説明

複数の被加工品を同時にコーティングするか又は複数の被加工品から同時にコーティングを除去するための装置、方法、装置のためのカートリッジ並びに被加工品

複数の被加工品を同時にコーティングするか、又は複数の被加工品から同時にコーティングを除去するための装置であって、複数の被加工品は電解質が貫流する共通の流れダクト内に配置されており、各被加工品は少なくとも1つの構成部品電極と導電接続されていてかつ少なくとも1つの槽電極(5)に対して電気的に絶縁されており、複数の流路と、電解質を複数の流路に分配する流れ分配器とが流れダクト内に配置されており、少なくとも1つの槽電極は複数の流路のうち1つの流路内に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の装置に基づく。
【0002】
上記装置は一般的に公知になっている。例えばドイツ連邦共和国特許第19735244号明細書において、複数の被加工品にクロムめっき処理を施してクロムめっき面を形成する装置が公知になっている。この構成において、被加工品は陰極側において陰極に導電接続されており、被加工品のクロムめっき処理が施される面は面状に形成されている陽極に相対して配置されている。この構成においては被加工品に共通の流入室における電解質が供給されて、クロムめっき処理が施されてクロムめっき面が形成される。この構成において、被加工品は陽極側において遮蔽板を貫通して案内されているので、クロムめっきが施される面に接続されている被加工品の表面領域は遮蔽板によって覆われていて、クロムめっき処理が施される面だけに電解質が供給される。電解質流の個別制御、又は個々の各被加工品のための調節は行われない。
【0003】
本発明の開示
複数の被加工品を同時にコーティングするか、又は複数の被加工品から同時にコーティングを除去するための本発明に係る装置、並びに独立請求項として記載されている複数の被加工品を同時にコーティングするか、又は複数の被加工品から同時にコーティングを除去するための本発明に係る方法は先行技術に比べて、少なくとも1つの被加工品に向かう電解質流は、流路内に配置された槽電極により個別にかつ他の被加工品に向かう、つまり他の流路における電解質流に関係なく修正可能である、という利点を有している。また本構成は、電解質流が1つの被加工品に有利に適合可能である一方で、別の被加工品の影響、例えば被加工品と構成部品電極との良好でない接触接続又は被加工品の質の悪い表面状態が補償可能であり、付加的に隣接する被加工品に影響を与えないという利点を有している。したがって例えば、構成部品電極と1つの被加工品との不良な接触接続が、隣接する被加工品における不都合に高められた電解質堆積をもたらすということを防ぐ。したがって被加工品の廃棄は明らかに減じられ、コーティングの品質及び正確性は、先行技術に比べて全体として著しく高められる。特に各被加工品に対する層厚さは、別個の電源(例えば各被加工品に対する電源)との接続を介して制御可能である。さらに電解質流を少なくとも1つの被加工品へと制御するにもかかわらず、複数の被加工品が同時にコーティングされるので、同時に装置の比較的高い処理量若しくは装置の高い生産量が保証されている。特に有利には、流れ分配器により全電解質流は、複数の流路へ特に均等に分配されるので、各個々の被加工品及び/又は複数の被加工品に相応の部分電解質流が対応する。この部分電解質流は、適切な流路において変向される。構成部品電極及び槽電極の間に形成される電界を、装置の流れダクトの全横断面に亘って、若しくは複数の全被加工品に亘って形成するために、槽電極と複数の被加工品との間に最小間隔が必要である。不都合には、構成部品電極と流れダクト内の槽電極との間において電界線に必要な大きな間隔を持って、放物線上の流れ輪郭が形成されるので、コーティング又はコーティング除去のための流体工学的な層条件は、流れダクトの全横断面に亘って、ひいては複数の被加工品の全被加工品にとって同じではない。有利には複数の被加工品と各槽電極との間に複数の流路を配置することにより、放射線状の流れ輪郭の形成は、複数の被加工品と槽電極との間における間隔が比較的大きくても抑制される。したがって有利には、全被加工品の明らかに均一なコーティングが得られる。有利には装置は、複数の被加工品のマトリックス状の配置形式を有している。特に有利には、電解質は槽電極から来て、複数の被加工品に向かって流れダクトを貫流し、マトリックスは流れダクトを通る電解質の流れ方向に対して直角に配向されている。複数の槽電極、構成部品電極、他の電極及び/又は流路は、有利には流れ方向に対して垂直方向に隣り合って配置されており、特に有利には、複数の被加工品のマトリックス配置の同じパターン寸法を備えたマトリックス配置を有する。特に上記装置は、被加工品のクロムめっき処理のために用いられる。コーティングのために槽電極は有利には陽極を有し、構成部品電極は有利には陰極を有する一方で、コーティングを除去するために槽電極が有利には陰極を有し、構成部品電極が有利には陽極を有する。別の有利な構成において、装置は他の槽電極を有している。この他の槽電極は電解質の流れ方向に抗して流れ分配器の上流側において流れダクト内に配置されている。槽電極は特に有利には面状電極を有している。この面状電極は複数の被加工品のための共通の陽極又は陰極として設けられている。さらに本発明に係る装置は、特に先行技術において公知の遮蔽板を有している。これにより各被加工品の個々の表面領域の部分的なコーティングが可能になる。特に、流路には夫々、正確に唯一の被加工品が配置されているようになっている。上記遮蔽板は各被加工品に対して別個に、及び/又は被加工品の群において、及び/又は全ての被加工品に対して設けられている。
【0004】
本発明の有利な構成及び改良形は、従属請求項、及び図面に関する記載から看取可能である。
【0005】
別の有利な構成によれば、複数の被加工品に対して、唯一の構成部品電極及び/又は槽電極が配設されているようになっている。したがって有利には、特に全ての被加工品が共通の電位に保持されるので、接続に関する手間は比較的少ない。
【0006】
さらに別の有利な構成によれば、少なくとも1つの構成部品電極と、少なくとも1つの槽電極との間に、有利には仮想電極(virtuelle Elektrode)、及び特に有利には絞りを有する他の電極が配置されているようになっている。有利には、仮想電極により被加工品と槽電極との間の電界は影響を与えられるので、電界は、特に被加工品に向けられて変向される。さらに仮想電極は絞り狭幅個所を有している。この絞り狭幅個所は、特に被加工品と槽電極との間の流路に配置されていて、電界をまとめるために設けられている。
【0007】
さらに別の有利な構成によれば、ちょうど1つの被加工品には夫々、構成部品電極、槽電極及び/又は他の電極が配設されている。有利には各被加工品にちょうど1つの槽電極が配設されているので、各個々の被加工品のコーティングを個別に制御することができる。特に槽電極を備えたちょうど1つの流路が各被加工品に配設されている。この流路に部分電解質流が流れ分配器を介して導入される。この構成において、有利には部分電解質流は槽電極を通過した後に、流路の絞り狭幅個所を通って案内され、次いで遮蔽板を通って被加工品にぶつかる。択一的には各被加工品は、特別に各被加工品に配設されていて、個々に制御したい正確に唯一の構成部品電極に導電接続されていてもよい。このことに適した被加工品において、被加工品の群は、例えば12×12の被加工品のマトリックス配置において、例えば3×3のマトリックス毎に、同じ電位若しくは同じ構成部品電極を有しているように、まとめられて接続されていてもよい。
【0008】
さらに別の有利な構成によれば、複数の槽電極、複数の構成部品電極、複数の他の電極、複数の流路及び/又は流れ分配器が1つのカートリッジ内に配置されているようになっている。このカートリッジは特にモジュール状に交換可能に設けられている。したがって有利には複数の槽電極、複数の構成部品電極、複数の他の電極、複数の流路及び/又は流れ分配器は、例えば修理作業及びメインテナンス作業のために、及び/又は対応する構成要素を複数の被加工品に適合させるために、比較的簡単に交換可能である。したがってさらに、先行技術において公知の装置の比較的簡単かつ廉価な装備が可能になる。この構成において、カートリッジは有利には遮蔽板と流入室との間に配置される。カートリッジは、特に流れダクトに配置されるか、又は択一的には流れダクトの一部分である。
【0009】
さらに別の有利な構成によればカートリッジは、複数の槽電極及び/又は複数の他の電極の個別の電気的な接触接続のために設けられている少なくとも1つの接続エレメントを有しているようになっている。特に有利には、この接続エレメントはマルチコンダクタ式の電気的なコネクタコンタクトを有している。このコネクタコンタクトは各個々の槽電極及び/又は他の電極の電気的な接触接続のために用いられ、各槽電極及び/又は他の電極は、少なくとも1つの被加工品に向かう各部分電解質流に影響を与えるために、別個にかつ外部から接続可能である。さらに、マルチコンダクタ式の電気的なコネクタコンタクトにより、各個々の構成部品電極、槽電極及び/又は他の電極は電気的に接触接続可能でもある。
【0010】
本発明の他の対象は、複数の被加工品を同時にコーティングする装置のためのカートリッジである。このカートリッジは複数の流路を有している。これらの流路はマトリックス状に配置されており、各流路には少なくとも1つの槽電極が配置されている。有利には、カートリッジは、複数の被加工品を同時にコーティングするか又はコーティングを除去するための既存の装置内に、例えば先行技術に基づき簡単に挿入可能であるので、上記装置におけるコーティングの品質は明らかに向上する。したがって既存の装置をカートリッジにより比較的廉価に装備し、改良することが可能である。この構成において、カートリッジは、有利には遮蔽板と流入室との間に挿入されるので、電解質流は各個々の被加工品に向かって個別に調節可能である。本発明における流路のマトリックス配置は、特に流れ方向に対して垂直な流路の配置を相並んで有している。
【0011】
別の有利な構成によれば、各流路にさらに他の電極、特に仮想電極が配置されている、かつ/又はカートリッジが流れ分配器を有しているので、有利には槽電極と被加工品との間の電界を方向付けることができ、かつ/又は全電解質流は特に均等に複数の流路に分配される。
【0012】
本発明のさらに別の対象は、所定の装置によって複数の被加工品を同時にコーティングする方法である。少なくとも1つの槽電極を適切に制御することにより、電解質流は少なくとも1つの被加工品に向けて制御される。したがって有利には、少なくとも1つの被加工品に少なくとも向けて電解質流を制御することは、隣接する被加工品に向かう電解質流とは関係ない。その結果、コーティングの品質は向上し、欠陥のあるコーティングを施された被加工品の廃棄は減る。このことは、被加工品と構成部品電極との間の電気的な接触に基づく被加工品と槽電極との間の電界が、槽電極の配線に応じて形成されることによりもたらされる。その結果、被加工品へ向かう電解質流は個別に制御可能である。
【0013】
別の有利な構成によれば、被加工品に向かう電解質流は、さらに少なくとも1つの他の電極により制御されるようになっている。したがって有利には、被加工品と槽電極との間の電界は被加工品に向かって変向される。この構成は、特に槽電極と被加工品との間の流路における絞り狭幅個所の形式の仮想電極によって達成される。
【0014】
さらに別の有利な構成によれば、電解質流の複数の流路への分配は、流れ分配器により実施されるようになっており、流れダクトの方向から流れダクトダクト内へ貫流する全電解質流は、特に複数の同じ大きな部分電解質流に分配される。この部分電解質流は夫々、正確に個々の被加工品の1つをコーティングするために設けられており、さらに夫々、被加工品に通じる適切な流路内に導入され、流路におけるまさに1つの槽電極により適切に調整される。
【0015】
本発明のさらに他の対象は、本発明に係る方法によって製造される被加工品である。有利には、この被加工品は比較的廉価に製造可能であり、先行技術と比べて比較的高いコーティングの品質を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】先行技術による装置の概略的な斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る装置の概略的な斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る装置の一部分の概略的な斜視図である。
【図4】本発明の別の実施の形態に係るカートリッジの概略的な斜視図である。
【0017】
本発明の実施の形態を図示し、以下に詳細に説明する。
【0018】
発明の実施の形態
種々異なる図面において同じ部分には常に同じ符号を付すので、同じ部分については夫々、一度だけしか記載若しくは言及しない。
【0019】
図1に、先行技術に基づく装置1の概略的な斜視図を示す。この装置1は面状電極の形式の構成部品電極3を有している。この構成部品電極3は複数の被加工品2に導電接続されている。これらの被加工品2はマトリックス状に配置されている。他の面状電極の形式の槽電極4が構成部品電極3と被加工品2を間に挟むようにして、構成部品電極3に向かい合って配置されている。この槽電極4と構成部品電極3との間には流れダクト12が配置されている。この流れダクト12は本明細書においては流入室とも称呼される。槽電極4と構成部品電極3との間において印加される電気的な電位差により、電解質11の流れは槽電極4から流れダクト12を通って構成部品電極3に向かう。これにより複数の被加工品2は同時にコーティングされる。さらに流れダクト12と被加工品2との間には、被加工品2の領域に複数の切欠きを有する遮蔽板13が配置されている。これにより、被加工品2の表面の部分領域だけに電解質11が供給され、この電解質11に接する被加工品2の表面領域は遮蔽板13によって流れダクト12に向かって覆われる。装置1は構成部品電極3の領域に、電解質11のための溢流部14を有している。さらに装置1は構成部品電極3の領域に、個々の被加工品2の接触接続及び/又は収容する、交換可能な被加工品ホルダカートリッジ15を有している。さらにこの被加工品ホルダカートリッジ15は、コーティング又はコーティング除去プロセスに時間的に前後して複数の被加工品2を同時に交換するために適しており、介在遮蔽板16における固定のために設けられている。
【0020】
図2に本発明の実施の形態に係る装置1の概略的な斜視図を示す。この装置1は図1に示した装置1とほぼ同一であり、さらに本発明の実施の形態に係るカートリッジ9を有している。このカートリッジ9は介在遮蔽板16の代わりに、遮蔽板13の下側において流れダクト12に挿入されており、複数の流路7を有している。これらの流路7はマトリックス状に配置されている。複数の被加工品2とは反対の側において、カートリッジ9は流れ分配器8(収集器とも称呼)を有している。この流れ分配器8は流れダクト12の方向から被加工品2に向かって流れる全電解質11を複数の流路7に分配し、ほぼ同じ量の複数の部分的な電解質流11′若しくは部分電解質流11′を形成する。部分電解質流11′は流路7により直接的に被加工品2に案内される。各被加工品2にはちょうど1つの流路7が配設されている。被加工品2と流れ分配器8との間において各流路7には、ちょうど1つの槽電極5が配置されている。これにより図1に記載されている流れダクト12内に配置されている面状の槽電極4はもはや必要ない。槽電極5の電位は被加工品2毎に別個に接続することができるので、構成部品電極3に接続されている被加工品2と槽電極5との間に個別の電界が各流路7に形成される。この電界は各部分電解質流11′の流れ特性に影響を与えることに適している。したがって特に、例えば構成部品電極3と被加工品2との電気的な接触不良、又は被加工品2の質の悪い表面状態は補償されるので、複数の全被加工品2を同時にコーティングするにもかかわらず、個々の被加工品2へのコーティングの適合及び最適化が可能になるので、装置1の比較的大きな処理量で高いコーティング品質がもたらされる。さらに各流路7は付加的に他の電極6、特に絞り狭幅個所6″の形式の仮想電極6′を有している。この仮想電極6′は被加工品2と槽電極5との間に夫々配置されている。上記仮想電極6′は、各流路7における各電界を夫々被加工品2に向かって束ねて方向付けるために働く。さらにカートリッジ9は、個々の槽電極5の外部の電気的な接触接続のために働くマルチコンダクタ式の接続コネクタの形式の、電解質から絶縁された接続エレメント10を有している。装置1は構成部品電極3の領域において付加的に電解質流11のための溢流部15を有している。この領域において装置1は付加的に収集器を有している。この収集器において部分電解質流は再び合流し、電解質11の供給部に向かって変向される。さらに構成部品電極3は択一的には、全被加工品2と導電接続されている面状電極を有しているので、全被加工品2は同じ電位にあるか、又は複数の構成部品電極3は同じ電位にあり、本実施の形態において各被加工品2は、例えば唯一の構成部品電極3に接続されている。その結果、種々異なる被加工品2は種々異なる電位にあってよい。個々の構成部品電極3若しくは被加工品2の各電位は、本実施の形態において有利には外部から調節可能である。同様に装置1は自由選択的に、全被加工品2に対して共通の面状電極の形式の、1つの付加的な共通の槽電極4を有する。この共通の槽電極4は電解質11の供給部の領域に配置されている。有利な実施の形態において、装置1のカバーは被加工品ホルダカートリッジ16として働く。この被加工品ホルダカートリッジ16は、被加工品2の搬送のために設けられており、全被加工品2の同時の交換に対して択一的に、個々の被加工品2だけの自動的な交換が行われる。装置は電解質の案内のために、有利には開放されている溢流部を備えた半開きのシステムを有しているか、又は閉鎖されたシステムを有している。このシステムにおいて流れダクト12内の電解質は収集器まで戻し案内される。構成部品電極3は、有利には陰極を有しており、槽電極5は陽極を有している。個々の被加工品2は夫々、個別整流器に接続される。流れダクト12、流れ分配器8及び/又は流路7の壁部は、有利には非導電性の材料から成っているか、又は非導電性のコーティグ層を有している。特に電解質の供給部及び/又は溢流部は電気的に互いに絶縁されている。
【0021】
図3に本発明の実施の形態に係る装置1の一部分の斜視図を示す。この一部分には複数の被加工品2と、構成部品電極3と、遮蔽板13と、カートリッジ9の一部分とが示されている。カートリッジ9は流れ分配器8と、複数の槽電極5と、複数の絞り狭幅個所6″とを備えて示されている一方で、図面を見やすくする理由から、部分電解質流11′を案内するための1つの流路7だけを示す。
【0022】
図4に本発明の別の実施の形態に係るカートリッジ9の概略的な斜視図を示す。図4におけるカートリッジ9は、図2,3に示したカートリッジ9と同一であり、交換可能なモジュールとして形成されている。したがってカートリッジ9は、例えば修理及びメインテナンス作業のために装置1から抜去可能である。さらにカートリッジ9のモジュール状の構成は、例えば図1に示した装置1の装備を可能にする。本実施の形態においては、このモジュールは装置1において介在遮蔽板16の代わりに流れダクト12に配置される。槽電極5の接触接続は、次いで接続エレメント10により行われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被加工品(2)を同時にコーティングするか、又は複数の被加工品(2)から同時にコーティングを除去するための装置(1)であって、前記複数の被加工品(2)は電解質(11)が貫流する共通の流れダクト(12)内に配置されており、前記各被加工品(2)は少なくとも1つの構成部品電極(3)と導電接続されていてかつ少なくとも1つの槽電極(5)に対して電気的に絶縁されている、複数の被加工品を同時にコーティングするか、又は複数の被加工品から同時にコーティングを除去するための装置において、
複数の流路(7)と、前記電解質(11)を前記複数の流路(7)に分配する流れ分配器(8)とが、前記流れダクト(12)内に配置されており、前記少なくとも1つの槽電極(5)は前記複数の流路(7)のうち1つの流路内に配置されていることを特徴とする、複数の被加工品を同時にコーティングするか、又は複数の被加工品から同時にコーティングを除去するための装置。
【請求項2】
前記複数の被加工品(2)に唯一の前記構成部品電極(3)及び/又は前記槽電極(5)が配設されていることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの構成部品電極(3)と前記少なくとも1つの槽電極(5)との間に、有利には仮想電極(6′)と、特に有利には絞り(6″)とを含む他の電極(6)が配置されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
ちょうど1つの前記被加工品(2)に夫々、1つの前記構成部品電極(3)と、1つの前記槽電極(5)及び/又は1つの前記他の電極(6)が配設されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項記載の装置。
【請求項5】
複数の前記槽電極(5)、複数の前記構成部品電極(3)、複数の前記他の電極(6)、複数の前記流路(7)及び/又は前記流れ分配器(8)はカートリッジ(9)内に配置されており、該カートリッジ(9)は、特にモジュール状で交換可能に設けられていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項記載の装置。
【請求項6】
特に請求項1から5までのいずれか一項記載の、複数の被加工品(2)を同時にコーティングするか、又は複数の被加工品(2)から同時にコーティングを除去するための装置(1)のためのカートリッジ(9)において、
該カートリッジはマトリックス状に配置されている複数の流路(7)を有しており、各前記流路(7)内に少なくとも1つの槽電極(5)が配置されていることを特徴とする、複数の被加工品を同時にコーティングするか、又は複数の被加工品から同時にコーティングを除去するための装置のためのカートリッジ。
【請求項7】
さらに各前記流路(7)内に他の電極(6)、特に仮想電極(6′)が配置されている、かつ/又は、前記カートリッジ(9)は流れ分配器及び/又は少なくとも1つの接続エレメント(10)を有しており、該接続エレメント(10)は複数の前記槽電極(5)及び/又は複数の前記他の電極(6)の電気的な個別の接触接続のために設けられていることを特徴とする、請求項6記載のカートリッジ。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項記載の装置によって、複数の被加工品(2)を同時にコーティングするか又は複数の被加工品(2)から同時にコーティングを除去するための方法において、
少なくとも1つの前記槽電極(5)を適切に制御することにより、少なくとも1つの前記被加工品(2)に向かう電解質(11)の流れを制御することを特徴とする、複数の被加工品を同時にコーティングするか又は複数の被加工品から同時にコーティングを除去するための方法。
【請求項9】
さらに前記被加工品(2)に向かう前記電解質(11)の流れを、少なくとも1つの他の電極(6)により制御し、かつ/又は、前記電解質(11)の複数の流路(7)へのほぼ均等な分配を流れ分配器(8)により行うことを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
請求項8又は9記載の方法により製造された被加工品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−526913(P2012−526913A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510273(P2012−510273)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056486
【国際公開番号】WO2010/130750
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany