説明

複数の携帯通信端末および現金取引装置と通信可能に接続された現金管理サーバ

【課題】自動取引装置内の現金の過不足発生回数を低減する現金管理サーバを提供する。
【解決手段】現金管理サーバは、現在位置情報を取得できる複数の携帯通信端末および現金過不足の発生を検知する現金自動取引装置と通信可能に接続された現金管理サーバであって、前記現金自動取引装置の設置位置情報が予め記憶されているATM位置情報記憶部と、前記現金自動取引装置が発報した、現金過不足発生情報およびその現金自動取引装置を識別するATM識別情報を受信し、前記携帯通信端末それぞれから取得した現在位置情報および前記設置位置情報を用いて、前記発報した発報現金自動取引装置の設置位置から所定の範囲内に位置する前記携帯通信端末を検出し、前記発報現金自動取引装置に対する現金の入金取引もしくは出金取引を促す通知メッセージを送信することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信端末および現金取引装置と通信可能に接続された現金管理サーバに関し、特に、金融機関(銀行など)や商業施設(コンビニエンスストアやスーパーマーケットなど)、交通機関(鉄道など)などに設置された現金自動取引装置において発生した現金過不足情報を、ネットワークを介して、顧客が所持する携帯通信端末に通知する現金管理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現金自動取引装置(ATM;Automated Teller Machine)への現金不足による現金装てん作業や、現金余剰による現金抜き取り作業は、現金自動取引装置を管理する管理事業者が実行している。
現金自動取引装置内の現金の過不足をリアルタイムに監視するシステムや、過不足を通知する必要があれば管理事業者(管理センタ)などに連絡して対応してもらうシステムが開示されている(特許文献1〜5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−207480号公報
【特許文献2】特開2007−041667号公報
【特許文献3】特開2009−163417号公報
【特許文献4】特開平05−135253号公報(段落〔0029〕)
【特許文献5】特開2003−256649号公報(段落〔0025〕)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現金の過不足に対応するのは管理事業者であり、その管理事業者が現金過不足が発生している現金自動取引装置が設置された場所まで移動し、現金装てん作業や現金抜き取り作業を行う必要があった。
この作業は、現金自動取引装置内部に保管される大量の現金を取り扱うため、警備会社などのアウトソースに依頼して行うことが多かった。このとき、1回の作業(出動)に対してコストが計上されるため、現金自動取引装置の運用状況によってはコスト負担が大きいという問題点がある。
また、店外に設置されている現金自動取引装置の現金管理には、運用上の課題が多く、特に、現金輸送のリスクが大きいという問題点がある。
【0005】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、自動取引装置内の現金の不足、あるいは余剰、あるいはその両方の発生を抑制して過不足発生回数を低減する現金管理サーバを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、第1の発明の現金管理サーバは、現在位置情報を取得できる複数の携帯通信端末および現金過不足の発生を検知する現金自動取引装置と通信可能に接続された現金管理サーバであって、前記現金自動取引装置の設置位置情報が予め記憶されているATM位置情報記憶部と、前記現金自動取引装置が発報した、現金過不足発生情報およびその現金自動取引装置を識別するATM識別情報を受信し、前記携帯通信端末それぞれから取得した現在位置情報および前記設置位置情報を用いて、前記発報した発報現金自動取引装置の設置位置から所定の範囲内に位置する前記携帯通信端末を検出し、前記発報現金自動取引装置に対する現金の入金取引もしくは出金取引を促す通知メッセージを送信することを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、現金管理サーバは、現金自動取引装置に現金過不足が発生したときに、その現金自動取引装置の近隣に位置する携帯通信端末を検出し、現金自動取引装置にて現金の不足が発生したときには、携帯通信端末に現金の入金を促す情報を送信することができ、現金自動取引装置にて現金の余剰が発生したときには、携帯通信端末に現金の出金を促す情報を送信することができる。
これにより、携帯通信端末を所持する複数の顧客が、現金の不足が発生した現金自動取引装置に現金を入金したり、現金の余剰が発生した現金自動取引装置に現金を出金したりすることを期待することができる。
【0008】
また、第2の発明は、現金自動取引装置は現金不足の発生のみを検知して現金不足発生情報を発報するものであり、現金管理サーバは、現金の入金取引を促す通知メッセージを送信する。
これにより、携帯通信端末を所持する複数の顧客が、現金の不足が発生した現金自動取引装置に現金を入金することを期待することができる。また、現金余剰の発生を通知しないため、現金自動取引装置に現金が多くあることを伝えてしまうがために、その現金が奪われてしまうというリスクを軽減することができる。
【0009】
一方、第3の発明は、現金自動取引装置は現金余剰の発生のみを検知して現金余剰発生情報を発報するものであり、現金管理サーバは、現金の出金取引を促す通知メッセージを送信する。
これにより、携帯通信端末を所持する複数の顧客が、現金の余剰が発生した現金自動取引装置に現金を出金することを期待することができる。また、現金自動取引装置が現金不足の発生を検知することがないため、顧客から現金を入金されることが多い現金自動取引装置に対して、予め入金しておく紙幣の枚数を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自動取引装置内の現金の過不足発生回数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る現金管理サーバを備える現金過不足通知システムを示す図である。
【図2】(a)携帯通信端末に表示される現金入出金依頼情報の一例である。(b)現金入出金依頼情報とともに通知されるインセンティブを付与する情報の一例である。
【図3】本発明に係る現金管理サーバと通信を行う携帯通信端末のブロック図である。
【図4】本発明に係る現金管理サーバと通信を行うATMのブロック図である。
【図5】本発明に係る現金管理サーバのブロック図である。
【図6】対応方針DBのデータベースの一例である。
【図7】インセンティブ付与履歴DBのデータベースの一例である。
【図8】本発明に係る現金管理サーバと携帯通信端末およびATMとの相互の処理の流れを示す図である。
【図9】図8に続く、本発明に係る現金管理サーバと携帯通信端末およびATMとの相互の処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について、適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明について概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0013】
《現金過不足通知システム1》
図1は、現金管理サーバを備える現金過不足通知システムのブロック図である。この図1に示すように、現金過不足通知システム1は、現金管理サーバ2と、例えば携帯電話などのGPS機能を備えて現在位置情報を取得できる携帯通信端末3(3a,3b,3c,3d,・・・)と、例えばATMなどの現金自動取引装置4(4a,4b,・・・)とを備える。以下、現金自動取引装置4をATM4と記載する。
そして、現金管理サーバ2は、携帯通信端末3と携帯電話通信網N1を介して接続され、また、現金管理サーバ2は、ATM4と専用回線N2を介して接続される。
【0014】
まず、本発明の概要を説明する。
現金過不足通知システム1において、ATM4は、現金過不足が発生したことを検知すると、現金管理サーバ2に発報情報を通知する。現金管理サーバ2は、予め携帯通信端末3それぞれから取得した現在位置情報から、ATM4の設置位置から所定の距離範囲内(図1で破線で示す領域内)に位置する携帯通信端末3(3a,3b)を検出する。そして、現金管理サーバ2は、その検出した携帯通信端末3(3a,3b)に現金入出金依頼情報を通知するというシステムである。
これにより、このシステム向けに作成されたアプリケーションを携帯通信端末3に常駐させておくことで、例えば、ATM4aであるATM22号機で現金過不足が発生したときに、現金入出金依頼情報(この例の場合は入金依頼)が携帯通信端末3(3a,3b)に通知され、携帯通信端末3(3a,3b)の表示画面には、図2(a)に示すような、『ATM22号機「おなかへったよー、現金下さい・・・」といったが表示される。このとき、所定の距離範囲外の携帯通信端末3c,3dには現金入出金依頼情報が通知されない。
【0015】
さらに、現金過不足通知システム1において、現金管理サーバ2は、携帯通信端末3(3a,3b)に現金入出金依頼情報を提供するとともに、ATM4内部の現金過不足の状況に応じて、図2(b)に示すような、『今、ご入金頂きましたら、100円プレゼント ご入金された金額に100円を追加して入金致します。』といったインセンティブを付与する情報を通知することができ、通知された携帯通信端末3aの顧客が、該当するATM22号機のATM4aに現金入出金依頼情報に基づく、入金処理または出金処理を行う(この例の場合は入金処理を行う)ことで、現金管理サーバ2は通知したインセンティブの金額(100円)を口座に付与する。
【0016】
《携帯通信端末3》
まず、携帯通信端末3について説明する。
図3は、携帯通信端末3のブロック図である。この図3に示すように、携帯通信端末3は、制御部31と、現金管理サーバ2と携帯電話通信網N1を介して接続する通信部32と、GPS(Global Positioning System)機能部33と、現金入出金依頼情報を提供する入出金依頼アプリケーションプログラム(以下、入出金依頼APとする)やWEBブラウザなどを記憶する記憶部34と、表示部35と、入力部36とを備える。
【0017】
携帯通信端末3を所持する顧客は、入力部36を操作して、入出金依頼APを起動させておく。これにより、制御部31が、記憶部34から入出金依頼APを読み込み起動させる。
入出金依頼APにより制御部31は、GPS機能部33を動作させて、所定の時間間隔で現在位置を取得し、通信部32を介して現金管理サーバ2に現在位置(顧客位置情報)を通知する。
また、入出金依頼APにより制御部31は、通信部32が現金管理サーバ2から取得した現金入出金依頼情報(通知メッセージ)を表示部35に表示させる(図2(a)参照)。
さらに、顧客が入力部36を操作して、表示部35に表示された画面(図2(a)参照)において「私はここにいます」をクリックすることで、入出金依頼APにより制御部31は、記憶部34からWEBブラウザを読み込んで起動させて、現金管理サーバ2(モバイルWEB通信部21)にアクセスして、地図情報を含むWEBページを取得する。そして、その地図情報に、現金入出金依頼情報とともに現金管理サーバ2から取得した現金過不足発生中のATM4の位置情報(ATM位置情報)と、GPS機能部33が取得した現在位置(顧客位置情報)とを示して表示部35に表示させる(図2(b)参照)。そのうえ、入出金依頼APにより制御部31は、現金入出金依頼情報とともに現金管理サーバ2からインセンティブを付与する情報を取得していれば、インセンティブを付与する情報も表示部35に表示させる(図2(b)参照)。
【0018】
《ATM4》
次に、ATM4について説明する。
図4は、ATM4のブロック図である。この図4に示すように、ATM4は、顧客が入力する操作表示部41と、銀行カードを読み取るカードリーダ部42と、顧客のユーザ認証を行うユーザ認証部43と、紙幣や硬貨の入出金を取り扱う現金入出金部44と、入金された紙幣や硬貨を収納する現金カセット部45と、ATM4が機能するために必要なデータやプログラムが記憶される記憶部46と、専用回線N2を介して現金管理サーバ2と接続する通信部47とを備える。これらは、一般的なATMと呼ばれる装置が備える構成部であるため説明を省略する。
【0019】
ATM4は、さらに、現金カセット部45に設置される現金残高検知部48と、発報情報を作成する発報情報作成部49とを備える。
【0020】
(現金残高検知部48)
現金残高検知部48は、現金カセット部45に設置されるセンサであり、現金カセット部45の内部に収納された紙幣や硬貨の枚数が所定の発報条件を満たしたときに、発報情報作成部49にその枚数を通知する構成部である。この発報条件は、記憶部46に予め記憶されている情報である。
すなわち、ここでいう現金残高とは、ATM4内の現金の枚数、つまり現金の在高を示しており、以下の説明でも同様である。
この現金カセット部45は、紙幣の場合、千円券を収納するカセット部、五千円券を収納するカセット部、一万円券を収納するカセット部とそれぞれ別々である。そのため、現金残高検知部48はそれぞれのカセット部に設置されている。これにより、現金残高検知部48は、千円券の枚数だけが少なくなった場合には、千円券だけが不足していることを発報情報作成部49に通知することもできる。
そして、現金残高検知部48は、例えば、千円券を収納するカセット部(現金カセット部45)において、千円券の枚数が最大収納可能枚数の50%以下、25%以下、10%以下といったそれぞれの発報条件を満たすことで、千円券だけが不足していることを発報情報作成部49に通知することもできる。
この現金残高検知部48は、例えば、収納された紙幣の厚さが所定値以上であることを検知するセンサであったり、現金カセット部45の重量を測定するセンサであってもよい。
なお、現金の余剰の検出条件については、上記と同様に例えば千円券の枚数が90%以上、80%以上、60%以上といったそれぞれの発砲条件を満たすことで、千円券が余剰していることを発砲情報作成部49に通知することもできる。
【0021】
(発報情報作成部49)
発報情報作成部49は、現金残高検知部48から通知された枚数に応じて、現金過不足発生を示す発報情報を作成し、通信部47を介して現金管理サーバ2に発報情報を送信する構成部である。このとき、発報情報とともにATM4を識別するATMIDも送信する。このATMIDは、記憶部46に予め記憶されている情報である。
例えば、千円券を収納するカセット部(現金カセット部45)において、千円券の枚数が最大収納可能枚数の50%以下、25%以下、10%以下といったそれぞれの発報条件に応じた発報情報を作成する。
【0022】
《現金管理サーバ2》
次に、本発明に係る現金管理サーバ2について説明する。
図5は、現金管理サーバ2のブロック図である。この図5に示すように、現金管理サーバ2は、携帯通信端末3と携帯電話通信網N1を介して接続するモバイルWEB通信部21と、ATM4と専用回線N2を介して接続し、ATM4内部の現金を管理するATM現金管理部22と、現金入出金依頼情報を作成するつぶやき管理部23と、携帯通信端末3から送信される顧客位置情報を管理する顧客位置管理部24と、顧客へのインセンティブの付与を管理するインセンティブ付与管理部25と、ATM4の位置情報(ATM位置情報)を管理するATM位置管理部26と、ATM4で行われる取引処理を実行する勘定ホスト部27とを備える。
【0023】
(モバイルWEB通信部21)
モバイルWEB通信部21は、携帯通信端末3と携帯電話通信網N1を介して接続する構成部であり、モバイル用のWEBサイトを提供する。
【0024】
(ATM現金管理部22)
ATM現金管理部22は、ATM4と専用回線N2を介して接続し、ATM4からの発報情報に対する対応を決定する構成部である。ATM通信部221と、対応方針DB222と、対応判定部223とを備える。
【0025】
(ATM通信部221)
ATM通信部221は、ATM4と専用回線N2を介して接続する構成部である。
【0026】
(対応方針DB222)
図6は、対応方針DBのデータベースの一例である。この図6に示すように、対応方針DB222は、発報情報に相当する「状況」と、その状況を識別する「状況ID」と、「状況」それぞれに設定された「対応方針」および「インセンティブ金額」を予め対応付けて記憶している。例えば、「状況ID」が“0001”には、「状況」として“紙幣が残り50%以下”。つまり、紙幣の枚数が最大収納可能枚数の50%以下となったときを発砲条件として、「対応方針」として後記する顧客の携帯通信端末3へ通知メッセージを送信する対応を要求する“顧客につぶやき”、「インセンティブ金額」として“50円”を発砲情報とすることが記憶されている。また、「状況ID」が“0003”には、「状況」として“紙幣が残り10%以下”。つまり、紙幣の枚数が最大収納可能枚数の10%以下となったときを発砲条件として、「対応方針」として、警備会社に不足している紙幣を補充してもらうよう現金補充依頼を行う対応を要求するとともに、顧客につぶやきの対応も要求する“警備員出動”、「インセンティブ金額」として“150円”を発砲情報とすることが記憶されている。
また、現金が余剰した場合として「状況」に、紙幣の枚数が最大収納可能枚数の90%以上、80%以上、60%以上といったそれぞれの発砲条件を記憶して、それぞれ予め対応付けて「対応方針」、「インセンティブ金額」を記憶していてもよい。「対応方針」として、“顧客につぶやき”や、警備会社に余剰している紙幣を回収してもらうよう現金回収依頼を行う対応を要求するとともに、顧客につぶやきの対応も要求する“警備員出動”などが記憶されている。
【0027】
(対応判定部223)
対応判定部223は、ATM4から送信された発報情報を取得し、対応方針DB222のデータと比較して、対応方針およびインセンティブ金額を決定する構成部である。
対応判定部223は、つぶやき管理部23(発報情報取得部231)を介して発報情報を取得し、例えば、その発報情報が「千円券紙幣が残り25%以下」という情報であれば、対応方針DB222を用いて、相当する状況情報を取得する。例えば、図6に示す対応方針DB222であれば、「状況」の『紙幣が残り25%以下』が相当する。この「状況」に対応する「対応方針」の『顧客につぶやき』と、「インセンティブ金額」の『100円』と、「状況ID」の『0002』を取得する。
対応判定部223は、取得したこれらの情報を、発報情報の対応判定の結果として、つぶやき管理部23(入出金依頼処理部232)に出力する。これにより、対応判定の結果として、状況ID、対応方針、インセンティブ金額が出力される。
【0028】
(顧客位置管理部24)
顧客位置管理部24は、携帯通信端末3から定期的に受信する顧客位置情報を集積し、指定された位置から指定された距離範囲内に位置する顧客を抽出する構成部である。顧客位置管理部24は、顧客位置取得部241と、顧客位置情報DB242と、顧客抽出部243とを備える。
【0029】
(顧客位置取得部241)
顧客位置取得部241は、携帯通信端末3から送信される顧客位置情報をモバイルWEB通信部21を介して取得し、顧客位置情報DB242に記憶された顧客位置情報を、新たに取得した顧客位置情報で書き換える(更新する)構成部である。
【0030】
(顧客位置情報DB242)
顧客位置情報DB242は、顧客を識別する顧客IDと、その顧客が所持する携帯通信端末3にデータを送信可能なアドレス情報(例えば、メールアドレスなど)と、その携帯通信端末3から送信される顧客位置情報とを対応付けて記憶する構成部である。以下、本実施形態では、この顧客IDは、金融機関にて顧客が開設した口座の口座番号であるとして説明する。
【0031】
(顧客抽出部243)
顧客抽出部243は、つぶやき管理部23(入出金依頼処理部232)からATM位置情報および所定の距離範囲を取得し、そのATM位置から所定の距離範囲内となる顧客位置情報と対応付けられた顧客IDおよびアドレス情報を顧客位置情報DB242から抽出する。
さらに、顧客抽出部243は、抽出した顧客IDをインセンティブ付与管理部25に出力し、その顧客IDの顧客にインセンティブ付与が可能であるか否かを判定させる。付与が可能であれば、顧客抽出部243は、付与許可情報を顧客IDおよびアドレス情報とともに入出金依頼処理部232に出力する。
【0032】
(インセンティブ付与管理部25)
インセンティブ付与管理部25は、顧客がインセンティブ付与可能な条件を満たしているかを判定する構成部であり、インセンティブ付与履歴DB251と、インセンティブ付与判定部252とを備える。
【0033】
(インセンティブ付与履歴DB251)
図7は、インセンティブ付与履歴DBのデータベースの一例である。この図7に示すように、インセンティブ付与履歴DB251は、顧客を識別する顧客IDと、インセンティブ付与フラグと、日時と、インセンティブ金額と、ATMIDとを対応付けて記憶している。日時は、インセンティブが付与された日時である。
【0034】
(インセンティブ付与判定部252)
インセンティブ付与判定部252は、特定のATMで入出金取引を繰り返すことで、インセンティブを不正に取得することを防ぐために、顧客がインセンティブを受け取ることができるか否か(インセンティブが付与可能であるか否か)を判定する構成部である。
【0035】
このインセンティブ付与判定部252は、顧客位置管理部24(顧客抽出部243)からインセンティブ付与判定指示が入力され、インセンティブ付与判定指示とともに入力された顧客IDを取得し、その顧客IDがインセンティブ付与履歴DB251に記憶されているか否かを判定する。記憶されていなければ、インセンティブ付与可能と判定する。一方、顧客IDがインセンティブ付与履歴DB251に記憶されていれば、さらに、インセンティブ付与履歴DB251にて、その顧客IDと対応付けられたインセンティブ付与履歴情報を取得して、インセンティブが付与可能であるか否かを判定する。
インセンティブ付与判定部252は、インセンティブ付与可能と判定すれば、インセンティブ付与可能情報を顧客位置管理部24(顧客抽出部243)に出力する。
【0036】
このインセンティブが付与可能であるか否かの判定方法は、本実施形態では、例えば、「インセンティブ付与フラグ」が“付与”であり、「日時」が現在時刻から所定の時間内(インセンティブロック期間内)であった場合、付与禁止と判定する方法とする。
ここで、インセンティブブロック期間を24時間として、図7を用いて説明する。顧客ID「1112222」の顧客は、前回インセンティブが付与された日時(2010年10月25日12時34分)から24時間後の2010年10月26日12時34分になるまで、インセンティブ付与判定部252によりインセンティブ付与可能と判定されない。
【0037】
その他の判定方法としては、付与された「インセンティブ金額」の総額に上限をつけるなどして、「日時」が現在時刻から所定の時間内(インセンティブロック期間内)であっても、「インセンティブ金額」の総額が所定の金額未満であった場合、付与可能と判定する方法であってもよい。また、以前にインセンティブを付与したATM(ATMID)とは異なる「ATMID」にて行われた取引であった場合は、付与可能と判定してもよい。
【0038】
(ATM位置管理部26)
ATM位置管理部26は、ATM4の位置情報(ATM位置情報)を記憶するATM位置情報DB261を備える構成部である。
【0039】
(ATM位置情報DB261)
ATM位置情報DB261は、ATM4(4a,4b,・・・)を識別する「ATMID」と、ATM4それぞれの設置位置を示す「ATM位置情報」とを対応付けて記憶する。
入出金依頼処理部232がATMの設置位置を知るためにATM位置管理部26に照会をかけてきたときに、ATM位置管理部26は、その照会されたATMIDと合致するATMIDをATM位置情報DB261から検出し、そのATMIDと対応付けられた「ATM位置情報」を取得する。
【0040】
(つぶやき管理部23)
つぶやき管理部23は、ATM4からの発報情報(現金過不足発生)を受けて、そのATM4の近隣にいる顧客に対して、そのATM4で入出金取引を行うように促す通知メッセージを作成して、モバイルWEB通信部21に送信させる構成部である。このつぶやき管理部23は、発報情報取得部231と、入出金依頼処理部232と、通知メッセージ作成部233と、通知メッセージ送信履歴DB234と、WEBページ作成部235と、インセンティブ付与認定部236とを備える。
【0041】
(発報情報取得部231)
発報情報取得部231は、ATM通信部221を介して、ATM4から送信されてきた発報情報を取得したときに、その発報情報を対応判定部223に出力して、対応判定部223に発報情報の対応判定を依頼する構成部である。
【0042】
(入出金依頼処理部232)
入出金依頼処理部232は、(1)対応判定部223から、発報情報の対応判定の結果などを取得し、(2)ATM位置情報DB261から、発報情報を送信したATM4の位置情報(ATM位置情報)などを取得し、(3)顧客位置管理部24から、インセンティブ付与が可能な顧客の顧客位置情報などを取得し、(4)それら取得した情報(対応判定の結果、ATM位置情報、顧客位置情報など)を通知メッセージ作成部233に出力する。
【0043】
<(1)の処理> まず、入出金依頼処理部232は、対応判定部223から発報情報の対応判定の結果を取得する。このとき、対応判定の結果として、状況ID、対応方針、インセンティブ金額を取得する。
<(2)の処理> さらに、入出金依頼処理部232は、発報情報に付与されたATMIDを取得し、ATM位置情報DB261から、そのATMIDと対応付けられて記憶されたATM4の位置情報(ATM位置情報)を取得する。そして、入出金依頼処理部232は、予め設定された所定の距離範囲と、ATM位置情報とを、顧客位置管理部24に出力する。
【0044】
これにより、顧客位置管理部24は、ATM位置情報で示される位置(ATM4の設置位置)から、所定の距離範囲内に位置する顧客をリストアップし、その顧客が所持する携帯通信端末3のアドレス情報および顧客位置情報を入出金依頼処理部232に出力する。
このとき、顧客位置管理部24は、インセンティブ付与管理部25にリストアップした顧客の情報を提供する。インセンティブ付与管理部25は、インセンティブ付与履歴DB251を参照して、顧客にインセンティブ付与が可能であるか否かを判定する。顧客位置管理部24は、インセンティブ付与管理部25からインセンティブ付与判定結果を取得して、アドレス情報および顧客位置情報とともに入出金依頼処理部232に出力する。
【0045】
<(3)の処理> 入出金依頼処理部232は、顧客位置管理部24から、ATM位置情報から所定の距離範囲内に位置する顧客が所持する携帯通信端末3のアドレス情報および顧客位置情報と、インセンティブ付与判定結果とを取得する。
<(4)の処理> 入出金依頼処理部232は、(1)〜(3)の処理で取得した情報を通知メッセージ作成部233に出力する。これにより、対応判定の結果(状況ID、対応方針、インセンティブ金額)、ATM位置情報、アドレス情報、顧客位置情報などが出力される。
【0046】
(通知メッセージ作成部233)
通知メッセージ作成部233は、入出金依頼処理部232から取得した情報を用いて、携帯通信端末3に表示可能な形式で現金入出金依頼情報(通知メッセージ)を作成して、通知メッセージをモバイルWEB通信部21に送信させる構成部である。
例えば、通知メッセージ作成部233は、入出金依頼処理部232から対応判定の結果(状況ID、対応方針、インセンティブ金額)や、顧客が所持する携帯通信端末3のアドレス情報および顧客位置情報、ATM位置情報などを取得する。
【0047】
次に、通知メッセージ作成部233は、対応判定の結果に基づき、通知メッセージを作成する。例えば、対応方針が「顧客につぶやき」であれば、「おなかがへったよー、現金下さい・・・。」という文章内容の現金入出金依頼情報を作成する。この現金入出金依頼情報は、携帯通信端末3にインストールされた入出金依頼APによって起動するソフトウェアにより携帯通信端末3の表示部35に表示される形式で作成される。通知メッセージ作成部233は、入出金依頼処理部232から取得したアドレス情報をあて先として、現金入出金依頼情報を含めた通知メッセージを作成し、モバイルWEB通信部21に送信させる。これにより、メッセージを受信した携帯通信端末3の表示部35には、図2(a)に示すような現金入出金依頼情報が表示される。
なお、作成する通知メッセージは上記のようなものであれば、親しみやすい表現となるが、「お近くのATMの現金が不足しています」のような事務的な文章内容であっても構わない。あるいは、顧客ごとにどちらの表現を好むかを現金管理サーバ2に予め登録しておき、通知メッセージ作成部233は、顧客によって表現が異なる文章内容で現金入出金依頼情報を作成してもよい。
【0048】
(通知メッセージ送信履歴DB234)
通知メッセージ送信履歴DB234は、通知メッセージ作成部233が通知メッセージを作成してモバイルWEB通信部21に送信させたことを示す送信履歴情報を記憶する構成部である。通知メッセージ送信履歴DB234には、少なくとも、顧客IDと、ATMIDと、メッセージIDと、通知メッセージを携帯通信端末3に送信した送信時刻とが、対応付けられて記憶される。
この送信履歴情報により、ATMIDのATM4にメッセージIDに該当する取引(入金取引/出金取引)を行うことでインセンティブを付与する旨の通知メッセージを現金管理サーバ2が顧客IDの顧客に送信した日時が分かる。
【0049】
(WEBページ作成部235)
WEBページ作成部235は、携帯通信端末3からの要求を受け、インターネット上の地図サービスなどと連携して、顧客の現在位置(顧客位置情報)や、現金自動取引装置の設置位置(ATM位置情報)、通知メッセージの内容(文章内容など)、インセンティブの内容(インセンティブ金額)などを埋め込んだWEBページを作成して、要求した携帯通信端末3にWEBページを送信する構成部である。
WEBページ作成部235は、携帯通信端末3からモバイルWEB通信部21を介して、顧客IDやメッセージIDを取得したことを契機に、WEBページを作成する。
【0050】
(インセンティブ付与認定部236)
インセンティブ付与認定部236は、締めが実行されるタイミングで、後記する勘定ホスト部27が備える取引履歴DB272に記憶された取引履歴情報と、通知メッセージ送信履歴DB234に記憶された送信履歴情報とを参照して、取引を行った顧客のうち、インセンティブを受け取る権利のある顧客を認定する構成部である。
このインセンティブ付与認定部236は、ATMIDのATM4に取引(入金取引/出金取引)を行うことでインセンティブを付与する旨の通知メッセージを現金管理サーバ2が顧客IDの顧客に送信した日時から、所定の時間内にメッセージIDに該当する取引が行われたか否かを判定する。取引が行われていた場合には、その顧客IDの顧客にはインセンティブを受け取る権利があると認定し、その顧客IDを勘定ホスト部27(インセンティブ付与実行部273)に出力する。これにより、顧客がインセンティブを受け取るために、ATM4で入金取引および出金取引を何度も繰り返すという不正な取引は、行うことができない。
【0051】
(勘定ホスト部27)
勘定ホスト部27は、取引情報取得部271と、取引履歴DB272と、インセンティブ付与実行部273とを備える。
【0052】
(取引情報取得部271)
取引情報取得部271は、ATM現金管理部22から、ATM4で行われた取引についての情報(入金取引や出金取引など)を取得して、取引履歴DB272に記憶させる構成部である。
【0053】
(取引履歴DB272)
取引履歴DB272は、ATM4を管理する一般的な現金管理サーバ2が備える構成部であり、この取引履歴DB272には、少なくとも、取引を行った顧客の顧客IDと、入金取引や出金取引など顧客が行った取引内容と、取引を行ったATM4のATMIDと、取引が行われた日時情報とが記憶されている。
【0054】
(インセンティブ付与実行部273)
インセンティブ付与実行部273は、インセンティブ付与認定部236から取得した顧客ID(インセンティブ付与が認定された顧客の顧客ID)に対応する銀行口座に、インセンティブ金額分を付与する構成部である。
【0055】
なお、現金管理サーバ2は、図示を省略したCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)などを備えた一般的なコンピュータで構成することができ、コンピュータを前記した各手段として機能させるプログラムにより実現することができる。
【0056】
図5に示す、ATM通信部221、対応方針DB222、通知メッセージ送信履歴DB234、顧客位置情報DB242、インセンティブ付与履歴DB251、取引履歴DB272はハードウェア資源であり、データの送受信を行うインターフェースや、データを記憶する記憶部である。
また、対応判定部223、発報情報取得部231、入出金依頼処理部232、通知メッセージ作成部233、WEBページ作成部235、インセンティブ付与認定部236、顧客位置取得部241、顧客抽出部243、インセンティブ付与判定部252、取引情報取得部271、インセンティブ付与実行部273は、CPU(制御部)にプログラムが実行されることにより実現される。
【0057】
また、現金管理サーバ2が備える、モバイルWEB通信部21、ATM現金管理部22、つぶやき管理部23、顧客位置管理部24と、インセンティブ付与管理部25、ATM位置管理部26、勘定ホスト部27は、それぞれ独立したサーバであってもよく、各サーバ間は、データの送受信が可能なようにLAN(Local Area Network)などで接続されていればよい。
【0058】
以上に示すように現金管理サーバ2は、銀行口座を持っている顧客が現金の不足が発生したATM4の付近にいたときに、顧客が所持するGPS機能付き携帯通信端末3に、ATM4への現金の入金を促す通知メッセージを送信することができる。また、現金管理サーバ2は、顧客に対して特典(インセンティブ)を付与することもできる。
【0059】
本実施形態によれば、現金管理サーバ2は、銀行口座を持っている顧客が所持するGPS機能付きの携帯通信端末3とネットワーク(携帯電話通信網N1)を介して接続される。携帯通信端末3にデータを送信可能にする情報(アドレス情報)をこの現金管理サーバ2が予め内部に登録しておくことで、例えば、現金の不足が発生したATM4(現金自動取引装置)の付近にいた顧客が所持する携帯通信端末3に、そのATM4への現金の入金を促す通知メッセージを、現金管理サーバ2は送信することができる。これにより、現金の不足が発生したATM4に、顧客が現金を入金することを期待することができる。
このように、携帯通信端末3を所持する複数の顧客が、現金の不足が発生したATM4に現金を入金したり、現金の余剰が発生したATM4に現金を出金したりすることで、ATM4の現金過不足の発生回数を低減することができる。
【0060】
また、銀行口座を持っている複数の顧客が、現金過不足が発生したATM4に入金または出金をしてくれることが期待できる。そのため、ATM4の管理事業者(銀行)は、現金過不足を解消するためにATM4が設置された場所まで、大量の現金を輸送するリスクを低減することができる。また、警備会社などのアウトソースに現金の輸送を依頼する回数を低減することができるため、アウトソースに対するコストも低減することができる。
なお、実施例においては現金の過不足としているが、現金の不足時のみの処理に対応してもよい。この場合、ATM4は現金が不足していることの通知のみを行うため、警備会社へ現金補充依頼を行う回数を低減することができる。また、現金の在高の余剰時のみの処理に対応してもよい。この場合、ATM4は現金が余剰していることの通知のみを行うため、警備会社へ現金回収依頼を行う回数を低減することができる。例えば、防犯上の観点からは、対応方針DB222に現金余剰時の「対応方針」には警備会社への現金回収依頼のみを行う対応を要求する情報を記憶させておくことで、現金余剰時には顧客へのつぶやきを行わないようにして、顧客に現金が溜まっていることを知らせず、顧客へは現金不足のみの通知にとどめる運用を行うことができる。
【0061】
《現金管理サーバと携帯通信端末およびATMとの相互の処理の流れ》
図8および図9は、本発明に係る現金管理サーバと携帯通信端末およびATMとの相互の処理の流れを示す図である(適宜、図1ないし図7を参照)。
まず、顧客が携帯通信端末3を操作してアプリケーション(入出金依頼AP)を起動させる(S101,図8)。携帯通信端末3は、定期的に顧客IDと顧客位置情報とを現金管理サーバ2に送信する(S102)。
現金管理サーバ2が備える顧客位置管理部24は、モバイルWEB通信部21を介して顧客IDと顧客位置情報とを取得し、顧客位置情報DB242に顧客IDと対応して記憶された顧客位置情報を更新する(S103)。
【0062】
ATM4が備える現金カセット部45に収納された現金が所定の枚数より不足していることを現金残高検知部48が検知する(S201)。発報情報作成部49が発報情報を作成し、通信部47を介して発報情報を現金管理サーバ2に送信する(S202)。このとき、ATM4は、記憶部46に記憶されたATM4を識別するATMIDも現金管理サーバ2に送信する。
【0063】
現金管理サーバ2が備えるつぶやき管理部23は、ATM現金管理部22を介して、発報情報を取得する(S203)。つぶやき管理部23(発報情報取得部231)は、ATM現金管理部22に発報情報の対応判定を依頼する(S204)。ATM現金管理部22(対応判定部223)は、対応判定を実行し(S205)、つぶやき管理部23(入出金依頼処理部232)に対応判定の結果を応答する(S206)。次に、つぶやき管理部23(入出金依頼処理部232)は、ATM位置管理部26にATMIDを送信して、ATM位置情報の要求をする(S207)。ATM位置管理部26は、ATM位置情報DB261から、ATMIDに対応するATM位置情報を取得して、つぶやき管理部23(入出金依頼処理部232)にATM位置情報を出力する(S208)。
【0064】
次に、つぶやき管理部23(入出金依頼処理部232)は、顧客位置管理部24にATM位置情報を出力する(S209)。顧客位置管理部24(顧客抽出部243)は、所定距離範囲内の顧客位置情報と顧客IDとアドレス情報とを顧客位置情報DB242から抽出し(S210)、顧客位置管理部24(顧客抽出部243)は、インセンティブ付与管理部25にインセンティブ判定依頼をする(S211)。インセンティブ付与管理部25(インセンティブ付与判定部252)は、インセンティブ付与履歴DB251を参照して、インセンティブ付与判定を行い(S212)、インセンティブ付与が可能と判定された顧客の顧客IDを取得する。そのインセンティブ付与判定結果を顧客位置管理部24(顧客抽出部243)に出力する(S213)。これにより、顧客位置管理部24(顧客抽出部243)は、インセンティブ付与が可能と判定された顧客IDとその顧客位置情報およびアドレス情報とを、つぶやき管理部23(入出金依頼処理部232)に出力する(S214)。
【0065】
つぶやき管理部23(通知メッセージ作成部233)は、ATM現金管理部22、顧客位置管理部24、ATM位置管理部26から取得した情報を用いて、携帯通信端末3に表示可能な形式の通知メッセージ(現金入出金依頼情報)を作成する(S215,図9)。つぶやき管理部23(通知メッセージ作成部233)は、モバイルWEB通信部21を介して、通知メッセージを携帯通信端末3に送信する(S216)。これにより、携帯通信端末3の表示部35には、現金入出金依頼情報が表示される(図2参照)。また、つぶやき管理部23(通知メッセージ作成部233)は、通知メッセージ送信履歴DB234を更新する(S217)。
【0066】
顧客は、携帯通信端末3を操作して、「私はここにいます」(図2参照)を選択することで、ATMが選択される(S218)。携帯通信端末3は、つぶやき管理部23(通知メッセージ作成部233)から受信した通知メッセージの応答として、WEBページ送信要求を、現金管理サーバ2に送信する(S219)。
つぶやき管理部23(WEBページ作成部235)は、モバイルWEB通信部21を介して、WEBページ送信要求を取得し、WEBページを作成し(S220)、モバイルWEB通信部21を介して、WEBページを携帯通信端末3に送信する(S221)。これにより、携帯通信端末3の表示部35には、WEBページが表示される(図3参照)。
【0067】
顧客は、携帯通信端末3の表示部35に表示された地図情報に従い、該当するATM4に現金を入金する(S222)。顧客に操作されてATM4は、ATM現金管理部22と入金取引を行う(S223)。これにより、ATM現金管理部22は、入金取引情報を、勘定ホスト部27に出力し(S224)、勘定ホスト部27(取引情報取得部271)は、入金取引情報を、取引履歴DB272に記憶させる(S225)。
【0068】
勘定ホスト部27(インセンティブ付与実行部273)は、締めのタイミングで、つぶやき管理部23(インセンティブ付与認定部236)にインセンティブ付与が認定された顧客IDを要求する(S301)。つぶやき管理部23(インセンティブ付与認定部236)は、通知メッセージ送信履歴DB234と取引履歴DB272とを参照して、インセンティブ付与認定判定を行う(S302)。そして、インセンティブ付与が認定された顧客IDを勘定ホスト部27(インセンティブ付与実行部273)に出力する(S303)。これにより、勘定ホスト部27(インセンティブ付与実行部273)は、顧客IDに該当する銀行口座にインセンティブを金額分だけ付与する(S304)。
【符号の説明】
【0069】
1 現金過不足通知システム
2 現金管理サーバ
3 携帯通信端末
4 ATM(現金自動取引装置)
21 モバイルWEB通信部
22 ATM現金管理部
23 つぶやき管理部
24 顧客位置管理部
25 インセンティブ付与管理部
26 ATM位置管理部
27 勘定ホスト部
31 制御部
32 通信部
33 GPS機能部
34 記憶部
35 表示部
36 入力部
41 操作表示部
42 カードリーダ部
43 ユーザ認証部
44 現金入出金部
45 現金カセット部
46 記憶部
47 通信部
48 現金残高検知部
49 発報情報作成部
221 ATM通信部
222 対応方針DB
223 対応判定部
231 発報情報取得部
232 入出金依頼処理部
233 通知メッセージ作成部
234 通知メッセージ送信履歴DB
235 WEBページ作成部
236 インセンティブ付与認定部
241 顧客位置取得部
242 顧客位置情報DB
243 顧客抽出部
251 インセンティブ付与履歴DB
252 インセンティブ付与判定部
261 ATM位置情報DB
271 取引情報取得部
272 取引履歴DB
273 インセンティブ付与実行部
N1 携帯電話通信網
N2 専用回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置情報を取得できる複数の携帯通信端末および現金過不足の発生を検知する現金自動取引装置と通信可能に接続された現金管理サーバであって、
前記現金自動取引装置の設置位置情報が予め記憶されているATM位置情報記憶部と、
前記現金自動取引装置が発報した、現金過不足発生情報およびその現金自動取引装置を識別するATM識別情報を受信し、
前記携帯通信端末それぞれから取得した現在位置情報および前記設置位置情報を用いて、前記発報した発報現金自動取引装置の設置位置から所定の範囲内に位置する前記携帯通信端末を検出し、前記発報現金自動取引装置に対する現金の入金取引もしくは出金取引を促す通知メッセージを送信することを特徴とする現金管理サーバ。
【請求項2】
現在位置情報を取得できる複数の携帯通信端末および現金不足の発生のみを検知する現金自動取引装置と通信可能に接続された現金管理サーバであって、
前記現金自動取引装置の設置位置情報が予め記憶されているATM位置情報記憶部と、
前記現金自動取引装置が発報した、現金不足発生情報およびその現金自動取引装置を識別するATM識別情報を受信し、
前記携帯通信端末それぞれから取得した現在位置情報および前記設置位置情報を用いて、前記発報した発報現金自動取引装置の設置位置から所定の範囲内に位置する前記携帯通信端末を検出し、前記発報現金自動取引装置に対する現金の入金取引を促す通知メッセージを送信することを特徴とする現金管理サーバ。
【請求項3】
現在位置情報を取得できる複数の携帯通信端末および現金余剰の発生のみを検知する現金自動取引装置と通信可能に接続された現金管理サーバであって、
前記現金自動取引装置の設置位置情報が予め記憶されているATM位置情報記憶部と、
前記現金自動取引装置が発報した、現金余剰発生情報およびその現金自動取引装置を識別するATM識別情報を受信し、
前記携帯通信端末それぞれから取得した現在位置情報および前記設置位置情報を用いて、前記発報した発報現金自動取引装置の設置位置から所定の範囲内に位置する前記携帯通信端末を検出し、前記発報現金自動取引装置に対する現金の出金取引を促す通知メッセージを送信することを特徴とする現金管理サーバ。
【請求項4】
前記携帯通信端末を所有する顧客を識別する情報、および、その顧客の口座番号である顧客IDが予め記憶されている顧客情報記憶部と、
前記発報現金自動取引装置での入出金取引を促す情報を含めて前記通知メッセージを生成する通知メッセージ作成部と、
前記通知メッセージの送信先の前記顧客IDおよび前記発報現金自動取引装置のATM識別情報を含む通知メッセージ送信履歴を記憶する通知メッセージ送信履歴記憶部と、
前記発報現金自動取引装置を操作して入出金取引を行った顧客の顧客IDおよびその発報現金自動取引装置のATM識別情報を含む取引履歴を記憶する取引履歴記憶部と、
前記通知メッセージ送信履歴記憶部に記憶された顧客IDおよびATM識別情報と、前記取引履歴記憶部に記憶された顧客IDおよびATM識別情報とを比較し、合致した顧客IDの口座にインセンティブの付与を認定するインセンティブ付与認定部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載された現金管理サーバ。
【請求項5】
前記インセンティブ付与認定部により認定された顧客IDの口座にインセンティブの付与を行うインセンティブ付与実行部と、
前記インセンティブが付与された口座の顧客IDおよび入出金取引が行われた取引時刻を含む付与履歴を記憶するインセンティブ付与履歴記憶部と、
前記近隣携帯通信端末を検出した後で、前記インセンティブ付与履歴記憶部に記憶された付与履歴を参照して、現在時刻から前記取引時刻までの時間が所定時間を超えている付与履歴の顧客IDに、前記インセンティブを付与する情報の提供を許可するインセンティブ付与判定部と、
前記通知メッセージ作成部に、前記インセンティブを付与する情報の提供を許可された前記顧客IDに係る前記近隣携帯通信端末を送信先として、前記現金過不足発生情報が、現金不足の情報であれば、入金取引を行うことでインセンティブが付与されることを示す前記通知メッセージを作成させ、現金余剰の情報であれば、出金取引を行うことでインセンティブが付与されることを示す前記通知メッセージを作成させる入出金依頼処理部と
をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載された現金管理サーバ。
【請求項6】
前記インセンティブ付与認定部は、
前記現金過不足発生情報が、現金不足の情報であれば、前記取引履歴記憶部から入金取引を行った顧客IDを取得し、現金余剰の情報であれば、前記取引履歴記憶部から出金取引を行った顧客IDを取得して、
前記インセンティブの付与の認定を行うときに、前記取得した顧客IDと、前記通知メッセージ送信履歴記憶部に記憶された顧客IDとを比較することを特徴とする請求項4または請求項5に記載された現金管理サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−137982(P2012−137982A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290633(P2010−290633)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】