説明

親水性部材、部材表面の親水化/親水維持方法及び親水性塗料組成物

【課題】 室内照明等に含まれる微弱な紫外線照射でも光半導体の光励起による部材表面の親水化/親水維持効果が発揮される部材及び塗料組成物の提供。
【解決手段】 基材表面に、光半導体と、シリカと、シリカ以外の無機酸化物を含む層が形成されており、前記光半導体の光励起に応じて部材表面が親水化されることを特徴とする親水性部材。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材の表面を高度の親水性になし、かつ、維持する技術に関する。より詳しくは、本発明は、鏡、レンズ、板ガラスその他の透明基材の表面を高度に親水化することにより、基材の曇りや水滴形成を防止する防曇技術に関する。本発明は、また、建物や窓ガラスや機械装置や物品の表面を高度に親水化することにより、表面が汚れるのを防止し、又は表面を自己浄化(セルフクリ−ニング)し若しくは容易に清掃する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】基材表面が親水化されると、付着水滴が基材表面に一様に拡がるようになるので、ガラス、レンズ、鏡等の透明性部材の曇りを有効に防止でき、湿分による失透防止、雨天時の視界性確保等に役立つ。さらに、都市煤塵、自動車等の排気ガスに含有されるカ−ボンブラック等の燃焼生成物、油脂、シ−ラント溶出成分等の疎水性汚染物質が付着しにくく、付着しても降雨や水洗により簡単に落せるようになるので便利である。
【0003】このような事情から特に防曇塗料、外装防汚塗料の分野において、従来から親水性樹脂が提案されている(例えば、実開平5−68006号や、「高分子」、44巻、1995年5月号、p.307)。また、親水化するための表面処理方法も提案されている(例えば、実開平3−129357号)。
【0004】しかしながら、従来提案されている親水性樹脂は水との接触角に換算して30〜50゜程度までしか親水化されず、充分な曇り防止効果が発揮できない。また無機粘土質からなる汚染物質の付着及び降雨、水洗による清浄性が充分でない。また従来提案されている親水化するための表面処理方法(エッチング処理、プラズマ処理等)では、一時的に高度に親水化できてもその状態を長期間維持することができない。
【0005】本発明者は、PCT/JP96/00733号において、基材表面に光半導体含有層を形成すると、光半導体の光励起に応じて表面が高度に親水化されることを発明し、この技術をガラス、レンズ、鏡、外装材、水回り部材等の種々の複合材に適用すれば、これら複合材に優れた防曇、防汚等の機能を付与できることを提案した。この方法によれば、充分な曇り防止効果が発揮され、疎水性汚染物質及び無機粘土質からなる汚染物質の付着及び降雨、水洗による清浄性が飛躍的に向上する。また光半導体の光励起に応じて親水化された状態が維持、回復される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、酸化チタン光半導体のみからなる層を、施釉タイル基材やガラス基材等に直接ゾル塗布法で塗布し、焼成する場合には、室内照明等に含まれる微弱な紫外線照射では、充分に親水化されない。そこで、本発明では、室内照明等に含まれる微弱な紫外線照射でも、光半導体のみからなる層と比較して、光半導体の光励起に応じて、より高度に親水化される部材、より具体的には、より曇り防止性に優れた防曇性部材、より汚染物質が付着しにくく、かつ降雨、水洗による清浄性に優れた防汚性部材、より表面の乾燥しやすい部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を解決すべく、光半導体の光励起に応じて部材表面が親水化される親水性部材、防曇性部材、防汚性部材、易乾燥性部材において、基材表面に、光半導体と、シリカと、シリカ以外の無機酸化物を含む層が形成されており、前記光半導体の光励起に応じて部材表面が親水化されることを特徴とする親水性部材、及び基材に塗布することで上記部材を形成可能とする塗料組成物を提供する。本発明の好ましい態様においては、シリカ以外の無機酸化物はセリアとする。本発明の好ましい態様においては、親水化の程度は、防曇性用途のうちの水蒸気に起因する曇りの防止では水との接触角に換算して10゜以下、より好ましくは5゜以下;防曇性用途のうちの水滴付着による視界喪失の防止では水との接触角に換算して30゜以下、より好ましくは20゜以下;降雨や水洗による防汚性(清浄性)用途のうちの疎水性物質による汚れ(自動車等の排気ガスに含有されるカ−ボンブラック、大気中に浮遊する燃焼生成物、シ−ラント溶出成分等)に対しては水との接触角に換算して50゜以下、より好ましくは30゜以下;降雨や水洗による防汚性(清浄性)用途のうちの疎水基及び親水基の双方を含む物質による汚れ(石鹸カス、カルボン酸系油脂、カルボン酸エステル系油脂等)に対しては水との接触角に換算して30゜以下、より好ましくは20゜以下;降雨や水洗による防汚性(清浄性)用途のうちの親水性物質による汚れ(粘土等)に対しては水との接触角に換算して20゜以下、より好ましくは5゜以下にする。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の構成要素について説明する。ここでいう光半導体とは、価電子帯中の電子の励起によって正孔或いは伝導電子を生成し、それによりおそらくは表面に局所的量論欠陥を生じ、平衡量以上の化学吸着水及び物理吸着水を吸着させる作用により、基材表面を親水化できるものをさす。具体的物質としては、アナタ−ゼ型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、酸化第二鉄、チタン酸ストロンチウムの群から選ばれる1種又は2種以上等が使用できる。
【0009】本発明に利用できるシリカ以外の無機酸化物としては、セリア、ジルコニア、アルミナ、無定型酸化チタン、酸化錫、マグネシア、カルシア、イットリア、酸化マンガン、クロミア、酸化バナジウム、酸化銅、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化ルテニウム、ハフニア、酸化ストロンチウム、酸化銀の群から選ばれる1種又は2種以上等が挙げられる。
【0010】本発明においては、銀、銅、パラジウム、白金、ロジウム、プラチウム、ルテニウム、金、亜鉛、コバルト、鉄、ニッケル、ナトリウム、リチウム、ストロンチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム又はそれら金属の化合物の群から選ばれる1種以上が添加してもよい。銀、銅、亜鉛又はそれら金属の化合物の群から選ばれる1種以上を添加することで、抗菌性を付与することができる。パラジウム、白金、ロジウム、プラチウム、ルテニウム、金、コバルト、鉄、ニッケル又はそれら金属の化合物の群から選ばれる1種以上を添加することで、光半導体の光励起による酸化還元触媒性能を向上させることができる。ナトリウム、リチウム、ストロンチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム又はそれら金属の化合物の群から選ばれる1種以上を添加することで、光半導体の光励起に応じた親水化性能を向上させることができる。
【0011】本発明においては、シリコ−ン、シリコ−ンの前駆体、シリカの前駆体、ヒドロキシアルコキシセルロ−ス、 ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルアルコール−ポリ酢酸ビニル共重合体、ウレタン、アミノ基含有縮合物等の水溶性樹脂を含有させてもよい。これら物質を添加することにより、室温程度の温度でも充分に固着性に優れた親水性部材を提供できるようになる。ここでシリコ−ン前駆体としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、n−プロピルブトキシシラン、イソプロピルブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のシラン誘導体、その(部分)加水分解物、加水分解・縮合物の群から選ばれる1種以上等が好適に利用できる。シリコ−ンとしては、上記シリコ−ンの前駆体を必要に応じて加水分解、脱水縮合させたものを利用できる。シリカの前駆体としては、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;メチルシリケ−ト、エチルシリケ−ト、プロピルシリケ−ト、ブチルシリケ−ト等のアルキルシリケ−ト等が好適に利用できる。
【0012】本発明においては、層状酸化物、アパタイト、ゼオライト、活性炭、金属酸化物ゲル、金属水酸化物ゲル、ヒドロキシアパタイト、リン酸金属塩の群から選ばれる1種以上を添加してもよい。そうすることで、メチルメルカプタン、アンモニア、アルデヒド類等の悪臭やエチレン等の青果の鮮度喪失物質やNOx、SOx等の有害気体等の分解反応において、本発明の部材表面への吸着性が増加し、光半導体の酸化還元触媒機能による上記物質の分解が一層促進される。
【0013】本発明に使用できる基材としては、防曇用途においては、ガラス、透明プラスチック、レンズ、プリズム、鏡等の透明性の基材である。より具体的には、浴室用又は洗面所用鏡、車両用バックミラ−、歯科用歯鏡、道路鏡のような鏡;眼鏡レンズ、光学レンズ、写真機レンズ、内視鏡レンズ、照明用レンズ、半導体製造用レンズのようなレンズ;プリズム;建物や監視塔の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロ−プウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船のような乗り物の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノ−モ−ビル、オ−トバイ、ロ−プウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船のような乗り物の風防ガラス;防護用又はスポ−ツ用ゴ−グル又はマスク(潜水用マスクを含む)のシ−ルド;ヘルメットのシ−ルド;冷凍食品陳列ケ−スのガラス;計測機器のカバ−ガラス、及びそれら物品に貼着可能なフィルム、ワッペン等である。
【0014】本発明に使用できる基材としては、降雨による自己浄化が期待できる屋外用途においては、例えば、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、木、石、セメント、コンクリ−ト、繊維、布帛、紙、それらの組合せ、それらの積層体、それらの塗装体等である。より具体的には、外壁や屋根のような建物外装;窓枠;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、自転車、オ−トバイのような乗物の外装及び塗装;窓ガラス;看板、交通標識、防音壁、ビニ−ルハウス、碍子、乗物用カバ−、テント材、反射板、雨戸、網戸、太陽電池用カバ−、太陽熱温水器等の集熱器用カバ−、街灯、舗道、屋外照明、人工滝・人工噴水用石材・タイル、橋、温室、外壁材、壁間や硝子間のシ−ラ−、ガ−ドレ−ル、ベランダ、自動販売機、エアコン室外機、屋外ベンチ、各種表示装置、シャッタ−、料金所、料金ボックス、屋根樋、車両用ランプ保護カバ−、防塵カバ−及び塗装、機械装置や物品の塗装、広告塔の外装及び塗装、構造部材、及びそれら物品に貼着可能なフィルム、ワッペン等である。
【0015】本発明に使用できる基材としては、水洗による清浄化が期待できる用途においては、例えば、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、木、石、セメント、コンクリ−ト、繊維、布帛、紙、それらの組合せ、それらの積層体、それらの塗装体等である。より具体的には、上記屋外用途部材が含まれることは勿論、その他に、建物の内装材、窓ガラス、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、台所用品、食器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフ−ド、換気扇、窓レ−ル、窓枠、トンネル内壁、トンネル内照明、及びそれら物品に貼着可能なフィルム、ワッペン等である。
【0016】本発明に使用できる基材としては、乾燥促進が期待できる用途においては、例えば、窓サッシ、熱交換器用放熱フィン、舗道、浴室用洗面所用鏡、ビニ−ルハウス天井、洗面化粧台、自動車ボディ及びそれら物品に貼着可能なフィルム、ワッペン等である。
【0017】本発明に使用できる基材は上記以外にも着雪防止、気泡付着防止、生体親和性向上等に利用できる。着雪防止性は特に表面粗さ1μm以下の表面層を設けると顕著に優れた特性が得られ、例えば、雪国用屋根材、アンテナ、送電線及びそれら物品に貼着可能なフィルム、ワッペン等を含む基材に適用可能である。
【0018】光半導体の光励起は、光半導体結晶の伝導電子帯と価電子帯との間のエネルギ−ギャップよりも大きなエネルギ−(すなわち短い波長)を有する光を光半導体に照射して行う。より具体的には、光半導体がアナタ−ゼ型酸化チタンの場合には波長387nm以下、ルチル酸化チタンの場合には波長413nm以下、酸化錫の場合には波長344nm以下、酸化亜鉛の場合には波長387nm以下の光を含有する光線を照射する。上記光半導体の場合は、紫外線光源により光励起されるので、光源としては、蛍光灯、白熱電灯、メタルハライドランプ、水銀ランプのような室内照明、太陽光や、それらの光源を低損失のファイバ−で誘導した光源等を利用できる。複合材表面の親水化に必要な、光半導体を光励起するために必要な光の照度は、 0.0001mW/cm2 以上、好ましくは0.001mW/cm2 以上、より好ましくは0.01mW/cm2 以上である。
【0019】特に酸化チタンからなる光半導体とシリカとセリアを含む層が形成された部材においては、室内照明に含有される紫外線の照度は0.001mW/cm2以下程度でも部材表面の親水化/親水維持には充分である。従って、光半導体とシリカとセリアを含む層が形成された部材を居住空間で利用する場合には、前記光半導体に可視光と紫外線の双方を発光する室内照明からの光を照射する一般照明が利用できる。
【0020】本発明に係る塗料組成物中のシリカは、シリカ微粒子でもシリカ被膜前駆体でもよい。シリカ微粒子は、光触媒粒子を効率よく部材表面に固定化するものと考えられる。本発明の好ましい態様によれば、シリカ微粒子の平均粒径は1〜100nmが好ましく、より好ましくは5〜50nmであり、最も好ましくは8〜20nmである。シリカ微粒子の平均粒径は例えば動的レ−ザ−散乱法によって求めることができる。
【0021】本発明に係るコ−ティング組成物はシリカ被膜を形成可能なシリカ被膜前駆体の好ましい例としては、平均組成式SiXq(4-q)/2(式中、Xはアルコキシ基、又は、ハロゲン原子であり、qは0<q<4を満足する数である)で表されるシリケ−トが挙げられる。
【0022】また、シリカ被膜を形成可能なシリカ被膜前駆体の別の好ましい例としては、一般式SiX4(式中、Xはアルコキシ基、又は、ハロゲン原子である)で表される4官能加水分解性シラン誘導体が挙げられる。
【0023】上記4官能加水分解性シラン誘導体の好ましい具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジエトキシジメトキシシラン、シラノ−ル、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン等が挙げられる。また、上記シリケ−トの好ましい具体例としては、上記4官能加水分解性シラン誘導体の部分加水分解物及び脱水縮重合物などが挙げられる。
【0024】本発明による塗料組成物に含まれる上記前駆体の添加量は適宜決定されてよいが、例えば光触媒粒子1重量部に対して、シリカ換算重量で10重量部以下が好ましく、より好ましくは5重量部以下であり、最も好ましくは1重量部以下である。また、0.05重量部以上が好ましく、より好ましくは0.1重量部以上であり最も好ましくは0.2重量部以上である。
【0025】本発明による組成物に含まれる溶媒は、上記光触媒粒子及び上記前駆体を安定に分散させ、最終的に親水化表面が得られる限り限定されないが、例えば、水若しくは有機溶媒またはそれらの混合溶媒がその例として挙げられる。特に水若しくはアルコ−ル又はそれらの混合溶媒が好ましい。
【0026】本発明の溶媒にアルコ−ルを用いる場合、例えば、メタノ−ル。エタノ−ル、n−プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、t−ブタノ−ル、イソブタノ−ル、n−ブタノ−ル、2−メチルプロパノ−ル、ペンタノ−ル、エチレングリコ−ル、モノアセトンアルコ−ル、ジアセトンアルコ−ル、エチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジプロピレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、トリプロピレングリコ−ル、1−エトキシ−2−プロパノ−ル、1−ブトキシ−2−プロパノ−ル、1−プロポキシ−2−プロパノ−ル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジプロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジプロピレングリコ−ルモノエチルエ−テル、トリプロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル等が好適に利用できる。
【0027】本発明による組成物における溶媒の量は、上記した光触媒粒子及び前駆体のシリカ換算重量の合計(以下、「固形分濃度」ということがある)量の濃度を組成物中で0.01〜5重量%以下の範囲に置くのが好ましい。ここで、固形分濃度は、簡便には、組成物を400〜500℃の温度で、3時間加熱し、液体成分を蒸発させかつシリコ−ン中のオルガノ基を酸化させた後に残る固形成分の重量を組成物の重量で除したものの百分率として表すことができる。固形分濃度が5重量%を超えると、組成物が適用された表面が白濁した外観を有し又は干渉縞を有してしまうので、ペイント用途ならばよいが、透明薄膜を形成する必要のある用途には好ましくない。より好ましい上限値は1重量%である。また、固形分濃度が0.01重量%未満であると、十分な親水性表面を効率良く形成することができなくなるおそれがある。より好ましい下限値は0.05重量%であり、最も好ましくは0.1重量%である。
【0028】本発明による組成物は、上記の外に任意の成分を含むことができる。本発明の好ましい態様によれば、本発明による組成物は、屈折率2以下である物質を含むことができる。屈折率2以下の物質の添加によって、適用された表面において可視光の反射を有効に防止できるとの利点が得られる。本発明による組成物に添加が可能な屈折率2以下の物質としては、シリカ(屈折率1.5)、酸化錫(同1.9)、炭酸カルシウム(同1.6)、水酸化カルシウム(同1.6)、炭酸マグネシウム(同1.5)、炭酸ストロンチウム(同1.5)、ドロマイト(同1.7)、フッ化カルシウム(同1.4)、フッ化マグネシウム(同1.4)、アルミナ(同1.6)、ケイ砂(同1.6)、ゼオライト(同1.5)、モンモリロナイト(同1.5)、カオリン(同1.6)、セリサイト(同1.6)、酸化第二鉄(同1.8)、酸化イットリウム(同1.9)等が挙げられる。
【0029】本発明の好ましい態様によれば、本発明による組成物は、界面活性剤をさらに含むことができる。界面活性剤は、光触媒粒子1重量部に対して、10重量部未満、より好ましくは、0.1〜2重量部程度添加されるのが好ましい。本発明による組成物に添加が可能な界面活性剤の例としては、スルホン酸ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テルアンモニウム塩、スルホン酸ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テルナトリウム塩、脂肪酸カリセッケン、脂肪酸ナトリウムセッケン、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルサルフェ−ト、アルキルエ−テルサルフェ−ト、アルキルサルフェ−トソ−ダ塩、アルキルエ−テルサルフェ−トソ−ダ塩、ポリオキシエチレンアルキルエ−テルサルフェ−ト、ポリオキシエチレンアルキルエ−テルサルフェ−トソ−ダ塩、アルキルサルフェ−トTEA塩、ポリオキシエチレンアルキルエ−テルサルフェ−トTEA塩、2−エチルヘキシルアルキル硫酸エステルナトリウム塩、アシルメチルタウリン酸ナトリウム、ラウロイルメチルタウリン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリカルボン酸、オレオイルザルコシン、アミドエ−テルサルフェ−ト、ラウロイルザルコシネ−ト、スルホFAエステルナトリウム塩等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエ−テル、ポリオキシエチレントリデシルエ−テル、ポリオキシエチレンアセチルエ−テル、ポリオキシエチレンステアリルエ−テル、ポリオキシエチレンオレイルエ−テル、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノ−ルエ−テル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ−テル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエ−テル、ポリオキシエチレンラウラ−ト、ポリオキシエチレンステアレ−ト、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テル、ポリオキシエチレンオレエ−ト、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエ−テル変性シリコ−ン、ポリエステル変性シリコ−ン、ソルビタンラウラ−ト、ソルビタンステアレ−ト、ソルビタンパルミテ−ト、ソルビタンセスキオレエ−ト、ソルビタンオレエ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンラウラ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンステアレ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンオレエ−ト、グリセロ−ルステアレ−ト、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルアルキロ−ルアミド、ラウリン酸ジエタノ−ルアミド、オレイン酸ジエタノ−ルアミド、オキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン、ポリオキシエチレンアルキルプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマ−、ポリオキシエチレンステアレ−ト等のノニオン性界面活性剤;ジメチルアルキルベタイン、アルキルグリシン、アミドベタイン、イミダゾリン等の両性界面活性剤;オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシ−2−アルキルイミダゾリン4級塩、アルキルイソキノリニウムブロマイド、高分子アミン、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルイミダゾリン4級塩、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、アルキルプロピレンジアミン酢酸塩、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0030】本発明の好ましい態様においては、本発明による組成物は酸を含むことができる。この酸の添加によって、本発明による組成物が適用された表面の極性が増加し、暗所における親水維持性がより良好になる。本発明による組成物に添加が可能な酸の例としては、硝酸、硫酸、塩酸、プロピオン酸、酢酸、マレイン酸、アジピン酸、フマル酸、フタル酸、吉草酸、クエン酸、乳酸、酪酸、リンゴ酸、ピクリン酸、ギ酸、炭酸、フェノ−ル等が挙げられる。
【0031】本発明の好ましい態様においては、本発明による組成物はシランの加水分解触媒を含むことができる。この触媒の存在によって、後記する本発明による組成物の適用方法において、上記した前駆体としてのシラン化合物の加水分解が促進される。好ましい触媒の例としては、pH2〜5の硝酸、硫酸、塩酸、プロピオン酸、酢酸、マレイン酸、アジピン酸、フマル酸、フタル酸、吉草酸、クエン酸、乳酸、酪酸、リンゴ酸、ピクリン酸、ギ酸、炭酸、フェノ−ル等が挙げられる。
【0032】本発明の好ましい態様においては、本発明による組成物は、重合硬化触媒を含んでなることができる。好ましい重合硬化触媒の例としては、アルミニウムキレ−ト、アルミニウムアセチルアセトナ−ト、過塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムイソブトキシド、アルミニウムイソプロポキシドのようなアルミニウム化合物;テトライソプロピルチタネ−ト、テトラブチルチタネ−トのようなチタン化合物;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラ−ト、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸カリウム、ギ酸カリウム、プロピオン酸カリウム、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドのような塩基性化合物類;n−ヘキシルアミン、トリブチルアミン、ジアザビクロウンデセン、エチレンジアミン、ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラミン、エタノ−ルアミン類、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシランのようなアミン化合物;錫アセチルアセトナ−ト、ジブチル錫オクチレ−トのような錫化合物;コバルトオクチレ−ト、コバルトアセチルアセトナ−ト、鉄アセチルアセトナ−トのような含金属化合物類;リン酸、硝酸、フタル酸、p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸のような酸性化合物類などが挙げられる。
【0033】本発明の好ましい態様においては、本発明による組成物は、部材の表面に適用されたとき平滑な表面を形成できるよう、レベリング剤を含んでなることができる。レベリング剤の添加は、とりわけ大型の物品に本発明による組成物を適用する場合に有利である。エチレングリコ−ル、モノアセトンアルコ−ル、ジアセトンアルコ−ル、エチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジプロピレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、トリプロピレングリコ−ル、1−エトキシ−2−プロパノ−ル、1−ブトキシ−2−プロパノ−ル、1−プロポキシ−2−プロパノ−ル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジプロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジプロピレングリコ−ルモノエチルエ−テル、トリプロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジアセトンアルコ−ル、セロソルブ等が好適に利用できる。
【0034】本発明による組成物は、ブリキ容器やライニング金属からなる容器に保管する場合、さらに金属部材上に適用される場合には、弱酸性、中性又は塩基性であるのが好ましい。とりわけ上記のように酸が添加された場合には、pH調整剤の添加が好ましい。
【0035】本発明による組成物は、含まれる固形成分の分散性を向上させ、また保存性を向上させるために、酸又は塩基を適宜含むことができる。さらに、場合により、顔料、染料、保存安定剤、噴射剤等を添加することが可能である。
【0036】本発明による組成物は、その表面を親水性又は防曇性としたい部材の表面に適用され、その後乾燥又は硬化されて薄膜とされる。また必要に応じてさらに焼成に付される。
【0037】部材表面に塗膜により形成される表面層の膜厚は、0.4μm以下にするのが好ましい。そうすれば、光の乱反射による白濁を防止することができ、表面層は実質的に透明となる。さらに表面層の膜厚を、0.2μm以下にすると一層好ましい。そうすれば、光の干渉による表面層の発色を防止することができる。また表面層が薄ければ薄いほどその透明度は向上する。更に、膜厚を薄くすれば、表面層の耐摩耗性が向上する。このような薄膜を形成するためには、本発明による組成物を部材表面に0.0001〜20mg/cm2程度適用するのが好ましく、より好ましくは0.0005〜1mg/cm2程度の範囲である。
【0038】本発明による組成物の部材表面への適用方法は適宜選択されてよいが、例えばスプレ−コ−ティング法、ディップコ−ティング法、フロ−コ−ティング法、スピンコ−ティング法、ロ−ルコ−ティング法、刷毛塗り、バ−コ−ティング法、スポンジ塗り等の方法が好適に利用できる。
【0039】表面に適用された後組成物は乾燥又は硬化され、薄膜とされる。乾燥又は硬化の過程でシリカ前駆体はシリカとなる。ここで乾燥は自然乾燥又は加熱による乾燥のいずれであってもよく、さらに前駆体がシリカになる限りにおいて紫外線照射等による重合反応を生じさせてもよい。
【0040】
【実施例】エチルシリケ−ト(コルコ−ト社製エチルシリケ−ト40、溶質濃度40.2重量%、比重1.05)にメタノ−ル、硝酸水溶液を添加し、30度の温度で5時間加水分解させた後、ブルッカイト型酸化チタンゾル(固形分濃度10重量%、平均粒径15nm)、セリアゾル(日産化学製A−1、固形分濃度20.5重量%、平均粒径205nm)及びイソプロピルアルコ−ルを混入し、30度の温度で2時間混合し固形分3重量%溶液を作製した。さらにn−プロピルアルコ−ルで固形分0.5重量%に希釈後にフロ−コ−ティング法にてガラス基板上に塗布後室温硬化させて、酸化チタン、シリカ、セリアの重量比の異なる#1試料〜#9試料を作製した。各試料の室内照明下における酸化チタンの光励起による親水化/親水維持効果を確認するために150度の温度での熱処理及び超音波照射により一旦各試料の水との接触角を上昇させた後、白色蛍光灯(東芝製、20W、FL20SS・W/18)により試料表面に照度0.01mW/cm2及び0.001mW/cm2の紫外線を照射し水との接触角の時間的変化を測定した。結果を表1に示す。表1よりいずれの組成においても、照度0.01mW/cm2及び0.001mW/cm2において光励起による親水化/親水維持効果が確認された。
【0041】
【表1】


【0042】
【発明の効果】本発明によれば、室内照明等に含まれる微弱な紫外線照射でも光半導体の光励起による部材表面の親水化/親水維持効果が発揮されるようになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材表面に、光半導体と、シリカと、シリカ以外の無機酸化物を含む層が形成されており、前記光半導体の光励起に応じて部材表面が親水化されることを特徴とする親水性部材。
【請求項2】 基材表面に、光半導体と、シリカと、セリアを含む層が形成されており、前記光半導体の光励起に応じて部材表面が親水化されることを特徴とする親水性部材。
【請求項3】 透明基材表面に、光半導体と、シリカと、シリカ以外の無機酸化物を含む層が形成されており、前記光半導体の光励起に応じて部材表面が親水化されることを特徴とする防曇性部材。
【請求項4】 透明基材表面に、光半導体と、シリカと、セリアを含む層が形成されており、前記光半導体の光励起に応じて部材表面が親水化されることを特徴とする防曇性部材。
【請求項5】 鏡基材表面に、光半導体と、シリカと、シリカ以外の無機酸化物を含む層が形成されており、前記光半導体の光励起に応じて部材表面が親水化されることを特徴とする防曇性部材。
【請求項6】 鏡基材表面に、光半導体と、シリカと、セリアを含む層が形成されており、前記光半導体の光励起に応じて部材表面が親水化されることを特徴とする防曇性部材。
【請求項7】 基材表面に、光半導体と、シリカと、シリカ以外の無機酸化物を含む層が形成されており、前記光半導体の光励起に応じて部材表面が親水化され、水洗により表面付着堆積物が洗い流されるようになることを特徴とする防汚性部材。
【請求項8】 基材表面に、光半導体と、シリカと、セリアを含む層が形成されており、前記光半導体の光励起に応じて部材表面が親水化され、水洗により表面付着堆積物が洗い流されるようになることを特徴とする防汚性部材。
【請求項9】 基材表面に、光半導体と、シリカと、シリカ以外の無機酸化物を含む層が形成されており、前記光半導体の光励起に応じて部材表面が親水化されて、付着水が一様に広がって乾燥されやすくなることを特徴とする易乾燥性部材。
【請求項10】 基材表面に、光半導体と、シリカと、セリアを含む層が形成されており、前記光半導体の光励起に応じて部材表面が親水化されて、付着水が一様に広がって乾燥されやすくなることを特徴とする易乾燥性部材。
【請求項11】 さらに、銀、銅、パラジウム、白金、ロジウム、プラチウム、ルテニウム、金、亜鉛、コバルト、鉄、ニッケル、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム又はそれら金属の化合物の群から選ばれる1種以上が添加されていることを特徴とする請求項1〜10に記載の部材。
【請求項12】 さらに、シリコ−ン、シリコ−ンの前駆体、シリカの前駆体の群から選ばれる1種以上が添加されていることを特徴とする請求項1〜11に記載の部材。
【請求項13】 さらに、ヒドロキシアルコキシセルロ−ス、 ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルアルコール−ポリ酢酸ビニル共重合体、ウレタン、アミノ基含有縮合物等の水溶性樹脂を含有してなる請求項1〜12に記載の部材。
【請求項14】 さらに、層状酸化物、アパタイト、ゼオライト、活性炭、金属酸化物ゲル、金属水酸化物ゲル、ヒドロキシアパタイト、リン酸金属塩の群から選ばれる1種以上が添加されていることを特徴とする請求項1〜13に記載の部材。
【請求項15】 基材表面に酸化チタンからなる光半導体とシリカとセリアを含む層が形成された部材を準備する工程、前記光半導体に可視光と紫外線の双方を発光する室内照明からの光を照射する工程を含む部材表面の親水化/親水維持方法。
【請求項16】 前記室内照明に含有される紫外線の照度は、0.01mW/cm2以下であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】 前記室内照明に含有される紫外線の照度は、0.001mW/cm2以下であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】 光半導体と、シリカ又はその前駆体と、シリカ以外の無機酸化物を含んでなり、基材に塗布後に、前記光半導体を光励起させることにより、それに応じて部材表面を親水化/親水維持可能とすることを特徴とする親水性塗料組成物。
【請求項19】 光半導体と、シリカ又はその前駆体と、セリアを含んでなり、基材に塗布後に、前記光半導体を光励起させることにより、それに応じて部材表面を親水化/親水維持可能とすることを特徴とする親水性塗料組成物。
【請求項20】 光半導体と、シリカ又はその前駆体と、シリカ以外の無機酸化物を含んでなり、基材に塗布後に、前記光半導体を光励起させることにより、部材表面を親水化/親水維持可能とすることを特徴とする防曇性塗料組成物。
【請求項21】 光半導体と、シリカ又はその前駆体と、セリアを含んでなり、基材に塗布後に、前記光半導体を光励起させることにより、それに応じて部材表面を親水化/親水維持可能とすることを特徴とする防曇性塗料組成物。
【請求項22】 光半導体と、シリカ又はその前駆体と、シリカ以外の無機酸化物を含んでなり、基材に塗布後に、前記光半導体を光励起させることにより、部材表面を親水化/親水維持可能とし、以て水洗により表面付着堆積物が洗い流されるようになることを特徴とする防汚性塗料組成物。
【請求項23】 光半導体と、シリカ又はその前駆体と、セリアを含んでなり、基材に塗布後に、前記光半導体を光励起させることにより、部材表面を親水化/親水維持可能とし、以て水洗により表面付着堆積物が洗い流されるようになることを特徴とする防汚性塗料組成物。
【請求項24】 光半導体と、シリカ又はその前駆体と、シリカ以外の無機酸化物を含んでなり、基材に塗布後に、前記光半導体を光励起させることにより、部材表面を親水化/親水維持可能とし、以て付着水が一様に広がって乾燥されやすくなることを特徴とする易乾燥性塗料組成物。
【請求項25】 光半導体と、シリカ又はその前駆体と、セリアを含んでなり、基材に塗布後に、前記光半導体を光励起させることにより、部材表面を親水化/親水維持可能とし、以て付着水が一様に広がって乾燥されやすくなることを特徴とする易乾燥性塗料組成物。
【請求項26】 さらに、銀、銅、パラジウム、白金、ロジウム、プラチウム、ルテニウム、金、亜鉛、コバルト、鉄、ニッケル、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム又はそれら金属の化合物の群から選ばれる1種以上が添加されていることを特徴とする請求項18〜25に記載の塗料組成物。
【請求項27】 さらに、シリコ−ン、シリコ−ンの前駆体、シリカの前駆体の群から選ばれる1種以上が添加されていることを特徴とする請求項18〜26に記載の塗料組成物。
【請求項28】 さらに、ヒドロキシアルコキシセルロ−ス、ポリビニルアルコ−ル、ウレタン、アミノ基含有縮合物等の水溶性樹脂を含有してなる請求項18〜27に記載の塗料組成物。
【請求項29】 さらに、層状酸化物、アパタイト、ゼオライト、活性炭、金属酸化物ゲル、金属水酸化物ゲル、ヒドロキシアパタイト、リン酸金属塩の群から選ばれる1種以上が添加されていることを特徴とする請求項18〜28に記載の塗料組成物。

【公開番号】特開平11−172239
【公開日】平成11年(1999)6月29日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−363031
【出願日】平成9年(1997)12月12日
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)