説明

襟巻き

【課題】本発明は襟巻きに関し、例えば毛皮、人工毛皮で形成された襟巻き、ショール、マフラー、ファーの襟巻性状体の表面に宝石または人工宝石の装飾品、装飾用チェーン、装飾用ビーズ等の装飾品を簡単な取扱いにて装着してファッション性を高め、構造的に堅牢に取付けるものである。
【解決手段】所望太さの合成繊維のフィラメントを所望本数撚り合わせた撚糸2′により編成される地組織部1と、該地組織部1の合成繊維のフィラメントよりも太い合成繊維のフィラメントを所望本数撚り合わした撚糸2により地組織部1の少なくとも一縁部3に分岐して編成される網目部4とを有し、網目部4が、網目構成用増目部5、および該網目構成用増目部5から分岐する網目構成用架橋部6により編成されるリボン7を襟巻性状体Aの裏面縁部に取付け、装身具Bが網目部4に係脱可能になる止金具8により襟巻性状体Aに取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は襟巻きに関し、例えば毛皮、人工毛皮で形成された襟巻き、ショール、マフラー、ファーの襟巻性状体の表面に宝石または人工宝石の装飾品、装飾用チェーン、装飾用ビーズ等の装身具を簡単な取扱いにて装着してファッション性を高め、構造的に堅牢に取付けるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、装身具として、例えばスカーフ、ナプキン、帽子等の身回り品の落下を防止し、装飾性を発揮するために、チェーンの両端に着脱自在な止め金具を取付け、チェーンの長さを調整するようにしたアクセサリーチェーンがあった(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、冬期に防寒のために、首に巻いて暖を採る衣料用具として、毛皮や人工毛皮で形成される襟巻きでは、その表面に装身具を装着することは毛皮の毛足により折角の装身具が埋もれて隠されることにより役目を果たさなかったり、毛皮に対する装身具の取付個所も無いことから従来行われていなかった。
【特許文献1】特開2001−78816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の上記従来アクセサリーチェーンは、例えば、首に巻いたスカーフの首の左右の付け根個所に、チェーンの両端に設けたピン機構の止め具により装身具としてのアクセサリーチェーンを衣服に取付るようにして装飾性を発揮するとともに、スカーフの落下を防止するものである。
【0005】
従って、アクセサリーチェーンを取付るためには、首に巻いたスカーフと衣服とを重合してピン機構としての止め具のトップを衣服の裏面に配置したキャッチに内に挿入することにより、アクセサリーチェーンをスカーフに取付けなければならないので、取扱い難く、取付のためには多くの時間と、手間とがかかる。
【0006】
また、仮に特許文献1に記載の上記従来アクセサリーチェーンを毛皮や人工毛皮で形成される襟巻きやショール、ファーの表面に取付けようとする場合に、毛皮の毛足に邪魔されるのと、毛皮の厚みも厚いことから、ピン機構を毛皮に突き刺し難いとともに、ピン機構をキャッチに一致して挿入し難い。しかも、取付後には、折角、取付けたアクセサリーが毛皮に埋もれて隠されるため、アクセサリーの装飾性が失われてしまうという不都合があった。
【0007】
本発明は上記従来の欠点を解決し、簡単な取扱い操作により装身具を装着できるとともに、装身具の取付位置や配置に自由度を発揮してファッション性を高め、しかも、構造的に堅牢に装身具を取付けることができ、さらには、構造簡単で製作も容易であり、製作コストが安価な襟巻きを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、請求項1に記載の発明は、所望太さの合成繊維のフィラメントを所望本数撚り合わせた撚糸により編成される地組織部と、該地組織部の合成繊維のフィラメントよりも太い合成繊維のフィラメントを所望本数撚り合わした撚糸により前記地組織部の少なくとも一縁部に分岐して編成される網目部とを有し、該網目部が、網目構成用増目部、および該網目構成用増目部から分岐する網目構成用架橋部により編成されるリボンを襟巻性状体の裏面縁部に取付け、装身具が前記網目部に係脱可能になる止金具により襟巻性状体に取付けられることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記襟巻性状体が、毛皮や人工毛皮で形成された襟巻き、ショール、マフラー、ファーの何れかであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1,2において、前記装身具が、宝石または人工宝石により形成される紐状の装飾品、装飾用チェーン、装飾用ビーズの何れかであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1,2,3において、前記装身具が、前記止金具を介して所望位置の前記網目に複数個所にて係止されることにより前記襟巻性状体の表面を横切るか、または吊下げられるように取付けられることを特徴とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明の襟巻きは、簡単な取扱い操作により装身具を装着できるとともに、取付位置や配置に自由度を発揮してファッション性を高め、しかも、構造的に堅牢に装身具を取付けることができ、さらには、構造簡単で製作も容易であり、製作コストが安価になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面に従い、本発明を実施するための最良の形態につき詳細を説明する。
【0014】
図1は本発明の襟巻きの実施形態1を示す正面図、図2は同じく裏面図、図3は本実施形態1で使用する止金具を網目部に取付ける取付状態を示す拡大斜視図、図4は本実施形態を構成する網目組織を備えたリボンの実施形態1を示す平面図、図5は同じく組織図、図6は同じく繊維組織を示す写真、図7は襟巻性状体に装身具を取付ける場合の他の使用例を示す正面図である。
【0015】
本実施形態1の襟巻きの発明は、所望太さの合成繊維のフィラメントを所望本数撚り合わせた撚糸2′により編成される地組織部1と、該地組織部1の合成繊維のフィラメントよりも太い合成繊維のフィラメントを所望本数撚り合わした撚糸2により前記地組織部1の少なくとも一縁部3に分岐して編成される網目部4とを有し、該網目部4が、網目構成用増目部5、および該網目構成用増目部5から分岐する網目構成用架橋部6により編成されるリボン7を襟巻性状体Aの裏面縁部に取付け、装身具Bが前記網目部4に係脱可能になる止金具8により襟巻性状体Aに取付けられることを特徴とする。
【0016】
また、前記襟巻性状体Aは、図示す本実施形態1では毛皮や人工毛皮で形成された襟巻きであるほか、図には示さないがショールがある。
【0017】
また、前記装身具Bが、図1では宝石または人工宝石により形成される紐状の装飾品を示しているが、装身具Bとしては、図には示さないが、装飾用チェーン、装飾用ビーズの何れかが使用される。
【0018】
また、前記装身具Bが、前記止金具8,8を介して前記網目部4の所望位置に複数個所、本実施形態1では2個所にて係止されることにより前記襟巻性状体Aの表面に図1に示すように斜めに横切るか、または図7に示すようにU字状に吊下げられるように取付けられる。
【0019】
前記止金具8は、図示では、例えば装身具Bの左右の端部に装着される茄子環8Aと、網目部4に装着される丸環8Bとを係止することにより着脱自在に取付けられる。
【0020】
前記リボン7は、細かな組織の地組織部1と、前記網目部4とよりなり、この地組織部1と前記網目部4とはラッシェル編機を用いて4枚箴にて縦編みされる。
【0021】
また、前記地組織部1を編成するのには、例えば所望太さの合成繊維のフィラメントを所望本数撚り合わせた撚糸2′により編成される。また、必要な場合には合成繊維のフィラメントに、半合成繊維糸、天然繊維糸の何れかを混紡して編成される。前記合成繊維としては、例えばポリアミド、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、エチレン、ポリプロピレン等があげられる。また、天然繊維としては、例えば絹、麻、木綿、羊毛等が挙げられる。半合成繊維糸とは、天然繊維と合成繊維との混紡糸が使用される。
【0022】
また、地組織部1は、縦編みするのであれば、メリヤス編み、ゴム編み等の任意な編成方法でよく、編成方法にはとらわれない。また、染色は多種の色調のものが使用され、必要ならば適宜図柄を編み込むようにしてもよい。
【0023】
また、前記網目部4を編成するのには、例えば合成繊維、例えば本実施形態1のリボン7では図5に示す組織図の左欄に表示する第1の箴L1には、90デニールのポリアミド・モノフィラメントを5本撚り合わせた撚糸2Aが使用される。また、第2の箴L2には、同じく90デニールのポリアミド・モノフィラメントを5本撚り合わせた撚糸2Aが使用される。また、第3の箴L3には、太さ70デニール/2のポリアミド繊維のウーリー糸を11本と、太さ90デニールのポリアミド・モノフィラメントを4本とを撚合わした撚糸2Bが使用される。また、第4の箴L4には、太さ70デニール/2のポリアミド繊維のウーリー糸を9本と、太さ90デニールのポリアミド・モノフィラメントを2本とを撚合わした撚糸2Cがそれぞれ使用されることにより細かな組織にて編成される地組織部1の縁部3に、該地組織部1よりも目の粗い前記網目部4,4・・・を形成するようになる。
【0024】
なお、本明細書において、網目構成用増目部5とは、図1、図4において連続して編まれる網目組織の長さ方向Xに配置される頂部をいう。また、本明細書において、網目構成用架橋部6とは、図において連続して編まれる網目組織の前記網目構成用架橋部6から分岐して地組織部1の縁部に編み込まれる長さ方向Xに交叉する部分をいう。
【0025】
すなわち、図5に示す組織図において、第1の箴L1および第2の箴L2では、撚糸2Aが12番目の鎖と14番目の鎖とに編み込まれることにより、網目部4の網目構成用増目部5の骨格と網目構成用架橋部6として編成される。また、第4の箴L4では撚糸2Cが3番目の鎖と第12番目の鎖との間を連続的に編み込まれることにより前記網目構成用増目部5の外面補強糸として編成される。また、第3の箴L3では網目を地組織部1の縁部に長さ方向Xに沿って撚糸2Cが1番目から12番目の間にて連続して編み込まれるのと、13番目の鎖を残して網目構成用架橋部6が位置する12番目と14番目との鎖に編み込まれ、取付部となり、前記網目部4は形成される。
【0026】
本発明の網目組織を備えたリボンの実施形態1は以上の構成からなり、所望太さの合成繊維のフィラメントを所望本数撚り合わせた撚糸2′により編成される地組織部1の一縁部3に、前記網地組織1よりも太い太さの合成繊維のフィラメント、例えばポリアミド・モノフィラメントを5本撚り合わせた撚糸2(2A,2B,2C)により前記地組織部1よりも目の粗い多数の網目の網目部4を長さ方向Xに編成した網目組織のリボン7を襟巻性状体Aの裏面縁部、例えば図2に示すように周囲に、ミシンにて縫着したり、接着剤を用いて接着する等して取付けているので、地組織部1の縁部3に長さ方向Xに編成される網目部4は、合成繊維のフィラメントが可撓性と弾力的な復元力とを発揮することにより構造堅牢でありながら例えば襟巻性状体Aを首に巻いて装用した時にも首等の身体の動きに密着して追従するように柔軟性に富んで違和感なく装用できるとともに網目部4の形が装用時および洗濯時に形崩れることなく確実に保形性を発揮する。
【0027】
そして、この地組織部1の縁部3に長さ方向Xに編成される網目部4の所望の網目を選択して網目組織のリボン7に止金具8の丸環8B,8Bを装着し、また装身具Bの両端に装着した茄子環8A,8Aの操作部8aを捻りばねの弾発力に抗して爪で押圧することにより閉止部8bを開いて前記丸環8B,8Bに係止するという簡単な取扱い操作いで、例えば図1に示すように襟巻性状体Aの表面に装身具Bが斜めに横切るように止金具8,8の茄子環8A,8Aと、この茄子環8A,8Aが係脱可能になる丸環8B,8Bを介して着脱自在に取付けることができる。
【0028】
このようにして、襟巻性状体Aの表面に、例えば宝石または人工宝石により形成された紐状の装飾品等の装身具Bを表面に斜めに横切って取付けた襟巻性状体Aを、被着者が例えば冬期、首に巻回することにより、襟巻性状体Aを装用すれば襟巻性状体Aに取付後の装身具Bは、毛皮に埋もれて隠されることなく、充分に装飾性を発揮し、ファッション性を高めることができる。
【0029】
また、本実施形態1の網目組織のリボン7は、地組織部1の縁部3に長さ方向Xに編成される網目部4は、前述のように合成繊維のフィラメントを所望複数本撚り合わした撚糸2により形成されるため、合成繊維のフィラメントが圧縮または引っ張り、捻れに対して可撓性と弾力的な復元力とを発揮することにより構造堅牢になり、また、取付後の強度が高く、前述のように保形性、耐摩耗性、復元性に優れる。
【0030】
従って、丸環8B,8Bと、茄子環8A,8Aとよりなる止金具8,8を介して前述のように襟巻性状体Aの表面に取付けられた装身具Bを取付個所に係留される止金具8,8が外部からの強い引っ張力を受けて不用意に引きちぎれることなく構造堅牢に取付けることができる。
【0031】
また、地組織部1の縁部3に長さ方向Xに編成される網目部4の例えば上縁に設置される所望の網目を選択して網目組織のリボン7に図7に示すように止金具8の丸環8B,8Bを装着し、装身具Bの両端に装着した茄子環8A,8Aを係止することにより襟巻性状体Aの表面に装身具BをU字状に吊下げるように取付ければ、単一の装身具Bを用いる場合でも図1に示す時の装身具Bの取付態様とは異なり、2通りもの使い分けが行え、変化に富んだ装飾性を発揮することができる。
【0032】
従って、衣服のデザイン、色調に合わせたおしゃれを楽しむことができる。
【0033】
なお、上記実施形態1では、装身具Bを取付けるための襟巻性状体Aは、図示するように毛皮や人工毛皮で形成された襟巻き、ショールにつき説明したが、これは代表的例示であり、襟巻としてはこのほかに図には示さないがショールがある。また、装身具Bとしては、図示するように天然または人工の宝石のほか、図には示さないが装飾用チェーン、装飾用ビーズ、装飾用組紐等の装飾品であってもよく、制限されない。
【0034】
また、止金具8は、図示するものに限らず、図には示さないがフックと丸環との組付け、また丸環2個を用いて結合してもよい。
【0035】
また、図示する上記実施形態1の網目組織のリボン7の地組織部1の設置幅、網目の大きさは代表的な例示であり、網目の設置間隔等の増減変更は自由である。しかも、網目部4を編成するのに用いる撚糸2(2A,2B,2C)を形成する合成繊維のフィラメントの太さ、用いる設置数の増減変更は自由である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の襟巻きは、簡単な取扱い操作により装身具を装着できるとともに、取付位置や配置に自由度を発揮してファッション性を高め、しかも、構造的に堅牢に装身具を取付けることができ、さらには、構造簡単で製作も容易であり、製作コストが安価になるという分野・用途に適する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の襟巻きの実施形態1を示す正面図である。
【図2】図2は同じく裏面図である。
【図3】図3は本実施形態1で使用する止金具を網目部に取付ける取付状態を示す拡大斜視図である。
【図4】図4は本実施形態を構成する網目組織を備えたリボンの実施形態1を示す平面図である。
【図5】図5は同じく組織図である。
【図6】図6は同じく繊維組織を示す写真である。
【図7】図7は襟巻性状体に装身具を取付ける場合の他の使用例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 地組織部
2 撚糸
2A 撚糸
2B 撚糸
2C 撚糸
3 縁部
4 網目部
5 網目構成用増目部
6 網目構成用架橋部
7 リボン
8 止金具
8A 茄子環
8B 丸環
A 襟巻性状体
B 装身具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望太さの合成繊維のフィラメントを所望本数撚り合わせた撚糸により編成される地組織部と、該地組織部の合成繊維のフィラメントよりも太い合成繊維のフィラメントを所望本数撚り合わした撚糸により前記地組織部の少なくとも一縁部に分岐して編成される網目部とを有し、該網目部が、網目構成用増目部、および該網目構成用増目部から分岐する網目構成用架橋部により編成されるリボンを襟巻性状体の裏面縁部に取付け、装身具が前記網目部に係脱可能になる止金具により襟巻性状体に取付けられることを特徴とする襟巻き。
【請求項2】
前記襟巻性状体が、毛皮や人工毛皮で形成された襟巻き、ショール、マフラー、ファーの何れかであることを特徴とする請求項1に記載の襟巻き。
【請求項3】
前記装身具が、宝石または人工宝石により形成される紐状の装飾品、装飾用チェーン、装飾用ビーズの何れかであることを特徴とする請求項1,2に記載の襟巻き。
【請求項4】
前記装身具が、前記止金具を介して所望位置の前記網目に複数個所にて係止されることにより前記襟巻性状体の表面を横切るか、または吊下げられるように取付けられることを特徴とした請求項1,2,3に記載の襟巻き。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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