複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガン
【課題】ロボット等に取り付けられて複数種類の塗料吹付を行うのに適した、自動スプレーガンを提供する。
【解決手段】複数個のガンユニット2Aないし2Cが一体に固着されて形成され、各ガンユニット2Aないし2Cは、それぞれ独立した塗料流路10、塗料吹付用の空気流路11、塗料パターン形成用の空気流路12、及び塗料の吹付操作用空気流路13を具えることを特徴とする、複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガン1である。
【解決手段】複数個のガンユニット2Aないし2Cが一体に固着されて形成され、各ガンユニット2Aないし2Cは、それぞれ独立した塗料流路10、塗料吹付用の空気流路11、塗料パターン形成用の空気流路12、及び塗料の吹付操作用空気流路13を具えることを特徴とする、複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガン1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ロボット等に取り付けられて複数種類の塗料吹付を行うのに適した自動スプレーガンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、塗装工程の多くは自動化されている。塗装工程を自動化する場合、通常、コンピュータで制御されるロボット等のアームに自動スプレーガンを装着した塗装ロボットが利用される(下記特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−38988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、塗装時間を短縮させるために、例えば下地塗料の下塗り、着色塗料の中塗り及びクリア塗料の上塗りといった異なる3種の塗料を、各々が乾燥しないウェットな状態で順次塗り重ねて1ベイクで乾燥硬化させるいわゆるウエットオンウエット方式が採用されつつある。このような場合には、塗装工程中に瞬時に塗料を変更する必要がある。しかしながら、従来の自動スプレーガンでは、このような迅速な塗料換えに対応するのは困難であった。
【0005】
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、複数個のガンユニットを一体に固着して形成するとともに、各ガンユニットに、それぞれ独立した塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路を設けることを基本として、塗装工程中に、瞬時に塗料換えを可能としうる複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガンを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1記載の発明は、複数個のガンユニットが一体に固着されて形成され、各ガンユニットは、それぞれ独立した塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用の空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路を具えることを特徴とする。
【0007】
また請求項2記載の発明は、前記各ガンユニットは、小厚さの扁平な直方体状をなすボディを有し、該ボディをその厚さ方向に重ねて一体に固着されてなる請求項1記載の複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガンである。
【0008】
また請求項3記載の発明は、前記ガンユニットは、第1のガンユニットと、該第1のガンユニットに固着された第2のガンユニットとを含み、前記第2のガンユニットの塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用の空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路の少なくとも一つは、前記第1のガンユニットのボディを貫通して第2のガンユニットのボディ内にのびている請求項2記載の複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガンである。
【0009】
また請求項4記載の発明は、前記ガンユニットは、第1のガンユニットと、該第1のガンユニットに固着された第2のガンユニットと、該第2のガンユニットに固着された第3のガンユニットとを含み、前記第3のガンユニットの塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用の空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路の少なくとも一つは、前記第1のガンユニットのボディ及び前記第2のガンユニットのボディをそれぞれ貫通して第3のガンユニットのボディ内にのびている請求項2又は3記載の複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガンである。
【0010】
また請求項5記載の発明は、前記各ガンユニットは、前面で開口する塗料流路が内部に形成されたボディ、このボディの前面に装着されて前記開口と連通しかつ先端を塗料吐出口とする先端孔が透設された塗料ノズル部、前記塗料ノズル部の前側に取り付けられかつ塗料吹付用の空気を吐出する第1の空気吐出口と、塗料パターン形成用の空気を吐出しうる第2の空気吐出口とを有する空気キャップ部、前記ボディの塗料流路内に前後動可能に配されかつ前記先端孔との接離により前記塗料吐出口を開閉しうる針弁、及び前記ボディに内蔵されかつ前記針弁を前後動させる操作手段を有する請求項1乃至4のいずれかに記載の複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガンである。
【0011】
また請求項6記載の発明は、前記塗料ノズル部及び空気キャップ部は、ボディの前面に設けたネジ孔に挿入されるネジにより固着される請求項5記載の複数種類の塗料吹付用のスプレーガンである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る自動スプレーガンでは、複数個のガンユニットが一体に固着されて形成され、各ガンユニットは、それぞれ独立した塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路を具える。従って、各ガンユニットに、それぞれ異なる塗料を供給し、これらを必要に応じて個別に切り換えることにより、複数種類の塗料を瞬時に切り換えて塗装できる。また、少量、多色の塗料を塗装する場合でも、各ガンユニットに必要な塗料をそれぞれ供給して塗装制御することにより、各ガンユニットの洗浄、色替え及び取り替えの必要がない。
【0013】
また、請求項2に係る発明のように、前記各ガンユニットを、小厚さの扁平な直方体状をなすボディで構成し、該ボディをその厚さ方向に重ねて一体に固着した場合には、自動スプレーガンの厚さを小さくして小型化かつ軽量化できる。これは、自動スプレーガンが装着される例えばロボットへの負担を減じ、自動スプレーガンの向き変えや移動を拘束に行わせるのに役立つ。
【0014】
また、請求項3に係る発明のように、前記ガンユニットが、第1のガンユニットと、該第1のガンユニットに固着された第2のガンユニットとを含む場合、記第2のガンユニットの塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路の少なくとも一つを、第1のガンユニットのボディを貫通して第2のガンユニットのボディ内にのばすことができる。これにより、余計な配管が不要となり、自動スプレーガンをより一層小型化かつ軽量化しうる。
【0015】
また、請求項4に係る発明のように、前記ガンユニットが、第1のガンユニットと、該第1のガンユニットに固着された第2のガンユニットと、該第2のガンユニットに固着された第3のガンユニットとを含む場合、第3のガンユニットについても、その塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路の少なくとも一つは、前記第1のガンユニットのボディ及び前記第2のガンユニットのボディをそれぞれ貫通して第3のガンユニットのボディ内にのばすことができる。これにより、さらに余計な配管が不要となり、自動スプレーガンをさらに、小型化かつ軽量化しうる。
【0016】
また、請求項5に係る発明のように、各スプレーガンユニットは、前面で開口する塗料流路が内部に形成されたボディ、このボディの前面に装着されて前記開口と連通しかつ先端を塗料吐出口とする先端孔が透設された塗料ノズル部、前記塗料ノズル部の前側に取り付けられかつ塗料吹付用の空気を吐出する第1の空気吐出口と、塗料パターン形成用の空気を吐出しうる第2の空気吐出口とを有する空気キャップ部、前記ボディの塗料流路内に前後動可能に配されかつ前記先端孔との接離により前記塗料吐出口を開閉しうる針弁、及び前記ボディに内蔵されかつ前記針弁を前後動させる操作手段を用いて簡単に構成できる。
【0017】
また、請求項6に係る発明のように、塗料ノズル部及び空気キャップ部は、従来のように、リング状のナット等で固着されるのではなく、ボディの前面に設けたネジ孔に挿入されるネジにより固着されるときには、これらの部材をより一層小型化でき、各ガンユニットの偏平化ないし自動スプレーガン自体の小型化に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る自動スプレーガンの全体斜視図である。
【図2】その正面図である。
【図3】図1の右側面図である。
【図4】第1のガンユニットの分解斜視図である。
【図5】第1のガンユニットの縦断面図である。
【図6】第1のガンユニットの横断面図である。
【図7】(a)〜(c)は第1ないし第3のガンユニットの平面図である。
【図8】(a)〜(c)は図2のa−a、b−b及びc−c断面図である。
【図9】図1のA−A断面図である。
【図10】図1のB−B断面図である。
【図11】図1のC−C断面図である。
【図12】図1のD−D断面図である。
【図13】本実施形態のマニホールドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1〜3に示されるように、本実施形態の自動スプレーガン(以下、単に「スプレーガン」ということがある。)1は、複数種類の塗料を霧化状で被塗装物(図示せず)に向けて吹き付けしうるものであって、例えばコンピュータで制御されて移動しうるロボットのアームに取り付けられて使用される。
【0020】
前記スプレーガン1は、複数個のガンユニット2が一体に固着されて形成され、本実施形態では、最も上部に配される第1のガンユニット2Aと、この第1のガンユニット2Aの下部に固着された第2のガンユニット2Bと、該第2のガンユニット2Bの下部に固着された最も下部に配される第3のガンユニット2Cとからなる3つのガンユニットで構成されている。ただし、ガンユニット2の個数は、複数個であればその数は塗料の種類等に応じて種々定めることができる。
【0021】
本実施形態において、第1のガンユニット2Aは、図4〜6に示されるように、ボディ3と、このボディ3の前面に装着された塗料ノズル部4と、塗料ノズル部4の前側に取り付けられた空気キャップ部5と、前記ボディ3の内部に配され前記塗料ノズル部4の開閉を行う針弁6と、前記針弁6を前後動させる操作手段7(図5に示す)とを含んで構成される。
【0022】
前記ボディ3は、前面3a、上面3b、下面3c、左右の側面3d及び背面3eを有した小厚さの扁平な直方体状をなす。直方体「状」であるから、必ずしも完全な直方体である必要はなく、例えばコーナが面取されたり、又は背面3eに円筒部3g(図5に示す)を突設させることができる。本実施形態のボディ3は、例えばアルミニウム合金から形成されているが、さらなる軽量化を図るために、例えば樹脂で形成することもできる。
【0023】
図5及び図6には、第1のガンユニット2Aのボディ3の縦断面図及び横断面図がそれぞれ示される。前記ボディ3には、塗料が吹き出される側をなす前面3aに開口10aを有する塗料流路10と、塗料吹付用の空気流路11と、塗料パターン形成用の空気流路12と、塗料の吹付操作用の空気流路13とが形成されている。本実施形態では、前記各流路10〜13は、ブロック状のボディ3に対して機械加工(切削加工)を施すことにより形成されている。
【0024】
前記塗料流路10は、前記開口10aからボディ3の後方へ略水平にのびる横部10Aと、該横部10Aに連なりかつボディ3の上面3bの開口10bにのびる縦部10Bとを含んで構成されている。
【0025】
本実施形態の塗料流路10は、例えば非塗装時でも所定の圧力でこの塗料流路10内に塗料を循環貯留させておくために、塗料の戻り流路10Cが設けられる。前記縦部10B及び戻り流路10Cは、それぞれボディ3の上面3bのほぼ中央に設けられた開口10b及び10cから斜め下方にのびて前記横部10Aに接続されている。従って、塗料流路10には、ボディ3の上面に設けられた開口10bから塗料が送給されるとともに、非塗装時では、塗料は戻り流路10Cを通ってボディ3の外部へと戻され得る。
【0026】
前記塗料吹付用の空気流路11は、ボディ3の上面3bに設けられた開口11aから下方にのびる縦部11Aと、該縦部11Aに連なりかつボディ3の前面3aに設けられた開口11bまで前にのびる横部11Bとから構成されている。なお、本実施形態では、ボディ3の前面3aに、前記塗料流路10の開口10aを囲むように円形にのびる周凹溝11cが形成されており、前記開口11bはこの周凹溝11c内で開口している。
【0027】
前記塗料パターン形成用の空気流路12は、ボディ3の上面3bに設けられた開口12aから下方にのびる縦部12Aと、該縦部12Aに連なりかつボディ3の前面に設けられた開口12bまで横方向(前後方向)にのびる横部12Bとから構成されている。なお、本実施形態では、前記横部12B及び開口12bは複数個(この例では3個)設けられており、かつ、開口12bは、ボディ3の前記周凹溝11cの外側で開口している。
【0028】
前記塗料ノズル部4は、図4に示されるように、ボディ3の前面3aに装着される正面視横長矩形の薄板状をなすプレート部4Aと、該プレート部4Aのほぼ中央で前側にコーン状で突出するノズル本体4Bとから構成されている。
【0029】
前記プレート部4Aには、ノズル本体4Bの左右両側にネジ止め用の孔4Cが形成されている。
【0030】
また、前記ノズル本体4Bは、図4〜図6に示されるように、先端に設けられた塗料吐出口4aと、後端に設けられた塗料入口4bと、これらの間4a、4bを連ねかつ塗料が通る先端孔4cとを含む。前記先端孔4cは、塗料流路10の前側の開口10aに連なり、前側に向かってテーパ状の縮径したノズル孔部を形成している。
【0031】
さらに、塗料ノズル部4には、ノズル本体4Bの周囲に、プレート部4Aを前後に貫通する第1の小孔4dが形成される。本実施形態において、第1の小孔4dは、塗料吐出口4aを中心とする円周線上にほぼ等間隔で複数個形成されている。また、図5及び図6に示されるように、第1の小孔4dの後方には、ボディ3の前面3aに設けられた前記周凹溝11cが連通している。これにより、塗料吹き付け用(霧化用)の空気流路11と、第1の小孔4dとは、前記周凹溝11cを介して連通する。
【0032】
また、本実施形態の塗料ノズル部4には、第1の小孔4dのさらに外側に、プレート部4Aを前後に貫通する第2の小孔4eが形成されている。本実施形態において、第2の小孔4eも、塗料吐出口4aを中心とする円周線上にほぼ等間隔で形成されている。さらに、図5及び図6に示されるように、塗料ノズル部4の背面には、前記第2の小孔4eを連ねて円形にのびる周凹溝4fが形成される。さらに、この周凹溝4fには、ボディ3の前面3aに形成された塗料パターン形成用の空気流路12の開口12bと連通している。これにより、パターン形成用の空気流路12と第2の小孔4eとは、周凹溝4fを介して連通する。
【0033】
前記空気キャップ部5は、図4に示されるように、ボディ3の前部に装着される正面視横長矩形の薄板状をなすプレート部5Aと、該プレート部5Aのほぼ中央で前記ノズル本体4Bと隙間を隔てて覆う前側に隆起した隆起部5Bとを含んで構成される。
【0034】
前記プレート部5Aには、隆起部5Bの左右両側に、ネジ止め用の孔5Cが形成されている。そして、空気キャップ部5及び塗料ノズル部4の各孔4C、5Cには、ネジ9が通され、ボディ3の前面3aに設けられたネジ孔3fに螺着される。これにより、ボディ3に、塗料ノズル部4及び空気キャップ部5が一体に固着される。このように、本実施形態の空気キャップ部5は、従来のようなリング状のナットキャップでボディ3に固着されるものではなく、ボディ3へ螺入するネジ9によってその前面3aに固着される。このため、空気キャップ部5は、ボディ3の扁平形状に合わせて極力小型化することが可能となり、より一層のガンユニット2の小型化及び軽量化を実現させるのに役立つ。
【0035】
前記隆起部5Bは、図5及び図6に示されるように、前記ノズル本体4Bを覆うとともに後部が開放されて構成される。また、隆起部5Bには、ノズル本体4Bの塗料吐出口4aを露出させる中央開口5aを有する。この中央開口5aは、ノズル本体4Bの先端外周部との間に、前記塗料吐出口4aを囲むように環状にのびるリング状の小隙間iを形成する。この小隙間iには、前記第1の小孔4dから送給される高圧空気が供給される。従って、ボディ3の上面3bに設けられた開口11aから供給された高圧空気は、塗料吹付用の空気流路11、周凹溝11c、及び第1の小孔4dを通って前記小隙間iから吹き出しされる。なお、本実施形態では、中央開口5aの両側部に、小孔5bが形成されており、そこからも高圧空気の一部が吹き出しされる。これらの空気は、塗料ノズル部4の塗料吐出口4aから吐出される塗料を霧化して吹き出しできる。
【0036】
また、空気キャップ部5の隆起部5Bには、塗料パターン(塗料の吹き付け形状)を調節するための空気を吐出する周知のパターン孔5cが、中央開口5aの左右両側にそれぞれ設けられる。従って、本実施形態の第1のガンユニット2Aからは縦長のパターン形状が得られる。また、前記パターン孔5cの後端は、図6に示されるように、継ぎ溝5fを介して、空気キャップ部5の背面に形成された円周方向にのびる周凹溝5dを介して塗料ノズル部4に設けられた第2の小孔4eの前端が接続されている。
【0037】
また、前記塗料ノズル部4の塗料吐出口4aは、針弁6によって開閉される。該針弁6は、前端部を先細状に尖らせた軸体からなり、その前側が前記塗料ノズル部4の先端孔4cに挿入される一方、後端部はボディ3内を後方にのびている。
【0038】
前記針弁6は塗料流路10の内径よりも小さく形成される。これにより、針弁6と塗料流路10との間の空間に前記開口10bから送られた塗料が貯留される。また、針弁6は、その前端部が、弁座をなす塗料ノズル部4の先端孔4cの内周面に接触することにより塗料吐出口4aを閉止でき、かつ、その位置から後方に移動することにより、塗料流路10内の塗料を塗料吐出口4aから外部に吐出させる。
【0039】
前記ボディ3には、図4及び図5に示されるように、軸方向に内径が適宜変化しながら後方にのび、ボディ3の背面3eに設けられた円筒部3gで開口する段付孔20が形成されている。この段付孔20は、針弁6の後端部を摺動可能に支持する。また、針弁6の後端側には、前記段付孔20に接するOリング21がスリーブ部材22によって保持される。
【0040】
また、針弁6のスリーブ部材22から後方に突出した部分には、該針弁6を前後に移動させるための操作手段7が設けられる。本実施形態の操作手段7は、針弁6の後端側に設けられたピストン部7aと、該ピストン部7aを摺動可能に収容するシリンダ室7bとを含み、空気圧を利用して針弁6を前後動させるものが採用される。
【0041】
前記ピストン部7aは、ロックナット7cにより針弁6の後端に固着される。またピストン部7aの外周面には、Oリング7dが装着される。これにより、針弁6は、前記円筒部3gの内周面に対して気密に接して摺動できる。
【0042】
前記シリンダ室7bは、円筒部3gの内周面及び円筒部3gに螺着されたエンドキャップ7eで囲まれる空間で形成される。また、シリンダ室7bは、ピストン部7aよりも前側の前室15aと、後側の後室15bとを含み、後室15bは空気抜き孔16によって常時大気へと開放されている。また、この後室15bには、ピストン部7aと前記エンドキャップ7eとの間に圧縮状態のバネ7fが配される。
【0043】
また、シリンダ室7bの前室15aには、吹付操作用の空気流路13が連通している。該吹付操作用の空気流路13は、例えば、ボディ3の上面3bに設けられた開口13aから下方にのびる縦部13Aと、該縦部13Aの下端と前記前室15aとの間を斜めに継ぐ斜部13Bとからなる。なお、前室15aは、前記Oリング21及び7dによって気密に構成されている。
【0044】
なお、ボディ3の上面には、マニホールド等を固着するネジ孔23が、また、ボディ3の下面3cには、第2のガンユニット2Bとの位置合わせを行うためのピンが差し込まれるピン孔24がそれぞれ形成されている。
【0045】
このような第1のガンユニット2Aの作用について述べる。先ず、非塗装時において、吹付操作用の空気流路13の開口13aは大気へ開放されている。これにより、ピストン部7aは、前記バネ7fにより前向きに付勢され、針弁6が塗料吐出口4aを閉止する。従って、塗料流路10に供給された塗料は、塗料吐出口4aから吐出されることなく戻り流路10Cへと戻る。
【0046】
他方、塗装時においては、塗料吹付用の空気流路11、塗料パターン形成用の空気流路12、及び塗料の吹付操作用空気流路13にそれぞれ高圧空気が供給される。これにより、空気キャップ部5の中央開口5aの小隙間iや、パターン孔5c、5bから高圧空気が吹き出しされる。また、操作手段7では、前室15aに供給された高圧空気により、ピストン部7aがバネ7fを圧縮しながら後方に移動し、針弁6の先端を塗料ノズル部4の先端孔4cから離間させる。これにより、塗料吐出口4aから塗料が吐出され、前記高圧空気によって所定のパターンに霧化吹き出しされる。なお、前室15aへの高圧空気の供給を絶つことにより、塗装が停止される。
【0047】
このように、本実施形態のガンユニット2Aは、操作手段7への高圧空気の供給により、塗料の噴霧、停止が自動で行われる。また、エンドキャップ7eのねじ込み量を調節することで、バネ7fの付勢力、ひいては針弁6の開き具合を調節できる。これにより、塗料の吐出量が微調整できる。
【0048】
図1から明らかなように、本実施形態の第1のガンユニット2Aにおいて、空気及び塗料の各供給口は、全て、ボディ3の上面3bに設けられる。従って、ホース等のジョイント作業等はボディ3の単一の面に対して行えば良い。従って、装着作業性や装置の小型化に役立つ。
【0049】
上記第1のガンユニット2Aで説明した前記塗料流路10、塗料吹付用の空気流路11、塗料パターン形成用の空気流路12及び塗料の吹付操作用空気流路13は、それぞれ第2及び第3のガンユニット2B及び2Cにもほぼ同様に設けられる。各流路10ないし13は、いずれも他のガンユニットの動作に影響を受けることなく、それぞれ独立して設けられる。従って、例えば第1のガンユニット2A、第2のガンユニット2B及び第3のガンユニット2Cを時系列的に順次作動させ、ウエットオンウエットの下塗り、中塗り及び上塗りを行うことはもとより、第1ないし第3の各ガンユニット2A〜2Cから同時に異なる種類の塗料を吹き出す混合吹きも行うことができる。
【0050】
さらに、本実施形態の自動スプレーガン1では、より一層の小型化を図るために、第2のガンユニット2Bの塗料流路10、塗料吹付用の空気流路11、塗料パターン形成用の空気流路12、及び塗料の吹付操作用空気流路13の少なくとも一つ(本実施形態では全部)は、第1のガンユニット2Aのボディ3を貫通して第2のガンユニットのボディ内へとのびている。
【0051】
同様に、第3のガンユニット2Cの塗料流路10、塗料吹付用の空気流路11、塗料パターン形成用の空気流路12、及び塗料の吹付操作用の空気流路13の少なくとも一つ(本実施形態では全部)は、第1のガンユニット2Aのボディ3及び第2のガンユニット2Bのボディ3をそれぞれ貫通して第3のガンユニット2Cのボディ3内にのびている。
【0052】
図7は、各ガンユニット2Aないし2Cの平面図である。また、図8(a)ないし(c)は、図2のそれぞれa−a、b−b及びc−c断面図である。さらに、図9は、図1のA−A断面図である。なお、図7中、符号Jは、3つのボディ3を結合する際のボルトが通るネジ孔を示している。
【0053】
図9に良く表されているように、第2のガンユニット2Bの塗料流路10の縦部10Bは、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第1縦部10B1と、上端が第1縦部10B1に連なりかつ下端が塗料流路10の横部10Aに連通する第2のガンユニット2Bのボディ3内をのびる第2縦部10B2とからなる。なお、第1縦部10B1の上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口10dとして解放されている。
【0054】
同様に、第2のガンユニット2Bの塗料流路10の戻り流路10Cも、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第1戻り流路10C1と、上端が第1戻り流路10C1に連なりかつ下端が塗料流路10の横部10Aに連通する第2のガンユニット2Bのボディ3内をのびる第2縦部10C2とからなる。なお、第1戻り流路10C1の上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口10eとして解放されている。
【0055】
さらに、第3のガンユニット2Cの塗料流路10の縦部10Bも、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第1縦部10B1と、上端が第1縦部に連なりかつ第2のガンユニット2Bのボディ3を上下に貫通する第2縦部10B2と、上端が第2縦部10B2に連なりかつ下端が塗料流路10の横部10Aに連通する第3のガンユニット2Cのボディ3内をのびる第3縦部10B3とからなる。なお、この第1縦部10B1の上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口10fとして解放されている。
【0056】
同様に、第3のガンユニット2Cの塗料流路10の戻り流路10Cも、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通してのびる第1戻り流路10C1と、上端が第1戻り流路10C1に連なりかつ第2のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第2戻り流路10C2と、上端が第2戻り流路10C2に連なりかつ下端が塗料流路10の横部10Aに連通する第3のガンユニット2Bのボディ3内をのびる第3縦部10C3とからなる。なお、この第1戻り流路10C1の上端も、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口10gとして解放されている。
【0057】
このように、本実施形態の自動スプレーガン1では、各ガンユニット2Aないし2Cの塗料流路10を、それぞれのガンユニット2Aないし2Cの直方体状のボディを利用してその内部に形成できる。しかも、各塗料流路10は、いずれも連通することなく独立して形成されているため、個々のガンユニット2Aないし2Cの個別動作何らを妨げることが無く、かつ、異なる種類の塗料の混ざりなどを防止できる点で好ましい。なお、図1に示されるように、各塗料流路10の上端側の開口10bないし10gは、上述の略V字状の流路を形成するために、横一列に配置される。
【0058】
図10には、第2及び第3のガンユニット2B及び2Cの塗料吹付用の空気流路11として、図1のB−B断面図が示される。
【0059】
第2のガンユニット2Bの塗料吹付用の空気流路11の縦部11Aは、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第1縦部11A1と、上端が第1縦部11A1に連なりかつ第2のガンユニット2Bのボディ3内を斜めにのびて下端が空気流路11の横部11Bに連通する第2縦部11A2とからなる。なお、この第1縦部11A1の上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口11fとして解放されている。
【0060】
また、第3のガンユニット2Cの塗料吹付用の空気流路11の縦部11Aは、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第1縦部11A1と、上端がこの第1縦部11A1に連なりかつ第2のガンユニット2Bのボディ3を上下に貫通する第2縦部11A2と、上端が第2縦部11A2に連なりかつ第3のガンユニット2Cのボディ3内を斜めにのびて下端が空気流路11の横部11Bに連通する第3縦部11A3とからなる。なお、この第1縦部11A1の上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口11gとして解放されている。
【0061】
なお、各空気流路11の上端側の開口11a、11f及び11gは、塗料流路10の各開口の前側に横一列で配置されている。
【0062】
さらに、図11には、第2及び第3のガンユニット2B及び2Cの塗料パターン形成用の空気流路12を示すものとして、図1のC−C断面図が示される。
【0063】
第2のガンユニット2Bの塗料パターン形成用の空気流路12の縦部12Aは、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第1縦部12A1と、上端が第1縦部12A1に連なりかつ第2のガンユニット2Bのボディ3内で終端する第2小縦部12A2とからなる。なお、この第1縦部12A1の上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口12eとして解放されている。また、本実施形態では、第2のガンユニット2Bの側面3dに、第2小縦部12A2を貫通するとともに、前記横部12Bまでのびる継ぎ孔12Cがドリルにより形成されている。そして、この継ぎ孔12Cの側面3d側は蓋部材Cで閉塞されている。
【0064】
また、第3のガンユニット2Cの塗料パターン形成用の空気流路12の縦部12Aは、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第1縦部12A1と、上端が第1縦部12A1に連なりかつ第2のガンユニット2Bのボディ3を上下に貫通する第2縦部12A2と、上端が第2縦部12A2に連なりかつ第3のガンユニット2Cのボディ3内で終端する第3小縦部12A3とからなる。なお、この第1縦部12A1の上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口12fとして解放されている。また、本実施形態では、第3のガンユニット2Bの側面3dにも、第3小縦部12A3を貫通するとともに、前記横部12Bまでのびる継ぎ孔12Cがドリルにより形成されている。そして、この継ぎ孔12Cも、その側面3d側は蓋部材Cで閉塞されている。
【0065】
なお、各空気流路12の上端側の開口12a、12e及び12fは、空気流路11の各開口の前側で横一列で配置されている。
【0066】
さらに、図12には、第2及び第3のガンユニット2B及び2Cの塗料の吹付操作用空気流路13を示すものとして、図1のD−D断面図が示される。
【0067】
第2のガンユニット2Bの塗料の吹付操作用の空気流路13は、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する縦部13Aと、上端が縦部13Aに連なりかつ第2のガンユニット2Bのボディ3内を斜めにのびて下端が前室15aに連通する斜部13Bとからなる。なお、この縦部13Aの上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口13eとして解放されている。
【0068】
また、第3のガンユニット2Cの塗料の吹付操作用の空気流路13も、縦部13Aと、上端がこの縦部13Aの下端に連通する斜部13Bとからなる。また、この縦部13Aは、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第1縦部13Aと、上端が第1縦部13Aに連なりかつ第2のガンユニット2Bのボディ3内を上下に貫通してのびる第2縦部13A2とからなる。縦部13Aの上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口13fとして解放されている。
【0069】
なお、各空気流路13の上端側の開口13a、13e及び13fは、塗料流路10の各開口の後側で横一列で配置されている。
【0070】
このように、第1及び第2ガンユニット2A及び2Bのボディに、例えば切削加工によって各流路を形成することにより、接続ホースなどを省略でき、自動スプレーガン1をより小型化して使い勝手を高めることができる。
【0071】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1のガンユニット2Aの上面3bに、図13に示されるような例えば略直方体状のマニホールドMを装着することができる。なお、気密性を高めるために、マニホールドMとボディ3の上面との間には、ガスケット及び/又はOリングなどを介して接続されるのが望ましい。
【0072】
マニホールドMの底面Maには、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bに設けられた各塗料流路10の開口10b、10c、10d、10e、10f及び10gや、空気流路11〜13の開口11a、11f、11g、12a、12e、12f、13a、13e及び13fにそれぞれ向き合うポートP1〜P15が形成されている。各ポートP1〜P15には、流路Q1〜Q15が連通しており、これらはマニホールドMの底面以外の面、この例では側面で開口している。そして、マニホールドMの側面に各種の空気ホースや塗料ホースが接続される。
【符号の説明】
【0073】
1 自動スプレーガン
2 ガンユニット
2A 第1のガンユニット
2B 第2のガンユニット
2C 第3のガンユニット
3 ボディ
3a 前面
4 塗料ノズル部
4a 塗料吐出口
4b 塗料入口
4c 先端孔
5 空気キャップ部
6 針弁
7 操作手段
10 塗料流路
11 塗料吹付用の空気流路
12 塗料パターン形成用の空気流路
13 塗料の吹付操作用空気流路
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ロボット等に取り付けられて複数種類の塗料吹付を行うのに適した自動スプレーガンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、塗装工程の多くは自動化されている。塗装工程を自動化する場合、通常、コンピュータで制御されるロボット等のアームに自動スプレーガンを装着した塗装ロボットが利用される(下記特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−38988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、塗装時間を短縮させるために、例えば下地塗料の下塗り、着色塗料の中塗り及びクリア塗料の上塗りといった異なる3種の塗料を、各々が乾燥しないウェットな状態で順次塗り重ねて1ベイクで乾燥硬化させるいわゆるウエットオンウエット方式が採用されつつある。このような場合には、塗装工程中に瞬時に塗料を変更する必要がある。しかしながら、従来の自動スプレーガンでは、このような迅速な塗料換えに対応するのは困難であった。
【0005】
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、複数個のガンユニットを一体に固着して形成するとともに、各ガンユニットに、それぞれ独立した塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路を設けることを基本として、塗装工程中に、瞬時に塗料換えを可能としうる複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガンを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1記載の発明は、複数個のガンユニットが一体に固着されて形成され、各ガンユニットは、それぞれ独立した塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用の空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路を具えることを特徴とする。
【0007】
また請求項2記載の発明は、前記各ガンユニットは、小厚さの扁平な直方体状をなすボディを有し、該ボディをその厚さ方向に重ねて一体に固着されてなる請求項1記載の複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガンである。
【0008】
また請求項3記載の発明は、前記ガンユニットは、第1のガンユニットと、該第1のガンユニットに固着された第2のガンユニットとを含み、前記第2のガンユニットの塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用の空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路の少なくとも一つは、前記第1のガンユニットのボディを貫通して第2のガンユニットのボディ内にのびている請求項2記載の複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガンである。
【0009】
また請求項4記載の発明は、前記ガンユニットは、第1のガンユニットと、該第1のガンユニットに固着された第2のガンユニットと、該第2のガンユニットに固着された第3のガンユニットとを含み、前記第3のガンユニットの塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用の空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路の少なくとも一つは、前記第1のガンユニットのボディ及び前記第2のガンユニットのボディをそれぞれ貫通して第3のガンユニットのボディ内にのびている請求項2又は3記載の複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガンである。
【0010】
また請求項5記載の発明は、前記各ガンユニットは、前面で開口する塗料流路が内部に形成されたボディ、このボディの前面に装着されて前記開口と連通しかつ先端を塗料吐出口とする先端孔が透設された塗料ノズル部、前記塗料ノズル部の前側に取り付けられかつ塗料吹付用の空気を吐出する第1の空気吐出口と、塗料パターン形成用の空気を吐出しうる第2の空気吐出口とを有する空気キャップ部、前記ボディの塗料流路内に前後動可能に配されかつ前記先端孔との接離により前記塗料吐出口を開閉しうる針弁、及び前記ボディに内蔵されかつ前記針弁を前後動させる操作手段を有する請求項1乃至4のいずれかに記載の複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガンである。
【0011】
また請求項6記載の発明は、前記塗料ノズル部及び空気キャップ部は、ボディの前面に設けたネジ孔に挿入されるネジにより固着される請求項5記載の複数種類の塗料吹付用のスプレーガンである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る自動スプレーガンでは、複数個のガンユニットが一体に固着されて形成され、各ガンユニットは、それぞれ独立した塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路を具える。従って、各ガンユニットに、それぞれ異なる塗料を供給し、これらを必要に応じて個別に切り換えることにより、複数種類の塗料を瞬時に切り換えて塗装できる。また、少量、多色の塗料を塗装する場合でも、各ガンユニットに必要な塗料をそれぞれ供給して塗装制御することにより、各ガンユニットの洗浄、色替え及び取り替えの必要がない。
【0013】
また、請求項2に係る発明のように、前記各ガンユニットを、小厚さの扁平な直方体状をなすボディで構成し、該ボディをその厚さ方向に重ねて一体に固着した場合には、自動スプレーガンの厚さを小さくして小型化かつ軽量化できる。これは、自動スプレーガンが装着される例えばロボットへの負担を減じ、自動スプレーガンの向き変えや移動を拘束に行わせるのに役立つ。
【0014】
また、請求項3に係る発明のように、前記ガンユニットが、第1のガンユニットと、該第1のガンユニットに固着された第2のガンユニットとを含む場合、記第2のガンユニットの塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路の少なくとも一つを、第1のガンユニットのボディを貫通して第2のガンユニットのボディ内にのばすことができる。これにより、余計な配管が不要となり、自動スプレーガンをより一層小型化かつ軽量化しうる。
【0015】
また、請求項4に係る発明のように、前記ガンユニットが、第1のガンユニットと、該第1のガンユニットに固着された第2のガンユニットと、該第2のガンユニットに固着された第3のガンユニットとを含む場合、第3のガンユニットについても、その塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路の少なくとも一つは、前記第1のガンユニットのボディ及び前記第2のガンユニットのボディをそれぞれ貫通して第3のガンユニットのボディ内にのばすことができる。これにより、さらに余計な配管が不要となり、自動スプレーガンをさらに、小型化かつ軽量化しうる。
【0016】
また、請求項5に係る発明のように、各スプレーガンユニットは、前面で開口する塗料流路が内部に形成されたボディ、このボディの前面に装着されて前記開口と連通しかつ先端を塗料吐出口とする先端孔が透設された塗料ノズル部、前記塗料ノズル部の前側に取り付けられかつ塗料吹付用の空気を吐出する第1の空気吐出口と、塗料パターン形成用の空気を吐出しうる第2の空気吐出口とを有する空気キャップ部、前記ボディの塗料流路内に前後動可能に配されかつ前記先端孔との接離により前記塗料吐出口を開閉しうる針弁、及び前記ボディに内蔵されかつ前記針弁を前後動させる操作手段を用いて簡単に構成できる。
【0017】
また、請求項6に係る発明のように、塗料ノズル部及び空気キャップ部は、従来のように、リング状のナット等で固着されるのではなく、ボディの前面に設けたネジ孔に挿入されるネジにより固着されるときには、これらの部材をより一層小型化でき、各ガンユニットの偏平化ないし自動スプレーガン自体の小型化に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る自動スプレーガンの全体斜視図である。
【図2】その正面図である。
【図3】図1の右側面図である。
【図4】第1のガンユニットの分解斜視図である。
【図5】第1のガンユニットの縦断面図である。
【図6】第1のガンユニットの横断面図である。
【図7】(a)〜(c)は第1ないし第3のガンユニットの平面図である。
【図8】(a)〜(c)は図2のa−a、b−b及びc−c断面図である。
【図9】図1のA−A断面図である。
【図10】図1のB−B断面図である。
【図11】図1のC−C断面図である。
【図12】図1のD−D断面図である。
【図13】本実施形態のマニホールドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1〜3に示されるように、本実施形態の自動スプレーガン(以下、単に「スプレーガン」ということがある。)1は、複数種類の塗料を霧化状で被塗装物(図示せず)に向けて吹き付けしうるものであって、例えばコンピュータで制御されて移動しうるロボットのアームに取り付けられて使用される。
【0020】
前記スプレーガン1は、複数個のガンユニット2が一体に固着されて形成され、本実施形態では、最も上部に配される第1のガンユニット2Aと、この第1のガンユニット2Aの下部に固着された第2のガンユニット2Bと、該第2のガンユニット2Bの下部に固着された最も下部に配される第3のガンユニット2Cとからなる3つのガンユニットで構成されている。ただし、ガンユニット2の個数は、複数個であればその数は塗料の種類等に応じて種々定めることができる。
【0021】
本実施形態において、第1のガンユニット2Aは、図4〜6に示されるように、ボディ3と、このボディ3の前面に装着された塗料ノズル部4と、塗料ノズル部4の前側に取り付けられた空気キャップ部5と、前記ボディ3の内部に配され前記塗料ノズル部4の開閉を行う針弁6と、前記針弁6を前後動させる操作手段7(図5に示す)とを含んで構成される。
【0022】
前記ボディ3は、前面3a、上面3b、下面3c、左右の側面3d及び背面3eを有した小厚さの扁平な直方体状をなす。直方体「状」であるから、必ずしも完全な直方体である必要はなく、例えばコーナが面取されたり、又は背面3eに円筒部3g(図5に示す)を突設させることができる。本実施形態のボディ3は、例えばアルミニウム合金から形成されているが、さらなる軽量化を図るために、例えば樹脂で形成することもできる。
【0023】
図5及び図6には、第1のガンユニット2Aのボディ3の縦断面図及び横断面図がそれぞれ示される。前記ボディ3には、塗料が吹き出される側をなす前面3aに開口10aを有する塗料流路10と、塗料吹付用の空気流路11と、塗料パターン形成用の空気流路12と、塗料の吹付操作用の空気流路13とが形成されている。本実施形態では、前記各流路10〜13は、ブロック状のボディ3に対して機械加工(切削加工)を施すことにより形成されている。
【0024】
前記塗料流路10は、前記開口10aからボディ3の後方へ略水平にのびる横部10Aと、該横部10Aに連なりかつボディ3の上面3bの開口10bにのびる縦部10Bとを含んで構成されている。
【0025】
本実施形態の塗料流路10は、例えば非塗装時でも所定の圧力でこの塗料流路10内に塗料を循環貯留させておくために、塗料の戻り流路10Cが設けられる。前記縦部10B及び戻り流路10Cは、それぞれボディ3の上面3bのほぼ中央に設けられた開口10b及び10cから斜め下方にのびて前記横部10Aに接続されている。従って、塗料流路10には、ボディ3の上面に設けられた開口10bから塗料が送給されるとともに、非塗装時では、塗料は戻り流路10Cを通ってボディ3の外部へと戻され得る。
【0026】
前記塗料吹付用の空気流路11は、ボディ3の上面3bに設けられた開口11aから下方にのびる縦部11Aと、該縦部11Aに連なりかつボディ3の前面3aに設けられた開口11bまで前にのびる横部11Bとから構成されている。なお、本実施形態では、ボディ3の前面3aに、前記塗料流路10の開口10aを囲むように円形にのびる周凹溝11cが形成されており、前記開口11bはこの周凹溝11c内で開口している。
【0027】
前記塗料パターン形成用の空気流路12は、ボディ3の上面3bに設けられた開口12aから下方にのびる縦部12Aと、該縦部12Aに連なりかつボディ3の前面に設けられた開口12bまで横方向(前後方向)にのびる横部12Bとから構成されている。なお、本実施形態では、前記横部12B及び開口12bは複数個(この例では3個)設けられており、かつ、開口12bは、ボディ3の前記周凹溝11cの外側で開口している。
【0028】
前記塗料ノズル部4は、図4に示されるように、ボディ3の前面3aに装着される正面視横長矩形の薄板状をなすプレート部4Aと、該プレート部4Aのほぼ中央で前側にコーン状で突出するノズル本体4Bとから構成されている。
【0029】
前記プレート部4Aには、ノズル本体4Bの左右両側にネジ止め用の孔4Cが形成されている。
【0030】
また、前記ノズル本体4Bは、図4〜図6に示されるように、先端に設けられた塗料吐出口4aと、後端に設けられた塗料入口4bと、これらの間4a、4bを連ねかつ塗料が通る先端孔4cとを含む。前記先端孔4cは、塗料流路10の前側の開口10aに連なり、前側に向かってテーパ状の縮径したノズル孔部を形成している。
【0031】
さらに、塗料ノズル部4には、ノズル本体4Bの周囲に、プレート部4Aを前後に貫通する第1の小孔4dが形成される。本実施形態において、第1の小孔4dは、塗料吐出口4aを中心とする円周線上にほぼ等間隔で複数個形成されている。また、図5及び図6に示されるように、第1の小孔4dの後方には、ボディ3の前面3aに設けられた前記周凹溝11cが連通している。これにより、塗料吹き付け用(霧化用)の空気流路11と、第1の小孔4dとは、前記周凹溝11cを介して連通する。
【0032】
また、本実施形態の塗料ノズル部4には、第1の小孔4dのさらに外側に、プレート部4Aを前後に貫通する第2の小孔4eが形成されている。本実施形態において、第2の小孔4eも、塗料吐出口4aを中心とする円周線上にほぼ等間隔で形成されている。さらに、図5及び図6に示されるように、塗料ノズル部4の背面には、前記第2の小孔4eを連ねて円形にのびる周凹溝4fが形成される。さらに、この周凹溝4fには、ボディ3の前面3aに形成された塗料パターン形成用の空気流路12の開口12bと連通している。これにより、パターン形成用の空気流路12と第2の小孔4eとは、周凹溝4fを介して連通する。
【0033】
前記空気キャップ部5は、図4に示されるように、ボディ3の前部に装着される正面視横長矩形の薄板状をなすプレート部5Aと、該プレート部5Aのほぼ中央で前記ノズル本体4Bと隙間を隔てて覆う前側に隆起した隆起部5Bとを含んで構成される。
【0034】
前記プレート部5Aには、隆起部5Bの左右両側に、ネジ止め用の孔5Cが形成されている。そして、空気キャップ部5及び塗料ノズル部4の各孔4C、5Cには、ネジ9が通され、ボディ3の前面3aに設けられたネジ孔3fに螺着される。これにより、ボディ3に、塗料ノズル部4及び空気キャップ部5が一体に固着される。このように、本実施形態の空気キャップ部5は、従来のようなリング状のナットキャップでボディ3に固着されるものではなく、ボディ3へ螺入するネジ9によってその前面3aに固着される。このため、空気キャップ部5は、ボディ3の扁平形状に合わせて極力小型化することが可能となり、より一層のガンユニット2の小型化及び軽量化を実現させるのに役立つ。
【0035】
前記隆起部5Bは、図5及び図6に示されるように、前記ノズル本体4Bを覆うとともに後部が開放されて構成される。また、隆起部5Bには、ノズル本体4Bの塗料吐出口4aを露出させる中央開口5aを有する。この中央開口5aは、ノズル本体4Bの先端外周部との間に、前記塗料吐出口4aを囲むように環状にのびるリング状の小隙間iを形成する。この小隙間iには、前記第1の小孔4dから送給される高圧空気が供給される。従って、ボディ3の上面3bに設けられた開口11aから供給された高圧空気は、塗料吹付用の空気流路11、周凹溝11c、及び第1の小孔4dを通って前記小隙間iから吹き出しされる。なお、本実施形態では、中央開口5aの両側部に、小孔5bが形成されており、そこからも高圧空気の一部が吹き出しされる。これらの空気は、塗料ノズル部4の塗料吐出口4aから吐出される塗料を霧化して吹き出しできる。
【0036】
また、空気キャップ部5の隆起部5Bには、塗料パターン(塗料の吹き付け形状)を調節するための空気を吐出する周知のパターン孔5cが、中央開口5aの左右両側にそれぞれ設けられる。従って、本実施形態の第1のガンユニット2Aからは縦長のパターン形状が得られる。また、前記パターン孔5cの後端は、図6に示されるように、継ぎ溝5fを介して、空気キャップ部5の背面に形成された円周方向にのびる周凹溝5dを介して塗料ノズル部4に設けられた第2の小孔4eの前端が接続されている。
【0037】
また、前記塗料ノズル部4の塗料吐出口4aは、針弁6によって開閉される。該針弁6は、前端部を先細状に尖らせた軸体からなり、その前側が前記塗料ノズル部4の先端孔4cに挿入される一方、後端部はボディ3内を後方にのびている。
【0038】
前記針弁6は塗料流路10の内径よりも小さく形成される。これにより、針弁6と塗料流路10との間の空間に前記開口10bから送られた塗料が貯留される。また、針弁6は、その前端部が、弁座をなす塗料ノズル部4の先端孔4cの内周面に接触することにより塗料吐出口4aを閉止でき、かつ、その位置から後方に移動することにより、塗料流路10内の塗料を塗料吐出口4aから外部に吐出させる。
【0039】
前記ボディ3には、図4及び図5に示されるように、軸方向に内径が適宜変化しながら後方にのび、ボディ3の背面3eに設けられた円筒部3gで開口する段付孔20が形成されている。この段付孔20は、針弁6の後端部を摺動可能に支持する。また、針弁6の後端側には、前記段付孔20に接するOリング21がスリーブ部材22によって保持される。
【0040】
また、針弁6のスリーブ部材22から後方に突出した部分には、該針弁6を前後に移動させるための操作手段7が設けられる。本実施形態の操作手段7は、針弁6の後端側に設けられたピストン部7aと、該ピストン部7aを摺動可能に収容するシリンダ室7bとを含み、空気圧を利用して針弁6を前後動させるものが採用される。
【0041】
前記ピストン部7aは、ロックナット7cにより針弁6の後端に固着される。またピストン部7aの外周面には、Oリング7dが装着される。これにより、針弁6は、前記円筒部3gの内周面に対して気密に接して摺動できる。
【0042】
前記シリンダ室7bは、円筒部3gの内周面及び円筒部3gに螺着されたエンドキャップ7eで囲まれる空間で形成される。また、シリンダ室7bは、ピストン部7aよりも前側の前室15aと、後側の後室15bとを含み、後室15bは空気抜き孔16によって常時大気へと開放されている。また、この後室15bには、ピストン部7aと前記エンドキャップ7eとの間に圧縮状態のバネ7fが配される。
【0043】
また、シリンダ室7bの前室15aには、吹付操作用の空気流路13が連通している。該吹付操作用の空気流路13は、例えば、ボディ3の上面3bに設けられた開口13aから下方にのびる縦部13Aと、該縦部13Aの下端と前記前室15aとの間を斜めに継ぐ斜部13Bとからなる。なお、前室15aは、前記Oリング21及び7dによって気密に構成されている。
【0044】
なお、ボディ3の上面には、マニホールド等を固着するネジ孔23が、また、ボディ3の下面3cには、第2のガンユニット2Bとの位置合わせを行うためのピンが差し込まれるピン孔24がそれぞれ形成されている。
【0045】
このような第1のガンユニット2Aの作用について述べる。先ず、非塗装時において、吹付操作用の空気流路13の開口13aは大気へ開放されている。これにより、ピストン部7aは、前記バネ7fにより前向きに付勢され、針弁6が塗料吐出口4aを閉止する。従って、塗料流路10に供給された塗料は、塗料吐出口4aから吐出されることなく戻り流路10Cへと戻る。
【0046】
他方、塗装時においては、塗料吹付用の空気流路11、塗料パターン形成用の空気流路12、及び塗料の吹付操作用空気流路13にそれぞれ高圧空気が供給される。これにより、空気キャップ部5の中央開口5aの小隙間iや、パターン孔5c、5bから高圧空気が吹き出しされる。また、操作手段7では、前室15aに供給された高圧空気により、ピストン部7aがバネ7fを圧縮しながら後方に移動し、針弁6の先端を塗料ノズル部4の先端孔4cから離間させる。これにより、塗料吐出口4aから塗料が吐出され、前記高圧空気によって所定のパターンに霧化吹き出しされる。なお、前室15aへの高圧空気の供給を絶つことにより、塗装が停止される。
【0047】
このように、本実施形態のガンユニット2Aは、操作手段7への高圧空気の供給により、塗料の噴霧、停止が自動で行われる。また、エンドキャップ7eのねじ込み量を調節することで、バネ7fの付勢力、ひいては針弁6の開き具合を調節できる。これにより、塗料の吐出量が微調整できる。
【0048】
図1から明らかなように、本実施形態の第1のガンユニット2Aにおいて、空気及び塗料の各供給口は、全て、ボディ3の上面3bに設けられる。従って、ホース等のジョイント作業等はボディ3の単一の面に対して行えば良い。従って、装着作業性や装置の小型化に役立つ。
【0049】
上記第1のガンユニット2Aで説明した前記塗料流路10、塗料吹付用の空気流路11、塗料パターン形成用の空気流路12及び塗料の吹付操作用空気流路13は、それぞれ第2及び第3のガンユニット2B及び2Cにもほぼ同様に設けられる。各流路10ないし13は、いずれも他のガンユニットの動作に影響を受けることなく、それぞれ独立して設けられる。従って、例えば第1のガンユニット2A、第2のガンユニット2B及び第3のガンユニット2Cを時系列的に順次作動させ、ウエットオンウエットの下塗り、中塗り及び上塗りを行うことはもとより、第1ないし第3の各ガンユニット2A〜2Cから同時に異なる種類の塗料を吹き出す混合吹きも行うことができる。
【0050】
さらに、本実施形態の自動スプレーガン1では、より一層の小型化を図るために、第2のガンユニット2Bの塗料流路10、塗料吹付用の空気流路11、塗料パターン形成用の空気流路12、及び塗料の吹付操作用空気流路13の少なくとも一つ(本実施形態では全部)は、第1のガンユニット2Aのボディ3を貫通して第2のガンユニットのボディ内へとのびている。
【0051】
同様に、第3のガンユニット2Cの塗料流路10、塗料吹付用の空気流路11、塗料パターン形成用の空気流路12、及び塗料の吹付操作用の空気流路13の少なくとも一つ(本実施形態では全部)は、第1のガンユニット2Aのボディ3及び第2のガンユニット2Bのボディ3をそれぞれ貫通して第3のガンユニット2Cのボディ3内にのびている。
【0052】
図7は、各ガンユニット2Aないし2Cの平面図である。また、図8(a)ないし(c)は、図2のそれぞれa−a、b−b及びc−c断面図である。さらに、図9は、図1のA−A断面図である。なお、図7中、符号Jは、3つのボディ3を結合する際のボルトが通るネジ孔を示している。
【0053】
図9に良く表されているように、第2のガンユニット2Bの塗料流路10の縦部10Bは、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第1縦部10B1と、上端が第1縦部10B1に連なりかつ下端が塗料流路10の横部10Aに連通する第2のガンユニット2Bのボディ3内をのびる第2縦部10B2とからなる。なお、第1縦部10B1の上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口10dとして解放されている。
【0054】
同様に、第2のガンユニット2Bの塗料流路10の戻り流路10Cも、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第1戻り流路10C1と、上端が第1戻り流路10C1に連なりかつ下端が塗料流路10の横部10Aに連通する第2のガンユニット2Bのボディ3内をのびる第2縦部10C2とからなる。なお、第1戻り流路10C1の上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口10eとして解放されている。
【0055】
さらに、第3のガンユニット2Cの塗料流路10の縦部10Bも、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第1縦部10B1と、上端が第1縦部に連なりかつ第2のガンユニット2Bのボディ3を上下に貫通する第2縦部10B2と、上端が第2縦部10B2に連なりかつ下端が塗料流路10の横部10Aに連通する第3のガンユニット2Cのボディ3内をのびる第3縦部10B3とからなる。なお、この第1縦部10B1の上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口10fとして解放されている。
【0056】
同様に、第3のガンユニット2Cの塗料流路10の戻り流路10Cも、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通してのびる第1戻り流路10C1と、上端が第1戻り流路10C1に連なりかつ第2のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第2戻り流路10C2と、上端が第2戻り流路10C2に連なりかつ下端が塗料流路10の横部10Aに連通する第3のガンユニット2Bのボディ3内をのびる第3縦部10C3とからなる。なお、この第1戻り流路10C1の上端も、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口10gとして解放されている。
【0057】
このように、本実施形態の自動スプレーガン1では、各ガンユニット2Aないし2Cの塗料流路10を、それぞれのガンユニット2Aないし2Cの直方体状のボディを利用してその内部に形成できる。しかも、各塗料流路10は、いずれも連通することなく独立して形成されているため、個々のガンユニット2Aないし2Cの個別動作何らを妨げることが無く、かつ、異なる種類の塗料の混ざりなどを防止できる点で好ましい。なお、図1に示されるように、各塗料流路10の上端側の開口10bないし10gは、上述の略V字状の流路を形成するために、横一列に配置される。
【0058】
図10には、第2及び第3のガンユニット2B及び2Cの塗料吹付用の空気流路11として、図1のB−B断面図が示される。
【0059】
第2のガンユニット2Bの塗料吹付用の空気流路11の縦部11Aは、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第1縦部11A1と、上端が第1縦部11A1に連なりかつ第2のガンユニット2Bのボディ3内を斜めにのびて下端が空気流路11の横部11Bに連通する第2縦部11A2とからなる。なお、この第1縦部11A1の上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口11fとして解放されている。
【0060】
また、第3のガンユニット2Cの塗料吹付用の空気流路11の縦部11Aは、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第1縦部11A1と、上端がこの第1縦部11A1に連なりかつ第2のガンユニット2Bのボディ3を上下に貫通する第2縦部11A2と、上端が第2縦部11A2に連なりかつ第3のガンユニット2Cのボディ3内を斜めにのびて下端が空気流路11の横部11Bに連通する第3縦部11A3とからなる。なお、この第1縦部11A1の上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口11gとして解放されている。
【0061】
なお、各空気流路11の上端側の開口11a、11f及び11gは、塗料流路10の各開口の前側に横一列で配置されている。
【0062】
さらに、図11には、第2及び第3のガンユニット2B及び2Cの塗料パターン形成用の空気流路12を示すものとして、図1のC−C断面図が示される。
【0063】
第2のガンユニット2Bの塗料パターン形成用の空気流路12の縦部12Aは、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第1縦部12A1と、上端が第1縦部12A1に連なりかつ第2のガンユニット2Bのボディ3内で終端する第2小縦部12A2とからなる。なお、この第1縦部12A1の上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口12eとして解放されている。また、本実施形態では、第2のガンユニット2Bの側面3dに、第2小縦部12A2を貫通するとともに、前記横部12Bまでのびる継ぎ孔12Cがドリルにより形成されている。そして、この継ぎ孔12Cの側面3d側は蓋部材Cで閉塞されている。
【0064】
また、第3のガンユニット2Cの塗料パターン形成用の空気流路12の縦部12Aは、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第1縦部12A1と、上端が第1縦部12A1に連なりかつ第2のガンユニット2Bのボディ3を上下に貫通する第2縦部12A2と、上端が第2縦部12A2に連なりかつ第3のガンユニット2Cのボディ3内で終端する第3小縦部12A3とからなる。なお、この第1縦部12A1の上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口12fとして解放されている。また、本実施形態では、第3のガンユニット2Bの側面3dにも、第3小縦部12A3を貫通するとともに、前記横部12Bまでのびる継ぎ孔12Cがドリルにより形成されている。そして、この継ぎ孔12Cも、その側面3d側は蓋部材Cで閉塞されている。
【0065】
なお、各空気流路12の上端側の開口12a、12e及び12fは、空気流路11の各開口の前側で横一列で配置されている。
【0066】
さらに、図12には、第2及び第3のガンユニット2B及び2Cの塗料の吹付操作用空気流路13を示すものとして、図1のD−D断面図が示される。
【0067】
第2のガンユニット2Bの塗料の吹付操作用の空気流路13は、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する縦部13Aと、上端が縦部13Aに連なりかつ第2のガンユニット2Bのボディ3内を斜めにのびて下端が前室15aに連通する斜部13Bとからなる。なお、この縦部13Aの上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口13eとして解放されている。
【0068】
また、第3のガンユニット2Cの塗料の吹付操作用の空気流路13も、縦部13Aと、上端がこの縦部13Aの下端に連通する斜部13Bとからなる。また、この縦部13Aは、第1のガンユニット2Aのボディ3を上下に貫通する第1縦部13Aと、上端が第1縦部13Aに連なりかつ第2のガンユニット2Bのボディ3内を上下に貫通してのびる第2縦部13A2とからなる。縦部13Aの上端は、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bで開口13fとして解放されている。
【0069】
なお、各空気流路13の上端側の開口13a、13e及び13fは、塗料流路10の各開口の後側で横一列で配置されている。
【0070】
このように、第1及び第2ガンユニット2A及び2Bのボディに、例えば切削加工によって各流路を形成することにより、接続ホースなどを省略でき、自動スプレーガン1をより小型化して使い勝手を高めることができる。
【0071】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1のガンユニット2Aの上面3bに、図13に示されるような例えば略直方体状のマニホールドMを装着することができる。なお、気密性を高めるために、マニホールドMとボディ3の上面との間には、ガスケット及び/又はOリングなどを介して接続されるのが望ましい。
【0072】
マニホールドMの底面Maには、第1のガンユニット2Aのボディ3の上面3bに設けられた各塗料流路10の開口10b、10c、10d、10e、10f及び10gや、空気流路11〜13の開口11a、11f、11g、12a、12e、12f、13a、13e及び13fにそれぞれ向き合うポートP1〜P15が形成されている。各ポートP1〜P15には、流路Q1〜Q15が連通しており、これらはマニホールドMの底面以外の面、この例では側面で開口している。そして、マニホールドMの側面に各種の空気ホースや塗料ホースが接続される。
【符号の説明】
【0073】
1 自動スプレーガン
2 ガンユニット
2A 第1のガンユニット
2B 第2のガンユニット
2C 第3のガンユニット
3 ボディ
3a 前面
4 塗料ノズル部
4a 塗料吐出口
4b 塗料入口
4c 先端孔
5 空気キャップ部
6 針弁
7 操作手段
10 塗料流路
11 塗料吹付用の空気流路
12 塗料パターン形成用の空気流路
13 塗料の吹付操作用空気流路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のガンユニットが一体に固着されて形成され、
各ガンユニットは、それぞれ独立した塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用の空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路を具えることを特徴とする複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガン。
【請求項2】
前記各ガンユニットは、小厚さの扁平な直方体状をなすボディを有し、該ボディをその厚さ方向に重ねて一体に固着されてなる請求項1記載の複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガン。
【請求項3】
前記ガンユニットは、第1のガンユニットと、該第1のガンユニットに固着された第2のガンユニットとを含み、
前記第2のガンユニットの塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用の空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路の少なくとも一つは、前記第1のガンユニットのボディを貫通して第2のガンユニットのボディ内にのびている請求項2記載の複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガン。
【請求項4】
前記ガンユニットは、第1のガンユニットと、該第1のガンユニットに固着された第2のガンユニットと、該第2のガンユニットに固着された第3のガンユニットとを含み、
前記第3のガンユニットの塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用の空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路の少なくとも一つは、前記第1のガンユニットのボディ及び前記第2のガンユニットのボディをそれぞれ貫通して第3のガンユニットのボディ内にのびている請求項2又は3記載の複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガン。
【請求項5】
前記各ガンユニットは、
前面で開口する塗料流路が内部に形成されたボディ、
このボディの前面に装着されて前記開口と連通しかつ先端を塗料吐出口とする先端孔が透設された塗料ノズル部、
前記塗料ノズル部の前側に取り付けられかつ塗料吹付用の空気を吐出する第1の空気吐出口と、塗料パターン形成用の空気を吐出しうる第2の空気吐出口とを有する空気キャップ部、
前記ボディの塗料流路内に前後動可能に配されかつ前記先端孔との接離により前記塗料吐出口を開閉しうる針弁、及び
前記ボディに内蔵されかつ前記針弁を前後動させる操作手段を有する請求項1乃至4のいずれかに記載の複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガン。
【請求項6】
前記塗料ノズル部及び空気キャップ部は、ボディの前面に設けたネジ孔に挿入されるネジにより固着される請求項5記載の複数種類の塗料吹付用のスプレーガン。
【請求項1】
複数個のガンユニットが一体に固着されて形成され、
各ガンユニットは、それぞれ独立した塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用の空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路を具えることを特徴とする複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガン。
【請求項2】
前記各ガンユニットは、小厚さの扁平な直方体状をなすボディを有し、該ボディをその厚さ方向に重ねて一体に固着されてなる請求項1記載の複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガン。
【請求項3】
前記ガンユニットは、第1のガンユニットと、該第1のガンユニットに固着された第2のガンユニットとを含み、
前記第2のガンユニットの塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用の空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路の少なくとも一つは、前記第1のガンユニットのボディを貫通して第2のガンユニットのボディ内にのびている請求項2記載の複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガン。
【請求項4】
前記ガンユニットは、第1のガンユニットと、該第1のガンユニットに固着された第2のガンユニットと、該第2のガンユニットに固着された第3のガンユニットとを含み、
前記第3のガンユニットの塗料流路、塗料吹付用の空気流路、塗料パターン形成用の空気流路、及び塗料の吹付操作用空気流路の少なくとも一つは、前記第1のガンユニットのボディ及び前記第2のガンユニットのボディをそれぞれ貫通して第3のガンユニットのボディ内にのびている請求項2又は3記載の複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガン。
【請求項5】
前記各ガンユニットは、
前面で開口する塗料流路が内部に形成されたボディ、
このボディの前面に装着されて前記開口と連通しかつ先端を塗料吐出口とする先端孔が透設された塗料ノズル部、
前記塗料ノズル部の前側に取り付けられかつ塗料吹付用の空気を吐出する第1の空気吐出口と、塗料パターン形成用の空気を吐出しうる第2の空気吐出口とを有する空気キャップ部、
前記ボディの塗料流路内に前後動可能に配されかつ前記先端孔との接離により前記塗料吐出口を開閉しうる針弁、及び
前記ボディに内蔵されかつ前記針弁を前後動させる操作手段を有する請求項1乃至4のいずれかに記載の複数種類の塗料吹付用の自動スプレーガン。
【請求項6】
前記塗料ノズル部及び空気キャップ部は、ボディの前面に設けたネジ孔に挿入されるネジにより固着される請求項5記載の複数種類の塗料吹付用のスプレーガン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−36787(P2011−36787A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185990(P2009−185990)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000155230)株式会社明治機械製作所 (23)
【出願人】(593081224)タクボエンジニアリング株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000155230)株式会社明治機械製作所 (23)
【出願人】(593081224)タクボエンジニアリング株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
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