説明

観察機器保持アセンブリを備える光学トロカール

【課題】腹膜または他の身体部分の貫通を直接的に観察するための光学トロカールを備えた外科手術用システムを提供すること。
【解決手段】内視鏡を受けとって、組織を通る通過の間の視覚化を可能にするための光学アクセス装置であって、該装置は、アクセス部材;ロッキングコレット;および手動部材を備える。このアクセス部材は、体組織を通る挿入のための寸法にされており、このアクセス部材は、長手方向軸を規定し、かつ内視鏡を受け取るための長手軸方向の開口部を有し、このアクセス部材は、組織を通る通過に適合した閉じた貫通端部を有し、この閉じた貫通端部は、透明であって該内視鏡による組織の視覚化を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(1.技術分野)
本発明は、体組織の貫通のための装置に関する。より詳細には、本発明は、光学トロカール内に内視鏡、腹腔鏡、または外科手術用器具を選択的に固定して、腹膜または他の体組織の貫通の間の視覚化を提供するための観察機器(scope)保持機構を備えた光学トロカールに関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の背景)
内視鏡外科手術手順においては、外科手術は、小さな切開部を通して、または皮膚における小さな入口創傷を通して挿入された狭い内視鏡チューブ(カニューレ)を通して、身体の任意の中空内臓において行われる。腹腔鏡手順においては、外科手術は、腹の内部において行われる。腹腔鏡手順および内視鏡手順ではしばしば、外科医が、切開部から遠く離すために器官、組織および脈管に働きかけることが必要となり、それにより、このような手順において用いられるあらゆる器具が、遠隔操作を可能にするに充分なサイズおよび長さであることが必要となる。代表的には、外科手術領域に吹き込みが行われた後、トロカールを用いて体腔に穿刺し、このトロカールは、腹腔鏡手順の間に使用するために適所に残るカニューレを備える。一般に、トロカールは、体腔を貫通するための鋭い先端を有する、スタイレットまたは閉塞具を備える。公知のトロカールの一例は、同一出願人に譲渡された、Mollに対する米国特許第4,601,710号に記載される。最も最近用いられているトロカールは、組織との不注意の接触を回避するために保護チューブまたは先端の相対的後退に依存している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,601,710号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
腹膜または他の身体部分の貫通を直接的に観察するための光学トロカールを備えた外科手術用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
従って、本開示は、外科手術手順(好ましくは腹腔鏡手順)の間の体組織のアクセス/貫通のさらなる改善に関する。本開示は、腹膜または他の身体部分の貫通を直接的に観察するための光学トロカールを備えた外科手術用システムに関する。光学トロカールは、光学トロカール内に配置された内視鏡または腹腔鏡の画像化システムへと光学画像を通過させるための透明な窓を備える。さらに、本発明は、体組織の貫通のための改善された貫通端部を提供する。
【0006】
1つの好ましい実施形態では、内視鏡を受け取って組織を通る通過の間の視覚化を可能にするための光学アクセス装置は、体組織を通る挿入のための寸法にされたアクセス部材を備える。このアクセス部材は、長手方向軸を規定し、かつ内視鏡を受け取るための長手軸方向の開口部を有する。このアクセス部材は、組織を通る通過に適合した閉じた貫通端部を有する。この閉じた貫通端部は、透明であって、内視鏡による組織の視覚化を可能にする。この光学アクセス装置は、このアクセス部材の長手方向軸に対して同軸に備え付けられたロッキングコレットおよびこのロッキングコレットに隣接してロッキングコレットと作動可能で係合可能に備え付けられた手動部材をさらに備える。このロッキングコレットは、内部通路を規定してこの内視鏡の通過を可能にする内表面を有する。この手動部材は、このロッキングコレットの内部通路の内部寸法を小さくしてこのロッキングコレットの内表面をこの内視鏡と堅く係合させるための長手方向軸を中心とした回転運動に適合している。この手動部材は、このロッキングコレットの少なくとも部分的な受け取りのための中心開口部を規定してもよい。
【0007】
1つの実施形態では、このロッキングコレットは、この長手方向軸に対する回転運動に適合しており、それにより、この手動部材の回転運動により、このロッキングコレットは、相応に回転する。このロッキングコレットは、この手動部材に対する長手軸方向の動きにさらに適合している。好ましくは、このロッキングコレットおよびこの手動部材は、対応するカム表面(camming surface)を備え、それにより、この手動部材に対するこのロッキングコレットの長手軸方向の動きの際に、このカム表面は協働して、このロッキングコレットのこの内部通路の内部寸法が小さくなる。このロッキングコレットの回転運動の際のロッキングコレットの長手軸方向の動きをもたらすためのカムスロット手段もまた提供され得る。
【0008】
代替の実施形態では、このロッキングコレットは、このアクセス部材に対して固定されており、それにより、この手動部材は、このロッキングコレットを中心として回転するに適合している。このロッキングコレットおよび手動部材は、対応するカム表面を備え、それにより、このコレットに対するこの手動部材の回転運動の際に、このカム表面が協働して、このロッキングコレットの内部通路の内部寸法が小さくなる。
【0009】
この貫通端部は、対向した凹面および対向した凸面を有するテーパー状の構成を規定する。この交互の凹部と凸部との関係により、組織を通る通過を促進する減少する輪郭が提供される。
【0010】
本開示はまた、内視鏡およびこの内視鏡の受け取りのための光学アクセス装置を備える外科手術用システムに関する。この光学アクセス装置は、長手方向軸を規定するハウジング、このハウジングに対して備え付けられており、かつこの長手方向軸に対して同軸に備え付けられ、かつこの内視鏡の通過を可能にする内部通路を規定する内表面を有する、ロッキングコレット、およびこのロッキングコレットを中心として同軸に備え付けられた手動部材を備える。この手動部材は、このロッキングコレットを圧縮して、このロッキングコレットのこの内部通路の内部寸法を小さくするための、この長手方向軸を中心とした回転運動に適合しており、それにより、このロッキングコレットの内表面をそれらの摩擦係合においてこの内視鏡と堅く係合させる。この光学アクセス装置はまた、細長アクセス部材を備えており、この細長アクセス部材は、このハウジングから延びており、この内視鏡を受け取るための長手軸方向の開口部を有する。このアクセス部材は、組織を通るのに適合した閉じた貫通端部を有する。この閉じた貫通端部は透明であり、この内視鏡による組織の視覚化を可能にする。
【0011】
1つの実施形態では、このロッキングコレットは、この長手方向軸に対する回転運動および長手軸方向の運動に適合しており、それにより、この手動部材の回転運動により、このロッキングコレットは長手軸方向に回転および移動する。この手動部材は好ましくは、圧縮性内表面を備えており、この圧縮性内表面は、このロッキングコレットのこの内部通路の内部寸法を小さくするこのロッキングコレットの長手軸方向の動きの間にこのロッキングコレットと係合するのに適合している。
【0012】
別の実施形態では、このロッキングコレットは、このハウジング内に固定されており、この手動部材は、このロッキングコレットを中心とした回転に適合している。この手動部材は、圧縮性内表面を備えており、この圧縮性内表面は、このロッキングコレットの内部通路の内部寸法を小さくするこの手動部材の回転運動の間にこのロッキングコレットと係合するのに適合している。この手動部材は、内部カムシェルフを備える。この内部カムシェルフは、この手動部材の初期位置にあるときはロッキングコレットの外凹部内に収容され、それにより、作動位置へのこの手動部材の回転運動の際に、このカムシェルフは、溝を越えてこのロッキングコレットの外部カム表面と係合する。
【0013】
このシステムを使用する方法もまた開示される。
【0014】
(要約)
内視鏡を受けとって、組織を通る通過の間の視覚化を可能にするための光学アクセス装置は、体組織を通る挿入のための寸法にされたアクセス部材を備える。このアクセス部材は、長手方向軸を規定し、かつ内視鏡を受け取るための長手軸方向の開口部を有する。このアクセス部材は、組織を通る通過に適合した閉じた貫通端部を有する。この閉じた貫通端部は透明であり、内視鏡による組織の視覚化を可能にする。この光学アクセス装置は、このアクセス部材の長手方向軸に対して同軸に備え付けられたロッキングコレット、およびこのロッキングコレットに隣接してロッキングコレットと作動可能で係合可能に備え付けられた手動部材をさらに備える。このロッキングコレットは、外科的器具の通過を可能にする内部通路を規定する内表面を有する。この手動部材は、このロッキングコレットの内部通路の内部寸法を小さくしてこのロッキングコレットの内表面をこの外科的器具と堅く係合させるための、この長手方向軸を中心とした回転運動に適合している。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する:
(項目1)
内視鏡を受けとって、組織を通る通過の間の視覚化を可能にするための光学アクセス装置であって、該装置は:
アクセス部材であって、該アクセス部材は、体組織を通る挿入のための寸法にされており、該アクセス部材は、長手方向軸を規定し、かつ内視鏡を受け取るための長手軸方向の開口部を有し、該アクセス部材は、組織を通る通過に適合した閉じた貫通端部を有し、該閉じた貫通端部は、透明であって該内視鏡による組織の視覚化を可能にする、アクセス部材;
ロッキングコレットであって、該ロッキングコレットは、該アクセス部材の該長手方向軸に対して同軸に備え付けられており、該ロッキングコレットは、内部通路を規定して該内視鏡の通過を可能にする内表面を有する、ロッキングコレット;および
手動部材であって、該手動部材は、該ロッキングコレットに隣接して該ロッキングコレットと作動可能で係合可能に備え付けられており、該手動部材は、該ロッキングコレットの内部通路の内部寸法を小さくして該ロッキングコレットの該内表面を該内視鏡と堅く係合させるための、該長手方向軸を中心とした回転運動に適合している、手動部材
を備える、装置。
(項目2)
前記手動部材が、前記ロッキングコレットの少なくとも部分的な受け取りのための中心開口部を規定する、項目1に記載の光学アクセス装置。
(項目3)
前記ロッキングコレットが、前記長手方向軸に対する回転運動に適合しており、それにより、前記手動部材の回転運動により、該ロッキングコレットは相応に回転する、項目2に記載の光学アクセス装置。
(項目4)
前記ロッキングコレットが、前記手動部材に対する長手軸方向の動きに適合している、項目3に記載の光学アクセス装置。
(項目5)
前記ロッキングコレットおよび前記手動部材が、対応するカム表面を備え、それにより、該手動部材に対する該ロッキングコレットの長手軸方向の動きの際に、該カム表面が協働して、該ロッキングコレットの該内部通路の内部寸法が小さくなる、項目4に記載の光学アクセス装置。
(項目6)
前記ロッキングコレットの回転運動の際の該ロッキングコレットの長手軸方向の動きをもたらすためのカムスロット手段を備える、項目5に記載の光学アクセス装置。
(項目7)
前記ロッキングコレットが、前記アクセス部材に対して固定されている、項目2に記載の光学アクセス装置。
(項目8)
前記手動部材が、前記ロッキングコレットを中心とした回転に適合している、項目7に記載の光学アクセス装置。
(項目9)
前記ロッキングコレットおよび前記手動部材が、対応するカム表面を備え、それにより、該手動部材の回転運動の際に、該カム表面が協働して、該ロッキングコレットの前記内部通路の内部寸法が小さくなる、項目8に記載の光学アクセス装置。
(項目10)
前記貫通端部が、対向した凹面および対向した凸面を有するテーパー状の構成を規定する、項目1に記載の光学アクセス装置。
(項目11)
外科手術用システムであって、該外科手術用システムは:
内視鏡;および
該内視鏡の受け取りのための光学アクセス装置
を備え、
該光学アクセス装置は:
長手方向軸を規定する、ハウジング;
ロッキングコレットであって、該ロッキングコレットは、該ハウジングに対して備え付けられており、かつ該長手方向軸に対して同軸に備え付けられており、該ロッキングコレットは、該内視鏡の通過を可能にする内部通路を規定する内表面を有する、ロッキングコレット;
手動部材であって、該手動部材は、該ロッキングコレットを中心として同軸に備え付けられており、該手動部材は、該ロッキングコレットを圧縮して、該ロッキングコレットの該内部通路の内部寸法を小さくするための、該長手方向軸を中心とした回転運動に適合しており、それにより、該ロッキングコレットの内表面をそれらの摩擦係合において該内視鏡と堅く係合させる、手動部材;および
細長アクセス部材であって、該細長アクセス部材は、該ハウジングから延びており、該内視鏡を受け取るための長手軸方向の開口部を有し、該アクセス部材は、組織を通る通過に適合した閉じた貫通端部を有し、該閉じた貫通端部は、透明であって該内視鏡による組織の視覚化を可能にする、アクセス部材
を備える、外科手術用システム。
(項目12)
前記ロッキングコレットが、前記長手方向軸に対する回転運動および長手軸方向の運動に適合しており、それにより、該手動部材の回転運動により、該ロッキングコレットは長手軸方向に回転および移動する、項目11に記載の外科手術用システム。
(項目13)
前記手動部材が、圧縮性内表面を備えており、該圧縮性内表面は、前記ロッキングコレットの前記内部通路の内部寸法を小さくする該ロッキングコレットの長手軸方向の動きの間に該ロッキングコレットと係合するのに適合している、項目12に記載の外科手術用システム。
(項目14)
前記ロッキングコレットが前記ハウジング内に固定されている、項目11に記載の外科手術用システム。
(項目15)
前記手動部材が、前記ロッキングコレットを中心とした回転に適合している、項目14に記載の外科手術用システム。
(項目16)
前記手動部材が、圧縮性内表面を備えており、該圧縮性内表面は、前記ロッキングコレットの前記内部通路の前記内部寸法を小さくする該手動部材の回転運動の間に該ロッキングコレットと係合するのに適合している、項目15に記載の外科手術用システム。
(項目17)
前記手動部材が、内部カムシェルフを備え、該内部カムシェルフは、該手動部材の初期位置にあるときはロッキングコレットの外凹部内に収容され、それにより、作動位置への該手動部材の回転運動の際に、該カムシェルフが、溝沿いに移動して該ロッキングコレットの外部カム表面と係合する、項目16に記載の外科手術用システム。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、腹膜または他の身体部分の貫通を直接的に観察するための光学トロカールを備えた外科手術用システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、光学アクセス装置およびこのアクセス装置内への挿入のための内視鏡を図示する、本開示の原理に従った外科手術用システムの斜視図である。
【図2】図2は、図1の実施形態に従った、外科手術用システムの光学アクセス装置の斜視図である。
【図3】図3は、アクセス部材およびハウジングの構成要素を図示する、図1〜図2の実施形態に従った光学アクセス装置の部品を分離した斜視図である。
【図4】図4は、初期位置の手動部材およびコレットを図示する、図1〜図3の実施形態に従った、そして図2の線4−4に沿って得た、光学アクセス装置の側面断面図である。
【図5】図5は、図1〜図4の実施形態に従った、図2の線5−5に沿って得た、光学アクセス装置の側面断面図である。
【図6】図6は、図1〜図5の実施形態に従った、光学アクセス装置のアクセス部材の貫通端部の拡大斜視図である。
【図7】図7は、図1〜図5の実施形態に従った、光学アクセス装置のアクセス部材の貫通端部の拡大斜視図である。
【図8】図8は、初期状態の手動部材を図示する、図1〜図7の実施形態に従った、内視鏡がその内部に配置された光学アクセス装置の拡大斜視図である。
【図9】図9は、図1〜図8の実施形態に従った、光学アクセス装置内に内視鏡が配置された、図4の図と類似の側面断面図である。
【図10】図10は、図1〜図9の実施形態に従った、内視鏡を固定する作動位置にある光学アクセス装置の手動部材を図示する、図8の図と類似の図である。
【図11】図11は、図1〜図10の実施形態に従った、作動位置への手動部材の動きの際に内視鏡を固定するコレットをさらに図示する、図9の図と類似の図である。
【図12】図12は、光学アクセス装置内に配置されており体組織にアクセスしている内視鏡を図示する斜視図である。
【図13】図13は、本開示のシステムとともに使用するための代替の光学アクセス装置の斜視図である。
【図14】図14は、アクセス部材およびハウジングの構成要素を図示する、図13の実施形態に従った光学アクセス装置の部品を分離した斜視図である。
【図15】図15は、図13〜図14の実施形態に従った光学アクセス装置の細長部材に備え付けられたコレットの斜視図である。
【図16】図16は、手動部材のカム表面を図示する、図13〜図15の実施形態に従った光学アクセス装置の手動部材の斜視図である。
【図17】図17は、初期状態にある手動部材を図示する、図13〜図16の実施形態に従った、内視鏡をその内部に配置した光学アクセス装置の拡大斜視図である。
【図18】図18は、初期位置の手動部材を図示する、図13〜図17の実施形態に従った、その内部に内視鏡が配置された、光学アクセス装置の側面断面図である。
【図19】図19は、初期位置の手動部材をさらに図示する、図13〜図18の実施形態に従った、光学アクセス装置のハウジングの軸方向断面図である。
【図20】図20は、図13〜図19の実施形態に従った、作動位置への手動部材の動きを図示する、図17の図と類似の図である。
【図21】図21は、図13〜図20の実施形態に従った、作動位置への手動部材の動きをさらに図示する、図18の図と類似の図である。
【図22】図22は、図13〜図21の実施形態に従った、作動位置への手動部材の動きをさらに図示する、図19の図と類似の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付の図面は、本明細書に援用されて本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を図示し、上記に提供した開示の一般的記載および以下に提供する実施形態の詳細な説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0019】
(好ましい実施形態の説明)
ここで図1を言及すると、本開示による外科手術用システムが図示される。システム10は、2つの構成要素、すなわち、光学アクセス装置100およびこのアクセス装置100の中に配置される内視鏡200を備える。システム10は、腹腔鏡手順の間に腹腔にアクセスする際に特定の用途を有する。内視鏡200は、光学アクセス装置100内に配置され、そして組み立てられたユニットは、切開部を通して体腔内へと進められる。組織内での前進の間、内視鏡200は、隣接組織の絶え間ない視覚化を可能にし、それにより、下にある(underlying)何らかの器官との所望でない接触または係合をも防ぎながら、体腔内に入った際の確認を提供する。あるいは、内視鏡200は、光学アクセス装置100が体腔内に前進した後に光学アクセス装置100内に配置され得る。
【0020】
内視鏡200は、内視鏡用途に適した任意の従来の観察機器であり得、例えば、腹腔鏡、関節鏡、結腸鏡などが挙げられる。1つの好ましい実施形態では、内視鏡200は、同一出願人に譲渡されたLeinerに対する米国特許第5,412,504号に開示される観察機器であり得る。米国特許第5,412,504号の開示内容全体は、本明細書中に参考として援用される。内視鏡200は、遠位レンズまたは対物レンズから、外科医によって観察されるように、接眼レンズまたはモニターを通して対象の画像を伝送し得る、光学縦列またはレンズ配置を組み込む。従って、図1は、接眼レンズがその近位端にある内視鏡200を示すが、この内視鏡200は、さらにまたはあるいは、モニターに接続されてもよい。内視鏡200のさらなる詳細は、米国特許第5,412,504号特許を参照して確認され得る。
【0021】
ここで図2〜図4を言及して、システム10の光学アクセス装置100を考察する。アクセス装置100は、いくつかの組み立てられた構成要素からなるハウジング102、およびハウジング102から遠位に延びる細長部材104を備える。アクセス装置100は、長手方向軸”a”を規定する。1つの実施形態では、ハウジング102は、以下の構成要素を組み込む:手動で操作される部材106、手動部材106内に配置されるコレット108、スカート110およびハウジングプレート112。認識されるように、これらの構成要素は一緒に組み立てられて、単一ユニットを規定し、この単一ユニットは続いて、細長部材またはアクセス部材104に取り付けられる。
【0022】
手動部材106は、長手方向軸”a”を中心として回転して、アクセス装置100内の所望の長手軸方向の位置において内視鏡200を固定するのに適合している。これに関して、手動部材106は、有利には外科医によって把持される寸法にされた外部スカロップ(scalloped)表面114を規定する。手動部材106は、コレット108を少なくとも一部受け取る、手動部材106を通って延びる中心開口部116、および間隔を置いて長手方向軸”a”を中心として配置される、軸に付属する複数のタブ118を有する。タブ118は、手動部材106をスカート110へと備え付けるためにスカート110と係合可能である。手動部材106はまた、中心開口部116に隣接した、正反対に位置した一対の内部軸スロット120を規定する。手動部材106は、傾斜した、例えば、円錐台形の(frusto−conical)内部カム表面122を手動部材106の遠位端に有する。
【0023】
依然として図2〜図4を言及すると、コレット108は、近位カラー124を備え、近位カラー124は、部分スロット126によってカラーセクション124aへと分離または分割されている。近位カラー124の外面は、傾斜した表面またはカム表面128を規定し、これは、装置100の長手方向軸”a”に対して斜めに配置されている。認識されるように、カラーセクション124aは、軸”a”に対して半径方向に内向きに偏向(deflect)して、それぞれ、手動部材106のカム表面122、128およびコレット108の協働によって、内視鏡200と摩擦係合するように適合される。コレット108はさらに、正反対に位置した一対のカムピン130を規定する。カムピン130は、手動部材106の軸スロット120内に受け取られ、手動部材106の回転の際に軸運動をコレット108に提供する。カムピン130は、スロット120内に保持され、そして手動部材106およびコレット108の回転運動の際にスロット120沿いに長手軸方向に移動する。
【0024】
ここで図2〜図5を参照すると、スカート110は、中間の傾斜した壁136によって相互接続された、近位または上方の環状壁132および下方の環状壁134を備える。スカート110は、内部肩部138(図5)を規定し、内部肩部138は、軸”a”に対して横に延びる。肩部138は、構成要素が組立られた状態において、手動部材106のロッキングタブ118(具体的には、ロッキングタブ118の横シェルフ118a)と係合して、スカート110と手動部材106とを固定する。図5は、ロッキングタブ118と肩部138との関係を詳細に図示する。スカート110は、傾斜した壁136を通って延びる複数の矩形形状の開口部140をさらに規定する。
【0025】
ハウジングプレート112は、長手方向軸”a”とほぼ整列した中心開口部142および軸タブ144を備える。タブ144は、スカート110の矩形開口部140内で受け取られてハウジングプレート112をスカート110へと固定するシェルフ144aを保有する。図4は、ハウジングプレート112のタブ144とスカート110の矩形開口部140との関係を詳細に図示する。ハウジングプレート112は、複数の内部突出部146をさらに規定する。突出部146は、プレート112を細長部材104へと固定して、細長部材104に対するプレート112の回転運動を妨げるのを補助する。
【0026】
依然として図2〜図5を言及して、細長部材またはアクセス部材104を考察する。細長部材104は、その近位端に隣接するフランジ148を備える。フランジ148は、ほぼディスク形状であり、2つの対向した半径方向スロット150を規定する。半径方向スロット150は、構成要素が組立られた状態においてプレート112の突出部146を収容して、構成要素を回転固定する。示すように、フランジ148は、ハウジング102内に組み立てられたときにハウジングプレート112に止まる。細長部材104はさらに、一対の角のあるカムスロット152をさらに規定し、カムスロット152は、フランジ148の近位の細長部材104の壁を完全に通って延びる。カムスロット152は、コレット108のカムピン130を受け取り、そして手動部材106およびコレット108の回転運動の際にピン130がスロット152沿いに移動するのを可能にする寸法にされている。認識されるように、コレット108のこの回転運動の間に、コレット108は、カムスロット152の傾斜した配置により、細長部材104に対してほぼ下方の方向に導かれる。細長部材104は、フランジ146の近位の、細長部材104の内表面に一対の部分的に角のある内部溝154をさらに規定する。溝154は、細長部材104内のコレット108の挿入の間にコレット108のカムピン130を受け取ることにより、細長部材104内でのコレット108の組立てを容易にする。
【0027】
ここで図6〜図7を言及して、細長部材104の遠位端部分を考察する。細長部材104は、貫通端部156を規定し、貫通端部156は、丸い先端部160を備える不規則形状の管嘴(nose)158を有することによって特徴付けられる。特に、管嘴158は、ほぼテーパー状であり、複雑な曲線配置を規定する構成にある。図6に示す管嘴158の第1の輪郭では、管嘴158は、対向した凹面162を備える。図7に示される通りの第2の輪郭(90℃回転した)では、管嘴158は、凸面164を規定する。この交互の凹部と凸部との配置により、従来の円錐形状の閉塞後と比較して(断面が)実質的に小さくなった輪郭が提供され、それにより、組織層を通る貫通能力または通過能力の向上が提供される。種々の曲率半径が意図される。丸い先端部160は、その弓状の構成により、組織の望ましくない穿孔または意図しない穿孔の可能性を最少にする。あるいは、所望の場合、組織をも穿孔するために、丸い先端部160がより鋭くなり得ることが想定される。
【0028】
貫通端部156は、実質的に中空であり、内視鏡200の遠位端を受け取る。貫通端部156は、光学ガラスまたは光学ポリマー材料を含めた生体適合性の透明な材料から製造され、そして細長部材104とは別個の構成要素であっても、または細長部材104と一体として(例えば、モノリシックに)形成されてもよい。細長部材104は、透明または不透明な材料(望ましくは、生体適合性の金属またはプラスチック)から製造され得る。貫通端部156は、組織を通る通過に適合されており、そしてまた、所望の場合、組織を通して切断または穿孔し得る。
【0029】
光学アクセス装置の構成要素は、任意の適切な生体適合性金属(例えば、ステンレス鋼およびチタンならびにその合金)を含み得る。あるいは、この光学アクセス装置は、ポリマー材料(例えば、ポリカーボネート、ポリスチレンなど)を含み得、そして公知の成形技術によって製造され得る。細長部材104は、その全長を通して透明であり得る。あるいは、細長部材104の貫通端部156のみが透明であり得る。
【0030】
システム10の用途および機能をここで考察する。腹腔鏡外科手術では、腹腔に適切な生体適合性ガス(例えば、COガス)を吹き込んで体腔の吹き込みを行い、体腔壁をその中の内部器官から離して持ち上げる。吹き込みは、当該分野で通常行われるように、吹き込み針または類似のデバイスを用いて実施され得る。その後、腹腔の外部表皮表面に切開部が作製される。切開部は好ましくは小さく、例えば、2mm〜7mmの範囲内であり、メス等を用いて作製され得る。その後、システム10の内視鏡200は、光学アクセス装置100内に配置され、そして内視鏡200の遠位窓が細長部材104の管嘴158に隣接するように前進される。図8〜図9は、光学アクセス装置10内の内視鏡200の関係を図示する。図8〜図9では、手動部材106およびコレット108は初期位置にあり、内視鏡200が細長部材104内を前進するのを可能にする。内視鏡200がアクセス装置100内の所望の位置にあるならば(例えば、内視鏡200の遠位対象物が細長部材104の管嘴158内にあるかまたは管嘴158と隣接しているならば)、以下に考察するとおりに保持機構を操作することによって、内視鏡200は、所望の位置で固定される。
【0031】
ここで図10〜図11を参照して、内視鏡200を固定するために、手動部材106は、方向指示矢印”Z”の方向に回転される。手動部材106の回転は、手動部材106の内部スロット120内でのコレット108のカムピン130の受け入れ配置により、コレット108の対応する回転を引き起こす。コレット108の回転と同時に、カムピン130は、細長部材104のカムスロット152沿いに移動し、これにより、方向指示矢印”B”により示されるとおり、遠位方向または下方方向にコレット108を導く。カムピン130はまた、手動部材106の内部スロット120沿いに移動(すなわち、遠位長手軸方向に移動)して、コレット108を、手動部材106に対して遠位に移動させることに留意されたい。コレット108の遠位移動の間に、手動部材106のカム表面122はカラーセクション124aのカム表面128と協働してカラーセクション124aを内向きに曲げて、内視鏡200を圧縮係合させて、内視鏡200をアクセス装置100内に摩擦により固定させる。
【0032】
図12を参照すると、次いで、細長部材104の管嘴158を切開部内に配置し、この切開部および下にある組織構造を通してシステム10を前進させることにより、組み立てたシステム10を小さな切開部”i”内に導入する。管嘴158は、望ましくは非外傷性様式で、その経路に沿って組織を貫通して切開するように、有利な寸法にされる。システム10の前進の間、内視鏡200を利用してこのシステムが前進する経路をみて、下にある何らかの組織または器官部位がアクセス装置100と接触することを防ぐことを確実にし、そしてまた、体腔内に入ることを確認する。一旦システム10が、腹腔に対して所望の位置に配置されたら、内視鏡200を用いて、体腔内で実施される所望の外科手術手順をモニタリングし得る。あるいは、アクセス装置100を用いて組織を貫通した後、内視鏡200をアクセス装置100内に挿入して固定し得る。
【0033】
ここで図13〜図15を言及すると、本開示のシステム10において使用するための光学アクセス装置の代替の実施形態が図示される。光学アクセス装置300は、図1〜図12のアクセス装置100と実質的に類似であり、ハウジング302および細長部材304を保有する。ハウジング302は、手動部材306、コレット308、スカート310、フランジ延長部312およびハウジングプレート314からなり、これらの構成要素が一緒に組み立てられて、単一のユニットを規定する。手動部材306は、アクセス装置100の手動部材106と実質的に同一であるが、図16に最もよく示される通りの内部カムシェルフ316(4つ示す)をさらに規定する。内部カムシェルフ316は、上記のアクセス装置100の手動部材106のカム表面122の代わりとなる。手動部材306は、長手方向軸”a”を中心としてコレット308に対して回転するのに適合している。この実施形態では、コレット308は、ハウジング302内に止まっている。すなわち、コレット308は、手動部材306と一緒に回転するわけではない。
【0034】
図14〜図15に最もよく示されるように、コレット308は、近位カラー318を備え、近位カラー318は、隣接するセクション318aがスロット320によって隔てられた4つのカラーセクション318aを有する。(図15では、ハウジング302を、コレット308に備え付けられた手動部材306なしに示す。)各カラーセクション318aは、隣接するカラーセクション318aのそれぞれの溝322が、隣接するセクション318aにまたがる凹部を実際に規定するような様式で配置された対向した外溝322を有する。溝または凹部322は、手動部材306の初期位置にあるとき、手動部材306のカムシェルフ316を収容する。外側カム表面318bは、溝322の間で規定される。認識されるように、手動部材306の回転の間、手動部材306のカムシェルフ316は溝322に沿って移動し、そしてカム表面318bと係合して、カラーセクション318aを内向きに付勢して、内視鏡200としっかりと係合する。コレット318はさらに、その外面に下方スロット324を備え、下方スロット324は、コレット318をハウジング302内に固定するのに役立つ。
【0035】
ここで、図13〜図14とともに図17〜図19を言及すると、スカート310およびハウジングプレート314は、図1〜図12の実施形態の対応する対応物と実質的に同一であり、そしてそれらの構造および機能の詳細な説明については上記の記載が参照される。しかし、この実施形態では、ハウジングプレート314が2対の突出部146を備えることに留意されたい。ハウジングプレート314の突出部146は、コレット308を固定してコレット308の回転運動を妨げるために、コレット308の下方スロット324内に受け取られる。
【0036】
フランジ延長部312は、図1〜図12の実施形態のフランジの代わりとなり、そして機械的手段によって細長部材304へと取り付けられる別の構成要素である。フランジ延長部312は、フランジプレート326およびフランジプレート326から延びるフランジカラー328を備える。フランジカラー328は、内視鏡200の通過を可能にする中心開口部330を規定する。フランジカラー328は、内部シェルフ332を備え、内部シェルフ332は、細長部材304の近位端部において対応する開口部334内に受け取られて、フランジ延長部312を細長部材304へと固定する(図18)。フランジプレート326は、ハウジングプレート314上で止まり、そしてその周縁部の複数の矩形溝336、およびフランジカラー328との交点における複数のスペーサー338を規定する。溝336は、ハウジングプレート314から延びるロッキングタブ340の一部を収容する。スペーサー338は、コレット308を整列するのに役立つ。フランジプレート328は、2対の対向したスロット342を有し、スロット342は、ハウジングプレート314の突出部146を収容する。
【0037】
図13〜図14を再度参照すると、細長部材304は、図1〜図12の実施形態の細長部材104と実質的に同一であるが、別の貫通端部344を組み込む。これに関して、貫通端部344は、従来手段によって細長部材304に取り付けられる。従来手段としては、接着剤、セメント、差込みカップリング、または好ましい実施形態では、細長部材304内に延びる複数の内部突出部346からなるスナップフィット配置が挙げられる。内部突出部346は、細長部材304の相応の寸法にされた開口部348内に受け取られる。貫通端部を接続するための他の手段もまた想定される。貫通端部344は、本明細書中上記に考察される通り透明であり、そして好ましくは、図1〜図12の実施形態の貫通端部と構成が同一である。
【0038】
ここで図20〜図22を言及して、光学アクセス装置300の機能および用途を考察する。腹腔に吹き込みを行い、そして切開部を表皮組織内に形成する。内視鏡200はアクセス装置300内に配置され、そして内視鏡の遠位端部が貫通端部344内に配置される部分へと前進される。手動部材306は、長手方向軸”x”を中心として、回転矢印”m”の方向に、コレット308に対して回される。この動きの間、コレット308は、静止したままであるが、手動部材306の内部カムシェルフ316は、コレット308の溝322に沿って移動して、カラーセクション318aの外側カム表面318bと係合する。このカム作用により、カラーセクション318aが図21および図22に示される位置へと内向きに導かれる。この位置では、カラーセクション318aは、内視鏡200と堅く係合する。次いで、このシステム10は、図1〜図12の実施形態に記載の様式と類似の様式で用いられる。あるいは、アクセス装置が組織を貫通した後に、内視鏡200は、アクセス装置300内に挿入され、そして固定される。
【0039】
本明細書中に開示される実施形態に対して種々の改変が行われ得ることが理解される。それゆえ、上記の記載は、限定すると解釈されるべきではなく、単に、好ましい実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の範囲および趣旨内にある他の改変を想定する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の装置は、外科手術手順(好ましくは腹腔鏡手順)において有用である。本発明の装置を用いれば、例えば、内視鏡による隣接組織の絶え間ない視覚化を可能にして、下にある何らかの器官との所望でない接触または係合を防ぎながら、体腔内に入った際に確認をすることができる。
【符号の説明】
【0041】
10 システム
100 光学アクセス装置
104 細長部材
106 手動部材
110 スカート
200 内視鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図13に示される光学アクセス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−245324(P2011−245324A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159975(P2011−159975)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【分割の表示】特願2006−100848(P2006−100848)の分割
【原出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】