複数の動力源を持つ車両の試験装置
【課題】駆動源がバッテリーをエネルギー源とする複数の動力源を持つ車両の走行試験装置として、駆動源の運転条件を変化させながらモード運転評価を可能とするものが要望されている。
【解決手段】各駆動源にそれぞれダイナモメータを連結する。連結された駆動源とダイナモメータの組合せ数を動力出力方式に応じて変更する。また、ダイナモメータの制御は被試験車両のシミュレーションモデル部を用いて実行し、このシミュレーションモデル部も動力出力方式に応じて変更する。試験時には、車両モデル部に格納された運転パターン信号に基づき被試験車両用のECUを介して制御するよう構成した。
【解決手段】各駆動源にそれぞれダイナモメータを連結する。連結された駆動源とダイナモメータの組合せ数を動力出力方式に応じて変更する。また、ダイナモメータの制御は被試験車両のシミュレーションモデル部を用いて実行し、このシミュレーションモデル部も動力出力方式に応じて変更する。試験時には、車両モデル部に格納された運転パターン信号に基づき被試験車両用のECUを介して制御するよう構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の試験装置に係り、特に、ハイブリッド車用の走行試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンの低燃費化を図るために、エンジンとモータジェネレータ(以下M/Gという)を駆動力源として搭載したハイブリッド車が市販されている。ハイブリッド車におけるM/Gは、電気エネルギーの供給にはモータとして機能し、回転駆動されたときにはジェネレータとして機能する。このM/Gは、エンジンと共に車両の駆動軸に連結され、力行時に、すなわちモータ機能時にはキャパシタ等を含む二次電池(以下バッテリーという)を電気エネルギー源として車両を駆動し、回生時には駆動軸により回転駆動されてジェネレータとなり、発生した電力でバッテリーを充電する。
また、バッテリーを電気エネルギー源とするものとしては電気自動車があり、この電気自動車はバッテリーのみをエネルギー源としている。
【0003】
ハイブリッド車や電気自動車は、上述のように、バッテリーが電気エネルギー源として使用されることから、バッテリー性能の良し悪しが低燃費化や排ガス量に影響する。したがって、ハイブリッド車や電気自動車の車両性能評価を実行するためには、エンジンとM/Gの運転条件、或いは駆動用モータの運転条件を変化させたバッテリー性能・耐久試験が必要となる。
例えば、ハイブリッド車の試験装置としては、特許文献1が公知となっている。この文献には、実車両に搭載されるエアコン用のブロアモータやカーオーディオなどの電気負荷を仮想負荷とする電気負荷装置をバッテリーに接続し、走行模擬装置、及び電気負荷装置を介してバッテリーをオン・オフ制御することで、車両走行中の電気負荷変動による車両走行制御への影響を仮想的に検証試験することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−170952
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハイブリッド車の動力出力方式には、シリーズ方式、パラレル方式、及びシリーズ・パラレル方式など種々の動力出力方式が存在する。また、電気自動車においても前輪及び後輪に駆動源が連結され、その駆動源は2つ以上存在する。このように動力出力方式の異なる各車種に対し、バッテリー性能・耐久試験を行うために、運転条件を種々変化させながらモード運転(例えばJC08等)評価を可能とするような試験装置が要望されている。また、試験装置としては、異なる動力出力方式に基づいてそのシステム構成も異なってくるが、その場合でも容易にシステム変更の可能なものが要望されている。
【0006】
そこで、本発明が目的とするとこは、モード運転等での評価、及び動力出力方式に応じたハイブリッド車、又は電気自動車等に対応したシステムのレイアウト変更を容易に可能とする複数の動力源を持つ車両の試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1は、車両の駆動源として2つ以上の駆動源を有し、少なくとも1つの駆動源はバッテリーを電気エネルギー源とするインバータで制御される車両であって、駆動源の回生時にはインバータを介して発生した電力をバッテリーに充電し、制御ユニットを用いて車両の試験を行うものにおいて、
前記各駆動源にそれぞれダイナモメータを連結し、連結された駆動源とダイナモメータ数を動力出力方式に応じて変更し、ダイナモメータの制御は被試験車両のシミュレーションモデル部を用いて実行するよう構成したことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の第2は、前記シミュレーションモデル部は、被試験車両をモデル化し、且つダイナモメータの検出された速度信号を入力して被試験車両の車速を演算し、ダイナモメータを統合的に制御するよう構成したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の第3は、前記駆動源は、燃料の燃焼により駆動力を発生する第1の駆動源と、この第1の駆動源に連結された第2の駆動源を備え、第2の駆動源に連結されたダイナモメータのトルク制御部は、前記シミュレーションモデル部からのトルク設定値とダイナモメータのトルク検出値に応じたトルク指令値でダイナモメータを制御し、前記シミュレーションモデル部は、前記ダイナモメータの検出速度信号に応じたトルク信号と前記トルク制御部に対するトルク指令値を出力する動力伝達モデル部、動力伝達モデル部からのトルク信号に基づいてギヤトルク値を算出するギヤモデル部、ギヤトルク値からブレーキトルクと走行抵抗値を差し引いて車速を算出する車体慣性部、算出された車速に基づいて動力伝達モデル部の出力トルクと設定して前記動力伝達モデル部に入力するギヤ比設定部を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第4は、前記バッテリーに充放電装置を接続し、且つ前記駆動源は、第1のダイナモメータを連結した燃料の燃焼により駆動力を発生する第1の駆動源と、前記インバータを介してバッテリーに接続されてトルク制御される第2の駆動源を備え、
前記第1のダイナモメータのトルク制御部は、前記シミュレーションモデル部からのトルク設定値と第1のダイナモメータトルク検出値に応じたトルク指令値で第1のダイナモメータを制御し、前記第2の駆動源に連結される第2のダイナモメータのトルク制御部は、前記シミュレーションモデル部からのギヤの伝達トルク設定値と第2駆動源のトルク検出値に応じたトルク指令値で第2のダイナモメータを制御するよう構成したことを特徴としたものである。
【0011】
本発明の第5は、前記シミュレーションモデル部は、前記第1の駆動源に連結される発電機の制御部がモデル化され、前記制御ユニットからの電流指令に基づいて前記第1のダイナモメータのトルク制御部へトルク指令を出力する制御モデル部と、前記発電機特性がモデル化され、前記第1のダイナモメータの検出されたトルク値と速度信号に応じた充電指令を前記充放電装置へ充電指令として出力する充電モデル部と、前記第2のダイナモメータの速度検出信号を入力して伝達トルクを算出するギヤモデル部と、被試験車両のブレーキをモデル化したブレーキモデル部と、走行抵抗をモデル化した走行抵抗部と、前記伝達トルク値からブレーキトルクと走行抵抗値を差し引いて車速値を算出する車体慣性部、及びこの車速値を入力し、格納された運転パターンに基づく制御を実行するための信号を前記制御ユニットに出力する運転モデル部を備えたことを特徴としたものである。
【0012】
本発明の第6は、前記駆動源は、燃料の燃焼により駆動力を発生する第1の駆動源と、前記インバータを介してバッテリーに接続されて速度制御される第2の駆動源と、前記第1の駆動源による動力が動力分割機構を介して伝達される第3の駆動源を備え、
前記シミュレーションモデル部は、前記動力分割機構を模擬した遊星ギヤモデル部を備えると共に、
前記第1の駆動源に連結された第1のダイナモメータのトルク制御部は、前記遊星ギヤモデル部で演算されたキャリヤトルク設定値と検出された第1のダイナモメータのトルク信号を基にトルク制御信号を算出し、
前記第2の駆動源に連結された速度制御部は、前記遊星ギヤモデル部で演算されたリングギヤ速度設定値と前記第2の駆動源に連結された第2のダイナモメータの検出速度信号を基に速度制御信号を算出するよう構成したことを特徴としたものである。
【0013】
本発明の第7は、前記遊星ギヤモデル部は、検出された前記第1のダイナモメータの速度信号、前記第3のダイナモメータの速度信号、及び前記シミュレーションモデル部によって算出されたトルク信号を入力して演算し、前記第3のダイナモメータの制御部へ出力されるサンギヤトルク信号、前記キャリヤトルク設定値、及び前記リングギヤ回転設定値を出力するよう構成したことを特徴としたものである。
【0014】
本発明の第8は、前記シミュレーションモデル部は、前記遊星ギヤモデル部と、車両ブレーキをモデル化したブレーキモデル部と、走行抵抗をモデル化した走行抵抗部、タイヤの軸剛性をモデル化した軸剛性部と、車両の車体慣性部、及びモード運転信号が格納される運転モデル部を備え、前記車体慣性部は、軸剛性部により算出されたトルク信号と第2のダイナモメータの検出トルク信号との和を求め、この和信号からブレーキモデル部で算出されたブレーキトルクと走行抵抗部による走行抵抗の負のトルクを差っ引いた信号から車速信号を求め、この速度信号を走行抵抗部、軸剛性部、及び運転モデル部へ出力するよう構成したことを特徴としたものである。
【0015】
本発明の第9は、車両の駆動源として2つ以上の駆動源を有し、少なくとも1つの駆動源はバッテリーを電気エネルギー源とするインバータで制御される車両であって、駆動源の力行時にはインバータを介して電力をバッテリーより放電し、駆動源の回生時にはインバータを介して発生した電力をバッテリーに充電し、制御ユニットを用いて車両の試験を行うものにおいて、
前記駆動源は、燃料の燃焼により駆動力を発生する第1の駆動源と、前記インバータを介してバッテリーに接続されてトルク制御される第2の駆動源を有し、前記第1の駆動源に、インバータを介して前記バッテリーに充電可能に制御される被試験車両のモータジェネレータを連結し、前記第2の駆動源にトルク制御されるダイナモメータを連結して試験装置を構成すると共に、この試験装置の制御は被試験車両のシミュレーションモデル部を用いて実行することを特徴としたものである。
【0016】
本発明の第10は、前記シミュレーションモデル部は、被試験車両の動力伝達用ギヤを模擬し、前記ダイナモメータの速度検出信号を入力して伝達トルクを算出するギヤモデル部と、被試験車両のブレーキをモデル化したブレーキモデル部と、走行抵抗をモデル化した走行抵抗部と、前記伝達トルク値からブレーキトルクと走行抵抗値を差し引いて車速値を算出する車体慣性部、及びこの車速値を入力し、格納された運転パターンに基づく制御を実行するための信号を前記制御ユニットに出力する運転モデル部を備えたことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0017】
以上のとおり、本発明によれば、動力伝達のための駆動源が2つ以上ある場合でもシミュレーションモデル部を駆動源数に応じて変更することで、駆動源数に応じたシステム構成が簡単に変更できる。例えば、エンジンEG、発電機G、及びM/Gの3個備えた場合でも、発電装置とシミュレーションモデルを用いることにより、被試験車両用のECUと連携しながらの試験が容易に可能となるものである。
また、試験がモード運転で可能となることから、実車を模擬したバッテリーの性能・耐久試験による評価が実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態を示す試験装置のシステム構成図(シリーズ・パラレル式)。
【図2】本発明の他の実施形態を示す試験装置のシステム構成図(パラレル式)。
【図3】本発明の他の実施形態を示す試験装置のシステム構成図(シリーズ式)。
【図4】本発明のシリーズ・パラレル式動力駆動方式の制御フロー図。
【図5】本発明のパラレル式動力駆動方式の制御フロー図。
【図6】動作モード図。
【図7】本発明の他の実施形態を示す試験装置のシステム構成図(シリーズ式)。
【図8】本発明のシリーズ式動力駆動方式の制御フロー図(DY使用時)。
【図9】本発明のシリーズ式動力駆動方式の制御フロー図(M/G使用時)。
【図10】試験装置の構成比較図。
【図11】ハイブリッド車の動力伝達方式の概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図11は、ハイブリッド車の動力出力方式を示したものである。(a)図はシリーズ方式で、動力の駆動源としてエンジンEG、発電機G、及びM/Gの3個備えており、第1の駆動源であるエンジンEGで第3の駆動源である発電機Gを駆動し、発電機Gで発生した電力でインバータIVを介してバッテリーBを充電する。M/Gは第2の駆動源で、バッテリーB、或いは発電機Gが発生した電力を電気エネルギー源としてインバータIVを介し制御され、その回転力を駆動軸に伝達してタイヤTを回転する。また、車両の減速時などでは、M/Gは発電機能となり、発生した電力はインバータIVを介してバッテリーBに充電される。
この動力出力方式におけるエンジンEGの回転速度NEGと、M/Gの回転速度NMGは、NEG≠NMGの状態で運転される。
【0020】
図11(b)はパラレル方式を示したもので、エンジンEGとM/Gとが直結され、M/Gの駆動力が車両の駆動軸に伝達してタイヤTを回転する。この動力出力方式におけるエンジンEGの回転速度NEGと、M/Gの回転速度NMGは、NEG=NMGの状態で運転される。
【0021】
図11(c)はシリーズ・パラレル方式を示したものである。この方式のハイブリッド車には、動力の駆動源としてエンジンEG、発電機G、及びM/Gの3個備えており、その動力伝達ルートの概略は次の通りである。
第1の駆動源であるエンジンEGの出力は遊星歯車機構よりなる動力分割部PDにて分割され、その分割出力の一つで発電機G(第3の駆動源)を駆動すると共に、他の一つは減速機を介して駆動軸に伝達されタイヤTを回転する。インバータから発電機Gに電力を供給することによりエンジン起動時のスターターの役割を行い、また、インバータIVを介してバッテリーBの充電、若しくは第2の駆動源M/Gの駆動電力に利用される。インバータIVは、車両の発進時などでバッテリーBを電源としてM/Gをモータ機能として駆動する。
【0022】
図11はハイブリッド車の動力出力方式を示したものであるが、この他、電気自動車の場合には、各車輪の駆動源としてのモータが連結されることで、駆動源は2個或いは4個となり、それぞれ動力伝達方式が異なってくる。
【実施例1】
【0023】
図1は動力出力方式がシリーズ・パラレル式の場合の試験装置のシステム構成図を示したものである。
図1において、PC1は被試験車側の中央制御部、PC2は試験装置側の中央制御部で、これらはパソコンなどが使用されて両者は信号線で接続され、中央制御
部PC1からPC2へは遊星歯車機構などの車両機器の諸特性信号などが送信され、PC2からPC1へは検出信号や速度指令などが送信される。
【0024】
HEVCは実車と同様にエンジン、モータの制御を行う制御ユニットで、被試験車用のハイブリッド車に搭載される各種機器を含む全体動作を制御するものであり、実車のECU(Electric Control Unit)でもよい(以下HEVCをECUという)。
DYCはダイナモメータのコントローラ、DC1,DC2,及びDC3はそれぞれ動力計制御盤で、第1のダイナモメータDY1、第2のダイナモメータDY2、及び第3のダイナモメータDY3を各別に制御する。
【0025】
ダイナモメータDY2は回転軸がM/Gと連結され、M/Gは力行時にはバッテリーBを電源としてインバータIVを介して駆動され、また、回生状態時にはインバータIVを介してバッテリーBを充電する。したがって、インバータIVは順逆双方向の電力変換機能を有する主回路と、この主回路を構成するスイッチング素子を制御するための制御回路を備えている。また、図1では1個のインバータで表現しているが、発電機GとM/Gを各別に制御することで、共通のコンバータを直流電源とした2台のインバータを備えている
EGは、その出力軸がダイナモメータDY1に連結された被試験車種のエンジン、ACTはアクチュエータで、車両におけるアクセル機能を有する。発電機Gはスターター機能を有するもので、第3のダイナモメータDY3に連結される。
なお、図1において、細い矢印線は各機器・部品間の制御信号の授受経路を示し、太い線はパワーの授受ルートを示したものである。
【0026】
図1で示す試験装置による走行試験で、バッテリー性能・耐久試験を行うときには図4で示すシミュレーションモデル部を用いてダイナモメータの統合的な制御を実行する。
図4において、ハイブリッド車用の電子制御ユニットであるECU1は、エンジンEGに対してはアクセルの踏み込み量に対応したスロットル開度信号θを出力し、また、インバータIVに対しては制御信号Aを出力する。インバータIVは、ECU1からの制御信号Aに基づきバッテリーBの充放電制御を実行すると共に、発電機G、及びダイナモメータDY2に連結されたM/Gを制御する。発電機Gは、ダイナモメータDY3と連結されてスターター及びバッテリーへの充電機能模擬を実行する。例えば、スターターとして動作するときには、インバータIVは発電機Gをモータ機能として駆動し、バッテリーを充電する場合には、発電機Gが発生した電力でバッテリーBを充電する。
【0027】
ダイナモメータDY3のトルク制御部10には、遊星ギヤモデル部4にて演算されたサンギヤのトルク指令Tssetが入力される。また、ダイナモメータDY3には速度検出器が取り付けられており、その検出信号は遊星ギヤモデル部4にサンギヤ回転速度の検出値Nsとして入力する。
なお、インバータIVによって充放電制御されるバッテリーBの現在の蓄電状態の把握は、バッテリーBに流出入する電流の積算値が、満充電時に対する比率で表現されて図示省略の監視部へ出力されると共に、充電状態はECU1にもフィードバックされる。
また、図4では発電機GとダイナモメータDY3を使用しているが、これらに代えて発電機モデルを使用してもよい。その際、後述するようなコントロールモデル、充電モデル、及び充放電装置が必要となる。
【0028】
2はトルク制御部で、このトルク制御部2はダイナモメータDY1の回転軸に取り付けられたトルクメータの検出トルクTcdetと、遊星ギヤモデル部4での演算によって求められたトルク設定値Tcsetを入力してトルク指令を算出し、この指令値に基づいてダイナモメータDY1を制御する。また、ダイナモメータDY1には速度検出器が取り付けられおり、その検出器によって検出された速度信号は、遊星ギヤモデル部4にキャリヤの速度検出値Ncとして入力される。
3は速度制御部で、この速度制御部3は速度検出器により検出されたダイナモメータDY2の速度NRdetと、遊星ギヤモデル部4で算出された速度設定値NRsetを入力して速度指令を演算し、この指令値に基づいてダイナモメータDY2の速度制御を実行する。
【0029】
破線で囲んだ4〜9の部分はシミュレーションモデル部で、遊星ギヤモデル部4は、実車における動力分割部PDを構成する遊星歯車機構を模擬するもので、次ぎの拘束条件を基にモデル化されて各信号を演算する。
Pc+Ps+Pr=0
Tc+Ts+Tr=0
Ns=(1+a)Nc−a×Nr
a=Zr/Zs
ここで、Pc;キャリヤパワー、Ps;サンギヤパワー、Pr;リングギヤパワー、Tc;キャリヤトルク、Ts;サンギヤトルク、Tr;リングギヤトルク、Ns;サンギヤ速度、Nc;Nr;リングギヤ速度、a;リングギヤとサンギヤとのギヤ比。
ギヤモデルとしては、Tc,Ts,Tr,Ns,Nc,Nrの6パラメータによる連立方程式を解くことで、設定値Tcset、NRset、及び発電機G用のトルク制御部10へのトルク設定TSsetを算出する。
【0030】
5はブレーキモデル部で、ブレーキストローク・回転数からブレーキトルクTbを算出するもので、そのブレーキトルクTbは、ブレーキストロークをマップによりブレーキ面で発生するトルクの割合に変換し、その値にブレーキゲインを掛けることで求める。なお、ブレーキトルクTbはタイヤの回転を妨げるトルクのため、タイヤの回転方向によって極性が変わる。6は走行抵抗発生部で、車体慣性部8により算出された車速Vを入力して速度に対する抵抗値を算出し、走行抵抗Tvを出力する。7はタイヤ軸の軸剛性部で、遊星ギヤモデル部4により算出されたリングギヤの速度設定NRsetと車速Vの差信号を入力してリングギヤトルク指令Trを求め、遊星ギヤモデル部4へ出力する。
【0031】
車体慣性部8は、ファイナルギヤからの伝達トルク,ブレーキトルク,走行抵抗を入力して車速を算出する。そのために、タイヤ軸の軸剛性部7によるリングギヤトルクTrとM/G検出トルクTMとの和を求め、この和信号からブレーキトルクTbと走行抵抗Tvのトルクを差し引いた信号から車速Vを求めている。9は運転モデル部でモード運転などのパターンが記憶されている。なお、運転モデル部9からの車速指令は、記憶されたパターン指令と検出された車速Vとの差分が零になるようECU1を介してインバータにたいする制御信号A、エンジンEGに対する開度指令θを制御することで運転パターンに追従した速度制御が実行されるが、急激な減速指令などの場合でECU1から出力される追従信号では減速が間に合わない場合が生じる。そのような場合、運転モデル部9から直接ブレーキモデル部5に対し減速信号を出力してECU1からの追従指令による遅れをカバーする。
【0032】
図6は試験時における動作モードの一例を示したもので、この動作モードを含むJC08などのモード運転指令は運転モデル部9に格納される。ECU1は格納されたモード運転指令に基づいて各機器や機能部位に対して制御指令を出力する。例えば、図6におけるEV(電気車)モード時には、ECU1はインバータIVに対してM/Gをモータ機能(力行)として駆動すべく制御信号Aを出力する。この信号に基づきインバータIVはインバータ動作を開始し、バッテリーBを電源としてM/Gへ電力を供給しながら徐々に周波数を上げてモータの回転速度を上昇させる。モータの回転により回転軸を介して連結されたダイナモメータDY2も回動するが、ダイナモメータDY2は、速度制御部3により予め設定された回転数に応じて制御される。この時点でのエンジンEG、発電機G、モータ(M/G)、及びバッテリーBの動作はEVモード欄の状態となっている。
【0033】
次に、急加速のようなHV(ハイブリッド)加速モード時には、エンジンEGはECU1の指令θに対応した速度で回転している。また、ダイナモメータDY3は、実車における動力分割機構によって分割されたと等価なトルクで制御されており、回転軸がそのダイナモメータDY3と連結された発電機Gは、発電機の機能状態となっている。M/GとバッテリーはEVモードと同様な状態となっている。
【0034】
次に、回生制動モードになると、ECU1からの指令によりエンジンEGは停止し、発電機Gは空転状態となる。回生制動モードになったことでM/Gは発電機能として電力を発生し、インバータIVを介し発生電力をバッテリーBに充電する。
これら各運転モードによるバッテリーの充放電状態や、速度信号などの計測結果を中央制御部に収集し、モード運転時での評価を実施する。
【0035】
したがって、この実施例によれば、動力出力方式がシリーズ・パラレル式において、運転モデル部9に格納されたモード運転などの運転パターンに基づいた試験が可能となるものである。
【実施例2】
【0036】
図2はパラレル式試験装置のシステム構成図を示したもので、図1との同一部分、若しくは相当する部分に同一符号を付している。
この実施例における試験装置の制御フローを図5で示している。図5において、ハイブリッド車用の電子制御ユニットであるECU1は、エンジンEGに対してはアクセルの踏み込み量に対応したスロットル開度信号θを出力し、また、インバータIVに対しては制御信号Aを出力する。動力出力方式がパラレル方式の場合、エンジンEGの回転速度NEGと、M/Gの回転速度NMGはNEG=NMGの状態で運転される。
【0037】
シミュレーションモデル部における11は動力伝達モデル部で、MT車におけるクラッチ、若しくはAT車におけるトルクコンバータが模擬されている。12はギヤモデル部で、車両のトルクコンバータからファイナルギヤまでの動力伝達用のギヤを模擬したものである。13はギヤ比設定部である。
【0038】
トルク制御部2によりトルク制御されるダイナモメータDY1は、その回転軸に取り付けられたトルクメータによって検出されたトルク値Tcdetと、動力伝達モデル部11により求められたトルク設定値Tcsetを基にトルク制御信号を演算し、求めたトルク制御信号によりダイナモメータDY1を制御する。ダイナモメータDY1の回転速度は速度検出器により検出され、速度検出値Ncとして動力伝達モデル部11に入力される。動力伝達モデル部11は、入力速度信号に対応したトルクコンバータのトルク信号をギヤモデル部12へ出力する。ギヤモデル部12は入力されたトルク信号から車両ギヤ部の伝達トルクTgを算出する。
【0039】
車体慣性部8は、伝達トルクTgから、ブレーキトルクTbと走行抵抗Tvのを差し引いて車速Vを求める。算出された車速Vはギヤ比設定部13に入力され、このギヤ比設定部13において車速Vから動力伝達モデル部の回転数Ngを演算する。動力伝達モデル部11では、入力された前記回転数Ngと速度検出値Ncからトルク設定値Tcsetを算出してトルク制御部2へ出力する。
一方、車体慣性部8で算出された車速Vは運転モデル部9へも出力され、運転モデル部9、及びECU1を介してモード運転などのパターンに追従した制御が実行される。
【0040】
この実施例によれば、実施例1と同様にモード運転による試験が可能となると共に、シミュレーションモデル部をパラレル式ハイブリッド車のモデルに作成することで、試験装置を構成する既存の機器で試験が容易に可能となるものである。
【実施例3】
【0041】
図7はシリーズ式の場合で、エンジンEGにダイナモメータDY1を連結し、且つ充放電装置30を用いた場合の試験装置のシステム構成図である。充放電装置30は、商用電源などよりバッテリーを充電するための専用の装置である。なお、図1、及び図2との同一部分、若しくは相当する部分には同一符号を付している。この実施例におけるシミュレーションモデル部は、図8のように構成される。
【0042】
図8において、2点鎖線で囲んだ部分はシリーズ式でエンジンEGに連結される発電機Gをモデル化したもので、制御モデル部14と充電モデル部15を有している。制御モデル部14は、発電機GがエンジンEGによって駆動された状態を模擬し、ECU1からの電流指令に対応したトルク設定値Tを算出してトルク制御部2に出力する。トルク制御部2では、入力されたトルク設定値Tとトルクメータによって検出されたダイナモメータDY1の検出トルクTcdetを用いてトルク指令を算出し、このトルク指令に基づいてダイナモメータDY1のトルク制御を実行する。また、ダイナモメータDY1の検出された速度信号Nとトルク信号Tは、シミュレーションモデル部の発電機Gの充電モデル部15に入力される。充電モデル部15は、発電機GがエンジンEGに連結されて発電機能で運転された場合の充電特性を模擬したもので、入力されたダイナモメータDY1の検出速度信号Nとトルク信号Tを用いて充電指令を演算し、その充電指令に基づいて充放電装置CDを制御する。
【0043】
20はダイナモメータDY2用のトルク制御部で、ギヤモデル部12により算出されたトルク設定値TsetとM/Gの検出トルクTMとを入力してトルク指令値を演算し、この指令値に基づいてダイナモメータDY2をトルク制御する。ダイナモメータDY2の検出速度NRdetはギヤモデル部12に入力されて車両ギヤ部の伝達トルクTgが算出される。車体慣性部8は、伝達トルクTgから、ブレーキトルクTbと走行抵抗Tvのトルクを差し引いて車速Vを求め、その車速Vは走行抵抗6と運転モデル部9へ出力し、モード運転などのパターンに追従した統合的な制御が実行される。
【0044】
この実施例によれば、実施例1と同様にモード運転による試験が可能となると共に、シリーズ方式で、専用の充放電装置を用いた場合でもシミュレーションモデル部を作成することで、試験装置を構成する既存の機器で容易に試験が可能となるものである。
【実施例4】
【0045】
図3は、シリーズ式の試験装置のシステム構成図を示したもので、図1、及び図2との同一部分、若しくは相当する部分には同一符号を付している。この実施例で図2と異なる部分は、エンジンEGには発電機Gが連結され、また、インバータIV2により速度制御されるM/Gを直結したダイナモメータDY2と、その動力制御盤DC2を設けたことである。また、動力出力方式がシリーズ式では、エンジンEGの回転速度NEGとM/Gの回転速度NMGがNEG≠NMGの状態で運転されるほか、他は同様でシミュレーションモデル部も図9のように構成される。
【0046】
図9はシリーズ式の他の実施例を示したもので、図8と異なる部分は、エンジンEGに連結する機器をダイナモメータDY1に代えて、車両に搭載される実機の発電機Gとし、ダイナモメータDY1の制御回路や充放電装置を省いたことである。
すなわち、図9において、ECU1は、エンジンEGに対してはアクセルの踏み込み量に対応したスロットル開度信号θを出力し、また、インバータIVに対しては制御信号Aを出力する。インバータIVは、ECU1からの制御信号Aに基づきバッテリーBの充放電制御を実行すると共に、発電機G、及びダイナモメータDY2に連結されたM/Gを制御する。発電機Gの発電電力をバッテリーへの充電機能を模擬するもので、インバータIVを介して発生した電力でバッテリーBを充電する。他は図8の動作と同様であるので、その説明は省略する。
【0047】
この実施例によれば、実施例1と同様にモード運転による試験が可能となると共に、シリーズ方式でシミュレーションモデル部を作成することで、試験装置を構成する既存の機器で容易に試験が可能となるものである。
【0048】
図10は試験装置のシステム比較図を示したもので、(a)はハイブリッド車の動力出力方式がシリーズ・パラレル式、(b)はパラレル式で、ハイブリッド車の試験装置の場合、試験設備としては駆動源が最も多い3個用のダイナモメータとM/G、及び動力計制御盤を用意する。したがって、駆動源が3個の場合には、全設備の機器を用いて試験システムを構成するが、図10(b)で示すように、パラレル式の場合には、ダイナモメータDY2,DY3とその関連機器を取り除いたシステム構成となる。
すなわち、本発明によれば、異なる動力出力方式でも当該車種のシミュレーションモデル部を用意することにより、試験システムの接続変えのみで容易に試験が可能となる。また、その試験時には、被試験車両用のECUと連携しながらの試験が可能となるものである。
更に、その試験がモード運転で可能となることから、実車を模擬したバッテリーの性能・耐久試験が実現できるものである。
【符号の説明】
【0049】
1… ECU(HEVC)
2、20… トルク制御部
3… 速度制御部
4… 遊星ギヤモデル部
5… ブレーキモデル部
6… 走行抵抗部
7… 軸剛性部
8… 車体慣性部
9… 運転モデル部
11…動力伝達モデル部
12…ギヤモデル部
13…ギヤ比設定部
14…制御モデル部
15…充電モデル部
30…充放電装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の試験装置に係り、特に、ハイブリッド車用の走行試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンの低燃費化を図るために、エンジンとモータジェネレータ(以下M/Gという)を駆動力源として搭載したハイブリッド車が市販されている。ハイブリッド車におけるM/Gは、電気エネルギーの供給にはモータとして機能し、回転駆動されたときにはジェネレータとして機能する。このM/Gは、エンジンと共に車両の駆動軸に連結され、力行時に、すなわちモータ機能時にはキャパシタ等を含む二次電池(以下バッテリーという)を電気エネルギー源として車両を駆動し、回生時には駆動軸により回転駆動されてジェネレータとなり、発生した電力でバッテリーを充電する。
また、バッテリーを電気エネルギー源とするものとしては電気自動車があり、この電気自動車はバッテリーのみをエネルギー源としている。
【0003】
ハイブリッド車や電気自動車は、上述のように、バッテリーが電気エネルギー源として使用されることから、バッテリー性能の良し悪しが低燃費化や排ガス量に影響する。したがって、ハイブリッド車や電気自動車の車両性能評価を実行するためには、エンジンとM/Gの運転条件、或いは駆動用モータの運転条件を変化させたバッテリー性能・耐久試験が必要となる。
例えば、ハイブリッド車の試験装置としては、特許文献1が公知となっている。この文献には、実車両に搭載されるエアコン用のブロアモータやカーオーディオなどの電気負荷を仮想負荷とする電気負荷装置をバッテリーに接続し、走行模擬装置、及び電気負荷装置を介してバッテリーをオン・オフ制御することで、車両走行中の電気負荷変動による車両走行制御への影響を仮想的に検証試験することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−170952
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハイブリッド車の動力出力方式には、シリーズ方式、パラレル方式、及びシリーズ・パラレル方式など種々の動力出力方式が存在する。また、電気自動車においても前輪及び後輪に駆動源が連結され、その駆動源は2つ以上存在する。このように動力出力方式の異なる各車種に対し、バッテリー性能・耐久試験を行うために、運転条件を種々変化させながらモード運転(例えばJC08等)評価を可能とするような試験装置が要望されている。また、試験装置としては、異なる動力出力方式に基づいてそのシステム構成も異なってくるが、その場合でも容易にシステム変更の可能なものが要望されている。
【0006】
そこで、本発明が目的とするとこは、モード運転等での評価、及び動力出力方式に応じたハイブリッド車、又は電気自動車等に対応したシステムのレイアウト変更を容易に可能とする複数の動力源を持つ車両の試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1は、車両の駆動源として2つ以上の駆動源を有し、少なくとも1つの駆動源はバッテリーを電気エネルギー源とするインバータで制御される車両であって、駆動源の回生時にはインバータを介して発生した電力をバッテリーに充電し、制御ユニットを用いて車両の試験を行うものにおいて、
前記各駆動源にそれぞれダイナモメータを連結し、連結された駆動源とダイナモメータ数を動力出力方式に応じて変更し、ダイナモメータの制御は被試験車両のシミュレーションモデル部を用いて実行するよう構成したことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の第2は、前記シミュレーションモデル部は、被試験車両をモデル化し、且つダイナモメータの検出された速度信号を入力して被試験車両の車速を演算し、ダイナモメータを統合的に制御するよう構成したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の第3は、前記駆動源は、燃料の燃焼により駆動力を発生する第1の駆動源と、この第1の駆動源に連結された第2の駆動源を備え、第2の駆動源に連結されたダイナモメータのトルク制御部は、前記シミュレーションモデル部からのトルク設定値とダイナモメータのトルク検出値に応じたトルク指令値でダイナモメータを制御し、前記シミュレーションモデル部は、前記ダイナモメータの検出速度信号に応じたトルク信号と前記トルク制御部に対するトルク指令値を出力する動力伝達モデル部、動力伝達モデル部からのトルク信号に基づいてギヤトルク値を算出するギヤモデル部、ギヤトルク値からブレーキトルクと走行抵抗値を差し引いて車速を算出する車体慣性部、算出された車速に基づいて動力伝達モデル部の出力トルクと設定して前記動力伝達モデル部に入力するギヤ比設定部を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第4は、前記バッテリーに充放電装置を接続し、且つ前記駆動源は、第1のダイナモメータを連結した燃料の燃焼により駆動力を発生する第1の駆動源と、前記インバータを介してバッテリーに接続されてトルク制御される第2の駆動源を備え、
前記第1のダイナモメータのトルク制御部は、前記シミュレーションモデル部からのトルク設定値と第1のダイナモメータトルク検出値に応じたトルク指令値で第1のダイナモメータを制御し、前記第2の駆動源に連結される第2のダイナモメータのトルク制御部は、前記シミュレーションモデル部からのギヤの伝達トルク設定値と第2駆動源のトルク検出値に応じたトルク指令値で第2のダイナモメータを制御するよう構成したことを特徴としたものである。
【0011】
本発明の第5は、前記シミュレーションモデル部は、前記第1の駆動源に連結される発電機の制御部がモデル化され、前記制御ユニットからの電流指令に基づいて前記第1のダイナモメータのトルク制御部へトルク指令を出力する制御モデル部と、前記発電機特性がモデル化され、前記第1のダイナモメータの検出されたトルク値と速度信号に応じた充電指令を前記充放電装置へ充電指令として出力する充電モデル部と、前記第2のダイナモメータの速度検出信号を入力して伝達トルクを算出するギヤモデル部と、被試験車両のブレーキをモデル化したブレーキモデル部と、走行抵抗をモデル化した走行抵抗部と、前記伝達トルク値からブレーキトルクと走行抵抗値を差し引いて車速値を算出する車体慣性部、及びこの車速値を入力し、格納された運転パターンに基づく制御を実行するための信号を前記制御ユニットに出力する運転モデル部を備えたことを特徴としたものである。
【0012】
本発明の第6は、前記駆動源は、燃料の燃焼により駆動力を発生する第1の駆動源と、前記インバータを介してバッテリーに接続されて速度制御される第2の駆動源と、前記第1の駆動源による動力が動力分割機構を介して伝達される第3の駆動源を備え、
前記シミュレーションモデル部は、前記動力分割機構を模擬した遊星ギヤモデル部を備えると共に、
前記第1の駆動源に連結された第1のダイナモメータのトルク制御部は、前記遊星ギヤモデル部で演算されたキャリヤトルク設定値と検出された第1のダイナモメータのトルク信号を基にトルク制御信号を算出し、
前記第2の駆動源に連結された速度制御部は、前記遊星ギヤモデル部で演算されたリングギヤ速度設定値と前記第2の駆動源に連結された第2のダイナモメータの検出速度信号を基に速度制御信号を算出するよう構成したことを特徴としたものである。
【0013】
本発明の第7は、前記遊星ギヤモデル部は、検出された前記第1のダイナモメータの速度信号、前記第3のダイナモメータの速度信号、及び前記シミュレーションモデル部によって算出されたトルク信号を入力して演算し、前記第3のダイナモメータの制御部へ出力されるサンギヤトルク信号、前記キャリヤトルク設定値、及び前記リングギヤ回転設定値を出力するよう構成したことを特徴としたものである。
【0014】
本発明の第8は、前記シミュレーションモデル部は、前記遊星ギヤモデル部と、車両ブレーキをモデル化したブレーキモデル部と、走行抵抗をモデル化した走行抵抗部、タイヤの軸剛性をモデル化した軸剛性部と、車両の車体慣性部、及びモード運転信号が格納される運転モデル部を備え、前記車体慣性部は、軸剛性部により算出されたトルク信号と第2のダイナモメータの検出トルク信号との和を求め、この和信号からブレーキモデル部で算出されたブレーキトルクと走行抵抗部による走行抵抗の負のトルクを差っ引いた信号から車速信号を求め、この速度信号を走行抵抗部、軸剛性部、及び運転モデル部へ出力するよう構成したことを特徴としたものである。
【0015】
本発明の第9は、車両の駆動源として2つ以上の駆動源を有し、少なくとも1つの駆動源はバッテリーを電気エネルギー源とするインバータで制御される車両であって、駆動源の力行時にはインバータを介して電力をバッテリーより放電し、駆動源の回生時にはインバータを介して発生した電力をバッテリーに充電し、制御ユニットを用いて車両の試験を行うものにおいて、
前記駆動源は、燃料の燃焼により駆動力を発生する第1の駆動源と、前記インバータを介してバッテリーに接続されてトルク制御される第2の駆動源を有し、前記第1の駆動源に、インバータを介して前記バッテリーに充電可能に制御される被試験車両のモータジェネレータを連結し、前記第2の駆動源にトルク制御されるダイナモメータを連結して試験装置を構成すると共に、この試験装置の制御は被試験車両のシミュレーションモデル部を用いて実行することを特徴としたものである。
【0016】
本発明の第10は、前記シミュレーションモデル部は、被試験車両の動力伝達用ギヤを模擬し、前記ダイナモメータの速度検出信号を入力して伝達トルクを算出するギヤモデル部と、被試験車両のブレーキをモデル化したブレーキモデル部と、走行抵抗をモデル化した走行抵抗部と、前記伝達トルク値からブレーキトルクと走行抵抗値を差し引いて車速値を算出する車体慣性部、及びこの車速値を入力し、格納された運転パターンに基づく制御を実行するための信号を前記制御ユニットに出力する運転モデル部を備えたことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0017】
以上のとおり、本発明によれば、動力伝達のための駆動源が2つ以上ある場合でもシミュレーションモデル部を駆動源数に応じて変更することで、駆動源数に応じたシステム構成が簡単に変更できる。例えば、エンジンEG、発電機G、及びM/Gの3個備えた場合でも、発電装置とシミュレーションモデルを用いることにより、被試験車両用のECUと連携しながらの試験が容易に可能となるものである。
また、試験がモード運転で可能となることから、実車を模擬したバッテリーの性能・耐久試験による評価が実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態を示す試験装置のシステム構成図(シリーズ・パラレル式)。
【図2】本発明の他の実施形態を示す試験装置のシステム構成図(パラレル式)。
【図3】本発明の他の実施形態を示す試験装置のシステム構成図(シリーズ式)。
【図4】本発明のシリーズ・パラレル式動力駆動方式の制御フロー図。
【図5】本発明のパラレル式動力駆動方式の制御フロー図。
【図6】動作モード図。
【図7】本発明の他の実施形態を示す試験装置のシステム構成図(シリーズ式)。
【図8】本発明のシリーズ式動力駆動方式の制御フロー図(DY使用時)。
【図9】本発明のシリーズ式動力駆動方式の制御フロー図(M/G使用時)。
【図10】試験装置の構成比較図。
【図11】ハイブリッド車の動力伝達方式の概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図11は、ハイブリッド車の動力出力方式を示したものである。(a)図はシリーズ方式で、動力の駆動源としてエンジンEG、発電機G、及びM/Gの3個備えており、第1の駆動源であるエンジンEGで第3の駆動源である発電機Gを駆動し、発電機Gで発生した電力でインバータIVを介してバッテリーBを充電する。M/Gは第2の駆動源で、バッテリーB、或いは発電機Gが発生した電力を電気エネルギー源としてインバータIVを介し制御され、その回転力を駆動軸に伝達してタイヤTを回転する。また、車両の減速時などでは、M/Gは発電機能となり、発生した電力はインバータIVを介してバッテリーBに充電される。
この動力出力方式におけるエンジンEGの回転速度NEGと、M/Gの回転速度NMGは、NEG≠NMGの状態で運転される。
【0020】
図11(b)はパラレル方式を示したもので、エンジンEGとM/Gとが直結され、M/Gの駆動力が車両の駆動軸に伝達してタイヤTを回転する。この動力出力方式におけるエンジンEGの回転速度NEGと、M/Gの回転速度NMGは、NEG=NMGの状態で運転される。
【0021】
図11(c)はシリーズ・パラレル方式を示したものである。この方式のハイブリッド車には、動力の駆動源としてエンジンEG、発電機G、及びM/Gの3個備えており、その動力伝達ルートの概略は次の通りである。
第1の駆動源であるエンジンEGの出力は遊星歯車機構よりなる動力分割部PDにて分割され、その分割出力の一つで発電機G(第3の駆動源)を駆動すると共に、他の一つは減速機を介して駆動軸に伝達されタイヤTを回転する。インバータから発電機Gに電力を供給することによりエンジン起動時のスターターの役割を行い、また、インバータIVを介してバッテリーBの充電、若しくは第2の駆動源M/Gの駆動電力に利用される。インバータIVは、車両の発進時などでバッテリーBを電源としてM/Gをモータ機能として駆動する。
【0022】
図11はハイブリッド車の動力出力方式を示したものであるが、この他、電気自動車の場合には、各車輪の駆動源としてのモータが連結されることで、駆動源は2個或いは4個となり、それぞれ動力伝達方式が異なってくる。
【実施例1】
【0023】
図1は動力出力方式がシリーズ・パラレル式の場合の試験装置のシステム構成図を示したものである。
図1において、PC1は被試験車側の中央制御部、PC2は試験装置側の中央制御部で、これらはパソコンなどが使用されて両者は信号線で接続され、中央制御
部PC1からPC2へは遊星歯車機構などの車両機器の諸特性信号などが送信され、PC2からPC1へは検出信号や速度指令などが送信される。
【0024】
HEVCは実車と同様にエンジン、モータの制御を行う制御ユニットで、被試験車用のハイブリッド車に搭載される各種機器を含む全体動作を制御するものであり、実車のECU(Electric Control Unit)でもよい(以下HEVCをECUという)。
DYCはダイナモメータのコントローラ、DC1,DC2,及びDC3はそれぞれ動力計制御盤で、第1のダイナモメータDY1、第2のダイナモメータDY2、及び第3のダイナモメータDY3を各別に制御する。
【0025】
ダイナモメータDY2は回転軸がM/Gと連結され、M/Gは力行時にはバッテリーBを電源としてインバータIVを介して駆動され、また、回生状態時にはインバータIVを介してバッテリーBを充電する。したがって、インバータIVは順逆双方向の電力変換機能を有する主回路と、この主回路を構成するスイッチング素子を制御するための制御回路を備えている。また、図1では1個のインバータで表現しているが、発電機GとM/Gを各別に制御することで、共通のコンバータを直流電源とした2台のインバータを備えている
EGは、その出力軸がダイナモメータDY1に連結された被試験車種のエンジン、ACTはアクチュエータで、車両におけるアクセル機能を有する。発電機Gはスターター機能を有するもので、第3のダイナモメータDY3に連結される。
なお、図1において、細い矢印線は各機器・部品間の制御信号の授受経路を示し、太い線はパワーの授受ルートを示したものである。
【0026】
図1で示す試験装置による走行試験で、バッテリー性能・耐久試験を行うときには図4で示すシミュレーションモデル部を用いてダイナモメータの統合的な制御を実行する。
図4において、ハイブリッド車用の電子制御ユニットであるECU1は、エンジンEGに対してはアクセルの踏み込み量に対応したスロットル開度信号θを出力し、また、インバータIVに対しては制御信号Aを出力する。インバータIVは、ECU1からの制御信号Aに基づきバッテリーBの充放電制御を実行すると共に、発電機G、及びダイナモメータDY2に連結されたM/Gを制御する。発電機Gは、ダイナモメータDY3と連結されてスターター及びバッテリーへの充電機能模擬を実行する。例えば、スターターとして動作するときには、インバータIVは発電機Gをモータ機能として駆動し、バッテリーを充電する場合には、発電機Gが発生した電力でバッテリーBを充電する。
【0027】
ダイナモメータDY3のトルク制御部10には、遊星ギヤモデル部4にて演算されたサンギヤのトルク指令Tssetが入力される。また、ダイナモメータDY3には速度検出器が取り付けられており、その検出信号は遊星ギヤモデル部4にサンギヤ回転速度の検出値Nsとして入力する。
なお、インバータIVによって充放電制御されるバッテリーBの現在の蓄電状態の把握は、バッテリーBに流出入する電流の積算値が、満充電時に対する比率で表現されて図示省略の監視部へ出力されると共に、充電状態はECU1にもフィードバックされる。
また、図4では発電機GとダイナモメータDY3を使用しているが、これらに代えて発電機モデルを使用してもよい。その際、後述するようなコントロールモデル、充電モデル、及び充放電装置が必要となる。
【0028】
2はトルク制御部で、このトルク制御部2はダイナモメータDY1の回転軸に取り付けられたトルクメータの検出トルクTcdetと、遊星ギヤモデル部4での演算によって求められたトルク設定値Tcsetを入力してトルク指令を算出し、この指令値に基づいてダイナモメータDY1を制御する。また、ダイナモメータDY1には速度検出器が取り付けられおり、その検出器によって検出された速度信号は、遊星ギヤモデル部4にキャリヤの速度検出値Ncとして入力される。
3は速度制御部で、この速度制御部3は速度検出器により検出されたダイナモメータDY2の速度NRdetと、遊星ギヤモデル部4で算出された速度設定値NRsetを入力して速度指令を演算し、この指令値に基づいてダイナモメータDY2の速度制御を実行する。
【0029】
破線で囲んだ4〜9の部分はシミュレーションモデル部で、遊星ギヤモデル部4は、実車における動力分割部PDを構成する遊星歯車機構を模擬するもので、次ぎの拘束条件を基にモデル化されて各信号を演算する。
Pc+Ps+Pr=0
Tc+Ts+Tr=0
Ns=(1+a)Nc−a×Nr
a=Zr/Zs
ここで、Pc;キャリヤパワー、Ps;サンギヤパワー、Pr;リングギヤパワー、Tc;キャリヤトルク、Ts;サンギヤトルク、Tr;リングギヤトルク、Ns;サンギヤ速度、Nc;Nr;リングギヤ速度、a;リングギヤとサンギヤとのギヤ比。
ギヤモデルとしては、Tc,Ts,Tr,Ns,Nc,Nrの6パラメータによる連立方程式を解くことで、設定値Tcset、NRset、及び発電機G用のトルク制御部10へのトルク設定TSsetを算出する。
【0030】
5はブレーキモデル部で、ブレーキストローク・回転数からブレーキトルクTbを算出するもので、そのブレーキトルクTbは、ブレーキストロークをマップによりブレーキ面で発生するトルクの割合に変換し、その値にブレーキゲインを掛けることで求める。なお、ブレーキトルクTbはタイヤの回転を妨げるトルクのため、タイヤの回転方向によって極性が変わる。6は走行抵抗発生部で、車体慣性部8により算出された車速Vを入力して速度に対する抵抗値を算出し、走行抵抗Tvを出力する。7はタイヤ軸の軸剛性部で、遊星ギヤモデル部4により算出されたリングギヤの速度設定NRsetと車速Vの差信号を入力してリングギヤトルク指令Trを求め、遊星ギヤモデル部4へ出力する。
【0031】
車体慣性部8は、ファイナルギヤからの伝達トルク,ブレーキトルク,走行抵抗を入力して車速を算出する。そのために、タイヤ軸の軸剛性部7によるリングギヤトルクTrとM/G検出トルクTMとの和を求め、この和信号からブレーキトルクTbと走行抵抗Tvのトルクを差し引いた信号から車速Vを求めている。9は運転モデル部でモード運転などのパターンが記憶されている。なお、運転モデル部9からの車速指令は、記憶されたパターン指令と検出された車速Vとの差分が零になるようECU1を介してインバータにたいする制御信号A、エンジンEGに対する開度指令θを制御することで運転パターンに追従した速度制御が実行されるが、急激な減速指令などの場合でECU1から出力される追従信号では減速が間に合わない場合が生じる。そのような場合、運転モデル部9から直接ブレーキモデル部5に対し減速信号を出力してECU1からの追従指令による遅れをカバーする。
【0032】
図6は試験時における動作モードの一例を示したもので、この動作モードを含むJC08などのモード運転指令は運転モデル部9に格納される。ECU1は格納されたモード運転指令に基づいて各機器や機能部位に対して制御指令を出力する。例えば、図6におけるEV(電気車)モード時には、ECU1はインバータIVに対してM/Gをモータ機能(力行)として駆動すべく制御信号Aを出力する。この信号に基づきインバータIVはインバータ動作を開始し、バッテリーBを電源としてM/Gへ電力を供給しながら徐々に周波数を上げてモータの回転速度を上昇させる。モータの回転により回転軸を介して連結されたダイナモメータDY2も回動するが、ダイナモメータDY2は、速度制御部3により予め設定された回転数に応じて制御される。この時点でのエンジンEG、発電機G、モータ(M/G)、及びバッテリーBの動作はEVモード欄の状態となっている。
【0033】
次に、急加速のようなHV(ハイブリッド)加速モード時には、エンジンEGはECU1の指令θに対応した速度で回転している。また、ダイナモメータDY3は、実車における動力分割機構によって分割されたと等価なトルクで制御されており、回転軸がそのダイナモメータDY3と連結された発電機Gは、発電機の機能状態となっている。M/GとバッテリーはEVモードと同様な状態となっている。
【0034】
次に、回生制動モードになると、ECU1からの指令によりエンジンEGは停止し、発電機Gは空転状態となる。回生制動モードになったことでM/Gは発電機能として電力を発生し、インバータIVを介し発生電力をバッテリーBに充電する。
これら各運転モードによるバッテリーの充放電状態や、速度信号などの計測結果を中央制御部に収集し、モード運転時での評価を実施する。
【0035】
したがって、この実施例によれば、動力出力方式がシリーズ・パラレル式において、運転モデル部9に格納されたモード運転などの運転パターンに基づいた試験が可能となるものである。
【実施例2】
【0036】
図2はパラレル式試験装置のシステム構成図を示したもので、図1との同一部分、若しくは相当する部分に同一符号を付している。
この実施例における試験装置の制御フローを図5で示している。図5において、ハイブリッド車用の電子制御ユニットであるECU1は、エンジンEGに対してはアクセルの踏み込み量に対応したスロットル開度信号θを出力し、また、インバータIVに対しては制御信号Aを出力する。動力出力方式がパラレル方式の場合、エンジンEGの回転速度NEGと、M/Gの回転速度NMGはNEG=NMGの状態で運転される。
【0037】
シミュレーションモデル部における11は動力伝達モデル部で、MT車におけるクラッチ、若しくはAT車におけるトルクコンバータが模擬されている。12はギヤモデル部で、車両のトルクコンバータからファイナルギヤまでの動力伝達用のギヤを模擬したものである。13はギヤ比設定部である。
【0038】
トルク制御部2によりトルク制御されるダイナモメータDY1は、その回転軸に取り付けられたトルクメータによって検出されたトルク値Tcdetと、動力伝達モデル部11により求められたトルク設定値Tcsetを基にトルク制御信号を演算し、求めたトルク制御信号によりダイナモメータDY1を制御する。ダイナモメータDY1の回転速度は速度検出器により検出され、速度検出値Ncとして動力伝達モデル部11に入力される。動力伝達モデル部11は、入力速度信号に対応したトルクコンバータのトルク信号をギヤモデル部12へ出力する。ギヤモデル部12は入力されたトルク信号から車両ギヤ部の伝達トルクTgを算出する。
【0039】
車体慣性部8は、伝達トルクTgから、ブレーキトルクTbと走行抵抗Tvのを差し引いて車速Vを求める。算出された車速Vはギヤ比設定部13に入力され、このギヤ比設定部13において車速Vから動力伝達モデル部の回転数Ngを演算する。動力伝達モデル部11では、入力された前記回転数Ngと速度検出値Ncからトルク設定値Tcsetを算出してトルク制御部2へ出力する。
一方、車体慣性部8で算出された車速Vは運転モデル部9へも出力され、運転モデル部9、及びECU1を介してモード運転などのパターンに追従した制御が実行される。
【0040】
この実施例によれば、実施例1と同様にモード運転による試験が可能となると共に、シミュレーションモデル部をパラレル式ハイブリッド車のモデルに作成することで、試験装置を構成する既存の機器で試験が容易に可能となるものである。
【実施例3】
【0041】
図7はシリーズ式の場合で、エンジンEGにダイナモメータDY1を連結し、且つ充放電装置30を用いた場合の試験装置のシステム構成図である。充放電装置30は、商用電源などよりバッテリーを充電するための専用の装置である。なお、図1、及び図2との同一部分、若しくは相当する部分には同一符号を付している。この実施例におけるシミュレーションモデル部は、図8のように構成される。
【0042】
図8において、2点鎖線で囲んだ部分はシリーズ式でエンジンEGに連結される発電機Gをモデル化したもので、制御モデル部14と充電モデル部15を有している。制御モデル部14は、発電機GがエンジンEGによって駆動された状態を模擬し、ECU1からの電流指令に対応したトルク設定値Tを算出してトルク制御部2に出力する。トルク制御部2では、入力されたトルク設定値Tとトルクメータによって検出されたダイナモメータDY1の検出トルクTcdetを用いてトルク指令を算出し、このトルク指令に基づいてダイナモメータDY1のトルク制御を実行する。また、ダイナモメータDY1の検出された速度信号Nとトルク信号Tは、シミュレーションモデル部の発電機Gの充電モデル部15に入力される。充電モデル部15は、発電機GがエンジンEGに連結されて発電機能で運転された場合の充電特性を模擬したもので、入力されたダイナモメータDY1の検出速度信号Nとトルク信号Tを用いて充電指令を演算し、その充電指令に基づいて充放電装置CDを制御する。
【0043】
20はダイナモメータDY2用のトルク制御部で、ギヤモデル部12により算出されたトルク設定値TsetとM/Gの検出トルクTMとを入力してトルク指令値を演算し、この指令値に基づいてダイナモメータDY2をトルク制御する。ダイナモメータDY2の検出速度NRdetはギヤモデル部12に入力されて車両ギヤ部の伝達トルクTgが算出される。車体慣性部8は、伝達トルクTgから、ブレーキトルクTbと走行抵抗Tvのトルクを差し引いて車速Vを求め、その車速Vは走行抵抗6と運転モデル部9へ出力し、モード運転などのパターンに追従した統合的な制御が実行される。
【0044】
この実施例によれば、実施例1と同様にモード運転による試験が可能となると共に、シリーズ方式で、専用の充放電装置を用いた場合でもシミュレーションモデル部を作成することで、試験装置を構成する既存の機器で容易に試験が可能となるものである。
【実施例4】
【0045】
図3は、シリーズ式の試験装置のシステム構成図を示したもので、図1、及び図2との同一部分、若しくは相当する部分には同一符号を付している。この実施例で図2と異なる部分は、エンジンEGには発電機Gが連結され、また、インバータIV2により速度制御されるM/Gを直結したダイナモメータDY2と、その動力制御盤DC2を設けたことである。また、動力出力方式がシリーズ式では、エンジンEGの回転速度NEGとM/Gの回転速度NMGがNEG≠NMGの状態で運転されるほか、他は同様でシミュレーションモデル部も図9のように構成される。
【0046】
図9はシリーズ式の他の実施例を示したもので、図8と異なる部分は、エンジンEGに連結する機器をダイナモメータDY1に代えて、車両に搭載される実機の発電機Gとし、ダイナモメータDY1の制御回路や充放電装置を省いたことである。
すなわち、図9において、ECU1は、エンジンEGに対してはアクセルの踏み込み量に対応したスロットル開度信号θを出力し、また、インバータIVに対しては制御信号Aを出力する。インバータIVは、ECU1からの制御信号Aに基づきバッテリーBの充放電制御を実行すると共に、発電機G、及びダイナモメータDY2に連結されたM/Gを制御する。発電機Gの発電電力をバッテリーへの充電機能を模擬するもので、インバータIVを介して発生した電力でバッテリーBを充電する。他は図8の動作と同様であるので、その説明は省略する。
【0047】
この実施例によれば、実施例1と同様にモード運転による試験が可能となると共に、シリーズ方式でシミュレーションモデル部を作成することで、試験装置を構成する既存の機器で容易に試験が可能となるものである。
【0048】
図10は試験装置のシステム比較図を示したもので、(a)はハイブリッド車の動力出力方式がシリーズ・パラレル式、(b)はパラレル式で、ハイブリッド車の試験装置の場合、試験設備としては駆動源が最も多い3個用のダイナモメータとM/G、及び動力計制御盤を用意する。したがって、駆動源が3個の場合には、全設備の機器を用いて試験システムを構成するが、図10(b)で示すように、パラレル式の場合には、ダイナモメータDY2,DY3とその関連機器を取り除いたシステム構成となる。
すなわち、本発明によれば、異なる動力出力方式でも当該車種のシミュレーションモデル部を用意することにより、試験システムの接続変えのみで容易に試験が可能となる。また、その試験時には、被試験車両用のECUと連携しながらの試験が可能となるものである。
更に、その試験がモード運転で可能となることから、実車を模擬したバッテリーの性能・耐久試験が実現できるものである。
【符号の説明】
【0049】
1… ECU(HEVC)
2、20… トルク制御部
3… 速度制御部
4… 遊星ギヤモデル部
5… ブレーキモデル部
6… 走行抵抗部
7… 軸剛性部
8… 車体慣性部
9… 運転モデル部
11…動力伝達モデル部
12…ギヤモデル部
13…ギヤ比設定部
14…制御モデル部
15…充電モデル部
30…充放電装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駆動源として2つ以上の駆動源を有し、少なくとも1つの駆動源はバッテリーを電気エネルギー源とするインバータで制御される車両であって、駆動源の力行時にはインバータを介して電力をバッテリーより放電し、駆動源の回生時にはインバータを介して発生した電力をバッテリーに充電し、制御ユニットを用いて車両の試験を行うものにおいて、
前記各駆動源にそれぞれダイナモメータを連結し、連結された駆動源とダイナモメータ数を動力出力方式に応じて変更し、ダイナモメータの制御は被試験車両のシミュレーションモデル部を用いて実行するよう構成したことを特徴とする複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項2】
前記シミュレーションモデル部は、被試験車両をモデル化し、且つダイナモメータの検出された速度信号を入力して被試験車両の車速を演算し、ダイナモメータを統合的に制御するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項3】
前記駆動源は、燃料の燃焼により駆動力を発生する第1の駆動源と、この第1の駆動源に連結された第2の駆動源を備え、第2の駆動源に連結されたダイナモメータのトルク制御部は、前記シミュレーションモデル部からのトルク設定値とダイナモメータのトルク検出値に応じたトルク指令値でダイナモメータを制御し、前記シミュレーションモデル部は、前記ダイナモメータの検出速度信号に応じたトルク信号と前記トルク制御部に対するトルク指令値を出力する動力伝達モデル部、動力伝達モデル部からのトルク信号に基づいてギヤトルク値を算出するギヤモデル部、ギヤトルク値からブレーキトルクと走行抵抗値を差し引いて車速を算出する車体慣性部、算出された車速に基づいて動力伝達モデル部の出力トルクと設定して前記動力伝達モデル部に入力するギヤ比設定部を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項4】
前記バッテリーに充放電装置を接続し、且つ前記駆動源は、第1のダイナモメータを連結した燃料の燃焼により駆動力を発生する第1の駆動源と、前記インバータを介してバッテリーに接続されてトルク制御される第2の駆動源を備え、
前記第1のダイナモメータのトルク制御部は、前記シミュレーションモデル部からのトルク設定値と第1のダイナモメータトルク検出値に応じたトルク指令値で第1のダイナモメータを制御し、前記第2の駆動源に連結される第2のダイナモメータのトルク制御部は、前記シミュレーションモデル部からのギヤの伝達トルク設定値と第2駆動源のトルク検出値に応じたトルク指令値で第2のダイナモメータを制御するよう構成したことを特徴とした請求項1又は2記載の複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項5】
前記シミュレーションモデル部は、前記第1の駆動源に連結される発電機の制御部がモデル化され、前記制御ユニットからの電流指令に基づいて前記第1のダイナモメータのトルク制御部へトルク指令を出力する制御モデル部と、前記発電機の充電部がモデル化され、前記第1のダイナモメータの検出されたトルク値と速度信号に応じた充電指令を前記充放電装置へ充電指令として出力する充電モデル部と、前記第2のダイナモメータの速度検出信号を入力して伝達トルクを算出するギヤモデル部と、被試験車両のブレーキをモデル化したブレーキモデル部と、走行抵抗をモデル化した走行抵抗部と、前記伝達トルク値からブレーキトルクと走行抵抗値を差し引いて車速値を算出する車体慣性部、及びこの車速値を入力し、格納された運転パターンに基づく制御を実行するための信号を前記制御ユニットに出力する運転モデル部を備えたことを特徴とする請求項4記載の複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項6】
前記駆動源は、燃料の燃焼により駆動力を発生する第1の駆動源と、前記インバータを介してバッテリーに接続されて速度制御される第2の駆動源と、前記第1の駆動源による動力が動力分割機構を介して伝達される第3の駆動源を備え、
前記シミュレーションモデル部は、前記動力分割機構を模擬した遊星ギヤモデル部を備えると共に、
前記第1の駆動源に連結された第1のダイナモメータのトルク制御部は、前記遊星ギヤモデル部で演算されたキャリヤトルク設定値と検出された第1のダイナモメータのトルク信号を基にトルク制御信号を算出し、
前記第2の駆動源に連結された速度制御部は、前記遊星ギヤモデル部で演算されたリングギヤ速度設定値と前記第2の駆動源に連結された第2のダイナモメータの検出速度信号を基に速度制御信号を算出するよう構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項7】
前記遊星ギヤモデル部は、検出された前記第1のダイナモメータの速度信号、前記第3のダイナモメータの速度信号、及び前記シミュレーションモデル部によって算出されたトルク信号を入力して演算し、前記第3のダイナモメータの制御部へ出力されるサンギヤトルク信号、前記キャリヤトルク設定値、及び前記リングギヤ回転設定値を出力するよう構成したことを特徴とする請求項6記載の複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項8】
前記シミュレーションモデル部は、前記遊星ギヤモデル部と、車両ブレーキをモデル化したブレーキモデル部と、走行抵抗をモデル化した走行抵抗部、タイヤの軸剛性をモデル化した軸剛性部と、車両の車体慣性部、及びモード運転信号が格納される運転モデル部を備え、前記車体慣性部は、軸剛性部により算出されたトルク信号と第2のダイナモメータの検出トルク信号との和を求め、この和信号からブレーキモデル部で算出されたブレーキトルクと走行抵抗部による走行抵抗の負のトルクを差っ引いた信号から車速信号を求め、この速度信号を走行抵抗部、軸剛性部、及び運転モデル部へ出力するよう構成したことを特徴とする請求項6又は7記載の複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項9】
車両の駆動源として2つ以上の駆動源を有し、少なくとも1つの駆動源はバッテリーを電気エネルギー源とするインバータで制御される車両であって、駆動源の力行時にはインバータを介して電力をバッテリーより放電し、駆動源の回生時にはインバータを介して発生した電力をバッテリーに充電し、制御ユニットを用いて車両の試験を行うものにおいて、
前記駆動源は、燃料の燃焼により駆動力を発生する第1の駆動源と、前記インバータを介してバッテリーに接続されてトルク制御される第2の駆動源を有し、前記第1の駆動源に、被試験車両の発電機を連結し、前記第2の駆動源にトルク制御されるダイナモメータを連結して試験装置を構成すると共に、この試験装置の制御は被試験車両のシミュレーションモデル部を用いて実行することを特徴とする複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項10】
前記シミュレーションモデル部は、被試験車両を模擬し、前記ダイナモメータの速度検出信号を入力して伝達トルクを算出するギヤモデル部と、被試験車両のブレーキをモデル化したブレーキモデル部と、走行抵抗をモデル化した走行抵抗部と、前記伝達トルク値からブレーキトルクと走行抵抗値を差し引いて車速値を算出する車体慣性部、及びこの車速値を入力し、格納された運転パターンに基づく制御を実行するための信号を前記制御ユニットに出力する運転モデル部を備えたことを特徴とする請求項9記載の複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項1】
車両の駆動源として2つ以上の駆動源を有し、少なくとも1つの駆動源はバッテリーを電気エネルギー源とするインバータで制御される車両であって、駆動源の力行時にはインバータを介して電力をバッテリーより放電し、駆動源の回生時にはインバータを介して発生した電力をバッテリーに充電し、制御ユニットを用いて車両の試験を行うものにおいて、
前記各駆動源にそれぞれダイナモメータを連結し、連結された駆動源とダイナモメータ数を動力出力方式に応じて変更し、ダイナモメータの制御は被試験車両のシミュレーションモデル部を用いて実行するよう構成したことを特徴とする複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項2】
前記シミュレーションモデル部は、被試験車両をモデル化し、且つダイナモメータの検出された速度信号を入力して被試験車両の車速を演算し、ダイナモメータを統合的に制御するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項3】
前記駆動源は、燃料の燃焼により駆動力を発生する第1の駆動源と、この第1の駆動源に連結された第2の駆動源を備え、第2の駆動源に連結されたダイナモメータのトルク制御部は、前記シミュレーションモデル部からのトルク設定値とダイナモメータのトルク検出値に応じたトルク指令値でダイナモメータを制御し、前記シミュレーションモデル部は、前記ダイナモメータの検出速度信号に応じたトルク信号と前記トルク制御部に対するトルク指令値を出力する動力伝達モデル部、動力伝達モデル部からのトルク信号に基づいてギヤトルク値を算出するギヤモデル部、ギヤトルク値からブレーキトルクと走行抵抗値を差し引いて車速を算出する車体慣性部、算出された車速に基づいて動力伝達モデル部の出力トルクと設定して前記動力伝達モデル部に入力するギヤ比設定部を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項4】
前記バッテリーに充放電装置を接続し、且つ前記駆動源は、第1のダイナモメータを連結した燃料の燃焼により駆動力を発生する第1の駆動源と、前記インバータを介してバッテリーに接続されてトルク制御される第2の駆動源を備え、
前記第1のダイナモメータのトルク制御部は、前記シミュレーションモデル部からのトルク設定値と第1のダイナモメータトルク検出値に応じたトルク指令値で第1のダイナモメータを制御し、前記第2の駆動源に連結される第2のダイナモメータのトルク制御部は、前記シミュレーションモデル部からのギヤの伝達トルク設定値と第2駆動源のトルク検出値に応じたトルク指令値で第2のダイナモメータを制御するよう構成したことを特徴とした請求項1又は2記載の複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項5】
前記シミュレーションモデル部は、前記第1の駆動源に連結される発電機の制御部がモデル化され、前記制御ユニットからの電流指令に基づいて前記第1のダイナモメータのトルク制御部へトルク指令を出力する制御モデル部と、前記発電機の充電部がモデル化され、前記第1のダイナモメータの検出されたトルク値と速度信号に応じた充電指令を前記充放電装置へ充電指令として出力する充電モデル部と、前記第2のダイナモメータの速度検出信号を入力して伝達トルクを算出するギヤモデル部と、被試験車両のブレーキをモデル化したブレーキモデル部と、走行抵抗をモデル化した走行抵抗部と、前記伝達トルク値からブレーキトルクと走行抵抗値を差し引いて車速値を算出する車体慣性部、及びこの車速値を入力し、格納された運転パターンに基づく制御を実行するための信号を前記制御ユニットに出力する運転モデル部を備えたことを特徴とする請求項4記載の複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項6】
前記駆動源は、燃料の燃焼により駆動力を発生する第1の駆動源と、前記インバータを介してバッテリーに接続されて速度制御される第2の駆動源と、前記第1の駆動源による動力が動力分割機構を介して伝達される第3の駆動源を備え、
前記シミュレーションモデル部は、前記動力分割機構を模擬した遊星ギヤモデル部を備えると共に、
前記第1の駆動源に連結された第1のダイナモメータのトルク制御部は、前記遊星ギヤモデル部で演算されたキャリヤトルク設定値と検出された第1のダイナモメータのトルク信号を基にトルク制御信号を算出し、
前記第2の駆動源に連結された速度制御部は、前記遊星ギヤモデル部で演算されたリングギヤ速度設定値と前記第2の駆動源に連結された第2のダイナモメータの検出速度信号を基に速度制御信号を算出するよう構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項7】
前記遊星ギヤモデル部は、検出された前記第1のダイナモメータの速度信号、前記第3のダイナモメータの速度信号、及び前記シミュレーションモデル部によって算出されたトルク信号を入力して演算し、前記第3のダイナモメータの制御部へ出力されるサンギヤトルク信号、前記キャリヤトルク設定値、及び前記リングギヤ回転設定値を出力するよう構成したことを特徴とする請求項6記載の複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項8】
前記シミュレーションモデル部は、前記遊星ギヤモデル部と、車両ブレーキをモデル化したブレーキモデル部と、走行抵抗をモデル化した走行抵抗部、タイヤの軸剛性をモデル化した軸剛性部と、車両の車体慣性部、及びモード運転信号が格納される運転モデル部を備え、前記車体慣性部は、軸剛性部により算出されたトルク信号と第2のダイナモメータの検出トルク信号との和を求め、この和信号からブレーキモデル部で算出されたブレーキトルクと走行抵抗部による走行抵抗の負のトルクを差っ引いた信号から車速信号を求め、この速度信号を走行抵抗部、軸剛性部、及び運転モデル部へ出力するよう構成したことを特徴とする請求項6又は7記載の複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項9】
車両の駆動源として2つ以上の駆動源を有し、少なくとも1つの駆動源はバッテリーを電気エネルギー源とするインバータで制御される車両であって、駆動源の力行時にはインバータを介して電力をバッテリーより放電し、駆動源の回生時にはインバータを介して発生した電力をバッテリーに充電し、制御ユニットを用いて車両の試験を行うものにおいて、
前記駆動源は、燃料の燃焼により駆動力を発生する第1の駆動源と、前記インバータを介してバッテリーに接続されてトルク制御される第2の駆動源を有し、前記第1の駆動源に、被試験車両の発電機を連結し、前記第2の駆動源にトルク制御されるダイナモメータを連結して試験装置を構成すると共に、この試験装置の制御は被試験車両のシミュレーションモデル部を用いて実行することを特徴とする複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【請求項10】
前記シミュレーションモデル部は、被試験車両を模擬し、前記ダイナモメータの速度検出信号を入力して伝達トルクを算出するギヤモデル部と、被試験車両のブレーキをモデル化したブレーキモデル部と、走行抵抗をモデル化した走行抵抗部と、前記伝達トルク値からブレーキトルクと走行抵抗値を差し引いて車速値を算出する車体慣性部、及びこの車速値を入力し、格納された運転パターンに基づく制御を実行するための信号を前記制御ユニットに出力する運転モデル部を備えたことを特徴とする請求項9記載の複数の動力源を持つ車両の試験装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−33516(P2011−33516A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181244(P2009−181244)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(301028761)独立行政法人交通安全環境研究所 (55)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(301028761)独立行政法人交通安全環境研究所 (55)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
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