説明

観賞魚用ガラス水槽の配管構造

【課題】配管をガラス板に貫通させても衝撃に対し十分な強度を持つ配管構造の提供。
【解決手段】ゲルシートにより円形透孔よりも大径に形成された2つの環状弾性パッキン8,9をガラス板3の外面で前記円形透孔の外周部および硬質弾性樹脂板の内面で貫通孔の外周部にそれぞれ配置し、雄型管継手10は貫通孔を貫通し得る雄螺子管部10bがフランジ部10aから突出するように形成されたものであり、雌型管継手11はフランジ部11b内に雄螺子管部が螺入し得る雌螺子管部11aが形成されたものであり、フランジ部11bを環状弾性パッキン8に密着させると共に、フランジ部10aと環状弾性パッキン9との間に滑動用ワッシャー12を介在させて雄螺子管部を貫通孔6に貫挿し、雄螺子管部の先端を雌螺子管部11aに合致させて雄型管継手を回転させることで、ガラス板と硬質弾性樹脂板とを両側から環状弾性パッキン8,9を介し挟着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱帯魚、金魚等の観賞魚用のガラス水槽であって、特に観賞魚を展示販売するために店舗内に設けるのに適したガラス水槽の配管構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
観賞魚用水槽は、透明なアクリル板またはガラス板により形成されているが、アクリル板は材料コストが高いと共に柔らかいために清掃時にブラシなどでスリ傷が付き易いという問題があった。また、ガラス板は材料コストが安く、固いためにスリ傷も付き難いという利点がある反面、外部から衝撃力が加わるとひび割れし易いという問題がある。従って、ガラス水槽の場合は、そのガラス板にオーバーフロー管や排水管、或いは給水管のような配管を貫通させる構造を採ると、衝撃に一層弱くなるため、従来のガラス水槽では、このようにガラス板に配管を貫通させることは、強度上の理由から困難であった。
なお、下記特許文献1、2に、従来の観賞魚用水槽が示され、特許文献1に示された観賞魚用水槽では、濾過装置を循環させるための配管や、排水管、給水管等を水槽の底面を貫通させているが、水槽の底面を貫通するようにこれらの配管をすると、水槽の製造コストを著しく上昇させるという問題があると共に、その取り扱い、移動等が容易でなくなるという問題がある。
【特許文献1】特開2000−125695号公報
【特許文献2】特開2007−166911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明は、水槽側面のガラス板に配管を貫通させても衝撃に対し十分な強度を持ち得る観賞魚用ガラス水槽の配管構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そのために本発明に係る観賞魚用ガラス水槽の配管構造は、水槽を構成する側面のガラス板に円形透孔を開設し、該円形透孔よりも少し小径の貫通孔が開設された硬質弾性樹脂板を該ガラス板の内面に粘着材を介在させることにより貼着し、自己粘着性を有するゲルシートにより前記円形透孔よりも大径に形成された2つの環状弾性パッキンを該ガラス板の外面で前記円形透孔の外周部および前記硬質弾性樹脂板の内面で前記貫通孔の外周部にそれぞれ配置し、一対のねじ込み式管継手は雄型管継手と雌型管継手とからなり、該雄型管継手は前記貫通孔を貫通し得る雄螺子管部がフランジ部から突出するように形成されたものであり、該雌型管継手はフランジ部に該雄螺子管部が螺入し得る雌螺子管部が形成されたものであり、該雌型管継手のフランジ部を一方の前記環状弾性パッキンに密着させると共に、前記雄型管継手のフランジ部と他方の前記環状弾性パッキンとの間に滑動用ワッシャーを介在させて該雄螺子管部を前記硬質弾性樹脂板の貫通孔に貫挿し、該雄螺子管部の先端を前記雌型管継手の雌螺子管部に合致させて該雄型管継手を回転させることで該雄螺子管部を該雌螺子管部に螺入し締結することにより、該雌型管継手のフランジ部と該雄型管継手のフランジ部とにより前記ガラス板と前記硬質弾性樹脂板とを両側からそれぞれ前記環状弾性パッキンを介し挟着してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ガラス板を貫通させた管継手から該ガラス板に衝撃が伝わり難くなるので、ガラス板が破損し難くなり、配管に多少の衝撃が加えられてもガラス板の破損を免れることができる。このため、排水管、オーバーフロー管のような配管をガラス板に貫通させることで、低コストで観賞魚用ガラス水槽を提供できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に本発明の実施形態を図面に従い説明する。図1は本発明に係るガラス水槽の配管構造の縦断面図、図2はその分解図、図3はこのガラス水槽を内側から見た斜視図、図4はこのガラス水槽の縦断面図である。このガラス水槽は、長方形状の底板1の四辺に直交継板部材2を介して厚さ3mm程度のガラス板3を立設して側面とすることにより構成されている。そして、図4に示したように、該ガラス板3の下方隅部寄り、および上方隅部寄りに、それぞれ円形透孔4を開設する。5は厚さ1.0〜1.5mm程の塩化ビニル製の平板からなる硬質弾性樹脂板で、該硬質弾性樹脂板には前記円形透孔4よりも少し小径の貫通孔6が予め開設され、該硬質弾性樹脂板は片面に粘着材7を塗着することによりガラス板3の内面に貼着される。
【0007】
このように円形透孔4はガラス板3の下方と上方に開設されているが、その配管構造は同じであるので、その一方を図1、図2に従い説明する。8,9は、一般に衝撃吸収材として使用されている自己粘着性を有するゲルシート(例えば、株式会社ポリシスにより製造されたハプラ、タックゲル等)からなる環状弾性パッキンで、この2つの該環状弾性パッキンはいずれも前記円形透孔4よりも大径のものである。そして、一方の環状弾性パッキン8をガラス板3の外面で前記円形透孔4の外周部に配置し、他方の環状弾性パッキン9を硬質弾性樹脂板5の内面で前記貫通孔6の外周部に配置する。
【0008】
10,11はプラスチック製の雄型管継手10と雌型管継手11とからなる一対のねじ込み式管継手で、雄型管継手10は六角筒状のフランジ部10aの片側に雄螺子管部10bが突出するように形成され、他側に円筒部10cが一体に形成されたものである。なお、雄螺子管部10bの外径寸法は前記貫通孔6を貫通し得るものとする。また、雌型管継手11は雌螺子管部11aの先端にフランジ部11bが形成され、該雌螺子管部11a内に前記雄螺子管部10bが螺入し得る雌螺子孔が形成され、該フランジ部11bの他側にはエルボ11cが一体に形成されたものである。
【0009】
そして、このガラス水槽の外側にて雌型管継手11のフランジ部11bを一方の環状弾性パッキン8に密着させると共に、ガラス水槽の内側にて雄型管継手10のフランジ部10aと他方の前記環状弾性パッキン9との間に厚さ1mm程度のステンレス製の平座金からなる滑動用ワッシャー12を介在させて該雄螺子管部10bを前記硬質弾性樹脂板5の貫通孔6に貫挿する。なお、このとき前記ガラス板3の円形透孔4は該貫通孔6より大径に形成されているので、図1に示したように、該雄螺子管部10bが該円形透孔4の内面に接触することはない。そして、該雄螺子管部10bの先端を雌型管継手11の雌螺子管部11aの開口端に合致させて該雄型管継手10bを所定方向に回転させることにより該雄螺子管部を該雌螺子管部11aに螺入し雄型管継手10と雌型管継手11を締結する。これにより、雌型管継手10のフランジ部10aと雄型管継手11のフランジ部11bとによりガラス板3と硬質弾性樹脂板5とを両側からそれぞれ前記環状弾性パッキン8,9を介し挟着することができる。なお、自己粘着性を有する環状弾性パッキン8,9は、衝撃吸収性が優れていると共に、密着性がよく水漏れを防ぐうえで好適であるが、雄型管継手10bを回転させる際に該環状弾性パッキン9に前記滑動用ワッシャー12が密着することで該雄型管継手10bを回転させることを可能ならしめている。従って滑動用ワッシャー12を介在させないとこの螺入は困難になる。
【0010】
なお、上方隅部寄りの円形透孔4に貫挿されたねじ込み式管継手は水槽中の余剰水を排出するためのオーバーフロー管と連なり、下方隅部寄りの円形透孔4に貫挿されたねじ込み式管継手は、水槽中の略々全水量を排出するための排水管と連なる。図5は、このようなオーバーフロー管18と排水管13とをこのガラス水槽に配管し、店舗にて熱帯魚、金魚等の観賞魚を展示販売するために、該ガラス水槽を複数設置するべく、展示用棚14上に多段に配置した例を示す。なお、15は排水管13の途中に設けられた開閉バルブである。また、16はオーバーフロー管18および排水管13を棚14の前面に止着するために設けられた止金具で、該止金具内には衝撃吸収部材17が挿入されている。このように止金具16によりオーバーフロー管18および排水管13を棚14に固定しておくことで、該オーバーフロー管18および排水管13に何らかの物が当たった際の衝撃で該オーバーフロー管18や排水管13が無用に動かないようにでき、その衝撃がそれぞれ上記ねじ込み式管継手に伝達するのを抑えることができる。そしてこのように、オーバーフロー管18や排水管13を水槽側面のガラス板を通して配管することにより、配管構造を簡略化できることからコストを軽減することができる。
【0011】
また、本発明では、雄螺子管部10bが該円形透孔4の内面に接触しないと共に、自己粘着性を有するゲルシートからなる環状弾性パッキン8,9が介在しているので、ねじ込み式管継手10,11に加わる衝撃が直接ガラス板3に伝達しない。しかも、該ガラス板3の内面には硬質弾性樹脂板5が粘着材7を介在させて貼着されているので、該硬質弾性樹脂板5がガラス板3と一体的になって広範囲でその衝撃を吸収し得る。このため、ねじ込み式管継手10,11に相当大きな衝撃が掛かってもガラス板3がひび割れ、破損することがなく、外力に対する強度を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る観賞魚用ガラス水槽の配管構造を示す縦断面図。
【図2】図1の分解図。
【図3】本発明に係る観賞魚用ガラス水槽の要部を水槽内面から見た斜視図。
【図4】本発明に係る観賞魚用ガラス水槽の縦断面図。
【図5】本発明に係る観賞魚用ガラス水槽の使用状態を示した斜視図。
【符号の説明】
【0013】
3 ガラス板
4 円形透孔
5 硬質弾性樹脂板
6 貫通孔
7 粘着材
8,9 環状弾性パッキン
10 雄型管継手
10a フランジ部
10b 雄螺子管部
11 雌型管継手
11a 雌螺子管部
11b フランジ部
12 滑動用ワッシャー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽を構成する側面のガラス板に円形透孔を開設し、該円形透孔よりも少し小径の貫通孔が開設された硬質弾性樹脂板を該ガラス板の内面に粘着材を介在させることにより貼着し、自己粘着性を有するゲルシートにより前記円形透孔よりも大径に形成された2つの環状弾性パッキンを該ガラス板の外面で前記円形透孔の外周部および前記硬質弾性樹脂板の内面で前記貫通孔の外周部にそれぞれ配置し、一対のねじ込み式管継手は雄型管継手と雌型管継手とからなり、該雄型管継手は前記貫通孔を貫通し得る雄螺子管部がフランジ部から突出するように形成されたものであり、該雌型管継手はフランジ部に該雄螺子管部が螺入し得る雌螺子管部が形成されたものであり、該雌型管継手のフランジ部を一方の前記環状弾性パッキンに密着させると共に、前記雄型管継手のフランジ部と他方の前記環状弾性パッキンとの間に滑動用ワッシャーを介在させて該雄螺子管部を前記硬質弾性樹脂板の貫通孔に貫挿し、該雄螺子管部の先端を前記雌型管継手の雌螺子管部に合致させて該雄型管継手を回転させることで該雄螺子管部を該雌螺子管部に螺入し締結することにより、該雌型管継手のフランジ部と該雄型管継手のフランジ部とにより前記ガラス板と前記硬質弾性樹脂板とを両側からそれぞれ前記環状弾性パッキンを介し挟着してなることを特徴とする観賞魚用ガラス水槽の配管構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−57460(P2010−57460A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229317(P2008−229317)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(593113422)三洋スーパースタンド株式会社 (9)
【Fターム(参考)】