説明

複数物品包装体及び複数物品包装用ラベル

【課題】物品の抜け落ちを従来に比して確実に防止できる複数物品包装体及び複数物品包装用ラベルを提供する。
【解決手段】複数の物品1,2が複数物品包装用ラベル5で結束包装された複数物品包装体であって、複数物品包装用ラベル5は、別個の熱収縮性フィルムから各々筒状に形成された複数の筒状ラベル51,52を備え、該複数の筒状ラベル51,52は、所定の筒状ラベル52の下端縁52bがその隣の筒状ラベル51の下端縁51bに対して下方に位置ずれするようにして、外周面で接合一体化され、該複数物品包装用ラベル5の筒状ラベル51,52がそれぞれ物品1,2に外嵌装着されて、前記所定の筒状ラベル52の下端部52cは熱収縮により物品2の下面2bに巻き込んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品が熱収縮性フィルムからなる筒状ラベルで結束された複数物品包装体、及び、その複数物品包装用ラベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の複数物品包装体としては、下記特許文献1、2のように、一枚の熱収縮性フィルムから筒状部を横並びに二つ形成し、該二つの筒状部にそれぞれ物品を包装することによって複数の物品を結束して包装したものが公知である。
【0003】
該複数物品包装体におけるシュリンクラベルは、一枚の熱収縮性フィルムから二つの筒状部を形成したものであるため、各筒状部は何れも物品の側面(周面)に装着されることになる。下記特許文献1には筒状部の軸線方向の端部が物品の側面から端面に折れ曲がるように巻き込んでいる状態が図示されているが、実際には端部をスムーズに収縮させることは困難である。即ち、二つの筒状部はそれぞれ径方向内側に収縮しようとするため、筒状部同士の境界部分においては一方の筒状部の熱収縮が他方の筒状部の熱収縮の妨げとなり、特に軸線方向の両端において顕著である。従って、筒状部の軸線方向の端部を物品の端面に巻き込ませようとしても、筒状部同士の境界部分においては互いの熱収縮の方向が逆向きとなるために物品の端面に巻き込ませることができない。即ち、従来の複数物品包装体のシュリンクラベルは事実上物品の側面のみに装着されるものであるため、物品の側面の凹凸形状等のみによってラベルの位置ずれや物品の抜け落ちを防ぐ必要があり、より一層確実に物品の抜け落ちを防止できる手法が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−8560号公報
【特許文献2】特開平11−208716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、物品の抜け落ちを従来に比して確実に防止できる複数物品包装体及び複数物品包装用ラベルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係る複数物品包装体は、複数の物品が複数物品包装用ラベルで結束包装された複数物品包装体であって、複数物品包装用ラベルは、別個の熱収縮性フィルムから各々筒状に形成された複数の筒状ラベルを、所定の筒状ラベルの下端縁が該筒状ラベルと隣接する筒状ラベルの下端縁に対して下方に位置ずれするようにして、外周面で接合一体化させて形成され、該複数物品包装用ラベルの筒状ラベルを複数の物品にそれぞれ外嵌装着して熱収縮させることにより、前記所定の筒状ラベルの下端部が物品の下面に巻き込んでいることを特徴とする。
【0007】
該複数物品包装体にあっては、所定の筒状ラベルの下端縁がその隣に位置する筒状ラベルの下端縁に対して下方に位置ずれしていて、その所定の筒状ラベルの下端部が隣の筒状ラベルよりも下方に突出している。従って、所定の筒状ラベルの下端部は、隣の筒状ラベルの下端部の熱収縮には影響を受けることなく、フリーな状態で熱収縮することができ、スムーズに物品の下面に巻き込んだ状態となる。所定の筒状ラベルの下端部が物品の下面に巻き込んでいてストッパとして機能するので、その物品の下方への抜け落ちが防止できる。
【0008】
また、複数の筒状ラベルがそれぞれ別個の熱収縮性フィルムから筒状に形成されて外周面において接合一体化されているので、筒状ラベル同士の接合位置を軸線方向に容易に調整できる。従って、所定の筒状ラベルの下端部が物品の下面に巻き込む量も任意に設定できる。
【0009】
また、本発明に係る複数物品包装用ラベルは、複数の物品を結束包装するための複数物品包装用ラベルであって、各物品に外嵌装着されるべく別個の熱収縮性フィルムから各々筒状に形成された複数の筒状ラベルを備え、該複数の筒状ラベルは、所定の筒状ラベルの下端縁がその隣の筒状ラベルの下端縁に対して下方に位置ずれするようにして、外周面で接合一体化されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明に係る複数物品包装体及び複数物品包装用ラベルにあっては、所定の筒状ラベルの下端部がストッパとなって物品の抜け落ちを防止するので、物品の側面形状のみによってラベルの位置ずれを防止する従来構造に比して抜け落ちをより一層確実に防止することができ、結束包装のバリエーションを広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態における複数物品包装体を示す正面図。
【図2】同実施形態における複数物品包装体に使用されている複数物品包装用ラベルを示す正面図。
【図3】同実施形態における複数物品包装体に使用されている複数物品包装用ラベルを示す断面図であって、(a)は収縮前の扁平状態を示し、(b)は製造過程の状態を示す。
【図4】同実施形態における複数物品包装体に使用されている複数物品包装用ラベルの別形態のものを示す断面図であって、(a)は収縮前の扁平状態を示し、(b)は製造過程の状態を示す。
【図5】本発明の他の実施形態における複数物品包装用ラベルを示す正面図。
【図6】本発明の他の実施形態における複数物品包装用ラベルを示す正面図。
【図7】本発明の他の実施形態における複数物品包装用ラベルを示す正面図。
【図8】同実施形態における複数物品包装体に使用されている複数物品包装用ラベルを示す断面図。
【図9】同実施形態における複数物品包装体に使用されている複数物品包装用ラベルの別形態のものを示す断面図。
【図10】本発明の他の実施形態における複数物品包装体の被包装物を示す斜視図。
【図11】同実施形態における複数物品包装体を示す正面図。
【図12】同実施形態における複数物品包装体を示す背面図。
【図13】本発明の他の実施形態における複数物品包装体の被包装物を示す斜視図。
【図14】同実施形態における複数物品包装体を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る複数物品包装体及びそれに使用されている複数物品包装用ラベルについて、図1〜図4を参酌しつつ説明する。
【0013】
図1に示す複数物品包装体は、被包装物(結束対象物)である第1及び第2の物品1,2に複数物品包装用ラベル5が装着され、該複数物品包装用ラベル5によって両物品1,2が結束包装されたものである。
【0014】
第1及び第2の物品1,2の種類や大きさ、形状等は任意であるが、図1では第1の物品1が第2の物品2よりも大きい、即ち、背が高いものを示している。具体的には、第1の物品1は、径略一定の筒状の容器であって、有底筒状の容器本体11と、該容器本体11と略同一径であって容器本体11の上側に着脱可能に装着された筒状のキャップ12とを備えている。また、第2の物品2も筒状の容器であり、第1の物品1の下面1bと第2の物品2の下面2bは略同一高さであって両物品1,2は軸線が互いに平行となるように並設されている。
【0015】
また、複数物品包装用ラベル5は、第1の物品1に外嵌装着された第1の筒状ラベル51と、第2の物品2に外嵌装着された第2の筒状ラベル52とを備えていて、両筒状ラベル51,52は外周面において接合されたものである。第1の筒状ラベル51は第1の物品1をその全長に亘って覆っている。詳細には、第1の筒状ラベル51の上端縁51aと下端縁51bはそれぞれ第1の物品1の上面1a(キャップ12の上面)と下面1b(容器本体11の下面)に略面一となる高さである。従って、第1の筒状ラベル51は、第1の物品1の側面1cの略全領域を覆っており、第1の物品1の上面1a及び下面1bは覆っていない。尚、第1の筒状ラベル51は容器本体11とキャップ12の境界部13を上下に跨ぐようにして第1の物品1に装着されているので、第1の物品1についてタンパーエビデント性が確保されている。
【0016】
一方、第2の筒状ラベル52は第2の物品2の全長を覆っておらず、第2の物品2の側面2cの上部は露出している。詳細には、第2の筒状ラベル52の上端縁52aは、第2の物品2の上面2aよりも低い位置にある。そして、第2の筒状ラベル52の下端縁52bは、第2の物品2の側面2cではなく下面2bに位置している。即ち、第2の筒状ラベル52の下端部52cは第2の物品2の側面2cから径方向内側に折れ曲がって第2の物品2の下面2bに巻き込まれた状態にあり、第2の筒状ラベル52の下端部52cによって第2の物品2の下面2bの周縁部が全周に亘って覆われている。尚、図1では、第1及び第2の筒状ラベル51,52を第1及び第2の物品1,2から所定量離間したように誇張して図示しているが、実際には密着した状態にあり、従って、第1の物品1の下面1bと第2の筒状ラベル52の下端部52cは第2の筒状ラベル52の厚さ分の高さ差しかない。
【0017】
かかる複数物品包装用ラベル5の装着前の状態について説明すると、図2に示すように、複数物品包装用ラベル5は、第1の筒状ラベル51と、該第1の筒状ラベル51よりも軸線方向の長さが短い第2の筒状ラベル52とを備えている。該第1及び第2の筒状ラベル51,52は、それぞれ別個の熱収縮性フィルムから筒状に形成されたものであって、第1の筒状ラベル51と第2の筒状ラベル52とが互いの外周面において接合されて一体化されている。詳細には、第1及び第2の筒状ラベル51,52は、軸線方向が平行となるように並列状態に揃えられて接合部分55において例えば接着剤により接合一体化されている。その接合の際に、第2の筒状ラベル52の下端縁52bが第1の筒状ラベル51の下端縁51bよりも軸線方向に位置ずれして下方に位置するように設定される。図2において第2の物品2の下面2bの高さを二点鎖線で示しているが、この第2の物品2の下面2bに対応した位置から下方に突出した下方突出部分が、熱収縮によって第2の物品2の下面2bに巻き込まれた状態となる下端部52cである。尚、この下方突出部分の突出量は任意であって突出量を大きくすれば第2の物品2の下面2bを覆う領域も中心に向けて大きくなり、下面2bの略全体を覆うようにすることも可能である。
【0018】
第1の筒状ラベル51と第2の筒状ラベル52との間の接合部分55は、両筒状ラベル51,52の軸線方向に沿って所定幅にて形成され、その幅は例えば10mm程度である。該接合部分55は、両筒状ラベル51,52の外周面が重なり合った領域の全長に亘って形成されている。即ち、接合部分55は、第2の筒状ラベル52の上端縁52aから第1の筒状ラベル51の下端縁51bの間の全長に亘っている。尚、接着剤には例えば反応性ホットメルト(周囲の湿気で硬化していくタイプのホットメルト)等の種々のものを使用できる。但し、接着剤を使用しない他の方法(例えば両面テープ等)によって接合してもよい。
【0019】
また、第1及び第2の筒状ラベル51,52は、それぞれ熱収縮性フィルムから別々に筒状に形成されたものであり、図3のように両筒状ラベル51,52には熱収縮性フィルムの両端部同士を内外に重ね合わせられて接着された重ね合わせ部61,62(センターシール部)が軸線方向に沿ってそれぞれ形成されている。尚、重ね合わせ部61,62における接着は、有機溶媒を用いた接着の他、熱溶着や超音波溶着、静電による接着等、種々の手段による。また、重ね合わせ部61,62は、例えば、重ね合わせの全幅が2〜10mm程度で、そのうち接着されている接着幅が1〜5mm程度である。そして、第1及び第2の筒状ラベル51,52はそれぞれの重ね合わせ部61,62において接合されている。尚、図3(a)においては重ね合わせ部61,62と接合部分55とが同幅である場合を示しているが、一般的には重ね合わせ部61,62より接合部分55が幅広となる。重ね合わせ部61,62より接合部分55が幅広となる場合には、接合部分55の接着剤によって重ね合わせ部61,62における接着状態が補強されるので、フィルムの重ね合わせ状態がより一層強固なものとなる。
【0020】
また、一般に筒状に形成されたラベルは扁平状態で保管されることが多い。従って、その両側縁部にはそれぞれ折り目(折り癖)がつく。図3に示すように第1及び第2の筒状ラベル51,52の両側縁部にもそれぞれ折り目54が形成されているが、上述の重ね合わせ部61,62は扁平状態においてその幅方向の中央には位置せずに左右何れかに位置ずれしている。
【0021】
そして、図3のように、第1及び第2の筒状ラベル51,52においてそれぞれ重ね合わせ部61,62から遠い方の折り目54同士が同じ側に位置し、同様に重ね合わせ部61,62から近い方の折り目54同士が同じ側に位置するようにして、両重ね合わせ部61,62同士が向かい合わせられて接合されている。即ち、第1及び第2の筒状ラベル51,52においてそれぞれ重ね合わせ部61,62から遠い方の折り目54が接合部分55を基準にして左右同じ側に位置し、同様に、近い方の折り目54も接合部分55を基準にして左右同じ側に位置している。
【0022】
尚、近い側の折り目54同士と遠い側の折り目54同士が、それぞれ同じ側に位置するのではなく、図4のように、接合部分55を基準にして左右反対側に位置するようにしてもよい。但し、図4の場合は、図3の場合に比べると、ラベル全体の幅が大きくなるので、図3のように近い側の折り目54同士と遠い側の折り目54同士がそれぞれ同じ側に位置するように接合一体化することが好ましい。特に、図3のように、幅寸法の小さい方の筒状ラベル(図3では第2の筒状ラベル52)が、幅寸法の大きい方の筒状ラベル(図3では第1の筒状ラベル51)に対して側方に突出せずにその幅寸法内に収まるようにすることが製造管理上好ましい。
【0023】
尚、第1及び第2の筒状ラベル51,52を構成する熱収縮性フィルムには種々のものを使用することができ、例えば一方向(周方向)の熱収縮率が90℃で30%以上(90℃の温水中に10秒間浸漬)のポリエステル系樹脂やポリスチレン系樹脂等からなる厚さ20〜80μmのものを使用でき、その内面側には商品名や成分表示、デザイン等の印刷がグラビア印刷等により設けられている。第1及び第2の筒状ラベル51,52を構成する熱収縮性フィルムは互いに同種のものでも異種のものでもよく、例えば、互いに、熱収縮率や厚さ、材質、層構造等を物品の形状や大きさ、使用目的等に応じて異なるものとすることができる。
【0024】
また、複数物品包装用ラベル5の製法としては、例えば、図3(b)のように、扁平に折り畳まれた状態の第1の筒状ラベル51と第2の筒状ラベル52をそれぞれ多数枚準備して、図3(b)のように枚葉タイプの第1の筒状ラベル51と第2の筒状ラベル52を一枚ずつ貼り合わせて複数物品包装用ラベル5を製造する。これら枚葉タイプの筒状ラベルは、例えば、長尺状の熱収縮フィルムの両側縁部同士を貼り合わせて筒状にしたものを折り畳んで一旦ロール状に巻回し、その後、ロール状にしたものを繰り出しながら所定長さ毎にカットして製造するか、あるいは、ロール状に巻回せずに筒状にした後に連続して扁平に折り畳みながら所定長さ毎にカットして製造することができる。尚、ロール状に巻回された長尺状の第1の筒状ラベル51を繰り出しつつ、予め所定長さにカットしておいた枚葉タイプの第2の筒状ラベル52を第1の筒状ラベル51に接着剤で順次貼り付けていき、しかる後に、第1の筒状ラベル51を所定長さにカットして複数物品包装用ラベル5を製造することもできる。
【0025】
以上のような構成の複数物品包装体にあっては、第1及び第2の筒状ラベル51,52が熱収縮性フィルムから各々筒状に形成されているので、それぞれの長さを任意のものとすることが容易にできて、両者の表示面積に差をつけることができる。特に、第1の筒状ラベル51が第2の筒状ラベル52よりも長いので、第1の筒状ラベル51の表示面積を従来に比して大幅に拡大することができる。しかも、第1の物品1に対して第1の筒状ラベル51の長さ、被覆領域を十分に確保することができるので、外観体裁も良好なものとなるうえに、両物品1,2を安定して結束包装することができる。背の高い第1の物品1に軸線方向の長さの長い第1の筒状ラベル51を装着し、背の低い第2の物品2に軸線方向の長さの短い第2の筒状ラベル52を装着したが、逆に、背の高い第1の物品1に軸線方向の長さの短い第2の筒状ラベル52を装着し、背の低い第2の物品2に軸線方向の長さの長い第1の筒状ラベル51を装着するようにしてもよい。
【0026】
また、第1の物品1における容器本体11とキャップ12の境界部13が第2の物品2の上面2aより高くても、第1の筒状ラベル51が第2の筒状ラベル52よりも長いので、その境界部13を第1の筒状ラベル51で覆うことによって第1の物品1に容易にタンパーエビデント機能を付与することができる。
【0027】
更に、従来の一枚の熱収縮性フィルムから構成されたラベルの場合には接合部分がヒンジ状になって物品が接合部分を支点として左右にぐらつくということがあったが、本実施形態の場合には第1及び第2の筒状ラベル51,52を外周面において接合させているので、接合部分55がヒンジ状になりにくく、物品1,2が安定するという利点がある。特に、接合部分55が約10mm程度という所定幅の帯状であるので、結束した物品の安定性に優れている。
【0028】
また更に、第2の筒状ラベル52の下端部52cが熱収縮によって第2の物品2の下面2bに巻き込まれた状態にあるので、該下端部52cがストッパとして機能して、第2の物品2の下方への抜け落ちを確実に防止する。一般に包装される物品の側面には凹凸形状があってそれによって筒状ラベルの位置ずれが防止されることになるが、上述したように第2の筒状ラベル52の下端部52cを第2の物品2の下面2bに折れ曲がるようにして巻き込ませることで、側面2cによる位置ずれに加えて更に下端部2cのストッパ機能が作用するので、より一層確実な落下防止効果が得られるのである。
【0029】
また、第1及び第2の筒状ラベル51,52が重ね合わせ部61,62において接合されているので、重ね合わせ部61,62が目立ちにくくなり、重ね合わせ部61,62ではない他の部分において接合されている場合に比して良好な外観が得られる。また、接合部分55における強度も重ね合わせ部61,62によって十分に確保することができ、確実な結束状態が得られる。
【0030】
しかも、第1及び第2の筒状ラベル51,52の重ね合わせ部61,62が何れも扁平状態において第1又は第2の筒状ラベル52の幅方向の中央に位置せずに一方の折り目54側に偏心して位置しているので、拡開されて装着された際に、折り目54が第1及び第2の筒状ラベル51,52の正面中央と背面中央には位置せずに側方に位置ずれする。従って、包装状態において折り目54が目立ちにくくなるという利点がある。
【0031】
尚、製造段階では、図3(b)や図4(b)のように両筒状ラベル51,52同士を扁平状態で接合するので、容易に且つ確実に接合することができる。特に、図3のように、幅寸法の大きい方の筒状ラベル(図3では第1の筒状ラベル51)を載置した状態として、それに対して幅寸法の小さい筒状ラベル(図3では第2の筒状ラベル52)を上方から接合することが好ましく、幅寸法の小さい方の筒状ラベルが幅寸法の大きい方の筒状ラベルから側方に突出しないので、安定して接合することができる。
【0032】
尚、本実施形態では、軸線方向の長さが短い第2の筒状ラベル52の下端縁52bを軸線方向の長さが長い第1の筒状ラベル51の下端縁51bよりも下方に位置ずれした場合について説明したが、逆に、図5のように、軸線方向の長さが長い第1の筒状ラベル51の下端縁51bを軸線方向の長さが短い第2の筒状ラベル52の下端縁52bよりも下方に位置ずれさせてもよい。図5において、第1の物品1の下面1bの高さを二点鎖線で示しているが、この第1の物品1の下面1bに対応した位置から下方に突出した下方突出部分が、熱収縮によって第1の物品1の下面1bに巻き込まれた状態となる下端部51cである。尚、図5の場合においても、第1の筒状ラベル51と第2の筒状ラベル52との間の接合部分55は、両筒状ラベル51,52の外周面が重なり合った領域の全長に亘って形成されている。この場合、第2の筒状ラベル52はその全長に亘って第1の筒状ラベル51の外周面に接着されており、従って、接合部分55は、第2の筒状ラベル52の上端縁52aから下端縁51bまでの第2の筒状ラベル52の全長に亘っている。
【0033】
また上記実施形態では、両筒状ラベル51,52の軸線方向の長さが異なっている場合について説明したが、両筒状ラベル51,52の軸線方向の長さが同じである場合にも適用可能である。例えば、図6に示すように、軸線方向の長さが等しい二つの筒状ラベル51,52を並設すると共にその一方(例えば第2の筒状ラベル52)を他方(例えば第1の筒状ラベル51)よりも軸線方向下方に所定量位置ずれして接合してもよい。図6の場合には、第1の筒状ラベル51の下端縁51bよりも下方に突出した部分、即ち、二点鎖線で示す第2の物品2の下面2bの位置から下方に突出した第2の筒状ラベル52の部分(下方突出部分)が、熱収縮によって第2の物品2の下面2bに巻き込まれた状態となる下端部52cである。
【0034】
尚、接合部分55の形状や長さについても任意であって、両筒状ラベル51,52の外周面が重なり合った領域の全長に亘って接合部分55を形成しなくても構わない。例えば、例えば図6に示すように、両筒状ラベル51,52の外周面が重なり合った領域のうち中央部分のみを接合し、重なり合った領域の上下両端部を接合しないようにしてもよい。このようにすると、第2の筒状ラベル52の上端部が第1の筒状ラベル51の熱収縮の影響を受けずにフリーな状態で熱収縮できる。従って、第2の筒状ラベル52の上端部が第2の物品2の側面2cに確実に密着したり、あるいはまた、第2の筒状ラベル52の上端部が第2の物品2の上面2aの位置から上方に突出する態様ではその上面2aにスムーズに巻き込むこととなる。同様に、第1の筒状ラベル51の下端部も第2の筒状ラベル52の熱収縮の影響を受けずにフリーな状態で熱収縮できる。従って、第1の筒状ラベル51の下端部が第1の物品1の側面2cに確実に密着できる。このように両筒状ラベル51,52の外周面が重なり合った領域の全長に亘って接合部分55を形成しないようにすることは、図2等に示した両筒状ラベル51,52の軸線方向の長さが異なる場合にも適用可能である。
【0035】
また、上記実施形態では、二つの物品を結束包装する場合について説明したが、三つ以上の物品を結束包装する場合にも適用可能である。例えば、図7に示す複数物品包装用ラベル5は、三つの物品を結束包装するためのものであって、第1乃至第3の筒状ラベル51,52,53を備えている。該三つの筒状ラベル51,52,53は軸線方向が互いに平行であって横一列に並設されており、第1の筒状ラベル51の両側に第2の筒状ラベル52と第3の筒状ラベル53が接合部分55によって接合されている。そして、第1の筒状ラベル51の下端縁51bに対して、第2及び第3の筒状ラベル52,53の下端縁52b,53bが共に下方に位置ずれしている。二点鎖線で示す第2の物品2の下面2bの位置から下方に突出した第2の筒状ラベル52の部分(下方突出部分)が、熱収縮によって第2の物品2の下面2bに巻き込まれた状態となる下端部52cであり、同様に、二点鎖線で示す第3の物品の下面3bの位置から下方に突出した第3の筒状ラベル53の部分(下方突出部分)が、熱収縮によって第3の物品の下面3bに巻き込まれた状態となる下端部53cである。この二つの下方突出部分の突出量を等しくしてもよいが、図7のように何れか一方の突出量を大きくしてもよい。また、図7では、第2の筒状ラベル52の上端縁52aと第3の筒状ラベル53の上端縁53aが同じ高さに位置しているが、高さを異なるようにしてもよい。また、三つの筒状ラベル51,52,53の上端縁51a,52a,53aの高さを揃えるようにしてもよい。
【0036】
この複数物品包装用ラベル5は、装着前の状態において図8のように扁平状態であるが、第3の筒状ラベル53の重ね合わせ部63を第1の筒状ラベル51の外周面に接着剤によって接着している。この第3の筒状ラベル53も同様に重ね合わせ部63が幅方向の中央に位置しないように扁平に折り畳まれている。尚、図8に示す場合も図3に示したのと同様に、第3の筒状ラベル53が第1の筒状ラベル51に対して側方に突出せずにその幅寸法内に収まるようにすることが好ましいが、図9のように、第3の筒状ラベル53が第1の筒状ラベル51に対して側方に所定量突出するように接合してもよい。
【0037】
尚、図7では、三つの筒状ラベル51,52,53のうち二つの筒状ラベル51,53の下端縁51b,53bを下方に突出させているが、一つのみ突出させるようにしてもよい。無論、第1の筒状ラベル51の下端縁51bのみを突出させてもよい。このように三つ以上の筒状ラベルを備えた複数物品包装用ラベルにおいては、そのうちの一つの筒状ラベルの下端縁のみを下方に位置ずれさせて突出させるようにしても、また、そのうちの二つ以上の筒状ラベルの下端縁をその隣の筒状ラベルの下端に対して下方に位置ずれさせて物品の下面に巻き込ませるようにしてもよい。
【0038】
更に、図1では、軸線方向の長さが相対的に長い第1の筒状ラベル51を背の高い第1の物品1に装着し、軸線方向の長さが相対的に短い第2の筒状ラベル52を背の低い第2の物品2に装着したが、組み合わせを逆にしてもよい。三つ以上の物品の場合も同様である。
【0039】
また、複数の物品の大きさが同じであっても適用可能である。物品はパウチ(ソフトパウチ)であってもよい。
【0040】
更に、複数の物品のうちの一つを、他の物品を説明するための表示部を備えた台紙としてもよい。例えば、第2の物品を容器等の製品とし、第1の物品を、第2の物品を説明するための表示部を備えた台紙としてもよい。逆に、第2の物品を台紙としてもよい。
【0041】
物品を台紙とする場合には、その台紙を二つ折り以上の折り回数で折り畳まれたものとすることができる。例えば、図10のように二つ折りの台紙1を第1の物品とすることができる。該台紙1は、縦方向の折り返し線で二つ折りにされた横開きタイプのものであって、二つ折り状態における両側縁部には、くびれ部15がそれぞれ形成されている。くびれ部15の位置は任意であるが、図11のように下側半分領域等の下部に設けることが好ましい。そして、この第1の物品としての台紙1と第2の物品としての容器2を、外周面における接合部分55で接合一体化された第1及び第2の筒状ラベル51,52で同時包装する。図11の形態においては、第1の筒状ラベル51が第2の筒状ラベル52よりも軸線方向の長さが長い。また、第2の筒状ラベル52の下端縁52bが第1の筒状ラベル51の下端縁51bよりも下方に位置ずれして接合一体化されている。そして、第2の筒状ラベル52の下端部52cは熱収縮によって容器2の下端面2bに折れ曲がるようにして巻き込まれている。また、容器2は蓋付きであって、容器本体21の上側にキャップ22が着脱可能に装着されており、第2の筒状ラベル52は容器本体21とキャップ22との境界部23を上下に跨ぐようにして装着されている。一方、二つ折りの台紙1は第1の筒状ラベル51で包装されてその開きが阻止されている。第1の筒状ラベル51はくびれ部15に装着されており、従って、第1の筒状ラベル51から台紙1が上下に位置ずれしたり抜け落ちたりすることが防止される。図12のように第1の筒状ラベル51には包装状態において背面となる部分に開封用のミシン目70が形成されており、該ミシン目70によって第1の筒状ラベル51を切断して開封することができ、それによって台紙1を開くことができる。二つ折りの台紙1であるので大きな表示面積を確保することができ、多言語表示にも十分に対応することができる。尚、第2の筒状ラベル52にも開封用のミシン目71が形成されており、該ミシン目71で第2の筒状ラベル52を切断することで容器2から第2の筒状ラベル52を容易に外すことができる。尚、開封後に台紙1を説明書として保管してもよい。台紙1には接着剤が付着していないので保管に適している。また、台紙1にシュリンクラベルを接着した台紙付きのラベルとは異なり、台紙1を容易に変更することができるので多品種小ロット生産に適している。
【0042】
尚、図13のように縦開きタイプの台紙1としてもよい。該台紙1は、横方向に沿った上縁部1dを折り返し線として二つ折りにされたものであり、二つ折り状態において両側縁部の下部には切欠部16がそれぞれ形成されている。図14はその台紙1を用いた複数物品包装体であって、該台紙1を第1の筒状ラベル51で開かないように包装し、第2の筒状ラベル52で容器2を包装している。第1の筒状ラベル51は、その下端が開口している一方、その上端は開口しておらず閉塞している。具体的には、第1の筒状ラベル51の上端縁51aは溶断シールにより形成された溶断シール部である。該第1の筒状ラベル51が台紙1の上側から被せられ、熱収縮により台紙1に装着されて台紙1の全体が覆われている。台紙1には切欠部16が形成されているので、該切欠部16によって第1の筒状ラベル51と台紙1の相対的な位置ずれが防止される。尚、第1の筒状ラベル51の下端部51cは台紙1の下方には回り込んでいないが、回り込むようにすることもできる。図14においても、第2の筒状ラベル52の下端縁52bは第1の筒状ラベル51の下端縁51bよりも下方に位置ずれして接合一体化されており、その第2の筒状ラベル52の下端部52cは熱収縮によって容器2の下端面2bに折れ曲がるようにして巻き込まれている。
【0043】
尚、二つ折り以上に折り畳まれた台紙1の内面を更に親展葉書のように剥離可能に接着してもよい。但し、台紙1の内面を剥離可能に接着しなくても、第1の筒状ラベル51を装着することによって台紙1の開きが阻止できるので、コスト面を考慮する場合には内面を剥離可能に接着しない方がよい。
【0044】
また、第1の筒状ラベル51や第2の筒状ラベル52の内面に接着剤を部分的に塗布して第1の物品や第2の物品の抜け落ちや位置ずれを防止してもよい。
【0045】
尚、接合部分55が約10mm程度の幅を有する帯状である場合を例に説明したが、接合部分55の幅は任意であり、また、接合部分55を一本(一条)ではなく複数本(二条以上)設けてもよい。例えば数mm程度(1〜3mm程度)の接合部分55を間隔をあけて二本平行に設けてもよい。平行でなくてもよく、例えばハの字状に設けてもよい。また、直線状ではなく屈曲させたり蛇行させたりしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 第1の物品(台紙)
1a 上面
1b 下面
1c 側面
1d 上縁部
2 第2の物品
2a 上面
2b 下面
2c 側面
3b 第3の物品の下面
5 複数物品包装用ラベル
11 容器本体
12 キャップ
13 境界部
15 くびれ部
16 切欠部
21 容器本体
22 キャップ
23 境界部
51 第1の筒状ラベル
51a 上端縁
51b 下端縁
51c 下端部
52 第2の筒状ラベル
52a 上端縁
52b 下端縁
52c 下端部
53 第3の筒状ラベル
53a 上端縁
53b 下端縁
53c 下端部
54 折り目
55 接合部分
61 重ね合わせ部
62 重ね合わせ部
63 重ね合わせ部
70 ミシン目
71 ミシン目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品が複数物品包装用ラベルで結束包装された複数物品包装体であって、複数物品包装用ラベルは、別個の熱収縮性フィルムから各々筒状に形成された複数の筒状ラベルを、所定の筒状ラベルの下端縁が該筒状ラベルと隣接する筒状ラベルの下端縁に対して下方に位置ずれするようにして、外周面で接合一体化させて形成され、該複数物品包装用ラベルの筒状ラベルを複数の物品にそれぞれ外嵌装着して熱収縮させることにより、前記所定の筒状ラベルの下端部が物品の下面に巻き込んでいることを特徴とする複数物品包装体。
【請求項2】
複数の物品を結束包装するための複数物品包装用ラベルであって、
各物品に外嵌装着されるべく別個の熱収縮性フィルムから各々筒状に形成された複数の筒状ラベルを備え、該複数の筒状ラベルは、所定の筒状ラベルの下端縁がその隣の筒状ラベルの下端縁に対して下方に位置ずれするようにして、外周面で接合一体化されていることを特徴とする複数物品包装用ラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−189989(P2011−189989A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29224(P2011−29224)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】