複素点描マルチカラー印刷
3次元物体の画像を印刷する方法には、カラーインクの多重ドットを印刷して物体の画像を形成する段階、および、画像内部で1より大きい屈折率をもつ透明インクのドットを印刷する段階が含まれる。透明インクのドットは、画像を通して放たれる光の経路長を局所的に改変させて画像の位相変動を作り出す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2次元表面上への3次元(3D)物体の立体視カラー画像の印刷そしてより特定的には、複素点描マルチカラー印刷に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元(「2D」)画像によって3次元(「3D」)物体を表現することは、むずかしく重要な作業である。記録媒体上で特定の観察平面において物体から発出された光波面を記録し、光波面が3D物体自体から発出されている如くに見えるように記録媒体上に適切な光を当ててオリジナルの光波面を再構築することによって、3D物体の裸眼立体視画像を作り出すためには、ホログラフィ技術が用いられてきた。
【0003】
現代の光学理論では、物体から発出された光の完全な描写は、一般に物体から発出された光の波面を複素波面(すなわち実部と虚部を有する波面)として扱っている。しかしながら記録媒体上に記録された物体の画像は、一般に信号強度の実関数により表わされる。従って、強度データのみを記録する実際の画像からの複素波面の再構築は重要である。
【0004】
従来のホログラフィは、
として2つの共役波Ψ(r)の加算を表わすRe[Ψ(r)]という複素波面の実成分がそれを通して抽出され得る、信号と基準波の間の干渉を使用することによって、実信号強度データで複素波面を表わす問題を回避している。軸外ホログラフィは、特定のコヒーレント照明を用いてRe[Ψ(r)]からの立体視の原因となる複素波面Ψ(r)を抽出することができる。
【0005】
位相操作技術を用いたその他の実験で、波面、Im[Ψ(r)]の虚成分の表現を補足することが可能である。例えば、波動関数の実および虚成分をコンピュータ画像内で加算することができる(Ψ(r)=Re[Ψ(r)]+iIm[Ψ(r)])が、かかる技術は物理的空間まで拡大されていない。
【発明の開示】
【0006】
光波面を表現しカラー3D物体を表すために複素関数を印刷する方法が開発されてきた。該印刷方法は、画像から発出される光の位相、強度およびカラーを制御できるカラー複素画素(「コンプレクセル(complexel)」)から成るプリントを使用する。複素印刷機能を達成するため、複素波面の位相部または複素部を表わし高屈折性透明インクで実現される位相印刷が、従来のカラー印刷を補足するべく使用される。1つの物体の画像についての位相情報を印刷するためには、画像からの光の波面Ψconc(r)=A(r)eiθ(r)の複素振幅の位相部eiθ(r)を印刷することができ(ここで、A(r)は画像のカラーおよび強度部を示す)、そうでなければ波面Ψpoins(r)=A(r)cosθ(r)+iA(r)sinθ(r)の複素振幅を表現するため相補的位相およびカラー/振幅画素を用いて点描画的に画像を印刷することができる(ここで、カラー部を示す2つの実関数A(r)|cosθ(r)|およびA(r)|sinθ(r)|は互いに隣接して点描画式に印刷される)。
【0007】
第1の一般的局面においては、3次元物体の画像を印刷する方法は、カラーインクの多重ドットを印刷して、物体の画像を形成する段階および画像内部で1より大きい屈折率をもつ透明インクのドットを印刷する段階を含む。透明インクのドットは、画像を通して放たれる光の経路長を局所的に改変して、画像上に位相変動を作り出す。
【0008】
実施には以下の特長のうちの1つまたは複数のものが含まれ得る。例えば、多重コンプレクセルの実部は、コンプレクセルの虚部に隣接して記録媒体上に印刷され得る。位相板は、コンプレクセルの虚部より上に印刷され得る。透明インクのドットは、記録媒体上のカラーインクのドット上に印刷され得る。
【0009】
画像は、A(r)eiθ(r)=A(r)cosθ(r)+iA(r)sinθ(r)により定義される複素波面によって画定され得、ここで、A(r)は波面振幅の2次元分布を表わし、θ(r)は波面位相の2次元分布を表わし、カラーインクのドットを印刷して、コンプレクセルの実部を表わすことができ、コンプレクセルの実部全体にわたり透明インクのドットを印刷して、cosθ(r)が負である場合にλ/2位相板を作り出すことができ、カラーインクのドットを印刷して、コンプレクセルの虚部を表わすことができ、コンプレクセルの虚部部分にわたり透明インクのドットを印刷して、sinθ(r)が正である場合にλ/4位相板を作り出すことができ、コンプレクセルの虚部部分にわたり透明インクのドットを印刷して、sinθ(r)が負である場合に3λ/4位相板を作り出すことができる。
【0010】
印刷すべき透明インクの屈折率は、λ/4位相板、λ/2位相板および3λ/4位相板を印刷するように選択され得る。印刷すべき透明インクの層厚みは、λ/4位相板、λ/2位相板および3λ/4位相板を印刷するように選択可能である。
【0011】
カラーインクのドットを印刷する段階および透明インクのドットを印刷する段階にはさらに、屈折率を有する透明インクとカラーインクを混合する段階および混合されたインクのドットを印刷する段階が含まれ得る。
【0012】
少なくとも3つのカラーインクの多重ドットを印刷して、物体の画像を形成することができ、マルチカラー画像内部で1より大きい屈折率を有する透明インクのドットを印刷することができ、ここで、透明インクのドットは画像を通して放たれる光の経路長を局所的に改変してマルチカラー画像上に位相変動を作り出す。
【0013】
画像は透明媒体上に印刷され得、かくして画像は媒体の裏面から照射され媒体の正面から一覧され得る。画像は反射性媒体上に印刷され得、かくして画像は媒体の正面から照射されその裏面から一覧され得る。
【0014】
画像から発出された光の光路長の変動を導入する透明インクの層を印刷することができ、ここで光路長変動は平面波波面から偏向する照明光内の経路長差を補償する。
【0015】
記録媒体上に多重画像を印刷することができ、各画像は物体の画像を形成するためカラーインクの多重ドットを含み、透明インクのドットは画像内部で1より大きい屈折率を有し、透明インクのドットは、画像を通して放たれる光の経路長を局所的に改変して画像上の位相変動を作り出し、多重画像が動画を作り出すことができるように連続可能であるように多重画像はフィルム上に印刷される。
【0016】
もう1つの一般的局面においては、2次元表面上に光学素子を印刷する方法は、表面上で1つのパターンで1より大きい屈折率をもつ透明インク層を印刷する段階、および透明インクを通って走行する光の局所的光路長を制御して、表面上でインクによって反射されるまたはインクを通して透過される光の位相が予め定められた方法で改変されるようにする段階を含む。
【0017】
実施形態には以下の特徴のうちの1つまたは複数のものが含まれ得る。例えば、透明インクの局所的厚みを制御して、光の局所的光路長を制御することができる。透明インクの局所的屈折率を制御して、光の局所的光路長を制御することもできる。光学素子はレンズ、凹レンズ、凸レンズ、プリズム、位相板、格子、曲面鏡、非球面レンズおよびゾーンプレートであり得る。
【0018】
1つまたは複数の実施形態の詳細は、添付図面および以下の説明の中で記されている。説明および図そして特許請求項からその他の特長が明らかになることだろう。
【0019】
さまざまな図面中同じ参照符号は同じ要素を表わしている。
【0020】
詳細な説明
現代の光学理論では、物体から発出される光の波面は、光の振幅、波長および位相の両方を記述するべく複素数によって表現される。しかしながら、媒体上に記録された物体の画像は一般に信号強度の実関数によって表わされる。かくして、3D物体の2D画像を記録する場合、物体から発出される光の波面の位相についての情報は一般に失なわれる。
【0021】
2次元表面上に表示された3次元画像
図1を参照すると、多数の点で画像を表現することによって3D物体の2D画像内で、位相、振幅およびカラー情報を符号化することができる。画像は複数の個々の点で構成されていることから、かかる画像の印刷は「点描(pointillistic)」印刷と呼ぶことができる。画像の各々の点は、画像のその部分についてのカラー、強度および位相情報を含む「コンプレクセル」102を内含する。例えば、画像が透明フィルム104上に印刷された時点で、各コンプレクセル102はその画像の一部分の赤、緑および青色についての情報を符号化する3つの領域106a、106b、および106cを内含する。カラー領域106a、106b、および106cの各々の上のオーバーレイされているのは、ビューワの方向で画像の各々のカラー領域106a、106bおよび106cにより発出された光の相対的位相を制御する透明位相領域108a、108bおよび108cである。例えば、カラー領域106a、106bおよび106cはコンプレクセルの赤、緑および青色値を符号化することができ、位相領域108a、108bおよび108cはコンプレクセルを通して透過された光の位相を制御することができる。カラー領域106a、106bおよび106cは、インクジェットプリンタによりフィルム104上に被着されたインクドッドであり得、対応する位相領域108a、108bおよび108cは、層を通過する光の位相を所望の量だけ遅延させる透明な屈折率材料の層であり得る。透明フィルム104上に印刷された多重コンプレクセル102から成る画像がコヒーレント白色光110により照射される場合、その画像はビューワ112に対し表示される。コンプレクセル102の2層(すなわちカラー層106と位相層108)は、多数のコンプレクセル102で構成された複素カラープリントを作り出すべくカラーインクおよび位相層インクを連続的に印刷することで実現可能である。
【0022】
物理的に、フィルム104上に印刷された多数の三色コンプレクセル102は、3D物体から発出された波面の赤、緑および青色成分ΨR(rR)、ΨG(rG)およびΨB(rB)についての情報を含み、Ψiがカラー成分の波動関数であり、riがフィルム104の場所であるビューワ112に伝送される物体のカラー画像に貢献する。ビューワ112により観察された画像の強度I(r)は、カラー成分の波動関数の2乗の合計によって得られる。
ここで式中、Eは、照明光110のスペクトルといったような光学的条件およびフィルム104からビューワ112に伝送された時点の光に対するあらゆる効果を含めた環境パラメータであり、Aiはカラー成分の振幅である。各々のカラー成分の波動関数は、以下の式から得られる;
ここで式中、θi(ri)は各々の波動関数の位相である。
【0023】
図2に示すように、不透明シート204上に、複数のコンプレクセル202から成る画像を印刷することもでき、こうしてビューワ212に対しシート204からの入射コヒーレント白色光210を反射することにより画像を一覧することができるようになっている。画像が反射性シート204上に印刷される場合、赤、緑および青色がビューワ212に表示されるように、シート上に入射しビューワ212に反射される白色光210からの明色を、シアン、マゼンタおよび黄色(「CMY」)が減算することから、赤、緑および青色をコンプレクセル202のカラー領域のために使用する代りに、それぞれカラー領域206a、206b、206cを形成するべくこれらのCMYカラーが使用される。位相領域208a、208b、および208cは、ビューワ212に対し反射される光の位相を制御するべくカラー領域206a、206bおよび206c上に印刷される。
【0024】
図3に示すように、波長および光路での色特異性が無視される場合、厳密な点描3原色の条件を緩和させることができ、点描的に加法的な色および同時に起こる減法的な色が混合され3色と共に用いられる従来の3原色を使用することができる。R、GおよびBのカラーで同時に起こるコンプレクセルを表現するためには、カラー印刷層302は、位相θ(r)が色加重平均値を有するものと仮定して、波面関数eiθ(r)の位相成分を表わす位相印刷層304でオーバーレイされる。位相θ(r)は画像の表面を横断して連続的に変動することから、固定の厚みを有する透明インクで位相層304をドットマトリクス印刷する場合、異なる屈折率をもつ多重透明インクが調製されなくてはならない。カラー層302の特定の領域全体にわたり位相層304を印刷するためには、カラー層302上に特定の領域で所望の位相に対応する屈折率をもつ透明インクが被着させられる。例えば32の異なる屈折率を有するインクをカラー層302の特定の領域上に被着させてこの領域に対し相対的位相を導入することができる。領域上に被着されたインクの屈折率に応じて、領域の相対的位相は32段階で0〜2πの間で変動し得る。
【0025】
図4に示すように、カラー層302を印刷する場合、異なるサイズの複数のタイプのドットならびに透明プリントのためのさまざまな原色(例えば赤、緑、青および黒つまり「RGBK」)または反射性プリントのためのさまざまな補色(例えばシアン、マゼンタ、黄色、および黒つまり「CMYK」)を使用することができる。例えば、さまざまな原色または補色の大きいドット402、中位のドット404および小さいドット406を使用することができる。1つの画像がレンダリングされるようにプリント内で所望の局所的カラーを達成するべく、異なるカラーおよびサイズのドットを互いにオーバーレイさせることができる。画像から光の局所的振幅A(r)を調整するべく黒色ドットが使用される。
【0026】
RGBKインクは、透明フィルムまたはプレート上で使用可能であり、バックライトカラーディスプレーおよび映画において一般的に使用される。CMYKインクは不透明なシート上で使用でき、一般にフォトディスプレーおよびカラープリントにおいて使用される。両方のケースで、異なるサイズおよびカラーのドットを通した光路長は実質的に同一であり、従って異なるカラーおよびドットサイズが相対的位相を導入しないようになっている。異なるカラーまたはドットサイズが自然に異なる光路長を導入する場合には、透明な位相インクの異なる量(以下でさらに詳述されている通り)を適切に異なるカラーのインクおよび異なるカラーのドットサイズへと混合することができ、かくして、全てのカラーおよびドットサイズを通して光路長は実質的に同一となる。
【0027】
図5に示すように、画像の波面関数の位相部eiθ(r)を表現する位相インク502のドットが、画像のカラー部を表現するカラードット上に上塗りされる。画像の1つの位置rにおいて画像の一部分の局所的位相θ(r)を表現するために、さまざまなカラードット402、404および406から形成されるカラー層302上に異なる屈折率をもつ異なる位相インクが印刷される。さまざまなインクのさまざまな異なる屈折率は、画像上の各位置rが局所的位相で符号化されるように、画像を照明するために用いられるコヒーレント光の光路長を改変する。
【0028】
位相インクは、例えばポリステレンといった高屈折率の重合体または例えば酸化チタンといった無機材料を溶剤(例えばアルコール、トルエン、ベンゼンおよびヘキサンならびにそれらの混合物)中に溶解させることによって調製可能である。位相インクのドットを通した光路長は、そのドットの屈折率および厚みにより決定される。しかし、異なる屈折率のインクを使用することにより、異なる光路長ひいては異なる相対的位相を印刷することができる。使用される位相インクのグレースケールレベルが大きくなればなるほど、画像上の各場所の位相θ(r)を精確に表現することができる。例えば、異なる位相値を有する位相インクを用いてドットマトリクスプリンタ内に48〜96の異なる位相値を準備することができる。
【0029】
図6に示されているように、カラー層全体にわたり連続的位相層を印刷するのではなくむしろ、コンプレクセルの3つの原色成分の各々の実(振幅)成分602および虚(位相)成分604を互いに隣接して別々に表わすことができる。複素波面関数のためのオイラーの表現式、
は、複素値波面関数が、画像の各々のコンプレクセル点における波面関数の実部602(すなわちA(r)cosθ)および虚部604(すなわちiA(r)sinθ(r))を表わす並置された一対の画素から作り出される複数の点描コンプレクセルによって表現され得るということを示している。点描カラー画像内で距離をおいて観察された場合、実部および虚部で構成された特定のコンプレクセルは、単一の複素値画素として、統合的に視覚化可能である。上述のように、実および虚画素602および604の振幅およびカラーは、適切な量のRGBKまたはCMYKドットを混合することによって作り出される。個々のドットのカラー強度は、カラードットの色相を制御することによって制御可能である。図7に示されているように、画像の局所的輝度を制御するためには、ドットサイズの変動の際の黒色インクのドット702を使用し、図7に示されている通りカラー部域704上に重畳させることができる。
【0030】
虚画素604に帰属する虚単位iは、実際にコンプレクセルの実部602に比べて90度だけ虚画素604の位相を効果的に増大させるλ/4位相板606により生成され得、ここで、λはコンプレクセルのカラー成分により表わされる原色(赤、緑、もしくは青またはシアン、マゼンタもしくは黄)の波長である。λ/4位相板層606は位相インクで印刷され得、光が実および虚部を形成するインク内に浸透しビューワに反射し戻されるにつれて実画素602に比べ虚画素604内の光の経路長を増大させ、かくして、実画素と虚画素の間の位相差が達成されることになる。実画素および虚画素の中で用いられる等式(5)内の正弦(sine)および余弦(cosine)関数の正および負の両方の値に対応するため、λ/4位相板606に加えて、λ/2および3/4 λの位相板が必要である。例えば、このような位相板を作り出すのに必要とされる赤、緑および青の画素の実および虚成分についての経路長の差が表1に示されており、ここで位相インクはn=1.5の屈折率を有するものと仮定されている。
【0031】
【表1】
【0032】
従って、カラー画素を上塗りするために、各カラーについて、λ/2、λ/4および3/4λの3種類の位相板を生成するべく異なる屈折率をもつ3種類の透明インクが使用される。-π/2とπ/2の間の位相をもつ実画素のためには、いかなる位相も使用されず、π/2と3/2πの間の位相をもつ実画素については、λ/2位相板が使用される。0とπの間の位相をもつ虚画素については、λ/4位相板が用いられ、πと2πの間の位相をもつ虚画素については3/4λ位相板が使用される。
【0033】
位相板ドットは、位相板ドットとして同一の直径をもつカラードット上に精確に上塗りされる。例えば、直径20μmのカラードットが使用される場合、位相板ドットの位置およびサイズは約2μmの精度内で制御されなくてはならない。現行のアクチュエータはこの位置決め精度を容易に管理できるが、現行のインクジェットについてはそれは要求の高いことであるかもしれない。
【0034】
マルチコンプレクセル画像の個々のコンプレクセルおよびコンプレクセルの成分カラーおよび実および虚部が個々に分解できず統一画像の形に合わせて配合されるように、実画素と虚画素の間または異なるカラー成分領域間の観察者の視角は約1分未満の弧でなくてはならない。例えば複素プリントが約10mを超える距離から一覧される場合(例えば屋外広告垂れ幕、スタジアムディスプレーまたは大きい劇場スクリーンが一覧される場合)、画素サイズは約1mm以上であり得る。約25cmの距離から一覧されるカラープリント(例えば写真)については、同時複素カラー印刷については約40μmそして点描複素カラー印刷については約20μmの画素サイズが適切である。かくして、画素サイズの必要条件は、図4に示されている同時複素印刷に比べて図3に示されている点描複素印刷については2倍厳しいものであるが、ホログラム印刷と比べるとなおはるかに要求の低いものである。ホログラムと比べた複素プリントのもう1つの利点は、最低でも3倍改善される、照射光の利用効率にある。このことはすなわち、複素プリントの立体視が通常の照射条件下で全く自然になるということを意味している。
【0035】
さらに、異なるサイズのカラードットがオーバーレイされる同時カラー印刷技術と、波面関数の実および虚部を表現するために制限された数の位相板しか使用されない点描位相印刷技術を組合わせることが可能である。
【0036】
平坦な光学素子を作り出すための複素印刷の使用
ガラス、レンズ、格子およびプリズムといったような光学素子の機能は一般に、光波面のプロファイルを転換させるための要素として理解される。例えば、図8に示されているように、凸レンズ802および凹レンズ804は波面を平面波806から球面波808に、そして球面波808を平面波806にそれぞれ転換できる。この波面転換機能は数学的に複素透明性と呼ばれる複素関数で数学的に公式化される。
なお式中、位置(x、y)はレンズ802または804上の1点であり、fはレンズの焦点距離である。等式(6)は、fを回折長zで置き換えた場合、フレネル回折を表現する複素関数と同一である。これを理由として、レンズは、以下に詳述するように回折効果を相殺することができる。
【0037】
波面に対するレンズの効果は、数学的に以下のように表現することができる:
なお式中、Ψinはレンズの前の波面関数であり、Ψout(r)はレンズの後の波面関数である。
【0038】
凸レンズの複素透明度は以下のように表わすことができる:
なお式中、γはレンズの中心から測定された正規化された半径である。等式(8)の実成分902および虚成分904は、図9中にγの関数としてプロントされ、実および虚成分1002および1004は図10にxおよびyの関数として2次元でプロットされている。透明度関数の実成分、cos(π/2γ2)が二進関数により近似され、0と1(すなわち不透明および透明)の2つの値しか取らない場合、図10に示された白および黒の部域に従って、交互の不透明リングおよび透明開口部についてゾーンプレートと呼ばれる2次元機能板を作ることができる。ゾーンプレートは長い間、凸レンズの不完全ではあるものの経済的な代用品として用いられてきた。ゾーンプレートは、光学的機能のパターンを担持する薄膜が光学素子に置き換わることができるということを示している。複素透明度の実部を2進的に近似するゾーンプレートは同様に容易に製造することもできるが、それらは、凸レンズを不完全に再現するものであるために、大きな迷光背景および低い光使用効率といったさまざまな欠点を有する。
【0039】
しかしながら、上述のような位相インクのドット印刷は、等式(8)の2次元複素透明度関数を再現するために使用可能である。かくして、実際の光学素子の透明度関数は、同時および点描位相印刷を用いて高い精度で再現可能である。例えば、等式(8)により得られるフレネル回折タイプの関数を表現するパターンが図11に示されている。図11では、複素透明度関数の1つの可能な実施形態が、π/2の位相前進に従って交互に+1および-1をとるだけの矩形関数によりcosθとsinθを近似することによって与えられている。このパターン化は、図11に示されている部分1に何も置かず、i部分にλ/4位相板を置き、-1部分にλ/2位相板を置き、部分-iに3/4 λ位相板を置くことにより容易に行なうことができる。複素関数をさらに精確に模倣するためには、小さな位相変動を近似するべくcosθとsinθを、1と-1の間のグレースケールトーンでより厳密に近似することができる。
【0040】
この例で示されているように、透明位相とトーンインクの組合せを使用してその複素透明度関数パターンを印刷することにより、光学素子の機能を模倣することができる。位相印刷で近似できる光学素子は、さまざまな凸および凹レンズ、さまざまなガラス、さまざまな格子、さまざまなプリント、さまざまな鏡、さまざまな拡散器、さまざまな反射器、さまざまな位相板およびさまざまな遮光板を内含し得る。複素フィルムの利用分野は、現像可能なあらゆる光学素子例えば顕微鏡に用いられる精巧な乱視用高性能非球面凸または凹レンズ、天体望遠鏡のために使用される大型非球面凹面鏡、および半導体産業で使用される細かい格子を網羅することができる。
【0041】
従来の光学デバイス内では通常不可避的であるさまざまな光学収差を除去することもできるが、色収差はトーンまたは透明複素フィルムのみでは除去され得ない。しかしながら、色収差は同様に、透明板に対する複素カラー印刷を使用しても除去することができる。
【0042】
かかる光学素子を作り出すためには、同時および点描位相印刷の両方を応用することができる。eiθ(r)を精確に表わすのに特に重要である位相θ(r)については、技術的には要求が高いがより高性能である印刷が、同時印刷で可能である。一方、cosθ(r)+i sinθ(r)の関数形態を印刷する点描印刷は、本書で説明されている通り位相印刷ほど要求が高くないが、トーン印刷を|cosθ|および|sinθ|として表現することが必要とされる。トーン印刷もまた、透明位相インクが専ら使用される同時位相印刷と比べ、光強度が低くなるという欠点をもつ。
【0043】
例
図12に示されているように、実物体1206のための色波面関数(すなわち
)を計算するために、互いから予め定められた距離をおいて並置されている2つのカメラ1202および1204により、2つのカラー写真を記録することができ、その後2台のカメラによって記録された画像からの情報を使用して、一般にコンピュータで生成されるホログラフィで用いられ本書にその全体が参考として内含されているA. J. MacGovernおよびJ. C. Wyant, "Computer Generated Holograms For Testing Optical Elements, Appl. Opt. Vol. 10, pp.619-624 (1971)の中で記述されている技術を用いて波面関数を抽出フェージングすることができる。2台のカメラ1202および1204によって記録された画像の中の情報に基づいて、物体1206の表面に帰属する3色の3D分布をコンピュータ1208内で作り出すことができ、かくして、物体1206の上の各点は6つのパラメータ(すなわち、x、yおよびz座標およびR、GおよびBカラー値)により特徴づけされることになる。これら6次元データに基づいて、色波面関数A(r)eiθ(r)を計算することができ、かくしてカメラの各カメラビューイングスクリーンのビューイングスクリーンにある各カラー成分のための波動の位相は、次に式から得られることになる:
なお式中、λR、λGおよびλBは個々のカラー成分の波長に対応し、fはカメラ内の利用されているレンズの焦点距離である。z=fである場合、画像は、カメラレンズの焦点で形成され、等式10a〜10c内の表現は1に等しく、画像形成された点の中にぼやけが全くないことを表わす。z≠fである場合、等式10a〜10c内の表現は複素数であり、画像形成された点はぼやけている。しかしながら、ぼやけは、波面の表現が複素形態で正確に再構築され、適切な方法で光学的に再構築された場合にのみ回復可能であり得るぼやけた点zの深さを決定することから、有用である。
【0044】
等式10a〜10cにより与えられる複素関数の実部が2進関数に転換された時点で、それは上記で説明されている通り、ゾーンプレートとなる。ゾーンプレートおよびレンズの機能は同じではないが、ゾーンプレートはレンズの機能の適当な近似を提供する。一方、複素形態で与えられるフレネル回折タイプの関数は、理論的に光学素子の複素透明度関数の完全な翻訳を提供するが、完全な翻訳は、透明度関数の翻訳を担持するフィルムが適切な方法で照明されている場合にのみ実現可能である。例えば、図13に示されているように、点Bから発出されたものと同じ波面を再現するべくフィルム1302上に広げられたフレネル回折関数については、照明光は空間的コヒーレンスを有していなければならない。かかるコヒーレンスは、コヒーレント平面波1304での照明によって提供され得る。
【0045】
平面波1304が複素フィルム1302に当たった時点で、フィルム1302は、フレネル回折の関数形式をもつ波面を発出する。複素フィルム1302の前の入射平面波1304からの波動からフィルムの後の回折された波動1306へのこの転換は、凹レンズによる平面波から球面波への転換と類似である。かくして、複素フィルム1302上のパターンのみならずフィルムの特定の照明もが、観察者の一覧する画像を決定する。
【0046】
図14に示されているように、本書に記述されているような透明なフィルム上の点描カラーおよび位相印刷を使用して、複素フィルム1402を作ることができる。カラー部分1402および位相部分1403を有する複素パターンが印刷されたフィルムからの立体画像の再現は、フィルム1402の裏面のコヒーレント白色光照明で達成可能である。フィルムが大きくない場合、複素フィルム1402の平面波照明1408を作り出すため収束レンズ1406の焦点に位置設定された点光源1404からの光をレンズ1406上に当てることにより並行照明を達成することができる。大きいフィルムのためには、光源1404は収束レンズ1406の焦点に位置設定されず、かくして複素フィルム1402は、拡大する光波面1410で照明されることになる。照明光
の広がりに起因する位相変化を相殺するため、関数形式
をもつ複素透明度が、フィルム上の複素パターンΨt(r)に加えてフィルム1402に付加される。
【0047】
図15に示されているように、複素プリント(例えばフォトプリント)を作製するためには、上述のように同時または点描複素印刷のいずれかを用いて不透明シート1500上に複素パターン1502を印刷することができる。複素パターン1502からの立体画像の再現は、シート1500の正面から照射されるコヒーレント白色光を当て観察者に光を反射することによって達成される。例えば、収束レンズ1504で点光源1504を視準し、不透明シート上のパターンに向かって導くことができ、光はそこから観察者へと反射される。大型フィルムについては、照明光の広がりを相殺するのに充分な複素反射率を有するパターンがシート1500上のシートに印刷される場合、広がった光を作るレンズ系を使用することができる。
【0048】
図14を再び参照すると、透明フィルム上の複素パターン1402から形成された画像を遠隔の場所まで立体画像として投射することができる。例えば、画像は、照明源が位置設定されているよりも透明フィルムからはるかに遠く離れた場所に位置設定された観察者に対し、投射され得る。または、画像を鏡に投射し次に遠位の観察者に反射することができる。このようにして、例えば劇場内の観客に対し映画を映写するためといったように、数多くの観察者に対し画像を連続的に投射することができる。
【0049】
透明フィルム上に形成された複素パターンのもう1つの利用分野は、画像を作り出すのに電子画素を使用する電子ディスプレー(例えばテレビ、携帯電話、およびその他のコンピュータで生成されるディスプレー)のために用いられるカラーフィルターにある。この利用分野においては、カラー画素の場所は場所が固定されていることから、点描コンプレクセルを4つの画素を内含するべく拡大しなければならない。図16に示されているように、電子表示スクリーンは、それぞれ赤、緑、および青色光、1602、1604および1606を表示するために照射され得る多重光源(例えば発光ダイオードまたは液晶(「LC」))で構成され得る。図17に示されているように、各々の光源は、実際には、それぞれ0λ/4、λ/2および3λ/4という光の経路長にシフトを導入するべくその上に透明な空間光変調器を設置できる独立して活動化され得る4つの領域、1702、1704、1706および1708で構成される。空間光変調器は、経路長の差を導入するべく位相インクの薄いフィルムであり得る。かくして等式(5)に従って波面関数の実部および虚部を制御することができ、色要素に対し供給される電流を調整することによって局所的波面関数の実部および虚部の強度を制御することができる。
【0050】
光変調器としてLCデバイスが使用される場合、光の強度の変化により導入される位相変化が補償されなくてはならない。LC内の強度変動と対になった位相変動を相殺するためには、2つのLC(1つはカラーフィルターと共に色の強度を制御するためのものおよびもう1つは位相相殺のためのもの)を使用することができる。2つのLC層のセットアップを図18に示す。点光源1802からのコヒーレント白色光を、小さいパターンについては収束レンズ1804で視準しまた大きいパターンについてはレンズ1804で広げ、LC層と共に使用すべき光を偏光するため偏光層1806に向かって導くことができる。偏光層1806を通過した後、光は、画像の強度制御のために用いられる第1のLC層1808、分析装置1810、カラーフィルター層1812そして強度により誘発された位相変化を相殺するのに使用される第2のLC層1814に突き当たる。LC要素の方向に光を視準させるためのマイクロレンズアレイ1816で入射光をさらに視準することができる。
【0051】
多数の実施形態について記述してきた。しかしながら、さまざまな修正を加えることができるということがわかるだろう。例えば、物体から発出された光の波面関数の強度、カラーおよび位相を考慮に入れることにより2D画像で巨視的3D物体が再現される実施形態について記述してきたが、その表面特性により発光の位相に影響を及ぼすその他の物体もまた、本書で記述された技術を用いて再現することができる。例えば、表面から反射された光の位相に影響を及ぼす表面上の微視的パターンに起因する、真珠、貝のテラテラ光る表面およびBlue Morphoバタフライの羽根の玉虫色の青色も同様に、本書に記述されている技術で再現可能である。従って、その他の実施形態が、本請求項の範囲内に入る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】ビューワに表示されている透明な媒体上に印刷された複素画像の概略図である。
【図2】ビューワに表示されている反射媒体上に印刷された複素画像の概略図である。
【図3】カラーインクおよびカラーインクから発出された光の中に位相変動を導入するオーバーレイされた透明インクで形成された2つのコンプレクセルの概略的側面図である。
【図4】異なるカラーインクの多重ドットの概略的上面図である。
【図5】透明な位相インクのドットがオーバーレイされた異なるカラーインクの多重ドットの概略的上面図である。
【図6】コンプレクセルがカラーインクおよびコンプレクセルの異なる部分の間に位相差を導入するため位相板として作用するオーバーレイされた透明インクで形成されている、複素波面の実部と虚部を表わすコンプレクセルの概略的側面図である。
【図7】不透明インクドットがオーバレイされた異なるカラーインクの多重ドットの概略的上面図である。
【図8】図AおよびBは、光学素子およびその光波面に対する影響の概略的側面図である。
【図9】凸レンズの複素透明度関数の実および虚成分のプロットである。
【図10】凸レンズの複素透明度関数の実および虚成分の2次元プロットである。
【図11】凸レンズの複素透明度関数の実および虚成分および2次元媒体上の該関数の1実施形態の2次元プロットである。
【図12】立体画像を作り出すためのデータを記録するのに使用されるカメラの配置の概略的側面図である。
【図13】複素フィルムによる平面波の回折の概略的側面図である。
【図14】複素フィルムによる平面波の回折および複素フィルムによる拡大する波動の回折の概略的側面図である。
【図15】ビューワに対し画像を反射させるための複素フィルムの概略的側面図である。
【図16】多重光源から成る電子表示スクリーンの概略図である。
【図17】図16の電子表示スクリーン内で使用される光源の概略図である。
【図18】電子ディスプレー内で使用される複素画像の配置の概略的側面図である。
【技術分野】
【0001】
本開示は、2次元表面上への3次元(3D)物体の立体視カラー画像の印刷そしてより特定的には、複素点描マルチカラー印刷に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元(「2D」)画像によって3次元(「3D」)物体を表現することは、むずかしく重要な作業である。記録媒体上で特定の観察平面において物体から発出された光波面を記録し、光波面が3D物体自体から発出されている如くに見えるように記録媒体上に適切な光を当ててオリジナルの光波面を再構築することによって、3D物体の裸眼立体視画像を作り出すためには、ホログラフィ技術が用いられてきた。
【0003】
現代の光学理論では、物体から発出された光の完全な描写は、一般に物体から発出された光の波面を複素波面(すなわち実部と虚部を有する波面)として扱っている。しかしながら記録媒体上に記録された物体の画像は、一般に信号強度の実関数により表わされる。従って、強度データのみを記録する実際の画像からの複素波面の再構築は重要である。
【0004】
従来のホログラフィは、
として2つの共役波Ψ(r)の加算を表わすRe[Ψ(r)]という複素波面の実成分がそれを通して抽出され得る、信号と基準波の間の干渉を使用することによって、実信号強度データで複素波面を表わす問題を回避している。軸外ホログラフィは、特定のコヒーレント照明を用いてRe[Ψ(r)]からの立体視の原因となる複素波面Ψ(r)を抽出することができる。
【0005】
位相操作技術を用いたその他の実験で、波面、Im[Ψ(r)]の虚成分の表現を補足することが可能である。例えば、波動関数の実および虚成分をコンピュータ画像内で加算することができる(Ψ(r)=Re[Ψ(r)]+iIm[Ψ(r)])が、かかる技術は物理的空間まで拡大されていない。
【発明の開示】
【0006】
光波面を表現しカラー3D物体を表すために複素関数を印刷する方法が開発されてきた。該印刷方法は、画像から発出される光の位相、強度およびカラーを制御できるカラー複素画素(「コンプレクセル(complexel)」)から成るプリントを使用する。複素印刷機能を達成するため、複素波面の位相部または複素部を表わし高屈折性透明インクで実現される位相印刷が、従来のカラー印刷を補足するべく使用される。1つの物体の画像についての位相情報を印刷するためには、画像からの光の波面Ψconc(r)=A(r)eiθ(r)の複素振幅の位相部eiθ(r)を印刷することができ(ここで、A(r)は画像のカラーおよび強度部を示す)、そうでなければ波面Ψpoins(r)=A(r)cosθ(r)+iA(r)sinθ(r)の複素振幅を表現するため相補的位相およびカラー/振幅画素を用いて点描画的に画像を印刷することができる(ここで、カラー部を示す2つの実関数A(r)|cosθ(r)|およびA(r)|sinθ(r)|は互いに隣接して点描画式に印刷される)。
【0007】
第1の一般的局面においては、3次元物体の画像を印刷する方法は、カラーインクの多重ドットを印刷して、物体の画像を形成する段階および画像内部で1より大きい屈折率をもつ透明インクのドットを印刷する段階を含む。透明インクのドットは、画像を通して放たれる光の経路長を局所的に改変して、画像上に位相変動を作り出す。
【0008】
実施には以下の特長のうちの1つまたは複数のものが含まれ得る。例えば、多重コンプレクセルの実部は、コンプレクセルの虚部に隣接して記録媒体上に印刷され得る。位相板は、コンプレクセルの虚部より上に印刷され得る。透明インクのドットは、記録媒体上のカラーインクのドット上に印刷され得る。
【0009】
画像は、A(r)eiθ(r)=A(r)cosθ(r)+iA(r)sinθ(r)により定義される複素波面によって画定され得、ここで、A(r)は波面振幅の2次元分布を表わし、θ(r)は波面位相の2次元分布を表わし、カラーインクのドットを印刷して、コンプレクセルの実部を表わすことができ、コンプレクセルの実部全体にわたり透明インクのドットを印刷して、cosθ(r)が負である場合にλ/2位相板を作り出すことができ、カラーインクのドットを印刷して、コンプレクセルの虚部を表わすことができ、コンプレクセルの虚部部分にわたり透明インクのドットを印刷して、sinθ(r)が正である場合にλ/4位相板を作り出すことができ、コンプレクセルの虚部部分にわたり透明インクのドットを印刷して、sinθ(r)が負である場合に3λ/4位相板を作り出すことができる。
【0010】
印刷すべき透明インクの屈折率は、λ/4位相板、λ/2位相板および3λ/4位相板を印刷するように選択され得る。印刷すべき透明インクの層厚みは、λ/4位相板、λ/2位相板および3λ/4位相板を印刷するように選択可能である。
【0011】
カラーインクのドットを印刷する段階および透明インクのドットを印刷する段階にはさらに、屈折率を有する透明インクとカラーインクを混合する段階および混合されたインクのドットを印刷する段階が含まれ得る。
【0012】
少なくとも3つのカラーインクの多重ドットを印刷して、物体の画像を形成することができ、マルチカラー画像内部で1より大きい屈折率を有する透明インクのドットを印刷することができ、ここで、透明インクのドットは画像を通して放たれる光の経路長を局所的に改変してマルチカラー画像上に位相変動を作り出す。
【0013】
画像は透明媒体上に印刷され得、かくして画像は媒体の裏面から照射され媒体の正面から一覧され得る。画像は反射性媒体上に印刷され得、かくして画像は媒体の正面から照射されその裏面から一覧され得る。
【0014】
画像から発出された光の光路長の変動を導入する透明インクの層を印刷することができ、ここで光路長変動は平面波波面から偏向する照明光内の経路長差を補償する。
【0015】
記録媒体上に多重画像を印刷することができ、各画像は物体の画像を形成するためカラーインクの多重ドットを含み、透明インクのドットは画像内部で1より大きい屈折率を有し、透明インクのドットは、画像を通して放たれる光の経路長を局所的に改変して画像上の位相変動を作り出し、多重画像が動画を作り出すことができるように連続可能であるように多重画像はフィルム上に印刷される。
【0016】
もう1つの一般的局面においては、2次元表面上に光学素子を印刷する方法は、表面上で1つのパターンで1より大きい屈折率をもつ透明インク層を印刷する段階、および透明インクを通って走行する光の局所的光路長を制御して、表面上でインクによって反射されるまたはインクを通して透過される光の位相が予め定められた方法で改変されるようにする段階を含む。
【0017】
実施形態には以下の特徴のうちの1つまたは複数のものが含まれ得る。例えば、透明インクの局所的厚みを制御して、光の局所的光路長を制御することができる。透明インクの局所的屈折率を制御して、光の局所的光路長を制御することもできる。光学素子はレンズ、凹レンズ、凸レンズ、プリズム、位相板、格子、曲面鏡、非球面レンズおよびゾーンプレートであり得る。
【0018】
1つまたは複数の実施形態の詳細は、添付図面および以下の説明の中で記されている。説明および図そして特許請求項からその他の特長が明らかになることだろう。
【0019】
さまざまな図面中同じ参照符号は同じ要素を表わしている。
【0020】
詳細な説明
現代の光学理論では、物体から発出される光の波面は、光の振幅、波長および位相の両方を記述するべく複素数によって表現される。しかしながら、媒体上に記録された物体の画像は一般に信号強度の実関数によって表わされる。かくして、3D物体の2D画像を記録する場合、物体から発出される光の波面の位相についての情報は一般に失なわれる。
【0021】
2次元表面上に表示された3次元画像
図1を参照すると、多数の点で画像を表現することによって3D物体の2D画像内で、位相、振幅およびカラー情報を符号化することができる。画像は複数の個々の点で構成されていることから、かかる画像の印刷は「点描(pointillistic)」印刷と呼ぶことができる。画像の各々の点は、画像のその部分についてのカラー、強度および位相情報を含む「コンプレクセル」102を内含する。例えば、画像が透明フィルム104上に印刷された時点で、各コンプレクセル102はその画像の一部分の赤、緑および青色についての情報を符号化する3つの領域106a、106b、および106cを内含する。カラー領域106a、106b、および106cの各々の上のオーバーレイされているのは、ビューワの方向で画像の各々のカラー領域106a、106bおよび106cにより発出された光の相対的位相を制御する透明位相領域108a、108bおよび108cである。例えば、カラー領域106a、106bおよび106cはコンプレクセルの赤、緑および青色値を符号化することができ、位相領域108a、108bおよび108cはコンプレクセルを通して透過された光の位相を制御することができる。カラー領域106a、106bおよび106cは、インクジェットプリンタによりフィルム104上に被着されたインクドッドであり得、対応する位相領域108a、108bおよび108cは、層を通過する光の位相を所望の量だけ遅延させる透明な屈折率材料の層であり得る。透明フィルム104上に印刷された多重コンプレクセル102から成る画像がコヒーレント白色光110により照射される場合、その画像はビューワ112に対し表示される。コンプレクセル102の2層(すなわちカラー層106と位相層108)は、多数のコンプレクセル102で構成された複素カラープリントを作り出すべくカラーインクおよび位相層インクを連続的に印刷することで実現可能である。
【0022】
物理的に、フィルム104上に印刷された多数の三色コンプレクセル102は、3D物体から発出された波面の赤、緑および青色成分ΨR(rR)、ΨG(rG)およびΨB(rB)についての情報を含み、Ψiがカラー成分の波動関数であり、riがフィルム104の場所であるビューワ112に伝送される物体のカラー画像に貢献する。ビューワ112により観察された画像の強度I(r)は、カラー成分の波動関数の2乗の合計によって得られる。
ここで式中、Eは、照明光110のスペクトルといったような光学的条件およびフィルム104からビューワ112に伝送された時点の光に対するあらゆる効果を含めた環境パラメータであり、Aiはカラー成分の振幅である。各々のカラー成分の波動関数は、以下の式から得られる;
ここで式中、θi(ri)は各々の波動関数の位相である。
【0023】
図2に示すように、不透明シート204上に、複数のコンプレクセル202から成る画像を印刷することもでき、こうしてビューワ212に対しシート204からの入射コヒーレント白色光210を反射することにより画像を一覧することができるようになっている。画像が反射性シート204上に印刷される場合、赤、緑および青色がビューワ212に表示されるように、シート上に入射しビューワ212に反射される白色光210からの明色を、シアン、マゼンタおよび黄色(「CMY」)が減算することから、赤、緑および青色をコンプレクセル202のカラー領域のために使用する代りに、それぞれカラー領域206a、206b、206cを形成するべくこれらのCMYカラーが使用される。位相領域208a、208b、および208cは、ビューワ212に対し反射される光の位相を制御するべくカラー領域206a、206bおよび206c上に印刷される。
【0024】
図3に示すように、波長および光路での色特異性が無視される場合、厳密な点描3原色の条件を緩和させることができ、点描的に加法的な色および同時に起こる減法的な色が混合され3色と共に用いられる従来の3原色を使用することができる。R、GおよびBのカラーで同時に起こるコンプレクセルを表現するためには、カラー印刷層302は、位相θ(r)が色加重平均値を有するものと仮定して、波面関数eiθ(r)の位相成分を表わす位相印刷層304でオーバーレイされる。位相θ(r)は画像の表面を横断して連続的に変動することから、固定の厚みを有する透明インクで位相層304をドットマトリクス印刷する場合、異なる屈折率をもつ多重透明インクが調製されなくてはならない。カラー層302の特定の領域全体にわたり位相層304を印刷するためには、カラー層302上に特定の領域で所望の位相に対応する屈折率をもつ透明インクが被着させられる。例えば32の異なる屈折率を有するインクをカラー層302の特定の領域上に被着させてこの領域に対し相対的位相を導入することができる。領域上に被着されたインクの屈折率に応じて、領域の相対的位相は32段階で0〜2πの間で変動し得る。
【0025】
図4に示すように、カラー層302を印刷する場合、異なるサイズの複数のタイプのドットならびに透明プリントのためのさまざまな原色(例えば赤、緑、青および黒つまり「RGBK」)または反射性プリントのためのさまざまな補色(例えばシアン、マゼンタ、黄色、および黒つまり「CMYK」)を使用することができる。例えば、さまざまな原色または補色の大きいドット402、中位のドット404および小さいドット406を使用することができる。1つの画像がレンダリングされるようにプリント内で所望の局所的カラーを達成するべく、異なるカラーおよびサイズのドットを互いにオーバーレイさせることができる。画像から光の局所的振幅A(r)を調整するべく黒色ドットが使用される。
【0026】
RGBKインクは、透明フィルムまたはプレート上で使用可能であり、バックライトカラーディスプレーおよび映画において一般的に使用される。CMYKインクは不透明なシート上で使用でき、一般にフォトディスプレーおよびカラープリントにおいて使用される。両方のケースで、異なるサイズおよびカラーのドットを通した光路長は実質的に同一であり、従って異なるカラーおよびドットサイズが相対的位相を導入しないようになっている。異なるカラーまたはドットサイズが自然に異なる光路長を導入する場合には、透明な位相インクの異なる量(以下でさらに詳述されている通り)を適切に異なるカラーのインクおよび異なるカラーのドットサイズへと混合することができ、かくして、全てのカラーおよびドットサイズを通して光路長は実質的に同一となる。
【0027】
図5に示すように、画像の波面関数の位相部eiθ(r)を表現する位相インク502のドットが、画像のカラー部を表現するカラードット上に上塗りされる。画像の1つの位置rにおいて画像の一部分の局所的位相θ(r)を表現するために、さまざまなカラードット402、404および406から形成されるカラー層302上に異なる屈折率をもつ異なる位相インクが印刷される。さまざまなインクのさまざまな異なる屈折率は、画像上の各位置rが局所的位相で符号化されるように、画像を照明するために用いられるコヒーレント光の光路長を改変する。
【0028】
位相インクは、例えばポリステレンといった高屈折率の重合体または例えば酸化チタンといった無機材料を溶剤(例えばアルコール、トルエン、ベンゼンおよびヘキサンならびにそれらの混合物)中に溶解させることによって調製可能である。位相インクのドットを通した光路長は、そのドットの屈折率および厚みにより決定される。しかし、異なる屈折率のインクを使用することにより、異なる光路長ひいては異なる相対的位相を印刷することができる。使用される位相インクのグレースケールレベルが大きくなればなるほど、画像上の各場所の位相θ(r)を精確に表現することができる。例えば、異なる位相値を有する位相インクを用いてドットマトリクスプリンタ内に48〜96の異なる位相値を準備することができる。
【0029】
図6に示されているように、カラー層全体にわたり連続的位相層を印刷するのではなくむしろ、コンプレクセルの3つの原色成分の各々の実(振幅)成分602および虚(位相)成分604を互いに隣接して別々に表わすことができる。複素波面関数のためのオイラーの表現式、
は、複素値波面関数が、画像の各々のコンプレクセル点における波面関数の実部602(すなわちA(r)cosθ)および虚部604(すなわちiA(r)sinθ(r))を表わす並置された一対の画素から作り出される複数の点描コンプレクセルによって表現され得るということを示している。点描カラー画像内で距離をおいて観察された場合、実部および虚部で構成された特定のコンプレクセルは、単一の複素値画素として、統合的に視覚化可能である。上述のように、実および虚画素602および604の振幅およびカラーは、適切な量のRGBKまたはCMYKドットを混合することによって作り出される。個々のドットのカラー強度は、カラードットの色相を制御することによって制御可能である。図7に示されているように、画像の局所的輝度を制御するためには、ドットサイズの変動の際の黒色インクのドット702を使用し、図7に示されている通りカラー部域704上に重畳させることができる。
【0030】
虚画素604に帰属する虚単位iは、実際にコンプレクセルの実部602に比べて90度だけ虚画素604の位相を効果的に増大させるλ/4位相板606により生成され得、ここで、λはコンプレクセルのカラー成分により表わされる原色(赤、緑、もしくは青またはシアン、マゼンタもしくは黄)の波長である。λ/4位相板層606は位相インクで印刷され得、光が実および虚部を形成するインク内に浸透しビューワに反射し戻されるにつれて実画素602に比べ虚画素604内の光の経路長を増大させ、かくして、実画素と虚画素の間の位相差が達成されることになる。実画素および虚画素の中で用いられる等式(5)内の正弦(sine)および余弦(cosine)関数の正および負の両方の値に対応するため、λ/4位相板606に加えて、λ/2および3/4 λの位相板が必要である。例えば、このような位相板を作り出すのに必要とされる赤、緑および青の画素の実および虚成分についての経路長の差が表1に示されており、ここで位相インクはn=1.5の屈折率を有するものと仮定されている。
【0031】
【表1】
【0032】
従って、カラー画素を上塗りするために、各カラーについて、λ/2、λ/4および3/4λの3種類の位相板を生成するべく異なる屈折率をもつ3種類の透明インクが使用される。-π/2とπ/2の間の位相をもつ実画素のためには、いかなる位相も使用されず、π/2と3/2πの間の位相をもつ実画素については、λ/2位相板が使用される。0とπの間の位相をもつ虚画素については、λ/4位相板が用いられ、πと2πの間の位相をもつ虚画素については3/4λ位相板が使用される。
【0033】
位相板ドットは、位相板ドットとして同一の直径をもつカラードット上に精確に上塗りされる。例えば、直径20μmのカラードットが使用される場合、位相板ドットの位置およびサイズは約2μmの精度内で制御されなくてはならない。現行のアクチュエータはこの位置決め精度を容易に管理できるが、現行のインクジェットについてはそれは要求の高いことであるかもしれない。
【0034】
マルチコンプレクセル画像の個々のコンプレクセルおよびコンプレクセルの成分カラーおよび実および虚部が個々に分解できず統一画像の形に合わせて配合されるように、実画素と虚画素の間または異なるカラー成分領域間の観察者の視角は約1分未満の弧でなくてはならない。例えば複素プリントが約10mを超える距離から一覧される場合(例えば屋外広告垂れ幕、スタジアムディスプレーまたは大きい劇場スクリーンが一覧される場合)、画素サイズは約1mm以上であり得る。約25cmの距離から一覧されるカラープリント(例えば写真)については、同時複素カラー印刷については約40μmそして点描複素カラー印刷については約20μmの画素サイズが適切である。かくして、画素サイズの必要条件は、図4に示されている同時複素印刷に比べて図3に示されている点描複素印刷については2倍厳しいものであるが、ホログラム印刷と比べるとなおはるかに要求の低いものである。ホログラムと比べた複素プリントのもう1つの利点は、最低でも3倍改善される、照射光の利用効率にある。このことはすなわち、複素プリントの立体視が通常の照射条件下で全く自然になるということを意味している。
【0035】
さらに、異なるサイズのカラードットがオーバーレイされる同時カラー印刷技術と、波面関数の実および虚部を表現するために制限された数の位相板しか使用されない点描位相印刷技術を組合わせることが可能である。
【0036】
平坦な光学素子を作り出すための複素印刷の使用
ガラス、レンズ、格子およびプリズムといったような光学素子の機能は一般に、光波面のプロファイルを転換させるための要素として理解される。例えば、図8に示されているように、凸レンズ802および凹レンズ804は波面を平面波806から球面波808に、そして球面波808を平面波806にそれぞれ転換できる。この波面転換機能は数学的に複素透明性と呼ばれる複素関数で数学的に公式化される。
なお式中、位置(x、y)はレンズ802または804上の1点であり、fはレンズの焦点距離である。等式(6)は、fを回折長zで置き換えた場合、フレネル回折を表現する複素関数と同一である。これを理由として、レンズは、以下に詳述するように回折効果を相殺することができる。
【0037】
波面に対するレンズの効果は、数学的に以下のように表現することができる:
なお式中、Ψinはレンズの前の波面関数であり、Ψout(r)はレンズの後の波面関数である。
【0038】
凸レンズの複素透明度は以下のように表わすことができる:
なお式中、γはレンズの中心から測定された正規化された半径である。等式(8)の実成分902および虚成分904は、図9中にγの関数としてプロントされ、実および虚成分1002および1004は図10にxおよびyの関数として2次元でプロットされている。透明度関数の実成分、cos(π/2γ2)が二進関数により近似され、0と1(すなわち不透明および透明)の2つの値しか取らない場合、図10に示された白および黒の部域に従って、交互の不透明リングおよび透明開口部についてゾーンプレートと呼ばれる2次元機能板を作ることができる。ゾーンプレートは長い間、凸レンズの不完全ではあるものの経済的な代用品として用いられてきた。ゾーンプレートは、光学的機能のパターンを担持する薄膜が光学素子に置き換わることができるということを示している。複素透明度の実部を2進的に近似するゾーンプレートは同様に容易に製造することもできるが、それらは、凸レンズを不完全に再現するものであるために、大きな迷光背景および低い光使用効率といったさまざまな欠点を有する。
【0039】
しかしながら、上述のような位相インクのドット印刷は、等式(8)の2次元複素透明度関数を再現するために使用可能である。かくして、実際の光学素子の透明度関数は、同時および点描位相印刷を用いて高い精度で再現可能である。例えば、等式(8)により得られるフレネル回折タイプの関数を表現するパターンが図11に示されている。図11では、複素透明度関数の1つの可能な実施形態が、π/2の位相前進に従って交互に+1および-1をとるだけの矩形関数によりcosθとsinθを近似することによって与えられている。このパターン化は、図11に示されている部分1に何も置かず、i部分にλ/4位相板を置き、-1部分にλ/2位相板を置き、部分-iに3/4 λ位相板を置くことにより容易に行なうことができる。複素関数をさらに精確に模倣するためには、小さな位相変動を近似するべくcosθとsinθを、1と-1の間のグレースケールトーンでより厳密に近似することができる。
【0040】
この例で示されているように、透明位相とトーンインクの組合せを使用してその複素透明度関数パターンを印刷することにより、光学素子の機能を模倣することができる。位相印刷で近似できる光学素子は、さまざまな凸および凹レンズ、さまざまなガラス、さまざまな格子、さまざまなプリント、さまざまな鏡、さまざまな拡散器、さまざまな反射器、さまざまな位相板およびさまざまな遮光板を内含し得る。複素フィルムの利用分野は、現像可能なあらゆる光学素子例えば顕微鏡に用いられる精巧な乱視用高性能非球面凸または凹レンズ、天体望遠鏡のために使用される大型非球面凹面鏡、および半導体産業で使用される細かい格子を網羅することができる。
【0041】
従来の光学デバイス内では通常不可避的であるさまざまな光学収差を除去することもできるが、色収差はトーンまたは透明複素フィルムのみでは除去され得ない。しかしながら、色収差は同様に、透明板に対する複素カラー印刷を使用しても除去することができる。
【0042】
かかる光学素子を作り出すためには、同時および点描位相印刷の両方を応用することができる。eiθ(r)を精確に表わすのに特に重要である位相θ(r)については、技術的には要求が高いがより高性能である印刷が、同時印刷で可能である。一方、cosθ(r)+i sinθ(r)の関数形態を印刷する点描印刷は、本書で説明されている通り位相印刷ほど要求が高くないが、トーン印刷を|cosθ|および|sinθ|として表現することが必要とされる。トーン印刷もまた、透明位相インクが専ら使用される同時位相印刷と比べ、光強度が低くなるという欠点をもつ。
【0043】
例
図12に示されているように、実物体1206のための色波面関数(すなわち
)を計算するために、互いから予め定められた距離をおいて並置されている2つのカメラ1202および1204により、2つのカラー写真を記録することができ、その後2台のカメラによって記録された画像からの情報を使用して、一般にコンピュータで生成されるホログラフィで用いられ本書にその全体が参考として内含されているA. J. MacGovernおよびJ. C. Wyant, "Computer Generated Holograms For Testing Optical Elements, Appl. Opt. Vol. 10, pp.619-624 (1971)の中で記述されている技術を用いて波面関数を抽出フェージングすることができる。2台のカメラ1202および1204によって記録された画像の中の情報に基づいて、物体1206の表面に帰属する3色の3D分布をコンピュータ1208内で作り出すことができ、かくして、物体1206の上の各点は6つのパラメータ(すなわち、x、yおよびz座標およびR、GおよびBカラー値)により特徴づけされることになる。これら6次元データに基づいて、色波面関数A(r)eiθ(r)を計算することができ、かくしてカメラの各カメラビューイングスクリーンのビューイングスクリーンにある各カラー成分のための波動の位相は、次に式から得られることになる:
なお式中、λR、λGおよびλBは個々のカラー成分の波長に対応し、fはカメラ内の利用されているレンズの焦点距離である。z=fである場合、画像は、カメラレンズの焦点で形成され、等式10a〜10c内の表現は1に等しく、画像形成された点の中にぼやけが全くないことを表わす。z≠fである場合、等式10a〜10c内の表現は複素数であり、画像形成された点はぼやけている。しかしながら、ぼやけは、波面の表現が複素形態で正確に再構築され、適切な方法で光学的に再構築された場合にのみ回復可能であり得るぼやけた点zの深さを決定することから、有用である。
【0044】
等式10a〜10cにより与えられる複素関数の実部が2進関数に転換された時点で、それは上記で説明されている通り、ゾーンプレートとなる。ゾーンプレートおよびレンズの機能は同じではないが、ゾーンプレートはレンズの機能の適当な近似を提供する。一方、複素形態で与えられるフレネル回折タイプの関数は、理論的に光学素子の複素透明度関数の完全な翻訳を提供するが、完全な翻訳は、透明度関数の翻訳を担持するフィルムが適切な方法で照明されている場合にのみ実現可能である。例えば、図13に示されているように、点Bから発出されたものと同じ波面を再現するべくフィルム1302上に広げられたフレネル回折関数については、照明光は空間的コヒーレンスを有していなければならない。かかるコヒーレンスは、コヒーレント平面波1304での照明によって提供され得る。
【0045】
平面波1304が複素フィルム1302に当たった時点で、フィルム1302は、フレネル回折の関数形式をもつ波面を発出する。複素フィルム1302の前の入射平面波1304からの波動からフィルムの後の回折された波動1306へのこの転換は、凹レンズによる平面波から球面波への転換と類似である。かくして、複素フィルム1302上のパターンのみならずフィルムの特定の照明もが、観察者の一覧する画像を決定する。
【0046】
図14に示されているように、本書に記述されているような透明なフィルム上の点描カラーおよび位相印刷を使用して、複素フィルム1402を作ることができる。カラー部分1402および位相部分1403を有する複素パターンが印刷されたフィルムからの立体画像の再現は、フィルム1402の裏面のコヒーレント白色光照明で達成可能である。フィルムが大きくない場合、複素フィルム1402の平面波照明1408を作り出すため収束レンズ1406の焦点に位置設定された点光源1404からの光をレンズ1406上に当てることにより並行照明を達成することができる。大きいフィルムのためには、光源1404は収束レンズ1406の焦点に位置設定されず、かくして複素フィルム1402は、拡大する光波面1410で照明されることになる。照明光
の広がりに起因する位相変化を相殺するため、関数形式
をもつ複素透明度が、フィルム上の複素パターンΨt(r)に加えてフィルム1402に付加される。
【0047】
図15に示されているように、複素プリント(例えばフォトプリント)を作製するためには、上述のように同時または点描複素印刷のいずれかを用いて不透明シート1500上に複素パターン1502を印刷することができる。複素パターン1502からの立体画像の再現は、シート1500の正面から照射されるコヒーレント白色光を当て観察者に光を反射することによって達成される。例えば、収束レンズ1504で点光源1504を視準し、不透明シート上のパターンに向かって導くことができ、光はそこから観察者へと反射される。大型フィルムについては、照明光の広がりを相殺するのに充分な複素反射率を有するパターンがシート1500上のシートに印刷される場合、広がった光を作るレンズ系を使用することができる。
【0048】
図14を再び参照すると、透明フィルム上の複素パターン1402から形成された画像を遠隔の場所まで立体画像として投射することができる。例えば、画像は、照明源が位置設定されているよりも透明フィルムからはるかに遠く離れた場所に位置設定された観察者に対し、投射され得る。または、画像を鏡に投射し次に遠位の観察者に反射することができる。このようにして、例えば劇場内の観客に対し映画を映写するためといったように、数多くの観察者に対し画像を連続的に投射することができる。
【0049】
透明フィルム上に形成された複素パターンのもう1つの利用分野は、画像を作り出すのに電子画素を使用する電子ディスプレー(例えばテレビ、携帯電話、およびその他のコンピュータで生成されるディスプレー)のために用いられるカラーフィルターにある。この利用分野においては、カラー画素の場所は場所が固定されていることから、点描コンプレクセルを4つの画素を内含するべく拡大しなければならない。図16に示されているように、電子表示スクリーンは、それぞれ赤、緑、および青色光、1602、1604および1606を表示するために照射され得る多重光源(例えば発光ダイオードまたは液晶(「LC」))で構成され得る。図17に示されているように、各々の光源は、実際には、それぞれ0λ/4、λ/2および3λ/4という光の経路長にシフトを導入するべくその上に透明な空間光変調器を設置できる独立して活動化され得る4つの領域、1702、1704、1706および1708で構成される。空間光変調器は、経路長の差を導入するべく位相インクの薄いフィルムであり得る。かくして等式(5)に従って波面関数の実部および虚部を制御することができ、色要素に対し供給される電流を調整することによって局所的波面関数の実部および虚部の強度を制御することができる。
【0050】
光変調器としてLCデバイスが使用される場合、光の強度の変化により導入される位相変化が補償されなくてはならない。LC内の強度変動と対になった位相変動を相殺するためには、2つのLC(1つはカラーフィルターと共に色の強度を制御するためのものおよびもう1つは位相相殺のためのもの)を使用することができる。2つのLC層のセットアップを図18に示す。点光源1802からのコヒーレント白色光を、小さいパターンについては収束レンズ1804で視準しまた大きいパターンについてはレンズ1804で広げ、LC層と共に使用すべき光を偏光するため偏光層1806に向かって導くことができる。偏光層1806を通過した後、光は、画像の強度制御のために用いられる第1のLC層1808、分析装置1810、カラーフィルター層1812そして強度により誘発された位相変化を相殺するのに使用される第2のLC層1814に突き当たる。LC要素の方向に光を視準させるためのマイクロレンズアレイ1816で入射光をさらに視準することができる。
【0051】
多数の実施形態について記述してきた。しかしながら、さまざまな修正を加えることができるということがわかるだろう。例えば、物体から発出された光の波面関数の強度、カラーおよび位相を考慮に入れることにより2D画像で巨視的3D物体が再現される実施形態について記述してきたが、その表面特性により発光の位相に影響を及ぼすその他の物体もまた、本書で記述された技術を用いて再現することができる。例えば、表面から反射された光の位相に影響を及ぼす表面上の微視的パターンに起因する、真珠、貝のテラテラ光る表面およびBlue Morphoバタフライの羽根の玉虫色の青色も同様に、本書に記述されている技術で再現可能である。従って、その他の実施形態が、本請求項の範囲内に入る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】ビューワに表示されている透明な媒体上に印刷された複素画像の概略図である。
【図2】ビューワに表示されている反射媒体上に印刷された複素画像の概略図である。
【図3】カラーインクおよびカラーインクから発出された光の中に位相変動を導入するオーバーレイされた透明インクで形成された2つのコンプレクセルの概略的側面図である。
【図4】異なるカラーインクの多重ドットの概略的上面図である。
【図5】透明な位相インクのドットがオーバーレイされた異なるカラーインクの多重ドットの概略的上面図である。
【図6】コンプレクセルがカラーインクおよびコンプレクセルの異なる部分の間に位相差を導入するため位相板として作用するオーバーレイされた透明インクで形成されている、複素波面の実部と虚部を表わすコンプレクセルの概略的側面図である。
【図7】不透明インクドットがオーバレイされた異なるカラーインクの多重ドットの概略的上面図である。
【図8】図AおよびBは、光学素子およびその光波面に対する影響の概略的側面図である。
【図9】凸レンズの複素透明度関数の実および虚成分のプロットである。
【図10】凸レンズの複素透明度関数の実および虚成分の2次元プロットである。
【図11】凸レンズの複素透明度関数の実および虚成分および2次元媒体上の該関数の1実施形態の2次元プロットである。
【図12】立体画像を作り出すためのデータを記録するのに使用されるカメラの配置の概略的側面図である。
【図13】複素フィルムによる平面波の回折の概略的側面図である。
【図14】複素フィルムによる平面波の回折および複素フィルムによる拡大する波動の回折の概略的側面図である。
【図15】ビューワに対し画像を反射させるための複素フィルムの概略的側面図である。
【図16】多重光源から成る電子表示スクリーンの概略図である。
【図17】図16の電子表示スクリーン内で使用される光源の概略図である。
【図18】電子ディスプレー内で使用される複素画像の配置の概略的側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む、3次元物体の画像を印刷する方法:
カラーインクの多重ドットを印刷して、物体の画像を形成する段階;および
画像内部で1より大きい屈折率をもつ透明インクのドットを印刷する段階であって、透明インクのドットが画像から発出される光の経路長を局所的に改変して画像上の位相変動を作り出す段階。
【請求項2】
記録媒体上でコンプレクセルの虚部の隣接する多重コンプレクセルの実部を印刷する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
コンプレクセルの虚部の上に位相板を印刷する段階をさらに含む、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
記録媒体上でカラーインクのドットの上に透明インクのドットを印刷する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
以下の段階をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法であって、画像がA(r)eiθ(r)=A(r)cosθ(r)+iA(r)sinθ(r)により定義づけされる複素波面によって画定され、式中A(r)が波面振幅の2次元分布を表わし、θ(r)が波面位相の2次元分布を表わす方法:
カラーインクのドットを印刷して、コンプレクセルの実部を表わす段階;
コンプレクセルの実部全体にわたり透明インクのドットを印刷して、cosθ(r)が負である場合、λ/2位相板を作り出す段階;
カラーインクのドットを印刷して、コンプレクセルの虚部を表わす段階;
コンプレクセルの虚部部分にわたり透明インクのドットを印刷して、sinθ(r)が正である場合、λ/4位相板を作り出す段階;および
コンプレクセルの虚部部分にわたり透明インクのドットを印刷して、sinθ(r)が負である場合、3λ/4位相板を作り出す段階。
【請求項6】
印刷すべき透明インクの屈折率を選択して、λ/4位相板、λ/2位相板および3λ/4位相板に印刷する段階をさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
印刷すべき透明インクの層厚みを選択して、λ/4位相板、λ/2位相板および3λ/4位相板に印刷する段階をさらに含む、請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
カラーインクのドットの印刷段階および透明インクのドットの印刷段階が、屈折率を有する透明インクとカラーインクを混合する段階および混合されたインクのドットを印刷する段階をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
以下の段階をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法:
少なくとも3種類のカラーインクの多重ドットを印刷して、物体の画像を形成する段階;および
マルチカラー画像内部で1より大きい屈折率を有する透明インクのドットを印刷する段階であって、透明インクのドットが画像を通して放たれる光の経路長を局所的に改変してマルチカラー画像上に位相変動を作り出す段階。
【請求項10】
画像が媒体の裏面から照射され媒体の正面から一覧されうるように、画像が透明媒体上に印刷されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
画像が媒体の正面から照射され媒体の正面から一覧され得るように、画像が反射性媒体上に印刷されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
画像から発出された光の光路長の変動を導入する透明インクの層を印刷する段階をさらに含み、光路長変動が平面波波面から偏向する照明光内の経路長差を補償する段階である、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
記録媒体上に多重画像を印刷する段階をさらに含み、各画像は物体の画像を形成するためカラーインクの多重ドットを含み、透明インクのドットは画像内部で1より大きい屈折率を有し、透明インクのドットが、画像を通して放たれる光の経路長を局所的に改変して画像上の位相変動を作り出し、多重画像が動画を作り出すことができるように連続可能であるように多重画像はフィルム上に印刷される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
以下の段階を含む、2次元表面上に光学素子を印刷する方法:
表面上に1つのパターンで1より大きい屈折率をもつ透明インク層を印刷する段階;および
表面上でインクによって反射されるまたはインクを通して透過される光の位相が予め定められた方法で改変されるように、透明インクを通って走行する光の局所的光路長を制御する段階。
【請求項15】
透明インクの局所的厚みを制御して、光の局所的光路長を制御する段階をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
透明インクの局所的屈折率を制御して、光の局所的光路長を制御する段階をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
光学素子がレンズである、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
光学素子が、凹レンズ、凸レンズ、プリズム、位相板、格子、曲面鏡、非球面レンズおよびゾーンプレートから成る群から選択される、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
以下の段階を含む、3次元物体の画像を印刷する方法:
カラーインクの多重ドットを印刷して、物体の画像を形成する段階;および
画像内部で1より大きい屈折率をもつ透明インクのドットを印刷する段階であって、透明インクのドットが画像から発出される光の経路長を局所的に改変して画像上の位相変動を作り出す段階。
【請求項2】
記録媒体上でコンプレクセルの虚部の隣接する多重コンプレクセルの実部を印刷する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
コンプレクセルの虚部の上に位相板を印刷する段階をさらに含む、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
記録媒体上でカラーインクのドットの上に透明インクのドットを印刷する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
以下の段階をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法であって、画像がA(r)eiθ(r)=A(r)cosθ(r)+iA(r)sinθ(r)により定義づけされる複素波面によって画定され、式中A(r)が波面振幅の2次元分布を表わし、θ(r)が波面位相の2次元分布を表わす方法:
カラーインクのドットを印刷して、コンプレクセルの実部を表わす段階;
コンプレクセルの実部全体にわたり透明インクのドットを印刷して、cosθ(r)が負である場合、λ/2位相板を作り出す段階;
カラーインクのドットを印刷して、コンプレクセルの虚部を表わす段階;
コンプレクセルの虚部部分にわたり透明インクのドットを印刷して、sinθ(r)が正である場合、λ/4位相板を作り出す段階;および
コンプレクセルの虚部部分にわたり透明インクのドットを印刷して、sinθ(r)が負である場合、3λ/4位相板を作り出す段階。
【請求項6】
印刷すべき透明インクの屈折率を選択して、λ/4位相板、λ/2位相板および3λ/4位相板に印刷する段階をさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
印刷すべき透明インクの層厚みを選択して、λ/4位相板、λ/2位相板および3λ/4位相板に印刷する段階をさらに含む、請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
カラーインクのドットの印刷段階および透明インクのドットの印刷段階が、屈折率を有する透明インクとカラーインクを混合する段階および混合されたインクのドットを印刷する段階をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
以下の段階をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法:
少なくとも3種類のカラーインクの多重ドットを印刷して、物体の画像を形成する段階;および
マルチカラー画像内部で1より大きい屈折率を有する透明インクのドットを印刷する段階であって、透明インクのドットが画像を通して放たれる光の経路長を局所的に改変してマルチカラー画像上に位相変動を作り出す段階。
【請求項10】
画像が媒体の裏面から照射され媒体の正面から一覧されうるように、画像が透明媒体上に印刷されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
画像が媒体の正面から照射され媒体の正面から一覧され得るように、画像が反射性媒体上に印刷されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
画像から発出された光の光路長の変動を導入する透明インクの層を印刷する段階をさらに含み、光路長変動が平面波波面から偏向する照明光内の経路長差を補償する段階である、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
記録媒体上に多重画像を印刷する段階をさらに含み、各画像は物体の画像を形成するためカラーインクの多重ドットを含み、透明インクのドットは画像内部で1より大きい屈折率を有し、透明インクのドットが、画像を通して放たれる光の経路長を局所的に改変して画像上の位相変動を作り出し、多重画像が動画を作り出すことができるように連続可能であるように多重画像はフィルム上に印刷される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
以下の段階を含む、2次元表面上に光学素子を印刷する方法:
表面上に1つのパターンで1より大きい屈折率をもつ透明インク層を印刷する段階;および
表面上でインクによって反射されるまたはインクを通して透過される光の位相が予め定められた方法で改変されるように、透明インクを通って走行する光の局所的光路長を制御する段階。
【請求項15】
透明インクの局所的厚みを制御して、光の局所的光路長を制御する段階をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
透明インクの局所的屈折率を制御して、光の局所的光路長を制御する段階をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
光学素子がレンズである、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
光学素子が、凹レンズ、凸レンズ、プリズム、位相板、格子、曲面鏡、非球面レンズおよびゾーンプレートから成る群から選択される、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2007−522503(P2007−522503A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552318(P2006−552318)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/003775
【国際公開番号】WO2005/076983
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(506268902)ナガヤマ アイピー ホールディングズ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/003775
【国際公開番号】WO2005/076983
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(506268902)ナガヤマ アイピー ホールディングズ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
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