説明

複索式のグラブバケット

【課題】構造を簡素化したままで、バケットシェルの開閉方向を作業現場において簡便に、しかもより少ない手間で変更して、港湾等における浚渫や掘削を能率よく行なえる複索式のグラブバケットを提供する。
【解決手段】上フレーム1、下フレーム2、バケットシェル4、ロッド5などを備えている複索式のグラブバケットを対象とする。上フレーム1に、昇降ロープ7用の前後および左右のハンガー25・26を設ける。4個のハンガー25・26で囲まれる領域内に、開閉ロープ8用のガイドローラ45を配置する。両ガイドローラ45のガイド中心を結ぶ線Pを、一対のバケットシェル4の開閉中心軸線Qに対して約45度傾ける。昇降ロープ7を、前後一対のハンガー25と左右一対のハンガー26とのいずれか一方に連結して、昇降ロープ7を巻上げるときのロープ復元力でグラブバケットの姿勢を縦横に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、港湾等における浚渫や掘削などに使用される複索式のグラブバケットに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係るグラブバケットは、バケットシェルの開閉方向を岸壁法線と平行な向き(以下、単に横開閉と言う。)と、岸壁法線と直交する向き(以下、単に縦開閉と言う。)に変更できるが、この種のグラブバケットは特許文献1、2に公知である。特許文献1に係るグラブバケットにおいては、吊下装置とシェル装置とでグラブバケットを構成している。吊下装置は、上部シーブブロックと下部シーブブロックと、後者ブロックの下面に設けたフックとで構成してある。シェル装置は、上フレームおよび下フレームと、一対のバケットシェル、上フレームとバケットシェルを連結するロッドなどで構成してある。上フレームの上面の4個所には、前後一対のピン受金具と左右一対のピン受金具が設けてあり、上部シーブブロックを2組のピン受金具のどちらに連結するかで、バケットシェルの開閉方向を変更できる。このグラブバケットは、上フレームの中央に吊下装置を受け入れる挿入空間が形成してある点が、一般的なグラブバケットの構造と異なっている。
【0003】
特許文献1のグラブバケットは、次の要領でバケットシェルの開閉方向を変更する。バケットシェルが横開閉仕様になっている場合に、上部シーブブロックと上フレームとを連結していたピンを、前後一対のピン受金具から抜取って、吊下装置とシェル装置の接続状態を解除する。次に、シェル装置の全体を90度旋回させて、バケットシェルの姿勢を変更する。最後に、左右一対のピン受金具にピンを差込んで、吊下装置とシェル装置を再接続し、バケットシェルを縦開閉仕様にする。この間、下部シーブブロックの下面に設けたフックは、下部シーブブロックに対して相対回動できるので、下フレームに連結した状態のままでよく、下フレームから分離する必要はない。
【0004】
特許文献2のグラブバケットは、常に水平に支持される四角枠状のフレームと、フレームの上面に配置される平行リンクと、平行リンクをフレームに沿ってスライド操作する駆動機構と、一対のリンクの間に支持される4個のガイドシーブなどを備えている。上シーブを支持する一対の平行リンクの長手方向中央部は、フレームで支軸を介して往復揺動可能に軸支してある。グラブバケットの全体は、ガイドシーブを介して垂下された2本の昇降ロープで吊持されており、ガイドシーブを介して垂下された2本の開閉ロープでバケットシェルを開閉できる。バケットシェルの開閉方向を変更する場合には、平行リンクに固定した一方の支軸を先の駆動機構で正転または逆転駆動することにより、平行リンクおよび上シーブを支軸周りに90度旋回させて、グラブバケットの全体姿勢を切換えてバケットシェルの開閉方向を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭53−165569号公報(第4頁第17行〜第5頁第3行、第2図)
【特許文献2】特開昭59−167484号公報(第8頁第14行〜第9頁第3行、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のグラブバケットにおいては、バケットシェルの開閉方向を変更するのに、重量が大きなシェル装置の全体、即ち上フレーム、下フレーム、一対のバケットシェル、一対のロッドを同時に90度旋回操作する必要がある。シェル装置を旋回するための作業の詳細は開示されていないが、重量が大きなシェル装置を90度旋回させる場合には、多くの手間と時間が掛ることが予想される。また、下部シーブブロックに設けたフックを下フレームに連結した状態のままでシェル装置を旋回するので、作業の困難の度合はさらに増加するものと想像され、浚渫現場等においてバケットシェルの開閉方向を変更する際の作業負担が大きくなる点に問題がある。因みに、複索式のグラブバケットにおいては、クレーンビームの先端に設けた4個のガイドシーブで合計4本の昇降ロープおよび開閉ロープを下向きに案内するが、上記のようにシェル装置の側を90度旋回させると、シェル装置の姿勢を変更しても4本のロープが絡み合うことはない。
【0007】
特許文献2のグラブバケットにおいては、四角枠状のフレームに設けた平行リンクをスライド操作して、昇降ロープおよび開閉ロープとグラブバケットを同時に90度旋回させて、バケットシェルの開閉方向を変更する。そのため、特許文献1のグラブバケットとは異なり、重量が大きなシェル装置を旋回操作する必要はない。グラブバケットの姿勢を変更しても4本のロープが絡み合うこともない。しかし、一般的なバケット構造とは別に、フレームおよび平行リンクと、平行リンクを変位操作する駆動機構などの、姿勢変更構造を余分に設ける必要があるので、浚渫システムが複雑になり全体コストが増加するのを避けられない。また、グラブバケットの姿勢を変更した状態の平行リンクには、ガイドシーブの回転中心を岸壁方面と平行な位置へ戻そうとするロープ復元力が常に作用するため、駆動機構はロープ復元力に耐えられるような頑強な構造にする必要があり、このこともコスト増の一因となる。さらに、平行リンクが90度スライド変位するのに伴って、ウインチとガイドシーブとの間の昇降ロープおよび開閉ロープの長さに差が生じるため、この長さの差を吸収する手段を設ける必要がある。
【0008】
本発明の目的は、グラブバケットの構造を複雑化することもなく、バケットシェルの開閉方向を作業現場において簡便に、しかもより少ない手間で変更して、港湾等における浚渫や掘削を能率よく行なうことができる複索式のグラブバケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上シーブユニット9を備える上フレーム1と、下シーブユニット10を備える下フレーム2と、下フレーム2にシェル軸3で連結される一対のバケットシェル4と、上フレーム1とバケットシェル4とを連結する一対のロッド5を備えている複索式のグラブバケットを対象とする。上フレーム1には、一対の昇降ロープ7を連結するための前後一対のハンガー25と、左右一対のハンガー26とを設ける。4個のハンガー25・26で囲まれる領域内に、開閉ロープ8を案内する一対のガイドローラ45を配置する。一対のガイドローラ45のガイド中心を結ぶ線Pを、一対のバケットシェル4の開閉中心軸線Qに対して約45度傾ける。昇降ロープ7を、前後一対のハンガー25と左右一対のハンガー26とのいずれか一方に連結して、グラブバケットを横開閉姿勢と縦開閉姿勢とに変更できることを特徴とする。
【0010】
一対のガイドローラ45のガイド中心は、バケットの吊持中心Gから等距離ずつ離れた点対称位置に配置する。
【0011】
バケットシェル4の前後幅が、バケットシェル4を閉じた状態における左右方向の対向寸法より幅広に構成してある幅広型のグラブバケットである場合に、前後一対のハンガー25の対向間隔L1を、左右一対のハンガー26の対向間隔L2より大きく設定する。
【0012】
開閉ロープ8を案内する一対のガイドローラ45のそれぞれが、一対の導入ローラ48と、一対の規制ローラ50とで構成されており、これら一対の導入ローラ48および一対の規制ローラ50が、ローラブラケット46に支持されており、ローラブラケット46は、ベース枠20に設けたピンブラケット51にピン52を介して連結されており、該ローラブラケット46は、該ピン52を中心にして傾動可能に支持されており、ガイドローラ45は、ローラブラケット46をベース枠20に対して垂直な垂直姿勢とすることにより、導入ローラ48および規制ローラ50により開閉ロープ8を垂直に案内する第1連結姿勢と、ローラブラケット46をベース枠20に対して傾く傾斜姿勢とすることにより、導入ローラ48および規制ローラ50により開閉ロープ8を斜めに案内する第2連結姿勢のいずれか一方の連結姿勢に、選択的に切換え可能に構成されており、ガイドローラ45を第2姿勢に切換えた状態において、ガイドローラ45のガイド中心を結ぶ線Pが、昇降ロープ7のロープ中心を通る垂直平面上に位置している形態を採ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、複索式のグラブバケットにおいて、上フレーム1の前後および左右にハンガー25・26を一対ずつ設け、一対の昇降ロープ7を先のハンガー対に択一的に連結することにより、グラブバケットを横開閉姿勢と縦開閉姿勢とに変更できるようにした。例えば、左右一対のハンガー26に連結していた昇降ロープ7を、前後一対のハンガー25に連結してグラブバケットを引き上げることにより、昇降ロープ7が本来の吊下げ位置へ戻ろうとする復元力によって、グラブバケットの姿勢を90度変更できるようにした。また、4個のハンガー25・26で囲まれる領域内に、開閉ロープ8を案内する一対のガイドローラ45を配置し、さらに、両ローラ45のガイド中心を結ぶ線Pを、一対のバケットシェル4の開閉中心軸線Qに対して約45度傾けることにより、グラブバケットの姿勢を変更するとき、一対の開閉ロープ8同士が絡み合うのを防止した。
【0014】
上記のように、本発明のグラブバケットでは、一対の昇降ロープ7が元の吊下げ位置へ戻ろうとするロープ復元力でグラブバケットの姿勢を横開閉姿勢と縦開閉姿勢とに変更できるので、作業現場における姿勢変更作業をより少ない手間で簡便に行える。具体的には、例えば左右一対のハンガー26に連結されていた昇降ロープ7を、前後一対のハンガー25に連結して、昇降ロープ7を巻上げ操作すればよく、グラブバケットの姿勢変更に要する手間と時間を大幅に短縮して、港湾等における浚渫や掘削を能率よく行なうことができる。
【0015】
また、バケットシェル4の開閉方向を変更するための姿勢変更構造としては、上フレーム1に4個のハンガー25・26を設け、線Pがバケットシェル4の開閉中心軸線Qに対して約45度傾くように一対のガイドローラ45を配置すればよい。従って、平行リンクを含む姿勢変更構造を備えた従来のグラブバケットに比べて、グラブバケットの構造が複雑化するのを解消して全体コストを大幅に削減できる。
【0016】
一対のガイドローラ45のガイド中心を、バケットの吊持中心Gから等距離ずつ離れた点対称位置に配置すると、グラブバケットの姿勢を変更するときの、先のガイド中心の移動距離を均一にして、一対の開閉ロープ8に作用する負荷を均一化できる。また、グラブバケットの重量バランスを均一化できる利点もある。
【0017】
グラブバケットが幅広型に構成してある場合に、前後一対のハンガー25の対向間隔L1を、左右一対のハンガー26の対向間隔L2より大きく設定すると、昇降ロープ7を前後一対のハンガー25に連結したときの昇降ロープ7の吊持間隔を大きくできる。従って、バケットシェル4を縦開閉姿勢で使用するときに、グラブバケットの全体をより安定した状態で支持して、泥土や土砂の浚渫を的確に行うことができる。
【0018】
ガイドローラ45のガイド中心を結ぶ線Pが、バケットシェル4の開閉中心軸線Qに対して傾いていると、開閉ロープ8を巻上げてバケットシェル4が閉じたときに、ガイドローラ45のガイド中心を結ぶ線Pの傾きを解消するようなロープ復元力が作用し、結果として、開閉ロープ8のロープ復元力と昇降ロープ7のロープ復元力とが平衡する姿勢となるように、グラブバケットが旋回するおそれがある。
これに対して、本発明のように、ガイドローラ45が、導入ローラ48および規制ローラ50により開閉ロープ8を垂直に案内する第1連結姿勢と、導入ローラ48および規制ローラ50により開閉ロープ8を斜めに案内する第2連結姿勢のいずれか一方の連結姿勢に、選択的に切換え可能に構成されており、ガイドローラ45を第2連結姿勢に切換えた状態において、ガイドローラ45のガイド中心を結ぶ線Pが、昇降ロープ7のロープ中心を通る垂直平面上に位置している形態となっていると、ガイドローラ45を第2連結姿勢とすることにより、ガイドローラ45のガイド中心を結ぶ線Pの傾きを解消するような前述のロープ復元力がバケットシェル4に作用することは無く、クラブバケットの旋回を効果的に防ぐことができる。以上より、本発明によれば、旋回することなく海底からグラブバケットを引上げることができるため、グラブバケットが不用意に岸壁に接触するような不具合の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係るグラブバケットの上フレームの平面図である。
【図2】本発明に係るグラブバケットの正面図である。
【図3】本発明に係るグラブバケットの左側面図である。
【図4】昇降ロープとハンガーの連結構造を示す断面図である。
【図5】昇降ロープおよび開閉ロープと上フレームの配置関係を示す側面図である。
【図6】昇降ロープとハンガーの連結過程を示す説明図である。
【図7】ガイドローラの縦断側面図である。
【図8】昇降ロープを各ハンガーに装着した状態の概略平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るグラブバケットの要部の縦断正面図である。
【図10】第2実施形態に係るグラブバケットの第1連結姿勢を示す側面図である。
【図11】第2実施形態に係るグラブバケットの第2連結姿勢における縦断側面図である。
【図12】図10におけるA−A線断面図である。
【図13】昇降ロープと開閉ロープの配置状態を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
図1ないし図8に、本発明に係る複索式のグラブバケットの第1実施形態を示す。このグラブバケットは例えば港湾等において浚渫を行う際に使用される。なお、以下の説明においては、図2および図3に示す交差矢印と矢印の近傍に表記した文字表示に従って前後、左右、および上下を特定する。
【0021】
図2および図3においてグラブバケットは、2組の上シーブユニット9を備える上フレーム1と、2組の下シーブユニット10を備える下フレーム2と、下フレーム2にシェル軸3で連結される左右一対のバケットシェル4と、上フレーム1とバケットシェル4とを連結する一対のロッド5などで構成してある。上フレーム1は一対の昇降ロープ7で吊持されており、下フレーム2は一対の開閉ロープ8で両シーブユニット9・10を介して吊持してある。昇降ロープ7および開閉ロープ8は、それぞれ図示していない台船に設けたクレーンビームB(図5参照)を介して昇降用のウインチと、開閉用のウインチに繋がっている。一対の開閉ロープ8は、動滑車を構成する上フレーム1側の上シーブユニット9と、下フレーム2側の下シーブユニット10とに巻掛けられており、その端部は上フレーム1に固定してある。
【0022】
バケットシェル4は、縦断面が容器状に形成されるシェル本体12と、シェル本体12の上面の前後2個所に固定される開閉アーム13と、4対のロッドブラケット14などで密閉型のバケットとして構成してある。バケットシェル4の前後方向の内法寸法(前後幅)は約5m、両バケットシェル4を閉じた状態における、左右方向の内法対向寸法(対向寸法)は約3.1mであって、バケット全体が幅広型のグラブバケットとして構成してある。各バケットシェル4に設けた開閉アーム13の上部どうしが先のシェル軸3を介して下フレーム2に連結されている。また、ロッド5の上部は上連結ピン15で上フレーム1に連結され、ロッド5の下部は下連結ピン16でロッドブラケット14に連結してある。
【0023】
図示していないが、バケットを密閉型として構成する関係で、シェル本体12の円弧周壁の上部には、シェル内部の空気を逃がす通気口と、通気口を内面側から開閉する蓋体が配置してある。バケットを掘削姿勢にした状態では、蓋体は自重によるモーメントで垂直姿勢を保持して通気口を開放する。また、一対のバケットシェル4で泥土をすくい込んだ姿勢では、蓋体は自重によるモーメントで円弧周壁の内面に密着して通気口を塞ぐ。
【0024】
図3においてロッド5は、上連結ピン15で上フレーム1に連結される前後一対の上アーム21と、ロッドブラケット14に下連結ピン16で連結される下アーム22と、これら両アーム21・22を繋ぐロッドフレーム23とで構成する。幅広型のバケットにおいては、バケットシェル4を閉じた状態において、シェル本体12の前部および後部に大きな重量モーメントが作用し、両シェル本体12・12の前部および後部の接合面が変形して開き、シェル内にすくい込んだ土砂が漏出ることがある。こうした、両シェル本体12・12の変形を防ぎ、土砂の漏出を避けるために、ロッド5の下部に4個の下アーム22を設け、シェル本体12の前後4個所を確りと支持している。
【0025】
以上のように構成したグラブバケットにおいて、バケットシェル4の開閉方向を、作業現場で横開閉方向と縦開閉方向とに容易に変更可能とするために、上フレーム1に前後一対のハンガー25と、左右一対のハンガー26を設けている。詳しくは、図1に示すように上フレーム1の上端に四角形状のベース枠20を設け、ベース枠20の前後辺部の左右中央に前後一対のハンガー25を固定し、ベース枠20の左右辺部の前後中央に左右一対のハンガー26を固定している。図4に示すように各ハンガー25・26は、ベース枠20に固定される一対のハンガーブラケット27と、ハンガーブラケット27でハンガー軸28を介して相対回転自在に連結されるU字状のハンガー本体29などで構成する。
【0026】
四角形状のベース枠20の各辺部に設けた前後一対のハンガー25と左右一対のハンガー26とは、互いに直交する位置関係になるように配置してあり、両ハンガー25・26のハンガーブラケット27は、それぞれベース枠20の上面より上方へ突出る状態で固定してある(図3、図5参照)。先に説明したようにバケット全体が幅広型に構成してあるのに対応して、前後一対のハンガー25の対向間隔L1は、左右一対のハンガー26の対向間隔L2より大きく設定してある(図1参照)。
【0027】
上記のように、前後一対のハンガー25の対向間隔L1を大きくすることにより、バケットシェル4を縦開閉姿勢で使用するときの昇降ロープ7の吊持間隔を大きくして、グラブバケットの全体をより安定した状態で支持することができる。図5に示すように、一対の昇降ロープ7はクレーンビームBの先端の左右両側に設けたガイドシーブ31で下向きに変向案内されている。また、一対の開閉ロープ8は、一対の昇降ロープ7の間に配置されて、左右中央寄りに設けたガイドシーブ32で下向きに変向案内されている。
【0028】
昇降ロープ7を先のハンガー25・26に対して択一的に連結するために、昇降ロープ7の吊持端にロープソケット34を固定している。図4および図6に示すように、ロープソケット34は、輪奈状に形成したロープ端を受止めるロープ掛部35と、ロープ掛部35の下方に連出される二又状の連結腕36とを一体に備えている。符号37はロープ端を固定して輪奈形状を保持するエンド金具である。ロープソケット34は、ハンガー本体29の連結穴38と、連結腕36のピン穴とにソケットピン39を挿通したのち、同ピン39に溝付き六角ナット40をねじ込むことにより、各ハンガー25・26と連結される。図4において、符号41はスペーサ、符号42は溝付き六角ナット40の緩みを防止する割ピンである。
【0029】
連結状態のロープソケット34とハンガー本体29とは、ソケットピン39を中心にして相対回動でき、従って昇降ロープ7を各ハンガー25・26に連結した状態におけるグラブバケットと昇降ロープ7とは、互いに直交するハンガー軸28とソケットピン39を中心にして相対回動できる。なお、図1、図2、図3および図5においては、使用されていないハンガー本体29を、ロープソケット34が連結されたハンガー本体29と同様に、起立した状態で表現しているが、実際には、使用されていないハンガー本体29はハンガー軸28の回りに傾動してベース枠20で受止められている。
【0030】
図1に示すように、上フレーム1のベース枠20の前後には、2組の上シーブユニット9が配置してあり、各上シーブユニット9は、そのシーブ軸の軸中心が、バケットシェル4の開閉中心軸線Qに対して30度傾くように配置してある。下シーブユニット10も同様に、そのシーブ軸の軸中心が同じ向きに30度傾くように配置してある。
【0031】
上フレーム1のベース枠20の前後には、開閉ロープ8を各上シーブユニット9へ向かって案内する一対のガイドローラ45が配置してある。図7に示すようにガイドローラ45は、対向する一対のローラブラケット46で上ローラ軸47を介して回転自在に軸支した前後一対の導入ローラ48と、下ローラ軸49を介して回転自在に軸支した規制ローラ50とで構成する。ローラブラケット46の下端は、ベース枠20に固定したピンブラケット51にピン52を介して連結してあり、従って、前後のガイドローラ45は、それぞれピン52を中心にして傾動できる。
【0032】
図1に示すように、ベース枠20の上面における前後および左右の4個のハンガー25・26と、前後のガイドローラ45の配置関係は次のようになっている。4個のハンガー25・26で囲まれる菱形の領域内の前後に、一対のガイドローラ45が配置されており、一対のガイドローラ45のガイド中心を結ぶ線Pが、一対のバケットシェル4の開閉中心軸線(シェル軸3の中心軸線)Qに対して45度傾けてある。ただし、導入ローラ48の回転中心軸は、バケットシェル4の開閉中心軸線Qに対して直交している。また、一対のガイドローラ45のガイド中心は、バケットの吊持中心Gから等距離ずつ離れた点対称位置に配置してある。なお、なお、ガイドローラ45のガイド中心とは、一対の規制ローラ50によって規定される開閉ロープ8の中心位置を意味する。また、バケットの吊持中心Gとは、グラブバケットを平面から見るときの重心位置に一致している。
【0033】
以上のように構成したグラブバケットは、昇降ロープ7を、前後一対のハンガー25と左右一対のハンガー26とに択一的に連結することにより、バケットシェル4の開閉方向を横開閉方向と縦開閉方向とに変更することができる。図1および図8(a)は昇降ロープ7を前後一対のハンガー25に連結した状態(横開閉姿勢)を示しており、図2、図3、図5および図8(b)は昇降ロープ7を左右一対のハンガー26に連結した状態(縦開閉姿勢)を示している。浚渫作業の殆どは、グラブバケットを横開閉姿勢にして行なうが、岸壁の近傍の海底を浚渫する場合には、グラブバケットを縦開閉姿勢にして浚渫する。1回の浚渫で岸壁の基底部分の泥土をより広幅に掘削できるからである。
【0034】
以下、バケットシェル4が岸壁法線Sと直交する向きに縦開閉する姿勢(図8(b)に示す状態)を基準にして、バケットシェル4を岸壁法線Sと平行な向きに横開閉する姿勢(図8(a)に示す状態)へ変更するときの作業手順を説明する。いずれの場合にも、台船は、グラブバケットを間にして岸壁とは反対側に位置しているものとする。
【0035】
姿勢の変更を行う場合には、縦開閉姿勢にしたグラブバケットを台船上に載置して、バケットシェル4の姿勢を安定させる。昇降ロープ7を繰出してロープを緩め、六角ナット40が上向きになる状態で、一方のハンガー26のハンガー本体29をハンガー軸28の周りに傾動させ静置する。次に、割ピン42を抜取り、六角ナット40およびスペーサ41をハンガー本体29およびロープソケット34から取外して、ロープソケット34の連結状態を解除する。同様にして他方のハンガー26のハンガー本体29とロープソケット34との連結を解除する。さらに、左右(図8(b)では前後)のハンガー26から切離されたロープソケット34を、縦開閉姿勢にしたままのグラブバケットの前後(図8(b)では左右)一対のハンガー25に連結する(図6参照)。このとき、各ロープソケット34は、左右(図8(b)では前後)のハンガー26を位置基準にして、それぞれ反時計回転方向に隣接する前後(図8(b)では左右)のハンガー25に連結する。連結の手順は、先に説明した連結解除手順の概ね逆となる。
【0036】
上記のように、各ロープソケット34を、前後のハンガー25に連結することにより、上フレーム1の上面において昇降ロープ7と開閉ロープ8を一筆書き状に結ぶ線は、図8(b)に向かって左側へ傾いた状態のZ字状となる。つまり、昇降ロープ7は、吊持中心Gを通り開閉中心軸線Qと直交する線上の本来のロープ中心から、前後方向へずれた状態(ねじれた状態)で前後の各ハンガー25に連結されたことになる。そのため、上記の状態で昇降ロープ7を巻上げると、昇降ロープ7には先のねじれを解消するようなロープ復元力が作用し、最終的にはガイドシーブ31とグラブバケットとを最短距離で結ぶ状態へ復帰する。その結果、縦開閉姿勢になっていたグラブバケット(バケットシェル4)は、吊持中心Gを中心にして時計回転方向へ旋回するので、図8(a)に示すように横開閉姿勢に切換わる。
【0037】
横開閉姿勢にしたグラブバケットを縦開閉姿勢に戻すときは、一対の開閉ロープ8が絡み合うのを防ぐために、グラブバケットを先の姿勢変更時とは逆向きに、吊持中心Gを中心にして反時計回転方向へ旋回させる必要がある。そのために、各ロープソケット34を、それまでロープソケット34が連結されていた前後のハンガー25を位置基準にして、時計回転方向に隣接する左右のハンガー26に連結して、ロープ復元力を反時計回転方向へ作用させる。この場合の昇降ロープ7は、開閉中心軸線Q上の本来のロープ中心位置から、前後方向(図8(a)では左右)へずれた状態(ねじれた状態)で各ハンガー25に連結されたことになる。そのため、上記の状態で昇降ロープ7を巻上げると、昇降ロープ7は先のねじれを解消するようなロープ復元力が作用し、最終的にはガイドシーブ31とグラブバケットとを最短距離で結ぶ状態へ復帰する。その結果、図8(a)において、グラブバケットは、吊持中心Gを中心にして反時計回転方向へ旋回するので、図8(b)に示すように縦開閉姿勢に切換えることができる。
【0038】
因みに、バケットシェル4を横開閉姿勢にした状態と、縦開閉姿勢にした状態のいずれの場合にも、昇降ロープ7と開閉ロープ8を一筆書き状に結ぶ線は折線状に連続し、一対のガイドローラ45のガイド中心を結ぶ線Pが折線の中央に位置している。また、一対のガイドローラ45のガイド中心を結ぶ線Pは、横開閉姿勢と縦開閉姿勢のいずれの場合にも、一対のバケットシェル4の開閉中心軸線Qに対して45度傾いており、それぞれの姿勢における線Pの傾きの方向が逆向きとなる。このように、ガイドローラ45のガイド中心を結ぶ線Pを開閉中心軸線Qに対して45度傾けることにより、バケットシェル4を横開閉姿勢と縦開閉姿勢とに切換えたときの線Pの傾き度合を一定にでき、姿勢変更によって4本のロープ7・8が絡み合うのを解消できる。また、一筆書き状の折線の折れ度合を最も緩やかなものとして、開閉ロープ8に無理な力が加わるのを避けられる。
【0039】
以上のように、本発明のグラブバケットにおいては、昇降ロープ7のロープソケット34を、前後一対のハンガー25と左右一対のハンガー26とのいずれか一方に連結し、グラブバケットを吊上げ操作するだけで、バケットシェル4の開閉方向を横開閉方向と縦開閉方向とに変更できる。従って、作業現場においてバケットシェル4の開閉方向を変更する作業を、簡便に、しかもより少ない手間で行なうことができ、段取換えに要する手間と時間を短縮できる分だけ浚渫や掘削を能率よく行なうことができる。
【0040】
また、バケットシェル4の開閉方向を変更するための姿勢変更構造としては、上フレーム1に4個のハンガー25・26を設け、線Pがバケットシェル4の開閉中心軸線Qに対して45度傾くように一対のガイドローラ45を配置すればよいので、グラブバケットの構造が複雑化するのを解消でき、平行リンクを含む姿勢変更構造を備えた従来のグラブバケットに比べて全体コストを大幅に削減できる。
【0041】
上記の実施形態では、一対のガイドローラ45のガイド中心を結ぶ線Pを、一対のバケットシェル4の開閉中心軸線Qに対して45度傾けるようにしたが、その必要はなく、線Pの開閉中心軸線Qに対する傾き角度は40〜50度(約45度)の範囲で選定することができる。なお、線Pの開閉中心軸線Qに対する傾き角度が40度未満、あるいは50度を越えると、グラブバケットの姿勢を変更したときに、一方のガイドローラ45のガイド中心位置が、開閉中心軸線Qから大きく離れて開閉ロープ8に大きな負荷がかかってしまう。
【0042】
(第2実施形態)
先に説明したように、第1実施形態に係るグラブバケットにおいては、一対ずつ設けられた昇降ロープ7および開閉ロープ8は、クレーンビームBの先端に設けた同形、同大の4個のガイドシーブ31・32で下向きに変向案内されている。このため、ガイドシーブ31・32の近傍における各ロープ7・8の中心位置は、同一垂直平面内に位置している。しかし、第1実施形態に係るグラブバケットにおいては、バケットシェル4を横開閉姿勢あるいは縦開閉姿勢にした状態では、一対のガイドローラ45のガイド中心を結ぶ線Pが、バケットシェル4の開閉中心軸線Qに対して常に45度傾く状態となるため、開閉ロープ8を巻上げてバケットシェル4を閉じた状態においては、開閉ロープ8の線Pの傾きを解消するようなロープ復元力がグラブバケットに作用することが避けられず、グラブバケットが旋回するおそれがある。すなわち、昇降ロープ7が捻じられ、その結果、開閉ロープ8のロープ復元力と昇降ロープ7のロープ復元力とが平衡する姿勢に保持される方向に、グラブバケットが旋回するおそれがある。
【0043】
以上のようなグラブバケットの旋回を抑えるため、本発明の第2実施形態に係るグラブバケットでは、図9乃至図13に示すような構成を採用している。具体的には、図9に示すように、導入ローラ48および規制ローラ50を部分円弧状のガイド溝48a・50aを備えた拘束ローラで構成する。また、ローラブラケット46を、図10に示す第1連結姿勢と、図11に示す第2連結姿勢とのいずれか一方に選択的に切換え可能とする。なお、先の第1実施形態においては、ガイドローラ45のガイド中心は、規制ローラ50で規定される開閉ロープ8の中心位置となっていたが、本第2実施形態においては、ガイドローラ45のガイド中心は、導入ローラ48で規定される開閉ロープ8の中心位置にある。
【0044】
図9および図10に示すように、ローラブラケット46は、ブラケットベース46aを基体にするものであり、その上面に上ローラ軸47を軸支する一対の第1支持板46bと、下ローラ軸49を軸支する一対の第2支持板46cとが固定されている。さらに、ブラケットベース46aの下面には、一対の連結板46dが固定されており、両連結板46dはベース枠20に固定したピンブラケット51にピン52を介して傾動可能に連結されている。ピンブラケット51には、第1保持穴55aと第2保持穴55bの二つの連結ピン56用の保持穴が設けられており、連結板46dを連結ピン56により、いずれか一方の保持穴55a・55bに択一的に連結することにより、ガイドローラ45の全体姿勢を、図10に示す第1連結姿勢と、図11に示す第2連結姿勢とに選択的に切換えることができる。
【0045】
より具体的には、第1保持穴55aを選択して、該保持穴55aを介して、ピンブラケット51と連結板46dとを連結ピン56で連結した場合には、図10に示すように、ローラブラケット46をベース枠20に対して垂直な垂直姿勢として、導入ローラ48および規制ローラ50により開閉ロープ8を垂直に案内する第1連結姿勢とすることができる。
また、第2保持穴55bを選択して、該保持穴55bを介して、ピンブラケット51と連結板46dとを連結ピン56で連結した場合には、図11に示すように、ローラブラケット46をベース枠20に対して傾く傾斜姿勢として、導入ローラ48および規制ローラ50により開閉ロープ8を斜めに案内する第2連結姿勢とすることができる。
【0046】
なお、ピン52および連結ピン56の一端には、それぞれねじ軸が形成されており、これらのねじ軸に六角ナット52a・57をねじ込むことにより、連結板46dとピンブラケット51とを締結することができる。図12において符号54は、連結板46dに設けた連結ピン56用の連結穴である。また、図10において符号58は、連結板46dと当接してローラブラケット46の傾き限界を規定するストッパーである。
【0047】
縦開閉姿勢にしたグラブバケットにおいて、ガイドローラ45を第1連結姿勢にした状態では、図10に示すように、導入ローラ48および規制ローラ50でガイドされる開閉ロープ8は垂直になっている。また、図13(a)に示すように、一対のガイドローラ45のガイド中心を結ぶ線Pは、昇降ロープ7の中心同士を結ぶ線Rに対して45度傾いている。この状態から、ガイドローラ45を第2連結姿勢に切換えると、図11に示すように、導入ローラ48および規制ローラ50でガイドされる開閉ロープ8は斜めに傾斜する。さらに、図13(b)に示すように、一対のガイドローラ45は、互いに近づく向きに傾斜するため、一対のガイドローラ45のガイド中心を結ぶ線Pは、昇降ロープ7の中心同士を結ぶ線Rを通る垂直平面上に位置することになる。つまり、昇降ロープ7および開閉ロープ8のそれぞれに回転モーメントが作用するのを規制した状態で、グラブバケットを海底から引上げることができる。従って、岸壁の近傍の海底を、縦開閉姿勢にしたグラブバケットで浚渫する場合でも、バケットシェル4が岸壁に接触するのを解消して、適切に浚渫することができる。また、岸壁が損傷を受けることもない。
【0048】
ガイドローラ45を第1連結姿勢から第2連結姿勢へと姿勢の変更を行う場合には、グラブバケットを台船上に載置して、バケットシェル4の姿勢を安定させる。開閉ロープ8を繰出してロープを緩め、六角ナット57を取り外して連結穴54と第1保持穴55aから連結ピン56を抜き取り、ガイドローラ45の固定状態を解除する。この状態では、ガイドローラ45は、ピンブラケット51にピン52で連結されており、自由に傾動できる状態になっている。次に、ガイドローラ45を傾けて、連結ピン56を連結穴54と第2保持穴55bに挿通して六角ナット57を締め込む。これにより、ガイドローラ45を第1連結姿勢から第2連結姿勢へと変更することができる。また、先の手順とは逆の手順で、ガイドローラ45を第2連結姿勢から第1連結姿勢へと変更することができる。
【0049】
第1実施形態において、ハンガー25・26の構造は、先に説明した構造である必要はなく、昇降ロープ7の先端に固定した金具を連結できる構造であれば、どのような構造であってもよい。左右のバケットシェル4は、それぞれ下フレーム2に対して専用のシェル軸3を介して開閉自在に連結してあってもよい。一対のガイドローラ45のガイド中心は、バケットの吊持中心Gから等距離ずつ離れた点対称位置に配置することが好ましいが、吊持中心Gからガイド中心までの距離は僅かに異なっていても実用上は問題ない。
【0050】
第2実施形態においては、左右一対のハンガー26に昇降ロープ7を連結し、バケットシェル4を縦開閉姿勢にした状態において、ガイドローラ45を第2姿勢に切換えられるようにしたが、その必要はない。たとえば、前後一対のハンガー25に昇降ロープ7を連結し、バケットシェル4を横開閉姿勢にした状態において、ガイドローラ45を第2姿勢に切換えられるようにすることができる。この場合には、ピンブラケット51とストッパー58とを、ベース枠20とローラブラケット46との間に設けベース部材上に固定し、このベース部材をベース枠20に対して90度回転できるように連結すればよい。本発明のグラブバケットは、バラ荷搬出用のバケットとして使用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 上フレーム
2 下フレーム
3 シェル軸
4 バケットシェル
5 ロッド
7 昇降ロープ
8 開閉ロープ
9 上シーブユニット
10 下シーブユニット
20 ベース枠
25 前後一対のハンガー
26 左右一対のハンガー
34 ロープソケット
45 ガイドローラ
46 ローラブラケット
48 導入ローラ
50 規制ローラ
51 ピンブラケット
52 ピン
G バケットの吊持中心
P 一対のガイドローラのガイド中心を結ぶ線
Q バケットシェルの開閉中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上シーブユニット(9)を備える上フレーム(1)と、下シーブユニット(10)を備える下フレーム(2)と、下フレーム(2)にシェル軸(3)で連結される一対のバケットシェル(4)と、上フレーム(1)とバケットシェル(4)とを連結する一対のロッド(5)を備えている複索式のグラブバケットであって、
上フレーム(1)には、一対の昇降ロープ(7)を連結するための前後一対のハンガー(25)と、左右一対のハンガー(26)とが設けられており、
前記4個のハンガー(25・26)で囲まれる領域内に、開閉ロープ(8)を案内する一対のガイドローラ(45)が配置されており、
一対のガイドローラ(45)のガイド中心を結ぶ線(P)が、一対のバケットシェル(4)の開閉中心軸線(Q)に対して約45度傾けてあり、
昇降ロープ(7)を、前後一対のハンガー(25)と左右一対のハンガー(26)とのいずれか一方に連結して、グラブバケットを横開閉姿勢と縦開閉姿勢とに変更できることを特徴とする複索式のグラブバケット。
【請求項2】
一対のガイドローラ(45)のガイド中心が、バケットの吊持中心(G)から等距離ずつ離れた点対称位置に配置してある請求項1に記載の複索式のグラブバケット。
【請求項3】
バケットシェル(4)の前後幅が、バケットシェル(4)を閉じた状態における左右方向の対向寸法より幅広に構成してある幅広型のグラブバケットであって、
前後一対のハンガー(25)の対向間隔(L1)が、左右一対のハンガー(26)の対向間隔(L2)より大きく設定してある請求項1または2に記載の複索式のグラブバケット。
【請求項4】
開閉ロープ(8)を案内する一対のガイドローラ(45)のそれぞれが、一対の導入ローラ(48)と、一対の規制ローラ(50)とで構成されており、
これら一対の導入ローラ(48)および一対の規制ローラ(50)は、ローラブラケット(46)に支持されており、
ローラブラケット(46)は、ベース枠(20)に設けたピンブラケット(51)にピン(52)を介して連結されており、該ローラブラケット(46)は、該ピン(52)を中心にして傾動可能に支持されており、
ガイドローラ(45)は、ローラブラケット(46)をベース枠(20)に対して垂直な垂直姿勢とすることにより、導入ローラ(48)および規制ローラ(50)により開閉ロープ(8)を垂直に案内する第1連結姿勢と、ローラブラケット(46)をベース枠(20)に対して傾く傾斜姿勢とすることにより、導入ローラ(48)および規制ローラ(50)により開閉ロープ(8)を斜めに案内する第2連結姿勢のいずれか一方の連結姿勢に、選択的に切換え可能に構成されており、
ガイドローラ(45)を第2連結姿勢に切換えた状態において、ガイドローラ(45)のガイド中心を結ぶ線(P)が、昇降ロープ(7)のロープ中心を通る垂直平面上に位置している請求項1から3のいずれかひとつに記載の複索式のグラブバケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−53508(P2013−53508A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247427(P2011−247427)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(395023875)ミノツ鉄工株式会社 (6)
【出願人】(503275129)りんかい日産建設株式会社 (9)
【出願人】(593109458)福丸建設株式会社 (3)
【Fターム(参考)】