説明

解乳化剤としてブロックポリマーを用いてポリオキシアルキレングリコールエーテル類を製造する方法

【課題】 ポリオキシアルキレングリコールジアルキルエーテル類から水の相分離をより迅速に進める方法の提供。
【解決手段】 この課題は、アルコキシドとアルキル化剤との反応によってポリオキシアルキレングリコールモノエーテル及び/又はジエーテルを製造する方法において、アルコキシド、アルキル化剤及び生じたポリオキシアルキレングリコールエーテルよりなる混合物に水と、1〜30の炭素原子及び1〜25の水酸基、アミノ基又はその両方を有する化合物から、それぞれ1〜200モルのC〜C−アルキレンオキシドよりなる少なくとも2つの異なるブロックでのブロック−アルコキシル化によって得ることができるブロックポリマーとを添加することを特徴とする、上記方法によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は解乳化剤を使用してポリアルキレングリコールエーテル類を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシアルキレングリコール中の遊離OH基のエーテル化を、工業規模で一般にウイリアムソン合成 (K. Weissermel, H. J. Arpe “Industrielle Organische Chemie”(工業有機化学), 1998, 第179頁)によって、後記反応式に従って、ポリアルキレングリコールのR−OHを水酸化ナトリウム又はナトリウムと反応させて、相応するアルコキシドを得、そして次にアルキルクロライドR−Clを用いてアルキル化する:
【化1】

【0003】
生じる塩は水の添加によって溶液とされそして次に相分離によって生成物から単離される。しかしながらこの時間の掛かる水性相分離には、特に混合ポリオキシアルキレングリコールジアルキルエーテル類又は純粋ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル類の場合には数時間必要であり、それが比較的に長いタンク占有時間及び相応する多大な費用の原因になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の課題は、ポリオキシアルキレングリコールジアルキルエーテル類から水の相分離をより迅速に進める方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、驚くべきことに、特別なブロックポリマーが所望の反応生成物に不都合な影響を及ぼすことなく相分離を促進するのに適することを見出した。
【0006】
それ故に本発明は、アルコキシドとアルキル化剤との反応によってポリオキシアルキレングリコールモノエーテル及び/又はジエーテルを製造する方法において、アルコキシド、アルキル化剤及び生じたポリオキシアルキレングリコールエーテルよりなる混合物に
水と、
1〜30の炭素原子及び1〜25の水酸基、アミノ基又はその両方を有する化合物から、それぞれ1〜200モルのC〜C−アルキレンオキシドよりなる少なくとも2つの異なるブロックでのブロック−アルコキシル化によって得ることができるブロックポリマー
とを添加することを特徴とする、上記方法に関する。
【0007】
本発明は更に、1〜30の炭素原子及び1〜25の水酸基、アミノ基又はその両方を有する化合物からそれぞれ1〜200モルのC〜C−アルキレンオキシドの少なくとも2つの異なるブロックでのブロック−アルコキシル化によって得ることができるブロックポリマーを本発明の方法において解乳化剤として使用することにも関する。
【0008】
本発明の方法によって得ることのできるポリオキシアルキレングリコールモノエーテル及び/又はジエーテルは、一般に式(1)

R-O-(AO)y-R1 (1)

[式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜24の炭化水素基又はR−C(O)−基であり、ただしRは炭素原子数1〜24の炭化水素基であり、
は炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、
AOはアルコキシ基でありそして
yは1〜200である。]
で表される。 yは好ましくは2〜100であり、特に好ましくは3〜50である。
【0009】
Rは脂肪族又は芳香族の種類でもよい。Rは飽和でも不飽和でもよい。Rの例には炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数2〜24のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基及びアリル基である。Rは好ましくは炭素原子数2〜18、特に好ましくは炭素原子数4〜12である。
【0010】
式(2)中のRが水素原子である場合には、これらの化合物はモノアルキレングリコール、ジアルキレングリコール又は高級アルキレングリコールをアルキル化することによって得ることができるポリオキシアルキレングリコールモノエーテルである。
【0011】
式(2)中のRが炭素原子数1〜24の炭化水素基である場合には、これらの化合物は炭素原子数1〜24、好ましくは2〜18、特に好ましくは4〜12の一価アルコールのアルコキシレートをアルキル化することによって得ることのできるポリオキシアルキレングリコールジエーテル類である。
【0012】
式(2)中のRがR−C(O)−基であり、Rが炭素原子数1〜24の炭化水素基である場合には、これらの化合物はモノカルボン酸のアルコキシレートをアルキル化することによって得ることのできるポリオキシアルキレングリコールジエーテル類である。その際に、Rは1〜24、好ましくは2〜18、特に好ましくは4〜12の炭素原子を有している。
【0013】
は炭素原子数1〜12、好ましくは2〜8、特に好ましくは4〜6の炭化水素ハロゲン化物からハロゲン原子の分離によって誘導される基であるのが有利である。Rは脂肪族又は芳香族でもよい。Rは飽和又は不飽和でもよい。Rの例には炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数2〜12のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、アリル基がある。炭化水素ハロゲン化物はアルキル化剤である。特に好ましいハロゲン化物は塩化物である。
【0014】
AOはランダムに又はブロック状に配列されていてもよい一様なアルコキシ基又は混合アルコキシ基でありそしてエトキシ基、プロポキシ基及び/又はブトキシ基を含有していてもよい。有利な一つの実施態様においては、AOは少なくとも1つのプロポキシ基又はブトキシ基を含有している。
【0015】
適するブロックポリマーは例えば式(2)
【0016】
【化2】

【0017】
[式中、A、Bは種々のC〜C−アルキレン基であり、
はH又は炭素原子数1〜30でハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、
はH又はC〜C−アルキル基であり、
l、mはそれぞれ互いに無関係に1〜200であり、
nは0〜200であり、
qは1〜25でありそして
YはO又はNRでありそして
はRについて規定した通りである。]
で表される。
【0018】
YがNRである場合いは、式(2)の化合物は少なくとも2つの活性水素原子を有し、すなわちアルコキシル化に適する位置を有している。この場合、qが2と同じか又は2より大きい化合物並びにR及び/又はRが少なくとも1つの水酸基を有している化合物が特に適する。
【0019】
が炭素原子数が1〜30でありそして酸素原子及び/又は窒素原子の様なヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基である。Rは置換されていてもよく、有利な置換基は水酸基又はアミノ基である。Rの置換基は式
-(A-O)l-(B-O)m-(A-O)n-
[式中、A、B,l、m、nのそれぞれが前記で規定した通りの意味を有する。]
で表されるアルコキシ基を有していてもよい。これらのアルコキシ基中に存在する炭素原子はRが有する1〜30の炭素原子に含まれない。
【0020】
l、m及びnは互いに無関係に2〜100である。特に有利な一つの実施態様においては、アルコキシ鎖 -(A-O)l-(B-O)m-(A-O)n- は30モル%より多いプロピレンオキシド基を有している。
【0021】
qは好ましくは2〜20、特に好ましくは3〜8である。
【0022】
式(3)の化合物の分子量は好ましくは1000〜30,000g/モルである。
【0023】
特に有利な一つの実施態様においては、式(3)の化合物は、ジオール、ポリオール又はアミンとC〜C−アルケンオキシドとの反応によって得られる1500〜35,000、好ましくは2000〜15,000モル質量を有するアルキレンオキシドポリマーである。このアルキレンオキシドポリマーの有用なジオールには以下の化合物が含まれる:
【0024】
1. 脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール−1,4、ドデカンジオール−1,12、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、約20,000までの相対モル質量を有するポリエチレングリコール、約4000までの相対モル質量を有するポリプロピレングリコール、約4000までの相対モル質量を有するポリブチレングリコール。
【0025】
2. 少なくとも600のモル質量を有するポリプロピレンオキシド、好ましくは600〜3500のモル質量を有するポリプロピレンオキシドを原料としてオキシエチル化することによって製造されるエチレンオキシドプロピレンオキシドブロックポリマー。プロピレンオキシドはブチレンオキシドに一部交換されていてもよい。ブロックポリマーの分子全体中のポリエチレンオキシド基の割合は少なくとも5%、好ましくは10〜80%であるように選択する。
【0026】
3. 少なくとも600のモル質量を有するポリブチレンオキシド、好ましくは600〜3000のモル質量を有するポリブチレンオキシドを原料としてオキシエチル化することによって製造されるエチレンオキシド−ブチレンオキシドブロックポリマー。ブチレンオキシドはプロピレンオキシドに一部交換されていてもよい。ブロックポリマーの分子全体中のポリエチレンオキシド基の割合は少なくとも10%、好ましくは10〜80%であるように選択する。
【0027】
適するポリオールは、例えばグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、ポリグリセロール類、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール及び他の還元糖類がある。かゝるブロックポリマーを製造するのに適するアミン類は例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びそれより高級な同族体、トリエタノールアミン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンがある。
【0028】
ブロックポリマーは本発明の方法において架橋した状態で使用してもよい。架橋ブロックポリマーは、ブロックポリマーからビス−、トリ−及びテトラグリシジルエーテル類との反応によって、多塩基性ジカルボン酸及びそれらの酸無水物でのエステル化によって及び多価イソシアネートとの反応によって得ることができる。
【0029】
以下の架橋剤を使用するのが有利である:ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ブタン−1,4−ジオールジグリシジルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、グリセリルジグリシジルエーテル、グリセリルトリグリシジルエーテル、グリセリルプロポキシレートトリグリシジルエーテル、ポリグリセリルポリグリシジルエーテル、p−アミノフェノールトリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリチルテトラグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ひまし油トリグリシジルエーテル、ジアミノビフェニルテトラグリシジルエーテル、大豆油エポキシド、アジピン酸、マレイン酸、フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、ドデシル無水コハク酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート。
【0030】
前述の架橋ブロックポリマーは本発明の方法においてアルコキシル化された状態で使用してもよい。この目的のためには、これらは100gの架橋ブロックポリマー当たりに好ましくは5〜700gのC〜C−アルキレンオキシド、特に30〜300gのそれでアルコキシル化する。アルコキシル化のための特に適するブロックポリマーはグリシジルエーテルとの反応によって得られる架橋ブロックポリマー、特にジグリシジルエーテルで架橋されたブロックポリマーである。
【0031】
ブロックポリマーの他に、本発明の方法においては共解乳化剤も使用してもよい。そのような共解乳化剤には
a)アルコキシル化アルキルフェノール−アルデヒド樹脂、
b)アルコキシル化ポリエチレンイミン類、
又はそれらの混合物がある。
【0032】
アルコキシル化アルキルフェノール−アルデヒド樹脂は特に式(3)
【0033】
【化3】

【0034】

[式中、Rは直鎖状の又は分岐したC〜C20−アルキル基であり、
pは1〜75であり、
Xは1種類の1,2―アルキレン基又は異なる炭素原子数2〜4の1,2−アルキレン基でありそして
kは1〜200である。]
で表される化合物を意味する。
【0035】
は好ましくはC〜C12−アルキル基である。
【0036】
pは好ましくは2〜40である。
【0037】
kは好ましくは5〜150、特に好ましくは10〜100である。
【0038】
Xは好ましくはエチレン基又はプロピレン基である。
【0039】
式(1)のアルコキシ化アルキルフェノール−アルデヒド樹脂は、公知の方法によって相応するアルキルフェノール類をホルムアルデヒドで縮合反応させることによって、すなわち、1モルのアルキルフェノール当たり0.5〜1.5モル、好ましくは0.8〜1.2モルのホルムアルデヒドと縮合反応させることによって得ることができる。この縮合反応は溶剤を用いずに行うことができるが、水混和性か又は部分的に水と混和する不活性有機溶剤、例えば鉱油、アルコール、エーテル等の存在下に行うのが好ましい。水と共沸混合物を生じ得る溶剤が特に有利である。使用されるこの種の溶剤には特に芳香族化合物、例えばトルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、比較的に高沸点の市販の溶剤混合物、例えばソルベントナフサ(Solvent Naphtha)又はグリム類(ポリエチレングリコールジアルキルエーテル類)がある。縮合反応は好ましくは70〜200℃、特に好ましくは90〜160℃で行う。この反応は一般に0.05〜5重量%の塩基又は酸によって接触作用される。アルキルフェノール−アルデヒド樹脂が生じた後に、C〜C−アルキレンオキシドを用いてアルコキシル化し、得られるアルコキシレートは1〜200のアルコキシ基を含有している。
【0040】
適する解乳化剤b)には、遊離のNH基当たりに1〜100のC〜C−アルキレンオキシド基又はこれらアルキレンオキシド基の混合物でアルコキシル化されているオリゴ−又はポリエチレンイミン類がある。
【0041】
アルコキシル化オリゴ−又はポリエチレンイミン類の前駆体は、2つの炭素原子に常に1つの窒素原子が続いている分岐したオリゴマーアミン又はポリマーアミンである。第一窒素原子と第二窒素原子と第三窒素原子との比は好ましくは、相応する市販品において通例である様に、約1:2:1である。ポリマーとしてこれらは分子量分布を有している。本発明の関係では、平均分子量(光散乱法によって測定されるM)が15,000g/モルより大きい種類を用いるのが有利である。次の式(4)は、第一、第二及び第三窒素原子の比が約1:2:1である市販の分岐したポリエチレンイミン類の構造を示している:
【0042】
【化4】


【0043】
オリゴ−又はポリエチレンイミンは、従来技術で知られる通り、C〜C−アルキレンオキシド又はこれらのアルキレンオキシドの混合物でアルコキシル化されており、その結果アルコキシル化オリゴ−又はポリエチレンイミンは好ましくは遊離NH基当たりに2〜80のアルキレンオキシドのアルコキシル化度を有している。特に、使用されるアルコキシル化オリゴ−又はポリエチレンイミン類はアルカリ触媒の存在下にエチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドで順次アルコキシル化することによって製造される。最初にプロピレンオキシド(PO)でそして次にエチレンオキシド(EO)でアルコキシル化することによって製造されるアルコキシル化オリゴ−又はポリエチレンイミン類が有利である。有利に使用されるアルコキシル化オリゴ−エチレンイミン(5)又はポリエチレンイミン(6)の構造を例示的に以下の構造式で示す:
【0044】
【化5】

【0045】
【化6】


【0046】
ただし、両式中l、m及びnは互いに無関係に0〜1000でありそして(x+y)は1〜1000である。
【0047】
アルコキシル化オリゴ−又はポリエチレンイミンd)は、テトラヒドロフラン中のポリエチレングリコールに対してのゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)によって測定して、一般に25,000g/モルより大きい分子量、好ましくは25,000〜1,000,000g/モル、特に好ましくは25,000〜250,000g/モルの分子量を有している。
【0048】
本発明のエマルジョン解乳化剤は溶液状態で添加するのが好ましい。使用される溶剤はあらゆる有機溶剤、例えばアルカン類又は芳香族化合物か又は水であるか又は解乳化すべき製品そのものである。この方法では解乳化剤及び溶剤の残留物が、ポリアルキレングリコールエーテル中に残らず、水性相中にだけ残るのが有利である。それ故に水溶性乳化剤を使用するのが有利である。解乳化剤は、反応混合物(すなわち、粗生成物+負荷塩+水)の総量を規準として0.0001〜5重量%、特に0.001〜0.01重量%の量で添加する。
【0049】
本発明の方法を以下に若干の例を用いて更に詳細に説明する:
[実施例]
例1(比較例):
解乳化剤の無添加下でのポリプロピレンングリコールアリルブチルエーテルの製造:
温度及び圧力チェック手段を備えた攪拌される反応器で、1400g/モルの平均モル質量を有する96.4gのポリプロピレングリコールアリルエーテルを窒素雰囲気での攪拌下に6.43gの水酸化ナトリウムと80℃で混合する。次いで19.28gの塩化ブチルを1時間の間に滴加する。反応器を後反応のために120℃に加熱しそしてこの温度で更に3時間攪拌する。次いで過剰の塩化ブチルを留去しそして90℃に冷やす。塩化ナトリウムの量を溶液状態にするのに必要な正確な水量を攪拌下に添加する。
【0050】
例2(実施例):
解乳化剤の添加下でのポリプロピレンングリコールアリルブチルエーテルの製造:
プロピレングリコールに40重量%のエチレンオキシド及び60重量%のプロピレンオキシドを付加した50ppmのブロック付加生成物を水性のポリプロピレングリコールアリルブチルエーテルに追加的に添加したことを除いて例1と同様に実施する。
【0051】
例3(比較例):
解乳化剤の無添加下でのポリプロピレンングリコールアリルブチルエーテルの製造:
温度及び圧力チェック手段を備えた攪拌される反応器で、1600g/モルの平均モル質量及びエチレングリコールとプロピレングリコールとの3:1の混合比を有する96.5gのポリアルキレングリコールアリルエーテルを窒素雰囲気での攪拌下に3.7gの水酸化ナトリウムと80℃で混合する。次いで11.6gの塩化ブチルをゆっくり滴加する。反応器を後反応のために120℃に加熱しそしてこの温度で更に3時間攪拌する。次いで過剰の塩化ブチルを留去しそしてこの混合物を90℃に冷やす。塩化ナトリウムの量を溶液状態にするのに必要な正確な水量を攪拌下に添加する。
【0052】
例4(実施例):
解乳化剤の添加下でのポリプロピレングリコールアリルブチルエーテルの製造:
プロピレングリコールに40重量%のエチレンオキシド及び60重量%のプロピレンオキシドを付加しそして10,000g/モルの分子量M(GPCで測定)までビスフェノールAジグリシジルエーテルで架橋した50ppmのブロック付加生成物を水性のポリプロピレングリコールアリルブチルエーテルに追加的に添加したことを除いて例3と同様に実施する。
【0053】
例5(比較例):
解乳化剤の無添加下でのポリアルキレングリコールアリルメチルエーテルの製造:
温度及び圧力チェック手段を備えた攪拌される反応器で、2000g/モルの平均モル質量及びエチレングリコールとプロピレングリコールとの1:1の混合比を有する99.6gのポリアルキレングリコールアリルエーテルを窒素雰囲気での攪拌下に0.75gの水酸化ナトリウムと80℃で混合する。次いで0.95gの塩化メチルをゆっくり滴加する。反応器を後反応のために120℃に加熱しそしてこの温度で更に3時間攪拌する。その後に、過剰の塩化ブチルを留去しそしてこの混合物を90℃に冷やす。塩化ナトリウムの量を溶液状態にするのに必要な水量を攪拌下に添加する。
【0054】
例6(実施例):
解乳化剤の添加下でのポリアルキレングリコールアリルメチルエーテルの製造:
プロピレングリコールに40重量%のエチレンオキシド及び60重量%のプロピレンオキシドを付加し、10,000g/モルの分子量M(GPCで測定)までビスフェノールAジグリシジルエーテルで架橋しそして次いで30モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した50ppmのブロック付加生成物を、水性のポリアルキレングリコールアリルメチルエーテルに追加的に添加したことを除いて例5と同様に実施する。
【0055】
相分離試験の結果:
解乳化剤の性能を測定するために、粗生成物エマルジョンから水の分離を時間を関数として測定した。この目的のために、いずれの場合にも100mLの粗生成物エマルジョンを解乳化用ボトル(円錐形で、ねじ込み蓋で密閉可能な液量計)中に導入する。その後に解乳化用ボトルを温度制御された浴に入れそして水の分離を80℃で監視する。
【0056】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシドとアルキル化剤との反応によってポリオキシアルキレングリコールモノエーテル及び/又はジエーテルを製造する方法において、アルコキシド、アルキル化剤及び生じたポリオキシアルキレングリコールエーテルよりなる混合物に
水と、
1〜30の炭素原子及び1〜25の水酸基、アミノ基又はその両方を有する化合物から、それぞれ1〜200モルのC〜C−アルキレンオキシドよりなる少なくとも2つの異なるブロックでのブロック−アルコキシル化によって得ることができるブロックポリマー
とを添加することを特徴とする、上記方法。
【請求項2】
ポリオキシアルキレングリコールモノエーテル及び/又はジエーテルが、式(2)

R-O-(AO)y-R1 (2)

[式中、Rは水素原子、炭素原子数1〜24の炭化水素基又はR−C(O)−基であり、ただしRは炭素原子数1〜24の炭化水素基であり、
は炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、
AOはアルコキシ基でありそして
yは1〜200である。]
で表される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
yが2〜100である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
Rが炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数2〜24のアルケニル基、Rが炭素原子数1〜24の炭化水素基である式R−C(O)−の基、フェニル基、ベンジル基又はアリル基である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
Rが4〜12の炭素原子を有する、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
が炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数2〜12のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基又はアリル基である請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
が2〜8個の炭素原子を有する、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
AOが少なくとも1つのプロポキシ基又はブトキシ基を有する、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
ブロックポリマーが式(3)

【化1】


[式中、A、Bは種々のC〜C−アルキレン基であり、
はH又は炭素原子数1〜30でハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、
はH又はC〜C−アルキル基であり、
l、mはそれぞれ互いに無関係に1〜200であり、
nは0〜200であり、
qは1〜25でありそして
YはO又はNRでありそして
はRについて規定した通りである。]
で表される、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
YがNRである場合は、式(3)の化合物が少なくとも2つの活性水素原子を有し、そしてqが2と同じか又は2より大きい、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
が式
-(A-O)l-(B-O)m-(A-O)n-
[式中、A、B,l、m、nのそれぞれが請求項9で規定した通りの意味を有する。]
で表されるアルコキシ基を有する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
qが2〜20である請求項9〜11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
ブロックポリマーが架橋した状態で使用され、そしてその架橋がビス−、トリ−及びテトラグリシジルエーテル類との反応によって、多塩基性ジカルボン酸及びそれらの酸無水物でのエステル化によって又は多価イソシアネートとの反応によって行われる、請求項1〜12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
架橋ブロックポリマーがアルコキシル化された状態で使用され、そのアルコキシル化が100gの架橋ブロックポリマー当たりに5〜700g、好ましくは30〜300gのC〜C−アルキレンオキシドでアルコキシル化されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
a)アルコキシル化アルキルフェノール−アルデヒド樹脂、
b)アルコキシル化ポリエチレンイミン類、
又はそれらの混合物から選択される共解乳化剤を使用する、請求項1〜14のいずれか一つに記載の方法。

【公開番号】特開2008−45127(P2008−45127A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212513(P2007−212513)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【出願人】(398025878)クラリアント・インターナシヨナル・リミテッド (74)
【Fターム(参考)】