説明

複数の紙片を綴じるために用いる紙製綴じ片とその使用方法

【課題】金属針を使用しないで書類を綴じるために用いる紙製綴じ片とその使用方法を提供する。
【解決手段】帯状の紙材5…5で形成され、帯の長手方向に直交する両側又は片側に、前記方向に直交する櫛歯を持つ櫛歯形状が設けられており、前記櫛歯は、櫛歯の長さと幅及び櫛歯間の幅が、綴じる書類の厚みや綴じる部分に印刷する文字数などにより定まるそれぞれ所定の値であって、前記櫛歯の端部6を含む一方の面上に、粘着材又は接着材が配置され、櫛歯毎に、一つの綴じ片5として切り離し可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属針を使用しないで複数の紙片を綴じるために用いる紙製綴じ片とその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、余り厚くない複数の紙片を綴じる場合には、専ら、ホッチキスと呼ばれる簡易的な綴じ器具(以下、ステープラという。)が使用されてきた。この器具は、断面コ字型に形成された金属製の綴じ針を複数の紙片に差込み、貫通した先端部をほぼ直交方向に折り曲げることによって、複数の紙片を一体化して綴じるようにしている。
【特許文献1】特開2002−210675
【特許文献2】特開2003−236267
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような構成のステープラは、広く一般に普及しているが、金属製の綴じ針を使用するので、その存在が問題になることがあった。例えば、不要になった複数の紙片をシュレッダーで破砕しようとしても、綴じ針が付いたままでは、シュレッダー刃を破損させてしまうので、綴じ針を一々外す必要があり煩雑であった。しかも、場合によっては、綴じ針を外す際に爪を傷つけたり、綴じ針が刺さって指先に怪我をすることもあった。
【0004】
また、不要となった紙を再生加工する際にも綴じ針は邪魔であり、金属針を使用しないで複数の紙片を綴じる方法の開発が強く望まれていた。
【0005】
そこで、発明者はこの出願に先立ち、金属針を使用しないで複数の紙片を綴じる方法及びその器具を発明し、特願2004-22586において提案している。
【0006】
この発明は、その後の研究開発によって最適化が図られた、前記器具に用いる紙製の綴じ片及びその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明によるステープラ用綴じ片材は、帯状の紙材で形成され、帯の長手方向に直交する両側又は片側に、櫛歯が設けられており、その両側又は片側の櫛歯は、櫛歯の長さ及び幅が所定の値であって、その両側又は片側の櫛歯の端部を含む一方の面上に、粘着材又は接着材が配置され、櫛歯毎に、一つの綴じ片として切り離し可能とすることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、複数の綴じ片を、櫛歯を一つの単位として帯状につなげて綴じ片材とするため、個々の綴じ片として保管するよりも便利である。また、綴じる対象となる複数の紙片を貫通する部分が当初から櫛歯形状となっていて隣り合う櫛歯とは切り離されているため、綴じる際にその部分を切断する必要が無く、隣り合う綴じ片の連結部のみを単に切り離すだけで個々の綴じ片にすることができる。更に、櫛歯の端部を含む一方の面上に粘着材又は接着材が配置されているため、貫通した櫛歯部分が折り曲げられたときに該紙片の裏面に容易に固定できる。ここで、粘着材や接着材は、櫛歯のいずれの面であっても良い。これは、綴じた複数の紙片の裏面における固定の方法を利用者に自由に選択しうるようにするためである。
【0009】
尚、この発明において、櫛歯には、櫛歯間に所定の隙間が形成されているものはもとより、その隙間が実質的に無いもの、即ち、カッターやはさみ等で櫛歯間に切り込みを入れただけのものも含まれる。また、櫛歯の長さは、綴じ込む紙(例えば、書類)の厚みによって適宜選択される。櫛歯の幅は、特に限定されるものではないが、例えば、綴じた部分の強度の観点から選択されても良いし、綴じ幅の部分に印刷する場合には、それに応じた幅を選択することができる。また、この発明に使用しうる紙材は特に紙質を限定されない。一般的な紙材である上質紙だけでなく、印刷用紙や情報用紙など広く適用しうる。意匠的な面を考慮して、綴じ片に色上質紙を用いることにより、書類の分類機能を発揮させたり、購入者の購買意欲を起こさせることは好適な一例である。
【0010】
また、この発明において、帯の長手方向に直交する綴じ幅とは、綴じ片が複数の紙片を綴じる際に、折り曲げられずに紙片の表面に現れている部分における一方向の幅であって、綴じ片材における帯の長手方向に対して直交する方向の長さを意味する。
【0011】
また、綴じ片は、厚肉部と薄肉部とからなり、該薄肉部は、帯の長手方向に平行であって、該方向に直交する綴じ幅の端部を結ぶように、連続的又は断続的な直線状を形成していることが好ましい。これは、綴じる紙に貫通させる部分とそれ以外の部分との境界部分に予め薄肉部を形成しておくことにより、無理な力を加えずに容易に曲げることができ、きれいな折り目を形成することができるからである。従って、必ずしも薄肉部を連続的に形成することを要せず、ミシン目のように断続的に形成されていても良い。
【0012】
また、綴じ片に切り込みや開口部を設け、該切込み部や開口部が、帯の長手方向に平行であって、該方向に直交する綴じ幅の端部を結ぶように、断続的な直線状を形成していても良い。前述と同様、綴じる紙に貫通させる部分とそれ以外の部分との境界部分に予め切り込みや開口部を断続的(例えば、ミシン目状)に形成しておくことにより、無理な力を加えずに容易に曲げることができる。尚、切り込みとは、単にカッター等により切り込みを入れただけのものであり、開口部とは単に切り込みを入れただけではなく、平面的に一部の紙が除去されているものを指す。
【0013】
また、綴じ片に段差を設け、該段差が、帯の長手方向に平行であって、該方向に直交する綴じ幅の端部を結ぶように、連続的又は断続的な直線状を形成していても良い。この場合も、無理な力を加えることなく容易に折り曲げることができる。そして、必ずしも段差を連続的に形成することを要せず、ミシン目のように断続的に形成されていても良い。
【0014】
更に、其々の綴じ片の連結部に、連続的又は断続的な直線状の薄肉部、又は断続的な直線状の開口部や切り込みを設けることも好ましい。こうすることにより、隣り合う綴じ片を容易にかつ確実に切り離すことができる。
【0015】
尚、いずれの綴じ片材であっても其々の綴じ片間の連結部における帯の長手方向に直交する幅は、帯の長手方向に直交する綴じ幅と等しいか、又は短くすることが好ましい。これは、該連結部の幅が該綴じ幅よりも長ければ、折り曲げられる箇所として櫛歯形状を設けた意義が失われるためである。他方、該連結部の幅が、該綴じ幅と等しいか、又は該綴じ幅よりも短い場合は、該連結部の切断が容易になる。特に、其々の綴じ片を切り離す際に用いる切断刃の幅が、該綴じ幅とほぼ等しい場合には、切断の際に綴じ幅の端部となる部分の切り残しが発生する可能性があるため、該連結部の幅を該綴じ幅よりも短くすることが効果的である。
【0016】
これまでに述べた綴じ片材について、帯の長手方向を巻き取ってロール状に形成し保持したものが、最も多くの綴じ片をコンパクトに保管しうるものであり、かつ取り扱いが便利である。
【0017】
また、該ロール状に形成した綴じ片材の送り出し方法は、帯状の紙材で形成され、帯の長手方向に直交する両側又は片側に該方向に直交する向きの櫛歯を持つ綴じ片材の、帯の長手方向を巻き取ってロール状とし、該ロール状の綴じ片材を所定の位置に配置して、その終端部から順次綴じ片材を送り出すとともに、其々の綴じ片に切断されるまでに、成形ガイドにより逐次に該櫛歯に外力を加えて、該綴じ片材を屈曲させることを特徴する。
【0018】
この方法では、当初平坦であった櫛歯形状を有する綴じ片材を、帯の長手方向に巻き取って形成したロールから送り出すときに、該櫛歯を逐次に屈曲させるようなガイドに沿わせて移動させることにより、別段の屈曲工程を要さずに、綴じ片のスムーズな変形が可能となる。
【発明の効果】
【0019】
この発明の綴じ片材を用いれば、弊害の多い金属針を何ら使用することなく複数の紙片を綴じることができる。即ち、綴じ片が紙製であるため、廃棄の際の処分が容易であって環境にもやさしい。また、金属針より幅広に構成することができ、しかも各種の色彩の綴じ片を用意できるので、例えば、書類を綴じる綴じ片の色彩の違いや綴じ片への印刷によって各書類を明確に識別することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の具体的な実施形態を、添付する図面に基づいて説明する。図1及び図2は、この発明を実現する紙類の切断刃lAの構成を例示したものである。図3Bは、切断刃1Aを使用して複数の紙片(本実施例では、以下、書類とする。)を綴じる方法を説明する図面である。
【0021】
図示の切断刃lAは、矩形平板状の天板2と左右側板3と前後側板4とで構成され、天板2に直交して4つの側板3,4が延設されている。この切断刃lAは、図3A(a)〜(c)に示すような台形、半円形又は矩形の櫛歯を帯の長手方向の両側に有する長方形の綴じ片材5…5、又は図3A(d)に示すような矩形の櫛歯を帯の長手方向の片側に有する長方形の綴じ片材5…5の一単位5を、連結部5Aを後述するテーパー面10を用いて切断して保持し、その後、切断された綴じ片5の両端6を書類7に貫通させて、書類7を一体化させる用途に使用される。このとき、綴じ片の櫛歯部分は、綴じる対象の書類を貫通する部分であるから、櫛歯の長さと幅は綴じる書類の厚みに応じて適宜選定されるが、その長さと幅及び櫛歯間の間隔はそれぞれ一定の間隔であることが使用上、又は商業上好ましい。また、櫛歯が片側しかない場合であっても、櫛歯形状が矩形に限定されないのは当然であり、本明細書では説明の便宜上、図面を省略している。尚、図3A(c)及び(d)における櫛歯間の太い実線は、カッター等による切り込み部分を示している。また、図1、図2及び図3Bの実施例では、弾力性と剛性の強い綴じ片5を使用しており、強度と弾力に優れた紙片である上質紙が採用される。尚、何れの紙材を使用しても、綴じ片5…5の長手方向に直交する綴じ幅5Cの両端又は一方端から0.5mm以上の切れ込みが設けられているため、容易に切断可能になっている。更に、各綴じ片5…5の連結部5Aは、極めて薄肉に形成されているか、又はミシン目状に矩形又は楕円形の開口部が形成されているのも効果的である。
【0022】
図示の切断刃lAは、不図示の昇降機構に接続されて、綴じ作業時には、降下した後に上昇して元の位置に戻るようになっている。また、切断刃lAの天板2の中央には、開口穴が形成されており、開口穴を貫通する昇降軸8の先端には、天板2よりやや小さい平板状の押え板9(図3B(e)参照)が連結されている。この押え板9は、昇降軸8の昇降動作に応じて刃物刃lAとは独立して昇降するようになっている。
【0023】
天板2は、一個の綴じ片5の形状に対応して長方形に形成されており、一個の綴じ片5にほば等しい短辺と長辺を有している。そして、綴じ辺5の長辺を屈曲させて保持するようになっている(尚、図3B(e)では湾出させている)。このとき、帯状の綴じ片材5…5における長手方向に平行であって、この方向に直交する綴じ幅の端部を結ぶように、連続的又は断続的な直線状の薄肉部か、又は断続的な直線状の開口部若しくは切り込みが形成されているか、あるいは、連続的又は断続的な段差が設けられているため、綴じ辺5の長辺を屈曲させることが容易になる。尚、綴じ片材に対して薄肉部や段差を設けるためには、金型によるプレスや硬質材によるローラーを用いて紙製綴じ片に筋を入れることにより形成する手段が好適である。薄肉部や段差の部分は、紙の繊維の絡みが解かれて強度的にも弱まるため、非常に折れ曲がり易くなる。薄肉部の例を図3C(j)に示し、段差部分の例を図3C(k)及び図3C(m)に示す。
【0024】
前後側板4は、基端側の短尺部4aと、短尺部4aの両端から突出する長尺部4b,4cとで反転U字状に形成されるが、短尺部4a及び長尺部4b,4cの先端側内面には、それぞれテーパ面10,11が形成されて切断刃を形成している(図2(b)参照)。テ―パ面10は、綴じ片5の連結部5Aを切断する部分である。また、テーパ面11は、書類7に切込みを形成する部分であり、テーパ面11に基づいて、綴じ片材5…5の長手方向に綴じ片1個分の切込み線7a,7aが形成される(図1(b)参照)。
【0025】
左右側板3は、本体部3aと、三角形状の先端部3bとで構成されている。そして、先端部3bの内面には、三角形の各斜辺に沿って2つのテーパ面12a,12bが形成されて切断刃を形成している(図2(b))。尚、2つのテーパ面12a,12bは、会合して、傾斜した稜線13を形成している。
【0026】
図3B(e)〜図3B(h)は、図1の切断刃lAの動作手順を説明する図面である。複数枚の紙片が重ねられてなる書類7は、保持板14,14の上に配置されて切断刃lAに対面している。
【0027】
この状態で、切断刃lAには、図3A(a)〜(c)のように連結された綴じ片5…5が、図1の前後方向に送られ、その後、切断刃lAが押え板9と共に降下される。すると、切断刃lAのテーパ面10によって綴じ片5…5の連結部5Aが切断され、単一の綴じ片5が屈曲された状態で、押え板9の下面と側板3a,4aの内周面とで保持される(図3B(e))。尚、綴じ片5が落下しようとする可能性はあるが、切断刃lAが勢い良く降下されるので、綴じ片5が落下することはない。
【0028】
このようにして切断刃lAが降下されると、切断刃lAの左右側板の先端部3aが書類7に突き刺さり、そのテーパ面12a,12bによって、書類7には直線状の切込線7b(図1(b))が形成される。この切込線7bは、切断刃lAの降下に合わせて伸びるが、切断刃lAの降下が進むと、前後側板4のテーパ面11によって、切込線7bに直交する別の切込線7aが形成される。また、この切込線7aの形成に合わせて、切込線7bの内側に位置する書類7の両端7cが押し下げられることになる(図3B(f))。そして、この動作によって、綴じ片5が書類の切込線7bを通過することになる。
【0029】
続いて、切断刃lAを上昇させる。この時、押え板9を下方に押すと共に、保持板14,14を上方に押す(図3B(g))。すると、綴じ片5の弾性と剛性によって、綴じ片5が左右に広がることになり、複数枚の紙片からなる書類が、綴じ片5によって一体化される(図3B(h))。
【0030】
尚、以上の説明では、綴じ片5の弾性と剛性のみによって書類を一体化しているが、綴じ片5の装着面をより平坦にして見栄えを改善するためには、図4(b)に示すように、書類の下側に、保持板14,14に加えて、受圧板15,15を配置するのが好ましい。この実施例の場合には、押え板9と受圧板15とによって紙類と綴じ片5が押圧されるので、綴じ片5は確実に断面コ字形に変形される。また、最終段階で受圧板15,15を外向きに移動させることにより、書類7の下面もフラットにすることができる(図4(e))。
【0031】
また、図5に示すように、弾性と剛性がやや弱い綴じ片5であって、その下面5Bに接着剤又は粘着剤(以下、総称して接着剤という)を塗布しておき、綴じ片5を折り曲げて書類に接着又は粘着(以下、総称して接着という)させるのも好適である。尚、接着材は、綴じ片5の櫛歯の端部を含む面に塗布することが好ましい。これにより、折り曲げられた綴じ片の端部も含めて確実に書類の裏面に固定される。
【0032】
図5は、綴じ片5の下面5Bに接着剤を塗布した場合の動作内容を例示したものである。動作内容は、概略、図3Bの場合と同じであるが、この実施例では、最後に保持板14,14を内向きに移動させて綴じ片5を折り返し塗布面を押付けるようにしている(図5(d))。すると、折り返された綴じ片5が書類7の下面に接着されて、書類を確実に一体化することができる(図5(e))。
【0033】
図6は、更に別の切断刃lBを示す図面である。この実施例では、図1の左右側板3,3の一方側を省略すると共に、押え板9を省略した構成になっている。すなわち、この切断刃lBは、矩形状の天板2と、L字状に形成された前後側板16,16と、左側板17と、右側板18とで構成されている。尚、前後側板16は、基端側の短尺部16aと、短尺部16aの一方端から突出する長尺部16bとでL字状に形成され、短尺部16aと長尺部16bの先端はテーパ面10,11が形成されている。また、左側板17は、図1の左右側板3と同一構成であり、右側板18は、矩形板であって、図3A(d)の綴じ片5の基端6bを係止める役目をしている。
【0034】
図7は、図6に示す切断刃lBの動作内容を説明する図面である。この実施例の場合には、書類7の下面を保持する保持板14,14に加えて、書類7の上面をスライドさせるスライド板19が配置される。そして、切断刃lBの降下によって図3A(d)の綴じ片5の先端6aが切込線を通過した後(図7(b))、先ず、右側の保持板14aを左に移動させ、屈曲状態の書類7を伸ばす(図7(c)のMl)。
【0035】
次に、左側の保持板14を右に移動させ(図7(c)のM2)、やや遅れてスライド板19も右方向に移動させる(図7(c)のM3)。左側保持板14の右移動によって綴じ片5がやや巻き込まれ、その後、スライド板19が右移動することによって、綴じ片が確実に屈曲されて書類が一体化される(図7(d))。尚、この実施例の場合にも、綴じ片5の下面5Bの端部を含む面に接着剤を塗布することは綴じ片の固定が確実になる点で好ましい。
【0036】
これまで、紙製の綴じ片による書類の綴じ方法について幾つか実施例を挙げて説明してきた。次に、この発明の綴じ片材の管理及び使用方法について説明する。
【0037】
図8は、帯状の紙材で形成された綴じ片材5…5の、帯の長手方向を巻き取って形成したロール30について、順次綴じ片5を送り出している様子を表した図面である。ロール30は、所定の位置(例えば、ステープラ内に設けられたポケット)に配置され、送り出しローラ41を手動で図示のように回転させることにより(例えば、ローラーの上部のみをステープラの上面の窓から突出させて回転させることにより)、これに圧接された綴じ片材5…5を送り出す。そして、当初平坦であった綴じ片材5…5は、切断刃51a、51bの位置に近づくに従って、櫛歯部分が成形ガイド40の形状に沿って移動するために徐々に折り曲げられることになる。この成形ガイド40は、本実施例では、綴じ片材5…5の変化する形状と相似する内周面を持つ成形体であって、金属性又はプラスティック製の一体成形品であるが、仮に一体的でなくても、実質的に屈曲の成形が可能であれば、複数の成形体を適宜並べて成形することもできる。また、本実施例では、櫛歯が帯の長手方向の両側にある綴じ片について説明したが、櫛歯が帯の長手方向の片側のみにある綴じ片の場合であっても、成形ガイドが櫛歯の方側にのみ存在する以外は、本実施例と実質的に変わらない。
【0038】
その後、屈曲した綴じ片材5…5は、切断刃51a、51bを備えた切断機構50の直下まで送られる。このとき、綴じ片材5…5の櫛歯間には隙間を設けた方が好ましい。これは、隣り合う綴じ片が書類へ挿入される部分と明確に離れている方が、切断機構50の切断処理領域内52に入る綴じ片の位置決めが容易になるとともに、正確な位置決めが可能となるからである。
その後、綴じ片5…5は、切断機構50を下方に押し込むことにより、個別の綴じ片5に切り離されるとともに、既に開示したとおり書類の所定の位置を貫通して書類を一体化させる。
【0039】
以上、この発明の実施の形態について具体的に説明したが、上述した実施の形態はこの発明を実施するための例示にすぎない。よって、この発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0040】
また、各切断刃は、略コ字型の切込線を形成する構成になっているが、特に限定されるものではない。例えば、略円弧状の切込線を形成する構成でも良いのは勿論である。この場合も、綴じ片の両端に、左カッコ型の円弧「(」と右カッコ型の円弧「)」とを、互いに向き合うように形成しても良いし、一方の円弧のみを形成したのでも良い。尚、略円弧状の切込線を設ける場合には、綴じ片の両端も、図3A(b)のような円弧状にするのが好ましい。)
【0041】
尚、接着剤としては、加圧により粒子が破壊されるまでは接着力を発揮しないマイクロカプセル接着剤を使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】切断刃lAの外観形状及び切断線を図示したものである。
【図2】図1の部分正面図(a)と、図1のα線から見た端面図(b)及び図2(b)の部分断面図である。
【図3A】分離前の綴じ片材(綴じ片の集合体)の図面である。
【図3B】切断刃lAの動作を説明する図面である。
【図3C】綴じ片の薄肉部と段差部分を説明する断面図である。
【図4】切断刃lAの別の動作を説明する図面である。
【図5】切断刃lAの更に別の動作を説明する図面である。
【図6】切断刃lBの外観形状及び切断線を図示したものである。
【図7】切断刃lBの動作を説明する図面である。
【図8】綴じ片材のロールからの綴じ片の送り出す様子を表す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1A,1B,51a,51b 切断刃
2 天板
3,4,16,17,18 側板
5 綴じ片
7 書類
7a,7b 切込線
8 昇降軸
9 押え板
14 保持板
15 受圧板
19 スライド板
30 ロール
40 成形ガイド
41 送り出しローラ
50 切断機構
51a,51b 切断刃
52 切断処理領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の紙材で形成され、
帯の長手方向に直交する両側又は片側に櫛歯が設けられており、
前記櫛歯の長さ及び幅は所定の値であって、
前記櫛歯の端部を含む一方の面上に、粘着材又は接着材が配置され、
櫛歯毎に、一つの綴じ片として切り離し可能とすることを特徴とする
ステープラ用綴じ片材。
【請求項2】
前記綴じ片は、厚肉部と薄肉部とからなり、
前記薄肉部は、帯の長手方向に平行であって、前記方向に直交する綴じ幅の端部を結ぶように、連続的又は断続的な直線状を形成していることを特徴とする
請求項1に記載の綴じ片材。
【請求項3】
前記綴じ片には切り込みが設けられており、
前記切り込みは、帯の長手方向に平行であって、前記方向に直交する綴じ幅の端部を結ぶように、断続的な直線状を形成していることを特徴とする
請求項1に記載の綴じ片材。
【請求項4】
前記綴じ片には開口部が設けられており、
前記開口部は、帯の長手方向に平行であって、前記方向に直交する綴じ幅の端部を結ぶように、断続的な直線状を形成していることを特徴とする
請求項1に記載の綴じ片材。
【請求項5】
前記綴じ片には段差が設けられており、
前記段差は、帯の長手方向に平行であって、前記方向に直交する綴じ幅の端部を結ぶように、連続的又は断続的な直線状を形成していることを特徴とする
請求項1に記載の綴じ片材。
【請求項6】
其々の綴じ片の連結部に、連続的又は断続的な直線状の薄肉部、又は断続的な直線状の開口部若しくは切り込みを設けてなる
請求項2〜5のいずれか1項に記載の綴じ片材。
【請求項7】
其々の綴じ片間の連結部における帯の長手方向に直交する幅は、帯の長手方向に直交する綴じ幅と等しいか、又は短いことを特徴とする
請求項1〜5のいずれか1項に記載の綴じ片材。
【請求項8】
帯の長手方向を巻き取ってロール状に形成し保持した請求項1〜5のいずれか1項に記載の綴じ片材。
【請求項9】
帯状の紙材で形成され、帯の長手方向に直交する両側又は片側に前記方向に直交する櫛歯が設けられた綴じ片材の、帯の長手方向を巻き取ってロール状とし、
前記ロール状の綴じ片材を所定の位置に配置して、その終端部から順次綴じ片材を送り出すとともに、其々の綴じ片に切断されるまでに、成形ガイドにより逐次に前記櫛歯に外力を加えて、前記綴じ片材を屈曲させることを特徴とする
ロール状綴じ片材の送り出し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−205262(P2006−205262A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−260(P2005−260)
【出願日】平成17年1月4日(2005.1.4)
【出願人】(302034813)有限会社新陽エンジニアリング (3)
【Fターム(参考)】