説明

角質剥離用粘着剤組成物及び角質剥離用粘着シート

【課題】
角質剥離能に優れる粘着層を形成するための角質剥離用粘着剤組成物、及び角質剥離能に優れる角質剥離用粘着シートを提供する。
【解決手段】
油脂吸収材および粘着成分を含有することを特徴とする角質剥離用粘着剤組成物、及び該角質剥離用粘着剤組成物から形成された粘着層を有する角質剥離用粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油脂吸収材及び粘着成分を含有し、角質剥離能に優れる角質剥離用粘着剤組成物及び角質剥離用粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の最外層にある角質は、生体内と外界を分ける界面であり、生体成分が外界に漏出するのを防いだり、有害成分が生体内に進入するのを防ぐバリアー機能を有する。
このように、角質は生体にとって重要な機能を有するものであるが、例えば、薬物やワクチン等の有効成分を経皮吸収により生体内に投与したり、臨床検査等を目的として吸引浸出液を皮膚から減圧吸引する際などにおいて、角質を除去することが必要な場合がある。
【0003】
従来、角質を除去する方法としては、例えば、皮膚表面に、粘着テープ(角質剥離用粘着シート)を貼着し、一定時間後に剥離することによって角質を除去する方法が知られている(特許文献1〜6等)。
しかしながら、従来の粘着テープ(角質剥離用粘着シート)では、皮脂分泌量が多いと角質剥離能が不十分な場合がある。皮脂は個人差、季節差等の要因により分泌量が異なるが、これらの要因の影響を低減させることができ、より優れた角質剥離能を有する角質剥離用粘着シートの開発が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−123326号公報
【特許文献2】特開平3−151951号公報
【特許文献3】特開2007−289672号公報
【特許文献4】特開2008−201698号公報
【特許文献5】特開2009−102304号公報
【特許文献6】特開2009−29742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、角質剥離能に優れる角質剥離用粘着剤組成物及び角質剥離用粘着シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、粘着成分を含有する角質剥離用粘着剤組成物において、油脂吸収材をさらに含有させておくと、角質剥離能に極めて優れた角質剥離用粘着シートが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
かくして本発明の第1によれば、下記(1)〜(5)の角質剥離用粘着剤組成物が提供される。
(1)油脂吸収材及び粘着成分を含有することを特徴とする角質剥離用粘着剤組成物。
(2)前記油脂吸収材が、無機系材料、樹脂系材料、有機無機ハイブリッド材料、炭及びシルクからなる群から選ばれる少なくとも一種からなるものであることを特徴とする(1)に記載の角質剥離用粘着剤組成物。
(3)前記油脂吸収材の、JIS K 5101−13−1に準拠して測定される吸油量が、50ml/100g以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の角質剥離用粘着剤組成物。
(4)前記油脂吸収材が、油脂吸収能を有する微粒子であって、JIS Z8825−1に準拠して測定される平均粒径が、1〜100μmであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の角質剥離用粘着剤組成物。
(5)前記油脂吸収材の含有量が、角質剥離用粘着剤組成物全体に対して1〜50質量%であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の角質剥離用粘着剤組成物。
【0008】
本発明の第2によれば、下記(6)の角質剥離用粘着シートが提供される。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の角質剥離用粘着剤組成物からなる粘着層を有する角質剥離用粘着シート。
【発明の効果】
【0009】
本発明の角質剥離用粘着剤組成物は、角質剥離能に極めて優れる粘着層の形成材料として有用である。
本発明の角質剥離用粘着シートは、本発明の角質剥離用粘着剤組成物から形成された粘着層を有するものであり、角質剥離能に極めて優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を、1)角質剥離用粘着剤組成物、及び、2)角質剥離用粘着シートに項分けして詳細に説明する。
【0011】
1)角質剥離用粘着剤組成物
本発明の角質剥離用粘着剤組成物は、油脂吸収材及び粘着成分を含有することを特徴とする。
本発明に用いる油脂吸収材としては、人間の皮膚に対して安全であって、角質上に存在する皮脂を吸収する性質を有する材料からなるものであれば、特に制約はない。なかでも、無機系材料、樹脂系材料、有機無機ハイブリッド材料、炭、及びシルクからなる群から選ばれる少なくとも一種からなるものであることが好ましい。
【0012】
無機系材料としては、ゼオライト、シリカ、カルシウム、ベントナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト、スメクタイト、カオリナイト、ハロサイト、ケイソウ土、ケイ酸マグネシウム・アルミニウム、ケイ酸マグネシウム・ナトリウム、カオリン、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、麦飯石、無水珪酸等が挙げられる。また、例えば、シリカ微粒子等の表面にカルシウム等をコーティングしたもの等も用いることができる。
【0013】
樹脂系材料としては、ウレタン樹脂;ポリアミド樹脂;ナイロン樹脂;架橋ポリアルキルスチレン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート/エチレングリコールジメタクリレートコポリマー、ポリアリルメタクリレート/エチレングリコールジメタクリレートコポリマー、エチレングリコールジメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー等のアクリル系樹脂;セルロース;等が挙げられる。
【0014】
有機無機ハイブリッド材料としては、シリカ等の表面にオクタデシル基等の炭化水素基が結合した化合物等が挙げられる。
【0015】
これらの油脂吸収材は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、ゼオライト、シリカ、ウレタン樹脂、炭、シルク、表面が有機基で修飾されたシリカ微粒子(例えば、表面にオクタデシル基が結合したシリカ微粒子)が好ましい。
【0016】
本発明に用いる油脂吸収材は、微粒子であるのが好ましい。
微粒子の形状としては特に制約はなく、球状、棒状、板状、円盤状等、いかなる形状であっても構わない。
微粒子のJIS Z8825−1に準拠して測定される平均粒径は、1〜100μmであるのが好ましく、5〜50μmであるのがより好ましい。このような大きさの微粒子を用いることにより、より皮脂の吸収性を高めることができる。
【0017】
本発明に用いる油脂吸収材は、その吸油量が、JIS K5101−13−1に準拠して測定される吸油量で、50ml/100g以上であるのが好ましい。このような吸油量を有する油脂吸収材を用いることで、より優れた角質剥離能を有する粘着層を形成できる角質剥離用粘着剤組成物を得ることができる。
【0018】
本発明においては、油脂吸収材として市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、合成ゼオライトA(和光純薬工業社製)、シリカル(日鉄鉱業社製)、ウレパールUS−01、ウレパール試作品−501(コニシ社製)、YMC−Pack ODS−A(ワイエムシィ社製)、微粒子炭パウダー(ピーチピッグ社製)、超微粒子シルクパウダー(マンディ・ムーン社製)等が挙げられる。
【0019】
油脂吸収材の添加量は、角質剥離用粘着剤組成物全体に対して、1〜50質量%であるのが好ましく、2〜40質量%であるのがより好ましい。
油脂吸収材の含有量があまりに少ないと、本発明の目的とする効果が得られない。油脂吸収材の含有量があまりに多いと、追従性が低下し、表面に凸凹ができ、皮膚との接触面積が減少して粘着力が低下するおそれがある。
【0020】
角質は、ケラチンを主成分とするタンパク質と、セラミドやコレステロールを主成分とする細胞間脂質からなり、オレイン酸グリセリドやスクワレンなどからなる皮脂に覆われている。
本発明の角質剥離用粘着剤組成物は、上記のような油脂吸収材を含有するため、角質層の表面を覆う皮脂を効率よく吸収し除去することができる。そのため、皮脂の存在に起因する粘着力の低下がなく、角質剥離能に極めて優れる粘着層を形成することができる。
【0021】
本発明の角質剥離用粘着剤組成物は、油脂吸収材の他に、角質を剥離する粘着成分を含有する。
粘着成分としては、その粘着力により角質を剥離することができるものであればよく、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、粘着力の制御が容易である点で、アクリル系粘着剤が好ましい。
【0022】
本発明の角質剥離用粘着剤組成物は、次のような粘着力を有するものが好ましい。すなわち、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、角質剥離用粘着剤組成物を乾燥後の坪量が30g/mとなるように塗布、乾燥して、粘着層を形成し、得られた角質剥離用粘着シートをベークライト板に貼付して5分後のJIS Z0237に準拠した粘着力(モード:180°剥離,剥離速度:300mm/min,貼付時間:5分)が、5〜25N/25mmであることが好ましく、7〜20N/25mmであることが特に好ましい。上記粘着力が5N/25mm未満であると、効果的に角質層を剥離することができない。一方、上記粘着力が25N/25mmを超えると、皮膚に糊残りが生じるおそれがある。
【0023】
前記角質剥離用粘着剤組成物は、使用目的に合わせ、その他の成分をさらに含有していてもよい。
その他の成分としては、薬剤、保湿剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、隠蔽剤、可塑剤、ワックス、着色剤、無機フィラー、有機フィラー等の各種添加剤が挙げられる。
【0024】
角質剥離用粘着剤組成物は、上記した、粘着成分、並びに所望によりその他の成分及び有機溶媒を、常法に従って適宜混合して調製することができる。
【0025】
ここで用いる有機溶媒としては、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶媒;及びこれらの溶媒の2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
【0026】
有機溶媒の使用量は、特に限定されないが、角質剥離用粘着剤組成物全体に対して、通常5〜90質量%、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%である。
【0027】
本発明の角質剥離用粘着剤組成物によれば、角質剥離能に優れる粘着層を形成することができる。特に本発明の角質剥離用粘着剤組成物は、後述する本発明の角質剥離用粘着シートの粘着層の形成材料として有用である。
【0028】
2)角質剥離用粘着シート
本発明の角質剥離用粘着シートは、本発明の角質剥離用粘着剤組成物からなる粘着層を有することを特徴とする。
【0029】
本発明の角質剥離用粘着剤組成物からなる粘着層は、例えば、本発明の角質剥離用粘着剤組成物を、所望により、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤で希釈した後、常法により支持体に塗布、乾燥することにより形成することができる。
【0030】
用いる支持体は、粘着層を担持できるものであれば、特に制約はなく、得られる角質剥離用粘着シートの使用目的等を考慮して適宜選択することができる。
【0031】
用いる支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル等のポリオレフィン系フィルム、ポリウレタン系フィルム、ポリスチレン系の熱可塑性エラストマーフィルム等の樹脂フィルム;これらの樹脂フィルムにアルミニウムなどの金属を蒸着したフィルム;各種の合成繊維及び/又は天然繊維からなる、織布、編布、不織布等の繊維類;上質紙、グラシン紙、コート紙等の紙類;これらの積層体;等が挙げられる。
【0032】
支持体の厚さは、特に制限されないが、支持体が樹脂フィルムの場合には、通常5〜250μm、好ましくは10〜100μmであり、支持体が繊維類や紙類等からなる場合には、通常10〜1000μm、好ましくは20〜500μmである。
【0033】
また、支持体の粘着層が形成される側の面に、粘着層との密着性を高めるために、予め、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。また、得られる角質剥離用粘着シートを、運搬・保管に適した巻取体にする場合等においては、支持体の粘着層が形成されない側の表面を、シリコーン系剥離剤や長鎖アルキル化合物等によって剥離処理してもよい。
【0034】
角質剥離用粘着剤組成物の塗布は、既存の塗布装置を用いて行うことができる。塗布装置としては、グラビアコーター、マイヤーバーコーター、ロールコーター、ナイフコーター、ダイコーター、スクリーンコーター等が挙げられる。
【0035】
乾燥温度は特に制約はないが、通常60〜200℃、好ましくは80〜120℃である。乾燥時間は乾燥温度にもよるが、通常5秒から10分間、好ましくは10秒から5分間である。
【0036】
得られる粘着層の坪量(単位面積当たりの質量)は、特に限定されないが、効果的に角質を剥離する観点から、好ましくは10〜200g/mであり、特に好ましくは15〜100g/mである。
【0037】
得られる粘着層の上には、保存・運搬用に剥離シートをラミネートしてもよい。剥離シートは、角質剥離用粘着シート使用時に剥離される。
【0038】
剥離シートとしては、上質紙、グラシン紙、コート紙、ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙等の紙類;PET等のポリエステル系フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム等の合成樹脂フィルム;及びこれらの紙類又は合成樹脂フィルムの片面または両面に、シリコーン系剥離剤や長鎖アルキル化合物等により剥離処理が施されたもの;等が挙げられる。なかでも、入手容易性、取り扱い容易性等から、剥離処理が施されたポリエステル系フィルムが好ましい。
【0039】
本発明の角質剥離用粘着シートは、角質剥離用粘着シートをベークライト板に貼付して5分後のJIS Z0237に準拠した粘着力(モード:180°剥離,剥離速度:300mm/min,貼付時間:5分)が、5〜25N/25mmであることが好ましく、7〜20N/25mmであることが特に好ましい。上記粘着力が5N/25mm未満であると、効果的に角質層を剥離することができない。一方、上記粘着力が25N/25mmを超えると、皮膚に糊残りが生じるおそれがある。
【0040】
本発明の角質剥離用粘着シートは、本発明の角質剥離用粘着剤組成物から得られる粘着層を有するため、角質剥離能に極めて優れる。本発明の角質剥離用粘着シートが角質剥離能に優れることは、例えば、角質剥離用粘着シートを人間の額に5分間貼付後剥離し、剥離したシートを規定のサイズに打ち抜き、DCプロテインアッセイキット(バイオラッドラボラトリーズ社製)にて角質剥離量(μg/cm)を測定することにより確認することができる。
【0041】
本発明の角質剥離用粘着シートにより角質を剥離した後の皮膚には、皮脂がほとんど確認されない。本発明の角質剥離用粘着剤組成物中の油脂吸収材が皮脂を吸収するため、皮脂の存在による角質剥離能の低下がなく、本発明の角質剥離用粘着シートは、優れた角質剥離能を有するものと考えられる。
【0042】
皮膚に皮脂が残存しているか否かは、例えば、角質剥離用粘着シートを皮膚に貼付して角質剥離し、該角質剥離部位に、ろ紙を1分間重ね合わせた状態で保持した後、ろ紙を、四酸化オスミウム蒸気中に15分間放置する。皮脂が残存していれば、ろ紙は黒色に発色し、皮脂が残存していなければ、黒色に発色しない。皮脂の主成分であるオレイン酸及びそのグリセリンエステルは、分子内に不飽和二重結合を有するため、四酸化オスミウムと付加反応して黒色に発色するからである。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を、実施例及び比較例によりさらに詳細に説明する。本発明は、これらの実施例によって何ら制限されない。
【0044】
(実施例1)
アクリル系粘着剤の酢酸エチル溶液(アクリル酸2−エチルヘキシルエステル70質量%とN−ビニルピロリドン25質量%の共重合体、固形分:50質量%)に、合成ゼオライト(A−4、和光純薬工業社製)を、前記アクリル系粘着剤の乾燥重量100質量%に対して20.8質量%混合し、混合液1を得た。
次に、剥離シートとして、厚さ38μmのシリコーン樹脂で片面が剥離処理されたPETフィルム製剥離シートを用意し、その離型面に、前記混合液1を、乾燥後の坪量が30g/mとなるように塗布後、加熱乾燥し、粘着層を形成した。得られた粘着層の上に、支持体としてのPETフィルム(ルミラー、平均厚さ:50μm、東レ社製)をラミネートして、角質剥離用粘着シート1を作製した。
【0045】
(実施例2〜9)
実施例1において、合成ゼオライト20.8質量%の代わりに、下記第1表に示す油脂吸収材を、第1表に示す量用いた以外は、実施例1と同様にして、角質剥離用粘着シート2〜9を作製した。表中、油脂吸収材A〜Gは、以下のものを表す。
【0046】
A:合成ゼオライト A−4、和光純薬工業社製
B:シリカル、日鉄鉱業社製
C:ウレパールUS−01、コニシ社製
D:ウレパール試作品−501、コニシ社製
E:YMC-Pack ODS−A、ワイエムシィ社製
F:微粒子炭パウダー、ピーチピッグ社製
G:超微粒子シルクパウダー、マンデイ・ムーン社製
【0047】
上記油脂吸収材の平均粒径及び吸油量を、下記に示す方法で測定した。その結果を下記第1表にまとめて示す。
【0048】
(1)油脂吸収材の平均粒径
油脂吸収材の平均粒径をJIS Z8825−1(粒子径解析−レーザー回折法)に準拠して、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、商品名「LA−920」、He−Neレーザ波長:632.8nm)を用いて測定した。
【0049】
なお、測定時の分散液は、油脂吸収材Eのみ酢酸エチルを用い、それ以外は精製水を用いた。また、分散液5mLに対して油脂吸収材を100mg添加し、超音波振とう機にて3分間振とうさせた試験液を、予め同一の分散液を90%容量まで満たしておいた測定セルに滴下し、光線透過度が70〜95%となるように調整して測定を行った。
また、各材料の屈折率は、精製水:1.333、酢酸エチル:1.372、油脂吸収材A:1.5、油脂吸収材B:1.5、油脂吸収材C:1.5、油脂吸収材D:1.5、油脂吸収材E:1.5、油脂吸収材F:1.8、油脂吸収材G:1.4であった。
【0050】
(2)油脂吸収材の吸油量
油脂吸収材の吸油量をJIS K5101−13−1(精製あまに油法)に準拠して、測定した。
【0051】
(比較例1)
合成ゼオライトを用いない他は、実施例1と同様にして、角質剥離用粘着シート10を作製した。
【0052】
(比較例2)
ニチバン社製セロテープ(登録商標)を、角質剥離用粘着シート11とした。
【0053】
実施例1〜9、比較例1,2で得られた角質剥離用粘着シート1〜11につき、下記に示す方法で、角質剥離量、剥離後の皮脂残量、及び粘着力を測定した。その結果を下記第1表にまとめて示す。
【0054】
(1)角質剥離量の測定
角質剥離量をタンパク質定量法(Lowry法)に準拠して測定した。
まず、角質剥離用粘着シートを人間の額に5分間貼付後剥離し、剥離したシートを規定のサイズに打ち抜き、DCプロテインアッセイキット(バイオラッドラボラトリーズ社製)にて角質剥離量(タンパク質量、μg/cm)を測定した。〔参照:F.Dreher, Colorimetric Method for Quantifying Human Stratum Corneum Removed by Adhesive−Tape−Stripping,Acta Derm Veneresol(Stockh) 1998;78:186−189〕
【0055】
(2)皮脂残量の評価
角質剥離用粘着シートを人間の額に5分間貼付後剥離した。前記額の角質剥離部位にろ紙を1分間固定した後、このろ紙を、四酸化オスミウム蒸気中に15分間放置した。ろ紙の発色の度合いを肉眼で確認し、皮膚上の皮脂残量を、1:皮脂残量なし(発色なし)、2:皮脂残量わずか(わずかに発色)、3:皮脂残量あり(発色あり)、と評価した。
【0056】
(3)粘着力
角質剥離用粘着シートをベークライト板に貼付して5分後のJIS Z0237に準拠して粘着力(モード:180°剥離,剥離速度:300mm/min,貼付時間:5分)を測定した。
【0057】
【表1】

【0058】
第1表より、本発明の角質剥離用粘着シート1〜9は、比較例1,2の角質剥離用粘着シート10,11に比して、角質剥離量が多く、角質剥離能に極めて優れることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂吸収材および粘着成分を含有することを特徴とする角質剥離用粘着剤組成物。
【請求項2】
前記油脂吸収材が、無機系材料、樹脂系材料、有機無機ハイブリッド材料、炭およびシルクからなる群から選ばれる少なくとも一種からなるものであることを特徴とする請求項1に記載の角質剥離用粘着剤組成物。
【請求項3】
前記油脂吸収材の、JIS K5101−13−1に準拠して測定される吸油量が、50ml/100g以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の角質剥離用粘着剤組成物。
【請求項4】
前記油脂吸収材が、油脂吸収能を有する微粒子であって、JIS Z8825−1に準拠して測定される平均粒径が、1〜100μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の角質剥離用粘着剤組成物。
【請求項5】
前記油脂吸収材の含有量が、角質剥離用粘着剤組成物全体に対して1〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の角質剥離用粘着剤組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の角質剥離用粘着剤組成物から形成された粘着層を有する角質剥離用粘着シート。

【公開番号】特開2011−110233(P2011−110233A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269712(P2009−269712)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】