角芯の固定構造、並びに、ドアハンドル
【課題】ネジ等の接続手段を省くことができ、手間なく確実に角芯を錠ケースのハブに固定できると共に、ドアハンドルの取り付け手間も軽減することができる角芯の固定構造、並びに、ドアハンドルを提供する。
【解決手段】ドアハンドルは、ドアを挟んだ位置に配された1対のハンドル2、3と、錠ケース50に具備されたハブのハブ角孔47に挿通される角芯5とを有する。角芯5は、弾性部材6が配される溝部を有し、その溝部に配された弾性部材6は、角芯5の少なくとも一方の端部側の位置に溝部から露出した露出部70が形成される。これにより、ハンドル2に角芯5を挿着すると、ハンドル2の貫通孔31によって露出部70が溝部内に入り込む方向に押圧されて、角芯5の中間に位置する弾性部材6の角孔押圧露出部73が溝部に対して露出する方向に変形又は変位してハブ角孔47の内壁を押圧する。
【解決手段】ドアハンドルは、ドアを挟んだ位置に配された1対のハンドル2、3と、錠ケース50に具備されたハブのハブ角孔47に挿通される角芯5とを有する。角芯5は、弾性部材6が配される溝部を有し、その溝部に配された弾性部材6は、角芯5の少なくとも一方の端部側の位置に溝部から露出した露出部70が形成される。これにより、ハンドル2に角芯5を挿着すると、ハンドル2の貫通孔31によって露出部70が溝部内に入り込む方向に押圧されて、角芯5の中間に位置する弾性部材6の角孔押圧露出部73が溝部に対して露出する方向に変形又は変位してハブ角孔47の内壁を押圧する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッチ錠等における角芯の固定構造、並びに、その角芯の固定構造を備えたドアハンドルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
主に開き戸等のドアに備えられたラッチ錠は、ドアを戸枠に対して係合したり、その係合状態を解除可能なラッチと、そのラッチを具備した錠ケースとを備えている。即ち、錠ケースには、ラッチが錠ケースから突出・退入する機構が設けられ、その機構がドアハンドルの操作に連動するように設計されている。
【0003】
具体的には、ラッチ錠は、錠ケースに設けられたハブの角孔に、断面形状がほぼ四角形の角芯が挿通されるもので、その角芯の両端にドアハンドルがそれぞれ挿着され、ドアハンドルとラッチを機構的に一体化することができるものである。即ち、この種のラッチ錠では、角芯がドアハンドルの動作をラッチに伝動する役割を果たす。より具体的に説明すると、ドアハンドルを操作することで、角芯が軸周りに回転し、その角芯の回転がハブに伝動されて、ラッチが動作する。これにより、ラッチを錠ケースに対して突出・退入させることができるため、戸枠に対するドアの開閉動作が可能となる。従って、ラッチ錠においては、前記した機構の一連の動作が、スムーズに連動されることで、使用者に対して、高い使用感を提供することができる。
【0004】
ところが、ドアハンドルに加えた外力が、スムーズにラッチに伝動しない場合があり、その場合、使用感を損なわせてしまう場合があった。この原因として、角芯とドアハンドルとの関係、あるいは、角芯とハブとの関係によるものが考えられるが、一般的には、角芯とハブの角孔との関係によるものであることが知られている。具体的には、ハブの角孔に対する角芯のがた付きが主な原因とされている。そのため、従来より、角芯が角孔に対して、がた付くことがないように固定できる技術が開示されている(例えば特許文献1)。
【0005】
なお、特許文献1の角芯の固定構造は、角芯に設けた薄板(押し板)を、ネジで押圧することで所望の方向に回転させ、その回転力を利用して、押し板を角孔の内壁に押しつけて固定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−74764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術によれば、角芯に備えられた押し板を、ネジで押圧しなければならないという手間があった。また、そのネジは、ドアハンドルの外側から螺合され、ドアハンドルをドアに対して固定する作用もあるため、従来技術によれば、そのネジを省くことができない。即ち、従来技術では、不意にその押し板を押圧するネジが脱落してしまった場合、角芯をハブに対して固定できないばかりか、ドアハンドル自体もドアから脱落してしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明では、ネジ等の接続手段を省くことができ、手間なく確実に角芯を錠ケースのハブに固定できると共に、ドアハンドルの取り付け手間も軽減することができる角芯の固定構造、並びに、ドアハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ドアを挟んだ位置に配される1対のドアハンドルに挿着される角芯を、錠ケースに具備されたハブの角孔に対して固定する角芯の固定構造であって、薄板状の弾性部材を有し、前記角芯は、前記弾性部材が配される溝部を有し、前記溝部に配した弾性部材は、角芯の少なくとも一方の端部側の位置に溝部から露出した露出部が形成されるものであって、ドアハンドルに角芯を挿着すると、ドアハンドルの挿着部によって前記露出部が溝部内に入り込む方向に押圧されて、角芯の中間に位置する弾性部材の一部が溝部に対して露出する方向に変形又は変位して角孔の内壁を押圧することを特徴とする角芯の固定構造である。
【0010】
本発明の角芯の固定構造は、ドアハンドルに角芯を挿着すると、弾性部材の露出部がドアハンドルの装着部に押圧されて、角芯の中間に位置する弾性部材の一部が溝部に対して露出する方向に変位したり、変形する構成とされている。これにより、弾性部材の一部が角孔の内壁を押圧し、さらにその作用により、角芯の一部も角孔の内壁を押圧し得るため、角芯をハブに対して容易に固定することができる。即ち、本発明の角芯の固定構造によれば、ドアハンドルに角芯を挿着した後に、ネジ等の接続手段を用いて弾性部材を押圧する必要がないため、ドアハンドルを角芯に取り付ける際の余分な手間がない。
【0011】
また、角芯をドアハンドルに挿着すると、露出部はドアハンドルから押圧されるが、露出部はその反力としてドアハンドルを押圧するため、ドアハンドルは角芯に対して固定されることになる。即ち、ドアハンドルをドアに対して固定する際においても、ネジ等の接続手段を要しないため、ドアハンドルの取り付けが楽である。
従って、本発明によれば、ネジ等の接続手段を省くことができ、手間なく確実に角芯を錠ケースのハブに固定できると共に、ドアハンドルの取り付け手間も軽減することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記弾性部材は、溝部の底部に当接する溝当接部が2箇所有り、当該2箇所の溝当接部の間に前記した露出部が存在するものであることを特徴とする請求項1に記載の角芯の固定構造である。
【0013】
かかる構成によれば、弾性部材の露出部が、2箇所の溝当接部の間に位置するため、露出部に外力を加えることで、橋梁のように撓ませることが可能である。また、露出部に加えられた外力は、溝当接部において溝部の底面から反力を受けるため、弾性部材をその反力により変形させたり、変位させることができる。即ち、本発明によれば、この作用により、弾性部材のいずれかの部分を溝部に対して露出する方向に変形又は変位させて、角芯をハブに対して固定することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記弾性部材には、前記露出部と角芯の中間側の溝当接部との間に、角芯に対して固定される固定部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の角芯の固定構造である。
【0015】
かかる構成によれば、固定部により、弾性部材が角芯に対してずれてしまうような不具合が阻止できる。また、固定部により、弾性部材が過剰に押圧されたり、変形することが防止されるため、角芯とハブとの固定力を一定以上に保つことができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、溝部に配した弾性部材は、角芯の中間側に位置する側に角孔押圧露出部が形成されるものであって、当該角孔押圧露出部が角孔の内壁を押圧するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の角芯の固定構造である。
【0017】
かかる構成によれば、角孔の内壁を押圧する角孔押圧露出部が角芯の中間側に位置し、溝部に配した状態において露出しているため、ドアハンドルによる押圧作用が小さく、弾性部材における変形又は変位の効果が小さい場合であっても、角芯をハブに対して確実に固定することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、戸枠に対してドアを開閉することが可能な1対のハンドルと、1対のハンドルに挿着される角芯と、角芯が挿通される角孔を有した錠ケースとを備え、請求項1乃至4のいずれかに記載の角芯の固定構造により構成されたものであることを特徴とするドアハンドルである。
【0019】
本発明のドアハンドルは、ハンドルを角芯に挿着すると、弾性部材の露出部が押圧されて、錠ケースに設けられた角孔に角芯が固定される構成とされている。そのため、本発明によれば、手間なくハンドルをドアに対して取り付けることができる。また、ハンドルが角芯に挿着されると、露出部が押圧されるだけでなく、弾性部材の反力がハンドルに対して働くため、ネジ等の接続手段を用いることなくハンドルをドアに対して固定することができる。即ち、本発明によれば、ハンドルをドアに固定する際の手間も省くことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の角芯の固定構造、並びに、ドアハンドルでは、角芯に配した弾性部材が露出部を形成し、ドアハンドルを角芯に挿着した際に、その露出部がドアハンドルの挿着部に押圧され、その作用として弾性部材を変形又は変位させることで、角芯をハブに対して固定することができる。また、ドアハンドル自体も、弾性部材の露出部に作用する反力により、ドアに対して固定することができる。そのため、本発明によれば、弾性部材を変形させるためや、ドアハンドルをドアに固定するために、ネジ等の接続手段を使用するという手間がない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係るドアハンドルを示す斜視図である。
【図2】図1のドアハンドルの一部を分解した分解斜視図である。
【図3】係止板を有する側のハンドルを示す分解斜視図である。
【図4】図2の係止板の説明図であり、(a)は係止板の正面図を表し、(b)は(a)のA−A方向の断面図を表す。
【図5】図3の保持部材を示す斜視図である。
【図6】図2におけるハンドル(右側)と角芯複合体の分解斜視図である。
【図7】図6の角芯及び弾性部材を別の角度から示した分解斜視図である。
【図8】図7の角芯及び弾性部材の構成を組み立てた斜視図である。
【図9】図8の角芯複合体を示すB−B方向の断面図である。
【図10】図1のドアハンドルを示すC−C方向の断面図である。
【図11】角芯複合体をハンドルに挿着する際の弾性部材の動作を示す説明図であり、(a)は角芯複合体をハブ角孔に挿通する前の図であり、(b)は角芯複合体をハブ角孔に挿通した時の図であり、(c)は角芯複合体を保持部材を内蔵したハンドルに挿通した時の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本実施形態に係るドアハンドル1について説明する。
なお、以下の説明においては、上下左右の位置関係は、特に断りのない限り、通常の設置位置(図2)を基準に説明する。
【0023】
本実施形態のドアハンドル1は、図2に示すように、戸枠に対して開閉可能に取り付けられた開き戸55に固定され、その開き戸55に設けられた錠ケース50のラッチ49を突出・退入させることができるものである。即ち、ドアハンドル1は、1対のハンドル2、3と、錠ケース50に具備されたハブ48のハブ角孔47に挿通され1対のハンドル2、3の操作をラッチ49に伝動する角芯5と、角芯5に保持される弾性部材6とによって構成されている。
【0024】
本実施形態では、ドアハンドル1を開き戸55に対して、容易に取り付けることができる構成とされている。即ち、本実施形態では、図1の左側に位置するハンドル2と、右側に位置するハンドル3の構造が異なる。具体的には、図1の左側に位置するハンドル2は、本体部2aと、圧縮バネ10と、係止板11と、角芯5を相対回転しないように保持する保持部材12と、係止板11の移動を制限する保持ピン13とを備え、図1の右側に位置するハンドル3は、本体部3aを備えた構成とされている。
【0025】
まず、図1の左側に位置するハンドル2の構成から説明する。
ハンドル2の本体部2aは、図3に示すように、「L」字型であり、L字の折曲部を境に、把持部20と接続部21に分けられている。接続部21側は、端部が開放されており、その端部から保持部材12等が挿通される嵌入空間14(挿着部)が形成されている。嵌入空間14には、断面形状が円形で比較的小さな領域14aと、断面形状が円形で比較的大きな領域14bがあり、互いに連通した関係である。
また、接続部21の側壁には、外部と嵌入空間14とを連通する接続用貫通孔28が2つ設けられている(1つのみ図示)。2つの接続用貫通孔28は、同一の円周上に直列的に並べられており、互いに前記円の中心を基準として、90度離して配されている。なお、図10に示すように、接続用貫通孔28には、ロール状にされたピン等の接続手段69が挿通される。
下部側面には、後述する係止板11を操作する操作開口27が設けられている。操作開口27はほぼ四角形の開口であり、マイナスドライバー等を挿入可能である。
圧縮バネ10は、公知のそれと同様である。
【0026】
係止板11は、図4(a)に示すように、ほぼ四角形の板状部材であり、中心を含んだ位置に角芯5が挿通可能な係止角孔22が設けられている。即ち、係止板11は、四角形の枠部材とも言える。また、図4(b)に示すように、係止角孔22を形成する1対の開口縁部23、24は、傾斜しており、その傾斜方向は互いに平行とされている。
また、係止板11は、1対の縁端部25、26のそれぞれに開口縁部23、24と同方向に傾斜した傾斜部29、30が形成されている。また、各縁端部25、26に形成された傾斜部29、30は、係止板11の中心を基準に互いに係止板11の厚み方向に反転させた位置関係である。
【0027】
また、保持部材12に目を移すと、保持部材12は、図3及び図5に示すように、円筒部材であり、内部には軸線方向に貫通した後述する角芯5を挿通する貫通孔31が設けられ、側壁には後述する保持ピン13の一部が保持されるピン保持部32が設けられている。
貫通孔31は、断面形状がほぼ正方形で、その断面積は角芯5の軸方向に直交する断面積とほぼ同じあるいは若干大きく設計されている。
【0028】
ピン保持部32は、保持部材12の軸線方向一方の端部側に位置し、その端部側から中央側に向かって形成された溝部40と、溝部40の底部から保持部材12の貫通孔31側に向かって穿設された穴部41とによって構成されている。
溝部40は、保持部材12の外側面から外側に突出した突出壁42に囲まれて形成された部分である。即ち、溝部40の底面は、突出壁42を除いた保持部材12の外側面である。穴部41は、貫通孔31まで至らない程度の深さの穴である。
そして、溝部40と穴部41は、詳しく図示しないがL字状に連通した関係とされている。
なお、突出壁42は、保持部材12の一方の端部側から軸方向中間部まで延伸されている。
【0029】
また、保持部材12の一方の側面端部には、係止板11を保持可能な2つの張り出し部43を有している。具体的には、2つの張り出し部43は、貫通孔31の中心を基準に180度離れた位置関係であり、さらに張り出し部43の内側部分が互いに向き合った関係である。また、2つの張り出し部43の内側部分の離反距離は、係止板11の左右(図4)の幅と同じあるいは若干大きい程度とされれている。即ち、張り出し部43は、係止版11を挟むように保持する部分である。
【0030】
また、保持部材12の軸線方向中間当たりの側壁には、保持部材12の断面の中心に向かって穿設された接続用貫通孔35が3つ設けられている(1つのみ図示)。各接続用貫通孔35は、同一の円周上に直列的に並べられており、1つの接続用貫通孔35を基準に、別の接続用貫通孔35は前記円周方向に90度ずつ離して配されている。
【0031】
なお、保持部材12が本体部2aの嵌入空間14に配された際に、保持部材12の3つの接続用貫通孔35のうちのいずれか2つが、本体部2aの接続用貫通孔28と連通する位置に配される。即ち、連通した保持部材12の接続用貫通孔35と本体部2aの接続用貫通孔28には、図10に示すように、ロール状にされたピン等の接続手段69が挿通され、保持部材12が本体部2aに対して相対的に移動及び動作しないように固定される。
【0032】
保持ピン13は「コ」の字型の形状をした線状の部材であり、係止板11を保持部材12に対して揺動可能に保持するものである。また、保持ピン13は、断面形状が円形であり、外径は保持部材12の溝部40と穴部41に嵌合できる程度の大きさである。
【0033】
本実施形態におけるハンドル2の各部材の組み立て構造について説明すると、以下の通りである。
即ち、図1、10に示すように、係止板11と保持部材12は、係止板11の係止角孔22と保持部材12の貫通孔31がそれぞれ連通するように配されており、その状態でハンドル2の接続部21の嵌入空間14(挿着部)に挿着されている。具体的には、嵌入空間14の領域14bに各部材は位置しており、領域14a側から順に圧縮バネ10、係止板11、保持部材12が配されている。なお、圧縮バネ10の一端側は、領域14aと領域14bとの境界に形成された段部に当接しているため、領域14a側に押圧されても圧縮バネ10自体が移動することがない。
【0034】
また、保持ピン13は、係止板11と保持部材12に跨るように配されており、係止板11を保持部材12に対して揺動可能に保持している。即ち、保持ピン13は、一方の端部側が保持部材12におけるピン保持部32の穴部41に保持されており、他方の端部側で係止板11を保持している。より具体的には、保持ピン13は、係止板11の傾斜部29側(保持部側)を線保持し、それ以外の箇所を揺動可能にしている。また、この状態において、圧縮バネ10は、係止板11を保持部材12側に付勢している。
【0035】
そして、ハンドル2の接続部21の接続用貫通孔28と、保持部材12の接続用貫通孔35が連通状態にされた状態で、図10に示すように、その貫通孔28、35に跨るように接続手段69が挿通されている。
なお、係止板11は、接続部21の下部側面に位置する操作開口27に、係止板11の揺動側(保持部側に対向する側)が位置するように配されている。
【0036】
続いてハンドル3の構成を説明する。
ハンドル3の本体部3aは、図6に示すように、ハンドル2の本体部2aと同様、形状は「L」字型であり、L字の折曲部を境に、把持部63と接続部64に分けられている。接続部64側は、端部が開放されており、その端部から角芯5等が挿通される嵌入空間65が形成されている。嵌入空間65は、断面形状がほぼ四角形の領域である。
【0037】
また、接続部64の側壁には、外部と嵌入空間65とを連通する接続用貫通孔67が2つ設けられている。2つの接続用貫通孔67は、同一の円周上に直列的に並べられており、互いに前記円周方向に180度離れた位置関係である。なお、接続用貫通孔67には、ロール状にされたピン等の接続手段58が挿通される。
【0038】
続いて、本実施形態の特徴的な作用をもたらす角芯5と弾性部材6の構成について説明する。
まず、角芯5の構成を説明する。
角芯5は、図7に示すように、断面形状がほぼ四角形の角柱状の部材で、一方の端部付近に形成された角切り欠き部60、61と、角芯5の軸線方向に交差した方向に貫通した接続用貫通孔62と、後述する弾性部材6が保持される保持溝59が設けられている。
角切り欠き部60、61は、角芯5の角を部分的に切り落とした部分で、角切り欠き部60は、前記一方の端部寄りに設けられ、角切り欠き部60は角切り欠き部61よりも中央寄りに設けられている。そして、各々の角切り欠き部60、61は、それぞれほぼ同一の円周上に直列的に並べられている。
【0039】
接続用貫通孔62は、いずれか1対の側面を貫通するように形成された貫通孔であり、角切り欠き部60と角切り欠き部61の間に配されている。具体的には、接続用貫通孔62は、ハンドル3の本体部3aに設けられた接続用貫通孔67と連通可能な位置に設計されている。即ち、本体部3aの嵌入空間65に角芯5を挿通すると、角芯5の接続用貫通孔62は、本体部3aの接続用貫通孔67と連通状態となる位置関係であり、その連通状態の接続用貫通孔67、62にロール状にされたピン等の接続手段58が挿通されると、角芯5が本体部3aに対して相対的に移動しないように固定することができる。
【0040】
保持溝59は、角芯5の断面を基準にすると、1つの頂点から中心に向かって形成された溝であり、図9に示すように、角芯5の軸線方向中間部から他方の端部(角切り欠き部60、61が位置する端部と反対側の端部)に向かって形成された溝である。また、保持溝59は、角芯5の軸線方向中間部に位置する端部側に底部が緩やかに傾斜した傾斜部76が設けられている。傾斜部76は、角芯5の中間側に向かって上り勾配であり、さらに緩やかな丸みを帯びた形状とされている。また、保持溝59の溝幅は、弾性部材6の厚みと同等あるいはそれ以上とされている。
【0041】
弾性部材6の構成を説明する。
弾性部材6は、外力が加えられると、いずれかの部位が変形又は変位する形状に形成された部材である。即ち、本実施形態の弾性部材6は、図7及び図9に示すように、側面視した形状がほぼ「S」字型であり、弓状の露出部70と、角芯5の保持溝59の底部と当接する溝当接部71、72と、保持部材12の貫通孔31又はハブ48のハブ角孔47を押圧する角孔押圧露出部73と、角芯5に対して弾性部材6が固定される固定部74とを有している。
【0042】
図9に基づいて具体的に説明すると、露出部70は、保持溝59から一部が露出する部分で、溝当接部71と溝当接部72を繋ぐ部分でもある。即ち、露出部70に加えられた外力は、溝当接部71及び溝当接部72から角芯5に伝導される。そして、これにより、溝当接部71、72には、角芯5から反力を受ける。
【0043】
また、角孔押圧露出部73は、溝当接部72を基準に、露出部70と対向する位置に配されている。即ち、角孔押圧露出部73は、弾性部材6に対して生じた反力によって、変形又は変位する位置である。
固定部74は、露出部70と角孔押圧露出部73との間に位置する突起状の部分で、図8に示すように、角芯5の一部をかしめることで、弾性部材6を角芯5に対して相対的に移動しないように制限する移動制限部57を形成するものである。
【0044】
従って、本実施形態では、角芯5の保持溝59に弾性部材6を嵌め込み一体化させる場合、弾性部材6の溝当接部71が角芯5の端部側に位置するように配し、溝当接部72が角芯5の中間側に位置するように配する。このとき、図9に示すように、弾性部材6の溝当接部71、72は保持溝59の底部と当接し、弾性部材6の露出部70及び角孔押圧露出部73は保持溝59から露出している。なお、本実施形態では、保持溝59が角芯5の対角線上に形成されているため、弾性部材6も角芯5の対角線上に配置されていると言える。
【0045】
また、角芯5の保持溝59を弾性部材6の固定部74に対応する箇所をかしめて、移動制限部57を形成する。そして、この移動制限部57により、弾性部材6が角芯5に対して、相対的に移動することを制限している。
【0046】
次に、本実施形態のドアハンドル1の取り付け手順について説明する。
ここで、以下の説明においては、ハブ48が内設される錠ケース50は、あらかじめ開き戸55に取り付けられているものとする。
【0047】
まず、角芯5と弾性部材6を一体化したもの(以下、角芯複合体15と称す)をハンドル3と一体化する。即ち、図11(a)に示すように、角芯5の角切り欠き部60、61側の端部をハンドル3の嵌入空間65に挿通し、接続手段58によって、接続部64と角芯5を固定する。
その後、角芯5の他方の端部側を錠ケース50のハブ角孔47に挿通する。この際、図11(b)に示すように、ハブ角孔47によって角孔押圧露出部73が角芯5の保持溝59内に押し込まれ、保持溝59の底部から受ける反力等により、露出部70が保持溝59から露出する方向に変位する。
【0048】
そして、その状態の角芯複合体15に対して、ハンドル2を挿着させる。即ち、ハンドル2の保持部材12の貫通孔31に角芯複合体15を挿通する。すると、角芯複合体15は、保持部材12の貫通孔31と連通した係止板11の係止角孔22に至る。そして、さらに角芯複合体15をハンドル2内部に押し込むと、係止板11が保持ピン13を支点に、保持部材12から離反するように揺動する。これにより、係止板11の開口縁部23、24の傾斜面を、保持部材12の貫通孔31の軸線方向と平行にすることができる。即ち、図11(c)に示すように、係止板11を傾斜させることで、角芯複合体15を係止角孔22に挿通させることができる。
【0049】
また、この際、図11(c)に示すように、貫通孔31によって、露出部70が角芯5の保持溝59内に押し込まれ、それによって溝当接部71、72に反力が生じ、角孔押圧露出部73が露出方向に移動する。これに対して、角孔押圧露出部73は、ハブ角孔47に対して押圧される。即ち、角孔押圧露出部73が露出方向に移動することで、角芯5とハブ48との接続が強固なものとなり、がた付きが防止される。さらに、露出部70は、保持部材12に対して押圧されるため、角芯5とハンドル2との接続が強固なものとなる。なお、弾性部材6は角芯5の対角線上に配置されているため、ハブ角孔47内で角芯5の軸線周りに回転することがない。
【0050】
上記したように、本実施形態では、ハンドル2に角芯複合体15を挿通することで、弾性部材6の角孔押圧露出部73がハブ角孔47の内壁を押圧し、さらに、弾性部材6の露出部70が保持部材12の内壁を押圧するため、角芯5をハブ48に対して容易に固定することができると共に、角芯5をハンドル2に対して容易に固定することができる。なお、ハンドル2内においても、弾性部材6が貫通孔31の対角線上に配されるため、角芯5の軸線周りに回転することがない。
【0051】
換言すれば、本発明は、ドアハンドル1に角芯5を挿着した後に、別部材などを用いて弾性部材6を人為的に押圧する必要がないため、ドアハンドル1を角芯5に取り付ける際の余分な手間を省くことができる。また、ドアハンドル1に角芯5を挿着した後に、接続手段によって角芯5とハンドル2とを接続する必要もないため、取り付けが楽である。
【0052】
ここで、開き戸55に取り付けた際の本実施形態のドアハンドル1の各部材の位置関係について付言しておく。
【0053】
本実施形態のドアハンドル1は、図2示すように、開き戸55を挟んだ位置に1対のハンドル2、3が配され、開き戸55のハブ角孔47に挿通された角芯複合体15における角切り欠き部60、61が位置する側の端部にハンドル3が装着され、角芯複合体15の保持溝59が位置する側の端部にハンドル2が装着されている。
【0054】
また、図3、6に示すように、ハンドル3と角芯5は、連通状態の接続用貫通孔67と角芯5の接続用貫通孔62に接続手段58が挿通される位置関係であり、ハンドル2と角芯5は、角芯複合体15の弾性部材6の一部が保持部材12の内壁を外側方向に押圧する位置関係である。即ち、ハンドル2においては、角芯複合体15が挿通されることで、弾性部材6における露出部70と角孔押圧露出部73と溝当接部71、72とが、相互に変形又は変位する関係とされている。
【0055】
また、この位置関係により、弾性部材6は、ハブ角孔47の内壁も押圧するため、角芯5はハブ48に対してがた付く事が防止される。なお、角芯5と、弾性部材6と、ハンドル2、3の具体的な位置関係については、上述した通りであるため省略する。
また、ハンドル2における接続部21の操作開口27には、係止板11の揺動側の縁端部が位置しており、操作開口27の範囲内で揺動する配置とされている。
【0056】
上記した実施形態では、ハンドル2、3の形状を「L」字型としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、従来よりあるほぼ円柱形をしたハンドルであっても構わない。
【符号の説明】
【0057】
1 ドアハンドル
2 ハンドル
3 ハンドル
5 角芯
6 弾性部材
14 嵌入空間(挿着部)
22 係止角孔
29 傾斜部
40 溝部
47 ハブ角孔
48 ハブ
50 錠ケース
70 露出部
70 溝当接部
71 溝当接部
73 角孔押出露出部
74 固定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッチ錠等における角芯の固定構造、並びに、その角芯の固定構造を備えたドアハンドルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
主に開き戸等のドアに備えられたラッチ錠は、ドアを戸枠に対して係合したり、その係合状態を解除可能なラッチと、そのラッチを具備した錠ケースとを備えている。即ち、錠ケースには、ラッチが錠ケースから突出・退入する機構が設けられ、その機構がドアハンドルの操作に連動するように設計されている。
【0003】
具体的には、ラッチ錠は、錠ケースに設けられたハブの角孔に、断面形状がほぼ四角形の角芯が挿通されるもので、その角芯の両端にドアハンドルがそれぞれ挿着され、ドアハンドルとラッチを機構的に一体化することができるものである。即ち、この種のラッチ錠では、角芯がドアハンドルの動作をラッチに伝動する役割を果たす。より具体的に説明すると、ドアハンドルを操作することで、角芯が軸周りに回転し、その角芯の回転がハブに伝動されて、ラッチが動作する。これにより、ラッチを錠ケースに対して突出・退入させることができるため、戸枠に対するドアの開閉動作が可能となる。従って、ラッチ錠においては、前記した機構の一連の動作が、スムーズに連動されることで、使用者に対して、高い使用感を提供することができる。
【0004】
ところが、ドアハンドルに加えた外力が、スムーズにラッチに伝動しない場合があり、その場合、使用感を損なわせてしまう場合があった。この原因として、角芯とドアハンドルとの関係、あるいは、角芯とハブとの関係によるものが考えられるが、一般的には、角芯とハブの角孔との関係によるものであることが知られている。具体的には、ハブの角孔に対する角芯のがた付きが主な原因とされている。そのため、従来より、角芯が角孔に対して、がた付くことがないように固定できる技術が開示されている(例えば特許文献1)。
【0005】
なお、特許文献1の角芯の固定構造は、角芯に設けた薄板(押し板)を、ネジで押圧することで所望の方向に回転させ、その回転力を利用して、押し板を角孔の内壁に押しつけて固定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−74764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術によれば、角芯に備えられた押し板を、ネジで押圧しなければならないという手間があった。また、そのネジは、ドアハンドルの外側から螺合され、ドアハンドルをドアに対して固定する作用もあるため、従来技術によれば、そのネジを省くことができない。即ち、従来技術では、不意にその押し板を押圧するネジが脱落してしまった場合、角芯をハブに対して固定できないばかりか、ドアハンドル自体もドアから脱落してしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明では、ネジ等の接続手段を省くことができ、手間なく確実に角芯を錠ケースのハブに固定できると共に、ドアハンドルの取り付け手間も軽減することができる角芯の固定構造、並びに、ドアハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ドアを挟んだ位置に配される1対のドアハンドルに挿着される角芯を、錠ケースに具備されたハブの角孔に対して固定する角芯の固定構造であって、薄板状の弾性部材を有し、前記角芯は、前記弾性部材が配される溝部を有し、前記溝部に配した弾性部材は、角芯の少なくとも一方の端部側の位置に溝部から露出した露出部が形成されるものであって、ドアハンドルに角芯を挿着すると、ドアハンドルの挿着部によって前記露出部が溝部内に入り込む方向に押圧されて、角芯の中間に位置する弾性部材の一部が溝部に対して露出する方向に変形又は変位して角孔の内壁を押圧することを特徴とする角芯の固定構造である。
【0010】
本発明の角芯の固定構造は、ドアハンドルに角芯を挿着すると、弾性部材の露出部がドアハンドルの装着部に押圧されて、角芯の中間に位置する弾性部材の一部が溝部に対して露出する方向に変位したり、変形する構成とされている。これにより、弾性部材の一部が角孔の内壁を押圧し、さらにその作用により、角芯の一部も角孔の内壁を押圧し得るため、角芯をハブに対して容易に固定することができる。即ち、本発明の角芯の固定構造によれば、ドアハンドルに角芯を挿着した後に、ネジ等の接続手段を用いて弾性部材を押圧する必要がないため、ドアハンドルを角芯に取り付ける際の余分な手間がない。
【0011】
また、角芯をドアハンドルに挿着すると、露出部はドアハンドルから押圧されるが、露出部はその反力としてドアハンドルを押圧するため、ドアハンドルは角芯に対して固定されることになる。即ち、ドアハンドルをドアに対して固定する際においても、ネジ等の接続手段を要しないため、ドアハンドルの取り付けが楽である。
従って、本発明によれば、ネジ等の接続手段を省くことができ、手間なく確実に角芯を錠ケースのハブに固定できると共に、ドアハンドルの取り付け手間も軽減することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記弾性部材は、溝部の底部に当接する溝当接部が2箇所有り、当該2箇所の溝当接部の間に前記した露出部が存在するものであることを特徴とする請求項1に記載の角芯の固定構造である。
【0013】
かかる構成によれば、弾性部材の露出部が、2箇所の溝当接部の間に位置するため、露出部に外力を加えることで、橋梁のように撓ませることが可能である。また、露出部に加えられた外力は、溝当接部において溝部の底面から反力を受けるため、弾性部材をその反力により変形させたり、変位させることができる。即ち、本発明によれば、この作用により、弾性部材のいずれかの部分を溝部に対して露出する方向に変形又は変位させて、角芯をハブに対して固定することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記弾性部材には、前記露出部と角芯の中間側の溝当接部との間に、角芯に対して固定される固定部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の角芯の固定構造である。
【0015】
かかる構成によれば、固定部により、弾性部材が角芯に対してずれてしまうような不具合が阻止できる。また、固定部により、弾性部材が過剰に押圧されたり、変形することが防止されるため、角芯とハブとの固定力を一定以上に保つことができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、溝部に配した弾性部材は、角芯の中間側に位置する側に角孔押圧露出部が形成されるものであって、当該角孔押圧露出部が角孔の内壁を押圧するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の角芯の固定構造である。
【0017】
かかる構成によれば、角孔の内壁を押圧する角孔押圧露出部が角芯の中間側に位置し、溝部に配した状態において露出しているため、ドアハンドルによる押圧作用が小さく、弾性部材における変形又は変位の効果が小さい場合であっても、角芯をハブに対して確実に固定することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、戸枠に対してドアを開閉することが可能な1対のハンドルと、1対のハンドルに挿着される角芯と、角芯が挿通される角孔を有した錠ケースとを備え、請求項1乃至4のいずれかに記載の角芯の固定構造により構成されたものであることを特徴とするドアハンドルである。
【0019】
本発明のドアハンドルは、ハンドルを角芯に挿着すると、弾性部材の露出部が押圧されて、錠ケースに設けられた角孔に角芯が固定される構成とされている。そのため、本発明によれば、手間なくハンドルをドアに対して取り付けることができる。また、ハンドルが角芯に挿着されると、露出部が押圧されるだけでなく、弾性部材の反力がハンドルに対して働くため、ネジ等の接続手段を用いることなくハンドルをドアに対して固定することができる。即ち、本発明によれば、ハンドルをドアに固定する際の手間も省くことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の角芯の固定構造、並びに、ドアハンドルでは、角芯に配した弾性部材が露出部を形成し、ドアハンドルを角芯に挿着した際に、その露出部がドアハンドルの挿着部に押圧され、その作用として弾性部材を変形又は変位させることで、角芯をハブに対して固定することができる。また、ドアハンドル自体も、弾性部材の露出部に作用する反力により、ドアに対して固定することができる。そのため、本発明によれば、弾性部材を変形させるためや、ドアハンドルをドアに固定するために、ネジ等の接続手段を使用するという手間がない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係るドアハンドルを示す斜視図である。
【図2】図1のドアハンドルの一部を分解した分解斜視図である。
【図3】係止板を有する側のハンドルを示す分解斜視図である。
【図4】図2の係止板の説明図であり、(a)は係止板の正面図を表し、(b)は(a)のA−A方向の断面図を表す。
【図5】図3の保持部材を示す斜視図である。
【図6】図2におけるハンドル(右側)と角芯複合体の分解斜視図である。
【図7】図6の角芯及び弾性部材を別の角度から示した分解斜視図である。
【図8】図7の角芯及び弾性部材の構成を組み立てた斜視図である。
【図9】図8の角芯複合体を示すB−B方向の断面図である。
【図10】図1のドアハンドルを示すC−C方向の断面図である。
【図11】角芯複合体をハンドルに挿着する際の弾性部材の動作を示す説明図であり、(a)は角芯複合体をハブ角孔に挿通する前の図であり、(b)は角芯複合体をハブ角孔に挿通した時の図であり、(c)は角芯複合体を保持部材を内蔵したハンドルに挿通した時の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本実施形態に係るドアハンドル1について説明する。
なお、以下の説明においては、上下左右の位置関係は、特に断りのない限り、通常の設置位置(図2)を基準に説明する。
【0023】
本実施形態のドアハンドル1は、図2に示すように、戸枠に対して開閉可能に取り付けられた開き戸55に固定され、その開き戸55に設けられた錠ケース50のラッチ49を突出・退入させることができるものである。即ち、ドアハンドル1は、1対のハンドル2、3と、錠ケース50に具備されたハブ48のハブ角孔47に挿通され1対のハンドル2、3の操作をラッチ49に伝動する角芯5と、角芯5に保持される弾性部材6とによって構成されている。
【0024】
本実施形態では、ドアハンドル1を開き戸55に対して、容易に取り付けることができる構成とされている。即ち、本実施形態では、図1の左側に位置するハンドル2と、右側に位置するハンドル3の構造が異なる。具体的には、図1の左側に位置するハンドル2は、本体部2aと、圧縮バネ10と、係止板11と、角芯5を相対回転しないように保持する保持部材12と、係止板11の移動を制限する保持ピン13とを備え、図1の右側に位置するハンドル3は、本体部3aを備えた構成とされている。
【0025】
まず、図1の左側に位置するハンドル2の構成から説明する。
ハンドル2の本体部2aは、図3に示すように、「L」字型であり、L字の折曲部を境に、把持部20と接続部21に分けられている。接続部21側は、端部が開放されており、その端部から保持部材12等が挿通される嵌入空間14(挿着部)が形成されている。嵌入空間14には、断面形状が円形で比較的小さな領域14aと、断面形状が円形で比較的大きな領域14bがあり、互いに連通した関係である。
また、接続部21の側壁には、外部と嵌入空間14とを連通する接続用貫通孔28が2つ設けられている(1つのみ図示)。2つの接続用貫通孔28は、同一の円周上に直列的に並べられており、互いに前記円の中心を基準として、90度離して配されている。なお、図10に示すように、接続用貫通孔28には、ロール状にされたピン等の接続手段69が挿通される。
下部側面には、後述する係止板11を操作する操作開口27が設けられている。操作開口27はほぼ四角形の開口であり、マイナスドライバー等を挿入可能である。
圧縮バネ10は、公知のそれと同様である。
【0026】
係止板11は、図4(a)に示すように、ほぼ四角形の板状部材であり、中心を含んだ位置に角芯5が挿通可能な係止角孔22が設けられている。即ち、係止板11は、四角形の枠部材とも言える。また、図4(b)に示すように、係止角孔22を形成する1対の開口縁部23、24は、傾斜しており、その傾斜方向は互いに平行とされている。
また、係止板11は、1対の縁端部25、26のそれぞれに開口縁部23、24と同方向に傾斜した傾斜部29、30が形成されている。また、各縁端部25、26に形成された傾斜部29、30は、係止板11の中心を基準に互いに係止板11の厚み方向に反転させた位置関係である。
【0027】
また、保持部材12に目を移すと、保持部材12は、図3及び図5に示すように、円筒部材であり、内部には軸線方向に貫通した後述する角芯5を挿通する貫通孔31が設けられ、側壁には後述する保持ピン13の一部が保持されるピン保持部32が設けられている。
貫通孔31は、断面形状がほぼ正方形で、その断面積は角芯5の軸方向に直交する断面積とほぼ同じあるいは若干大きく設計されている。
【0028】
ピン保持部32は、保持部材12の軸線方向一方の端部側に位置し、その端部側から中央側に向かって形成された溝部40と、溝部40の底部から保持部材12の貫通孔31側に向かって穿設された穴部41とによって構成されている。
溝部40は、保持部材12の外側面から外側に突出した突出壁42に囲まれて形成された部分である。即ち、溝部40の底面は、突出壁42を除いた保持部材12の外側面である。穴部41は、貫通孔31まで至らない程度の深さの穴である。
そして、溝部40と穴部41は、詳しく図示しないがL字状に連通した関係とされている。
なお、突出壁42は、保持部材12の一方の端部側から軸方向中間部まで延伸されている。
【0029】
また、保持部材12の一方の側面端部には、係止板11を保持可能な2つの張り出し部43を有している。具体的には、2つの張り出し部43は、貫通孔31の中心を基準に180度離れた位置関係であり、さらに張り出し部43の内側部分が互いに向き合った関係である。また、2つの張り出し部43の内側部分の離反距離は、係止板11の左右(図4)の幅と同じあるいは若干大きい程度とされれている。即ち、張り出し部43は、係止版11を挟むように保持する部分である。
【0030】
また、保持部材12の軸線方向中間当たりの側壁には、保持部材12の断面の中心に向かって穿設された接続用貫通孔35が3つ設けられている(1つのみ図示)。各接続用貫通孔35は、同一の円周上に直列的に並べられており、1つの接続用貫通孔35を基準に、別の接続用貫通孔35は前記円周方向に90度ずつ離して配されている。
【0031】
なお、保持部材12が本体部2aの嵌入空間14に配された際に、保持部材12の3つの接続用貫通孔35のうちのいずれか2つが、本体部2aの接続用貫通孔28と連通する位置に配される。即ち、連通した保持部材12の接続用貫通孔35と本体部2aの接続用貫通孔28には、図10に示すように、ロール状にされたピン等の接続手段69が挿通され、保持部材12が本体部2aに対して相対的に移動及び動作しないように固定される。
【0032】
保持ピン13は「コ」の字型の形状をした線状の部材であり、係止板11を保持部材12に対して揺動可能に保持するものである。また、保持ピン13は、断面形状が円形であり、外径は保持部材12の溝部40と穴部41に嵌合できる程度の大きさである。
【0033】
本実施形態におけるハンドル2の各部材の組み立て構造について説明すると、以下の通りである。
即ち、図1、10に示すように、係止板11と保持部材12は、係止板11の係止角孔22と保持部材12の貫通孔31がそれぞれ連通するように配されており、その状態でハンドル2の接続部21の嵌入空間14(挿着部)に挿着されている。具体的には、嵌入空間14の領域14bに各部材は位置しており、領域14a側から順に圧縮バネ10、係止板11、保持部材12が配されている。なお、圧縮バネ10の一端側は、領域14aと領域14bとの境界に形成された段部に当接しているため、領域14a側に押圧されても圧縮バネ10自体が移動することがない。
【0034】
また、保持ピン13は、係止板11と保持部材12に跨るように配されており、係止板11を保持部材12に対して揺動可能に保持している。即ち、保持ピン13は、一方の端部側が保持部材12におけるピン保持部32の穴部41に保持されており、他方の端部側で係止板11を保持している。より具体的には、保持ピン13は、係止板11の傾斜部29側(保持部側)を線保持し、それ以外の箇所を揺動可能にしている。また、この状態において、圧縮バネ10は、係止板11を保持部材12側に付勢している。
【0035】
そして、ハンドル2の接続部21の接続用貫通孔28と、保持部材12の接続用貫通孔35が連通状態にされた状態で、図10に示すように、その貫通孔28、35に跨るように接続手段69が挿通されている。
なお、係止板11は、接続部21の下部側面に位置する操作開口27に、係止板11の揺動側(保持部側に対向する側)が位置するように配されている。
【0036】
続いてハンドル3の構成を説明する。
ハンドル3の本体部3aは、図6に示すように、ハンドル2の本体部2aと同様、形状は「L」字型であり、L字の折曲部を境に、把持部63と接続部64に分けられている。接続部64側は、端部が開放されており、その端部から角芯5等が挿通される嵌入空間65が形成されている。嵌入空間65は、断面形状がほぼ四角形の領域である。
【0037】
また、接続部64の側壁には、外部と嵌入空間65とを連通する接続用貫通孔67が2つ設けられている。2つの接続用貫通孔67は、同一の円周上に直列的に並べられており、互いに前記円周方向に180度離れた位置関係である。なお、接続用貫通孔67には、ロール状にされたピン等の接続手段58が挿通される。
【0038】
続いて、本実施形態の特徴的な作用をもたらす角芯5と弾性部材6の構成について説明する。
まず、角芯5の構成を説明する。
角芯5は、図7に示すように、断面形状がほぼ四角形の角柱状の部材で、一方の端部付近に形成された角切り欠き部60、61と、角芯5の軸線方向に交差した方向に貫通した接続用貫通孔62と、後述する弾性部材6が保持される保持溝59が設けられている。
角切り欠き部60、61は、角芯5の角を部分的に切り落とした部分で、角切り欠き部60は、前記一方の端部寄りに設けられ、角切り欠き部60は角切り欠き部61よりも中央寄りに設けられている。そして、各々の角切り欠き部60、61は、それぞれほぼ同一の円周上に直列的に並べられている。
【0039】
接続用貫通孔62は、いずれか1対の側面を貫通するように形成された貫通孔であり、角切り欠き部60と角切り欠き部61の間に配されている。具体的には、接続用貫通孔62は、ハンドル3の本体部3aに設けられた接続用貫通孔67と連通可能な位置に設計されている。即ち、本体部3aの嵌入空間65に角芯5を挿通すると、角芯5の接続用貫通孔62は、本体部3aの接続用貫通孔67と連通状態となる位置関係であり、その連通状態の接続用貫通孔67、62にロール状にされたピン等の接続手段58が挿通されると、角芯5が本体部3aに対して相対的に移動しないように固定することができる。
【0040】
保持溝59は、角芯5の断面を基準にすると、1つの頂点から中心に向かって形成された溝であり、図9に示すように、角芯5の軸線方向中間部から他方の端部(角切り欠き部60、61が位置する端部と反対側の端部)に向かって形成された溝である。また、保持溝59は、角芯5の軸線方向中間部に位置する端部側に底部が緩やかに傾斜した傾斜部76が設けられている。傾斜部76は、角芯5の中間側に向かって上り勾配であり、さらに緩やかな丸みを帯びた形状とされている。また、保持溝59の溝幅は、弾性部材6の厚みと同等あるいはそれ以上とされている。
【0041】
弾性部材6の構成を説明する。
弾性部材6は、外力が加えられると、いずれかの部位が変形又は変位する形状に形成された部材である。即ち、本実施形態の弾性部材6は、図7及び図9に示すように、側面視した形状がほぼ「S」字型であり、弓状の露出部70と、角芯5の保持溝59の底部と当接する溝当接部71、72と、保持部材12の貫通孔31又はハブ48のハブ角孔47を押圧する角孔押圧露出部73と、角芯5に対して弾性部材6が固定される固定部74とを有している。
【0042】
図9に基づいて具体的に説明すると、露出部70は、保持溝59から一部が露出する部分で、溝当接部71と溝当接部72を繋ぐ部分でもある。即ち、露出部70に加えられた外力は、溝当接部71及び溝当接部72から角芯5に伝導される。そして、これにより、溝当接部71、72には、角芯5から反力を受ける。
【0043】
また、角孔押圧露出部73は、溝当接部72を基準に、露出部70と対向する位置に配されている。即ち、角孔押圧露出部73は、弾性部材6に対して生じた反力によって、変形又は変位する位置である。
固定部74は、露出部70と角孔押圧露出部73との間に位置する突起状の部分で、図8に示すように、角芯5の一部をかしめることで、弾性部材6を角芯5に対して相対的に移動しないように制限する移動制限部57を形成するものである。
【0044】
従って、本実施形態では、角芯5の保持溝59に弾性部材6を嵌め込み一体化させる場合、弾性部材6の溝当接部71が角芯5の端部側に位置するように配し、溝当接部72が角芯5の中間側に位置するように配する。このとき、図9に示すように、弾性部材6の溝当接部71、72は保持溝59の底部と当接し、弾性部材6の露出部70及び角孔押圧露出部73は保持溝59から露出している。なお、本実施形態では、保持溝59が角芯5の対角線上に形成されているため、弾性部材6も角芯5の対角線上に配置されていると言える。
【0045】
また、角芯5の保持溝59を弾性部材6の固定部74に対応する箇所をかしめて、移動制限部57を形成する。そして、この移動制限部57により、弾性部材6が角芯5に対して、相対的に移動することを制限している。
【0046】
次に、本実施形態のドアハンドル1の取り付け手順について説明する。
ここで、以下の説明においては、ハブ48が内設される錠ケース50は、あらかじめ開き戸55に取り付けられているものとする。
【0047】
まず、角芯5と弾性部材6を一体化したもの(以下、角芯複合体15と称す)をハンドル3と一体化する。即ち、図11(a)に示すように、角芯5の角切り欠き部60、61側の端部をハンドル3の嵌入空間65に挿通し、接続手段58によって、接続部64と角芯5を固定する。
その後、角芯5の他方の端部側を錠ケース50のハブ角孔47に挿通する。この際、図11(b)に示すように、ハブ角孔47によって角孔押圧露出部73が角芯5の保持溝59内に押し込まれ、保持溝59の底部から受ける反力等により、露出部70が保持溝59から露出する方向に変位する。
【0048】
そして、その状態の角芯複合体15に対して、ハンドル2を挿着させる。即ち、ハンドル2の保持部材12の貫通孔31に角芯複合体15を挿通する。すると、角芯複合体15は、保持部材12の貫通孔31と連通した係止板11の係止角孔22に至る。そして、さらに角芯複合体15をハンドル2内部に押し込むと、係止板11が保持ピン13を支点に、保持部材12から離反するように揺動する。これにより、係止板11の開口縁部23、24の傾斜面を、保持部材12の貫通孔31の軸線方向と平行にすることができる。即ち、図11(c)に示すように、係止板11を傾斜させることで、角芯複合体15を係止角孔22に挿通させることができる。
【0049】
また、この際、図11(c)に示すように、貫通孔31によって、露出部70が角芯5の保持溝59内に押し込まれ、それによって溝当接部71、72に反力が生じ、角孔押圧露出部73が露出方向に移動する。これに対して、角孔押圧露出部73は、ハブ角孔47に対して押圧される。即ち、角孔押圧露出部73が露出方向に移動することで、角芯5とハブ48との接続が強固なものとなり、がた付きが防止される。さらに、露出部70は、保持部材12に対して押圧されるため、角芯5とハンドル2との接続が強固なものとなる。なお、弾性部材6は角芯5の対角線上に配置されているため、ハブ角孔47内で角芯5の軸線周りに回転することがない。
【0050】
上記したように、本実施形態では、ハンドル2に角芯複合体15を挿通することで、弾性部材6の角孔押圧露出部73がハブ角孔47の内壁を押圧し、さらに、弾性部材6の露出部70が保持部材12の内壁を押圧するため、角芯5をハブ48に対して容易に固定することができると共に、角芯5をハンドル2に対して容易に固定することができる。なお、ハンドル2内においても、弾性部材6が貫通孔31の対角線上に配されるため、角芯5の軸線周りに回転することがない。
【0051】
換言すれば、本発明は、ドアハンドル1に角芯5を挿着した後に、別部材などを用いて弾性部材6を人為的に押圧する必要がないため、ドアハンドル1を角芯5に取り付ける際の余分な手間を省くことができる。また、ドアハンドル1に角芯5を挿着した後に、接続手段によって角芯5とハンドル2とを接続する必要もないため、取り付けが楽である。
【0052】
ここで、開き戸55に取り付けた際の本実施形態のドアハンドル1の各部材の位置関係について付言しておく。
【0053】
本実施形態のドアハンドル1は、図2示すように、開き戸55を挟んだ位置に1対のハンドル2、3が配され、開き戸55のハブ角孔47に挿通された角芯複合体15における角切り欠き部60、61が位置する側の端部にハンドル3が装着され、角芯複合体15の保持溝59が位置する側の端部にハンドル2が装着されている。
【0054】
また、図3、6に示すように、ハンドル3と角芯5は、連通状態の接続用貫通孔67と角芯5の接続用貫通孔62に接続手段58が挿通される位置関係であり、ハンドル2と角芯5は、角芯複合体15の弾性部材6の一部が保持部材12の内壁を外側方向に押圧する位置関係である。即ち、ハンドル2においては、角芯複合体15が挿通されることで、弾性部材6における露出部70と角孔押圧露出部73と溝当接部71、72とが、相互に変形又は変位する関係とされている。
【0055】
また、この位置関係により、弾性部材6は、ハブ角孔47の内壁も押圧するため、角芯5はハブ48に対してがた付く事が防止される。なお、角芯5と、弾性部材6と、ハンドル2、3の具体的な位置関係については、上述した通りであるため省略する。
また、ハンドル2における接続部21の操作開口27には、係止板11の揺動側の縁端部が位置しており、操作開口27の範囲内で揺動する配置とされている。
【0056】
上記した実施形態では、ハンドル2、3の形状を「L」字型としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、従来よりあるほぼ円柱形をしたハンドルであっても構わない。
【符号の説明】
【0057】
1 ドアハンドル
2 ハンドル
3 ハンドル
5 角芯
6 弾性部材
14 嵌入空間(挿着部)
22 係止角孔
29 傾斜部
40 溝部
47 ハブ角孔
48 ハブ
50 錠ケース
70 露出部
70 溝当接部
71 溝当接部
73 角孔押出露出部
74 固定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアを挟んだ位置に配される1対のドアハンドルに挿着される角芯を、錠ケースに具備されたハブの角孔に対して固定する角芯の固定構造であって、
薄板状の弾性部材を有し、
前記角芯は、前記弾性部材が配される溝部を有し、
前記溝部に配した弾性部材は、角芯の少なくとも一方の端部側の位置に溝部から露出した露出部が形成されるものであって、
ドアハンドルに角芯を挿着すると、ドアハンドルの挿着部によって前記露出部が溝部内に入り込む方向に押圧されて、角芯の中間に位置する弾性部材の一部が溝部に対して露出する方向に変形又は変位して角孔の内壁を押圧することを特徴とする角芯の固定構造。
【請求項2】
前記弾性部材は、溝部の底部に当接する溝当接部が2箇所有り、当該2箇所の溝当接部の間に前記した露出部が存在するものであることを特徴とする請求項1に記載の角芯の固定構造。
【請求項3】
前記弾性部材には、前記露出部と角芯の中間側の溝当接部との間に、角芯に対して固定される固定部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の角芯の固定構造。
【請求項4】
溝部に配した弾性部材は、角芯の中間側に位置する側に角孔押圧露出部が形成されるものであって、当該角孔押圧露出部が角孔の内壁を押圧するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の角芯の固定構造。
【請求項5】
戸枠に対してドアを開閉することが可能な1対のハンドルと、1対のハンドルに挿着される角芯と、角芯が挿通される角孔を有した錠ケースとを備え、請求項1乃至4のいずれかに記載の角芯の固定構造により構成されたものであることを特徴とするドアハンドル。
【請求項1】
ドアを挟んだ位置に配される1対のドアハンドルに挿着される角芯を、錠ケースに具備されたハブの角孔に対して固定する角芯の固定構造であって、
薄板状の弾性部材を有し、
前記角芯は、前記弾性部材が配される溝部を有し、
前記溝部に配した弾性部材は、角芯の少なくとも一方の端部側の位置に溝部から露出した露出部が形成されるものであって、
ドアハンドルに角芯を挿着すると、ドアハンドルの挿着部によって前記露出部が溝部内に入り込む方向に押圧されて、角芯の中間に位置する弾性部材の一部が溝部に対して露出する方向に変形又は変位して角孔の内壁を押圧することを特徴とする角芯の固定構造。
【請求項2】
前記弾性部材は、溝部の底部に当接する溝当接部が2箇所有り、当該2箇所の溝当接部の間に前記した露出部が存在するものであることを特徴とする請求項1に記載の角芯の固定構造。
【請求項3】
前記弾性部材には、前記露出部と角芯の中間側の溝当接部との間に、角芯に対して固定される固定部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の角芯の固定構造。
【請求項4】
溝部に配した弾性部材は、角芯の中間側に位置する側に角孔押圧露出部が形成されるものであって、当該角孔押圧露出部が角孔の内壁を押圧するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の角芯の固定構造。
【請求項5】
戸枠に対してドアを開閉することが可能な1対のハンドルと、1対のハンドルに挿着される角芯と、角芯が挿通される角孔を有した錠ケースとを備え、請求項1乃至4のいずれかに記載の角芯の固定構造により構成されたものであることを特徴とするドアハンドル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−62708(P2012−62708A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208803(P2010−208803)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000147442)株式会社WEST inx (28)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000147442)株式会社WEST inx (28)
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