説明

複数台モニタの色合わせ装置及び方法

【課題】複数台のモニタの色合わせを、簡便かつ精度良く行えるようにすること。
【解決手段】複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタがある場合、正しい色特性を持つモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ選択させる機能と、
複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタが無い場合、複数台のモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ作成させる機能と、
正しい色特性を持たないモニタに表示させた画像データの色と、基準モニタに表示させた画像データの色とを人の目で比較させることにより、正しい色特性を持たないモニタの色を、基準モニタの色に合わせる機能とを有することを特徴とする複数台モニタの色合わせ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台のモニタの色を合わせる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数台のプロジェクタで1つの画像を表示するマルチプロジェクションシステムや、大きな会場で様々な場所にモニタを設置する場合のように、複数台のモニタの色合わせをすることが必要となることがある。
【0003】
ところで、従来から、色調節対象のモニタに表示された画像データの色と、印刷物に印刷されている画像データの色とを人の目で比較することにより、このモニタの色を、印刷物の色に合わせる様々な技術が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0004】
理論上、これらの技術を用いて、各モニタの色を、印刷物の色に合わせれば、複数台のモニタの色を合せられる筈である。
【0005】
しかしながら、印刷物とモニタという異なるメディア間の色合わせになるため、現実には、色調整が難しく感じられ、また精度も良くない場合がある。
【特許文献1】特開2002−123236号公報
【特許文献2】特開2002−123236号公報
【特許文献3】特開2002−333874号公報
【特許文献4】特開2003−204440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は斯かる背景技術に鑑みてなされたもので、複数台のモニタの色合わせを、簡便かつ精度良く行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明において上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタがある場合、正しい色特性を持つモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ選択させる機能と、
複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタが無い場合、複数台のモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ作成させる機能と、
正しい色特性を持たないモニタに表示させた画像データの色と、基準モニタに表示させた画像データの色とを人の目で比較させることにより、正しい色特性を持たないモニタの色を、基準モニタの色に合わせる機能とを有することを特徴とする複数台モニタの色合わせ装置としたものである。
【0008】
また請求項2の発明では、複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタが無い場合、複数台のモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ作成させる前記機能が、
正しい色特性を持つモニタは、印刷物と同じ色を表示するものであるとして、正しい色特性を持たないモニタに表示させた画像データの色と、印刷物に印刷された画像データの
色とを人の目で比較させることにより、正しい色特性を持たないモニタの色を、印刷物の色に合わせる機能を有することを特徴とする請求項1に記載の複数台モニタの色合わせ装置としたものである。
【0009】
また請求項3の発明では、複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタが無い場合、複数台のモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ作成させる前記機能が、
正しい色特性を持つモニタは、ユーザの好む色を表示するものであるとして、正しい色特性を持たないモニタに表示させた画像データの色を、ユーザの好みの色に調整させる機能を有することを特徴とする請求項1に記載の複数台モニタの色合わせ装置としたものである。
【0010】
また請求項4の発明では、色合わせ装置が実行する方法であって、
複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタがある場合、正しい色特性を持つモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ選択させる工程と、
複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタが無い場合、複数台のモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ作成させる工程と、
正しい色特性を持つモニタは、印刷物と同じ色を表示するものであるとして、正しい色特性を持たないモニタに表示させた画像データの色と、基準モニタに表示させた画像データの色とを人の目で比較させることにより、正しい色特性を持たないモニタの色を、基準モニタの色に合わせる工程とを有することを特徴とする複数台モニタの色合わせ方法としたものである。
【0011】
また請求項5の発明では、複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタが無い場合、複数台のモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ作成させる前記工程が、
正しい色特性を持たないモニタに表示させた画像データの色と、印刷物に印刷された画像データの色とを人の目で比較させることにより、正しい色特性を持たないモニタの色を、印刷物の色に合わせる工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の複数台モニタの色合わせ方法としたものである。
【0012】
また請求項6の発明では、複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタが無い場合、複数台のモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ作成させる前記工程が、
正しい色特性を持つモニタは、ユーザの好む色を表示するものであるとして、正しい色特性を持たないモニタに表示させた画像データの色を、ユーザの好みの色に調整させる工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の複数台モニタの色合わせ方法としたものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1及び3の発明は、同じモニタというメディア間での色合わせになるために、印刷物とモニタという異なるメディア間での色合わせと比較して、複数台のモニタの色合わせが、容易かつ精度良く行えるという効果がある。
【0014】
請求項2及び4の発明は、複数台のモニタの中の1台だけ、その色を、印刷物の色に合わせれば、他の全てのモニタの色を、容易かつ精度良く、印刷物の色に合わせられるという効果がある。また印刷物は、大量に配布することが容易なので、異なる色合わせ装置で色合わせが行われる各モニタの色を、全て、印刷物の色に合せることが容易かつ精度良くに行えるという効果もある。
【0015】
請求項3及び5の発明は、複数台のモニタの中の1台だけ、その色を、ユーザの好みの色に合わせれば、他の全てのモニタの色を、容易かつ精度良く、ユーザの好みの色に合わせられるという効果がある。
【0016】
以上、本発明は、複数台のモニタの色合わせを、簡便かつ精度良く行えるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の最良の一実施形態を説明する。
【0018】
本実施形態では、色調整対象のモニタに表示された画像データの色と、印刷物に印刷されている画像データの色とを人の目で比較することにより、色調節対象のモニタの色を、印刷物の色に合わせる任意の公知の技術を応用する。但し、印刷物の代わりに、正しい色特性を持つモニタを基準モニタとして用い、印刷物に印刷される画像データを、基準モニタに表示させ、色調整対象のモニタに表示された画像データの色と、基準モニタに表示させた画像データの色とを人の目で比較することにより、色調節対象のモニタの色を、基準モニタに合わせる。
【0019】
正しい色特性は、任意に定めて良い。例えば、後述する例のように、印刷物と同じ色を表示させるものであっても良いし、ユーザの好む色を表示させるものであっても良い。
【0020】
以下に、複数台のモニタの色を合せる手順の例を、図1のフローチャートに従って、説明する。
【0021】
S(STEP)1;
正しい色特性を持たないモニタがあるならば、STEP2に進み、
全てのモニタが、正しい色特性を持つならば、ENDに進む。
【0022】
S(STEP)2;
正しい色特性を持つモニタが、1つも無いならば、STEP3に進み、
正しい色特性を持つモニタが、1つ以上あるならば、STEP4に進む。
【0023】
S(STEP)3;
モニタを1つ選択して、選択した1つのモニタを、後述するような方法で、正しい色特性にし、正しい色特性にしたモニタを、基準モニタとする。その後、STEP5に進む。
【0024】
S(STEP)4;
正しい特性を持つモニタを、1つ選択して、基準モニタとする。
【0025】
S(STEP)5;
正しい特性を持たないモニタを、1つ選択して、色調整対象のモニタとする。
【0026】
S(STEP)6;
色調整対象のモニタに表示された画像データの色と、基準モニタに表示させた画像データの色とを人の目で比較することにより、色調節対象のモニタの色を、基準モニタに合わせる。その後、STEP1に戻る。
【0027】
以下に、正しい色特性を持つモニタが1つも無いときに、1つのモニタを選択して、選択した1つのモニタを、正しい色特性を持つモニタにする方法の例を、2つ挙げる。
【0028】
第1の例では、色調整対象のモニタに表示された画像データの色と、印刷物に印刷されている画像データの色とを人の目で比較することにより、色調節対象のモニタの色を、印刷物の色に合わせる任意の公知の技術を、選択した1つのモニタに適用して、選択した1つのモニタを、印刷物の色に合わせる。この例では、正しい色特性を持つモニタとは、印刷物と同じ色を表示するモニタのことである。
【0029】
第2の例では、選択した1つのモニタで、何か画像データを表示し、ユーザが好む色を表示するように、このモニタの色を調整する。この例では、正しい色特性を持つモニタとは、ユーザの好む色を表示するモニタのことである。ここで使用する画像データは、ユーザが持っている画像データであっても良い。ここでの具体的な色調整方法は、表示するRGB値をそれぞれR値、G値、B値に対して大きさを変更することにより、表示するモニタの色を変更する。例えば、全体的に「赤く」「青く」というように変更を行う。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】複数台のモニタの色を合せる手順の例を示すフローチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタがある場合、正しい色特性を持つモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ選択させる機能と、
複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタが無い場合、複数台のモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ作成させる機能と、
正しい色特性を持たないモニタに表示させた画像データの色と、基準モニタに表示させた画像データの色とを人の目で比較させることにより、正しい色特性を持たないモニタの色を、基準モニタの色に合わせる機能とを有することを特徴とする複数台モニタの色合わせ装置。
【請求項2】
複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタが無い場合、複数台のモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ作成させる前記機能が、
正しい色特性を持つモニタは、印刷物と同じ色を表示するものであるとして、正しい色特性を持たないモニタに表示させた画像データの色と、印刷物に印刷された画像データの色とを人の目で比較させることにより、正しい色特性を持たないモニタの色を、印刷物の色に合わせる機能を有することを特徴とする請求項1に記載の複数台モニタの色合わせ装置。
【請求項3】
複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタが無い場合、複数台のモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ作成させる前記機能が、
正しい色特性を持つモニタは、ユーザの好む色を表示するものであるとして、正しい色特性を持たないモニタに表示させた画像データの色を、ユーザの好みの色に調整させる機能を有することを特徴とする請求項1に記載の複数台モニタの色合わせ装置。
【請求項4】
色合わせ装置が実行する方法であって、
複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタがある場合、正しい色特性を持つモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ選択させる工程と、
複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタが無い場合、複数台のモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ作成させる工程と、
正しい色特性を持たないモニタに表示させた画像データの色と、基準モニタに表示させた画像データの色とを人の目で比較させることにより、正しい色特性を持たないモニタの色を、基準モニタの色に合わせる工程とを有することを特徴とする複数台モニタの色合わせ方法。
【請求項5】
複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタが無い場合、複数台のモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ作成させる前記工程が、
正しい色特性を持つモニタは、印刷物と同じ色を表示するものであるとして、正しい色特性を持たないモニタに表示させた画像データの色と、印刷物に印刷された画像データの色とを人の目で比較させることにより、正しい色特性を持たないモニタの色を、印刷物の色に合わせる工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の複数台モニタの色合わせ方法。
【請求項6】
複数台のモニタの中に、正しい色特性を持つモニタが無い場合、複数台のモニタの中から、基準モニタとして、正しい色特性を持つモニタを1つ作成させる前記工程が、
正しい色特性を持つモニタは、ユーザの好む色を表示するものであるとして、正しい色特性を持たないモニタに表示させた画像データの色を、ユーザの好みの色に調整させる工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の複数台モニタの色合わせ方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−80948(P2006−80948A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263513(P2004−263513)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】