説明

規格化されたルアー接続部またはルアーロック接続部との連結用コネクタ

本発明は、規格化されたルアー接続部(15)またはルアーロック接続部の円錐状接続面(25)に当接するように構成された円錐状の領域(20)と、円錐状の領域(20)に配置されたシール材(45)とを有し、規格化されたルアー接続部(15)またはルアーロック接続部と連結するコネクタ(5)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提項に記載された構成要件を備え、規格化されたルアー接続部またはルアーロック接続部と連結するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
医療技術においては、たとえば注入ポンプのような医療機器を液密に連結するために、いわゆるルアー接続が利用されることが多い。これは円錐形の連結部であり、その円錐状の面が6パーセントの勾配を有している。一般的に、このような連結部のコネクタはプラスチックから射出成形によって製作される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
基本的には、このような連結部は医療技術において実績があるが、不都合な状況のもとではリークが生じることがある。第1に、ルアー円錐に関わる寸法誤差や形状誤差が、封止をする円錐外面(Kegelmantelflachen)の当接を難しくする場合がある。ルアー円錐の凹凸や損傷のある、たとえば掻き傷のある外面(Mantelflachen)が、リークのさらに別の要因となる可能性がある。さらに、プラスチックの粘弾性流動はルアー連結部の緩みにつながり、そのためにリークにつながることがあり、このことは、特に在庫期間が長期にわたる場合や、ルアー接続部が事前に接続された状態で器具が納入される場合に発生する。
【0004】
実際の現場では、コネクタを、接合力を高めて互いに接合することによって、ルアー連結部の密閉性を高めることがしばしば試みられている。その場合、特にルアー内部円錐を備える接続部の連結片の内部では、明らかに高い引張応力が生じる。その結果として生じる亀裂や破損は、しばしば連結部を使い物にならなくしてしまう。
【0005】
そこで本発明の課題は、液密な連結が改善されているコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載された構成要件を備えるコネクタによって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項、以下の説明、および図面から明らかとなる。
【0007】
本発明によるコネクタは、規格化されたルアー接続部またはルアーロック接続部との連結用コネクタであり、規格化されたルアー接続部またはルアーロック接続部の円錐状接続面に当接するように構成された円錐状の領域を有している。さらに円錐状の領域には、シール材が配置されている。したがって、本発明によるコネクタとの連結部では、円錐状の領域と円錐状の対応当接面とが当接し、このシール材が追加的に作用して封止する。このようなシール材により、シール材が相応に変形することによって、接続されるルアー接続部またはルアーロック接続部の当接面の寸法誤差や形状誤差ならびに損傷を補償することができる。
【0008】
弾性的に構成されているシール材は、良好な復帰挙動を有している。さらに、ルアー接続部またはルアーロック接続部(以下においては対応接続部品と呼ぶ)とコネクタが連結されると、連結部の予期せぬ緩みをシール材が防止する。さらに、小さな接合力を加えただけで、本発明によるコネクタと対応接続部品との密閉連結が成立する。したがって連結を外すのにも小さい力の印加しか必要なく、それに伴って、過剰な力の印加とそれにより引き起こされる亀裂ないし破損個所のせいで、コネクタないし対応接続部品が損傷するという危険性も明らかに減る。さらにコネクタと対応接続部品は、接合力が小さければ、連結時ないし連結解放時に相手に食い込みやすい傾向が明らかに減る。しかも、弾性的なシール材の良好な復帰挙動は、プラスチックの粘弾性流動を防止する。したがって、たとえば連結片をあとから回したり押したりすることによる連結部品の再接続は必要ない。円錐状の領域は、ルアー円錐に当接するように構成された、円錐台の外面(Mantelflache)として構成されているのが好ましい。この外面(Mantelflache)は、必ずしも連続する単一の面として構成されていなくてよく、たとえばシールリングとして構成されるシール材によって互いに分離またはセグメント化された、複数の面区域からなっていてもよい。
【0009】
1つの好ましい実施形態では、本発明によるコネクタは雌型コネクタである。雌型コネクタは、規格化された雄型コネクタとの連結を可能にするからである。特に、それによって雌型コネクタにおける高い応力を回避することができる。規格化された雄型ルアー接続部を挿入するために、高い力の印加が必要ないからである。
【0010】
上記に代わる好ましい実施形態では、本発明によるコネクタは、規格化された雌型ルアー接続部と連結するように構成された雄型コネクタである。
【0011】
さらにシール材は、円錐状の領域の円周全体に配置されたシールリングとして構成されているのが好ましい。特に、このようなシールリングは円錐状の領域の長軸に対して同軸に向いている。このようにして、コネクタと対応接続部品が当接する円錐状の領域の円周全体に沿って、高い封止作用を実現することができる。そのうえ、接続領域におけるコネクタの回転対称な構造は、対応接続部品とコネクタとの簡単な連結可能性を可能にする。
【0012】
1つの好ましい実施形態では、シール材は、円錐状の領域の軸方向の自由端に配置されている。このようなコネクタの軸方向の自由端は、コネクタと対応接続部品の円錐状の領域が十分に重なり合うと、ただちに対応接続部品の当接面と当接する。したがってこの実施形態により、信頼度の高い封止を容易に保証することができる。
【0013】
シール材は、エラストマー、好ましくはシリコンゴム、または熱可塑性エラストマーで形成されているのが好ましい。このような弾性的なシール材は低コストに製造することができ、そのうえ、良好な復帰挙動を有しているという利点がある。すなわち、本発明のコネクタとの連結が解放されると、シール材の輪郭はほぼ元の形状に復帰する。このようにして、対応接続部品を再度取り替える場合でも高い信頼度で、コネクタとの封止をする連結を行うことができる。
【0014】
本発明による接続部品では、シール材はテーパ状の領域に溶着して一体成形されているのが好ましい。このようにして、シール材はその他のコネクタと一個に、すなわち、一体的に構成される。それにより、シール材が滑ってずれたり、紛失したりすることが効果的に防止される。それに応じて本発明のコネクタの使用時に、シール材を適切に位置決めしたり、または他のコネクタとコネクタを連結する前にシール材をコネクタに取り付けたりする必要はない。
【0015】
1つの好ましい実施形態では、コネクタはシール材とともに2成分射出成形品として構成されている。このようにして、一方では、コネクタの円錐状の領域とシール材の溶着結合を、高いコストをかけずに具体化することができる。他方では、このようなコネクタはプラスチック射出成形法で低コストに製造可能である。
【0016】
さらにコネクタは、逆止弁を備える部品の一部であるのが好ましい。特に注入の用途の部品はしばしば逆止弁を備えている。このような逆止め弁を本発明による接続片に組み込むことは、著しい利点をもたらす。逆止弁と接続片が一体化された部品として存在していれば、この部品をいっそう低コストに生産し、簡単に組み立て、簡素化された取扱をすることができる。
【0017】
さらにコネクタは、射出成形品として構成された部品の一部であるのが好ましい。しかも医療技術、特に注入技術においては、多数の部品が射出成形によって製作されている。そのうえ、このような部品はしばしばルアー接続部またはルアーロック接続部を有している。このような部品が、本発明のコネクタと一緒に一体的な、すなわち、一個の部品として射出成型により製作されれば、生産工程およびこれに伴う製造コストも削減することができる。さらに、このような一体的な、すなわち一個の部品の取扱、組立、ないし保守整備も大幅に簡素化される。
【0018】
次に、図面に示されている実施例を参照しながら、本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】雄型ルアー接続部と連結する雌型コネクタとして構成された本発明のコネクタを示す縦断面図である。
【図2】雄型ルアー接続部と連結された図1のコネクタを示す縦断面図である。
【図3】雄型ルアーロック接続部と連結する雌型コネクタとして構成された本発明のさらに別のコネクタを示す縦断面図である。
【図4】雄型ルアーロック接続部と連結された図3のコネクタを示す縦断面図である。
【図5】雌型ルアーロック接続部と連結する雄型コネクタとして構成された本発明のさらに別のコネクタを示す縦断面図である。
【図6】雌型ルアーロック接続部と連結された図5のコネクタを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1と図2に示すコネクタ5は、雌型コネクタとして構成されている。ここでは、コネクタ5はその長軸10に関して実質的に円筒対称性を有している。さらにコネクタ5は、対応接続部品としての規格化されたルアー接続部15と連結するように構成されている。そのためにコネクタ5は、図示した実施例では規格化されたルアー接続部15のテーパ状の接続面25と連結する接続開口部20を形成する、円錐状の領域20を有している。円錐状の領域20は内側円錐20として構成されており、すなわち、コネクタ5の軸方向の自由端40の方向に開口部が広がっていく円錐台状の切欠き(kegel-stumpfartige Ausnehmung)として構成されている。円錐状の領域20の円錐状の面20は6パーセントの勾配を有しており、それにより、円錐状の領域20は、ルアー接続部15の円錐状接続面25と面状に当接することができる。
【0021】
コネクタ5の円錐状接続面20には、コネクタ5の軸方向の自由端40のところにシール材45が溶着結合されている。シール材45は、内側円錐と同軸に向くシールリング45として構成されている。シール材45は熱可塑性エラストマーでできており、それに対して、その他のコネクタ5は室温で硬化する熱可塑性プラスチックで製作されている。さらにシール材45とコネクタ5は一緒に2成分射出成形法で製作されている。シール部材45は、ルアー外側円錐(Luer-Ausenkegel)25に合わせた適切な適合化のために、シールビード50として構成され、内方に向かって突出するシール輪郭部を有しており、このシール輪郭部は、連結が解放されているとき、接続片5の円錐状の開口領域20へ少しだけ突き出している。このようにして、接続片5はルアー接続部15の外側円錐25と常に封止をするように接触する。
【0022】
図3と図4に示す本発明のコネクタ5’は同じく雌型コネクタ5’であり、ルアーロック接続部55’と連結するように構成されている。ここではコネクタ5’は、内側部分に関する限り、図1および図2に示すコネクタ5と同一の構成要件を有している。しかしこのコネクタは、ルアーロック接続部とロック可能に連結するように追加の構成要件をさらに有している。
【0023】
ロックをするために、ルアーロック接続部55’は周知のとおり、ルアー円錐25’と同軸に配置されてその円周全体を取り囲む雌ねじ60’を有している。ルアーロック接続部55’のこの雌ねじ60’とロックをするように、コネクタ5’は、ルアーロック接続部55’のねじ60’と係合する用途に定められた、ねじ係合用の2つの半径方向の舌部(Zungen)65’を備えている。これらの舌部65’は、規格化されたルアー接続部においてルアーロック接続部55’と連結する役目を果たすものと同様に構成されている。このように舌部65’は、実質的に直径上に配置されている。さらに舌部65’は接続部品5’の軸方向の自由端40’、すなわち、シール材45’が取り付けられた端部、に設けられている。舌部65’は、ここでは半径方向外方に向かって突き出している。したがって、円錐状の領域20’ないしシール材45’と、ルアーロック接続部55’のルアー外側円錐25’との間で十分に密閉された当接が達成されるまで、コネクタ5’をルアーロック接続部55’にねじ込むことができる。
【0024】
さらに別の本発明によるコネクタ5’’が図5と図6に示されている。これは雄型コネクタ5’’として、雌型ルアーロック接続部55’’と連結するように構成されている。コネクタ5’’は、ルアーロック接続部55’’へ接続する円錐状の領域20’’を有している。円錐状の領域20’’は外側円錐20’’として構成されており、すなわち、コネクタ5’’の軸方向の自由端40’’の方向で先細になる直径をもつ円錐台状の断面形状を有している。それにより、この外側円錐は規格化された雌型ルアーロック接続部55’’の内側円錐に適合するように構成されており、これに面状に当接することができる。コネクタ5’’の軸方向の自由端40’’には、円周に配置されたリングシール材45’’が構成されている。したがって、コネクタ5’’が雌型ルアーロック接続部55’’と軸方向に少し重なり合うだけで、封止をする当接のために十分である。リングシール材45’’は、軸方向端部40’’で外側円錐20’’の外面(Mantelflache)がシール材45’’の外面(Ausenflache)へと移行するように、コネクタ5’’の軸方向端部40’’に装着されている。そのために外側円錐20’’は、軸方向端部40’’のところに、軸方向端部40’’まで延び、シール材45’’の材料が中に装着された円周の切欠き(Ausnehmung)70’’を有している。シール材45’’は、円錐状の領域20’’の軸方向端部40’’における側面に沿って延びており、コネクタ5’’の内側シャフト75’’の端部領域へわずかに突入している。
【0025】
雌型ルアーロック接続部55’’とロックをするように、接続片5’’は、円錐状の領域20’’を円周で取り囲み、同軸に向いた雌ねじ60’’を有しており、雌型ルアーロック接続部55’’の対応する舌部65’’がこの雌ねじと係合することができる(図6参照)。このコネクタ5’’も、シール材45’’と一体的、すなわち、一個の部品として、2成分射出成形品として製作されている。
【符号の説明】
【0026】
5、5’、5’’ コネクタ
10、10’、10’’ コネクタの長軸
15 規格化されたルアー接続部のコネクタ
20、20’、20’’ コネクタの円錐状の領域
25、25’ 規格化されたルアー接続部の円錐状の接続面
25’’ 規格化されたルアーロック接続部の円錐状接続面
40、40’、40’’ コネクタの軸方向の自由端
45、45’、45’’ シール材
50、50’ シールビード
55’、55’’ 規格化されたルアーロック接続部のコネクタ
60’、60’’ 雌ねじ
65’、65’’ ねじ係合用舌部
70’’ 切欠き(Ausnehmung)
75’、75’’ コネクタの内側シャフト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
規格化されたルアー接続部(15)またはルアーロック接続部(55’、55’’)の円錐状接続面(25、25’、25’’)に当接するように構成された円錐状の領域(20、20’、20’’)を有し、規格化された前記ルアー接続部(15)または前記ルアーロック接続部(55’、55’’)と連結するコネクタ(5、5’、5’’)において、前記円錐状の領域(20、20’、20’’)にシール材(45、45’、45’’)が配置されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
雌型コネクタ(5、5’)として構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタ(5、5’)。
【請求項3】
雄型コネクタ(5’’)として構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタ(5’’)。
【請求項4】
前記シール材(45、45’、45’’)は、前記円錐状の領域(20、20’、20’’)の円周全体に配置されたシールリング(45、45’、45’’)として構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコネクタ(5、5’、5’’)。
【請求項5】
前記シール材(45、45’、45’’)は、前記円錐状の領域(20、20’、20’’)の軸方向の自由端(40、40’、40’’)に配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコネクタ(5、5’、5’’)。
【請求項6】
前記シール材(45、45’、45’’)は、エラストマー、特にシリコンゴム、または熱可塑性エラストマーで形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコネクタ(5、5’、5’’)。
【請求項7】
前記シール材(45、45’、45’’)は、前記円錐状の領域(20、20’、20’’)に溶着して配置されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のコネクタ(5、5’、5’’)。
【請求項8】
前記シール材(45、45’、45’’)とともに2成分射出成形品として構成されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のコネクタ(5、5’、5’’)。
【請求項9】
逆止弁を備える部品の一部であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のコネクタ(5、5’、5’’)。
【請求項10】
射出成形品として構成された部品の一部であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のコネクタ(5、5’、5’’)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−525596(P2011−525596A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513894(P2011−513894)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003505
【国際公開番号】WO2009/156025
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(510302272)
【氏名又は名称原語表記】LOGICA MEDIZINTECHNIK GMBH
【Fターム(参考)】