説明

覗き窓

【課題】より少ない部品点数で覗き窓を構成し、しかも縦横寸法が大小に異なる覗き窓において、窓板用の締結構造を共用できるようにして覗き窓の全体コストを削減する。
【解決手段】取付開口4の内外に配置される外枠体5および押え枠体6と、これら両者で挟み固定される窓板7および内パッキン8・9を含む。両枠体5・6は、外枠体5に装着される締結体12A・12B・12Cと、締結体12A・12B・12Cにねじ込まれる雌ねじ体13とで取付開口4の周縁壁に締結する。締結体12A・12B・12Cは、外枠体5の補強材を兼ねる締結ベース18と、締結ベース18の片面に固定されるねじ軸19とで構成する。外枠体5は、シール材を兼ねるためにゴム成形品で形成する。外枠体5の締結面5aの側に締結ベース18用の組付溝15を周回状に形成する。以て、取付開口4の周縁壁と窓板7の周縁とを、外枠体5の締結面5aで直接受け止めてシールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分電盤や配電盤等のドアや外壁に組み付けられる覗き窓に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の覗き窓は、壁面に形成した取付開口を内外から挟む外枠体および押え枠体と、これら両枠体で挟み固定される板ガラスと、板ガラスおよび取付開口の周縁壁の内外に配置されるパッキンとなどで構成してある。外枠体は、アルミニウム条材を形成素材とするもの(特許文献1、2参照)と、アルミニウム板材を形成素材としてプレス成形されるもの(特許文献3参照)とがある。
【0003】
特許文献1の外枠体は、アルミニウム条材を例えば四角形状に折り曲げ、条材の端部どうしを溶接して形成する。外枠体には断面台形状の溝が周回状に形成してあり、この溝に嵌め込んだビスを締結要素にして、外枠体と押え枠とが締結してある。特許文献3の外枠体は、アルミニウム板材を無端枠状にプレスして形成する。この場合の外枠体は、断面コ字状の主枠部と、主枠部の開口縁から張り出される一対の押圧脚とでハット形断面に形成してあり、主枠部の溝側壁にそって一群の掛止部が溝内面側へ向かって膨出形成してある。
【0004】
【特許文献1】特許第2761710号公報(段落番号0017、図1)
【特許文献2】実用新案登録第2549183号公報(段落番号0012、図1)
【特許文献3】特開平11−125080号公報(段落番号0011、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の覗き窓においては、外枠体と、押え枠体と、板ガラスと、内外に配置される4個のパッキンと、一群のボルトおよびナットで構成するので、部品点数が多くなるのを避けられず、しかも、覗き窓の縦横寸法が異なるごとに外枠体および押え枠を専用の部品として用意する必要があり、覗き窓の全体コストが高く付き、全体重量が嵩む点に問題がある。
【0006】
とくに、アルミニウム条材を素材とする外枠体の場合には、所定長さに切断した条材を角枠状に折り曲げたのち、条材の端部どうしを溶接して形成するが、ビスを嵌め込むための溝が変形するのを防止しながら条材を折り曲げる必要があり、さらに締結面を面一状に形成する必要も加わって、加工が難しく、加工コストが高く付くのを避けられない。また、窓板および取付開口の周縁壁をシールするのに、4種類ものパッキンが不可欠であり、そのことも覗き窓の製造コストが増加する一因なっている。
【0007】
この点、特許文献2の覗き窓によれば、窓板を成形パッキンに嵌め込んで締結するので、パッキンの使用個数を2個に減らすことができる。しかし、成形パッキンを固定するのにアルミニウム条材で形成した断面コ字状の外窓枠を使用するので、特許文献1の外窓枠と同様にコストを十分に減らすことができない。ボルトを外窓枠の溝底壁に溶接するので、その分だけ加工コストが増える不利もある。プレス成形によって外枠体を形成する特許文献3の覗き窓は、形やサイズが画一化されるものの、製造コストが少なくて済む。しかし、外枠体の挟持面の面精度が低いうえ、枠体の全体が波形に変形しやすいため、十分なシール作用が得られにくい点に問題がある。
【0008】
本発明の目的は、より少ない部品点数で覗き窓を構成して、その分だけ全体コストを削減できる覗き窓を提供することにある。本発明の目的は、縦横寸法が大小に異なる覗き窓において、窓板を締結するための締結構造を共用できるようにし、さらに締結構造を構成する締結体がモジュール化してあって、その分だけ全体コストを削減できる覗き窓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の覗き窓は、取付開口4の周縁壁を間に挟んで内外に配置される外枠体5、および押え枠体6と、これら両枠体5・6で挟み固定される窓板7および内パッキン8・9を含む。外枠体5と押え枠体6とは、外枠体5に装着される締結体12A・12B・12Cと、締結体12A・12B・12Cにねじ込まれる雌ねじ体13とで取付開口4の周縁壁に締結される。締結体12A・12B・12Cは、外枠体5の補強材を兼ねる締結ベース18と、締結ベース18の片面に固定されるねじ軸19とで構成する。外枠体5は、シール材を兼ねてゴム成形品で形成されていて、その締結面5aの側に締結ベース18を嵌め込むための組付溝15が周回状に形成してある。取付開口4の周縁壁と窓板7の周縁とが、外枠体5の締結面5aで直接シールしてあることを特徴とする。
【0010】
外枠体5の組付溝15に嵌め込んだ複数個の締結体12A・12B・12Cと、締結体12A・12B・12Cのねじ軸19にねじ込まれる雌ねじ13とで、外枠体5と押え枠体6とを締結固定する。
【0011】
組付溝15は、締結ベース18に密着嵌合するベース溝15aと、ベース溝15aと締結面5aとの間に形成される組込溝15bとで構成する。組込溝15bに沿ってねじ軸19を受け入れる逃げ穴16を形成する。
【0012】
外枠体5は四角形状に形成されて、四隅部分のそれぞれが丸めてある。締結体は、外枠体5の四隅に位置する組付溝15に嵌め込まれる隅部締結体12Aと、外枠体5の辺部に位置する組付溝15に嵌め込まれる直線部締結体12B・12Cとで構成する。隅部締結体12Aは、隅部における組付溝15の屈曲形状に合致して湾曲する締結ベース18と、締結ベース18に固定されるねじ軸19とで構成する。隅部締結体12Aおよび直線部締結体12B・12Cを、縦横寸法が大小に異なる外枠体5で共用する。
【0013】
直線部締結体は、短寸の第1直線部締結体12Bと、長寸の第2直線部締結体12Cとで構成する。第1直線部締結体12Bと、第2直線部締結体12Cと、隅部締結体12Aとの三者は、第1直線部締結体12Bの長さ寸法を基準にしてモジュール化する。
【0014】
押え枠体6は、外枠体5の各辺部と対向配置される直線状の4個の押え金具6a・6bで構成する。
【0015】
外枠体5の締結面5aを面一状に形成する。以て、窓板7の外面が取付開口4の周縁壁の外面と面一になる状態で、窓板7を固定する。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、外枠体5および押え枠体6と、これら両枠体5・6で挟み固定される窓板7および内パッキン8・9などで覗き窓を構成し、外枠体5をゴム成形品で形成することにより、外枠体5自体が窓板7を挟持する枠体とシール材とを兼ねるようにした。したがって、本発明の覗き窓によれば、アルミニウム条材を形成素材とする従来の外枠体に比べて、外枠体5をより短い時間で、しかも精度良く成形でき、その製造コストを大幅に削減できる。さらに、外枠体5自体がシール材を兼ねるので、取付開口4の周縁壁および窓板7の外面側にパッキンを設ける必要がなく、全体として覗き窓の製造コストを削減できる。パッキンを省略できる分だけ、覗き窓の取付け壁面からの膨出寸法を小さくできる。また、締結体12A・12B・12Cを外枠体5の組付溝15に組み込んだ状態においては、外枠体5を締結ベース18で補強して、ゴム成形品からなる外枠体5の構造強度を増強できるので、外枠体5が抉じ開けられるのを確実に防止して防犯性を向上できる。
【0017】
複数個の締結体12A・12B・12Cを外枠体5の組付溝15に嵌め込んで、これらの締結体12A・12B・12Cと、締結体12A・12B・12Cのねじ軸19にねじ込まれる雌ねじ13とで、外枠体5と押え枠体6とを締結固定する覗き窓によれば、各締結体12A・12B・12Cを組付溝15に対して個別に組み付けることにより、締結ベース18の組み込み作業をより簡便に行うことができる。
【0018】
ベース溝15aと組込溝15bとで組付溝15を構成し、組込溝15に沿って逃げ穴16が形成してある外枠体5によれば、締結体12A・12B・12Cを外枠体5の組付溝15に嵌め込んだ状態において、逃げ穴16の内部にねじ軸19を受け入れることができるので、ねじ軸19の周囲の締結面5aが膨み変形するのを解消でき、したがって、全ての締結面5aを平坦にしてシール機能を適切に発揮させることができる。ベース溝15aとは別に組込溝15bを設けるので、締結ベース18のベース溝15aに対する組み付けを、組込溝15bに臨む締結面5aをめくりながら簡便に行える。さらに、締結面5aが組込溝15bで二分されるので、締結面5aの変形の自由度が増加し、したがって、組込溝15bで二分された締結面5aが、たとえば成形歪みによって波打っているような場合であっても、各締結体12A・12B・12Cを締結した状態において、締結面5aを締結ベース18で押さえ込んで窓板7や取付開口4の周縁壁に密着でき、その分だけシール機能を向上できる。
【0019】
四隅部分のそれぞれが丸めてある四角形状の外枠体5において、隅部締結体12Aと、直線部締結体12B・12Cとで締結体を構成すると、4個の隅部締結体12Aおよび直線部締結体12B・12Cを縦横寸法が大小に異なる外枠体5で共用することにより、覗き窓の製造コストをさらに削減できる。
【0020】
短寸の第1直線部締結体12Bと、長寸の第2直線部締結体12Cとで直線部締結体を構成し、第1直線部締結体12Bと、第2直線部締結体12Cと、隅部締結体12Aとが、第1直線部締結体12Bの長さ寸法を基準にしてモジュール化してあると、三種の締結体12A〜12Cを適宜選定してその組み合わせ形態を変更することにより、例えば図2や図7に示すような各種サイズの覗き窓を構成でき、直線部締結体の数を二種に限定できる分だけ覗き窓の製造コストをさらに削減できる。
【0021】
押え枠体6が直線状の4個の押え金具6a・6bで構成してあると、押え枠体6が無端枠状に形成してある場合に比べて、材料の無駄を省きながら押え枠体6を形成でき、その分だけ覗き窓の製造コストをさらに削減できる。外枠体5の縦横サイズの違いに応じて押え金具6a・6bを簡便に製造できる利点もある。
【0022】
外枠体5の締結面5aを面一状に形成し、窓板7などを取付開口4に装着した状態において、窓板7の外面が取付開口4の周縁壁の外面と面一になるようにした覗き窓によれば、従来の覗き窓に比べて取付壁面からの出っ張り寸法を小さくでき、例えば分電盤の外観を簡素ですっきりとしたものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(実施例) 図1ないし図6は本発明に係る覗き窓の実施例を示す。図2において符号1は分電盤、2は分電盤1の出入口を開閉するドアである。左右一対のドア2は、それぞれヒンジ3で支持されて揺動開閉できる。両ドア2のうち、右方のドア2のドア壁に取付開口4を形成し、そこに本発明の覗き窓が装着してある。覗き窓の内方には、電圧計、電流計、あるいは電力計などのメーター類が、覗き窓と正対する状態で配置してある。
【0024】
図3および図4において覗き窓は、取付開口4の周縁壁を間にして内外に配置される外枠体5および押え枠体6と、これら両枠体5・6で挟み固定される板ガラス(窓板)7と、取付開口4の周縁壁および板ガラス7の周縁と押え枠体6との間に配置される2個の内パッキン8・9と、両枠体5・6を締結する締結構造とで構成してある。締結構造は、外枠体5に装着される3種の締結体12A・12B・12Cと、各締結体12A・12B・12Cのねじ軸19にねじ込まれるナット(雌ねじ体)13とで構成する。
【0025】
シール材を兼ねる外枠体5は、四隅部分のそれぞれが丸められた横長四角形状のゴム成形品からなり、その締結面5aの側に後述する締結ベース18を嵌め込むための組付溝15が周回状に形成してある。外枠体5の幅寸法は25mm、厚み寸法は8mmであり、全体が成形機によって成形され、組付溝15は外枠体5を成形する際に同時に形成される。組付溝15は、締結ベース18と同形同大のベース溝15aと、ベース溝15aと締結面5aとの間に形成される組込溝15bとで構成されている。組込溝15bに沿って後述するねじ軸19を受け入れる逃げ穴16が形成してある(図6参照)。外枠体5は、天然ゴム、合成ゴム、あるいは原料ゴムにプラスチック材を混合した素材で形成することができる。
【0026】
図5に示すように各締結体12A・12B・12Cは、それぞれ外枠体5の補強材を兼ねる板状の締結ベース18と、締結ベース18の片面に固定されるねじ軸19とで構成する。各締結体12A・12B・12Cは、外枠体5の四隅に位置する組付溝15に嵌め込まれる隅部締結体12Aと、外枠体5の辺部に位置する組付溝15に嵌め込まれる2種の直線部締結体12B・12Cとに分けることができる。この実施例では、4個の隅部締結体12Aと、上下2個の直線部締結体12Cと、左右2個の直線部締結体12Bとで外枠体5を締結するようにした。
【0027】
隅部締結体12Aの締結ベース18は、隅部における組付溝15の屈曲形状に合致する、4分円状の屈曲部分を含んでL字状に形成してあり、直線部分の遊端寄りのそれぞれにねじ軸19が溶接してある。直線部締結体12B・12Cは、短寸の第1直線部締結体12Bと、第1直線部締結体12より長寸の第2直線部締結体12Cとからなり、前者締結体12Bにおいては、締結ベース18の板面中央にねじ軸19が溶接され、後者締結体12Cにおいては、締結ベースの両端寄りの2箇所にねじ軸19が溶接してある。
【0028】
第1直線部締結体12Bと、第2直線部締結体12Cと、隅部締結体12Aとの三者は第1直線部締結体12Bの長さ寸法を基準にしてモジュール化してある。詳しくは、第1直線部締結体12Bの締結ベース18の全長を100mmとし、その長手方向の中央にねじ軸19を溶接するとき、第2直線部締結体12Cの締結ベース18の全長を200mmとし、その側端から50mm離れた位置にねじ軸19を溶接している。さらに、隅部締結体12Aの締結ベース18の縦寸法および横寸法をそれぞれ100mmとして、その側端から25mm離れた位置にねじ軸19を溶接している。なお、各締結ベース18の幅寸法はいずれも20mmである。
【0029】
図3に示すように、押え枠体6は帯板状の4個の金具で構成してあり、外枠体5の長辺部分に対応する上下一対の押え金具6aと、外枠体5の短辺部分に対応する左右一対の押え金具6bとで構成してある。4個の各金具6a・6bには、それぞれねじ軸19を挿通するための挿通穴21が形成してある。
【0030】
板ガラス7は、その肉壁内に鋼線あるいは鋼線網を埋設した透明のガラス板からなり、取付開口4の縦横寸法よりひと回り小さな縦横寸法に設定してある。
【0031】
パッキン8・9はそれぞれゴムパッキンからなり、前者パッキン8は、板ガラス7の周縁と押え枠体6との間に配置され、後者パッキン9は、取付開口4の周縁壁と押え枠体6との間に配置される。板ガラス7の厚み寸法は、取付開口4の周縁壁の厚み寸法に比べて大きく設定されており、この厚み寸法の差に対応して、前者パッキン8の厚みは後者パッキン9の厚みより小さく設定してある。これにより、厚みが異なる板ガラス7と取付開口4の周縁壁のそれぞれを、各締結体12A〜12Cと押え枠体6とで均等に締結することができる。
【0032】
覗き窓は、以下の組み付け手順に従って取付開口4に組み付ける。まず、外枠体5の組付溝15に、各締結体12A〜12Cを組み付ける。各締結体12A〜12Cは、組込溝15bに臨む締結面5aの片方をめくって、組込溝15bを大きく開放した状態で締結ベース18をベース溝15aに嵌め込み、各ねじ軸19の位置を逃げ穴16の位置に合致させる。このとき、各締結体12A〜12Cの隣接間隔を25mmとすることにより、ねじ軸19の隣接間隔が全て100mmになるようにした。各締結体12A〜12Cが組み付られた外枠体5を、外面側から取付開口4の周縁壁にあてがい、各ねじ軸19を取付開口4の内面側に突出させる。
【0033】
上記の状態で、板ガラス7を取付開口4の内面側から外枠体5にあてがい、さらに板ガラス7の内面、および取付開口4の周縁壁内面のそれぞれにパッキン8・9をあてがう。この状態で、上下の押え金具6aの挿通穴21、および左右の押え金具6bの挿通穴21をそれぞれねじ軸19に嵌め込んで、各パッキン8・9を押え枠体6で押さえる。最後に、各ねじ軸19にナット13をねじ込むことにより、図1に示すように外枠体5、板ガラス7、パッキン8・9、および押え枠体6を締結固定できる。締結状態における取付開口4の周縁壁と板ガラス7の周縁とは、外枠体5の締結面5aで直接受け止められて、締結面5aによって水密状にシールしてあり、窓板7の外面は取付開口4の周縁壁の外面と面一になっている。
【0034】
上記のように、本発明の覗き窓によれば、ゴム成形品で形成した外枠体5を利用して、取付開口4の周縁壁および板ガラス7の周縁をそれぞれシールするので、取付開口4および板ガラス7の内面側に限ってパッキン8・9を設ければよく、その分だけ覗き窓の構造を簡素化できる。また、外枠体5をゴム成形品で形成するので、アルミニウム条材を素材にして外枠体を形成する従来の覗き窓に比べて、外枠体5を安価に量産でき、全体として覗き窓の製造コストを削減できる。板状の締結ベース18を外枠体5の組付溝15に組み込んで、外枠体5を締結ベース18で広幅にわたって、しかも周回状に補強するので、外枠体5が抉じ開けられるのを確実に防止して防犯性を向上できる。火災などによって外枠体5やパッキン8・9が焼け落ちたとしても、板ガラス7が脱落するのを防止できる利点もある。
【0035】
上記の各締結体12A〜12Cの組み合わせ態様を変更することにより、縦横寸法が大小に異なる覗き窓において、板ガラス7を締結するための締結構造を共用することができる。さらに締結構造の各締結体12A〜12Cをモジュール化することにより、覗き窓の全体コストを削減できる。
【0036】
詳しくは図7(a)に示すように、4隅が丸められた正方形状の外枠体5においては、4個の隅部締結体12Aを使用することにより板ガラス7を締結固定できる。図7(b)に示すように、4隅が丸められた横長長方形状の外枠体5においては、4個の隅部締結体12Aと、外枠体5の長辺部の中央に配置した第2直線部締結体12Cとを使用することにより、左右横長の板ガラス7を締結固定できる。第2直線部締結体12Cに換えて第1直線部締結体12Bを使用すると、左右長さがより小さな板ガラス7を締結固定できる。
【0037】
図7(c)では、4隅が丸められた横長長方形状の外枠体5において、4個の隅部締結体12Aと、外枠体5の長辺部の中央に配置した上下1個ずつの第1直線部締結体12Bと、第1直線部締結体12Bの両側に接当する状態で配置した上下2個ずつの第2直線部締結体12Cと、外枠体5の短辺部の中央に配置した左右1個ずつの第1直線部締結体12Bとを使用することにより、さらに横長の板ガラス7を締結固定できる。この実施例から理解できるように、各締結体12A〜12Cは、互いに接当する状態で隣接配置することができ、隣接隙間を確保する必要はない。
【0038】
先の実施例では、締結面5aの全体が面一になるように外枠体5を形成したが、その必要はなく、図8に示すように、外枠体5の締結面を、ねじ軸19の内外で段違い状に形成することができる。詳しくは、ねじ軸19より内側において板ガラス7に密着する締結面5aの厚みを先の実施例と同様に形成し、ねじ軸19より外側において取付開口4の周縁壁に密着する締結面5bの厚みを、先の締結面5aの厚みより大きく設定して、窓板7の内面が取付開口4の周縁壁の内面と面一になる状態で窓板7を固定した。これにより、パッキン8・9の厚みを同じ厚みとすることができる。このように、ねじ軸19の内外において締結面5a・5bの厚みを変更することにより、板ガラス7の固定位置を自由に変更することができる。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0039】
上記の実施例以外に、本発明の覗き窓は円形や多角形の窓にも適用できる。円形の窓においては、部分円弧状の締結ベース18を備えた2ないし4個の締結枠12で窓板7を締結固定することができる。押え枠体6は四角形や円形などの無端枠体として形成することができ、必要があれば締結体と同様に、隅部金具と、各隅部金具の間に配置される直線部金具とで構成することができる。雌ねじ体13はナットである必要はなく、ねじ穴を備えているねじ金具であればよい。窓板7は、板ガラス以外の透明なプラスチック板で形成することができる。
【0040】
四角形の覗き窓においては、締結ベース18をコ字枠状に形成することができる。ねじ軸19は締結ベース18に対してかしめ固定することができる。締結ベース18は断面が逆T字状の条材で形成することができ、その場合には組込溝から突出する中央の縦壁にねじ軸19を固定することができる。外枠体5の締結面5a・5bには、シール効果を高めるために、舌片状あるいは連続山形などのシールリップを一体に形成することができる。必要があれば、金属板材製の補強体や、金属線材製の補強体を外枠体5の内部にインサート固定し、あるいはアウトサート固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図2におけるA―A線断面図である。
【図2】覗き窓の適用例を示す斜視図である。
【図3】覗き窓の分解斜視図である。
【図4】覗き窓の分解断面図である。
【図5】外枠体と締結体との配置関係を示す背面図である。
【図6】隅部締結体と外枠体の関係構造を示す斜視図である。
【図7】締結体の別の構成例を示す配置図である。
【図8】覗き窓の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
4 取付開口
5 外枠体
6 押え枠体
7 板ガラス(窓板)
8 パッキン
9 バッキン
12A 隅部締結体
12B 第1直線部締結体
12C 第2直線部締結体
13 ナット(雌ねじ体)
15 組付溝
18 締結ベース
19 ねじ軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付開口(4)の周縁壁を間に挟んで内外に配置される外枠体(5)、および押え枠体(6)と、これら両枠体(5・6)で挟み固定される窓板(7)および内パッキン(8・9)を含み、
外枠体(5)と押え枠体(6)とは、外枠体(5)に装着される締結体(12A・12B・12C)と、締結体(12A・12B・12C)にねじ込まれる雌ねじ体(13)とで取付開口(4)の周縁壁に締結されており、
締結体(12A・12B・12C)は、外枠体(5)の補強材を兼ねる締結ベース(18)と、締結ベース(18)の片面に固定されるねじ軸(19)とで構成されており、
外枠体(5)は、シール材を兼ねてゴム成形品で形成されていて、その締結面(5a)の側に締結ベース(18)を嵌め込むための組付溝(15)が周回状に形成されており、
取付開口(4)の周縁壁と窓板(7)の周縁とが、外枠体(5)の締結面(5a)で直接シールしてあることを特徴とする覗き窓。
【請求項2】
外枠体(5)の組付溝(15)に嵌め込んだ複数個の締結体(12A・12B・12C)と、締結体(12A・12B・12C)のねじ軸(19)にねじ込まれる雌ねじ(13)とで、外枠体(5)と押え枠体(6)とが締結固定してある請求項1記載の覗き窓。
【請求項3】
組付溝(15)が、締結ベース(18)に密着嵌合するベース溝(15a)と、ベース溝(15a)と締結面(5a)との間に形成される組込溝(15b)とで構成されており、
組込溝(15b)に沿ってねじ軸(19)を受け入れる逃げ穴(16)が形成してある請求項1または2記載の覗き窓。
【請求項4】
外枠体(5)が四角形状に形成されて、四隅部分のそれぞれが丸められており、
締結体が、外枠体(5)の四隅に位置する組付溝(15)に嵌め込まれる隅部締結体(12A)と、外枠体(5)の辺部に位置する組付溝(15)に嵌め込まれる直線部締結体(12B・12C)とで構成されており、
隅部締結体(12A)は、隅部における組付溝(15)の屈曲形状に合致して湾曲する締結ベース(18)と、締結ベース(18)に固定されるねじ軸(19)とで構成されており、
隅部締結体(12A)および直線部締結体(12B・12C)を、縦横寸法が大小に異なる外枠体(5)で共用できる請求項2または3記載の覗き窓。
【請求項5】
直線部締結体が、短寸の第1直線部締結体(12B)と、長寸の第2直線部締結体(12C)とで構成されており、第1直線部締結体(12B)と、第2直線部締結体(12C)と、隅部締結体(12A)との三者が第1直線部締結体(12B)の長さ寸法を基準にしてモジュール化してある請求項4記載の除き窓。
【請求項6】
押え枠体(6)が、外枠体(5)の各辺部と対向配置される直線状の4個の押え金具(6a・6b)で構成してある請求項2から5のいずれかに記載の覗き窓。
【請求項7】
外枠体(5)の締結面(5a)が面一状に形成されていて、窓板(7)の外面が取付開口(4)の周縁壁の外面と面一になる状態で、窓板(7)が固定してある請求項1から6のいずれかに記載の覗き窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−101355(P2008−101355A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282940(P2006−282940)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(000181572)篠原電機株式会社 (18)
【Fターム(参考)】