初の追従処理段階において行われた変更を記憶することができる。続いて開始処理段階をロードできるであろう。最初の追従処理段階への再度の移行後、前に記憶された変更を再びロードして使用することができる。
【0010】
更に変更が設計装置により自動的に行われたか使用者により行われたかが分類されて、変更が記憶されるようにすることができる。それにより変更が設計装置により1つの処理段階から次の追従処理段階への移行の際もたらされたのか否か、又は変更が使用者により行われたのか否かを知ることができる。
【0011】
処理段階(開始処理段階又は追従処理段階)に対応する編成データが記憶される。それにより処理段階の編成データも再びロードし、続いて変更することができる。変更が際立たされることにより、編物柄を第3者が問題なくロードし、それから処理して変更することができる。本発明による方法は、時間を大きく節約する。継続する処理段階における変更の時間がかかる文書化はなくなる。
【0012】
本発明の範囲に含まれる、編機で製造される編物柄を複数の処理段階で設計する設計装置は、編物柄の記述に必要な編成データを記憶する少なくとも1つの記憶装置、少なくとも1つの処理段階において編物柄のすくなくとも1つのシンボル表示を表示する少なくとも1つの表示装置、及び少なくとも1つのシンボル表示を変更するための少なくとも1つの入力装置を有し、開始処理段階に続く追従処理段階において編物柄が変更された位置をマークするために、マークが設けられている。マークを表示装置に表示し、追従処理段階の編成データと共に記憶することができる。それにより変更は理解可能なままであり、別個に文書化する必要がない。
【0013】
追従処理段階に1つの状態を割当てる状態割当て手段が設けられていると、特別な利点が生じる。例えば追従処理段階が最初にロードされると、この段階に状態“変更されない”が割当てられる。しかし編成データの変更が追従処理段階で行われると、この追従処理段階へ状態“変更された”が割当てられる。
【0014】
追従処理段階の状態が表示装置に表示可能であると、特別な利点が生じる。それにより使用者は、先行する処理段階のロードの際多分変更が失われるか否かを、簡単に知ることができる。
【0015】
更に追従処理段階における編物柄の変更のみが記憶可能であり、かつ処理段階としてロード可能であるようにすることができる。それにより変更されない処理段階をロードし、この処理段階に加えて、以前に別の処理段階により行われた変更をロードし、ちょうどロードされた処理段階へ引受けることができる。
【0016】
本発明のそれ以外の特徴及び利点は、本発明にとって重要な詳細を示す図面の図により、本発明の実施例の以下の説明及び請求項から明らかになる。そこに示される特徴は必ずしも寸法通りでないと理解すべきであり、本発明による特徴が明確に見えるように示されている。種々の特徴はそれぞれ単独で又は発明の変形例において任意の組み合わせで実現可能である。
【0017】
概略的な図面に本発明の実施例が示されており、以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】 1つの処理段階における編物柄の糸コース表示の一部を示す。
【図2】 個々の処理段階への状態の割当てを説明するための概略表示を示す。
【図3】 異なる処理段階における作業を説明するための別の表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には、表示装置に表示される編物柄の糸コース表示の一部が示されている。編物柄10の示された糸コース表示において、4つの列11〜14が示されている。列11,13及び14において、個々の針のための編成操作が示されている。編成列12には目移し操作が示され、それが矢印15により暗示されている。位置16において、使用者により目移しが記入された。従って位置16が枠17によりマークされた。こうして使用者は、後の時点においても、どんな位置でどんな変更が行われたかを確認することができる。この変更は、編物柄10の全体の編成データにより記憶することができる。しかしこの変更のみを、付属する位置データにより別個に記憶することも可能である。それからこの情報は、後の時点に、処理段階における編物柄としてロードすることができるので、この処理段階におけるこの編物柄のために、同じ変更が行われる。
【0020】
図2には、符号1で開始処理段階が示され、符号2で追従処理段階が示されている。図2に示される表示も同様に、設計装置の表示装置に表示することができる。矢印18は、追従処理段階2が開始処理段階1からの移行から生じていることを示す。矢印19は、追従処理段階2が変更を行うことができるちょうど能動的な処理段階であることを示す。追従処理段階2はハッチングを施され、それにより追従処理段階2が状態“変更された”を持っていることが表現される。従って追従処理段階2が能動的である場合、この段階において変更が行われると、この例では追従処理段階全体がハッチングを施されることによって、この追従処理段階全体が変更されたものとしてマークされる。それにより、開始処理段階1の再度のロードの際、変更が失われることがわかる。従って例えば図1に示されているように変更が行われると、対応する追従処理段階は別の状態即ち状態“変更された”をとる。
【0021】
前述したことからわかるように、追従処理段階2の変更が行われた後に初めて、この追従処理段階の状態の変更が行われる。開始処理段階1から追従処理段階2へ移行する際、追従処理段階2に、まず常に状態“変更されない”が割当てられ、これは、ハッチングが施されないことによってわかる。従って特定の処理段階のロードの際変更が失われるか否かが、常に正確にわかる。
【0022】
図3に示す実施例では、追従処理段階2が変更され、続いて追従処理段階3へ移行された。矢印19は、これが能動的な処理段階であることを示すために、追従処理段階3を指し示している。追従処理段階2はハッチングを施されておりそれにより、この処理段階に状態“変更された”が割当てられていることが明らかになる。
【0023】
それにより、開始処理段階1の再度のロードの際変更が失われるけれども、処理段階2のロードの際には失われないことがわかる。なぜならば、追従処理段階2の変更はこれにより記憶されたからである。
【0024】
編物柄において行われた変更は、別個に記憶して再び使用することができる。従って追従処理段階2の変更を記憶することができる。続いて開始処理段階1をロードできるであろう。(この場合状態“変更されない”で表示される)追従処理段階2への再度の移行後、前に記憶された変更を再び追従処理段階2としてロードして、この追従処理段階に適用することができる。この場合追従処理段階2の状態は再び状態“変更された”に変わる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
追従処理段階(2,3)としての複数の処理段階において編成データにより記述される編物柄(10)の作成方法であって、少なくとも開始処理段階(1)に続く追従処理段階(2,3)において、又は開始処理段階(1)から追従処理段階(2,3)へ移行の際、又は1つの追従処理段階(2,3)から他の追従処理段階(2,3)への移行の際、編物柄(10)の編成データの変更が行われるものにおいて、編成データの変更の際、編物柄(10)において変更が行われた位置(16)が特に自動的にマークされることを特徴とする方法。
【請求項2】
編物柄(10)がシンボル表示で表示され、編物柄が変更された位置(16)が光特に色で際立たされることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各追従処理段階(2,3)に1つの状態が割当てられることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の方法。
【請求項4】
1つの追従処理段階(2,3)における編成データの変更の際、この追従処理段階に状態“変更された”が割当てられることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
追従処理段階(2,3)に割当てられる状態が表示装置に表示されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
行われた変更が別々に記憶されることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の方法。
【請求項7】
変更が設計装置により自動的に行われたか使用者により行われたかが分類されて、変更が記憶されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
処理段階(1,2,3)に対応する編成データが記憶されることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の方法。
【請求項9】
編機で製造される編物柄を複数の処理段階で設計する設計装置であって、編物柄の記述に必要な編成データを記憶する少なくとも1つの記憶装置、少なくとも1つの処理段階において編物柄のすくなくとも1つのシンボル表示を表示する少なくとも1つの表示装置、及び少なくとも1つのシンボル表示を変更するための少なくとも1つの入力装置を有し、開始処理段階(1)に続く追従処理段階(2,3)において編物柄(10)が変更された位置をマークするために、マーク(17)が設けられている、設計装置。
【請求項10】
追従処理段階(2,3)に1つの状態を割当てる状態割当て手段が設けられていることを特徴とする、請求項9に記載の設計装置。
【請求項11】
追従処理段階(2,3)の状態が表示装置に表示可能であることを特徴とする、請求項8又は10に記載の設計装置。
【請求項12】
追従処理段階(2,3)における編物柄(10)の変更のみが記憶可能であり、かつ処理段階としてロード可能であることを特徴とする、先行する請求項9〜11の1つに記載の設計装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−122185(P2012−122185A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−280431(P2011−280431)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【出願人】(591114995)ハー・シユトル・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト (16)
【Fターム(参考)】