説明

複数の資源のうちのいずれの資源に、一群の要素のうちの複数の要素を配分しなくてはならないかを決定する方法及び装置、並びにコンピュータプログラム

【課題】複数の資源のうちのいずれの資源に、一群の要素のうちの複数の要素を配分しなくてはならないかを決定する方法であって、各資源は、或る時間期間内に一群の要素のうちの複数の要素を処理するための容量を有する方法に関する。
【解決手段】時間期間内に一群の要素のうちの複数の要素を処理するための最大の容量を有する資源に一群の要素のうちの1つの要素を配分し、資源毎に、当該資源の容量及び当該資源に配分された要素に従って、修正された容量を求め、一群の要素のうちの複数の要素を処理するための最大の修正された容量を有する資源に、一群の要素のうちの次の要素を配分する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、複数の資源のうちのいずれの資源に、一群の要素のうちの複数の要素を配分しなくてはならないかを決定する方法及び装置に関する。
【0002】
一群の要素のうちの複数の要素を複数の資源に配分する1つの従来の方法は、ラウンドロビン形式で要素を分配することである。
【0003】
ラウンドロビンは、均等な割り当てで、且つ全ての資源を優先順位をつけずに扱うような順序で、要素をリソースに割り当てる、スケジューリングアルゴリズムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第02/052787号
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/268793号
【0005】
本発明は、ラウンドロビンよりも効率的な配分方法を提供することを目的とする。
【0006】
この目的のために、本発明は、複数の資源のうちのいずれの資源に、一群の要素のうちの複数の要素を配分しなくてはならないかを決定する方法に関する。各資源は、或る時間期間内に一群の要素のうちの複数の要素を処理するための容量を有する。
当該方法は、
時間期間内に一群の要素のうちの複数の要素を処理するための最大の容量を有する資源に一群の要素のうちの1つの要素を配分するステップと、
資源毎に、当該資源の容量及び当該資源に配分された要素に従って、修正された容量を求めるステップと、
一群の要素のうちの複数の要素を処理するための最大の修正された容量を有する資源に、一群の要素のうちの次の要素を配分するステップと、
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0007】
本発明は、複数の資源のうちのいずれの資源に、一群の要素のうちの複数の要素を配分しなくてはならないかを決定する装置に関する。各資源は、或る時間期間内に一群の要素のうちの複数の要素を処理するための容量を有する。
当該装置は、
時間期間内に一群の要素のうちの複数の要素を処理するための最大の容量を有する資源に一群の要素のうちの1つの要素を配分する手段と、
資源毎に、当該資源の容量及び当該資源に配分された要素に従って、修正された容量を求める手段と、
一群の要素のうちの複数の要素を処理するための最大の修正された容量を有する資源に、一群の要素のうちの次の要素を配分する手段と、
を備えることを特徴とする、装置にも関する。
【0008】
したがって、一群の要素に含まれる要素の数が、それぞれの1つの資源の容量を超える場合であっても、一群の要素のうちの各要素を、1つの資源に配分することができる。配分することができる要素の総数が増大する。
【0009】
さらに、各資源の修正された容量が最大化され、要素の負荷を、複数の資源にわたって効率的に分散させることができる。各資源は修正された容量を有するため、一群の要素内の多くの数の要素に資源を割り当てることが可能である。
【0010】
例として、資源が、他の移動端末と通信する異なる複数の基地局によって制御される無線チャネルであり、各移動端末が基地局間で不均等に分配されている場合であっても、移動端末は、複数の基地局を通じて通信することができると共に、これらの基地局によって良好なスループットを得ることができる。これは、他の移動端末からもたらされる負荷が複数の基地局にわたって分散されるためである。
【0011】
さらに、潜在的に所与の一群の要素のうちの複数の要素に配分することができる資源が、(たとえば新たな資源の発見又は既存の資源の消滅に起因して)修正を受ける場合であっても、一群の要素のうちの全ての要素を、利用可能な資源に効率的に配分することができる。
【0012】
例として、資源が、異なる複数の基地局(移動端末と通信するもの)によって制御される複数の無線チャネルである場合、無線状態の消失に起因して、移動端末がもはや所与の基地局から信号を受信することができない場合であっても、所与のデータフローの全てのデータパケットを依然として無線チャネルに配分することができる。理想的には、データパケットを、移動端末と、当該移動端末の移動先であり且つ/又は品質がより高くなっている基地局との間にセットアップされる新規の無線チャネルに配分することができる。
【0013】
特定の特徴によれば、資源毎に修正された容量を求めることと、一群の要素のうちの複数の要素を処理するための最大の修正された容量を有する資源に、一群の要素のうちの次の要素を配分することとは、時間期間が満了していない限り反復して実行されるか、又は修正された容量のそれぞれが所定値を下回っている限り反復して実行される。
【0014】
したがって、全ての資源の全容量を、時間期間を通して効率的に割り当てることができる。さらに、資源は、資源の取り扱い可能範囲を超えて要素に割り当てられることは一切ない。
【0015】
したがって、資源がバッテリである場合、バッテリが完全に放電される事象の回数は低減される。結果として、バッテリの寿命は延びる。これはバッテリ効率が、完全な放電の周期の数と共に低減するためである。
【0016】
特定の特徴によれば、一群の要素はデータフローであり、要素はデータパケットである。
【0017】
したがって、所与のデータフローのデータパケットを、個々の資源の限度を超えて、異なる複数の資源によって処理することができる。データフローのデータパケットの取り扱い容量は増大する。
【0018】
特定の特徴によれば、本方法は第1の通信デバイスによって実行され、データフローは、第2の通信デバイスに直接送出されるか、又は少なくとも1つの第3の通信デバイスを介して送出される。
【0019】
したがって、第1の通信デバイスと第2の通信デバイスとの間で交換されるデータフローのデータスループットを増大させることができる。
【0020】
特定の特徴によれば、第1の通信デバイス及び少なくとも1つの第3の通信デバイスは、第1の基地局及び第2の基地局であり、第2の通信デバイスは移動端末である。
【0021】
したがって、第1の基地局によって移動端末に送信されるデータフローのデータスループットを増大させることができる。
【0022】
特定の特徴によれば、資源は、第1の基地局と移動端末との間に確立される無線チャネルであるか、又は第1の基地局と第2の基地局との間に確立されるネットワークチャネルである。
【0023】
したがって、第1の基地局は、ネットワークチャネルが提供する余分の容量を使用して、第1の基地局が移動端末との間に確立した無線チャネルの容量を拡大するスループットで、データフローを移動端末に送信することができる。
【0024】
したがって、第1の基地局及び第2の基地局の間で処理負荷のバランスをとることが可能である。ネットワークにおける、激しい、不均衡なトラフィックをサポートするために基地局の資源を過度に大きくすることはもはや必要ない。結果として、電力、処理、及びメモリの観点でのサイズ及び消費が低減される。
【0025】
特定の特徴によれば、第1の基地局と移動端末との間に確立される各無線チャネルの容量は、第1の基地局が、当該無線チャネルを介して移動端末に転送することができるデータの最大スループットを表す。
【0026】
したがって、第1の基地局によって扱われている他の移動端末にデータを送信するために、第1の基地局の無線インタフェースの容量を残しておくことができる。本発明によって、隣接する複数の基地局の無線インタフェースの負荷バランシングを達成することが容易になる。
【0027】
特定の特徴によれば、第2の基地局毎に、当該第2の基地局と移動端末との間に無線チャネルが確立され、第1の基地局と、第2の基地局のそれぞれとの間に確立される各ネットワークチャネルの容量は、第2の基地局が、当該第2の基地局と移動端末との間に確立される無線チャネルを介して移動端末に転送することができるデータの最大スループットを表す。
【0028】
したがって、第2の基地局がサービスを提供している他の移動端末にデータを送信するために、各第2の基地局のダウンリンク無線インタフェースの容量を残しておくことができる。隣接する複数の基地局のダウンリンク無線インタフェースの負荷バランシングを達成することは容易である。
【0029】
特定の特徴によれば、第1の基地局と、第2の基地局のそれぞれとの間に確立される各ネットワークチャネルの容量は、第1の基地局が、当該第1の基地局と各第2の基地局との間に確立される当該ネットワークチャネルを介して各第2の基地局に転送することができるデータの最大スループットを表す。
【0030】
したがって、第1の基地局又は第2の基地局がサービスを提供している他の移動端末にデータを送信するために、第1の基地局と、第2の基地局のそれぞれとの間のネットワークインタフェースの容量を残しておくことができる。第1の基地局と各第2の基地局との間のネットワークインタフェースの負荷バランシングを達成することは容易である。
【0031】
特定の特徴によれば、第1の通信デバイスは移動端末であり、第2の通信デバイス及び少なくとも1つの第3の通信デバイスは、第1の基地局及び第2の基地局である。
【0032】
したがって、移動端末によって第1の基地局に送信されるデータフローのデータスループットを増大させることができる。
【0033】
特定の特徴によれば、資源は、移動端末と第1の基地局との間に確立される無線チャネルであるか、又は移動端末と第2の基地局との間に確立される無線チャネルである。
【0034】
したがって、移動端末は、当該移動端末が第2の基地局との間に確立した無線チャネルによって提供される余分の容量を使用して、当該移動端末が第1の基地局との間に確立した無線チャネルの容量を拡大するスループットで、データフローを第1の基地局に送信することができる。
【0035】
特定の特徴によれば、移動端末と基地局との間に確立される各無線チャネルの容量は、移動端末が、当該移動端末と基地局との間に確立される当該無線チャネルを介して第1の基地局に転送することができるデータの最大スループットを表す。
【0036】
したがって、第1の基地局又は第2の基地局がサービスを提供している他の移動端末からデータを受信するために、第1の基地局と各第2の基地局との間のアップリンク無線インタフェースの容量を残しておくことができる。隣接する複数の基地局のアップリンク無線インタフェースの負荷バランシングを達成することは容易である。
【0037】
さらに別の態様によれば、本発明は、プログラマブルデバイス内に直接ロード可能とすることができるコンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがプログラマブルデバイス上で実行されると、本発明による方法のステップを実施するための命令又はコード部分を含む、コンピュータプログラムに関する。
【0038】
このコンピュータプログラムに関する特徴及び利点は、本発明による方法及びデバイスに関連して上述したものと同じであるので、ここでは繰り返さないことにする。
【0039】
本発明の特徴は、一例の実施形態の以下の説明を読むことによってより明確になろう。当該説明は、添付図面に関して作成されている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1a】本発明が実施されるシステムのアーキテクチャを表す図である。
【図1b】本発明が実施される無線セルラ通信ネットワークのアーキテクチャを表す図である。
【図2】本発明が実施される無線セルラ通信ネットワークの基地局のアーキテクチャを表す図である。
【図3】本発明が実施される無線セルラ通信ネットワークの移動端末のアーキテクチャを表す図である。
【図4】本発明が実施される無線セルラ通信ネットワークの基地局に含まれるモジュールを表す図である。
【図5】本発明が実施される無線セルラ通信ネットワークの移動端末の無線インタフェースに含まれるモジュールを表す図である。
【図6】本発明に従って実行されるアルゴリズムの第1の実施例を表す図である。
【図7】一群の要素のうちの複数の要素を処理するための資源の容量、及び資源の修正された容量の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1aは、本発明が実施されるシステムのアーキテクチャを表す。
【0042】
図1aにおいて、スプリッタSPLは、一群の要素を、Res1〜Res5と表される複数の資源に配分することができる複数のスプリット(splits)に分割する。
【0043】
一群の要素は、例として、プロセッサRes1〜Res5によって実行されるべき連続した処理ステップに分割されたタスクとすることができ、又は、メモリ資源Res1〜Res5にわたって記憶されるべき連続したデータユニットに分割されたデータセグメントとすることができ、又は、バッテリRes1〜Res5に対する、電子デバイスに少量(a bit)のエネルギーを提供することの要求とすることができ、又は、資源Res1〜Res5によって処理されるべき連続したデータパケットのフローとすることができる。1つの資源によるデータパケットの処理は、例として、データパケットを所与のフォーマットに符号化することであってもよく、又はデータパケットを図1aには示されない遠隔の通信デバイスに転送することであってもよい。
【0044】
本発明によれば、スプリッタSplは、複数の資源Res1〜Res5のうちのいずれの資源に、一群の要素のうちの複数の要素を配分しなくてはならないかを決定する。
【0045】
各資源Res1〜Res5は、或る時間期間内で一群の要素のうちの複数の要素を処理するための容量を有する。所与の資源の容量は、経時的に変化することがある。これは、たとえば、資源の使用を、多数群の多数の要素に割り当てることができる場合、且つ/又は、この数が経時的に変化する場合である。
【0046】
スプリッタSplは、一群の要素のうちの1つの要素を、時間期間内で任意の群の要素のうちの複数の要素を処理するための最大の容量を有する資源に配分し、資源毎に、当該資源の容量及び当該資源に配分された要素に従って、修正された容量を求め、一群の要素のうちの複数の要素を処理するための最大の修正された容量を有する資源に、一群の要素のうちの次の要素を配分する。
【0047】
より正確には、スプリッタSplは資源毎に修正された容量を求め、一群の要素のうちの複数の要素を処理するための最大の修正された容量を有する資源に、一群の要素のうちの次の要素を反復して配分する。これは、時間期間が満了していない限り、又は修正された容量のそれぞれが所定値を下回っている限り、行われる。
【0048】
所定値は、例として、要素のサイズ又は要素の最小サイズである。
【0049】
図1aにおいて、5つの資源Resのみが示されるが、本発明において、より多くの数又はより少ない数の資源RESが使用されることを理解することができる。
【0050】
図1bは、本発明が実施される無線セルラ通信ネットワークのアーキテクチャを表す図である。
【0051】
図1bは、本発明が実施される無線セルラ通信ネットワークの一実施例を開示する。
【0052】
図1bの実施例において、一群の要素はデータフローであり、要素はデータパケットである。資源は、基地局BS1及び基地局BS2のような第3の通信デバイスであり、スプリッタSplは第1の通信デバイスであり、データフローは第2の通信デバイスに送出される。
【0053】
第1の実現形態によれば、第1の通信デバイス及び第3の通信デバイスは、第1の基地局及び第2の基地局であり、第2の通信デバイスは移動端末である。
【0054】
第2の実現形態によれば、第1の通信デバイスは移動端末であり、第2の通信デバイス及び少なくとも1つの第3の通信デバイスは、第1の基地局及び第2の基地局である。
【0055】
図1bにおいて、サーバAGWは、通信ネットワークを通じて複数の基地局BS1〜BS4に接続される。通信ネットワークは、専用有線ネットワーク、公衆交換網のような公衆網、IPベースのネットワーク、無線ネットワーク、非同期転送モードネットワーク、又は上記で挙げたネットワークの組み合わせである。
【0056】
通信ネットワークは、必要な場合、基地局BS1〜BS4を共に接続することを可能にし、基地局BS間で、移動端末TEに転送されるように意図されるデータフローに含まれる少なくとも1つのスプリット(split)を転送することを可能にし、且つ/又は、基地局BS間で、移動端末TEによって転送されるデータフローに含まれる少なくとも1つのスプリットを転送することを可能にする。
【0057】
図1において、1つのサーバAGWのみが示されるが、本発明において、より重要な数のサーバAGWを使用することができることを理解することができる。
【0058】
同様に、4つの基地局BS1〜BS4のみが示されるが、本発明において、より重要な数の基地局BSが使用されることを理解することができる。
【0059】
3GPPにおいて現在審議中のロングタームエボリューション(Long Term Evolution)(LTE)ネットワークにおいて、サーバAGWはアクセスゲートウェイと称され、少なくとも1つのモビリティ管理エンティティ(MME)と、1つのユーザプレーンエンティティ(UPE)とを含む。汎用パケット無線サービスネットワークでは、サーバAGWは、サービングGPRSサポートノード(SGSN)と称される。モバイルIPネットワークでは、サーバAGWは、外部エージェント(FA)と称され、GSMネットワークでは、サーバAGWは、訪問者位置レジスタ(VLR)と、移動交換局(MSC)とを含む。
【0060】
各基地局BS1〜BS4は、図1には示されない少なくとも1つのセルを管理する。基地局BSのセルは、基地局BSによって転送される信号の電力強度が、そのセル内に位置する移動端末TEによって、所定値よりも高いレベルで受信されるエリアである。
【0061】
図1において、1つの移動端末TEのみが示されるが、より重要な数の移動端末TEが無線セルラ通信ネットワーク内に存在することを理解することができる。
【0062】
基地局BSは、移動端末に転送されるべきデータフローをサーバAGWから受信すると、当該移動端末TEをハンドリングする。且つ/又は、基地局BSは、当該移動端末TEによって転送されたデータフローをサーバAGWに転送する。
【0063】
データフローを移動端末TEに転送しなくてはならないとき、当該データフローは、サーバAGWから、当該移動端末TEをハンドリングする基地局BSに転送される。データフローが移動端末TEによって転送されるとき、当該データフローは、当該移動端末TEをハンドリングする基地局BSからサーバAGWに転送される。そのデータフローは、FL(TE)と表される矢印によって示される。
【0064】
移動端末TEをハンドリングする基地局BSは、移動端末TEに転送されるべきデータフローを少なくとも2つの部分に分割する。第1のスプリットは、当該移動端末TEをハンドリングする基地局BSによって、当該基地局BSの無線インタフェースを通じて移動端末TEに直接転送され、少なくとも1つの第2のスプリットは、当該移動端末TEをハンドリングする基地局BSによって、当該基地局BSのネットワークインタフェース及び少なくとも1つの経由基地局(via base station)BSを通じて、移動端末TEに転送される。
【0065】
本発明によれば、移動端末TEをハンドリングする基地局BSは、データパケットを、当該移動端末TEをハンドリングする基地局BSによって、当該基地局BSの無線インタフェースを通じて移動端末TEに直接転送しなくてはならないか、又は、当該移動端末TEをハンドリングする基地局BSによって、当該基地局BSのネットワークインタフェース及び少なくとも1つの経由基地局BSを通じて、移動端末TEに転送しなくてはならないかを判断する。
【0066】
そのために、移動端末TEをハンドリングする基地局BSは、経由基地局BS毎に、また各経由基地局BSの無線ネットワークインタフェース毎に、或る時間期間内にデータフローのデータパケットを処理するための容量を取得する。
【0067】
或る時間期間内にデータフローのデータパケットを処理するための容量は、例として、基地局BSによって移動端末TEに転送することができるデータの最大スループットである。
【0068】
移動端末TEをハンドリングする基地局BSは、時間期間内にデータパケットを処理するための最大の容量を有する基地局BSにデータパケットを配分し、基地局BSの容量及び基地局BSに配分されたデータパケットに従って、基地局BS毎に修正された容量を求め、データパケットを処理するための最大の修正された容量を有する基地局BSに、データフローの次のデータパケットを配分する。
【0069】
移動端末TEは、少なくとも2つのスプリットを受信し、データフローを再構築する。
【0070】
移動端末TEは、当該移動端末TEをハンドリングする基地局BSに転送されるべきデータフローを、少なくとも2つの部分に分割する。
【0071】
本発明によれば、移動端末TEは、データパケットを、当該移動端末TEをハンドリングする基地局BSに直接転送しなくてはならないか、又は、少なくとも1つの経由基地局BSを通じて、当該移動端末TEをハンドリングする基地局BSに転送しなくてはならないかを判断する。
【0072】
そのために、移動端末TEは、当該移動端末TE自身と基地局BSとの間に確立される各無線チャネルを介して或る時間期間内にデータフローのデータパケットを処理するための容量を取得する。
【0073】
例として、移動端末TEと基地局BSとの間に確立される所与の無線チャネルを介して時間期間内にデータパケットを処理するための容量は、基地局BSによって移動端末TEに提供される。
【0074】
他の例として、データフローのデータパケットは、移動端末TEと基地局BSとの間に確立される所与の無線チャネルによって処理される前に、FIFO(先入れ先出し(First Input First Output)に格納され、移動端末TEと基地局BSとの間に確立される無線チャネルを介して時間期間内にデータパケットを処理するための容量は、FIFOの内容(たとえば、サイズ)の漸進的変化(evolution)を観測することに基づいて求められる。
【0075】
移動端末TEは、当該移動端末TE自身と基地局BSとの間に確立される無線チャネルであって時間期間内にデータパケットを処理するための最大の容量を有するものに、データパケットを配分し、容量及び配分されたデータパケットに従って、無線チャネル毎に修正された容量を求め、当該移動端末TE自身と基地局BSとの間に確立される無線チャネルであってデータパケットを処理するための最大の修正された容量を有するものに、データフローの次のデータパケットを配分する。
【0076】
移動端末TEをハンドリングする基地局BSは、当該移動端末TEによって転送されるデータフローの少なくとも2つのスプリットを受信する。第1のスプリットは、移動端末TEをハンドリングする基地局BSによって、移動端末TEから基地局BSの無線インタフェースを通じて直接受信され、少なくとも1つの第2のスプリットは、移動端末TEをハンドリングする基地局BSによって、移動端末TEから少なくとも1つの経由基地局BSを通じて受信される。移動端末TEをハンドリングする基地局BSは、データフローを再構築する。
【0077】
図1bは、基地局BS1が移動端末TE1をハンドリングする一実施例を開示する。
【0078】
基地局BS1は、矢印FL(TE)によって表される、移動端末TEに転送されるべきデータフローを受信する。基地局BS1は、移動端末TEに転送されるべきデータフローFL(TE)を3つのスプリットに分割する。矢印FL1(TE)によって表される第1のスプリットは、基地局BS1によって、当該基地局BS1の無線インタフェースを通じて移動端末TEへ直接転送される。矢印FL2a(TE)によって表される第2のスプリットは、基地局BS1によって基地局BS2へ転送され、基地局BS2は、当該基地局BS2の無線インタフェースを通じて、矢印FL2b(TE)によって表されるスプリットを移動端末TEに転送する。矢印FL3a(TE)によって表される第3のスプリットは、基地局BS1によって基地局BS3へ転送され、基地局BS3は、当該基地局BS3の無線インタフェースを通じて、矢印FL3b(TE)によって表されるスプリットを移動端末TEに転送する。
【0079】
移動端末TEは、これら3つのスプリットを受信し、データフローを再構築する。
【0080】
移動端末TEは、基地局BS1に転送されるべきデータフローを、矢印FL1(TE)によって表される第1の部分と、矢印FL2b(TE)によって表される第2の部分と、矢印FL3b(TE)によって表される第3の部分とに分割する。
【0081】
基地局BS2は、受信したスプリットを、矢印FL2a(TE)によって表されるように、基地局BS1に転送する。
【0082】
基地局BS3は、受信したスプリットを、矢印FL3a(TE)によって表されるように、基地局BS1に転送する。
【0083】
移動端末TEをハンドリングする基地局BS1は、移動端末TEによって転送されるデータフローの3つのスプリットを受信する。基地局BS1はデータフローを再構築し、そのデータフローを、矢印FL(TE)によって表されるように、アクセスゲートウェイAGWに転送する。
【0084】
図2は、本発明が実施される無線セルラ通信ネットワークの基地局のアーキテクチャを表す図である。
【0085】
各基地局BSは、たとえば、バス201によって共に接続されている構成要素に基づくアーキテクチャと、図6に開示されるようなプログラムによって制御されるプロセッサ200とを有する。
【0086】
バス201は、プロセッサ200を、読出し専用メモリROM202、ランダムアクセスメモリRAM203、ネットワークインタフェース206、及び無線インタフェース205に連結する。
【0087】
メモリ203は、変数を受け取るように意図されるレジスタと、当該基地局のセル(1つまたは複数)に隣接しているものとして知られているセルを特定する情報と、隣接するセルを管理する基地局BSの識別子と、コネクション(connection)と、隣接するセルを管理する基地局BSとの各通信リンクに関するセキュリティ情報と、図6に開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令とを含む。
【0088】
プロセッサ200は、ネットワークインタフェース206及び無線インタフェース205の動作を制御する。
【0089】
読出し専用メモリ202は、図6に開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含む。当該命令は、基地局BSが電源をオンにされると、ランダムアクセスメモリ203に転送される。
【0090】
基地局BSは、ネットワークインタフェース206を通じて、通信ネットワークに接続される。例として、ネットワークインタフェース206は、DSL(デジタル加入者線)モデム、又はISDN(統合サービスデジタルネットワーク)インタフェース等とすることができる。
【0091】
このようなインタフェースを通じて、基地局BSは、アクセスゲートウェイAGW、及び無線セルラ通信ネットワークの他の基地局BSと情報を交換する。
【0092】
無線インタフェース205を通じて、基地局BSは、セルを特定する情報の監視リストを転送し、移動端末TEから測定報告を受信する。
【0093】
無線インタフェース205は、1本のアンテナBSantに接続される。BSantは、移動端末TEから無線波を収集すると共に、移動端末TEに無線波を放射するために使用される。
【0094】
図2において、1本のアンテナBSantのみが示されるが、本発明において、より重要な数のアンテナBSantを使用してもよいことを理解することができる。
【0095】
無線インタフェース205は、1つ又は複数の移動端末に転送されるべき少なくとも2つの信号を同時に送信する手段を備えることができる。これはたとえば、多入力多出力(MIMO)を使用して、または送信ビーム形成技法を使用して、又は複数の送信モジュール(たとえば異なる周波数帯で機能するもの)を使用してなされる。
【0096】
無線インタフェース205は、1つ又は複数の移動端末によって転送される少なくとも2つの信号を同時に受信する手段を備えることができる。これはたとえば、MIMOを使用して、またはビーム形成技法を使用して、又は複数の受信モジュール(たとえば異なる周波数帯で機能するもの)を使用してなされる。
【0097】
図3は、本発明が実施される無線セルラ通信ネットワークの移動端末のアーキテクチャを表す図である。
【0098】
各移動端末TEは、たとえば、バス301によって共に接続されている構成要素に基づくアーキテクチャと、図6に開示されるようなプログラムによって制御されるプロセッサ300とを有する。
【0099】
バス301は、プロセッサ300を、読出し専用メモリROM302、ランダムアクセスメモリRAM303、及び無線インタフェース305に連結する。
【0100】
メモリ303は、変数を受け取るように意図されるレジスタと、図6に開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令とを含む。
【0101】
読出し専用メモリ302は、図6に開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含む。当該命令は、移動端末TEが電源をオンにされると、ランダムアクセスメモリ303に転送される。
【0102】
無線インタフェース305は、基地局BSによってダウンリンクチャネルを通じて転送される信号を検出、測定、及び受信する手段と、無線セルラ通信システムのアップリンクチャネルを通じて測定報告を送信する手段とを備える。
【0103】
無線インタフェース305は、1本のアンテナTEAntに接続される。TEAntは、基地局BSから無線波を収集すると共に、基地局BSに無線波を放射するために使用される。
【0104】
図3において、1本のアンテナTEAntのみが示されるが、本発明において、より重要な数のアンテナTEAntを使用してもよいことを理解することができる。
【0105】
無線インタフェース305は、異なる複数の基地局に転送される少なくとも2つの信号を同時に送信する手段を備える。これはたとえば、MIMOを使用して、またはビーム形成技法を使用して、又は複数の送信モジュール(たとえば異なる周波数帯で機能するもの)を使用してなされる。
【0106】
無線インタフェース305は、図5を参照してより詳細に開示される。
【0107】
無線インタフェース305は、異なる複数の基地局によって転送される少なくとも2つの信号を同時に受信する手段を備えることができる。これはたとえば、MIMOを使用して、またはビーム形成技法を使用して、又は複数の受信モジュール(例として異なる周波数帯で機能するもの)を使用してなされる。
【0108】
図4は、本発明が実施される無線セルラ通信ネットワークの基地局に含まれるモジュールを表す図である。
【0109】
基地局BSは、移動端末TEに転送されるべきデータフローを複数のN個の複数のスプリットに分割する、スプリッタ/コンバイナ410を備える。あるスプリットは、他のスプリットに含まれるデータとは異なるデータを含み、データフローの異なる複数の部分に対応する。より正確には、データフローは複数のデータパケットに分解され、各スプリットは異なる複数のデータパケットに分解され、各データパケットはスプリッタ410によってデータフロー内におけるデータパケットの順序を表す情報をマーキングされる。
【0110】
データフロー内におけるデータパケットの順序を表す情報は、例として、タイムスタンプ又はシーケンス番号である。
【0111】
実現の一変形形態において、スプリッタ/コンバイナ410の代わりに、基地局BSのプロセッサ200が、データフローを分割するタスク、及び/又はスプリットを合成するタスクを実行する。
【0112】
ネットワークインタフェース206は、他の基地局BSとのデータの転送及び/又は受信を可能にするM個のX2トンネルを確立するためのM個のX2トンネルモジュール4201〜420Mと、基地局BSとアクセスゲートウェイAGWとの間でデータを交換することができるS1トンネルを確立するためのS1トンネルモジュール450とを備える。
【0113】
X2トンネルモジュール420のそれぞれを通じて、1つのスプリットが転送及び/又は受信される。
【0114】
図4に示されるものの補足として、1つのX2トンネルモジュール420を通じて転送及び/又は受信されないN−M個のスプリットはそれぞれ、基地局BSによって、当該基地局BSの無線インタフェース205の1つの無線モジュール430(N−M個の無線モジュール430M+1〜430Nを含む)を通じて、直接転送及び/又は受信される。
【0115】
各無線モジュール430は、送信機Txbと、受信機Rxbとを備える。
【0116】
例として、各無線モジュールは、無線リンク制御スタックと、媒体アクセス制御スタックとを含む。それらは、様々な転送フォーマットの変調・符号化方式(MCS)を使用して、送信機Txb上のダウンリンクデータパケットをセグメント化及びスケジューリングすると共に、受信機Rxbによって受信されるアップリンクデータパケットの送信許可をスケジューリングする役割を果たし、それによって、移動端末TEとの間に確立される物理リンクPHYの瞬間の品質と適合させると共に、基地局BSとの間に無線チャネルを確立した他の移動端末TEと無線チャネルの容量を共有する。
【0117】
ネットワークインタフェース206は、無線資源制御RRCbプロトコルモジュールを備え、当該無線資源制御RRCbプロトコルモジュールは、移動端末TEの無線資源制御RRCtプロトコルモジュールに、どのようにデータを分割するかを指示することによって、送信方式を構成するのに使用される。
【0118】
実現の一変形形態において、基地局BSのプロセッサ200が、無線資源制御RRCbプロトコルモジュールのタスクを実行する。
【0119】
データのスプリットが、基地局BSによってハンドリングされていない移動端末TEから、1つの受信モジュールRxbを通じて受信されると、当該データのスプリットは、当該基地局BSと当該移動端末TEをハンドリングする基地局BSとの間に確立されるX2トンネル420を通じて、当該移動端末TEをハンドリングする基地局BSに転送される。
【0120】
本発明によれば、各経由基地局BSは、品質指標情報を、X2トンネルを通じてスプリッタ/コンバイナ410に定期的に送信する。スプリッタ/コンバイナ410は、移動端末TEに送信されるべきデータフローの各パケットを、どのX2トンネルを通じて個々にルーティングするべきかを、各経由基地局BSによって転送される品質指標情報を使用して、パケット毎に決定し、異なるスループットを有する異なる分割の実現を可能にする。
【0121】
品質指標情報は、例として、経由基地局BSによって移動端末TEに送出されつつあるデータのスプリットの達成可能なスループットである。品質指標情報は、経由基地局BSと移動端末TEとの間に確立される無線チャネルの容量又は品質を分析することから導出されることができ、たとえば、移動端末TEによって経由基地局BSに報告されるチャネル品質指標(CQI)から導出される。及び/又は、品質指標情報は、基地局BSから受信され、まだ移動端末TEに送出されていないスプリットのデータパケットを含む経由基地局BSのFIFOのステータス(フル、拡大中、安定、縮小中、空)から導出される。及び/又は、品質指標情報は、経由基地局BSと移動端末との間に確立される無線チャネルによって使用されるセルの負荷から導出される。
【0122】
チャネル品質指標は、例として、3GPP/LTE(第3世代プロジェクト/ロングタームエボリューション)システムにおいて、移動端末TEによって基地局BSに転送されるようなチャネル品質指標である。CQIは、パイロット信号(基地局BSによって送信されるパイロット信号であって、移動端末TEによって所与の時間/周波数位置(無線チャンク)にわたって観測されるパイロット信号)のSINRのレベルを与える。CQI情報は、典型的には、送信機と受信機との間に確立される無線チャネルによってサポートされる全ての無線チャンクに関して提供される。
【0123】
例として、セルの負荷は、当該セル上で経由基地局BSの他の無線チャネルを介して他の移動端末TEに送出されるスループットに依存する。
【0124】
本発明の第1の実現形態によれば、図1に開示されるスプリッタSplはスプリッタ410であり、図1に開示される資源Res1〜Res5は、X2トンネル4201〜420M及び無線チャネル430M+1〜430Nである。
【0125】
図5は、本発明が実施される無線セルラ通信ネットワークの移動端末の無線インタフェースに含まれるモジュールを表す図である。
【0126】
無線インタフェース305は、移動端末TEをハンドリングする基地局BSに転送されるべきデータフローを、スプリッタ510を使用してK個の独立したスプリットに分割する。あるスプリットは、他のスプリットに含まれるデータとは異なるデータを含み、データフローの異なる複数の部分に対応する。
【0127】
スプリットは、それぞれ、5201〜520Kと表される送信モジュールTxtに方向付けられる。送信モジュールTxtは基本的に、1つ又は複数のFIFO(先入れ先出し)バッファを含む。FIFOは、典型的にはサイズが制限されており、送信機Txtによって送信されるデータを含む。FIFO長は、一定の送信インターバルにおいて、その送信インターバルの間に送信モジュールTxtによって送信されるデータ量だけ低減される。相反的に、FIFO長は、送信機Txがスプリッタからデータを受信する毎に増大する。
【0128】
また、各送信機Txtは、肯定応答(ARQ)を使用して繰り返すことによって任意の送信エラーを解決するための、図5には示されない無線リンク制御RLCと、スケジューラによって他の送信機からの干渉に起因する任意の送信エラーを最小化するための媒体アクセス制御MAC機能とを含み、また、物理リンクPHYの瞬間リンク品質に従って動的変調符号化方式を使用して転送フォーマットを最適化する手段を含む。
【0129】
本発明によれば、各送信機Txtは、品質指標情報を、スプリッタ510に定期的に送信する。スプリッタ510はすべての送信機Txtから到来する品質指標情報を使用し、それによって、サービスを提供している基地局BSに送信されるべきデータフローの各パケットを、どの送信機Txtに個々にルーティングするべきかを、パケット毎に決定し、異なるスループットを有する異なる分割の実現を可能にする。
【0130】
限定ではなく例として、品質指標情報は、FIFOステータス(フル、拡大中、安定、縮小中、空)にあるか、物理リンクPHYの推定される無線リンク品質にあるか、送信機Txtと、移動端末TEをハンドリングするか若しくは経由基地局BSである基地局BSの、対応する受信機Rxbとの間の物理リンクPHYを介する達成可能なデータ転送速度にあるか、又は、物理リンクPHYの負荷指標である。
【0131】
例として、物理リンクPHYの負荷指標は、物理リンクPHYが確立されている基地局BSによって与えられているスループットである。
【0132】
無線インタフェース305はコンバイナ530を備える。コンバイナ530は、基地局BS(移動端末TEを、直接に、又は他の基地局BSを介して、ハンドリングするもの)によって転送されるL個のスプリットを合成する。
【0133】
受信機Rxt5401〜540Lは、それぞれ、基地局BSの所与の送信機Txbから1つのスプリットを受信し、その送信機Txbと幾らかのRLC/MAC/PHY制御シグナリングを交換して、(たとえば、効率的な電力制御、スケジューリング、MCS、又はARQの目的で)物理リンクPHYの受信品質に寄与する可能性がある。各受信機Rxtは、受信したデータをコンバイナ530に送信する。コンバイナ530は、データ送信元Txbから送信され様々な受信機Rxtを通じて受信されたデータを収集し、送信先アプリケーションへの単一のデータフローを生成する。
【0134】
無線インタフェース305は、無線資源制御RRCtプロトコルモジュールを備え、当該無線資源制御RRCtプロトコルモジュールは、移動端末TEをハンドリングする基地局BSの無線資源制御RRCbプロトコルモジュールに従って、本発明による送信方式を構成するのに使用される。
【0135】
好ましい実施態様では、NはLに等しく、移動端末TEをハンドリングする基地局BSに送信及び転送されるべきデータのスプリットの送信先となる複数の経由基地局BSは、移動端末TEに転送されるデータのスプリットの送信元である複数の経由基地局BSと同じである。
【0136】
実現の一変形形態では、スプリッタ510及び/又はコンバイナ530の代わりに、移動端末TEのプロセッサ300が、データフローを分割するタスク、及び/又はスプリットを合成するタスクを実行する。
【0137】
実現の一変形形態では、移動端末TEのプロセッサ300が、無線資源制御RRCtプロトコルモジュールのタスクを実行する。
【0138】
本発明の第2の実現形態によれば、図1に開示されるスプリッタSplはスプリッタ510であり、図1に開示される資源Res1〜Res5は送信機Txt5201〜520Lである。
【0139】
図6は、本発明に従って実行されるアルゴリズムの第1の実施例である。
【0140】
本アルゴリズムはスプリッタSplによって実行される。
【0141】
ステップS600において、スプリッタSplは、資源Res1〜Res5のそれぞれについて、或る時間期間内に一群の要素のうちの複数の要素を処理するための容量を得る。
【0142】
次のステップS601において、スプリッタSplは、資源のそれぞれについて、ステップS600においてその資源について取得された容量値に、修正された容量として表される変数を設定する。
【0143】
次のステップS602において、スプリッタSplは、それらのそれぞれの容量に従って、最高の資源から最低の資源まで、資源をランク付けする。
【0144】
次のステップS603において、スプリッタSplは、一群の要素のうちの1つの要素を配分する必要があるか否かを検査する。
【0145】
配分する必要がある要素が存在しない限り、スプリッタはステップS603を実行する。
【0146】
或る要素を配分する必要がある場合、スプリッタSplはステップS604に進む。
【0147】
ステップS604において、スプリッタSplは最大の修正された容量を有する資源Resを選択する。
【0148】
次のステップS605において、スプリッタSplは、選択された資源にその要素を配分する。
【0149】
次のステップS606において、スプリッタSplは、各資源Resの修正された容量を求める。ここで、ステップS601において、修正された容量が容量値に設定されているため、選択された資源Resの修正された容量値しか変更する必要がないことに留意されたい。スプリッタSplは、選択された資源Resの修正された容量値を求める。これは、選択された資源Resの修正された容量値を、選択された資源Resによる配分された要素の処理のために要求される値だけ減少させることによってなされる。
【0150】
次のステップS607において、スプリッタSplは、時間期間(当該容量が取得されているその時間期間)が満了しているか否かを検査する。
【0151】
時間期間(当該容量が取得されているその時間期間)が満了している場合、スプリッタSplはステップS600に戻る。そうでない場合、スプリッタSplはステップS608に進む。
【0152】
ステップS608において、スプリッタSp1は、各修正された容量が所定値を下回っているか否かを検査する。
【0153】
各修正された容量が所定値を下回っている場合、スプリッタSplはステップS600に戻る。そうでない場合、スプリッタSplはステップS603に戻る。
【0154】
図7は、一群の要素のうちの複数の要素を処理するための容量と、修正された容量との一例を表す図である。
【0155】
図7は、資源Res1について、時間期間内で一群の要素のうちの複数の要素を処理するための容量730と、資源Res2について、時間期間内で一群の要素のうちの複数の要素を処理するための容量740と、資源Res3について、時間期間内で一群の要素のうちの複数の要素を処理するための容量750と、資源Res4について、時間期間内で一群の要素のうちの複数の要素を処理するための容量710と、資源Res5について、時間期間内で一群の要素のうちの複数の要素を処理するための容量711とを示す。
【0156】
これらの容量は、図6のアルゴリズムのステップS600において、スプリッタSplによって取得される容量である。
【0157】
これらの容量は、ステップS601において、スプリッタSplによって、修正された容量として設定される。
【0158】
資源Res1〜Res5は、図6において、それらのそれぞれの容量に従って、最高の資源から最低の資源までランク付けされる。資源Res1が1位、資源Res2が2位、資源Res3が3位、資源Res4が4位であり、資源Res5が最下位である。
【0159】
ある要素が、ある資源Resによって処理される必要がある場合、S604において、スプリッタSplは、最大の修正された容量を有する資源Res1を選択し、その要素を資源Res1に配分する。
【0160】
スプリッタSplは、資源Res1の修正された容量を求める。これは、資源Res1の修正された容量値730を、資源Res1による配分された要素の処理のために要求される値700だけ減少させることによってなされる。
【0161】
そのため、資源Res1の修正された容量は、容量701、702、705、及び707の和に等しくなる。
【0162】
要素が配分されると、スプリッタSplは、時間期間が満了しているか否かを検査する。時間期間が満了していないとき、スプリッタSplは、修正された容量のそれぞれが所定値を下回っているか否かを検査する。少なくとも1つの容量が所定値を上回っているとき、スプリッタはステップS603に戻る。
【0163】
一群のデータのうち次の要素を資源によって処理する必要がある場合、S604において、スプリッタSplは、最大の修正された容量を有する資源Res1を選択し、その要素を資源Res1に配分する。
【0164】
スプリッタSplは、資源Res1の修正された容量を求める。これは、資源Res1の修正された容量値を、資源Res1による配分された要素の処理のために要求される値701だけ減少させることによってなされる。
【0165】
そのため、資源Res1の修正された容量は、容量702、705、及び707の和に等しくなる。
【0166】
要素が配分されると、スプリッタSplは、時間期間が満了しているか否かを検査する。時間期間が満了していないとき、スプリッタSplは、修正された容量のそれぞれが所定値を下回っているか否かを検査する。少なくとも1つの容量が所定値を上回っているとき、スプリッタはステップS603に戻る。
【0167】
一群のデータのうち次の要素を資源によって処理する必要がある場合、S604において、スプリッタSplは、最大の修正された容量を有する資源Res1を選択し、資源Res1に要素を配分する。
【0168】
スプリッタSplは、資源Res1の修正された容量を求める。これは、資源Res1の修正された容量値を、資源Res1による配分された要素の処理のために要求される値702だけ減少させることによってなされる。
【0169】
そのため、資源Res1の修正された容量は、容量705、及び707の和に等しくなる。
【0170】
要素が配分されると、スプリッタSplは、時間期間が満了しているか否かを検査する。時間期間が満了していないとき、スプリッタSplは、修正された容量のそれぞれが所定値を下回っているか否かを検査する。少なくとも1つの容量が所定値を上回っているとき、スプリッタはステップS603に戻る。
【0171】
一群のデータのうち次の要素を資源によって処理する必要がある場合、S604において、スプリッタSplは、最大の修正された容量740を有する資源Res2を選択し、資源Res2にその要素を配分する。
【0172】
スプリッタSplは、資源Res2の修正された容量を求める。これは、資源Res2の修正された容量値を、資源Res2による配分された要素の処理のために要求される値703だけ減少させることによってなされる。
【0173】
そのため、資源Res2の修正された容量は、容量706及び708の和に等しくなる。
【0174】
要素が配分されると、スプリッタSplは、時間期間が満了しているか否かを検査する。時間期間が満了していないとき、スプリッタSplは、各修正された容量が所定値を下回っているか否かを検査する。少なくとも1つの容量が所定値を上回っているとき、スプリッタはステップS603に戻る。
【0175】
一群のデータのうち次の要素を資源によって処理する必要がある場合、S604において、スプリッタSplは、最大の修正された容量750を有する資源Res3を選択し、資源Res3にその要素を配分する。
【0176】
スプリッタSplは、資源Res3の修正された容量を求める。これは、資源Res3の修正された容量値を、資源Res3による配分された要素の処理のために要求される値704だけ減少させることによってなされる。
【0177】
そのため、資源Res3の修正された容量は、容量709に等しくなる。
【0178】
要素が配分されると、スプリッタSplは、時間期間が満了しているか否かを検査する。時間期間が満了していないとき、スプリッタSplは、修正された容量のそれぞれが所定値を下回っているか否かを検査する。少なくとも1つの容量が所定値を上回っているとき、スプリッタはステップS603に戻る。
【0179】
一群のデータのうち次の要素を資源によって処理する必要がある場合、S604において、スプリッタSplは、最大の修正された容量を有する資源Res1を選択し、資源Res1に要素を配分する。
【0180】
スプリッタSplは、資源Res1の修正された容量を求める。これは、資源Res1の修正された容量値を、資源Res1による配分された要素の処理のために要求される値705だけ減少させることによってなされる。
【0181】
そのため、資源Res1の修正された容量は、容量707に等しくなる。
【0182】
要素が配分されると、スプリッタSplは、時間期間が満了しているか否かを検査する。時間期間が満了していないとき、スプリッタSplは、修正された容量のそれぞれが所定値を下回っているか否かを検査する。少なくとも1つの容量が所定値を上回っているとき、スプリッタはステップS603に戻る。
【0183】
一群のデータのうち次の要素を資源によって処理する必要がある場合、S604において、スプリッタSplは、最大の修正された容量を有する資源Res2を選択し、資源Res2に要素を配分する。
【0184】
スプリッタSplは、資源Res2の修正された容量を求める。これは、資源Res2の修正された容量値を、資源Res2による配分された要素の処理のために要求される値706だけ減少させることによってなされる。
【0185】
そのため、資源Res2の修正された容量は、容量708に等しくなる。
【0186】
要素が配分されると、スプリッタSplは、時間期間が満了しているか否かを検査する。時間期間が満了しているとき、スプリッタSplはステップS600に戻る。
【0187】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した本発明の実施形態に多くの変更を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の資源のうちのいずれの資源に、一群の要素のうちの複数の要素を配分しなくてはならないかを決定する方法であって、
各資源は、或る時間期間内に前記一群の要素のうちの複数の要素を処理するための容量を有する
方法において、
前記方法は、
前記時間期間内に前記一群の要素のうちの複数の要素を処理するための最大の容量を有する前記資源に、前記一群の要素のうちの1つの要素を配分するステップと、
資源毎に、前記資源の前記容量及び前記資源に配分された要素に従って、修正された容量を求めるステップと、
前記一群の要素のうちの複数の要素を処理するための最大の修正された容量を有する前記資源に、前記一群の要素のうちの次の要素を配分するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記資源毎に前記修正された容量を求めるステップ、および
前記一群の要素のうちの複数の要素を処理するための最大の修正された容量を有する前記資源に、前記一群の要素のうちの次の要素を配分するステップは、
前記時間期間が満了していない限り反復して実行されるか、又は
前記修正された容量のそれぞれが所定値を下回っている限り反復して実行される
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一群の要素はデータフローであり、前記要素はデータパケットであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は第1の通信デバイスによって実行され、
前記データフローは、第2の通信デバイスに直接送出されるか、又は少なくとも1つの第3の通信デバイスを介して送出されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の通信デバイス及び前記少なくとも1つの第3の通信デバイスは、第1の基地局及び第2の基地局であり、
前記第2の通信デバイスは移動端末である
ことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記資源は、
前記第1の基地局と前記移動端末との間に確立される無線チャネルであるか、又は
前記第1の基地局と前記第2の基地局との間に確立されるネットワークチャネルである
ことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の基地局と前記移動端末との間に確立される各無線チャネルの前記容量は、前記第1の基地局が、前記無線チャネルを介して前記移動端末に転送することができるデータの最大スループットを表すことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第2の基地局毎に、前記第2の基地局と前記移動端末との間に無線チャネルが確立されることを特徴とし、かつ、
前記第1の基地局と、第2の基地局のそれぞれとの間に確立される、各ネットワークチャネルの前記容量は、前記第2の基地局が、前記第2の基地局と前記移動端末との間に確立される前記無線チャネルを介して前記移動端末に転送することができるデータの最大スループットを表すことを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の基地局と、第2の基地局のそれぞれとの間に確立される、各ネットワークチャネルの前記容量は、前記第1の基地局が、前記第1の基地局と各第2の基地局との間に確立される前記ネットワークチャネルを介して各第2の基地局に転送することができるデータの最大スループットを表すことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の通信デバイスは移動端末であることを特徴とし、かつ、
前記第2の通信デバイス及び前記少なくとも1つの第3の通信デバイスは、第1の基地局及び第2の基地局であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記資源は、
前記移動端末と前記第1の基地局との間に確立される無線チャネルであるか、又は
前記移動端末と前記第2の基地局との間に確立される無線チャネルである
ことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記移動端末と基地局との間に確立される各無線チャネルの前記容量は、前記移動端末が、前記移動端末と前記第2の基地局との間に確立される前記無線チャネルを介して前記第1の基地局に転送することができるデータの最大スループットを表すことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複数の資源のうちのいずれの資源に、一群の要素のうちの複数の要素を配分しなくてはならないかを決定する装置であって、
各資源は、或る時間期間内に前記一群の要素のうちの複数の要素を処理するための容量を有する
装置において、
前記装置は、
前記時間期間内に前記一群の要素のうちの複数の要素を処理するための最大の容量を有する前記資源に前記一群の要素のうちの1つの要素を配分する手段と、
資源毎に、前記資源の前記容量及び前記資源に配分された要素に従って、修正された容量を求める手段と、
前記一群の要素のうちの複数の要素を処理するための最大の修正された容量を有する前記資源に、前記一群の要素のうちの次の要素を配分する手段と、
を備えることを特徴とする、装置。
【請求項14】
プログラマブルデバイス内に直接ロード可能とすることができるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムがプログラマブルデバイス上で実行されると、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法のステップを実施するための命令又はコード部分を含む、コンピュータプログラム。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−260955(P2009−260955A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−72232(P2009−72232)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【Fターム(参考)】