説明

視機能検査システム

【課題】 被検者用イス、自覚式検眼装置及び視標提示装置を適正な位置に配置させる手間を小さくし、検査の短時間化を図ることが可能な視機能検査システムを提供する。
【解決手段】 視機能検査システム1は、検眼用テーブル2に連結アーム36を介して連結された被検者用イス3と、検眼用テーブル2に支持アーム(第1アーム26及び第2アーム27)を介して接続された自覚式検眼装置4と、被検眼に向けて視標を提示する視標提示装置5とを含み、被検者用イス3の位置が決定されたとき、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5を略一直線上に配置させるように自覚式検眼装置4を移動させる支持アーム駆動部85と視標提示装置5を移動させる視標提示装置駆動部87とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検眼の視機能を検査するための視機能検査システムに関し、特に、被検者が腰掛けた状態で検査を実施するように構成された視機能検査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
視機能検査は、従来から、被検者が腰掛けた状態で行われるのが一般的である。そのために、視機能検査システムは、検眼用テーブル、被検者用イス及び各種の検眼装置を含んで構成されるのが通常である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
視機能検査に用いられる検眼装置としては、フォロプタ等の自覚式検眼装置、自覚式検眼用の視標(チャート)を提示する視標提示装置、オートレフラクトメータ等の他覚式検眼装置などが代表的である(一般に、所望の眼科装置が適宜用いられる)。他覚式検眼装置は、例えば検眼用テーブル上に直接に載置される。
【0004】
自覚式検眼装置は、例えば検眼用テーブル上に立設された支柱の上端に接続された検眼アーム等を介して設けられ、被検者用イスに座った状態の被検者の眼前に検眼ユニットを配置できるようになっている。また、視標提示装置は、例えば、検査室の床に直接に、又は、床に設置された載置台上に設けられる。
【0005】
視機能検査を実施するとき、検眼装置は所定の配置状態とされる必要がある。特に、自覚式検眼を行うときには、被検者(被検者用イス)、自覚式検眼装置及び視標提示装置が一直線上に配置される必要がある。しかし、被検者用イスは自由に移動可能であるのが通常であり、また、被検者の姿勢等も個人差があることから、検査の度毎に装置等を適正な位置に移動させねばならず、検査に手間や時間が掛かっていた。
【0006】
また、視機能検査が実施される眼鏡店や眼科医院等はスペースが限られていることが多いが、被検者用イスは上述のように自由に移動可能であるため、検査を行っていないときには被検者用イスを有効に収納してスペースを確保したいとの要望も少なくない。更に、検眼用テーブルの脇には検者用のイスが設けられるのが通常であるが、その収納についても同様の要望があった。
【0007】
【特許文献1】特開平11−104077号公報(明細書段落[0014]、[0015]、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、被検者用イス、自覚式検眼装置及び視標提示装置を適正な位置、すなわち一直線上に配置させるための手間を小さくするとともに、検査の短時間化を図ることが可能な視機能検査システムを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、検査時に使用されるイスを有効に収納でき、眼鏡店や眼科医院等の省スペース化を図ることが可能な視機能検査システムを提供することを他の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、移動可能な被検者用イスと、前記被検者用イスに腰掛けた被検者の被検眼に対して屈折力を付与する移動可能な自覚式検眼装置と、前記自覚式検眼装置に対して前記被検者用イスと反対側に配置され、前記被検眼に向けて視標を提示する視標提示装置とを含み、前記屈折力が付与された前記被検眼による前記視標の視認状態を応答させて前記被検眼の視機能を検査する視機能検査システムであって、前記自覚式検眼装置と前記被検者用イスと前記視標提示装置との3つのうちのいずれかの位置が変更されても、前記3つを略一直線上に配置させる配置手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の視機能検査システムであって、前記自覚式検眼装置を支持する検眼用テーブルと、前記被検者用イスに一端が接続された連結アームと、前記検眼用テーブルに固定して設けられ、前記連結アームを水平方向に回動可能に前記連結アームの他端を保持する連結機構と、を更に備え、前記被検者用イスは、前記連結機構により前記検眼用テーブルの天板の下の収納位置に移動可能とされる、ことを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の視機能検査システムであって、前記配置手段は、
前記被検者用イスの位置情報を取得するイス位置検出手段と、前記自覚式検眼装置を移動させる検眼装置移動手段と、前記視標提示装置を移動させる視標提示装置移動手段と、を備え、前記検眼装置移動手段は、前記取得された前記被検者用イスの位置情報に基づいて前記自覚式検眼装置を移動させ、かつ、前記視標提示装置移動手段は、前記取得された前記被検者用イスの位置情報に基づいて前記視標提示装置を移動させることにより、前記3つを略一直線上に配置させる、ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の視機能検査システムであって、前記配置手段は、前記自覚式検眼装置と前記被検者用イスと前記視標提示装置との3つのうちのいずれか2つの位置を結ぶ直線を求める直線算出手段と、前記求められた直線に対する前記3つのうちの残りの1つの位置のずれを算出するずれ算出手段と、を含み、前記残りの1つを前記算出されたずれに応じて移動させることにより、前記3つを略一直線上に配置させる、ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の視機能検査システムであって、検者が腰掛ける検者用イスと、前記検者用イスに一端が接続された検者用イス連結アームと、前記検眼用テーブルに固定して設けられ、前記検者用連結アームを水平方向に回動可能に前記検者用連結アームの他端を保持する検者用イス連結機構と、を更に備え、前記検者用イスは、前記検者用イス連結機構により前記検眼用テーブルの天板の下の収納位置に移動可能とされる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、被検眼に対して屈折力を付与する移動可能な自覚式検眼装置と、移動可能な被検者用イスと、被検眼に向けて視標を提示する視標提示装置とを含み、屈折力が付与された被検眼による視標の視認状態を応答させて被検眼の視機能を検査する視機能検査システムであって、自覚式検眼装置と被検者用イスと視標提示装置とを略一直線上に配置させる配置手段を備えているので、被検者用イス、自覚式検眼装置及び視標提示装置を適正な位置に配置させるための手間が小さくなるとともに、検査の短時間化を図ることができる。
【0016】
また、請求項2又は請求項5に記載の本発明によれば、被検者や検者が用いるイスを検眼用テーブルの天板の下に収納できるので、眼鏡店や眼科医院等の省スペース化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る視機能検査システムの好適な実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
本発明に係る視機能検査システムは、被検眼に対して屈折力を付与する自覚式検眼装置、被検者用イス、及び、自覚式検眼装置に対して被検者用イスと反対側に配置され、被検眼に向けて視標を提示する視標提示装置とを含んで構成され、自覚式検眼装置と被検者用イスと視標提示装置とを(ほぼ)一直線上に配置させるように作用する手段を備えている点を特徴としている。
【0019】
以下、そのような本発明の作用を実現する構成の一例として、第1〜3の実施形態を説明する。第1の実施形態では、被検者用イスの位置に合わせて自覚式検眼装置や視標提示装置を移動させる構成について説明する。また、第2の実施形態では、自覚式検眼装置の位置に合わせて被検者用イスや視標提示装置を移動させる構成について説明する。また、第3の実施形態では、視標提示装置の位置に合わせて自覚式検眼装置や被検者用イスを移動させる構成について説明する。
【0020】
〈第1の実施形態〉
まず、被検者用イスの位置に合わせて自覚式検眼装置や視標提示装置を移動させることにより、それらを一直線上に配置させるように作用する本発明に係る視機能検査システムの第1の実施形態について説明する。
【0021】
[システム構成]
図1〜図4は、本実施形態の視機能検査システムの外観構成の一例を表す。図1は被検者用イスが収納された状態(収納状態)のシステムの外観を表し、図2は被検者用イスが使用に供されるときの状態(使用状態)のシステムの外観を表している。図3は被検者用イスの構成を表す。図4はコントローラの外観を表している。また、図5は、本発明に係る視機能検査システムの制御系の構成の一例を表している。
【0022】
本実施形態の視機能検査システム1は、図1及び図2に示す検眼用テーブル2、被検者用イス3、自覚式検眼装置(フォロプタ)4、視標提示装置5及び載置台6と、図4に示すコントローラ7とを含んで構成される。これらは電気的に接続されている(詳細は制御系の説明で後述する)。被検者用イス3は、連結アーム36により検眼用テーブル2に連結されており、回転機構部35により水平方向に回動可能とされている。コントローラ7は、検眼用テーブル2上に設置されて検者(図示省略)により操作される。
【0023】
(検眼用テーブル)
図1及び図2に示す検眼用テーブル2は、第1支持部21と第2支持部22によって眼鏡店や眼科医院等(検査室と呼ぶ)の床の上に支持された状態で設置される。第1支持部21には、検眼用テーブル2を安定して支持するための、床上に水平方向に形成された足21a、21b、21cが設けられている。なお、足21cは、被検者(図示省略)が位置する方向に延長されている。更に、第1支持部21には、垂直上方に延びる立設部21Aが形成されている。
【0024】
第1支持部21の立設部21Aは、中空状の第2支持部22に挿入されている。第2支持部22は、検者の操作により上下方向に変位可能とされ、天板24の高さを調整できるようになっている。この操作は、検眼用テーブル2に設けられた図示しないスイッチやコントローラ7などから施される。なお、第1支持部21と第2支持部22とが水平方向に回転しないように、立設部21A及び第2支持部22の水平方向断面は多角形状とされている。
【0025】
第2支持部22の上端は、検査用の各種部材、筆記用具、コントローラ7等を収納する引き出し23aをスライド可能に支持する引き出し部23に固着されている。また、天板24は、引き出し部23の上部に設けられている。
【0026】
検眼用テーブル2の天板24の端部には、自覚式検眼装置4を支持する第1アーム26の下端を、水平方向に回動可能に保持するアーム保持部25が設けられている。アーム保持部25内には、第1アーム26の(特に手動による)回動を不能にする電磁ブレーキが設けられている。
【0027】
第1アーム26の上端には、ほぼ水平方向に延びる第2アーム27の一端が接続されている。第2アーム27の他端側には、自覚式検眼装置4が水平方向に回動可能に吊設されている。また、第2アーム27の他端には、自覚式検眼装置4の位置を変更するときに把持されるハンドル28が設けられ、このハンドル28の根元部分には、アーム保持部25内の電磁ブレーキのON/OFFを切り換えるためのスイッチ29が設けられている。
【0028】
それにより、自覚式検眼装置4は、第1アーム26及び第2アーム27とともに水平方向に回動可能とされ、その位置を変更できるようになっている。例えば、自覚式検眼装置4は、図1に示す状態では、検眼用テーブル2の図中奥側の位置(収納位置)に退避されており、図2に示す状態では、被検者用イス3側すなわち被検者側の位置(使用位置)に配置されている。なお、第1アーム26と第2アーム27は、自覚式検眼装置4を支持する支持アームを構成している。
【0029】
第2支持部22の側面には格納部20が設けられ、システム外部の電源から電力を受けて自覚式検眼装置4や上記の電磁ブレーキ等に対して電力を供給する電源回路、CPU等の演算制御回路などの電気回路などが格納されている。
【0030】
(被検者用イス)
図1〜3に示す被検者用イス3は、被検者が腰掛けて検査を行うためのイスである。この被検者用イス3には、被検者が着座する円形の着座部31が設けられている。この着座部31は、図3に示すように、クッション31Aと、このクッション31Aを取り付ける取付枠31Bとを有する。
【0031】
着座部31の取付枠31Bの中心位置には、棒状の支持脚33の上端が固着されている。この支持脚33は、被検者用イス3と検眼用テーブル2とを連結する連結アーム36の一端が固着された管状部材32の内部に挿通されて上下方向に摺動可能とされている。また、支持脚33の下端には、接地部34が取り付けられている。
【0032】
なお、図示は省略するが、支持脚33は、複数(例えば2本)の棒状部材が連結された構成からなり、その長さを変更できるようになっている。それにより、被検者の身長等に合わせて支持脚33の長さ、すなわち着座部31の高さを調整できるようになっている。
【0033】
着座部31の取付枠31Bの下面の中心位置と管状部材32の上端との間には、着座部31に対して上方に付勢力を付与するバネ部材37が配置されている。このバネ部材37は、支持脚33の周囲に巻回されるようにして設けられている。着座部31に被検者が腰掛けていないときには、接地部34は検査室の床から離れており、被検者が腰掛けたことに対応して、着座部31及び支持脚33が下方に移動して接地部34が検査室の床に接地して被検者の体重を支持するように作用する。
【0034】
連結アーム36の一端は、上述のように被検者用イス3の管状部材32に接続されている。また、その他端は、検眼用テーブル2の足21cに固着された取付部材21dに取り付けられた回転機構部35内に導かれている。
【0035】
回転機構部35は、図1や図2に示すように、垂直方向を軸方向とする円筒状に構成されている。連結アーム36は、上記の一端から他端に向かってL字型に屈曲された形状を有し、上記他端の部分は回転機構部35の上端から内部に嵌入されている。回転機構部35には、図示は省略するが、連結アーム36の上記の他端部分を水平方向にスムーズに回動させるためのベアリングなどが設けられている。
【0036】
このように、被検者用イス3は、図1に示す検眼用テーブル2の天板24の下の位置(収納位置)から、図2に示す検眼用テーブル2の脇の位置(使用位置)までスムーズに移動させることができ、また、使用位置から収納位置までスムーズに移動させることができるように構成されている。
【0037】
なお、回転機構部35は、本発明にいう「連結機構」を構成する。
【0038】
(自覚式検眼装置)
図1は、自覚式検眼装置4の前面側(被検者に対峙される側)の構成を表し、図2は、その背面側(視標提示装置5に対峙される側)の構成を表している。
【0039】
自覚式検眼装置4は、被検者の眼(被検眼)に屈折力を付与する各種レンズをそれぞれ内蔵した左右一対の検眼ユニット4L、4Rを有する。検眼ユニット4Lは、被検者の左眼(左被検眼)に対して屈折力を付与し、検眼ユニット4Rは、右眼(右被検眼)に対して屈折力を付与する。検眼ユニット4L、4Rにはそれぞれ検眼窓42L、42Rが形成され、コントローラ7からの指示を受けて各種レンズが検眼窓42L、42Rに選択的に配置される。左右被検眼は、視標提示装置5により提示されるチャートを検眼窓42L、42Rを通じて視認する。
【0040】
左右の検眼ユニット4L、4Rは、駆動機構部41により支持され、それぞれ独立に左右方向に駆動される。なお、自覚式検眼装置4は、この駆動機構部41の上部にて第2アーム27に水平方向に回動可能に接続されている。
【0041】
図1に示すように、自覚式検眼装置4の前面には、検眼時に被検者の額が当接される額当て43が設けられている。
【0042】
(視標提示装置)
視標提示装置5は、ランドルト環や風景チャートなどをスクリーン51に表示させる公知の構成を内蔵している。
【0043】
視標提示装置5は、スクリーン51と自覚式検眼装置4の検眼窓42L、42Rとが同等の高さとなるように載置台6の上に載置されている。載置台6は、基部61、立設部62及び天板63を有し、視標提示装置5は天板63上に設置される。視標提示装置5は、自覚式検眼装置4から所定距離を介した位置に配置される。視標提示装置5と自覚式検眼装置4との間の距離を検眼距離と呼ぶこととする。この検眼距離は、例えば、75センチメートル、3メートル、5メートルなどとされる。
【0044】
また、視標提示装置5は、スクリーン51に対して平行かつ水平な方向に移動可能とされている。そのための構成の一例としては、図示は省略するが、スクリーン51に対して平行に配置されるレール(レール部材)を載置台6の天板63上に設け、視標提示装置5がそのレールに沿って移動されるようにしてもよい。視標提示装置5は、例えば、モータ等の駆動装置により駆動されてレール上を移動する。また、スクリーン51に対して直交する方向のレール部材と駆動装置とを設けて視標提示装置5を移動させるようにすることも可能である。
【0045】
更に、モータ等の駆動装置により駆動されるターンテーブルを載置台6の天板63上に設けるとともに、そのターンテーブル上に視標提示装置5を設置することにより、スクリーン51の向きを変更できるように構成することができる。
【0046】
(コントローラ)
図4に示すコントローラ7は、視機能検査システム1の各部を操作するための操作パネル71と、各種情報を表示する表示パネル72とを有する。操作パネル71には、複数のキーやダイヤル等が設けられ、自覚式検眼装置4の検眼窓42L、42Rに配置させるレンズの選択操作、視標提示装置5のスクリーン51に表示させるチャートの選択操作、表示パネル72の表示内容に関する操作などに用いられる。
【0047】
〔制御系の構成〕
次に、図5に示すブロック図を参照して、視機能検査システム1の制御系の構成について説明する。
【0048】
本実施形態の視機能検査システム1は、制御部80、被検者検出部81、イス位置検出部82、情報記憶部83、移動量算出部84、支持アーム駆動部85、検眼装置回動部86、視標提示装置駆動部87及び視標提示装置回動部88を含んで構成されている。
【0049】
(制御部)
制御部80は、CPU等の演算制御装置を含んで構成され、所定のプログラムにしたがって視機能検査システム1の各部の制御を行う。制御部80は、例えば、検眼用テーブル2の格納部20やコントローラ7の内部に格納されている。
【0050】
(被検者検出部)
被検者検出部81は、被検者用イス3の着座部31に被検者が腰掛けたことを検出し、制御部80に対して検出信号を出力するように動作する。この被検者検出部81は、例えば、被検者用イス3の着座部31のクッション31Aや、接地部34の下面(接地部分)など、被検者が着座したときに圧力が掛かる位置に設けられた圧力センサ等により構成される。また、被検者が腰掛けたときの着座部31の変位(下降)を検出するセンサを用いてもよい。
【0051】
(イス位置検出部)
イス位置検出部82は、本発明の「イス位置検出手段」を構成し、被検者用イス3の現在位置を検出して、その位置を表す情報(位置情報)を取得するとともに、その位置情報を制御部80に出力するように動作する。
【0052】
イス位置検出部82は、例えば、回転機構部35による連結アーム36(及び被検者用イス3)の回転位置を検出するエンコーダなどを含んで構成される。その場合、イス位置検出部82は、例えば、回転機構部35による被検者用イス3の回動の半径と角度とに基づいて被検者用イス3の位置情報を取得する。
【0053】
ここで、被検者用イス3の回動半径は、回転機構部35による回動軸(垂直方向)と、被検者用イス3の支持脚33の中心軸(垂直方向)との間の水平距離により定義することができる。本実施形態の構成においてはこの回動半径は一定とされており、その値は例えば情報記憶部84等にあらかじめ記憶されている。また、被検者用イス3の回動角度は、回転機構部35による回動における所定の基準位置(角度0°)からの変位を上記エンコーダで検出することにより取得できる。
【0054】
なお、イス位置検出部82は、被検者検出部81からの検出信号を受けた制御部80により出力される検出要求信号に対応して上述の検出処理を実行する。それにより、イス位置検出部82は、図2に示す使用状態において被検者が被検者用イス3に腰掛けたときの、その被検者用イス3の位置を検出する。
【0055】
(情報記憶部)
情報記憶部83は、読取/書込が可能なメモリやハードディスクドライブ等を含んで構成される。情報記憶部83に対する情報の書込処理や読取処理は、制御部80が行う。情報記憶部83は、視標提示装置5の位置情報を保持するとともに、自覚式検眼装置4の位置情報を保持する。
【0056】
情報記憶部83に保持される位置情報は、特に図2に示す使用状態における位置を表す情報である。対象装置の位置が不変である場合や、使用状態における位置が常に同一である場合などには、この位置情報は、情報記憶部83にあらかじめ記憶される。
【0057】
また、使用状態における対象装置の位置が可変である場合には、当該装置の位置情報を取得して情報記憶部83に記憶させる。その場合、自覚式検眼装置4の位置情報は、例えば、第1アーム26の回動角度を検出するエンコーダ等を設け、検出された回動角度と、自覚式検眼装置4の回動半径(第1アーム26の回動軸と、第2アーム27に対する自覚式検眼装置4の取付位置との間の水平距離)とに基づいて取得できる。また、視標提示装置5の位置情報は、上述のレール上における視標提示装置5の位置を検出する位置センサ等によって取得できる。
【0058】
ここで、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5の位置情報は、例えば、同一の座標系における座標値によって表現される。なお、これらの位置情報を表現する座標系としては、検査室内に任意に設定された3次元空間座標系や平面座標系などを適用できる。例えば、また、本発明にいう「一直線上」、「直線」等の表現は、当該座標系における一直線上、直線等、あるいは3次元空間座標系における座標値を平面座標系に投影したときの一直線上、直線等を示す。
【0059】
以下、座標系の一例として、被検者側から視標提示装置5側を見たときの左右方向をx方向に設定し、被検者側から視標提示装置5に向かう方向をy方向に設定する。このx方向及びy方向は水平方向に設定する。
【0060】
(移動量算出部)
移動量算出部84は、被検者用イス3と自覚式検眼装置4と視標提示装置5とを一直線上に配置させるために必要な、自覚式検眼装置4や視標提示装置5の移動量を算出する処理を実行する。この移動量算出部84は、以下に説明するように、本発明の「直線算出手段」及び「ずれ算出手段」を構成している。
【0061】
移動量算出部84は、例えば次のような演算処理を行うことにより自覚式検眼装置4や視標提示装置5の移動量を算出する。まず、イス位置検出部82により取得された被検者用イス3の位置情報(x、y)のx座標xと、情報記憶部83に保持された視標提示装置5の位置情報(x、y)のx座標xとを比較し、それらの間に所定値以上の差がある場合などには、視標提示装置5のx座標を被検者用イス3に合わせるための視標提示装置5のx方向への移動量x−xを求める。それにより、被検者用イス3の正面にスクリーン51が配置されることとなる。
【0062】
次に、情報記憶部83に保持された自覚式検眼装置4の位置情報(x、y)について、そのx座標xを被検者用イス3に合わせるためのx方向への移動量x−xを求める。この移動量x−xは、被検者用イス3の位置と視標提示装置5の位置とを結ぶ直線(y軸に平行)に対する自覚式検眼装置4の位置のずれに相当する。以上により、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5を一直線上(y軸に平行な直線上)に配置させるための自覚式検眼装置4及び視標提示装置5の移動量が得られる。
【0063】
ここで、視標提示装置5のy座標yと自覚式検眼装置4のy座標yとの差が検眼距離Dと一致しない場合には、y−y′=Dとなる自覚式検眼装置4のy座標値y′を算出する。なお、y′−y=Dとなる視標提示装置5のy座標値y′を求めたり、y′−y′=Dとなる視標提示装置5のy座標値y′及び自覚式検眼装置4のy座標値y′とを求めてもよい。
【0064】
移動量算出処理の他の例として、x≠xであり、かつ、視標提示装置5のx方向への移動を行わない場合、移動量算出部84は、まず、視標提示装置5の位置情報(x、y)と自覚式検眼装置4の位置情報(x、y)とを参照して、y′−y=D(検眼距離)となる視標提示装置5のy座標値y′を求める。次に、被検者用イス3の位置情報(x、y)と視標提示装置5の変更された位置情報(x、y′)とに基づいて、これらの座標を結ぶ直線の式を求める(例えば、y=ax+bに各座標値を代入してa、bを求める)。続いて、この直線の式と、式y=yとの交点の座標(x′y)を求める。そして、自覚式検眼装置4の位置情報のx座標を当該交点に合わせるためのx方向への変位量x′−xを求める。以上により、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5を一直線上(y軸に斜交する直線上)に配置させるための自覚式検眼装置4及び視標提示装置5の移動量が得られる。
【0065】
なお、自覚式検眼装置4は、第1アーム26を中心とした円弧状の軌道を移動するので、算出されたx方向、y方向の移動量を回動角度θに変換する必要がある。この変換処理は、第1アーム26の回動軸と自覚式検眼装置4(の取付位置)との間の水平距離、すなわち回動半径r=一定であることから、xy座標系(x、y)と極座標系(r、θ)との間の変換公式x=rcosθ、y=sinθを用いて容易に行うことができる。当該変換処理は、移動量算出部84により実行される。
【0066】
また、第1アーム26を中心として回転させても自覚式検眼装置4が目的の位置に配置されないことがあるが、その場合、左右の検眼ユニット4L、4Rを駆動機構部41によって移動させることにより目的の配置状態が達成される。このときの検眼ユニット4l、4Rの移動量についても、上記変換公式等を用いて容易に算出できる。当該算出処理も移動量算出部84によってなされる。
【0067】
以上の処理では、被検者用イス3と視標提示装置5との間の関係を先に求め、その関係を用いて自覚式検眼装置4の移動量を求めているが、被検者用イス3と自覚式検眼装置4との間の関係を先に求めるとともに、その求めた関係を用いて視標提示装置5の移動量を求めるようにしてもよい。
【0068】
さて、前述したように、自覚式検眼装置4は、駆動機構部41の上部にて第2アーム27に対して水平方向に回動可能に接続されているが、移動量算出部84は、自覚式検眼装置4のこの回動量の算出も実行するようになっている。なお、この算出処理は、被検者用イス3に着座した被検者に対して自覚式検眼装置4の前面を正対させるために行うものである。
【0069】
第2アーム27に対する自覚式検眼装置4の回動角度αの基準位置(α=0)を、自覚式検眼装置4の前面が第2アーム27の長手方向と平行になる位置とする。図6は、この回動角度α=0のときの自覚式検眼装置4及び第2アーム27の上面図である。符号27aは、第2アーム27及び自覚式検眼装置4の第1アーム26周りの回動軸を示し、符号27bは、第2アーム27に対する自覚式検眼装置4の回動軸を示す。
【0070】
図6(A)に示すように、第2アーム27がx方向と平行であるとき、自覚式検眼装置4の前面は被検者に正対配置となる。また、図6(B)、(C)に示すように、第2アーム27がx方向と平行ではないとき、自覚式検眼装置4の前面は被検者に対して正対配置とならない。その場合、被検者は、首や体をねじるなどした不自然な姿勢で検査を行わねばならない。なお、図6中において、被検者用イス3は下方に位置し、視標提示装置5は上方に位置する。
【0071】
そこで、移動量算出部84は、前面が被検者に正対されるための自覚式検眼装置4の回動角度αを算出する。被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5がy軸に平行な直線上に配置される場合について具体的に説明すると、図6(A)のように第2アーム27がx方向と平行である場合には、前面が既に被検者に正対配置されているので、自覚式検眼装置4を回動させることはなくα=0となる(図7(A)参照)。
【0072】
一方、図6(B)のように第2アーム27がx方向と平行となる位置を越えて回動されている場合には、図7(B)に示すように前面を被検者に正対配置させるために、自覚式検眼装置4を同図中反時計回りに回動させる必要がある。また、図6(C)のように第2アーム27がx方向と平行となる位置まで回動されない場合には、自覚式検眼装置4を図7(C)に示すように時計回りに回動させて、前面を被検者に正対配置させる必要がある。
【0073】
これらの場合、移動量算出部84は、第2アーム27の回動角度に基づいて、第2アーム27の長手方向がx方向に対してなす角度を算出し、その角度の符号(±)を変えた値を自覚式検眼装置4の回動角度αとして求める。
【0074】
なお、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5がy軸に斜交する直線上に配置される場合についても、その斜交角度を考慮して、同様に回動角度αを求めることができる。
【0075】
前述したように、視標提示装置5についても、ターンテーブル等によって水平方向に回動される。移動量算出部84は、スクリーン51をy軸に直交させるように視標提示装置5を回動させるための回動角度βを算出する。この回動角度βは、自覚式検眼装置4の回動角度αと同様にして算出される。また、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5がy軸に斜交する直線上に配置される場合についても、その斜交角度を考慮して回動角度βを求めることができる。
【0076】
なお、以上の説明では、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5を水平方向に移動(回動を含む)させるときの移動量について説明したが、それらを上下方向(z方向)に移動させるときの移動量についても同様の演算で求めることができる。なお、自覚式検眼装置4は、検眼用テーブル22とともに上下に移動され、視標提示装置5は、図示しない上下駆動装置によって上下に移動される。
【0077】
(支持アーム駆動部)
支持アーム駆動部85は、本発明の「検眼装置移動手段」を構成する。支持アーム駆動部85は、第1アーム26を回動させることにより、第2アーム27及び自覚式検眼装置4を円弧上の軌道に沿って回動させる。支持アーム駆動部85は、例えば、検眼用テーブル2の内部に設けられたステッピングモータ等を含んで構成される。
【0078】
(検眼装置回動部)
検眼装置回動部86は、例えば、自覚式検眼装置4の駆動機構部41内に設けられたステッピングモータ等を含んで構成され、自覚式検眼装置4を第2アーム27に対して回動させるように作用する。
【0079】
(視標提示装置駆動部)
視標提示装置駆動部87は、視標提示装置5を前述のレールに沿って移動させるステッピングモータ等の駆動装置を含んで構成される。また、前述のレールと視標提示装置駆動部87とは、本発明の「視標提示装置移動手段」を構成している。
【0080】
(視標提示装置回動部)
視標提示装置回動部88は、視標提示装置5を水平方向に回動させる構成を備え、例えば前述のターンテーブル等を含んで構成される。
【0081】
なお、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5を略一直線上に配置させる本発明の「配置手段」は、イス位置検出部82、(移動量算出部84、)支持アーム駆動部85、前述のレール及び視標提示装置駆動部87を含んで構成される。
【0082】
[処理手順]
以上のような構成を備えた視機能検査システム1の処理手順を、検査の流れに沿って説明する。図8に示すフローチャートは、視機能検査システム1による検査の流れの一例を表している。
【0083】
検査開始前は、視機能検査システム1は図1に示す収納状態とされている(S0)。被検者等は、被検者用イス3を収納位置から適当な位置まで手で移動させる(S1)。この適当な位置は、被検者の体格や姿勢などによって異なる。
【0084】
被検者用イス3に被検者が着座すると(S2)、被検者検出部81から検出信号が出力される(S3)。制御部80は、この検出信号を受けると、イス位置検出部82に対して検出処理を要求する。イス位置検出部82は、この要求を受けて、被検者用イス3の位置情報を取得する(S4)。取得された位置情報は、制御部80に送られ、例えば情報記憶部83に記憶される。なお、これらの処理は、被検者に対する問診などと並行して実行される。
【0085】
問診等が終了すると、検者は、第2アーム27の先端部のスイッチ29を操作して上述の電磁ブレーキを解除し、ハンドル28を持って自覚式検眼装置4を図1の収納状態から図2の使用状態の位置まで移動させるとともに、スイッチ29を再度操作して電磁ブレーキを作用させて自覚式検眼装置4を手動では移動できない状態にする(S5)。なお、この段階では、自覚式検眼装置4を大まかな使用位置まで移動させるだけで十分である。
【0086】
制御部80は、スイッチ29の操作(S5)やコントローラ7の操作などによる所定の検査開始要求を受けると、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5の位置情報をエンコーダ等により取得して情報記憶部83に記憶させる(S6)。
【0087】
移動量算出部84は、ステップS4で取得された被検者用イス3の位置情報と、ステップS5で取得された自覚式検眼装置4及び視標提示装置5の位置情報とに基づいて、自覚式検眼装置4の円弧状の軌跡に沿った移動量と、第2アーム27に対する自覚式検眼装置4の回動角度と、視標提示装置5のレールに沿った移動量(移動距離)と、視標提示装置5の回動角度とを算出する(S7)。
【0088】
制御部80は、移動量算出部84による各算出結果をパルス信号等の電気信号に変換するとともに、自覚式検眼装置4の円弧状の軌跡に沿った移動量に対応する電気信号を支持アーム駆動部85に送信し、第2アーム27に対する自覚式検眼装置4の回動角度に対応する電気信号を検眼装置回動部86に送信し、視標提示装置5のレールに沿った移動量に対応する電気信号を視標提示装置駆動部87に送信し、視標提示装置5の回動角度に対応する電気信号を視標提示装置回動部88に送信する(S8)。
【0089】
支持アーム駆動部85は、自覚式検眼装置4の円弧状の軌跡に沿った移動量に対応する電気信号を受けて、当該移動量に応じた角度だけ第1アーム26を回動させることにより、自覚式検眼装置4を移動させる(S9)。
【0090】
検眼装置回動部86は、第2アーム27に対する自覚式検眼装置4の回動角度に対応する電気信号を受けて、当該回動角度だけ自覚式検眼装置4を回転させて、その前面を被検者に正対させる(S10)。
【0091】
視標提示装置駆動部87は、視標提示装置5のレールに沿った移動量に対応する電気信号を受けて、当該移動距離だけ視標提示装置5をレールに沿って移動させる(S11)。
【0092】
視標提示装置回動部88は、視標提示装置5の回動角度に対応する電気信号を受けて、当該回動角度だけ視標提示装置5を回転させて、スクリーン51を被検者に正対させる(S12)。
【0093】
以上の処理により、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5は、一直線上に配置されるとともに、自覚式検眼装置4の前面が被検者に正対するように配置され、視標提示装置5のスクリーン51も被検者に対して正対配置される。
【0094】
自覚式検眼装置4及び視標提示装置5の移動が完了したら、検査を開始する(S13)。
【0095】
[効果]
以上のように、本実施形態の視機能検査システム1は、被検者が着座したときの被検者用イス3の位置を検出し、その検出結果に基づいて自覚式検眼装置4や視標提示装置5を移動させて、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5を自動的に一直線上に配置させるように作用するので、検査における適正位置にそれらを配置させる手間が小さくなる。また、検査の準備時間が短縮されるので、検査の短時間化を図ることができる。
【0096】
また、本実施形態の視機能検査システム1によれば、被検者イス3を使用しないときに、検眼用テーブル2の天板24の下の位置に収納できるので、眼鏡店や眼科医院等の省スペース化を図ることができる。
【0097】
〈第2の実施形態〉
続いて、本発明に係る視機能検査システムの第2の実施形態について説明する。本実施形態の視機能検査システムは、自覚式検眼装置の位置に合わせて被検者用イスや視標提示装置を移動させるように構成されている。
【0098】
図9は、本実施形態の視機能検査システム100の制御系の構成の一例を表している。視機能検査システム100は、第1の実施形態の視機能検査システム1と同様の外観構成を備えている。以下、第1の実施形態における図面を参照する。
【0099】
視機能検査システム100は、制御部110、検眼装置位置検出部111、情報記憶部112、移動量算出部113、連結アーム駆動部114、視標提示装置駆動部115及び視標提示装置回動部116を含んで構成される。
【0100】
制御部110、情報記憶部112、視標提示装置駆動部115及び視標提示装置回動部116は、それぞれ、第1の実施形態における制御部80、情報記憶部83、視標提示装置駆動部87及び視標提示装置回動部88と同様の構成を有する。
【0101】
なお、情報記憶部112は、視標提示装置5の位置情報を保持するとともに、被検者用イス3の位置情報を保持する。これら位置情報の取得方法は、第1の実施形態に準ずる。
【0102】
(検出装置位置検出部)
検眼装置位置検出部111は、自覚式検眼装置4の現在位置を検出して、その位置を表す位置情報を取得するとともに、その位置情報を制御部110に出力するように動作する。
【0103】
この検眼装置位置検出部111は、例えば、アーム保持部25による第1アーム36(及び第2アーム27並びに自覚式検眼装置4)の回転位置を検出するエンコーダなどを含んで構成される。その場合、検眼装置位置検出部111は、例えば、アーム保持部25による自覚式検眼装置4の回動半径と回動角度とに基づいて自覚式検眼装置4の位置情報を取得する。
【0104】
ここで、自覚式検眼装置4の回動半径は、図6に示した回動軸27aと回動軸27bとの間の水平距離により定義される。本実施形態の構成においてはこの回動半径は一定とされており、その値は例えば情報記憶部112等にあらかじめ記憶されている。また、自覚式検眼装置4の回動角度は、アーム保持部25による回動における所定の基準位置(角度0°)からの変位を上記エンコーダで検出することにより取得できる。
【0105】
なお、検眼装置位置検出部111は、所定の検出開始要求に対応して自覚式検眼装置4の位置情報を取得する。当該検出開始要求は、例えば、自覚式検眼装置4を(大まかな)使用位置に移動させてからその位置を固定するためのスイッチ29の操作や、コントローラ7の操作などによってなされる。それにより、検眼装置位置検出部111は、図2に示す使用状態に自覚式検眼装置4が移動されたときの位置情報を検出する。
【0106】
(移動量算出部)
移動量算出部113は、被検者用イス3と自覚式検眼装置4と視標提示装置5とを一直線上に配置させるために必要な、被検者用イス3や視標提示装置5の移動量を算出する処理を実行する。この移動量算出部113は、本発明の「直線算出手段」及び「ずれ算出手段」を構成している。
【0107】
移動量算出部113による算出処理の一例として、第1の実施形態の移動量算出部84と同様に、まず、検眼装置位置検出部111により取得された自覚式検眼装置4の位置情報(x10、y10)のx座標x10と、情報記憶部112に保持された被検者用イス3の位置情報(x20、y20)のx座標x20とを比較し、それらの間に所定値以上の差がある場合などには、自覚式検眼装置4のx座標を被検者用イス3に合わせる(あるいは、被検者用イス3のx座標を自覚式検眼装置4に合わせる)ための自覚式検眼装置4のx方向への移動量x20−x10(あるいはx10−x20)を求める。それにより、被検者用イス3の正面に自覚式検眼装置4が配置されることとなる。
【0108】
次に、情報記憶部112に保持された視標提示装置5の位置情報(x30、y30)について、そのx座標x30を被検者用イス3に合わせるためのx方向への移動量x20−x30を求める。以上により、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5を一直線上(y軸に平行な直線上)に配置させるための自覚式検眼装置4及び視標提示装置5の移動量が得られる。
【0109】
ここで、自覚式検眼装置4のy座標y10と視標提示装置5のy座標y30との差が検眼距離Dと一致しない場合には、第1の実施形態と同様にして、自覚式検眼装置4及び/又は視標提示装置5のy座標を変更する。
【0110】
(連結アーム駆動部)
連結アーム駆動部114は、回転機構部35側の端部を中心に連結アーム36を水平方向に回動させて、連結アーム36及び被検者用イス3を円弧上の軌道に沿って回動させる。連結アーム駆動部114は、例えば、回動機構部35の内部に設けられたステッピングモータ等を含んで構成される。
【0111】
なお、本発明にいう「配置手段」は、移動量算出部113を含んで構成される。
【0112】
[処理手順]
以上のような構成を備えた視機能検査システム100の処理手順を、検査の流れに沿って説明する。図10に示すフローチャートは、視機能検査システム100による検査の流れの一例を表している。
【0113】
検査開始前は、視機能検査システム100は図1の収納状態とされている(S20)。検者は、自覚式検眼装置4を収納位置から適当な位置まで手で移動させる(S21)。
【0114】
所定の検出開始要求を受けた検眼装置位置検出部111は、自覚式検眼装置4の位置情報を取得する(S22)。取得された位置情報は、制御部110に送られ、例えば情報記憶部112に記憶される。
【0115】
制御部110は、被検者用イス3及び視標提示装置5の位置情報をエンコーダ等により取得して情報記憶部112に記憶させる(S23)。このとき、被検者用イス3は、図2のような収納状態であっても、図1のような使用状態であってもよい。
【0116】
移動量算出部113は、ステップS22で取得された自覚式検眼装置4の位置情報と、ステップS23で取得された被検者用イス3及び視標提示装置5の位置情報とに基づいて、被検者用イス3の円弧状の軌跡に沿った移動量と、視標提示装置5のレールに沿った移動量(移動距離)と、視標提示装置5の回動角度とを算出する(S24)。
【0117】
制御部110は、移動量算出部113による各算出結果をパルス信号等の電気信号に変換するとともに、被検者用イス3の円弧状の軌跡に沿った移動量に対応する電気信号を連結アーム駆動部114に送信し、視標提示装置5のレールに沿った移動量に対応する電気信号を視標提示装置駆動部115に送信し、視標提示装置5の回動角度に対応する電気信号を視標提示装置回動部116に送信する(S25)。
【0118】
連結アーム駆動部114は、被検者用イス3の円弧状の軌跡に沿った移動量に対応する電気信号を受けて、当該移動量に応じた角度だけ連結アーム36を回動させることにより、被検者用イス3を移動させる(S26)。
【0119】
視標提示装置駆動部115は、視標提示装置5のレールに沿った移動量に対応する電気信号を受けて、当該移動距離だけ視標提示装置5をレールに沿って移動させる(S27)。
【0120】
視標提示装置回動部116は、視標提示装置5の回動角度に対応する電気信号を受けて、当該回動角度だけ視標提示装置5を回転させて、スクリーン51を被検者に正対させる(S28)。
【0121】
以上の処理により、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5は、一直線上に配置されるとともに、視標提示装置5のスクリーン51も被検者に対して正対配置される。なお、第1の実施形態と同様にして、自覚式検眼装置4の前面を被検者に正対させる処理を行うこともできる。
【0122】
被検者用イス3及び視標提示装置5の移動が完了したら、被検者用イス3に被検者を着座させて検査を開始する(S29)。
【0123】
[効果]
以上のように、本実施形態の視機能検査システム100は、使用位置まで移動された自覚式検眼装置4の位置を検出し、その検出結果に基づいて被検者用イス3や視標提示装置5を移動させて、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5を自動的に一直線上に配置させるように作用するので、検査における適正位置にそれらを配置させる手間が小さくなる。また、検査の準備時間が短縮されるので、検査の短時間化を図ることができる。
【0124】
〈第3の実施形態〉
本発明に係る視機能検査システムの第3の実施形態について説明する。本実施形態の視機能検査システムは、視標提示装置の位置に合わせて被検者用イスや自覚式検眼装置を移動させるように構成されている。
【0125】
図11は、本実施形態の視機能検査システム200の制御系の構成の一例を表している。視機能検査システム200は、第1、2の実施形態と同様の外観構成を備えている。以下、第1の実施形態における図面を参照する。
【0126】
視機能検査システム200は、第1の実施形態の制御部80と同様の制御部210と、視標提示装置位置検出部211と、第1の実施形態の情報記憶部83と同様の情報記憶部212と、第1の実施形態の移動量算出部84と同様の移動量算出部213と、第1の実施形態の支持アーム駆動部85と同様の支持アーム駆動部214と、第1の実施形態の検眼装置回動部86と同様の検眼装置回動部215と、第2の実施形態の連結アーム駆動部114と同様の連結アーム駆動部216を含んで構成される。
【0127】
なお、情報記憶部112は、第1の実施形態に準ずる方法で取得された被検者用イス3及び自覚式検眼装置4の位置情報を保持する。また、本発明にいう「配置手段」は、移動量算出部213を含んで構成される。
【0128】
(視標提示装置位置検出部)
視標提示装置位置検出部211は、視標提示装置5の現在位置を検出して、その位置を表す位置情報を取得するとともに、その位置情報を制御部210に出力するように動作する。
【0129】
この視標提示装置位置検出部211は、例えば、前述のレール上における視標提示装置5の位置を検出する位置センサ等を含んで構成される。また、視標提示装置5の水平方向の回動角度を検出するエンコーダ等を有していてもよい。
【0130】
視標提示装置位置検出部211は、所定の検出開始要求に対応して視標提示装置5の位置情報を取得する。当該検出開始要求は、例えばコントローラ7の操作などによってなされる。
【0131】
(移動量算出部)
移動量算出部213は、被検者用イス3と自覚式検眼装置4と視標提示装置5とを一直線上に配置させるために必要な、被検者用イス3や自覚式検眼装置4の移動量を算出する処理を実行する。この移動量算出部213は、本発明の「直線算出手段」及び「ずれ算出手段」を構成している。
【0132】
移動量算出部213による算出処理の一例として、第1の実施形態の移動量算出部84と同様に、まず、視標提示装置位置検出部211により取得された視標提示装置5の位置情報(x100、y100)のx座標x100と、情報記憶部212に保持された被検者用イス3の位置情報(x110、y110)のx座標x110とを比較し、それらの間に所定値以上の差がある場合などには、視標提示装置5のx座標を被検者用イス3に合わせる(あるいは、被検者用イス3のx座標を視標提示装置5に合わせる)ための自覚式検眼装置4のx方向への移動量x110−x100(あるいはx100−x110)を求める。それにより、被検者用イス3の正面に視標提示装置5が配置されることとなる。
【0133】
次に、情報記憶部212に保持された自覚式検眼装置4の位置情報(x120、y120)について、そのx座標x120を被検者用イス3に合わせるためのx方向への移動量x110−x120を求める。以上により、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5を一直線上(y軸に平行な直線上)に配置させるための被検者用イス3及び自覚式検眼装置4の移動量が得られる。
【0134】
ここで、自覚式検眼装置4のy座標y120と視標提示装置5のy座標y100との差が検眼距離Dと一致しない場合には、第1の実施形態と同様にして、自覚式検眼装置4及び/又は視標提示装置5のy座標を変更する。
【0135】
[処理手順]
以上のような構成を備えた視機能検査システム200の処理手順を、検査の流れに沿って説明する。図12に示すフローチャートは、視機能検査システム200による検査の流れの一例を表している。
【0136】
検査開始前は、視機能検査システム200は図1の収納状態とされている(S30)。検者は、必要に応じて、視標提示装置5を適当な位置まで移動させる(S31)。視標提示装置5の移動は、例えばコントローラ7を操作して行う。
【0137】
所定の検出開始要求を受けた視標提示装置位置検出部211は、視標提示装置5の位置情報を取得する(S32)。取得された位置情報は、制御部210に送られ、例えば情報記憶部212に記憶される。
【0138】
制御部210は、被検者用イス3及び自覚式検眼装置4の位置情報をエンコーダ等により取得して情報記憶部212に記憶させる(S33)。このとき、被検者用イス3や自覚式検眼装置4は、図2のような収納状態であってもよいし、図1のような使用状態であってもよい。
【0139】
移動量算出部213は、ステップS32で取得された視標提示装置5の位置情報と、ステップS33で取得された被検者用イス3及び自覚式検眼装置4の位置情報とに基づいて、被検者用イス3の円弧状の軌跡に沿った移動量と、自覚式検眼装置4の円弧状の軌跡に沿った移動量と、第2アーム27に対する自覚式検眼装置4の回動角度とを算出する(S34)。
【0140】
制御部210は、移動量算出部213による各算出結果をパルス信号等の電気信号に変換するとともに、被検者用イス3の円弧状の軌跡に沿った移動量に対応する電気信号を連結アーム駆動部216に送信し、自覚式検眼装置4の円弧状の軌跡に沿った移動量に対応する電気信号を支持アーム駆動部214に送信し、第2アーム27に対する自覚式検眼装置4の回動角度に対応する電気信号を検眼装置回動部215に送信する(S35)。
【0141】
連結アーム駆動部216は、被検者用イス3の円弧状の軌跡に沿った移動量に対応する電気信号を受けて、当該移動量に応じた角度だけ連結アーム36を回動させることにより、被検者用イス3を移動させる(S36)。
【0142】
支持アーム駆動部214は、自覚式検眼装置4の円弧状の軌跡に沿った移動量に対応する電気信号を受けて、当該移動量に応じた角度だけ第1アーム26を回動させることにより、自覚式検眼装置4を移動させる(S37)。
【0143】
検眼装置回動部215は、第2アーム27に対する自覚式検眼装置4の回動角度に対応する電気信号を受けて、当該回動角度だけ自覚式検眼装置4を回転させて、その前面を被検者に正対させる(S38)。
【0144】
以上の処理により、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5は、一直線上に配置されるとともに、自覚式検眼装置4の前面及び視標提示装置5のスクリーン51が被検者に対して正対配置される。
【0145】
被検者用イス3及び自覚式検眼装置4の移動が完了したら、被検者用イス3に被検者を着座させて検査を開始する(S39)。
【0146】
[効果]
以上のように、本実施形態の視機能検査システム200は、視標提示装置5の位置を検出し、その検出結果に基づいて被検者用イス3や自覚式検眼装置4を移動させて、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5を自動的に一直線上に配置させるように作用するので、検査における適正位置にそれらを配置させる手間が小さくなる。また、検査の準備時間が短縮されるので、検査の短時間化を図ることができる。
【0147】
〈変形例〉
以上に詳述した構成は、本発明に係る視機能検査システムを実施するための一例に過ぎないものである。したがって、本発明の要旨の範囲内において各種の変形を施すことができる。
【0148】
例えば、被検者用イス3の位置の決定後、すなわち、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5が一直線上に配置された後に、被検者用イス3を当該直線の方向(上述のy方向や、y方向に斜交する方向)に移動できるようにするイス直線移動手段を更に設けることができる。このイス直線移動手段としては、着座部31を支持脚33に対して直線的に移動させるスライダ機構を用いることができる。このとき、被検者用イス3の位置の決定後におけるコントローラ7などに対する所定の操作に対応して、着座部31をスライド可能な状態にできるような構成が望ましい。それにより、被検者の姿勢等を考慮して位置決定後に被検者用イス3を前後に移動させたい場合に対応することができる。また、着座部31のスライド方向を上記直線の方向に一致させるような構成とすることが望ましい。
【0149】
また、被検者用イス3を検眼用テーブル2に連結する連結アーム36を伸縮可能な構成としたり、屈折可能な構成とするなどして、被検者用イス3の回動半径を変更できるようにしてもよい。具体的には、複数のアームが連接されてなる連結アーム36を適用してその長さを変更可能としたり折り曲げ可能とすることができる。それにより、被検者の体躯が非常に大きい場合などにも対応できる。
【0150】
また、検査時に検者が着座するイス(検者用イス)についても、検査室の省スペース化を考慮して、回転機構部35と同様の検者用イス連結機構と、連結アーム36と同様の検者用イス連結アームとによって検眼用テーブル2に連結するとともに、検者用イスを検眼用テーブル2の天板24の下に収納可能に構成することができる。その場合、収納時における被検者用イス3の着座部31の高さと検者用イスの着座部の高さとを違えるように構成して、互いの着座部が上下に重なる状態で収納されることが望ましい。それにより、検眼用テーブル2のサイズが小さい場合であっても、2つのイスを好適に収納することができる。
【0151】
また、例えば通常のキャスタ付きのイスなど、上記実施形態とは異なる形態の被検者用イスを用いる場合、次のようなイス位置検出手段を採用することが可能である。まず、被検者用イスが移動される領域にカーペット等のマットを敷き、そのカーペットの下などに圧力センサを設ける。圧力センサは、例えば複数設けられ、どの位置の圧力センサが検出信号を出力したか判別可能とされている。被検者用イスが移動されると、キャスタの圧力を検出した圧力センサが検出信号をコンピュータ等に出力する。通常、キャスタは複数設けられている。コンピュータ等は、検出信号を出力した複数の圧力センサの位置関係を求めるとともに、その複数の位置の例えば重心位置を被検者用イスの位置とする。
【0152】
また、検眼用テーブルに連結された被検者用イスに1つ又は複数のキャスタを設けてもよい。それにより、例えば、一旦位置が決定された被検者用イスの位置を調整することができる。更に、このキャスタを常に接地させるように構成してもよいし、図1、2のように使用時には接地し収納時には接地しないような構成としてもよい。また、このキャスタを常に接地させる場合において、図3のようなバネ部材や油圧機構などを設けて、被検者が着座したときに着座部が沈むように構成することも可能である。
【0153】
以上のようなキャスタ付きの被検者用イスを用いる場合、キャスタによる移動を適宜禁止するストッパを設けてもよい。ストッパは、手動でON/OFFを切り換える構成でもよいし、コントローラ等を操作して電気的に切り換えを行う構成としてもよい。
【0154】
また、背もたれのある被検者用イスを使用する場合には、被検者検出部を背もたれに設けることができる。この被検者検出部は、被検者が着座したことを検出可能な任意の位置に配置することができる。
【0155】
また、図1、2に示す被検者用イス3を検眼用テーブル2に連結する連結アーム36は、その水平部分が直線的に構成されているが、被検者用イス3を天板24の下に収納するときに第1支持部21や第2支持部22の側面に接触・衝突しないように、屈曲形状の連結アームを採用してもよい。
【0156】
被検者用イスに関する以上のような変形は、検者用イスに対しても適用することが可能である。
【0157】
また、上記各実施形態の「位置情報」は、あらかじめ設定された座標系における座標値として形成されているが、それに限定されるものではない。例えば、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5のいずれかを基準(つまり原点)として設定される座標系における座標値などを適用できる。そのとき、基準となるイスや装置が移動する場合には、その移動に伴って原点が移動される。また、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5のうち、固定して配置されるものがある場合には、その固定配置されるイスや装置を基準とする座標系を設定することができる。このように、「位置情報」は、被検者用イス3、自覚式検眼装置4及び視標提示装置5の相対的な位置関係を表現できるものであれば、その形態は不問である。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明に係る視機能検査システムの第1の実施形態の外観構成を表す概略斜視図である。
【図2】本発明に係る視機能検査システムの第1の実施形態の外観構成を表す概略斜視図である。
【図3】本発明に係る視機能検査システムの被検者用イスの外観構成を表す概略側面図である。
【図4】本発明に係る視機能検査システムのコントローラの外観構成を表す概略斜視図である。
【図5】本発明に係る視機能検査システムの第1の実施形態の制御系の構成を表すブロック図である。
【図6】本発明に係る視機能検査システムの第2アーム及び自覚式検眼装置の回動動作の状態を説明するための概略上面図である。図6(A)は、第2アームがx方向に対して平行に位置するときの状態を表す。図6(B)は、第2アームがx方向に対して平行な位置を越えて回動されたときの状態を表す。図6(C)は、第2アームがx方向に対して平行な位置まで回動されないときの状態を表す。
【図7】本発明に係る視機能検査システムの自覚式検眼装置の第2アームに対する回動動作の状態を説明するための概略上面図である。図7(A)は、第2アームがx方向に対して平行に位置するときの状態を表す。図7(B)は、第2アームがx方向に対して平行な位置を越えて回動されたときの状態を表す。図7(C)は、第2アームがx方向に対して平行な位置まで回動されないときの状態を表す。
【図8】本発明に係る視機能検査システムの第1の実施形態を用いた検査手順を表すフローチャートである。
【図9】本発明に係る視機能検査システムの第2の実施形態の制御系の構成を表すブロック図である。
【図10】本発明に係る視機能検査システムの第2の実施形態を用いた検査手順を表すフローチャートである。
【図11】本発明に係る視機能検査システムの第3の実施形態の制御系の構成を表すブロック図である。
【図12】本発明に係る視機能検査システムの第2の実施形態を用いた検査手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0159】
1、100、200 視機能検査システム
2 検眼用テーブル
21 第1支持部
21A 立設部
21a、21b、21c 足
21d 取付部材
22 第2支持部
23 引き出し部
23a 引き出し
24 天板
25 アーム保持部
26 第1アーム
27 第2アーム
27a、27b 回動軸
28 ハンドル
29 スイッチ
3 被検者用イス
31 着座部
31A クッション
31B 取付枠
32 管状部材
33 支持脚
34 接地部
35 回転機構部
36 連結アーム
37 バネ部材
4 自覚式検眼装置
4L、4R 検眼ユニット
41 駆動機構部
42L、42R 検眼窓
43 額当て
5 視標提示装置
51 スクリーン
6 載置台
61 基部
62 立設部
63 天板
7 コントローラ
71 操作パネル
72 表示パネル
80、110、210 制御部
81 被検者検出部
82 イス位置検出部
83、112、212 情報記憶部
84、113、213 移動量算出部
85、214 支持アーム駆動部
86、215 検眼装置回動部
87、115 視標提示装置駆動部
88、116 視標提示装置回動部
111 検眼装置位置検出部
114、216 連結アーム駆動部
211 視標提示装置位置検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な被検者用イスと、前記被検者用イスに腰掛けた被検者の被検眼に対して屈折力を付与する移動可能な自覚式検眼装置と、前記自覚式検眼装置に対して前記被検者用イスと反対側に配置され、前記被検眼に向けて視標を提示する視標提示装置とを含み、前記屈折力が付与された前記被検眼による前記視標の視認状態を応答させて前記被検眼の視機能を検査する視機能検査システムであって、
前記自覚式検眼装置と前記被検者用イスと前記視標提示装置との3つのうちのいずれかの位置が変更されても、前記3つを略一直線上に配置させる配置手段を備えていることを特徴とする視機能検査システム。
【請求項2】
前記自覚式検眼装置を支持する検眼用テーブルと、
前記被検者用イスに一端が接続された連結アームと、
前記検眼用テーブルに固定して設けられ、前記連結アームを水平方向に回動可能に前記連結アームの他端を保持する連結機構と、
を更に備え、
前記被検者用イスは、前記連結機構により前記検眼用テーブルの天板の下の収納位置に移動可能とされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の視機能検査システム。
【請求項3】
前記配置手段は、
前記被検者用イスの位置情報を取得するイス位置検出手段と、
前記自覚式検眼装置を移動させる検眼装置移動手段と、
前記視標提示装置を移動させる視標提示装置移動手段と、
を備え、
前記検眼装置移動手段は、前記取得された前記被検者用イスの位置情報に基づいて前記自覚式検眼装置を移動させ、かつ、前記視標提示装置移動手段は、前記取得された前記被検者用イスの位置情報に基づいて前記視標提示装置を移動させることにより、前記3つを略一直線上に配置させる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の視機能検査システム。
【請求項4】
前記配置手段は、
前記自覚式検眼装置と前記被検者用イスと前記視標提示装置との3つのうちのいずれか2つの位置を結ぶ直線を求める直線算出手段と、
前記求められた直線に対する前記3つのうちの残りの1つの位置のずれを算出するずれ算出手段と、
を含み、
前記残りの1つを前記算出されたずれに応じて移動させることにより、前記3つを略一直線上に配置させる、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の視機能検査システム。
【請求項5】
検者が腰掛ける検者用イスと、
前記検者用イスに一端が接続された検者用イス連結アームと、
前記検眼用テーブルに固定して設けられ、前記検者用連結アームを水平方向に回動可能に前記検者用連結アームの他端を保持する検者用イス連結機構と、
を更に備え、
前記検者用イスは、前記検者用イス連結機構により前記検眼用テーブルの天板の下の収納位置に移動可能とされる、
ことを特徴とする請求項2に記載の視機能検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−110191(P2006−110191A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−302124(P2004−302124)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)