説明

規制治具

【課題】上部受け口と下端直管部とを挿入接続する際の挿入長さが一定長さに規制される排水管設備において、新設時により正確且つ容易にその挿入長さを規制することのできる規制治具を提供する。
【解決手段】排水立て管30の上部受け口26の外側に嵌る受け口外嵌部52と、排水立て管20の上部受け口38に対する受け口外嵌部52の相対的な軸方向位置を規制する位置決め手段56と、排水管継手20の下端直管部26が挿入されることにより下端直管部26を上部受け口38に案内する下端直管部26より短い筒形状であり、該筒形状の上端が排水管継手20の胴部22の下端25に当接して下端直管部26の挿入長さL1を規制する挿入規制部54と、を有し、下端直管部26と上部受け口38とが接続された状態で脱着可能な規制治具50。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は規制治具に関する。より具体的には、複数層を有する建物の上階と下階とを仕切るコンクリートスラブを貫通して設置される排水管継手の胴部の下端に延設された該胴部よりも外径の小さい直管状の下端直管部を、建物の下階に設置された排水立て管の上部に設けられた上部受け口に挿入接続する際に該上部受け口に対する排水管継手の下端直管部の挿入長さを規制する規制治具に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者に係る特許文献1には、集合住宅の上階と下階とを区切るコンクリートスラブを貫通して埋め戻された排水管継手の下端直管部が下階の排水立て管の上部受け口に挿入接続された排水設備の配管方法が開示されている。このような排水管設備の新設時には、排水管継手と排水立て管とが下の階から順番に組み上げられることにより配管される。この特許文献1の排水管設備の配管方法では、決められた長さ寸法に基づいて予め工場で量産された2本の排水立て管を施工現場で直列に接合する。そのため施工現場で排水立て管を切断して長さを調節する必要がなく、配管作業の効率が向上するとともに、廃材の発生を防止することができる。
【0003】
ところで、近年の住宅の長寿命化技術の発展伴い、排水管設備に更新の容易性が求められるようになっている。そこで、本発明者は、例えば図10(A)に示すような排水管設備を既に提案している。この排水管設備100は、コンクリートスラブCSを貫通する排水管継手102の下端直管部104に排水立て管106の上部受け口108が挿入接続される点では上記特許文献1に記載された排水管設備100と同様であり、特に、上部受け口108に対する下端直管部104の挿入長さが一定長さに規制された状態で挿入接続されている点に特徴を有する。つまり、下端直管部104の下端面が上部受け口108に対して底付にならない一定長さだけ挿入された状態で排水管継手102がコンクリートスラブCSに埋め戻されて接続が維持されている。この排水管設備100では、図10(B)に示すように、排水立て管106を上方へ変位させて下端直管部104を上部受け口108に対して接続状態よりも深く挿入し、排水立て管106を傾けて引き抜くことができる。また、その逆の操作により排水立て管106を配管することができる。このような排水管設備100によれば、排水立て管106を切断せずに撤去することができるため更新が容易である。
【0004】
しかし、このような排水管設備100は、単に排水管継手102と排水立て管106とを下の階から順番に組み上げただけでは、上部受け口108に対する下端直管部104の挿入長さを一定長さに規制できないため新設時の配管作業の容易性は損なわれやすい。そこで、本発明者は、図10(A)に示すバンド状の規制部材110を用いた配管方法を提案している。このバンド状の規制部材110は、ヒンジにより開閉可能な1対の円弧形状のバンド部材で構成されている。この規制部材110を予め下端直管部104の中間において外周に固定しておき、下端直管部104を上部受け口108に挿入することにより、規制部材110が上部受け口108の開口端108aに当接して挿入が規制される。そして、排水管設備100の更新時には、規制部材110を取り外すことにより排水立て管106を上方へ変位させて取り外す操作が許容される。このような規制部材110を用いれば、排水管設備100の更新の容易性も確保しながらも、新設時により容易に上部受け口108に対する下端直管部の挿入長さを規制することができ、配管作業を容易にすることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2006−22581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記バンド状の規制部材を用いれば、上部受け口に対する下端直管部の挿入長さを規制できるものの、例えば、規制部材の下端直管部に対する固定位置がずれていたり、あるいは、水平に固定されていない場合には挿入長さを正確な長さに規制できない場合があり、その点については改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上記視点に鑑みて創作されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、上部受け口と下端直管部とを挿入接続する際の挿入長さが一定長さに規制される排水管設備において、新設時により正確且つ容易にその挿入長さを規制することのできる規制治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として以下の手段をとる。
まず、第1の発明は、複数層を有する建物の上階と下階とを仕切るコンクリートスラブを貫通して設置される排水管継手の胴部の下端に延設された該胴部よりも外径の小さい直管状の下端直管部を、前記建物の下階に設置された排水立て管の上部に設けられた上部受け口に挿入接続する際に該上部受け口に対する前記排水管継手の下端直管部の挿入長さを規制する規制治具であって、前記排水立て管の上部受け口の外側に嵌る受け口外嵌部と、前記排水立て管の上部受け口に対する前記受け口外嵌部の相対的な軸方向位置を規制する位置決め手段と、前記排水管継手の下端直管部が挿入されることにより前記下端直管部を前記上部受け口に案内する前記下端直管部より短い筒形状であり、該筒形状の上端が前記排水管継手の胴部の下端部に当接して前記下端直管部の挿入長さを規制する挿入規制部と、を有し、前記下端直管部と前記上部受け口とが接続された状態で脱着可能であることを特徴とする。
【0009】
第1の発明によれば、排水立て管の上部受け口の外側に受け口外嵌部が嵌る構成となっており、その受け口外嵌部の上部受け口に対する相対的な軸方向位置を規制する位置決め手段が設けられているため当該規制治具を上部受け口に対して的確な軸方向位置に容易に位置決めすることができる。そして、位置決めされた規制治具の筒形状の挿入規制部に下端直管部を挿入して挿入規制部の上端に排水管継手の胴部の下端部を当接させることで容易に下端直管部の挿入長さを規制することができる。したがって、より正確且つ容易にその挿入長さを規制することができる。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明の規制治具であって、前記排水立て管の上部受け口に対する前記上部受け口外嵌部の相対的な軸方向位置を決める位置決め手段は、前記受け口外嵌部と前記挿入規制部とを接続形成する際に形成される段差形状部であり、該段差形状部が前記排水立て管の上部受け口の端面に当接して相対的な軸方向の位置決めが行われる構成であることを特徴とする。
【0011】
第2の発明の規制治具によれば、段差形状部を上部受け口の端面に当接する嵌め合わせをするので相対的な軸方向の位置決めを極めて容易に行うことができる。
【0012】
第3の発明は、上記第1の発明の規制治具であって、前記排水立て管の上部受け口に対する前記受け口外嵌部の相対的な軸方向位置を決める位置決め手段は、前記排水立て管の上部受け口の外周面に形成される円周溝に、該排水立て管の上部受け口の外側に嵌る受け口外嵌部にネジ螺合されたネジ部材がねじ込み係合することにより位置決めされる構成であることを特徴とする。
【0013】
第3の発明の規制治具によれば、上部受け口の外周面に形成された円周溝にネジ部材をねじ込み係合させることにより容易に相対的な軸方向の位置決めを行うことができる。
【0014】
第4の発明は、上記第3の発明の規制治具であって、前記排水立て管の上部受け口の外周面に形成される円周溝は、軸方向に複数条形成されており、前記受け口外嵌部にネジ螺合されたネジ部材が複数条の円周溝のうち選択された位置の円周溝にねじ込み係合されて位置決めされる構成であることを特徴とする。
【0015】
第4の発明の規制治具によれば、相対的な軸方向の異なる複数の位置決め状態を選択して容易に位置決めすることができる。
【0016】
第5の発明は、上記第1から4の発明のいずれかの規制治具であって、前記挿入規制部の上部には、該挿入規制部の上部開口を開閉する養生蓋が、水平方向に開閉回動する機構として取り付けられていることを特徴とする。
【0017】
第5の発明の規制治具によれば、養生蓋が水平方向に開閉回動するため上方のスペースが少ない場合でも開閉可能とすることができる。そして、開閉排水管設備の施工途中に作業を中断する際には養生蓋で規制治具の挿入規制部の上部開口を閉鎖することにより既に施工された排水管設備内に夾雑物が入り込むのを防ぐことができる。
【0018】
第6の発明は、上記第5の発明の規制治具であって、前記養生蓋は前記挿入規制部の上部開口を閉鎖することができる大きさの概略円盤状に形成されており、該円盤状の円周上の1点が回動支点として開閉回動可能に前記挿入規制部の上部開口円周部上に取り付けられているとともに、該回動支点から180度回転した位置には養生蓋の閉鎖方向への回動により前記挿入規制部の上部開口円周部上に植設された回動規制軸に自動的に係合する切り欠き溝が形成されていることを特徴とする。
【0019】
第6の発明の規制治具によれば、養生蓋を閉鎖方向に回動させると挿入規制部に切り欠き溝が自動的に係合するため、作業者が上部開口の閉鎖状態を視認することができない場合でも確実に閉鎖することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、排水立て管の上部受け口と排水管継手の下端直管部とを挿入接続する際の挿入長さが一定長さに規制される排水管設備において、新設時に、より正確且つ容易にその挿入長さを規制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
[実施形態1]
図1〜6を参照しながら実施形態1について説明する。図1(A)は、本発明の実施形態1に係る規制治具50を用いて排水管設備10が新設される様子を示す側面図である。この排水管設備10は、排水管継手20と排水立て管30とで構成されている。先ず、この排水管設備10を構成する各部材について説明する。
【0022】
<排水管継手20について>
排水管継手20は、複数層を有する建物の上階Aと下階Bとを仕切るコンクリートスラブCSを貫通して各階に設置されている。排水管継手20は、上階Aの排水立て管30及び排水横枝管(図示省略)により導かれた排水を合流させて下階Bの排水立て管30に流入させる継手である。排水管継手20は、胴部22がコンクリートスラブCSの貫通孔CHに挿通された状態で貫通孔CHにロックウールGが充填され、更にその貫通孔CHの上部に例えば3cm程度のモルタルMrが充填されて埋め戻されている。そして、この排水管継手20は、一端がコンクリートスラブCSの上面に固定された略Z型の支持具29を介してコンクリートスラブCSに支持されている。胴部22の上部のコンクリートスラブCSに埋め戻されない位置には排水横枝管が接続される複数の横枝管受け口28が設けられている。胴部22の上端部には排水立て管30の下端部(下端挿し口)32が挿入接続される上受け口24が形成されている。上受け口24の内部には、排水立て管30の下端挿し口32の端面を直接支持する略筒状の受け部を有するシール材が装着されており(図示省略)、排水立て管30の下端挿し口32がシール材の受け部に当接するまで挿入されている。
胴部22はコンクリートスラブCSに埋め戻されている部分の略下半分が下方に向かって緩やかに縮径するテーパ形状に形成されており、その下端に胴部よりも外径の小さい直管状の下端直管部26が延設されている。この下端直管部26の外周面は研削されており、胴部22の下端には下端直管部26の外周面に対して段差となる段部25が突出形成されている(図6参照)。下端直管部26は全長Lが100mmであり、そのうち先端側の40mm(=挿入長さL1)が排水立て管30の上部受け口38に挿入された状態で下階Bに立設された排水立て管30の上部受け口38に接続されている(図2参照)。
【0023】
<排水立て管30について>
排水立て管30は、大別して直管状の立て管本体34と上部受け口38を構成する受け口ソケット40とで構成されている。立て管本体34は、その下端は下端挿し口32を構成し排水管継手20の上受け口24に挿入接続されており、上端は受け口ソケット40と連結されている。立て管本体34は、直管状の硬質塩化ビニルライニング鋼管である第1立て管34aと第2立て管34bとが排水鋼管用可とう継手36を介して連結解除可能に直列に連結されることにより構成されている。排水鋼管用可とう継手36は、円筒状の本体36aの上下両端に所謂メカニカル接続で直管状の第1立て管34a及び第2立て管34bを接続することのできる構成となっている。すなわち、円筒状の本体36aの上端は、第1立て管34aの直管状の下端を挿入可能な形状であり、水平に張り出す鍔部36bを有する。また、第1立て管34aの外周に遊嵌可能な環状のパッキン37a(図1(B)参照)とフランジ部材37bとが本体36aとは別体で備えられている。第1立て管34aが本体36aの一端に挿入され、鍔部36bとフランジ部材37bとの間に環状パッキンaが配置された状態で、ボルト・ナット37cでフランジ部材37bを鍔部36bに締結する。ボルト・ナット37cの締結により本体36aの鍔部36bとフランジ部材37bが近接すると環状パッキン37aが押圧され、圧縮変形させられて鍔部36b、フランジ部材37b、及び第1立て管34aの外周に密着する。それにより排水鋼管用可とう継手36の上端に第1立て管34aが連結解除可能な状態で水密に連結されている。排水鋼管用可とう継手36の下端と第2立て管34bとの連結も同様に行われている。
【0024】
受け口ソケット40は鋳鉄製であり、図2に示されるように当該受け口ソケット40の上部から排水管継手20の下端直管部26を挿入可能な略直管状の上部受け口38を有し、下部に立て管本体34(第1立て管34a)の上端と連結可能な立て管連結部44を有している。そして、上部受け口38と立て管連結部44との間にテーパ状の境界拡開部42が形成されている。
上部受け口38は直管部38aと、当該上部受け口38の開口付近で内方に突出形成されたパッキン取付部39とを有している。パッキン取付部39には断面略矩形の溝39mが形成されており、断面円形の環状パッキン(以下、Oリングパッキンと称する。)48が嵌合している。排水管継手20の下端直管部26が上部受け口38に挿入されると、上部受け口38の溝39mに保持されたOリングパッキン48が下端直管部26の外周面に当接することにより、下端直管部26と上部受け口38とが水密な状態で挿入接続される。本実施形態の排水管設備10では、このとき、直管部38aの内周面よりも内方でOリングパッキン48が排水管継手20の下端直管部26の外周面に接し、直管部38aの内周面と下端直管部26の外周面との間に所定の間隙Fが生じる構成とされている。直管部38aの内径φは130mmに設定されており、間隙Fは8mmに設定されている。
また、この受け口ソケット40は、排水管継手20の下端直管部26がL1=40mm挿入された通常の接続状態において、下端直管部26の下端面と、該受け口ソケット40の下部に接続される立て管本体34の上端面との距離である有効長Uが100mmに設定されている。つまり、この受け口ソケット40は、通常の接続状態において、下端直管部26を更に深く挿入可能な長さが確保されている。
上部受け口38は、上方が肉厚に成形されており、外周面には軸方向に位置がずらされた相対的に上方に位置する上側円周溝49aと、相対的に下方に位置する下側円周溝49bとの2条の円周溝が形成されている。上側円周溝49aと下側円周溝49bとの間隔Mは10mmに設定されている。
【0025】
受け口ソケット40の下部に設けられた立て管連結部44は、所謂メカニカル接続により立て管本体34の直管状の上端と連結可能な構成となっている。立て管連結部44は、下部受け口部45と、該下部受け口部45とは別体として形成されたフランジ部材46bと、断面略台形の環状パッキン46aとを備えている。下部受け口部45は立て管本体34が嵌入可能に形成されており、下端には水平に外方へ張り出す鍔部45aを備えている。立て管本体34の上端が下部受け口部45に挿入され、鍔部45aとフランジ部材46bとの間に環状パッキン46aが配置された状態で、ボルト・ナット46cでフランジ部材46bを鍔部45aに締結する。ボルト・ナット46cの締結により鍔部45aとフランジ部材46bが近接すると環状パッキン46aが押圧され、圧縮変形させられて鍔部45a、フランジ部材46b、及び立て管本体34の外周に密着する。それにより立て管本体34の上端と受け口ソケット40とが連結解除可能な状態で水密に連結されている。
【0026】
<規制治具50について>
本実施形態の規制治具50は、以上の構成の排水管設備10を新設する際に使用して、排水立て管30の上部受け口38に対する排水管継手20の下端直管部26の挿入長さL1を規制することができる。
規制治具50は、本体51と養生蓋60とで構成されている。図2に示されるように、排水立て管30の上部受け口38の外側に嵌る受け口外嵌部52と排水管継手20の下端直管部26の挿入を規制する挿入規制部54とを有している。本体51は、図4,図5(B)等に示されるように、径の異なる円筒を同軸で積み重ねたような形状であり、相対的に大径の円筒形状の部分が受け口外嵌部52を構成しており、相対的に小径の円筒形状の部分が挿入規制部54を構成している。そして、受け口外嵌部52と挿入規制部54とが段差形状部56を介して接続形成されている。
この本体51は、鋳鉄製である。径方向断面形状が半円形の2つの構成部材51a,51bを突き合せ、該半円形の両端が着脱用組み付けボルト51cで締結されている。着脱用組み付けボルト51cの締結を解除することにより2つの構成部材51a,51bを離間させて本体51を径方向に2分割することができる。
【0027】
受け口外嵌部52は、上部受け口38より短い扁平な円筒形状であり、周方向に間隔を空けての4箇所にねじ孔が設けられており、ボルト53がネジ螺合されている。
規制治具50は、下階に配管された排水立て管30の上部受け口38に対する受け口外嵌部52の相対的な軸方向位置を決める位置決め手段を有している。この規制治具50は、上部受け口38に対して2つの異なる軸方向位置で位置決め可能となっている。
一方の相対的な軸方向の位置決めは、図2に示すように、受け口外嵌部52を上部受け口38の外周に嵌め合わせ上部受け口38の端面に段差形状部56が当接し、規制治具50の下方への変位が規制されることにより行なわれる(第1位置決め状態)。この場合、段差形状部56が位置決め手段に相当する。このとき、受け口外嵌部52のねじ孔にネジ螺合されたボルト53が上部受け口38の外周面に形成された下側円周溝49bに係合することにより規制治具50の上方への変位も規制される。
他方の相対的な軸方向の位置決めは、図3に示すように、上部受け口38の外周面に設けられた上側円周溝49aにボルト53を係合させることにより行なわれる(第2位置決め状態)。この場合、上部受け口38の端面と規制治具50の段差形状部56とが離間した状態で規制治具50の上下方向への変位が規制されて位置決めされる。
上側円周溝49aと下側円周溝49bとの間隔Mは10mmであるから、前記第1位置決め状態に比べ、前記第2位置決め状態では上部受け口38に対して受け口外嵌部52の相対的な軸方向位置は10mm上方になる。後述するように、上部受け口38に対して位置決めされた受け口外嵌部52の相対的な軸方向位置により、上部受け口38に対する排水管継手20の下端直管部26の挿入長さが変更されることになる。
【0028】
挿入規制部54は、排水管継手20の下端直管部26を挿通させることのできる下端直管部26よりも短い円筒形状であり、外周には軸方向に沿って補強リブ54aが設けられており(図4参照)、上端には水平方向に張り出す上部開口円周部62が設けられている。挿入規制部54は、当該規制治具50が排水立て管30の上部受け口38に位置決めされた状態で上部受け口38と同軸であり、上端の上部開口55から下端直管部26が挿入されると、下端直管部26を上部受け口38に案内することができる。挿入規制部54は、当該挿入規制部54の上端が排水管継手20の胴部22の下端の段部25に当接するまで下端直管部26の挿入を許容し、挿入規制部54の上端が排水管継手20の胴部22の下端の段部2に当接することにより下端直管部26の上部受け口38に対する挿入長さL1を規制することができる。なお、本実施形態において挿入規制部54の長さJは、60mmに設定されている(図2参照)。
この挿入規制部54の内部の内径は、上部開口55の内径よりもわずかに大きく形成されており、下端直管部26との間に間隙54sが設定されている。それにより下端直管部26の挿入が妨げられない構成となっている。
【0029】
養生蓋60は、挿入規制部54の上部開口55を閉鎖することのできる大きさの肉薄な概略円盤状であり、図5(A)に示されるように、平面視で見て、真円の一部が切り欠かれて外周方向に沿って凹んだ鈎状の凹み64が設けられている。養生蓋60は、該円盤状の円周上の鈎状の凹み64とは180度回転した位置が1本の蝶ボルト66で挿入規制部54の上部開口円周部62上に取り付けられており、そのボルト66を回動支点として水平回動可能となっている。上部開口円周部62には、養生蓋60の回動支点となるボルト66の取り付け位置から180度回転した位置にはネジ孔68が形成されている。ネジ孔68に蝶ボルト69がネジ螺合され、当該蝶ボルト69が上部開口円周部62に植設されている。図5(A)によく示されるように、この養生蓋60は、図中実線で示される開いた状態から図中向かって反時計回り方向に水平回転させると、180度回転したところで鈎状の凹み64が自動的に蝶ボルト69に係合し、上部開口55を完全に閉鎖した状態で養生蓋60の回動が規制される。この養生蓋60は、鈎状の凹み64に向かって緩やかに真円の外周が切り欠かれた形状であり、図中向かって反時計回り(閉鎖方向)に回動する際に鈎状の凹み64が蝶ボルト69に係合する前には外周が蝶ボルト69に当たらない形状となっている。鈎状の凹み64を含む、切り欠かれた形状の部分が本発明の切り欠き溝に相当し、蝶ボルト69が本発明の回動規制軸に相当する。
【0030】
<規制治具50を用いた排水管設備10の施工方法について>
下階Bに配管された排水立て管30の上部受け口38に排水管継手20の下端直管部26を挿入接続する排水管設備10の新設時の施工方法について説明する。
先ず、下階Bに配管された排水立て管30の上部受け口38(受け口ソケット40)に対して規制治具50の受け口外嵌部52の軸方向の相対位置を位置決めする(規制治具位置決め工程)。規制治具の位置決め状態は、例えばコンクリートスラブCSのスラブ厚の施工誤差等を考慮して上記第1位置決め状態又は第2位置決め状態が適宜選択される。いずれの位置決め状態が選択された場合も以下の基本的な施工工程は同様であるので、以下、代表して第1位置決め状態が選択された場合の施工方法について図2を参照しながら説明する。ここで、作業を中断する場合は、養生蓋60で規制治具50の挿入規制部54の上部開口55を閉鎖し、コンクリートスラブCSに貫通孔CHを形成する際に生じるスラブ片等の夾雑物が既に施工された排水管設備10の中に落下するのを防ぐことができる。
次に、挿入規制部54の上部開口55が開放された状態で、上階Aと下階Bとを仕切るコンクリートスラブCSの貫通孔CHに立て管継手20の下端直管部26及び胴部22を挿通し、下端直管部26を上部開口55から挿入規制部54に挿入する。下端直管部26は円筒形状の挿入規制部54により排水立て管30の上部受け口38に案内される。挿入規制部54の上端が排水管継手20の胴部22の下端の段部25に当接するまで下端直管部26を挿入規制部54に挿入する。それより、下端直管部26が上部受け口38に対して挿入長さL1=40mmだけ挿入された状態で挿入が規制される(挿入規制工程)。なお、例えば、段部25の突起が小さいく段部25に挿入規制部54を当接させることにより胴部22の下端に挿入規制部54の上端を係止させにくい場合には、胴部22の下端にビニルテープ等を巻いて胴部22の下端で挿入規制部54の上端が係止するのを補助してもよい。
次に、排水管継手20をコンクリートスラブCSに埋め戻す(排水管継手埋め戻し工程)。例えば、ロックウールGを貫通孔CHに充填し、その貫通孔CHの上部に3cm程度のモルタルMrを充填することによって埋め戻すことができる。この場合、例えば、一端がコンクリートスラブCSの上面に固定された略Z型の支持具29を介して排水管継手20をコンクリートスラブCSに支持させておくのが好ましい。
以上の作業により、排水立て管30の上部受け口38と排水管継手20の下端直管部26との挿入接続が完了する。
なお、上記規制治具位置決め工程で第2位置決め状態を選択した場合は、第1位置決め状態に比べ、規制治具50が上部受け口38に対して10mm上方に位置決めされる。そのため、上記挿入規制工程では、下端直管部26が上部受け口38に対して挿入長さL2=30mmだけ挿入された状態で挿入が規制されることになる(図3参照)。
【0031】
排水立て管30の上部受け口38と排水管継手20の下端直管部26との挿入接続作業が完了したら、規制治具50の着脱用組み付けボルト51cを外して本体51の構成部材51a,51bを離間させて本体51を分割する。それにより、上部受け口38と下端直管部26とを接続したままで規制治具50を排水管設備10から取り外すことができる。この規制治具50は、取り外して繰り返し使用することができる。
排水管設備10では、規制治具50を取り外すことにより、上部受け口38に対して下端直管部26を通常の接続状態よりも深く挿入することが許容される。そのため、排水立て管30の更新時には、例えば、図1(B)に示すように、受け口ソケット40と立て管本体34との連結を解除し、受け口ソケット40を上方へ変位させる動作が許容される。受け口ソケット40を上方へ変位させて下部受け口45を立て管本体34から引き抜き、立て管本体34を傾けて排水管継手20の上受け口24から引き抜くことにより排水立て管30を切断せずに取り除くことができる。この立て管本体34は、排水鋼管用可とう継手36の連結を解除して第1立て管34aと第2立て管34bとに分解すれば、第1立て管34aと第2立て管34bとを別々にエレベータ等に積んで運ぶことができる。
なお、例えば、排水管継手20の自重が規制治具50に掛かることにより位置決め手段と上部受け口38との摩擦が大きくなり規制治具50を容易に取り外せない場合などには、規制治具50を取り外す際に略Z型の支持具29を操作して排水管継手20を持ち上げても構わない。
【0032】
以上の構成の規制治具50によれば以下の作用効果を奏する。
排水立て管30の上部受け口38の外周に円筒形状の受け口外嵌部52が嵌る構成となっており、特に、第1位置決め状態では受け口外嵌部52の上方に設けられた段差形状部56に当接するように上部受け口38に受け口外嵌部52を嵌め合わせれば上部受け口38に対して容易に相対的な軸方向の位置決めを行うことができる。そのため、施工現場で軸方向長さを測量しながら位置決めする場合に比べ格段に位置決めが容易であり、且つ正確に位置決めすることができる。
また、上部受け口38の外周面に軸方向に2条の円周溝49a,49bが設けられており、上側円周溝49aに受け口外嵌部52のねじ孔にネジ螺合されたボルト53を係合させることにより、第1位置決め状態とは上部受け口38に対する相対的な軸方向位置の異なる第2位置決め状態をとることが可能となっている。そのため、例えば、コンクリートスラブCSのスラブ厚の施工誤差等が生じて上部受け口38に対する排水管継手20の下端直管部26の挿入長さを調整したい場合であっても容易に対応することができる。
【0033】
また、排水立て管30の上部受け口38と同軸の円筒形状の挿入規制部54で排水管継手20の下端直管部26を上部受け口38に案内するため、上部受け口38の開口付近に配設されたOリングパッキン48に偏った荷重が掛かったり、Oリングパッキン48が上部受け口38の内部へ押し込まれたりすることが防止される。すなわち、Oリングパッキン48が溝39mに嵌合した位置状態に対して下端直管部26が直交状態で挿される。なお、上部受け口38に下端直管部26を挿入する際には、シール性滑材を用いてもよい。
また、挿入規制部54の上端が排水管継手20の胴部22の下端の段部25に当接するまで下端直管部26を挿入規制部54に挿入すれば挿入長さが規制されるため、排水立て管30、規制治具50、排水管継手20を順に下から組み上げれば、容易に上部受け口38に対する排水管継手20の下端直管部26の挿入長さ規制しながら施工することができる。
【0034】
また、養生蓋60を有するため、排水管設備10の施工途中に作業を中断する際には養生蓋60で規制治具50の挿入規制部54の上部開口55を閉鎖することにより既に施工された排水管設備10内に夾雑物が入り込むのを防ぐことができる。従来、一般に、施工途中に作業を中断する際に排水管設備10の上端面をビニールシート片等の使い捨ての養生材で覆っていたが、本実施形態の規制治具50を用いれば養生材が不要となるため環境負荷を軽減できる点でも有利である。
また、養生蓋60は、肉薄で水平に回転するため、コンクリートスラブCSとの間の間隔が狭くても容易に開閉可能である。それに加え、養生蓋60は、閉鎖方向に回動させると蝶ボルト69により上部開口55を閉鎖した状態で自動的に回動が規制されるため、作業者が上部開口55の閉鎖状態を視認することができない場合でも確実に閉鎖することができる。
【0035】
[実施形態2]
図7を参照しながら本発明の実施形態2について説明する。この実施形態2は、上記実施形態1の規制治具50において本体51を構成する2つの構成部材51a,51bの連結方法のみを変更した実施形態である。実施形態1から変更を要しない部分は詳細な説明を省略し、図中に同じ符号で示す。
実施形態2の規制治具70は、構成部材51a,51bは周方向の1箇所が連結解除可能にボルト(図示省略)で連結されており、他の一箇所がヒンジ72で連結されている。ボルトの連結を解除することによりヒンジ72を中心に構成部材51a,51bが相対的に回動可能となり、上部受け口38と下端直管部26とを接続したままで規制治具70を排水管設備10から取り外すことができる。
【0036】
[実施形態3]
図8を参照しながら本発明の実施形態3について説明する。この実施形態3は、上記実施形態1において排水立て管30の上部受け口38を構成する受け口ソケット40が樹脂製である場合の実施の一形態である。実施形態1から変更を要しない部分は詳細な説明を省略し、図中に同じ符号で示す。
実施形態3に係る受け口ソケット80は、樹脂製の本体81を有し、当該本体81の直管状の上端に樹脂製の環状のシール材保持リング82が溶着されて上部受け口83が構成されている。本体81は上部受け口83の一部を構成する直管部81aを有し、テーパ状の境界拡開部81bを介して下端に立て管連結部85が設けられている。
シール材保持リング82は、その縦断面が段差形状であり、本体81の上部に嵌合して本体81の上端面と上部外周面を覆っている。シール材保持リング82は本体81より内側に突出しており、内面に断面略矩形の溝81mが形成されてOリングパッキン48が嵌合している。Oリングパッキン48が下端直管部26の外周面に当接することにより、下端直管部26と上部受け口83とが水密な状態で挿入接続される。このとき、直管部81aの内周面と下端直管部26の外周面との間には間隙Fが設定されている。本実施形態では、直管部81aの内径φは131mmに設定されており、間隙Fは8mmに設定されている。
【0037】
シール材保持リング82の外周面には軸方向に位置がずらされた相対的に上方に位置する上側円周溝84aと、相対的に下方に位置する下側円周溝84bとの2条の円周溝が形成されている。上側円周溝84aと下側円周溝84bとの間隔Mは10mmに設定されている。
規制治具50は、上記実施形態1の鋳鉄製の受け口ソケット40に対してもこの実施形態3の樹脂製の受け口ソケット80に対しても共通して用いることができる。実施形態3の受け口ソケット80における上側円周溝84a及び下側円周溝84bは、上記実施形態1の鋳鉄製の受け口ソケット40における上側円周溝49a及び下側円周溝49bに対応しており、規制治具50は第1実施形態と同様に位置決めされる。
規制治具50を第1位置決め状態としたとき(図8に示す位置決め状態)、下端直管部26の上部受け口38に対する挿入長さL1は40mmであり、その通常の接続状態における下端直管部26の下端面と、該受け口ソケット40の下部に接続される立て管本体34の上端面との距離である有効長Uは100mmに設定されている。
【0038】
受け口ソケット80の下部に設けられた立て管連結部85は、所謂袋ナット式の接続形態で立て管本体34の直管状の上端と連結されている。立て管連結部85は、下部受け口86と、該下部受け口86とは別体として形成された袋ナット部材88と断面略台形の環状パッキン87とを備えている。下部受け口86は立て管本体34が嵌入可能に形成されており、下端には外方へ拡開するテーパ形状部86aを有し、外周面には袋ナット部材88と螺合するネジ溝が形成されている。袋ナット部材88は断面略L形であり、テーパ形状部86aとの間に環状パッキン87を挟んだ状態で下部受け口86の外周に螺合している。下部受け口86に立て管本体34の上端を挿入した状態で袋ナット部材88を下部受け口86に螺合させることにより環状パッキン87が圧縮変形させられてテーパ形状部86a、袋ナット部材88、及び立て管本体34の外周に密着する。それにより立て管本体34の上端と受け口ソケット80とが連結解除可能な状態で水密に連結されている。
【0039】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内でその他種々の実施形態が考えられるものである。
例えば、排水立て管30の上部受け口38に対する受け口外嵌部52の相対的な軸方向位置を決める位置決め手段は少なくとも1つ以上設けられていればよく、例えば、上部受け口38の外周面に形成された上側円周溝49aに受け口外嵌部52のねじ孔にネジ螺合されたボルト53を係合させて位置決めする位置決め手段を省略し、上部受け口38の端面に当接する段差形状部56のみを位置決め手段として備えていてもよい。また、上部受け口38の外周面に3以上の円周溝を設けることにより位置決め状態を3段階以上設けることも可能である。
また、受け口外嵌部52にネジ螺合されたボルト53を蝶ボルトとすれば工具を用いることなく位置決めすることができ、より好ましい。
また、本体51を構成する構成部材51a,51bを連結するボルト(上記実施形態1では着脱用組み付けボルト51c)を蝶ボルトとすれば工具を用いることなく規制治具50,70を取り外すことができ、より好ましい。
また、養生蓋60は、図5(A)に二点鎖線で示すように、その上面に手掛け65を設けるのが好ましい。この手掛け65は断面L字形状で長尺なアングルをスポット溶接にて取り付けたものである(図5(C)参照)。このような手掛け65を設ければ、例えば、上階AからコンクリートスラブCSの貫通孔CHに立て管継手20の下端直管部26及び胴部22を挿通させる挿入規制工程を行う際に、養生蓋60により上部開口55が閉鎖されている場合でも、作業者は上階AからコンクリートスラブCSの貫通孔CHに手を挿入して養生蓋60の手掛け65を操作して容易に養生蓋60を開けることができる。そのため、円滑に挿入規制工程に取り掛かることができる。
また、上記実施形態の規制治具50,70は、上記実施形態の排水管設備10に限らず、排水管継手20の胴部22よりも外径の小さい直管状の下端直管部26が排水立て管30の上部受け口38に挿入接続されており、該上部受け口に対する排水管継手の下端直管部の挿入長さが一定長さに規定されている各種形態の排水管設備の施工において用いることができる。例えば、図9に示されるように、排水立て管94が、1本の直管状の立て管本体94aの上端に比較的長尺な受け口ソケット92が連結されて構成されている場合にも、上記実施形態の規制治具50(70)を用いることができる。図9(A)に示されるように、上記実施形態と同様に規制治具50を用いて施工し、図9(B)に示されるように、規制治具50を取り外せば、受け口ソケット92を上方に変位させる動作が許容される。したがって、排水立て管91の更新をする更新時には、例えば、受け口ソケット92と立て管本体94aとの連結を解除し、受け口ソケット92を一旦上方に変位させて斜め下方に引き抜くことができる。
また、上記実施形態では立て管本体34を構成する第1立て管34a及び第2立て管34bが硬質塩化ビニルライニング鋼管である実施の形態を例示したが、本発明において立て管種は特に限定されるものではなく、硬質塩化ビニル管、鋳鉄管、耐火二層管、耐火性能を持つ建物排水・通気用塩ビ管等の各種の立て管等の場合にも有効である。例えば、耐火性を持つ建物排水・通気用塩ビ管を用いた排水立て管が、火災によって管内部が閉塞された場合でも、該立て管を容易に交換可能となる。
また、上記実施形態の規制治具50,70は、排水立て管の上部受け口に配設されたシール材がOリングパッキン48ではなく、例えば舌片状のシール材である排水管設備の施工に用いても、勿論有効である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施形態1に係る排水管設備の側面図であり、(A)は新設時の施工方法示す図であり、(B)は更新方法を示す図である。
【図2】図1(A)に示される排水管設備において規制治具が配設されている部分を拡大して示す縦断面図であり、規制治具の第1位置決め状態を示す図である。
【図3】規制治具の第2位置決め状態を図2に対応して示した図である。
【図4】実施形態1に係る規制治具の正面図である、
【図5】実施形態1に係る規制治具を示しており、(A)は平面図であり、(B)は図5(A)のB−B線縦断面図であり、(C)は図5(A)のC−C線断面図である。
【図6】図2にVIとして示す部分を拡大して示す図である。
【図7】実施形態2に係る規制治具の正面図である。
【図8】第3実施形態にかかる排水管設備において規制治具が配設されている部分を拡大して示す縦断面図を図2に対応して示した図である。
【図9】変更例に係る排水管設備の側面図であり、(A)は新設時の施工方法示す図であり、(B)は更新方法を示す図である。
【図10】従来の排水管設備の側面図であり、(A)は新設時の施工方法示す図であり、(B)は更新方法を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
10 排水管設備
20 排水管継手
22 胴部
25 段部
26 下端直管部
30 排水立て管管
38 上部受け口
49a 上側円周溝
49b 下側円周溝
50 規制治具
52 受け口外嵌部
53 ボルト
54 挿入規制部
55 上部開口
56 段差形状部
60 養生蓋
62 上部開口円周部
69 蝶ボルト(回動規制軸)
70 規制治具
72 ヒンジ
CS コンクリートスラブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数層を有する建物の上階と下階とを仕切るコンクリートスラブを貫通して設置される排水管継手の胴部の下端に延設された該胴部よりも外径の小さい直管状の下端直管部を、前記建物の下階に設置された排水立て管の上部に設けられた上部受け口に挿入接続する際に該上部受け口に対する前記排水管継手の下端直管部の挿入長さを規制する規制治具であって、
前記排水立て管の上部受け口の外側に嵌る受け口外嵌部と、前記排水立て管の上部受け口に対する前記受け口外嵌部の相対的な軸方向位置を規制する位置決め手段と、前記排水管継手の下端直管部が挿入されることにより前記下端直管部を前記上部受け口に案内する前記下端直管部より短い筒形状であり、該筒形状の上端が前記排水管継手の胴部の下端部に当接して前記下端直管部の挿入長さを規制する挿入規制部と、を有し、前記下端直管部と前記上部受け口とが接続された状態で脱着可能であることを特徴とする規制治具。
【請求項2】
請求項1に記載の規制治具であって、
前記排水立て管の上部受け口に対する前記受け口外嵌部の相対的な軸方向位置を決める位置決め手段は、前記受け口外嵌部と前記挿入規制部とを接続形成する際に形成される段差形状部であり、該段差形状部が前記排水立て管の上部受け口の端面に当接して相対的な軸方向の位置決めが行われる構成であることを特徴とする規制治具。
【請求項3】
請求項1に記載の規制治具であって、
前記排水立て管の上部受け口に対する前記受け口外嵌部の相対的な軸方向位置を決める位置決め手段は、前記排水立て管の上部受け口の外周面に形成される円周溝に、該排水立て管の上部受け口の外側に嵌る受け口外嵌部にネジ螺合されたネジ部材がねじ込み係合することにより位置決めされる構成であることを特徴とする規制治具。
【請求項4】
請求項3に記載の規制治具であって、
前記排水立て管の上部受け口の外周面に形成される円周溝は、軸方向に複数条形成されており、前記受け口外嵌部にネジ螺合されたネジ部材が複数条の円周溝のうち選択された位置の円周溝にねじ込み係合されて位置決めされる構成であることを特徴とする規制治具。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の規制治具であって、
前記挿入規制部の上部には、該挿入規制部の上部開口を開閉する養生蓋が、水平方向に開閉回動する機構として取り付けられていることを特徴とする規制治具。
【請求項6】
請求項5に記載の規制治具であって、
前記養生蓋は前記挿入規制部の上部開口を閉鎖することができる大きさの概略円盤状に形成されており、該円盤状の円周上の1点が回動支点として開閉回動可能に前記挿入規制部の上部開口円周部上に取り付けられているとともに、該回動支点から180度回転した位置には養生蓋の閉鎖方向への回動により前記挿入規制部の上部開口円周部上に植設された回動規制軸に自動的に係合する切り欠き溝が形成されていることを特徴とする規制治具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−84947(P2009−84947A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258713(P2007−258713)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(390013527)
【Fターム(参考)】