複眼カメラ
【課題】動画撮影によりパノラマ画像が作成可能な複眼カメラにおいて、パノラマ画像の境界における不自然な見え方を解消する。
【解決手段】
所定方向にパンニングさせながら二つの撮影部10A,10Bでそれぞれ動画撮影を行う際に、一方の撮影部10Aの解像度を低く、フレームレートを高く設定し、他方の撮影部10Bの解像度を高く、フレームレートを低く設定する。一方の撮影部10Aで撮影された各低解像度フレーム画像LFを利用して、他方の撮影部10Bで撮影された高解像度フレーム画像HFを合成して高解像度パノラマ画像HPを作成する。
【解決手段】
所定方向にパンニングさせながら二つの撮影部10A,10Bでそれぞれ動画撮影を行う際に、一方の撮影部10Aの解像度を低く、フレームレートを高く設定し、他方の撮影部10Bの解像度を高く、フレームレートを低く設定する。一方の撮影部10Aで撮影された各低解像度フレーム画像LFを利用して、他方の撮影部10Bで撮影された高解像度フレーム画像HFを合成して高解像度パノラマ画像HPを作成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複眼カメラに関する。より詳しくは、複眼カメラをパンニングまたはチルティングさせながら動画撮影を行い、動画撮影で得られた動画の各フレーム画像を合成してパノラマ画像が作成できる複眼カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラをパンニングまたはチルティングさせながら動画撮影を行い、動画撮影で得られた動画からフレーム画像を抽出し、各フレーム画像を合成してパノラマ画像を作成する技術が知られている。ここで、動画とは、時系列的に連続する静止画であるフレーム画像群のことである。
【0003】
特許文献1には、動画撮影中に加わる加速度、撮影時間を三次元ジャイロセンサ等で測定し、これらの測定データを各フレーム画像に対応させて動画の画像データとして記録し、記録された動画の画像データから測定データを抽出して各フレーム画像を合成してパノラマ画像を作成できる撮影装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−128683
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
動画撮影によって得られた動画の画像データは、所定のデータレートでカメラ内の記録メディアに転送される。ここで、データレートとは単位時間あたりのデータの転送量であり、たとえば、フレーム画像の解像度、フレームレート等により決定される。すなわち、高解像度での動画撮影を行うためには、ある程度フレームレートを低くする必要がある。
【0006】
しかしながら、フレームレートを低くすると、隣接しあうフレーム画像間の重複部分も小さくなるため、各フレーム画像同士の位置合わせを精度良く行うことが困難になる。たとえば、小さい重複部分内に特徴部分が存在しない場合、フレーム画像同士の位置合わせは特に困難になる。フレーム画像同士の位置合わせが精度良く行えないことにより、パノラマ画像内の隣接するフレーム画像の境界に位置ずれが生じてパノラマ画像が不自然に見える虞がある。
【0007】
特許文献1に記載されている技術では、各種センサの測定情報による位置合わせは可能であるが、より高精度な画素単位レベルでの位置合わせは困難である。本発明者は、パノラマ画像内の境界での位置ずれを低減させる方法を鋭意検討する過程において、二つの撮影部を有する複眼カメラに着目し、各撮影部からの動画の画像データをそれぞれ利用してパノラマ画像における境界の位置ずれを抑える方法を見出した。
【0008】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、フレーム画像同士の高精度な位置合わせを行い、パノラマ画像の不自然な見え方を解消できる複眼カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の複眼カメラは、所定距離離れた異なる視点から被写体を撮影する二つの撮影部を一体的に備え、所定方向にパンニングさせながら二つの撮影部でそれぞれ動画撮影を行うことが可能な複眼カメラであって、二つの撮影部の解像度およびフレームレートをそれぞれ設定する動画設定部と、二つの撮影部のうち、一方の撮影部の解像度を低く、フレームレートを高く、他方の撮影部の解像度を高く、フレームレートを低く設定するよう、動画設定部を制御する動画制御部と、一方の撮影部で撮影された低解像度フレーム画像を利用して、他方の撮影部で撮影された高解像度フレーム画像を合成して高解像度パノラマ画像を作成するパノラマ合成部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
ここで、「解像度を低く」とは、装置で設定可能な解像度の中で低い解像度にすることを意味し、たとえば、解像度としてVGA(640×480画素)や、HD(1366×768画素)が設定可能である場合に、VGA(640×480画素)または、それよりも低い解像度に設定することを意味する。上記「解像度を高く」とは、同様に装置で設定可能な解像度の中で高い解像度にすることを意味し、上記の例において、HD(1366×768画素)や、それを越える3M(2048×1531画素)等に設定する意味である。
【0011】
上記「フレームレートを高く」とは、装置で設定可能なフレームレートの中で高いフレームレートにすることを意味し、たとえば、フレームレートとして5fpsや、30fpsが設定可能である場合に、30fpsまたは、それを越えるフレームレートに設定することを意味する。上記「フレームレートを低く」とは、同様に、装置で設定可能なフレームレートの中で低いフレームレートにすることを意味し、上記の例において、5fpsや、それより低いフレームレートに設定することを意味する。
【0012】
また、本発明の複眼カメラは、パノラマ合成部が、一方の撮影部で撮影された低解像度フレーム画像を合成して低解像度パノラマ画像を作成し、この低解像度パノラマ画像に、他方の撮影部で撮影された高解像度フレーム画像を一致させて高解像度パノラマ画像を作成するものであってもよい。
【0013】
また、本発明の複眼カメラは、パノラマ合成部が、隣接しあう一方の撮影部で撮影された低解像度フレーム画像間の相対位置を取得し、この取得された相対位置から他方の撮影部で撮影された高解像度フレーム画像間の相対位置を算出して高解像度パノラマ画像を作成するものであってもよい。
【0014】
本発明の複眼カメラは、パンニングの方向を検出するパンンング方向検出部をさらに備え、動画制御部が、二つの撮影部のうち、パンニング方向先方側の撮影部の解像度を低く、フレームレートを高く、後方側の撮影部の解像度を高く、フレームレートを低く設定するよう、動画設定部を制御するものであってもよい。
【0015】
本発明の複眼カメラは、動画制御部が、動画撮影の開始時および/または終了時の撮影に際し、二つの撮影部の解像度をともに高く設定し、高解像度パノラマ画像に動画撮影の開始時および/または終了時に二つの撮影部で撮影された高解像度の両フレーム画像をさらに合成して高解像度パノラマ画像を作成するよう、動画設定部およびパノラマ合成部を制御可能なものであってもよい。
【0016】
また、本発明の複眼カメラは、動画制御部が、チルティングの場合に、二つの撮影部の解像度を高く、フレームレートを低く設定し、二つの撮影部で撮影された各高解像度フレーム画像を合成して高解像度パノラマ画像を作成するよう、動画設定部およびパノラマ合成部を制御可能なものであってもよい。
【0017】
また、本発明の複眼カメラは、一方の撮影部で撮影された動画を表示する表示部をさらに備えているものであってもよい。
【0018】
また、本発明の複眼カメラは、表示部が、パノラマ合成部により作成された高解像度パノラマ画像の合成結果をさらに表示するものであってもよい。ここで、「合成結果」とは、高解像度パノラマ画像の合成の進捗状況を意味するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の複眼カメラによれば、所定距離離れた異なる視点から被写体を撮影する二つの撮影部を一体的に備え、所定方向にパンニングさせながら二つの撮影部でそれぞれ動画撮影を行うことが可能な複眼カメラであって、二つの撮影部の解像度およびフレームレートをそれぞれ設定する動画設定部と、二つの撮影部のうち、一方の撮影部の解像度を低く、フレームレートを高く設定し、他方の撮影部の解像度を高く、フレームレートを低く設定するよう、動画設定部を制御する動画制御部と、一方の撮影部で撮影された低解像度フレーム画像を利用して、他方の撮影部で撮影された高解像度フレーム画像を合成して高解像度パノラマ画像を作成するパノラマ合成部とを備えていることにより、重複部分が大きく、高精度の位置合わせが可能な低解像度フレームを利用して、高解像度フレーム画像同士の高精度な位置合わせが可能となり、パノラマ画像の不自然な見え方を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態の複眼カメラの内部構成を示す概略ブロック図
【図2】第1の実施形態において行われる処理を示す図
【図3】第1の実施形態におけるパノラマ合成処理を示す図
【図4】第2の実施形態において行われる処理を示す図
【図5】第2の実施形態におけるパノラマ合成処理を示す図
【図6】第3の実施形態の複眼カメラの内部構成を示すブロック図
【図7】第3の実施形態において行われる処理を示す図
【図8A】第4の実施形態において行われる処理を示す図(その1)
【図8B】第4の実施形態において行われる処理を示す図(その2)
【図9】第4の実施形態におけるパノラマ合成処理を示す図
【図10】第5の実施形態において行われる処理を示す図
【図11】第5の実施形態におけるパノラマ合成処理を示す図
【図12】第6の実施形態において行われる処理を示す図
【図13】第7の実施形態において行われる処理を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態である複眼カメラ1の内部構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように複眼カメラ1は、レリーズボタンおよびモードダイヤル等を含む操作部2を有する。
【0022】
撮影部10A,10Bは、所定距離離れた異なる視点から被写体Mを撮影するよう、所定距離離れて複眼カメラ1に一体的に固設されている。なお、本実施形態において、複眼カメラ1はパンニングされるものであり、撮影部10Aがパンニング方向先方側、撮影部10Bがパンニング方向後方側にそれぞれ固設されているものとする。
【0023】
撮影部10A,10Bは、フォーカスレンズおよびズームレンズからなる撮影レンズ12A,12Bを有する。撮影レンズ12A,12Bを構成するフォーカスレンズおよびズームレンズは、レンズ駆動部13A,13Bによって光軸方向に移動可能である。
【0024】
絞り14A,14Bは絞り駆動部15A,15Bによって駆動される。絞り駆動部15A,15Bは、後述するAE/AWB処理部31から出力される絞り値データに基づいて絞り径の調整を行う。
【0025】
シャッタ16A,16Bはメカニカルシャッタであり、シャッタ駆動部17A,17Bによって駆動される。シャッタ駆動部17A,17Bは、不図示のレリーズボタンが押されることにより発生する信号と、後述するAE/AWB処理部31から出力されるシャッタスピードとに応じてシャッタ16A,16Bの開閉制御を行う。
【0026】
シャッタ16A,16Bの後方には撮像素子であるCCD18A,18Bを有している。CCD18A,18Bは、多数の受光素子を二次元的に配列した光電面を有しており、撮影レンズ12A,12B等の光学系を通過した被写体光がこの光電面に結像し、光電変換される。光電面の前方には、各画素に光を集光するためのマイクロレンズアレイと、R,G,B各色のフィルタが規則的に配列されたカラーフィルタアレイとが配置されている。
【0027】
CCD18A,18Bは、CCD制御部19A,19Bから供給される垂直転送クロックおよび水平転送クロックに同期して、画素毎に蓄積された電荷を1ラインずつシリアルなアナログ撮影信号として出力する。各画素において電荷を蓄積する時間、すなわち露光時間は、CCD制御部19A,19Bから与えられる電子シャッタ駆動信号によって決定される。また、CCD18A,18BはCCD制御部19A,19Bにより、予め定められた大きさのアナログ撮影信号が得られるようにゲインが調整されている。
【0028】
CCD18A,18Bから取り込まれたアナログ撮影信号は、アナログ信号処理部20A,20Bに入力される。アナログ信号処理部20A,20Bは、アナログ信号のノイズを除去する相関二重サンプリング回路(CDS)と、アナログ信号のゲインを調整するオートゲインコントローラ(AGC)と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ(ADC)とからなる。なお、アナログ信号処理部20A,20Bが行う処理をアナログ信号処理とする。このデジタル信号に変換された画像データは、画素毎にR,G,Bの濃度値を持つCCD−RAWデータである。
【0029】
タイミングジェネレータ21A,21Bは、タイミング信号を発生させるものであり、このタイミング信号をシャッタ駆動部17A,17B、CCD制御部19A,19B、アナログ信号処理部20A,20Bに供給することにより、レリーズボタンの操作、シャッタの開閉、CCD18A,18Bの電荷の取り込み、およびアナログ信号処理部20A,20Bの処理の同期をとっている。
【0030】
画像入力コントローラ25は、アナログ信号処理部20A,20Bから入力されたCCD−RAWデータをフレームメモリ26に書き込むものである。フレームメモリ26は、画像データに対して後述の各種画像処理(信号処理)を行う際に使用する作業用メモリであり、たとえば、一定周期のバスクロック信号に同期してデータ転送を行うSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)が使用される。
【0031】
表示制御部27は、フレームメモリ26に格納された画像データをスルー画としてモニタ28に表示させたり、再生時に記録メディア35に保存されている静止画や動画を表示させたりするものである。
【0032】
AF処理部30およびAE/AWB処理部31は、プレ画像に基づいて撮影条件を決定するものである。ここで、プレ画像とは、不図示のレリーズボタンが半押しされることによって発生する半押し信号を検出した後述する撮影制御部42がCCD18A,18Bにプレ撮影を実行させた結果、フレームメモリ26に格納された画像データにより表される画像である。
【0033】
AF処理部30は、プレ画像に基づいて焦点距離を検出し、フォーカス駆動量データを出力する(AF処理)。焦点位置の検出方式としては、たとえば、所望とする被写体Mにピントがあった状態では画像のコントラストが高くなるという特徴を利用して合焦位置を検出するパッシブ方式が考えられる。
【0034】
AE/AWB処理部31は、ブレ画像に基づいて被写体輝度を測定し、測定した被写体輝度に基づいて、撮影した画像が所望とする明るさになるように、ISO感度、絞り値およびシャッタスピード等を決定し、ISO感度データ、絞り値データおよびシャッタスピードデータを露出設定値として決定するとともに(AE処理)、撮影時のホワイトバランスを自動調整する(AWB処理)。
【0035】
画像処理部32は、画像データに対して、階調補正、シャープネス補正、色補正等の画質補正処理、およびCCD−RAWデータを輝度信号であるYデータと、青色色差信号であるCbデータおよび赤色色差信号であるCrデータとからなるYCデータに変換するYC処理を行う。なお、画像処理部32は、動画撮影により得られた動画の画像データに対しても必要な処理を行う。
【0036】
圧縮/伸長処理部33は、画像処理部32によって処理が行われた本画像の画像データに対して、たとえば、JPEG等の圧縮形式で圧縮処理を行い、画像ファイルを作成する。この画像ファイルには、EXifフォーマット等に基づいて、撮影日時等の付帯情報が格納されたタグが付加される。また、動画撮影モードにおける撮影時には、圧縮/伸長処理部は、動画撮影で得られた動画の画像データをモーションJPEG,MPEG1,2,4およびH.264等の圧縮方式にて圧縮し、動画の画像ファイルを作成する。
【0037】
メディア制御部34は、記録メディア35にアクセスして動画の画像ファイルを含む画像ファイルの書き込みと読み込みの制御を行う。また、メディア制御部34は、記録メディア35の容量を取得する。
【0038】
内部メモリ36は、複眼カメラ1において設定される各種定数、および撮影制御部42が実行するプログラム等を記録する。
【0039】
入出力部37は、傾きを検出する三次元ジャイロ38および方向を含む加速度を検出する三次元加速度センサ39からの測定情報を取り組むものである。
【0040】
動画設定部40は、動画撮影を行う際に、後述する撮影制御部42の指示に従って、撮影部10A,10Bからの各動画の画像データに対して解像度およびフレームレートを設定するものである。たとえば、動画設定部40は撮影部10A,10Bに対し、VGA(640×480画素)、HD(1366×768画素)および3M(2048×1531画素)の設定が可能であり、フレームレート5fpsおよび30fpsの設定が可能なものである。本明細書で説明する実施形態については、一例としてVGA(640×480画素)を低解像度、HD(1366×768画素)を高解像度、5fpsを低フレームレートおよび30fpsを高フレームレートとして説明する。なお、動画設定部40が、撮影部10A,10Bの解像度およびフレームレートをどのように設定するかについては後で詳細に説明する。
【0041】
複眼カメラ1は、動画撮影により得られた動画からパノラマ画像を作成することが可能である。ここで、本明細書の実施形態では、動画からパノラマ画像を作成する際には、隣接しあうフレーム画像は必ず重複部分を有するものとする。また、特に説明のない限り、本明細書の実施形態におけるパノラマ画像を作成する動画撮影は、複眼カメラ1をパンニングしながら撮影するものとする。
【0042】
パノラマ合成部41は、撮影部10A,10Bで動画撮影された動画の画像データからフレーム画像のデータを分離し、各フレーム画像のデータに対して、フレーム画像の重複分を位置合わせしてパノラマ画像を作成する画像処理を施すものである。なお、パノラマ合成部41が、撮影部10A,10Bで撮影されたフレーム画像をどのように合成してパノラマ画像を作成しているかについては後で詳細に説明する。
【0043】
撮影制御部42は各種処理部からの信号に応じて複眼カメラ1の本体各部を制御するものである。また、撮影制御部42は、動画撮影モードの指示、パノラマ画像作成の指示およびパンニングまたはチルティングであるかの指示等の設定を操作部2から受け付ける。この設定結果は内部メモリ36に記憶される。なお、撮影制御部42が動画撮影時の本体各部を制御する動画制御部でもあることは言うまでもない。
【0044】
撮影制御部42は、撮影部10A,10Bの解像度およびフレームレートを設定し、撮影部10A,10Bで撮影された動画からフレーム画像を分離し、パノラマ画像を作成するよう、動画設定部40およびパノラマ合成部41を含む複眼カメラ1の各部を制御する。
【0045】
データバス43は、各種処理部、フレームメモリ26および撮影制御部42に接続されており、画像データおよび各種指示等のやり取りを行う。
【0046】
次いで、第1の実施形態において行われる処理について説明する。図2は第1の実施形態において行われる処理を示す図、図3は第1の実施形態におけるパノラマ合成処理を示す図である。不図示のモードダイヤルを操作してパノラマ画像が作成可能な動画モードに設定することにより、撮影制御部42が、パノラマ画像を作成する動画撮影に関する各部の処理を開始する。
【0047】
撮影制御部42は、撮影部10Aを低解像度且つ高フレームレートに設定し、撮影部10Bを高解像度且つ低フレームレートに設定するよう、動画設定部40を制御する。動画設定部40は、予め記録されている解像度およびフレームレートの設定値から、撮影部10Aを低解像度且つ高フレームレート、撮影部10Bを高解像度且つ低フレームレートに設定する。本願の実施形態では、前述の通り、一例としてVGA(640×480画素)を低解像度、HD(1366×768画素)を高解像度、5fpsを低フレームレートおよび30fpsを高フレームレートとする。
【0048】
撮影制御部42は、ユーザが不図示のレリーズボタンを押すことにより、動画撮影を開始するよう、撮影部10A,10Bを制御し、撮影部10A,10Bが動画撮影を開始する。動画撮影中において、撮影制御部42は、撮影部10Aで撮影された低解像度フレーム画像LFから低解像度パノラマ画像LPを作成し、この低解像度パノラマ画像LPに、撮影部10Bで撮影された各高解像度フレーム画像HFを一致させることにより、高解像度パノラマ画像HPを作成するよう、パノラマ合成部41を制御する。
【0049】
パノラマ合成部41は、撮影部10Aで撮影された動画の画像データから最初に撮影された低解像度フレーム画像LF1の画像データを分離し、次に時系列的に連続することにより、隣接する低解像度フレーム画像LF2の画像データを分離させる。パノラマ合成部41は、低解像度フレーム画像LF1,LF2の各画像データに対して、低解像度フレーム画像LF1,LF2を左右方向および上下方向に移動させる画像処理を行い、低解像度フレーム画像LFの重複部分CPを一致させて位置合わせする。図3に示すように、高フレームレートの撮影部10Aで撮影された低解像度フレーム画像LF1,LF2は重複部分CPが大きく、精度良く位置合わせがされる。
【0050】
パノラマ合成部41は、重複部分CPが一致した状態で低解像度フレーム画像LF1,LF2を合成して低解像度パノラマ画像LP1を作成する画像処理を行う。動画撮影中にパノラマ合成部41は、低解像度フレーム画像LF3,4,,の画像データを動画の画像データから順次分離し、作成済みの低解像度パノラマ画像LP1,2,,の画像データと分離した低解像度フレーム画像LF3,4,,の画像データとに対して上記の処理を繰り返すことにより、低解像度パノラマ画像LPの画格を順次広げる。
【0051】
パノラマ合成部41は、撮影部10Bで撮影された動画の画像データから高解像度フレーム画像HF1の画像データを分離し、高解像度フレーム画像HF1の画像データと低解像度パノラマ画像LPの画像データに対して、両画像を左右方向および上下方向に移動させる画像処理を行い、両画像の重複部分CPを一致させて位置合わせする。
【0052】
パノラマ合成部41は、隣接する高解像度フレーム画像HF2の画像データを分離し、同様に、高解像度フレーム画像HF2と低解像度パノラマ画像LPの重複部分CPを一致させて位置合わせする。パノラマ合成部41は、高解像度フレーム画像HF1,HF2を低解像度パノラマ画像LPの重複部分CPと一致させた状態で高解像度フレーム画像HF1,HF2を合成して高解像度パノラマ画像HP1を作成する画像処理を行う。
【0053】
動画撮影中にパノラマ合成部41は、低解像度フレーム画像LF3,4,,の画像データを動画の画像データから順次分離し、作成済みの低解像度パノラマ画像LP1,2,,の画像データと分離した低解像度フレーム画像LF3,4,,の画像データに対して上記の処理を繰り返すことにより、高解像度パノラマ画像HPの画格を順次広げる
【0054】
撮影制御部42は、ユーザが不図示のレリーズボタンをリリースすることにより、動画撮影を終了させる。また、撮影制御部42は、入出力部37からの三次元ジャイロ38および三次元加速度センサ39からの測定情報を使用して、パンニングが終了していると判断した場合、ユーザが設定した画格範囲の動画撮影が終了したと判断した場合および360度のパンニングが終了したと判断した場合に、動画撮影を終了させてもよい。
【0055】
第1の実施形態においては、動画撮影中に、低解像度パノラマ画像LPおよび高解像度パノラマ画像HPを作成しているが、動画撮影終了後に、低解像度パノラマ画像LPおよび高解像度パノラマ画像HPを作成するようにしてもよい。この場合、低解像度パノラマ画像LPを作成した後、高解像度パノラマ画像HPの作成を開始してもよく、ある程度、低解像度パノラマ画像LPを作成した段階で高解像度パノラマ画像HPの作成を開始してもよい。なお、撮影制御部42の処理の開始、動画撮影の開始および動画撮影の終了は、他の実施形態においても同じであり、以下に述べる実施形態での説明では省略する。
【0056】
このように、上記第1の実施形態によれば、低解像度フレーム画像LFを使用して低解像度パノラマ画像LPを作成し、この低解像度パノラマ画像LPに高解像度フレーム画像HFを一致させることにより、高解像度フレーム画像HFを高精度に位置合わせして高解像度パノラマ画像HPの作成が可能である。これにより、高解像度パノラマ画像HPが不自然に見えることを解消できる。また、上記第1の実施形態によれば、撮影部10A,10Bのフレームレート差を気にすることなく、高解像度パノラマ画像HPの作成が可能である。
【0057】
次いで、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態による複眼カメラ1は、第1の実施形態による複眼カメラ1と同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、構成についての詳細な説明は省略する。
【0058】
次いで、第2の実施形態において行われる処理について説明する。図4は第2の実施形態において行われる処理を示す図、図5は第2の実施形態におけるパノラマ合成処理を示す図である。なお、第2の実施形態においては、パノラマ合成部41および撮影制御部42のパノラマ合成部41に対する処理のみが相違するため、相違する処理についてのみ説明して他の処理ついての詳細な説明を省略する。
【0059】
本実施形態では、前述の通り、低フレームレートが30fps、高フレームレートが5fpsである。また、高解像度フレーム画像HF1,HF2,HF3,の撮影タイミングが低解像度フレーム画像LF1,LF7,LF13,の撮影タイミングと一致するように互いに同期しているものする。すなわち高解像度フレーム画像HFが撮影され、次の高解像度フレーム画像HFが撮影されるまでの間に6枚の低解像度フレーム画像LFが撮影される。
【0060】
撮影制御部42は、動画撮影中において、撮影部10Aで撮影された低解像度フレーム画像LFから低解像度フレーム画像LF間の相対位置を算出し、この低解像度フレーム画像LF間の相対位置から高解像度フレーム画像HF間の相対位置を算出して、この高解像度フレーム画像HF間の相対位置を使用して高解像度パノラマ画像HPを作成するよう、パノラマ合成部41を制御する。
【0061】
パノラマ合成部41は、第1の実施形態と同様に、撮影部10Aで撮影された動画の画像データから最初の低解像度フレーム画像LF1の画像データを分離し、次に隣接する低解像度フレーム画像LF2の画像データを分離する。
【0062】
パノラマ合成部41は、各低解像度フレーム画像LF1,LF2の画像データに対して重複部分CPを検出する画像処理を行い、この重複部分CP内の特徴領域の画素の座標から低解像度フレーム画像LF間の相対位置を算出する。具体的に、パノラマ合成部41は、図5に示すように、各低解像度フレーム画像LF1,LF2の左下を原点とする1画素単位での座標系を設定し、重複部分CP内の特徴部分が、低解像度フレーム画像LF1では(X1,Y1)座標の画素、低解像度フレーム画像LF2では(X2,Y2)座標の画素に表示されていた場合に、(X2,Y2)から(X1,Y1)を差分して低解像度フレーム画像LF2の低解像度フレーム画像LF1に対する相対位置(ΔX1,ΔY1)を算出する。
【0063】
動画撮影中にパノラマ合成部41は、低解像度フレーム画像LF3,4,,の画像データを動画の画像データから順次分離して上記の処理を繰り返すことにより、低解像度フレーム画像LF間の相対位置(ΔX1,ΔY1),(ΔX2,ΔY2),,,(ΔXn,ΔYn)を順次算出する。
【0064】
パノラマ合成部41は、算出された低解像度フレーム画像LF間の相対位置から高解像度フレーム画像HF間の相対位置を算出する。低解像度フレーム画像LF間の相対位置(ΔX1,ΔY1)から(ΔX6,ΔY6)までを加算し、解像度違いによる画素比率を換算して高解像度フレーム画像HF1,HF2の相対位置を算出する。パノラマ合成部41は上記の処理を繰り返して高解像度フレーム画像HFの相対位置を順次算出する。
【0065】
パノラマ合成部41は、算出された高解像度フレーム画像HFの相対位置を使用して、高解像度フレーム画像HFを重ね合わせて合成することにより、高解像度パノラマ画像HPを作成する。
【0066】
なお、上記の第2の実施形態において、仮に撮影部10A,10Bの撮影タイミングが同期していない場合、高解像度フレーム画像HF1,HF2間のパンニング方向と垂直な方向の位置合わせに関しては、低解像度フレーム画像LF間の相対位置ΔY1からΔY6までの平均値と、ΔY7からΔY12までの平均値とを差分した値を使用して、高解像度フレーム画像HF1,HF2間のパンニング方向に垂直な方向の位置合わせをしてもよい。
【0067】
このように、上記第2の実施形態によれば、低解像度フレーム画像LFを使用して低解像度フレーム画像LF間の相対位置が算出し、低解像度フレーム画像LF間の相対位置から高解像度フレーム画像HF間の相対位置をさらに算出することにより、高解像度フレーム画像HF同士を精度良く位置合わせして高解像度パノラマ画像HPの作成が可能である。これにより、高解像度パノラマ画像HPが不自然に見えることを解消できる。また、上記第2の実施形態によれば、低解像度フレーム画像LFの画像データに対して低解像度パノラマ画像LPの作成する画像処理を施す必要がなく、短時間で高解像度パノラマ画像HPの作成が可能となる。
【0068】
次いで、本発明の第3の実施形態について説明する。図6は本発明の第3の実施形態である複眼カメラ1の内部構成を示す概略ブロック図である。第3の実施形態による複眼カメラ1は、図6に示す通り、パンニング方向判別部44を備えている点においてのみ第1の実施形態の構成と相違するため、相違する構成についてのみ説明し、他の構成についての詳細な説明を省略する。
【0069】
パンニング方向判別部44は、ユーザによるパンニング方向の設定、各種センサからの測定情報および動画撮影開始直前のスルー画の画像処理によってパンニングの方向を判別するものである。
【0070】
複眼カメラ1の動作モードがパノラマ画像作成する動画モードに設定された際、パンニング方向も設定された場合は、パンニング方向判別部44は、設定されたパンニング方向を撮影制御部42に供給する。
【0071】
また、パンニング方向が未設定の場合は、動画撮影の開始直前に複眼カメラ1を一定時間一定方向にパンニングさせることにより、パンニング方向判別部44は、入出力部37からの測定情報によりパンニング方向を判別して撮影制御部42に供給することもできる。
【0072】
さらに、パンニング方向が未設定の場合は、動画撮影を開始に複眼カメラ1を一定時間一定方向にパンニングさせることにより、パンニング方向判別部44は、スルー画の画像データの動きベクトルによりパンニング方向を判別して撮影制御部42に供給することもできる。
【0073】
次いで、第3の実施形態において行われる処理について説明する。図7は第3の実施形態において行われる処理を示す図である。なお、第3の実施形態においては、パンニング方向判別部44の処理、撮影制御部42の動画設定部40への処理のみが第1または第2の実施形態と相違するため、相違する処理についてのみ説明し、他の処理についての詳細な説明を省略する。
【0074】
パンニング方向判別部44は、パノラマ画像を作成する動画モードが設定された後、前述の通り、パンニング方向の設定、動画撮影直前の測定情報およびスルー画像の画像処理により、パンニング方向を判別する。パンニング方向判別部44は、判別されたパンニング方向を撮影制御部42に供給する。
【0075】
撮影制御部42は、図7に示すように、供給されたパンニング方向の情報からパンニング方向先方側の撮影部10Aを低解像度且つ高フレームレート、パンニング方向後方側の撮影部10Bを高解像度および低フレームレートに設定するよう、動画設定部40を制御する。
【0076】
このように、第3の実施形態における処理によれば、低解像度フレーム画像LFがパンニング方向先方側のフレーム画像になり、パンニング方向後方側の高解像度フレーム画像HFよりも早くパンニング方向先方の被写体Mを撮影することができるため、パノラマ合成部41が高解像度フレーム画像HFに対して第1または第2の実施形態のパノラマ合成処理を施す際に、必要な低解像度フレーム画像LFが既に撮影されていることにより、これらの処理を効率良く行うことができる。
【0077】
次いで、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、第4の実施形態による複眼カメラ1は、第1の実施形態による複眼カメラ1と同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、構成についての詳細な説明は省略する。
【0078】
次いで、本発明の第4の実施形態において行われる処理について説明する。図8Aおよび図8Bは第4の実施形態において行われる処理を示す図である。図9は第4の実施形態におけるパノラマ合成処理を示す図である。
【0079】
撮影制御部42は、動画撮影開始時および動画撮影終了時の撮影については、撮影部10A,10Bの解像度をともに高解像度に設定する。ここで、動画撮影開始時および動画撮影終了時の撮影とは、最初および最後のフレームレートの撮影のことである。撮影制御部42は、最初の動画撮影以降から最後の動画撮影前までの動画撮影については、第1の実施形態と同様に、撮影部10Aを低解像度且つ高フレームレートに設定し、撮影部10Bを高解像度且つ低フレームレートに設定するよう、動画設定部40を制御する。
【0080】
動画設定部40は、予め記録されている解像度およびフレームレートの設定値に基づいて、動画撮影開始時および動画撮影終了時の撮影については、撮影部10A,10Bをともに高解像度に設定し、最初の動画撮影以降から最後の動画撮影前までの動画撮影については、撮影部10Aを低解像度且つ高フレームレート、撮影部10Bを高解像度且つ低フレームレートに設定する。
【0081】
撮影制御部42は、撮影部10A,10Bで撮影開始時の高解像度フレーム画像HFを使用して、撮影開始時のパノラマ画像HPiを作成するよう、パノラマ合成部41を制御する。
【0082】
パノラマ合成部41は、撮影部10A,10Bで撮影された動画の画像データから最初の高解像度フレーム画像HPiの画像データを分離し、分離された高解像度フレーム画像HFiの画像データに対して、各高解像度フレーム画像HFiを左右方向および上下方向に移動させる位置合わせを行い、各高解像度フレーム画像HFiの重複部分CPを一致させて位置合わせする。パノラマ合成部41は、重複部分CPが一致した状態で高解像度フレーム画像HFi同士を合成して撮影開始時のパノラマ画像HPiを作成する。
【0083】
撮影制御部42は、撮影部10Aで撮影された低解像度フレーム画像LFを使用して、第1の実施形態または第2の実施形態と同様に、撮影部10Bで撮影された高解像度フレーム画像HFから高解像度パノラマ画像HPを作成するよう、パノラマ合成部41を制御する。パノラマ合成部41は、第1の実施形態または第2の実施形態と同様に、高解像度パノラマ画像HPを作成する。
【0084】
撮影制御部42は、撮影部10A,10Bで撮影終了時に撮影された高解像度フレーム画像HFeを使用して、撮影終了時のパノラマ画像HPeを作成するよう、パノラマ合成部41を制御する。パノラマ合成部41は、撮影開始時のパノラマ画像HPiと同様の処理を行い、撮影終了時のパノラマ画像HPeを作成する。
【0085】
撮影制御部42は、撮影開始時および撮影終了時のパノラマ画像HPi,HPeを高解像度パノラマ画像HPに合成するよう、パノラマ合成部41を制御する。パノラマ合成部41は、同様の処理により、撮影開始時のパノラマ画像HPiを高解像度パノラマ画像の撮影開始時側、撮影終了時のパノラマ画像HPeを高解像度パノラマ画像の撮影終了時側でそれぞれ合成して高解像度パノラマ画像HPの画格を広げる。なお、第4の実施形態における複眼カメラ1は、動画撮影開始時または動画撮影終了時のいずれか一方について、撮影部10A,10Bをともに高解像度に設定し、撮影開始時のパノラマ画像HPiまたは撮影終了時のパノラマ画像HPeを使用して高解像度パノラマ画像HPの画格を広げてもよい。
【0086】
このように、上記第4の実施形態によれば、動画撮影開始時および/または動画撮影終了時に撮影された高解像度フレーム画像HFi,HFeを使用して、高解像度パノラマ画像HPの画格を広げることが可能である。
【0087】
次いで、本発明の第5の実施形態について説明する。なお、第5の実施形態による複眼カメラ1は、第1の実施形態による複眼カメラ1と同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、構成についての詳細な説明は省略する。
【0088】
次いで、本発明の第5の実施形態において行われる処理について説明する。図10は第5の実施形態において行われる処理を示す図である。図11は第5の実施形態におけるパノラマ合成処理を示す図である。
【0089】
撮影制御部42は、不図示のモードダイヤルにより、チルティングによるパノラマ画像が作成可能な動画撮影モードが設定された場合、撮影部10A,10Bを高解像度且つ高フレームレートに設定するよう、動画設定部40を制御する。動画設定部40は、予め記録されている解像度およびフレームレートの設定値に基づいて、撮影部10A,10Bを高解像度且つ低フレームレートに設定する。
【0090】
撮影制御部42は、図10および図11に示すように、動画撮影中において、撮影部10Aで撮影された高解像度フレーム画像HFから高解像度パノラマ画像HPを作成し、撮影部10Bで撮影された高解像度フレーム画像HFからも高解像度パノラマ画像HPを作成し、最後に二つの高解像度フレーム画像HFを合成して高解像度パノラマ画像HPを作成するよう、パノラマ合成部41を制御する。
【0091】
パノラマ合成部41は、撮影部10Aで撮影された高解像度フレーム画像HFの画像データを分離し、次に隣接する高解像度フレーム画像HFの画像データを分離させる。パノラマ合成部41は、各高解像度フレーム画像HFの画像データに対して、各高解像度フレーム画像HFを左右方向および上下方向に移動させる位置合わせを行い、重複部分CPを一致させて位置合わせする。パノラマ合成部41は、重複部分CPが一致した状態で高解像度フレーム画像HF同士を合成して高解像度パノラマ画像HPを作成する。
【0092】
パノラマ合成部41は、撮影部10Aの動画の画像データから高解像度フレーム画像HFを分離し、作成済みの高解像度パノラマ画像HPの画像データと位置合わせして合成する処理を繰り返し、高解像度パノラマ画像HPの画格を広げる。パノラマ合成部41は、撮影部10Bで撮影された動画の画像データに対しても同じ処理を行う。
【0093】
パノラマ合成部41は、撮影部10Aで撮影された高解像度フレーム画像HFからなる高解像度パノラマ画像HPと撮影部10Bで撮影された高解像度フレーム画像HFからなる高解像度パノラマ画像HPとを位置合わせをした後、合成して高解像度パノラマ画像HPを作成する。なお、第5の実施形態において、撮影部10Aと撮影部10Bのフレーム画像の撮影タイミングは同一であり、同じタイミングで撮影された撮影部10Aのフレーム画像と撮影部10Bのフレーム画像は互いに重複部分CPを有するものとする。
【0094】
このように、上記第5の実施形態によれば、複眼カメラ1は、チルティングによる動画撮影によっても高解像度パノラマ画像HPを作成可能にできる。
【0095】
次いで、本発明の第6の実施形態について説明する。なお、第6の実施形態による複眼カメラ1は、第1の実施形態による複眼カメラ1と同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、構成についての詳細な説明は省略する。
【0096】
次いで、第6の実施形態において行われる処理について説明する。図12は第6の実施形態において行われる処理を示す図である。第6の実施形態においては、撮影部10Aで撮影された動画を表示部に表示させる処理のみが相違するため、相違する処理についてのみ説明して他の処理についての詳細な説明を省略する。
【0097】
表示制御部27は、図12に示す通り、撮影Aで撮影されている動画をモニタ28に表示させる。
【0098】
また、第6の実施形態による処理は、第2乃至第5の実施形態において適用可能である。さらに、第6の実施形態においては、低解像度パノラマ画像LPを表示させることにより、ユーザが高解像度パノラマ画像HPの構図を視認することもできる。
【0099】
このように、上記第6の実施形態によれば、ユーザが撮影部10Aで撮影された高フレームレートの動画をモニタ28で見ることにより、動画撮影中のパンニング速度の変動や、パンニング方向と垂直な方向の手ぶれ等を視認できるため、撮影部10A,10Bで撮影された各フレーム画像間における真の相対位置からの位置ずれが低減されて高精度の位置合わせが可能となる。
【0100】
次いで、本発明の第7の実施形態について説明する。なお、第6の実施形態による複眼カメラ1は、第1の実施形態による複眼カメラ1と同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、構成についての詳細な説明は省略する。
【0101】
次いで、本発明の第7の実施形態において行われる処理について説明する。図13は第7の実施形態において行われる処理を示す図である。なお、第7の実施形態においては、第6の実施形態における処理において、表示制御部27が、高解像度パノラマ画像HPの合成結果を表示する点のみが相違し、相違する処理についてのみ説明して他の処理についての詳細な説明を省略する。
【0102】
表示制御部27は、高解像度パノラマ画像HPの合成結果をモニタ28に表示することが可能なものである。ここで、合成結果とは高解像度パノラマ画像HPの合成状況である。第7の実施形態においては、図13に示す通り、第1の実施形態と同様の処理により、低解像度パノラマ画像LPを作成した後、この低解像度パノラマ画像LPに高解像度パノラマ画像HPの作成済みの範囲をマーキングしてモニタ28に表示する。なお、合成結果の表示方法は、動画撮影された画格に対する作成済み高解像度パノラマ画像HPの割合の数値表示やインジケータ表示等であってもよい。
【0103】
このように、上記第7の実施形態によれば、ユーザは動画撮影中に高解像度パノラマ画像HPの合成結果を確認しながら、動画撮影することができる。
【符号の説明】
【0104】
HF 高解像度フレーム画像
HP 高解像度パノラマ画像
LF 低解像度フレーム画像
LP 低解像度パノラマ画像
M 被写体
1 複眼カメラ
10 撮影部
28 モニタ
40 動画設定部
41 撮影制御部
42 パノラマ合成部
44 パンニング方向判別部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複眼カメラに関する。より詳しくは、複眼カメラをパンニングまたはチルティングさせながら動画撮影を行い、動画撮影で得られた動画の各フレーム画像を合成してパノラマ画像が作成できる複眼カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラをパンニングまたはチルティングさせながら動画撮影を行い、動画撮影で得られた動画からフレーム画像を抽出し、各フレーム画像を合成してパノラマ画像を作成する技術が知られている。ここで、動画とは、時系列的に連続する静止画であるフレーム画像群のことである。
【0003】
特許文献1には、動画撮影中に加わる加速度、撮影時間を三次元ジャイロセンサ等で測定し、これらの測定データを各フレーム画像に対応させて動画の画像データとして記録し、記録された動画の画像データから測定データを抽出して各フレーム画像を合成してパノラマ画像を作成できる撮影装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−128683
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
動画撮影によって得られた動画の画像データは、所定のデータレートでカメラ内の記録メディアに転送される。ここで、データレートとは単位時間あたりのデータの転送量であり、たとえば、フレーム画像の解像度、フレームレート等により決定される。すなわち、高解像度での動画撮影を行うためには、ある程度フレームレートを低くする必要がある。
【0006】
しかしながら、フレームレートを低くすると、隣接しあうフレーム画像間の重複部分も小さくなるため、各フレーム画像同士の位置合わせを精度良く行うことが困難になる。たとえば、小さい重複部分内に特徴部分が存在しない場合、フレーム画像同士の位置合わせは特に困難になる。フレーム画像同士の位置合わせが精度良く行えないことにより、パノラマ画像内の隣接するフレーム画像の境界に位置ずれが生じてパノラマ画像が不自然に見える虞がある。
【0007】
特許文献1に記載されている技術では、各種センサの測定情報による位置合わせは可能であるが、より高精度な画素単位レベルでの位置合わせは困難である。本発明者は、パノラマ画像内の境界での位置ずれを低減させる方法を鋭意検討する過程において、二つの撮影部を有する複眼カメラに着目し、各撮影部からの動画の画像データをそれぞれ利用してパノラマ画像における境界の位置ずれを抑える方法を見出した。
【0008】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、フレーム画像同士の高精度な位置合わせを行い、パノラマ画像の不自然な見え方を解消できる複眼カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の複眼カメラは、所定距離離れた異なる視点から被写体を撮影する二つの撮影部を一体的に備え、所定方向にパンニングさせながら二つの撮影部でそれぞれ動画撮影を行うことが可能な複眼カメラであって、二つの撮影部の解像度およびフレームレートをそれぞれ設定する動画設定部と、二つの撮影部のうち、一方の撮影部の解像度を低く、フレームレートを高く、他方の撮影部の解像度を高く、フレームレートを低く設定するよう、動画設定部を制御する動画制御部と、一方の撮影部で撮影された低解像度フレーム画像を利用して、他方の撮影部で撮影された高解像度フレーム画像を合成して高解像度パノラマ画像を作成するパノラマ合成部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
ここで、「解像度を低く」とは、装置で設定可能な解像度の中で低い解像度にすることを意味し、たとえば、解像度としてVGA(640×480画素)や、HD(1366×768画素)が設定可能である場合に、VGA(640×480画素)または、それよりも低い解像度に設定することを意味する。上記「解像度を高く」とは、同様に装置で設定可能な解像度の中で高い解像度にすることを意味し、上記の例において、HD(1366×768画素)や、それを越える3M(2048×1531画素)等に設定する意味である。
【0011】
上記「フレームレートを高く」とは、装置で設定可能なフレームレートの中で高いフレームレートにすることを意味し、たとえば、フレームレートとして5fpsや、30fpsが設定可能である場合に、30fpsまたは、それを越えるフレームレートに設定することを意味する。上記「フレームレートを低く」とは、同様に、装置で設定可能なフレームレートの中で低いフレームレートにすることを意味し、上記の例において、5fpsや、それより低いフレームレートに設定することを意味する。
【0012】
また、本発明の複眼カメラは、パノラマ合成部が、一方の撮影部で撮影された低解像度フレーム画像を合成して低解像度パノラマ画像を作成し、この低解像度パノラマ画像に、他方の撮影部で撮影された高解像度フレーム画像を一致させて高解像度パノラマ画像を作成するものであってもよい。
【0013】
また、本発明の複眼カメラは、パノラマ合成部が、隣接しあう一方の撮影部で撮影された低解像度フレーム画像間の相対位置を取得し、この取得された相対位置から他方の撮影部で撮影された高解像度フレーム画像間の相対位置を算出して高解像度パノラマ画像を作成するものであってもよい。
【0014】
本発明の複眼カメラは、パンニングの方向を検出するパンンング方向検出部をさらに備え、動画制御部が、二つの撮影部のうち、パンニング方向先方側の撮影部の解像度を低く、フレームレートを高く、後方側の撮影部の解像度を高く、フレームレートを低く設定するよう、動画設定部を制御するものであってもよい。
【0015】
本発明の複眼カメラは、動画制御部が、動画撮影の開始時および/または終了時の撮影に際し、二つの撮影部の解像度をともに高く設定し、高解像度パノラマ画像に動画撮影の開始時および/または終了時に二つの撮影部で撮影された高解像度の両フレーム画像をさらに合成して高解像度パノラマ画像を作成するよう、動画設定部およびパノラマ合成部を制御可能なものであってもよい。
【0016】
また、本発明の複眼カメラは、動画制御部が、チルティングの場合に、二つの撮影部の解像度を高く、フレームレートを低く設定し、二つの撮影部で撮影された各高解像度フレーム画像を合成して高解像度パノラマ画像を作成するよう、動画設定部およびパノラマ合成部を制御可能なものであってもよい。
【0017】
また、本発明の複眼カメラは、一方の撮影部で撮影された動画を表示する表示部をさらに備えているものであってもよい。
【0018】
また、本発明の複眼カメラは、表示部が、パノラマ合成部により作成された高解像度パノラマ画像の合成結果をさらに表示するものであってもよい。ここで、「合成結果」とは、高解像度パノラマ画像の合成の進捗状況を意味するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の複眼カメラによれば、所定距離離れた異なる視点から被写体を撮影する二つの撮影部を一体的に備え、所定方向にパンニングさせながら二つの撮影部でそれぞれ動画撮影を行うことが可能な複眼カメラであって、二つの撮影部の解像度およびフレームレートをそれぞれ設定する動画設定部と、二つの撮影部のうち、一方の撮影部の解像度を低く、フレームレートを高く設定し、他方の撮影部の解像度を高く、フレームレートを低く設定するよう、動画設定部を制御する動画制御部と、一方の撮影部で撮影された低解像度フレーム画像を利用して、他方の撮影部で撮影された高解像度フレーム画像を合成して高解像度パノラマ画像を作成するパノラマ合成部とを備えていることにより、重複部分が大きく、高精度の位置合わせが可能な低解像度フレームを利用して、高解像度フレーム画像同士の高精度な位置合わせが可能となり、パノラマ画像の不自然な見え方を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態の複眼カメラの内部構成を示す概略ブロック図
【図2】第1の実施形態において行われる処理を示す図
【図3】第1の実施形態におけるパノラマ合成処理を示す図
【図4】第2の実施形態において行われる処理を示す図
【図5】第2の実施形態におけるパノラマ合成処理を示す図
【図6】第3の実施形態の複眼カメラの内部構成を示すブロック図
【図7】第3の実施形態において行われる処理を示す図
【図8A】第4の実施形態において行われる処理を示す図(その1)
【図8B】第4の実施形態において行われる処理を示す図(その2)
【図9】第4の実施形態におけるパノラマ合成処理を示す図
【図10】第5の実施形態において行われる処理を示す図
【図11】第5の実施形態におけるパノラマ合成処理を示す図
【図12】第6の実施形態において行われる処理を示す図
【図13】第7の実施形態において行われる処理を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態である複眼カメラ1の内部構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように複眼カメラ1は、レリーズボタンおよびモードダイヤル等を含む操作部2を有する。
【0022】
撮影部10A,10Bは、所定距離離れた異なる視点から被写体Mを撮影するよう、所定距離離れて複眼カメラ1に一体的に固設されている。なお、本実施形態において、複眼カメラ1はパンニングされるものであり、撮影部10Aがパンニング方向先方側、撮影部10Bがパンニング方向後方側にそれぞれ固設されているものとする。
【0023】
撮影部10A,10Bは、フォーカスレンズおよびズームレンズからなる撮影レンズ12A,12Bを有する。撮影レンズ12A,12Bを構成するフォーカスレンズおよびズームレンズは、レンズ駆動部13A,13Bによって光軸方向に移動可能である。
【0024】
絞り14A,14Bは絞り駆動部15A,15Bによって駆動される。絞り駆動部15A,15Bは、後述するAE/AWB処理部31から出力される絞り値データに基づいて絞り径の調整を行う。
【0025】
シャッタ16A,16Bはメカニカルシャッタであり、シャッタ駆動部17A,17Bによって駆動される。シャッタ駆動部17A,17Bは、不図示のレリーズボタンが押されることにより発生する信号と、後述するAE/AWB処理部31から出力されるシャッタスピードとに応じてシャッタ16A,16Bの開閉制御を行う。
【0026】
シャッタ16A,16Bの後方には撮像素子であるCCD18A,18Bを有している。CCD18A,18Bは、多数の受光素子を二次元的に配列した光電面を有しており、撮影レンズ12A,12B等の光学系を通過した被写体光がこの光電面に結像し、光電変換される。光電面の前方には、各画素に光を集光するためのマイクロレンズアレイと、R,G,B各色のフィルタが規則的に配列されたカラーフィルタアレイとが配置されている。
【0027】
CCD18A,18Bは、CCD制御部19A,19Bから供給される垂直転送クロックおよび水平転送クロックに同期して、画素毎に蓄積された電荷を1ラインずつシリアルなアナログ撮影信号として出力する。各画素において電荷を蓄積する時間、すなわち露光時間は、CCD制御部19A,19Bから与えられる電子シャッタ駆動信号によって決定される。また、CCD18A,18BはCCD制御部19A,19Bにより、予め定められた大きさのアナログ撮影信号が得られるようにゲインが調整されている。
【0028】
CCD18A,18Bから取り込まれたアナログ撮影信号は、アナログ信号処理部20A,20Bに入力される。アナログ信号処理部20A,20Bは、アナログ信号のノイズを除去する相関二重サンプリング回路(CDS)と、アナログ信号のゲインを調整するオートゲインコントローラ(AGC)と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ(ADC)とからなる。なお、アナログ信号処理部20A,20Bが行う処理をアナログ信号処理とする。このデジタル信号に変換された画像データは、画素毎にR,G,Bの濃度値を持つCCD−RAWデータである。
【0029】
タイミングジェネレータ21A,21Bは、タイミング信号を発生させるものであり、このタイミング信号をシャッタ駆動部17A,17B、CCD制御部19A,19B、アナログ信号処理部20A,20Bに供給することにより、レリーズボタンの操作、シャッタの開閉、CCD18A,18Bの電荷の取り込み、およびアナログ信号処理部20A,20Bの処理の同期をとっている。
【0030】
画像入力コントローラ25は、アナログ信号処理部20A,20Bから入力されたCCD−RAWデータをフレームメモリ26に書き込むものである。フレームメモリ26は、画像データに対して後述の各種画像処理(信号処理)を行う際に使用する作業用メモリであり、たとえば、一定周期のバスクロック信号に同期してデータ転送を行うSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)が使用される。
【0031】
表示制御部27は、フレームメモリ26に格納された画像データをスルー画としてモニタ28に表示させたり、再生時に記録メディア35に保存されている静止画や動画を表示させたりするものである。
【0032】
AF処理部30およびAE/AWB処理部31は、プレ画像に基づいて撮影条件を決定するものである。ここで、プレ画像とは、不図示のレリーズボタンが半押しされることによって発生する半押し信号を検出した後述する撮影制御部42がCCD18A,18Bにプレ撮影を実行させた結果、フレームメモリ26に格納された画像データにより表される画像である。
【0033】
AF処理部30は、プレ画像に基づいて焦点距離を検出し、フォーカス駆動量データを出力する(AF処理)。焦点位置の検出方式としては、たとえば、所望とする被写体Mにピントがあった状態では画像のコントラストが高くなるという特徴を利用して合焦位置を検出するパッシブ方式が考えられる。
【0034】
AE/AWB処理部31は、ブレ画像に基づいて被写体輝度を測定し、測定した被写体輝度に基づいて、撮影した画像が所望とする明るさになるように、ISO感度、絞り値およびシャッタスピード等を決定し、ISO感度データ、絞り値データおよびシャッタスピードデータを露出設定値として決定するとともに(AE処理)、撮影時のホワイトバランスを自動調整する(AWB処理)。
【0035】
画像処理部32は、画像データに対して、階調補正、シャープネス補正、色補正等の画質補正処理、およびCCD−RAWデータを輝度信号であるYデータと、青色色差信号であるCbデータおよび赤色色差信号であるCrデータとからなるYCデータに変換するYC処理を行う。なお、画像処理部32は、動画撮影により得られた動画の画像データに対しても必要な処理を行う。
【0036】
圧縮/伸長処理部33は、画像処理部32によって処理が行われた本画像の画像データに対して、たとえば、JPEG等の圧縮形式で圧縮処理を行い、画像ファイルを作成する。この画像ファイルには、EXifフォーマット等に基づいて、撮影日時等の付帯情報が格納されたタグが付加される。また、動画撮影モードにおける撮影時には、圧縮/伸長処理部は、動画撮影で得られた動画の画像データをモーションJPEG,MPEG1,2,4およびH.264等の圧縮方式にて圧縮し、動画の画像ファイルを作成する。
【0037】
メディア制御部34は、記録メディア35にアクセスして動画の画像ファイルを含む画像ファイルの書き込みと読み込みの制御を行う。また、メディア制御部34は、記録メディア35の容量を取得する。
【0038】
内部メモリ36は、複眼カメラ1において設定される各種定数、および撮影制御部42が実行するプログラム等を記録する。
【0039】
入出力部37は、傾きを検出する三次元ジャイロ38および方向を含む加速度を検出する三次元加速度センサ39からの測定情報を取り組むものである。
【0040】
動画設定部40は、動画撮影を行う際に、後述する撮影制御部42の指示に従って、撮影部10A,10Bからの各動画の画像データに対して解像度およびフレームレートを設定するものである。たとえば、動画設定部40は撮影部10A,10Bに対し、VGA(640×480画素)、HD(1366×768画素)および3M(2048×1531画素)の設定が可能であり、フレームレート5fpsおよび30fpsの設定が可能なものである。本明細書で説明する実施形態については、一例としてVGA(640×480画素)を低解像度、HD(1366×768画素)を高解像度、5fpsを低フレームレートおよび30fpsを高フレームレートとして説明する。なお、動画設定部40が、撮影部10A,10Bの解像度およびフレームレートをどのように設定するかについては後で詳細に説明する。
【0041】
複眼カメラ1は、動画撮影により得られた動画からパノラマ画像を作成することが可能である。ここで、本明細書の実施形態では、動画からパノラマ画像を作成する際には、隣接しあうフレーム画像は必ず重複部分を有するものとする。また、特に説明のない限り、本明細書の実施形態におけるパノラマ画像を作成する動画撮影は、複眼カメラ1をパンニングしながら撮影するものとする。
【0042】
パノラマ合成部41は、撮影部10A,10Bで動画撮影された動画の画像データからフレーム画像のデータを分離し、各フレーム画像のデータに対して、フレーム画像の重複分を位置合わせしてパノラマ画像を作成する画像処理を施すものである。なお、パノラマ合成部41が、撮影部10A,10Bで撮影されたフレーム画像をどのように合成してパノラマ画像を作成しているかについては後で詳細に説明する。
【0043】
撮影制御部42は各種処理部からの信号に応じて複眼カメラ1の本体各部を制御するものである。また、撮影制御部42は、動画撮影モードの指示、パノラマ画像作成の指示およびパンニングまたはチルティングであるかの指示等の設定を操作部2から受け付ける。この設定結果は内部メモリ36に記憶される。なお、撮影制御部42が動画撮影時の本体各部を制御する動画制御部でもあることは言うまでもない。
【0044】
撮影制御部42は、撮影部10A,10Bの解像度およびフレームレートを設定し、撮影部10A,10Bで撮影された動画からフレーム画像を分離し、パノラマ画像を作成するよう、動画設定部40およびパノラマ合成部41を含む複眼カメラ1の各部を制御する。
【0045】
データバス43は、各種処理部、フレームメモリ26および撮影制御部42に接続されており、画像データおよび各種指示等のやり取りを行う。
【0046】
次いで、第1の実施形態において行われる処理について説明する。図2は第1の実施形態において行われる処理を示す図、図3は第1の実施形態におけるパノラマ合成処理を示す図である。不図示のモードダイヤルを操作してパノラマ画像が作成可能な動画モードに設定することにより、撮影制御部42が、パノラマ画像を作成する動画撮影に関する各部の処理を開始する。
【0047】
撮影制御部42は、撮影部10Aを低解像度且つ高フレームレートに設定し、撮影部10Bを高解像度且つ低フレームレートに設定するよう、動画設定部40を制御する。動画設定部40は、予め記録されている解像度およびフレームレートの設定値から、撮影部10Aを低解像度且つ高フレームレート、撮影部10Bを高解像度且つ低フレームレートに設定する。本願の実施形態では、前述の通り、一例としてVGA(640×480画素)を低解像度、HD(1366×768画素)を高解像度、5fpsを低フレームレートおよび30fpsを高フレームレートとする。
【0048】
撮影制御部42は、ユーザが不図示のレリーズボタンを押すことにより、動画撮影を開始するよう、撮影部10A,10Bを制御し、撮影部10A,10Bが動画撮影を開始する。動画撮影中において、撮影制御部42は、撮影部10Aで撮影された低解像度フレーム画像LFから低解像度パノラマ画像LPを作成し、この低解像度パノラマ画像LPに、撮影部10Bで撮影された各高解像度フレーム画像HFを一致させることにより、高解像度パノラマ画像HPを作成するよう、パノラマ合成部41を制御する。
【0049】
パノラマ合成部41は、撮影部10Aで撮影された動画の画像データから最初に撮影された低解像度フレーム画像LF1の画像データを分離し、次に時系列的に連続することにより、隣接する低解像度フレーム画像LF2の画像データを分離させる。パノラマ合成部41は、低解像度フレーム画像LF1,LF2の各画像データに対して、低解像度フレーム画像LF1,LF2を左右方向および上下方向に移動させる画像処理を行い、低解像度フレーム画像LFの重複部分CPを一致させて位置合わせする。図3に示すように、高フレームレートの撮影部10Aで撮影された低解像度フレーム画像LF1,LF2は重複部分CPが大きく、精度良く位置合わせがされる。
【0050】
パノラマ合成部41は、重複部分CPが一致した状態で低解像度フレーム画像LF1,LF2を合成して低解像度パノラマ画像LP1を作成する画像処理を行う。動画撮影中にパノラマ合成部41は、低解像度フレーム画像LF3,4,,の画像データを動画の画像データから順次分離し、作成済みの低解像度パノラマ画像LP1,2,,の画像データと分離した低解像度フレーム画像LF3,4,,の画像データとに対して上記の処理を繰り返すことにより、低解像度パノラマ画像LPの画格を順次広げる。
【0051】
パノラマ合成部41は、撮影部10Bで撮影された動画の画像データから高解像度フレーム画像HF1の画像データを分離し、高解像度フレーム画像HF1の画像データと低解像度パノラマ画像LPの画像データに対して、両画像を左右方向および上下方向に移動させる画像処理を行い、両画像の重複部分CPを一致させて位置合わせする。
【0052】
パノラマ合成部41は、隣接する高解像度フレーム画像HF2の画像データを分離し、同様に、高解像度フレーム画像HF2と低解像度パノラマ画像LPの重複部分CPを一致させて位置合わせする。パノラマ合成部41は、高解像度フレーム画像HF1,HF2を低解像度パノラマ画像LPの重複部分CPと一致させた状態で高解像度フレーム画像HF1,HF2を合成して高解像度パノラマ画像HP1を作成する画像処理を行う。
【0053】
動画撮影中にパノラマ合成部41は、低解像度フレーム画像LF3,4,,の画像データを動画の画像データから順次分離し、作成済みの低解像度パノラマ画像LP1,2,,の画像データと分離した低解像度フレーム画像LF3,4,,の画像データに対して上記の処理を繰り返すことにより、高解像度パノラマ画像HPの画格を順次広げる
【0054】
撮影制御部42は、ユーザが不図示のレリーズボタンをリリースすることにより、動画撮影を終了させる。また、撮影制御部42は、入出力部37からの三次元ジャイロ38および三次元加速度センサ39からの測定情報を使用して、パンニングが終了していると判断した場合、ユーザが設定した画格範囲の動画撮影が終了したと判断した場合および360度のパンニングが終了したと判断した場合に、動画撮影を終了させてもよい。
【0055】
第1の実施形態においては、動画撮影中に、低解像度パノラマ画像LPおよび高解像度パノラマ画像HPを作成しているが、動画撮影終了後に、低解像度パノラマ画像LPおよび高解像度パノラマ画像HPを作成するようにしてもよい。この場合、低解像度パノラマ画像LPを作成した後、高解像度パノラマ画像HPの作成を開始してもよく、ある程度、低解像度パノラマ画像LPを作成した段階で高解像度パノラマ画像HPの作成を開始してもよい。なお、撮影制御部42の処理の開始、動画撮影の開始および動画撮影の終了は、他の実施形態においても同じであり、以下に述べる実施形態での説明では省略する。
【0056】
このように、上記第1の実施形態によれば、低解像度フレーム画像LFを使用して低解像度パノラマ画像LPを作成し、この低解像度パノラマ画像LPに高解像度フレーム画像HFを一致させることにより、高解像度フレーム画像HFを高精度に位置合わせして高解像度パノラマ画像HPの作成が可能である。これにより、高解像度パノラマ画像HPが不自然に見えることを解消できる。また、上記第1の実施形態によれば、撮影部10A,10Bのフレームレート差を気にすることなく、高解像度パノラマ画像HPの作成が可能である。
【0057】
次いで、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態による複眼カメラ1は、第1の実施形態による複眼カメラ1と同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、構成についての詳細な説明は省略する。
【0058】
次いで、第2の実施形態において行われる処理について説明する。図4は第2の実施形態において行われる処理を示す図、図5は第2の実施形態におけるパノラマ合成処理を示す図である。なお、第2の実施形態においては、パノラマ合成部41および撮影制御部42のパノラマ合成部41に対する処理のみが相違するため、相違する処理についてのみ説明して他の処理ついての詳細な説明を省略する。
【0059】
本実施形態では、前述の通り、低フレームレートが30fps、高フレームレートが5fpsである。また、高解像度フレーム画像HF1,HF2,HF3,の撮影タイミングが低解像度フレーム画像LF1,LF7,LF13,の撮影タイミングと一致するように互いに同期しているものする。すなわち高解像度フレーム画像HFが撮影され、次の高解像度フレーム画像HFが撮影されるまでの間に6枚の低解像度フレーム画像LFが撮影される。
【0060】
撮影制御部42は、動画撮影中において、撮影部10Aで撮影された低解像度フレーム画像LFから低解像度フレーム画像LF間の相対位置を算出し、この低解像度フレーム画像LF間の相対位置から高解像度フレーム画像HF間の相対位置を算出して、この高解像度フレーム画像HF間の相対位置を使用して高解像度パノラマ画像HPを作成するよう、パノラマ合成部41を制御する。
【0061】
パノラマ合成部41は、第1の実施形態と同様に、撮影部10Aで撮影された動画の画像データから最初の低解像度フレーム画像LF1の画像データを分離し、次に隣接する低解像度フレーム画像LF2の画像データを分離する。
【0062】
パノラマ合成部41は、各低解像度フレーム画像LF1,LF2の画像データに対して重複部分CPを検出する画像処理を行い、この重複部分CP内の特徴領域の画素の座標から低解像度フレーム画像LF間の相対位置を算出する。具体的に、パノラマ合成部41は、図5に示すように、各低解像度フレーム画像LF1,LF2の左下を原点とする1画素単位での座標系を設定し、重複部分CP内の特徴部分が、低解像度フレーム画像LF1では(X1,Y1)座標の画素、低解像度フレーム画像LF2では(X2,Y2)座標の画素に表示されていた場合に、(X2,Y2)から(X1,Y1)を差分して低解像度フレーム画像LF2の低解像度フレーム画像LF1に対する相対位置(ΔX1,ΔY1)を算出する。
【0063】
動画撮影中にパノラマ合成部41は、低解像度フレーム画像LF3,4,,の画像データを動画の画像データから順次分離して上記の処理を繰り返すことにより、低解像度フレーム画像LF間の相対位置(ΔX1,ΔY1),(ΔX2,ΔY2),,,(ΔXn,ΔYn)を順次算出する。
【0064】
パノラマ合成部41は、算出された低解像度フレーム画像LF間の相対位置から高解像度フレーム画像HF間の相対位置を算出する。低解像度フレーム画像LF間の相対位置(ΔX1,ΔY1)から(ΔX6,ΔY6)までを加算し、解像度違いによる画素比率を換算して高解像度フレーム画像HF1,HF2の相対位置を算出する。パノラマ合成部41は上記の処理を繰り返して高解像度フレーム画像HFの相対位置を順次算出する。
【0065】
パノラマ合成部41は、算出された高解像度フレーム画像HFの相対位置を使用して、高解像度フレーム画像HFを重ね合わせて合成することにより、高解像度パノラマ画像HPを作成する。
【0066】
なお、上記の第2の実施形態において、仮に撮影部10A,10Bの撮影タイミングが同期していない場合、高解像度フレーム画像HF1,HF2間のパンニング方向と垂直な方向の位置合わせに関しては、低解像度フレーム画像LF間の相対位置ΔY1からΔY6までの平均値と、ΔY7からΔY12までの平均値とを差分した値を使用して、高解像度フレーム画像HF1,HF2間のパンニング方向に垂直な方向の位置合わせをしてもよい。
【0067】
このように、上記第2の実施形態によれば、低解像度フレーム画像LFを使用して低解像度フレーム画像LF間の相対位置が算出し、低解像度フレーム画像LF間の相対位置から高解像度フレーム画像HF間の相対位置をさらに算出することにより、高解像度フレーム画像HF同士を精度良く位置合わせして高解像度パノラマ画像HPの作成が可能である。これにより、高解像度パノラマ画像HPが不自然に見えることを解消できる。また、上記第2の実施形態によれば、低解像度フレーム画像LFの画像データに対して低解像度パノラマ画像LPの作成する画像処理を施す必要がなく、短時間で高解像度パノラマ画像HPの作成が可能となる。
【0068】
次いで、本発明の第3の実施形態について説明する。図6は本発明の第3の実施形態である複眼カメラ1の内部構成を示す概略ブロック図である。第3の実施形態による複眼カメラ1は、図6に示す通り、パンニング方向判別部44を備えている点においてのみ第1の実施形態の構成と相違するため、相違する構成についてのみ説明し、他の構成についての詳細な説明を省略する。
【0069】
パンニング方向判別部44は、ユーザによるパンニング方向の設定、各種センサからの測定情報および動画撮影開始直前のスルー画の画像処理によってパンニングの方向を判別するものである。
【0070】
複眼カメラ1の動作モードがパノラマ画像作成する動画モードに設定された際、パンニング方向も設定された場合は、パンニング方向判別部44は、設定されたパンニング方向を撮影制御部42に供給する。
【0071】
また、パンニング方向が未設定の場合は、動画撮影の開始直前に複眼カメラ1を一定時間一定方向にパンニングさせることにより、パンニング方向判別部44は、入出力部37からの測定情報によりパンニング方向を判別して撮影制御部42に供給することもできる。
【0072】
さらに、パンニング方向が未設定の場合は、動画撮影を開始に複眼カメラ1を一定時間一定方向にパンニングさせることにより、パンニング方向判別部44は、スルー画の画像データの動きベクトルによりパンニング方向を判別して撮影制御部42に供給することもできる。
【0073】
次いで、第3の実施形態において行われる処理について説明する。図7は第3の実施形態において行われる処理を示す図である。なお、第3の実施形態においては、パンニング方向判別部44の処理、撮影制御部42の動画設定部40への処理のみが第1または第2の実施形態と相違するため、相違する処理についてのみ説明し、他の処理についての詳細な説明を省略する。
【0074】
パンニング方向判別部44は、パノラマ画像を作成する動画モードが設定された後、前述の通り、パンニング方向の設定、動画撮影直前の測定情報およびスルー画像の画像処理により、パンニング方向を判別する。パンニング方向判別部44は、判別されたパンニング方向を撮影制御部42に供給する。
【0075】
撮影制御部42は、図7に示すように、供給されたパンニング方向の情報からパンニング方向先方側の撮影部10Aを低解像度且つ高フレームレート、パンニング方向後方側の撮影部10Bを高解像度および低フレームレートに設定するよう、動画設定部40を制御する。
【0076】
このように、第3の実施形態における処理によれば、低解像度フレーム画像LFがパンニング方向先方側のフレーム画像になり、パンニング方向後方側の高解像度フレーム画像HFよりも早くパンニング方向先方の被写体Mを撮影することができるため、パノラマ合成部41が高解像度フレーム画像HFに対して第1または第2の実施形態のパノラマ合成処理を施す際に、必要な低解像度フレーム画像LFが既に撮影されていることにより、これらの処理を効率良く行うことができる。
【0077】
次いで、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、第4の実施形態による複眼カメラ1は、第1の実施形態による複眼カメラ1と同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、構成についての詳細な説明は省略する。
【0078】
次いで、本発明の第4の実施形態において行われる処理について説明する。図8Aおよび図8Bは第4の実施形態において行われる処理を示す図である。図9は第4の実施形態におけるパノラマ合成処理を示す図である。
【0079】
撮影制御部42は、動画撮影開始時および動画撮影終了時の撮影については、撮影部10A,10Bの解像度をともに高解像度に設定する。ここで、動画撮影開始時および動画撮影終了時の撮影とは、最初および最後のフレームレートの撮影のことである。撮影制御部42は、最初の動画撮影以降から最後の動画撮影前までの動画撮影については、第1の実施形態と同様に、撮影部10Aを低解像度且つ高フレームレートに設定し、撮影部10Bを高解像度且つ低フレームレートに設定するよう、動画設定部40を制御する。
【0080】
動画設定部40は、予め記録されている解像度およびフレームレートの設定値に基づいて、動画撮影開始時および動画撮影終了時の撮影については、撮影部10A,10Bをともに高解像度に設定し、最初の動画撮影以降から最後の動画撮影前までの動画撮影については、撮影部10Aを低解像度且つ高フレームレート、撮影部10Bを高解像度且つ低フレームレートに設定する。
【0081】
撮影制御部42は、撮影部10A,10Bで撮影開始時の高解像度フレーム画像HFを使用して、撮影開始時のパノラマ画像HPiを作成するよう、パノラマ合成部41を制御する。
【0082】
パノラマ合成部41は、撮影部10A,10Bで撮影された動画の画像データから最初の高解像度フレーム画像HPiの画像データを分離し、分離された高解像度フレーム画像HFiの画像データに対して、各高解像度フレーム画像HFiを左右方向および上下方向に移動させる位置合わせを行い、各高解像度フレーム画像HFiの重複部分CPを一致させて位置合わせする。パノラマ合成部41は、重複部分CPが一致した状態で高解像度フレーム画像HFi同士を合成して撮影開始時のパノラマ画像HPiを作成する。
【0083】
撮影制御部42は、撮影部10Aで撮影された低解像度フレーム画像LFを使用して、第1の実施形態または第2の実施形態と同様に、撮影部10Bで撮影された高解像度フレーム画像HFから高解像度パノラマ画像HPを作成するよう、パノラマ合成部41を制御する。パノラマ合成部41は、第1の実施形態または第2の実施形態と同様に、高解像度パノラマ画像HPを作成する。
【0084】
撮影制御部42は、撮影部10A,10Bで撮影終了時に撮影された高解像度フレーム画像HFeを使用して、撮影終了時のパノラマ画像HPeを作成するよう、パノラマ合成部41を制御する。パノラマ合成部41は、撮影開始時のパノラマ画像HPiと同様の処理を行い、撮影終了時のパノラマ画像HPeを作成する。
【0085】
撮影制御部42は、撮影開始時および撮影終了時のパノラマ画像HPi,HPeを高解像度パノラマ画像HPに合成するよう、パノラマ合成部41を制御する。パノラマ合成部41は、同様の処理により、撮影開始時のパノラマ画像HPiを高解像度パノラマ画像の撮影開始時側、撮影終了時のパノラマ画像HPeを高解像度パノラマ画像の撮影終了時側でそれぞれ合成して高解像度パノラマ画像HPの画格を広げる。なお、第4の実施形態における複眼カメラ1は、動画撮影開始時または動画撮影終了時のいずれか一方について、撮影部10A,10Bをともに高解像度に設定し、撮影開始時のパノラマ画像HPiまたは撮影終了時のパノラマ画像HPeを使用して高解像度パノラマ画像HPの画格を広げてもよい。
【0086】
このように、上記第4の実施形態によれば、動画撮影開始時および/または動画撮影終了時に撮影された高解像度フレーム画像HFi,HFeを使用して、高解像度パノラマ画像HPの画格を広げることが可能である。
【0087】
次いで、本発明の第5の実施形態について説明する。なお、第5の実施形態による複眼カメラ1は、第1の実施形態による複眼カメラ1と同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、構成についての詳細な説明は省略する。
【0088】
次いで、本発明の第5の実施形態において行われる処理について説明する。図10は第5の実施形態において行われる処理を示す図である。図11は第5の実施形態におけるパノラマ合成処理を示す図である。
【0089】
撮影制御部42は、不図示のモードダイヤルにより、チルティングによるパノラマ画像が作成可能な動画撮影モードが設定された場合、撮影部10A,10Bを高解像度且つ高フレームレートに設定するよう、動画設定部40を制御する。動画設定部40は、予め記録されている解像度およびフレームレートの設定値に基づいて、撮影部10A,10Bを高解像度且つ低フレームレートに設定する。
【0090】
撮影制御部42は、図10および図11に示すように、動画撮影中において、撮影部10Aで撮影された高解像度フレーム画像HFから高解像度パノラマ画像HPを作成し、撮影部10Bで撮影された高解像度フレーム画像HFからも高解像度パノラマ画像HPを作成し、最後に二つの高解像度フレーム画像HFを合成して高解像度パノラマ画像HPを作成するよう、パノラマ合成部41を制御する。
【0091】
パノラマ合成部41は、撮影部10Aで撮影された高解像度フレーム画像HFの画像データを分離し、次に隣接する高解像度フレーム画像HFの画像データを分離させる。パノラマ合成部41は、各高解像度フレーム画像HFの画像データに対して、各高解像度フレーム画像HFを左右方向および上下方向に移動させる位置合わせを行い、重複部分CPを一致させて位置合わせする。パノラマ合成部41は、重複部分CPが一致した状態で高解像度フレーム画像HF同士を合成して高解像度パノラマ画像HPを作成する。
【0092】
パノラマ合成部41は、撮影部10Aの動画の画像データから高解像度フレーム画像HFを分離し、作成済みの高解像度パノラマ画像HPの画像データと位置合わせして合成する処理を繰り返し、高解像度パノラマ画像HPの画格を広げる。パノラマ合成部41は、撮影部10Bで撮影された動画の画像データに対しても同じ処理を行う。
【0093】
パノラマ合成部41は、撮影部10Aで撮影された高解像度フレーム画像HFからなる高解像度パノラマ画像HPと撮影部10Bで撮影された高解像度フレーム画像HFからなる高解像度パノラマ画像HPとを位置合わせをした後、合成して高解像度パノラマ画像HPを作成する。なお、第5の実施形態において、撮影部10Aと撮影部10Bのフレーム画像の撮影タイミングは同一であり、同じタイミングで撮影された撮影部10Aのフレーム画像と撮影部10Bのフレーム画像は互いに重複部分CPを有するものとする。
【0094】
このように、上記第5の実施形態によれば、複眼カメラ1は、チルティングによる動画撮影によっても高解像度パノラマ画像HPを作成可能にできる。
【0095】
次いで、本発明の第6の実施形態について説明する。なお、第6の実施形態による複眼カメラ1は、第1の実施形態による複眼カメラ1と同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、構成についての詳細な説明は省略する。
【0096】
次いで、第6の実施形態において行われる処理について説明する。図12は第6の実施形態において行われる処理を示す図である。第6の実施形態においては、撮影部10Aで撮影された動画を表示部に表示させる処理のみが相違するため、相違する処理についてのみ説明して他の処理についての詳細な説明を省略する。
【0097】
表示制御部27は、図12に示す通り、撮影Aで撮影されている動画をモニタ28に表示させる。
【0098】
また、第6の実施形態による処理は、第2乃至第5の実施形態において適用可能である。さらに、第6の実施形態においては、低解像度パノラマ画像LPを表示させることにより、ユーザが高解像度パノラマ画像HPの構図を視認することもできる。
【0099】
このように、上記第6の実施形態によれば、ユーザが撮影部10Aで撮影された高フレームレートの動画をモニタ28で見ることにより、動画撮影中のパンニング速度の変動や、パンニング方向と垂直な方向の手ぶれ等を視認できるため、撮影部10A,10Bで撮影された各フレーム画像間における真の相対位置からの位置ずれが低減されて高精度の位置合わせが可能となる。
【0100】
次いで、本発明の第7の実施形態について説明する。なお、第6の実施形態による複眼カメラ1は、第1の実施形態による複眼カメラ1と同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、構成についての詳細な説明は省略する。
【0101】
次いで、本発明の第7の実施形態において行われる処理について説明する。図13は第7の実施形態において行われる処理を示す図である。なお、第7の実施形態においては、第6の実施形態における処理において、表示制御部27が、高解像度パノラマ画像HPの合成結果を表示する点のみが相違し、相違する処理についてのみ説明して他の処理についての詳細な説明を省略する。
【0102】
表示制御部27は、高解像度パノラマ画像HPの合成結果をモニタ28に表示することが可能なものである。ここで、合成結果とは高解像度パノラマ画像HPの合成状況である。第7の実施形態においては、図13に示す通り、第1の実施形態と同様の処理により、低解像度パノラマ画像LPを作成した後、この低解像度パノラマ画像LPに高解像度パノラマ画像HPの作成済みの範囲をマーキングしてモニタ28に表示する。なお、合成結果の表示方法は、動画撮影された画格に対する作成済み高解像度パノラマ画像HPの割合の数値表示やインジケータ表示等であってもよい。
【0103】
このように、上記第7の実施形態によれば、ユーザは動画撮影中に高解像度パノラマ画像HPの合成結果を確認しながら、動画撮影することができる。
【符号の説明】
【0104】
HF 高解像度フレーム画像
HP 高解像度パノラマ画像
LF 低解像度フレーム画像
LP 低解像度パノラマ画像
M 被写体
1 複眼カメラ
10 撮影部
28 モニタ
40 動画設定部
41 撮影制御部
42 パノラマ合成部
44 パンニング方向判別部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定距離離れた異なる視点から被写体を撮影する二つの撮影部を一体的に備え、所定方向にパンニングさせながら前記二つの撮影部でそれぞれ動画撮影を行うことが可能な複眼カメラであって、
前記二つの撮影部の解像度およびフレームレートをそれぞれ設定する動画設定部と、
前記二つの撮影部のうち、一方の撮影部の解像度を低く、フレームレートを高く、他方の撮影部の解像度を高く、フレームレートを低く設定するよう、前記動画設定部を制御する動画制御部と、
前記一方の撮影部で撮影された低解像度フレーム画像を利用して、前記他方の撮影部で撮影された高解像度フレーム画像を合成して高解像度パノラマ画像を作成するパノラマ合成部とを備えていることを特徴とする複眼カメラ。
【請求項2】
前記パノラマ合成部が、前記一方の撮影部で撮影された低解像度フレーム画像を合成して低解像度パノラマ画像を作成し、該低解像度パノラマ画像に、前記他方の撮影部で撮影された高解像度フレーム画像を一致させて前記高解像度パノラマ画像を作成することを特徴とする請求項1に記載の複眼カメラ。
【請求項3】
前記パノラマ合成部が、隣接しあう前記一方の撮影部で撮影された低解像度フレーム画像間の相対位置を取得し、該取得された相対位置から前記他方の撮影部で撮影された高解像度フレーム画像間の相対位置を算出して前記高解像度パノラマ画像を作成することを特徴とする請求項1に記載の複眼カメラ。
【請求項4】
前記パンニングの方向を判別するパンンング方向判別部さらに備え、
前記動画制御部が、前記二つの撮影部のうち、前記パンニング方向先方側の撮影部の解像度を低く、フレームレートを高く、後方側の撮影部の解像度を高く、フレームを低く設定するよう、前記動画設定部を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複眼カメラ。
【請求項5】
前記動画制御部が、前記動画撮影の開始時および/または終了時の撮影に際し、前記二つの撮影部の解像度をともに高く設定し、前記高解像度パノラマ画像に前記動画撮影の開始時および/または終了時に前記二つの撮影部で撮影された高解像度の両フレーム画像をさらに合成して前記高解像度パノラマ画像を作成するよう、前記動画設定部および前記パノラマ合成部を制御可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の複眼カメラ。
【請求項6】
前記動画制御部が、チルティングの場合に、前記二つの撮影部の解像度を高く、フレームレートを低く設定し、前記二つの撮影部で撮影された各高解像度フレーム画像を合成して前記高解像度パノラマ画像を作成するよう、前記動画設定部および前記パノラマ合成部を制御可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の複眼カメラ。
【請求項7】
前記一方の撮影部で撮影された動画を表示する表示部をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の複眼カメラ。
【請求項8】
前記表示部が、前記パノラマ合成部により作成された前記高解像度パノラマ画像の合成結果をさらに表示するものであることを特徴とする請求項7に記載の複眼カメラ。
【請求項1】
所定距離離れた異なる視点から被写体を撮影する二つの撮影部を一体的に備え、所定方向にパンニングさせながら前記二つの撮影部でそれぞれ動画撮影を行うことが可能な複眼カメラであって、
前記二つの撮影部の解像度およびフレームレートをそれぞれ設定する動画設定部と、
前記二つの撮影部のうち、一方の撮影部の解像度を低く、フレームレートを高く、他方の撮影部の解像度を高く、フレームレートを低く設定するよう、前記動画設定部を制御する動画制御部と、
前記一方の撮影部で撮影された低解像度フレーム画像を利用して、前記他方の撮影部で撮影された高解像度フレーム画像を合成して高解像度パノラマ画像を作成するパノラマ合成部とを備えていることを特徴とする複眼カメラ。
【請求項2】
前記パノラマ合成部が、前記一方の撮影部で撮影された低解像度フレーム画像を合成して低解像度パノラマ画像を作成し、該低解像度パノラマ画像に、前記他方の撮影部で撮影された高解像度フレーム画像を一致させて前記高解像度パノラマ画像を作成することを特徴とする請求項1に記載の複眼カメラ。
【請求項3】
前記パノラマ合成部が、隣接しあう前記一方の撮影部で撮影された低解像度フレーム画像間の相対位置を取得し、該取得された相対位置から前記他方の撮影部で撮影された高解像度フレーム画像間の相対位置を算出して前記高解像度パノラマ画像を作成することを特徴とする請求項1に記載の複眼カメラ。
【請求項4】
前記パンニングの方向を判別するパンンング方向判別部さらに備え、
前記動画制御部が、前記二つの撮影部のうち、前記パンニング方向先方側の撮影部の解像度を低く、フレームレートを高く、後方側の撮影部の解像度を高く、フレームを低く設定するよう、前記動画設定部を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複眼カメラ。
【請求項5】
前記動画制御部が、前記動画撮影の開始時および/または終了時の撮影に際し、前記二つの撮影部の解像度をともに高く設定し、前記高解像度パノラマ画像に前記動画撮影の開始時および/または終了時に前記二つの撮影部で撮影された高解像度の両フレーム画像をさらに合成して前記高解像度パノラマ画像を作成するよう、前記動画設定部および前記パノラマ合成部を制御可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の複眼カメラ。
【請求項6】
前記動画制御部が、チルティングの場合に、前記二つの撮影部の解像度を高く、フレームレートを低く設定し、前記二つの撮影部で撮影された各高解像度フレーム画像を合成して前記高解像度パノラマ画像を作成するよう、前記動画設定部および前記パノラマ合成部を制御可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の複眼カメラ。
【請求項7】
前記一方の撮影部で撮影された動画を表示する表示部をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の複眼カメラ。
【請求項8】
前記表示部が、前記パノラマ合成部により作成された前記高解像度パノラマ画像の合成結果をさらに表示するものであることを特徴とする請求項7に記載の複眼カメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−205406(P2011−205406A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70633(P2010−70633)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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