説明

複数の物品包装体の結束システム

【課題】結束シール片を介して物品包装体どうしを型崩れさせることなく結束することができ、見た目にも好ましい結束システムの提供。
【解決手段】物品包装体17,18は、主として可撓性のシート部材から形成された複数の物品と、それらを収容する可撓性プラスチックフィルムから形成された外装シート24とを含み、物品包装体は、第3面13及び第4面14の一方がZ方向に互いに対向接触する重ね合わせ形態に形成され、結束シール片21は、その面積が物品包装体の第1面11の総面積よりも小さく、かつ、そのX及びZ方向の寸法が物品包装体のX寸法よりも小さい形状を有し、物品包装体第1及び第2面それぞれのほぼ中央域において、第3面及び第4面のうちの互いに対向接触する面どうしの間に画成された境界線23と交差して、接着面を介して貼付され、物品包装体が、重ね合わせ形態を保持するように結束されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品を収納する複数の物品包装体の結束システムに関し、特に、複数の物品包装体を少なくとも2枚の結束シールを介して結束する結束システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の物品を収容する複数の物品包装体の結束システムに関する発明は公知である。たとえば、特許文献1には、複数の物品を包装する複数の内装パッケージを外包パッケージで包装するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−73116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知のシステムによれば、外装シートによって複数の物品包装体が並列された状態で被包されているので、複数の物品包装体を一塊として輸送し、商品棚に陳列することができる。
【0005】
しかし、使用時において、外装シートの一部を破いて各物品包装体を取り出す必要があり、物品包装体を取り出した後は、外装シート内の配列が崩れて、物品包装体自体の持ち運びが困難になる。また、各物品包装体を取り出した後に、外装シートを廃棄する必要がある。
【0006】
一方、前記公知のシステムのほかに、複数の物品包装体からなるユニットの全体に紐状の粘着テープを掛け回してそれらを固定するシステムが知られている。この結束システムにおいては、粘着テープを各物品包装体から引き剥がすことにそれぞれ分離させることができるので、前記特許文献に記載のシステムのように、外装シートを破いたりそれを廃棄する必要がなく、持ち運び易く、開封作業がより簡便であるといえる。しかし、物品包装体どうしが位置ずれを生じないようにするために、粘着テープに一定の圧力が掛けられた状態で物品包装体のユニット全体に掛け回されているので、各物品包装体が生理用ナプキンやウエットティッシュなどの比較的に柔軟な物品を収容する、可撓性のプラスチックフィルムから形成されている場合には、粘着テープによる圧力によって型崩れを生じるおそれがある。また、このように、物品包装体ユニットの全体を粘着テープで掛け回した結束システムは、見た目にも好ましくない。
【0007】
本発明は、従来のシステムの改良であって、少なくとも2枚の結束シール片を介して複数の物品包装体どうしを型崩れさせることなく結束することができ、見た目にも好ましい結束システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明が対象とするのは、X及びY方向と、Z方向と、少なくとも、前記X方向に互いに向かい合う第1及び第2面、並びに、前記Z方向に互いに向かい合い、前記第1及び第2面の間に位置する第3及び第4面とを有する物品包装体と、裏面が接着面である少なくとも2枚の結束シール片とを含む複数の前記物品包装体の結束システムである。
【0009】
本発明の特徴とするところは、前記物品包装体は、主として可撓性のシート部材から形成された複数の物品と、それらを収容する可撓性プラスチックフィルムから形成された外装シートとを含み、複数の前記物品包装体は、前記第3面及び第4面のうちの少なくとも一方が前記Z方向に互いに対向接触する重ね合わせ形態に形成され、前記少なくとも2枚の結束シール片それぞれは、その面積が複数の前記物品包装体の前記第1面の総面積よりも小さく、かつ、その前記X及びZ方向の寸法が前記物品包装体の前記X寸法よりも小さい形状を有し、前記複数の物品包装体の前記第1及び第2面それぞれのほぼ中央域において、前記第3面及び第4面のうちの互いに対向接触する面どうしの間に画成された境界線と交差して、前記接着面を介して貼付され、前記複数の物品包装体が、前記重ね合わせ形態を保持するように結束されている。
【0010】
本発明の好ましい実施態様の一つにおいて、前記Y方向に互いに対向する第5及び第6面をさらに有し、前記外装シートは、前記第5及び第6面のうちの少なくとも一方に開口部を有する袋状体に形成され、前記袋状体は、前記開口部が封止されることによって形成された、前記第5及び第6面のうちの少なくとも一方から突出して前記X方向へ延びる封止部を有する。
【0011】
本発明の好ましい他の実施態様の一として、前記複数の物品それぞれは、扁平形態かつ圧縮復元弾性を有し、少なくとも一つの折曲縁部を有するように折り畳まれた吸収性物品であって、前記吸収性物品を取り出し可能な内装シートで包装された個包装体の形態に形成され、複数の前記個包装体は、前記外装シートで形成される袋状の包装体内に、前記少なくとも一つの折曲縁部が、前記Z方向へ向くとともに前記Y方向へ並列し、かつ、互いに隣接する前記個包装体が互いに圧接する状態で収容されている。
【0012】
本発明の好ましい他の実施態様の一つとして、前記物品包装体は、前記結束シール片が配置されている以外の部位において、該物品包装体の開封手段を有する。
【0013】
本発明の好ましい他の実施態様の一つとして、前記開封手段は、前記袋状の包装体に設けられたミシン目線である。
【0014】
本発明の好ましい他の実施態様の一つとして、前記結束シール片の接着面には、感圧性接着剤を塗布してなる接着剤層が形成されている。
【0015】
本発明の好ましい他の実施態様の一つとして、前記結束シール片の接着面において、前記接着剤層が形成されていない又は前記接着剤層の一部に樹脂を塗布してなる摘持部が形成されている。
【0016】
本発明の好ましい他の実施態様の一として、前記結束シール片は、前記境界線と対向して前記Y方向へ延びる分離手段を有する。
【0017】
本発明の好ましい他の実施態様の一つとして、前記結束シール片の表面側に、前記物品包装体の個数を視覚的又は機械的に認識可能な表示が付されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る結束システムでは、複数の物品包装体どうしを結束する少なくとも2枚の結束シール片が、複数の物品包装体の第1面の総面積よりも小さい面積を有し、かつ、そのX方向の長さ寸法が物品包装体のX方向の長さ寸法よりも小さい形状を有し、物品包装体どうしの重ね合わせ面の間に形成される重ね合わせ形態の重ね合わせ境界線と交差していることから、結束シール片によって包装物が型崩れすることなく、また、外観を損ねることはない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1面側から斜めに見た本発明の第1実施形態における結束システムの斜視図。
【図2】第2面側から斜めに見た図1の結束システムの斜視図。
【図3】図1の一部破断斜視図。
【図4】個包装体の斜視図。
【図5】展開した状態における個包装体の平面図。
【図6】第1面の正面図。
【図7】(a)は、結束シール片の裏面側の平面図、(b)は、他の実施態様における結束シール片の裏面側の平面図。
【図8】他の実施態様における結束シール片の表面側の平面図。
【図9】境界線に指を挿入して、第1物品包装体を持ち上げた状態を示す図。
【図10】(a),(b)結束システムの使用状態を示す一部破断斜視図。
【図11】結束システムの第2実施形態を示す第1面の正面図。
【図12】結束システムの第3実施形態を示す第1面の正面図。
【図13】結束システムの第4実施形態を示す第1面の正面図。
【図14】結束システムの第5実施形態を示す第1面側から斜めに見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び2に示すとおり、結束システム10は、X方向と、Y方向と、それらに交差するZ方向とを有する略直方体であって、X方向に互いに対向する第1及び第2面11,12と、Z方向に互いに対向する第3及び第4面13,14と、Y方向に対向する第5及び第6面15,16とを含む。
【0021】
結束システム10は、さらに、Z方向に重ねられた第1物品包装体17と第2物品包装体18と、結束システム10の第1及び第2面11,12において第1物品包装体17と第2物品包装体18とを結束する、再剥離可能な粘着性を備えた一対の結束シール片21,22とを含む。結束シール片21,22は、第1及び第2面11,12において、それらの裏面(接着面)に感圧性接着剤が塗布され、第1及び第2面11,12の中央域に位置する第1物品包装体17と第2物品包装体18との対向接着面(重なり合い面)17A,18Aの境界線23と交差する状態で、感圧性接着剤を介して貼着されていて、第1及び第2物品包装体17,18の積層状態を保持している。なお、本実施形態において、結束シール片21,22は略矩形状であるが、後記の本発明の効果を有する限りにおいて、円形、楕円形、他の多角形状などであってもよい。また、第1及び第2物品包装体17,18は、結束システム10の第1〜第6面に応じた面を有しており、そのうちの第3面及び第4面のうちの少なくとも一方が隣り合う物品包装体17,18との重なり合い面17A,18Aを形成している。
【0022】
図1〜3に示すとおり、第1及び第2物品包装体17,18は、結束システム10とほぼ同形の略直方体であって、それぞれ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの比較的に柔軟な素材を材料とした、質量40〜50g/mの可撓性プラスチックフィルムから形成された外装シート24を有する。外装シート24は、Y方向に開口部を有する筒状の可撓性プラスチックフィルムの端部を互いに重ね合わせた状態で山折りにして、該開口部をヒートシール加工によって封止して形成されたガゼット袋状を呈しており、第5及び第6面15,16には、ヒートシール加工によって形成された、第5及び第6面15,16から突出する封止部26,27がX方向に延びている。また、第1及び第2物品包装体17,18の第5面15には、そのX方向のほぼ中央部においてZ方向に延びる、それらの開封手段であるミシン目線28,29が形成されている。なお、開封手段は、第5面15ではなく、結束シール片21,22が配置されている以外の部位であれば、その他の面に形成されていてもよいし、複数面に形成されていてもよい。また、封止部26,27は、第5面及び第6面15,16から突出していなくてもよいし、外装シート24がガゼット袋状に形成されていなくてもよい。
【0023】
また、袋状の外装シート24の内部には、吸収性物品30が折り畳まれた状態で収納された複数の個包装体31が収容されている。具体的には、複数の個包装体31がY方向において互いに圧接された状態で並ぶように配置されており、かかる個包装体31群がX方向に2列形成されている。個包装体31は、第1及び第2物品包装体17,18のミシン目線28,29に沿って外装シート24の一部を破断して開封することによって、その内部から取り出すことができる。また、本実施形態のように、第1及び第2物品包装体17,18がガゼット袋状であって、その封止部26,27にミシン目線28,29が形成されている場合には、封止部26,27の両側を指で摘んで引っ張ることにより、個包装体31が圧接された他の部位にミシン目線28,29が形成されている場合に比して、比較的容易にそれらを破断することができる。
【0024】
図4は、個包装体31の斜視図、図5は、展開した状態における個包装体31の平面図である。
【0025】
個包装体31は、第1及び第2端部31a,31bと、両側部31c,31dとを有するパッド状であって、縦軸P及び横軸Qを有する吸収性物品30とそれを被包する内装シート32とを含む。また、吸収性物品30は、繊維不織布シートから形成された透液性のトップシート33と、不透液性のバックシート34と、両シート33,34間に介在された吸液性コア35とを含む。吸液性コア35は、高吸収性ポリマー粒子と粉砕パルプとを混合して所要の形状に賦型したものであって、他のシート部材に比して剛性が高い半剛性を有している。
【0026】
また、吸収性物品30は、縦軸Pの方向の中央部において横軸Qの方向の外方へ延びる一対のウイング部36a,36bを有し、該ウイング部36a,36bにおける使用時において着用者の下着類等と対向する側の面(非肌対向面)には、粘着剤を塗布してなる粘着部位37a,37bが形成されており、該粘着部位37a,37bは、剥離シート(図示せず)によって被覆されている。また、図示していないが、吸収性物品30の非肌対向面にも、縦軸Pの方向に延びる粘着域が形成されていてもよいし、吸液性コア35に体液を拡散させるための圧搾条溝が形成されていてもよい。
【0027】
かかる構成を有する個包装体31は、ウイング部36a,36bを内側に折り返し、吸収性物品30の一部を第1折曲線40に沿って横軸Qに向かって折り返した後、さらに、第2折曲線41に沿ってその一部を横軸Qに向かって折り返した状態で内装シート32の両側部をシールして、止着シール44で内装シート32の外面に止着することによって形成することができる。また、個包装体31の端部31a,31bには、第1及び第2折曲線40,41を介して吸液性コア35を含む吸収性物品30の一部が二つ折りにされてなる、他の部位に比して高い剛性を有する折曲縁部が形成されている。
【0028】
図3に示すように、各物品包装体17,18の内部には、結束システム10のY方向において隣接する個包装体31どうしが互いに圧接された状態で並べられており、かかる態様で並べられた個包装体31群がX方向に2列形成されている。すなわち、個包装体31の第1及び第2端部31a,31b(吸収性物品30の折曲縁部が位置する端部)がZ方向へ向くとともにX方向に並列している。この収容形態において、複数の個包装体31がY方向に圧縮された状態で並べられていることから、第5及び第6面15,16は、扁平形態の吸収性物品30の吸液性コア35が重ねられていることで圧縮復元弾性を有する。一方、第1及び第2面11,12には、それぞれ、その内面に個包装体31のうちの比較的に剛性が高い第1及び第2端部31a,31bが位置しているので、それらがいわば、Z方向に延びるリブのような役割を果たし、第1及び第2面11,12は、第5及び第6面15,16よりも剛性が高くなっている。
【0029】
したがって、結束シール片21,22を貼着するときに、手作業又は機械(プッシャー)によって第1及び第2面11,12の重ね合わせ面17A,18A間に形成された境界線23と交差するように結束シール片21,22を押し当てるところ、第5及び第6面15,16では、上記のとおり、圧縮復元弾性を有し比較的に柔軟であるので、貼着面が変形して上手く貼着することができなかったり、境界線23内に結束シール片21,22の一部が食い込んでそれらに皺が生じたりするおそれがある。
【0030】
しかし、本発明では、結束シール片21,22は、吸収性物品30が配列されている方向(Y方向)と直交する方向(X方向)において互いに対向する第1及び第2面11,12に貼着されているので、それらを貼着する際に、その貼着面が変形して、結束シール片21,22の一部が浮き上がったり、境界線23内に食い込んで皺が生じたりするおそれはない。
【0031】
図6は、第1面11の正面図、図7(a)は、結束シール片21の裏面側の平面図、図7(b)は、他の実施態様における結束シール片21の裏面側の平面図、図8は、他の実施態様における結束シール片21の表面側の平面図である。なお、図6〜図8は、第1面11側についてのみ述べているが、第2面12側においても同様の構成を有すると理解されたい。
【0032】
結束シール片21,22は、略矩形状を有する厚さ70〜90μmのポリプロピレン樹脂から作られた合成紙、例えば、ユポ・コーポレーション社製のユポ(商標名)から形成された基材シートと、その裏面(貼着)側にアクリル系の感圧性接着剤を塗布して形成された厚さ60〜80μmの接着剤層50とから構成された再剥離可能なラミネートシールである。
【0033】
図7(a)に示すとおり、結束シール片21の角部には、接着剤層50が形成されていない又は接着剤層50にインク剤を塗布してなる摘持部51が形成されている。結束シール片21には摘持部51が形成されているので、それを指で摘んで引っ張り上げることによって、結束シール片21を第1面11からスムーズに引き剥がすことができる。また、比較的に結束シール片21が高い粘着力を有する場合には、その剥離を容易にするために、図7(b)で示すように、摘持部51を結束シール片21の側縁に沿ってその長さ寸法の全域に形成してもよい。
【0034】
結束シール片21,22の引張強度は、25〜30N/10mm、第1及び第2物品包装体17,18の外装シート24の引張強度は、5.5〜6.5N/10mmである。ここで、本発明における引張強度とは、試料を3%伸張したときの試料にかかる応力の値をいう。
【0035】
<引張強度の測定>
引張強度は、引張試験機(インストロン社製)を用いて、試料幅16mm、試料長70mm、引張速度100mm/minの条件の下に5回測定し、その平均値を求めて各シート部材、フィルムの引張強度とした。
【0036】
また、結束シール片21,22を第1及び第2面11,12を形成する外装シート24から剥離するときの剥離力は、1.3〜4.8Nである。
【0037】
<剥離力の測定>
結束シール片21,22の剥離力は、引張試験機(インストロン社製)を用いて、掴み幅20mm,引張速度300mm/minの条件で、結束システム10の結束シール片21,22のいずれか一方を剥がして、第1物品包装体17を取り除き、第2物品包装体18の第3面に貼着された結束シール片を可動掴み具に固定し、その第2面に貼付した別体の結束シール片(第3面の結束シール片と同様に、その面積のうち約半分が物品包装体に貼付され、残りの約半分が第4面側に突出した状態のもの)を固定掴み側に固定して剥離させることによって測定した。本測定方法によって、剥離角度約90度における最大値を測り、それを結束シール片21,22の剥離力とした。
【0038】
上記のとおり、結束シール片21,22の粘着力及び剥離力が、この種の物品に一般的に使用される他のシール部材に比して低いことから結束シール片21,22を第1及び第2側面11,12から剥がし易く、また、結束シール片21,22の引張強度が比較的に大きいので、それを剥がすときに一部が破断したり、結束システム10の搬送中によれて皺が生じるおそれもない。また、結束シール片21,22の引張強度は、外装シート24の引張強度の約5.0〜6.0倍であるので、仮に、第1及び第2物品包装体17,18のミシン目線28,29が、結束シール片21,22の配置された第1及び第2面11,12に形成されている場合であっても、ミシン目線28,29の破断とともに、結束シール片21,22の一部が破断されるおそれはない。
【0039】
また、図8に示すとおり、結束シール片21の表面側に、結束システム10を形成する物品包装体17,18の個数などを視覚的又は機械的に認識可能な表示、例えば、「お買い得2個パック」などの文字情報部54や商品を識別するためのバーコード表示(JANコード)55を印刷してもよい。また、結束システム10のバーコード表示55と第1及び第2物品包装体17,18固有のバーコード表示とによる誤認識を避けるために、各物品包装体に付されたバーコード表示を結束シール片21で被覆して外部から認識できないようにすることもできる。
【0040】
再び、図6を参照すると、結束シール片21のY方向の長さ寸法Wは、結束システム10のY方向の長さ寸法Wよりも小さく、また、結束シール片21のZ方向の長さ寸法Lは、結束システム10のZ方向の長さ寸法Lよりも小さいことから、結束シール片21の面積は第1面11の面積よりも小さいものといえる。
【0041】
具体的には、結束システム10のZ方向の長さ寸法Lが150〜200mm、そのY方向の長さ寸法Wが130〜180mmであるのに対し、結束シール片21のZ方向の長さ寸法Lが50〜70mm、Y方向の長さ寸法Wは、70〜90mmである。また、結束シール片21の大きさ(面積)は、各物品包装体の第1面11全体の大きさに対して、0.1〜0.7倍であることが好ましい。0.1倍以下の場合には、結束シール片21の接着剤層50全体の接着力にもよるが、結束システム10の搬送中又は商品棚に陳列するために第1物品包装体17を掴んで持ち上げたときに、不用意に結束シール片21が剥がれてしまうおそれがある。一方、結束シール片21の接着剤層50の面積が、0.7倍以上の場合には、第1面11が比較的に広範囲に結束シール片21に被覆され、使用時において結束シール片21を剥離し難く、また、見た目にも好ましくない。
【0042】
本発明では、結束シール片21のY方向の長さ寸法Wが、結束システム10のY方向の長さ寸法Wよりも小さいので、図9に示すとおり、第1面11の結束シール片21の両側において、結束シール片21が存在していない非結束部位60,61が形成されている。かかる非結束部位60,61が形成されていることによって、取扱者は結束システム10を片手で掴み上げることができる。すなわち、結束システム10は複数の物品包装体が重なり合って形成されていることから所与の厚みを有しており、それを安定的に片手で掴むことは困難である。特に、複数の結束システム10が圧縮された状態で梱包された段ボール箱等から結束システム10を取り出すときに、無理やり結束システム10の一部を指で摘んで段ボール箱等から引っ張り上げた場合には、物品包装体の一部が破損したり、内部の吸収性物品30が変形するおそれがある。
【0043】
しかし、本実施形態の結束システム10には、結束シール片21の両側に非結束部位60,61が形成されており、それらが、それぞれ第5面15と第6面16との境界線23とに連続して延びていることから、結束システム10の取扱者が、第5面15又は第6面16の境界線23内に指を挿入したときに、境界線23を形成する第1物品包装体17の重ね合わせ面17Aと第2物品包装体18の重ね合わせ面18Aとが離間するので、指を境界線23の内方にまで挿入し易く、安定的に第1物品包装体17を片手で掴んで結束システム10全体を持ち上げることができる。また、本実施形態では、第1及び第2物品包装体17,18がガゼット袋状であるので、第5面15又は第16面の境界線23内に指を挿入したときに、第5面15又は第6面16から突出した封止部26,27を押しつぶすように変形させてしっかりと掴むことができるので、個包装体31が圧接された面を掴む場合よりも、より安定的に片手で結束システム10を持ち上げることができる。
【0044】
さらに、図10(a)のように、第1物品包装体17のミシン目線28を破断して、その内部から個包装体31を取り出して使用した場合には、第1物品包装体17が開封したままの状態となり、該開封部位から内部にゴミが入り込んだり、圧縮された状態で収容されていた個包装体31群の配列が乱れて第1物品包装体17が型崩れをするおそれがある。かかる場合において、分離されたミシン目線28を互いに引き寄せるように外装シート24を引っ張り合わせて、引っ張り合わされたミシン目線28上に結束シール片22を貼り付けることによって、開封部位を封止することができる。それにより、個包装体31群の配列が乱れることによる第1物品包装体17の変形を抑制することができるとともに、内部にゴミが入りことを防止することができる。また、第1物品包装体17を開封するとともに又はその使用終了後において、第2物品包装体18のミシン目線29を破断して開封した場合であっても、該開封部位に結束シール片21を貼着することによって、封止することができる。結束シール片21,22は再剥離可能な粘着シールであるので、結束シール片21,22をミシン目線28,29に貼着することによって、第1及び第2物品包装体17,18の再開封及び再封止が可能となる。
【0045】
図11は、結束システム10の第2実施形態を示す第1面11の正面図、図12は、結束システム10の第3実施形態を示す第1面13の正面図、図13は、結束システム10の第4実施形態を示す第1面11の正面図、図14は、結束システム10の第5実施形態を示す図1と同様の斜視図である。各実施形態における基本的構成は、第1実施形態における基本的構成と同一であるので、相違する点について以下に述べる。また、図11〜14において、第1面11に位置する結束シール片21についてのみ説明しているが、第2面12に位置する結束シール片22についても同様の構成を有すると理解されたい。
【0046】
<第2実施形態>
図11に示すとおり、本実施形態では、結束シール片21のZ方向における長さ寸法の略中央部において、境界線23に沿ってY方向に延びる分離手段(ミシン目線)70が形成されている。結束シール片21に分離手段70が形成されているので、結束シール片21を結束システム10から剥がすことなく、速やかに第1物品包装体17と第2物品包装体18とを分離することができる。
【0047】
<第3実施形態>
図12に示すとおり、本実施形態では、結束シール片21のZ方向における長さ寸法の略中央部において、境界線23に沿ってY方向に延びる分離手段71が形成されている。分離手段71は、第1面11側に位置する波状の第1切断線70aと第4面14側に位置する波状の第2切断線70bと、第5側面15側に突出する摘み部72とを含むジッパー加工部によって形成されている。結束シール片21に分離手段71が形成されているので、使用者が摘み部72を指で摘んで第5面15側から第6側面16側に向かって引っ張ることによって、第1及び第2切断線70a,70bに沿って分離手段71が結束シール片21から分離されて、第1物品包装体17と第2物品包装体18との結束を解除することができる。本実施形態の場合には、結束シール片21を第1面11から剥がすことなく、第2実施形態よりもより簡易かつ確実に第1物品包装体17と第2物品包装体18とを分離させることができる。なお、分離手段71の剥離をより容易にするために、その内面に位置する接着剤層50の接着力を他の部位に比して低くしてもよい。
【0048】
<第4実施形態>
図13に示すとおり、本実施形態では、結束システム10は、互いに重ね合わされた第1及び第2物品包装体17,18と第3物品包装体75とによる3つの物品包装体と、第1物品包装体17からその下方に位置する第3物品包装体75まで一連に延びる大きさを有する結束シール片21とから構成されている。かかる実施形態の場合であっても、結束シール片21は各物品包装体17,18,75の対向面を連続的に結束するのみであるから、それらの形状を型崩れさせるおそれはない。なお、本実施形態のほかに、結束シール片21,22の粘着力に応じて、結束システム10は3つ以上の複数個の物品包装体から構成されていてもよい。また、本実施形態では、第1物品包装体17から第3物品包装体75まで一連に延びる結束シール片21を使用しているが、結束シール片21を各物品包装体の重ね合わせ面どうしの間に形成された境界線23と交差するような複数枚から形成してもよい。
【0049】
また、各物品包装体17,18,75は、図13に示すように、外装シート24は、その外周縁に沿ってヒートシール加工による接着部が形成されており、第1実施形態と異なり、第5面15にのみ封止部26が形成されており、第6面16には封止部が形成されていない。各物品包装体17,18,75は、本実施形態のように、1つの面にのみ封止部が形成されていてもよいし、2つ以上の複数の面に封止部が形成されていてもよい。
【0050】
<第5実施形態>
本実施形態では、第1及び第2物品包装体17,18がその内部に複数枚のワイプス80を収容する袋状体であって、複数枚のワイプス80がZ方向に圧縮かつ積層された状態で収容されている。第1物品包装体17は、第3面13に再剥離可能な粘着性を有する開封シール81を有しており、開封シール81を剥がして外装シート24に形成された開口(図示せず)を露出させることによって、該開口からワイプス80を取り出すことができる。
【0051】
本発明において、結束システム10に使用する材料は、明細書中に特に記載がされていない限りにおいて、通常、この種の物品に使用される材料を制限なく使用することができる。また、本発明の明細書及び特許請求の範囲において使用されている「第1」及び「第2」の用語は、同様の要素、位置などを単に区別するために用いられているものである。
【符号の説明】
【0052】
10 結束システム
11 第1面
12 第2面
13 第3面
14 第4面
15 第5面
16 第6面
17 第1物品包装体
18 第2物品包装体
21,22 結束シール片
23 境界線
24 外装シート
26,27 封止部
28,29 ミシン目線
30 吸収性物品
31 個包装体
32 内装シート
33 トップシート
34 バックシート
35 吸液性コア
51 摘持部
70,71 分離手段
75 第3物品包装体
X X方向
Y Y方向
Z Z方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X及びY方向と、Z方向と、少なくとも、前記X方向に互いに向かい合う第1及び第2面、並びに、前記Z方向に互いに向かい合い、前記第1及び第2面の間に位置する第3及び第4面とを有する物品包装体と、
裏面が接着面である少なくとも2枚の結束シール片とを含む複数の前記物品包装体の結束システムにおいて、
前記物品包装体は、主として可撓性のシート部材から形成された複数の物品と、それらを収容する可撓性プラスチックフィルムから形成された外装シートとを含み、
複数の前記物品包装体は、前記第3面及び第4面のうちの少なくとも一方が前記Z方向に互いに対向接触する重ね合わせ形態に形成され、
前記少なくとも2枚の結束シール片それぞれは、その面積が複数の前記物品包装体の前記第1面の総面積よりも小さく、かつ、その前記X及びZ方向の寸法が
前記物品包装体の前記X寸法よりも小さい形状を有し、
前記複数の物品包装体の前記第1及び第2面それぞれのほぼ中央域において、前記第3面及び第4面のうちの互いに対向接触する面どうしの間に画成された境界線と交差して、前記接着面を介して貼付され、
前記複数の物品包装体が、前記重ね合わせ形態を保持するように結束されていることを特徴とする前記複数の物品包装体の結束システム。
【請求項2】
前記Y方向に互いに対向する第5及び第6面をさらに有し、
前記外装シートは、前記第5及び第6面のうちの少なくとも一方に開口部を有する袋状体に形成され、
前記袋状体は、前記開口部が封止されることによって形成された、前記第5及び第6面のうちの少なくとも一方から突出して前記X方向へ延びる封止部を有する請求項1に記載の結束システム。
【請求項3】
前記複数の物品それぞれは、扁平形態かつ圧縮復元弾性を有し、少なくとも一つの折曲縁部を有するように折り畳まれた吸収性物品であって、前記吸収性物品を取り出し可能な内装シートで包装された個包装体の形態に形成され、
複数の前記個包装体は、前記外装シートで形成される袋状の包装体内に、前記少なくとも一つの折曲縁部が、前記Z方向へ向くとともに前記Y方向へ並列し、かつ、互いに隣接する前記個包装体が互いに圧接する状態で収容されている請求項1又は2に記載の結束システム。
【請求項4】
前記物品包装体は、前記結束シール片が配置されている以外の部位において、該物品包装体の開封手段を有する請求項1〜3のいずれかに記載の結束システム。
【請求項5】
前記開封手段は、前記袋状の包装体に設けられたミシン目線である請求項4に記載の結束システム。
【請求項6】
前記結束シール片の接着面には、感圧性接着剤を塗布してなる接着剤層が形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の結束システム。
【請求項7】
前記結束シール片の接着面において、前記接着剤層が形成されていない又は前記接着剤層の一部に樹脂を塗布してなる摘持部が形成されている請求項6に記載の結束システム。
【請求項8】
前記結束シール片は、前記境界線と対向して前記Y方向へ延びる分離手段を有する請求項1〜7のいずれかに記載の結束システム。
【請求項9】
前記結束シール片の表面側に、前記物品包装体の個数を視覚的又は機械的に認識可能な表示が付されている請求項1〜8のいずれかに記載の結束システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−30874(P2012−30874A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173134(P2010−173134)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】