説明

解説放送文作成支援装置及びプログラム

【課題】番組映像及び番組音声と共に、タイムコード付き番組台本を用いることにより、解説放送文を効率的に作成する。
【解決手段】解説放送文候補作成装置4は、解説放送文候補作成ルールに従って、タイムコード付き番組台本内のト書きの文から解説放送文候補を作成する。解説放送文候補提示装置6は、番組映像を表示し、番組音声を出力すると共に、タイムコード付き番組台本を表示し、ユーザーの操作に従って解説挿入の指示を入力すると、その指示を入力した時刻を基準にして、予め設定された時刻範囲内に存在する解説放送文候補を解説放送文候補格納装置5から抽出し、画面表示してユーザーへ提示する。また、解説放送文候補提示装置6が、ユーザーの操作に従って修正された解説放送文を入力し、タイムコード付き解説放送文を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、番組の解説放送文を作成する解説放送文作成支援装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ放送のサービスとして、主に視覚障害者を対象に、テレビ番組のナレーション及びドラマの台詞とは別に、番組映像を音声で説明する解説放送のサービスが行われている。この解説放送のサービスを行うための解説放送番組を制作するには、解説放送文を作成する作業、及び、アナウンサーによりその解説放送文のナレーションを行う作業が必要となる。
【0003】
解説放送番組の制作のために、自然言語処理技術を用いた様々な手法が提案されている。例えば、解説放送番組の音声を短時間で、かつ低コストで制作する手法が知られている(特許文献1を参照)。この手法は、映像の内容に関連する解説原稿(テキストデータ)を音声合成して解説音声を生成し、映像音声から発生音区間及びポーズ区間を検出し、ポーズ区間の区間長に基づいて解説音声を話速変換し、話速変換した解説音声を映像音声に付加するものである。
【0004】
また、舞台の進行と同時に解説放送を行い、選択された所定対象にのみ解説放送を行う手法が知られている(特許文献2を参照)。この手法は、予め記録された解説の再生タイミング及び順序等を制御し、側波帯を変更し、変更した側波帯を受信するものである。これにより、操作者は、解説放送を聞くことができる。
【0005】
また、舞台の進行と同時に解説放送を行い、観客に対し有意義に舞台鑑賞させる手法も知られている(特許文献3を参照)。この手法は、予め記録された解説の再生タイミング及び順序等を制御し、解説の識別番号及び舞台の映像を表示装置に表示するものである。これにより、操作者は、解説放送の再生タイミングを操作することができ、地理的に離れた場所の舞台においても良好に解説放送を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−39845号公報
【特許文献2】特開2002−26830号公報
【特許文献3】特開2002−26840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように、解説放送番組を制作するには、解説放送文を作成する作業、及び、アナウンサーによりその解説放送文のナレーションを行う作業が必要となるが、これらの作業は専門的である上に、解説放送番組を制作するための時間が少ないことから、これらの作業を効率化する手法が望まれていた。
【0008】
後者のアナウンサーによる解説放送文のナレーション作業については、音声合成技術及び話速変換技術を用いることにより、ある程度の効率化が実現されている。一方、前者の解説放送文の作成作業については、例えば、解説放送文を番組台本に挿入すべき箇所を、番組台本の文に付与されたタイムコードを検索して特定し、その箇所を情景描写することにより行われる。しかしながら、この作業は、〆切までの時間的制約が厳しい上に、独特のノウハウが必要とされている。このため、解説放送文の作成作業については、未だ効率化する手法がないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、番組映像及び番組音声と共に、タイムコード付き番組台本を用いることにより、解説放送文を効率的に作成可能な解説放送文作成支援装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明による解説放送文作成支援装置は、複数の文により構成される番組台本に対し解説放送文を作成する際に、前記解説放送文の作成支援を行う解説放送文作成支援装置において、番組映像及び番組音声を格納する番組映像・音声格納装置と、前記複数の文のそれぞれにタイムコードが付与された番組台本を、タイムコード付き番組台本として格納するタイムコード付き番組台本格納装置と、前記解説放送文の候補を作成するためのルールを格納する解説放送文候補作成ルール格納装置と、前記解説放送文候補作成ルール格納装置に格納されたルールに従って、前記タイムコード付き番組台本格納装置に格納されたタイムコード付き番組台本の文に基づいて、前記タイムコード付き番組台本の文に対応する解説放送文候補を作成する解説放送文候補作成装置と、前記解説放送文候補作成装置により作成された解説放送文候補を格納する解説放送文候補格納装置と、ユーザーの操作に従って解説放送文の挿入の指示を入力し、その指示を入力した時刻に基づいて、前記解説放送文候補格納装置から解説放送文候補を抽出し、前記抽出した解説放送文候補を画面表示してユーザーへ提示し、ユーザーの操作に従ってタイムコード付き解説放送文を作成する解説放送文候補提示装置と、前記解説放送文候補提示装置により作成されたタイムコード付き解説放送文を格納する解説放送文格納装置と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明による解説放送文作成支援装置は、前記解説放送文候補作成装置が、前記タイムコード付き番組台本格納装置に格納されたタイムコード付き番組台本の文のうちのト書きの文を形態素解析して単語に分け、前記単語をノードとしてつなげた木構造を生成し、前記木構造の各ノードを辿りながら、前記解説放送文候補作成ルール格納装置に格納された前記ルールに従って、前記ト書きの文に対応する解説放送文候補を作成する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明による解説放送文作成支援装置は、前記解説放送文候補提示装置が、前記番組映像・音声格納装置に格納された番組映像を画面表示すると共に、前記番組音声を出力し、前記タイムコード付き番組台本格納装置に格納されたタイムコード付き番組台本の各文を画面表示し、ユーザーの操作に従って解説放送文の挿入の指示を入力し、その指示を入力した時刻を基準にして、予め設定された時刻範囲内に存在する解説放送文候補を前記解説放送文候補格納装置から抽出し、前記抽出した解説放送文候補を画面表示してユーザーへ提示し、ユーザーの操作に従って解説放送文を入力し、タイムコード付き解説放送文を作成する、ことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明による解説放送文作成支援プログラムは、コンピュータを、前記解説放送文作成支援装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、番組映像及び番組音声と共に、タイムコード付き番組台本を用いることにより、解説放送文の作成を支援するようにした。これにより、ユーザーが解説放送文を入力する際に、操作性の向上を図ることができ、解説放送文を効率的に作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態による解説放送文作成支援装置の構成を示すブロック図である。
【図2】解説放送文作成支援装置の処理を示すフローチャートである。
【図3】タイムコード付き番組台本の例を示す図である。
【図4】解説放送文候補作成ルールの例を示す図である。
【図5】解説放送文候補の例を示す図である。
【図6】タイムコード付き解説放送文の例を示す図である。
【図7】解説放送文候補提示装置の処理を示すフローチャートである。
【図8】解説放送文候補提示装置の画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。
〔解説放送文作成支援装置の構成〕
図1は、本発明の実施形態による解説放送文作成支援装置の構成を示すブロック図である。この解説放送文作成支援装置10は、番組映像・音声格納装置1、タイムコード付き番組台本格納装置2、解説放送文候補作成ルール格納装置3、解説放送文候補作成装置4、解説放送文候補格納装置5、解説放送文候補提示装置6及び解説放送文格納装置7を備えている。解説放送文作成支援装置10は、端子i1から番組映像及び番組音声を入力すると共に、端子i2からタイムコード付き番組台本を入力し、解説放送文候補作成ルールに基づいて解説放送文候補を作成し、端子i3から解説放送文の挿入指示を入力して、関連する解説放送文の候補(解説放送文候補)をユーザーへ提示し、端子i3から解説放送文を入力し、タイムコード付き解説放送文を作成して端子o1へ出力する。このように、解説放送文作成支援装置10によれば、番組映像及び番組音声、番組台本、並びにユーザーにより入力される解説放送文を1つの作業環境にて取り扱い、解説放送文の作成を支援するようにした。これにより、ユーザーが解説放送文を入力する際に、操作性の向上を図ることができ、解説放送文を効率的に作成することが可能となる。
【0017】
番組映像・音声格納装置1は、端子i1から番組映像及び番組音声を入力し、メモリに格納する。タイムコード付き番組台本格納装置2は、端子i2からタイムコード付き番組台本を入力し、メモリに格納する。
【0018】
解説放送文候補作成ルール格納装置3には、所定の文から解説放送文候補を作成するためのルール(解説放送文候補作成ルール)がメモリに格納されている。
【0019】
解説放送文候補作成装置4は、タイムコード付き番組台本格納装置2からタイムコード付き番組台本を入力すると共に、解説放送文候補作成ルール格納装置3から解説放送文候補作成ルールを入力し、解説放送文候補作成ルールに従って、タイムコード付き番組台本内のト書きの文から解説放送文候補を作成する。
【0020】
解説放送文候補格納装置5は、解説放送文候補作成装置4により作成された解説放送文候補を入力し、メモリに格納する。
【0021】
解説放送文候補提示装置6は、番組映像・音声格納装置1から番組映像及び番組音声を入力すると共に、タイムコード付き番組台本格納装置2からタイムコード付き番組台本を入力する。また、解説放送文候補提示装置6は、ユーザーの操作に従って、端子i3から解説挿入の指示を入力すると、その指示を入力した時刻を基準にして、予め設定された時刻範囲内に存在する解説放送文候補を解説放送文候補格納装置5に対して検索し、解説放送文候補格納装置5から、その時刻範囲内に存在する解説放送文候補を入力して画面表示する。これにより、解説放送文候補がユーザーへ提示され、ユーザーは、解説放送文候補を参照して解説放送文を修正することができる。また、解説放送文候補提示装置6は、ユーザーの操作に従って、端子i3から解説放送文及びそのタイムコードを入力し、タイムコード付き解説放送文を作成する。
【0022】
解説放送文格納装置7は、解説放送文候補提示装置6により作成されたタイムコード付き解説放送文を入力し、メモリに格納する。また、解説放送文格納装置7は、メモリに格納したタイムコード付き解説放送文を出力する。
【0023】
〔解説放送文作成支援装置の処理〕
次に、図1に示した解説放送文作成支援装置10の処理について、具体例を挙げて詳細に説明する。図2は、解説放送文作成支援装置10の処理を示すフローチャートであり、解説放送文を作成する際にその作業を支援するための処理を示している。まず、番組映像・音声格納装置1は、端子i1から番組映像及び番組音声を入力してメモリに格納し、タイムコード付き番組台本格納装置2は、端子i2からタイムコード付き番組台本を入力してメモリに格納する(ステップS1)。
【0024】
図3は、タイムコード付き番組台本の例を示す図である。このタイムコード付き番組台本は、タイムコード付き番組台本の文U1〜U12の集合により構成されている。タイムコード付き番組台本の文U1〜U12は、開始時刻及び終了時刻を示すタイムコード、ト書きまたは台詞の区別、及び、ト書きまたは台詞の文により構成されている。タイムコード付き番組台本格納装置2は、図3に示すタイムコード付き番組台本を入力し、メモリに格納する。
【0025】
ここで、図3に示したタイムコード付き番組台本は、タイムコード付与装置(図1には図示せず)により作成される。タイムコード付与装置は、言語モデル適応化装置、音声認識装置、文対応付け装置及びタイムコード計算装置を備えている。言語モデル適応化装置は、言語モデルを番組台本に適応化し、音声認識装置は、言語モデルを用いて、音声認識により番組音声の音声情報を文字化し、タイムコード付き番組音声の文を生成する。また、文対応付け装置は、番組台本の文とタイムコード付き番組音声の文とを対応付け、両文の対応付けが行われた場合、その番組台本の文に対し、タイムコード付き番組音声の文に付与されたタイムコードをコピーし、タイムコード付き番組台本の文(未定コードを含む)を生成する。また、タイムコード計算装置は、タイムコード付き番組台本の文(未定コードを含む)のうちの未定コードが付与された文(タイムコードが付与されていない文)のタイムコードを、タイムコードが付与された文のタイムコード及び未定コードが付与された文の文長に基づいて計算し、タイムコード付き番組台本の文を生成する。このようにして生成されたタイムコード付き番組台本は、図1に示した端子i2からタイムコード付き番組台本格納装置2へ入力される。
【0026】
図2に戻って、解説放送文候補作成装置4は、タイムコード付き番組台本格納装置2から、図3に示したタイムコード付き番組台本を入力し、解説放送文候補作成ルール格納装置3から、後述の図4に示す解説放送文候補作成ルールを入力する。そして、解説放送文候補作成装置4は、タイムコード付き番組台本の文U1〜U12のうちのト書きの文U1,U2,U3,U4,U5,U11を、ト書きまたは台詞の区別に従って抽出し、解説放送文候補作成ルールに従って、ト書きの文U1,U2,U3,U4,U5,U11に対応する、後述の図5に示す解説放送文候補R1,R2,R3,R4,R5,R11を作成する(ステップS2)。具体的には、解説放送文候補作成装置4は、抽出したト書きの文U1,U2,U3,U4,U5,U11を形態素解析して単語に分け、構文解析により、単語をノードとしてつなげた木構造を生成する。そして、解説放送文候補作成装置4は、木構造の各ノードを辿りながら、シソーラスを用いて「時間」「場所」の単語を特定すると共に、「ハ格」「ガ格」に係る木構造を再生成する。解説放送文候補作成装置4は、このようにして生成した木構造に基づいて、解説放送文候補作成ルールに従って解説放送文候補R1,R2,R3,R4,R5,R11を作成する。解説放送文候補作成装置4により作成された解説放送文候補R1,R2,R3,R4,R5,R11は、対応するタイムコード付き番組台本におけるト書きの文U1,U2,U3,U4,U5,U11のタイムコードと共に、解説放送文候補格納装置5に格納される。
【0027】
図4は、解説放送文候補作成ルールの例を示す図である。解説放送文候補作成ルール格納装置3には図4に示すルール1〜6が格納されており、これらのルール1〜6は、解説放送文候補作成装置4により読み出され、解説放送文候補を作成するために用いられる。
【0028】
例えば、解説放送文候補作成装置4は、図3に示したタイムコード付き番組台本のうちのト書きの文U1について、図4に示した[ルール1]を実行すると、文U1には「日曜日」という時間を表す単語が出現しているから、解説放送文候補として「日曜日」を作成する。また、解説放送文候補作成装置4は、[ルール1]を実行すると、文U1には「昼」という時間を表す単語が出現しているから、解説放送文候補として「昼」を作成すると共に、その単語にかかる節「日曜日の」を入れることにより、解説放送文候補として「日曜日の昼」を作成する。また、解説放送文候補作成装置4は、[ルール5]を実行すると、解説放送文候補として「日曜日の昼」を作成するが、[ルール6]を実行すると、解説放送文候補として「日曜日の昼」が同じであるから、1つにまとめて作成する。このようにして、解説放送文候補作成装置4は、ト書きの文U1について、解説放送文候補R1を作成する。
【0029】
また、解説放送文候補作成装置4は、タイムコード付き番組台本のうちのト書きの文U5について、[ルール4]を実行すると、文U5には「塚本瑞恵が」というガ格が出現しているから、「ガ格」の述部「横で見ています」を、「ガ格」の「が」を除いた単語「塚本瑞恵」に係る形に変形し、解説放送文候補として「横で見ている塚本瑞恵」を作成する。また、解説放送文候補作成装置4は、[ルール5]を実行すると、解説放送文候補として「塚本瑞恵が横で見ています」を作成する。このようにして、解説放送文候補作成装置4は、ト書きの文U5について、解説放送文候補R5を作成する。同様にして、タイムコード付き番組台本のト書きの文U2,U3,U4,U11についても、それぞれ解説放送文候補R2,R3,R4,R11を作成する。
【0030】
尚、図4に示した解説放送文候補作成ルールは、過去に作成された解説放送文の実績が分析され、その分析結果に基づいて定められたものである。具体的には、分析により得られた以下に示す(1)〜(3)の特徴に基づいて、経験的に定められたものである。
(1)解説放送文は、番組台本内のト書きの文を利用して作成されることが多い。
(2)解説放送文は、時間または場所が明示されることが多い。
(3)解説放送文は、連帯修飾節及び名詞等の独特の表現を使うことが多い。
【0031】
図5は、解説放送文候補の例を示す図である。この解説放送文候補は、解説放送文候補R1,R2,R3,R4,R5,R11の集合により構成されている。解説放送文候補R1,R2,R3,R4,R5,R11は、解説放送文候補作成装置4により、図3に示したタイムコード付き番組台本内のト書きの文U1,U2,U3,U4,U5,U11について、図4に示した解説放送文候補作成ルールに従って作成された解説放送文候補を示している。つまり、解説放送文候補作成装置4は、図5に示す解説放送文候補R1,R2,R3,R4,R5,R11を作成し、解説放送文候補格納装置5は、これらの解説放送文候補R1,R2,R3,R4,R5,R11を、対応するト書きの文U1,U2,U3,U4,U5,U11のタイムコードと共にメモリに格納する。尚、図5は、タイムコードが省略されている。
【0032】
図2に戻って、解説放送文候補提示装置6は、番組映像・音声格納装置1から番組映像及び番組音声を入力すると共に、タイムコード付き番組台本格納装置2からタイムコード付き番組台本の文U1〜U12を入力する。そして、解説放送文候補提示装置6は、端子i3からユーザーによる解説挿入の指示を入力すると、その指示を入力した時刻を基準にして、予め設定された時刻範囲内に存在する解説放送文候補を解説放送文候補格納装置5から抽出し、画面表示する(ステップS3)。これにより、解説放送文候補がユーザーへ提示される。そして、解説放送文候補提示装置6は、ユーザー操作に従って、端子i3から解説放送文及びそのタイムコードを入力すると、タイムコード付き解説放送文を作成する。そして、解説放送文格納装置7は、タイムコード付き解説放送文をメモリに格納し、ユーザーが解説放送文の作成を終了したときに、タイムコード付き解説放送文を出力する(ステップS4)。
【0033】
(解説放送文候補提示装置の処理)
次に、図1に示した解説放送文候補提示装置6の処理、すなわち、図2に示したステップS3の処理について詳細に説明する。図7は、解説放送文候補提示装置6の処理を示すフローチャートであり、図8は、解説放送文候補提示装置6に表示された画面の例を示す図である。
【0034】
解説放送文候補提示装置6は、ユーザーによる再生(図8のa)の操作に従って、番組映像・音声格納装置1から番組映像及び番組音声を入力すると共に、タイムコード付き番組台本格納装置2からタイムコード付き番組台本を入力し、番組映像(b)を再生して画面に表示し、番組音声を出力すると共に、タイムコード付き番組台本の文U1〜U12(c)も画面に表示する(ステップS11)。
【0035】
そして、ユーザーは、番組を視聴し、解説放送文を挿入すべき箇所を判断すると、解説挿入(図8のd)のボタンを操作する。そうすると、解説放送文候補提示装置6は、解説挿入の指示を入力する(ステップS12)。ここで、ユーザーは、番組が再生されてからの時刻であるタイムコード01:07.24の時点で、解説挿入(d)の指示を行ったものとする。解説放送文候補提示装置6は、そのタイムコード01:07.24を基準にして、予め設定された時刻範囲内に存在する解説放送文候補を検索するために、解説放送文候補格納装置5へアクセスし、その時刻範囲内に存在する解説放送文候補を解説放送文候補格納装置5から抽出する。例えば、予め設定された時刻範囲を、基準時刻の前後1分以内とすると、解説放送文候補提示装置6は、タイムコード00:07.24からタイムコード02:07.24までの間に存在する解説放送文候補、すなわち、図5に示した解説放送文候補R1,R2,R3,R4,R5,R11を解説放送文候補格納装置5から抽出する。解説放送文候補R1は、タイムコード付き番組台本の文U1に対応しており、そのタイムコードの開始時刻が00:53.18及び終了時刻が00:54.26であるから、抽出対象となる。同様にして、解説放送文候補R2,R3,R4,R5,R11は、タイムコード付き番組台本の文U2,U3,U4,U5,U11に対応しており、そのタイムコードから抽出対象となる。
【0036】
そして、解説放送文候補提示装置6は、解説文入力ボックス(g)を表示し、ユーザーに対して解説放送文及びそのタイムコードの入力を促す。また、ユーザーが解説文入力ボックス(g)の右側をクリックすると、解説放送文候補提示装置6は、抽出した解説放送文候補のリスト(e)を表示する(ステップS13)。これにより、ユーザーは、番組映像及び番組音声、番組台本並びに解説放送文候補を参照して、解説放送文候補の中から利用可能な文を選択し、修正することができる。例えば、ユーザーが、解説放送文候補のリスト(e)のうちの「横で見ている塚本瑞恵」(f)を選択したとする。そうすると、解説放送文候補提示装置6は、ユーザーの操作に従い、基準時刻01:07.24をタイムコードの開始時刻として所定時刻(例えば3秒)を加算し、終了時刻01:10.24を求め、タイムコードの開始時刻01:07.24及び終了時刻01:10.24、並びに解説放送文候補「横で見ている塚本瑞恵」を解説文入力ボックス(g)に表示する。
【0037】
そして、例えば、ユーザーが、解説文入力ボックス(g)に表示された「横で見ている塚本瑞恵」を「犬を連れて傍で見ている塚本瑞恵」に修正したとする。そうすると、解説放送文候補提示装置6は、ユーザーの操作に従い、解説放送文候補の修正文として「犬を連れて傍で見ている塚本瑞恵」を入力し(ステップS14)、タイムコード付き解説放送文を作成する(ステップS15)。この場合、解説放送文候補提示装置6は、作成したタイムコード付き解説放送文を、画面表示されているタイムコード付き番組台本の文U1〜U12(c)のうち、タイムコードの開始時間に近い文の近傍に挿入し、表示する(h)。
【0038】
図6は、解説放送文候補提示装置6により作成されたタイムコード付き解説放送文の例を示す図である。解説放送文候補提示装置6は、図6に示すタイムコード付き番組台本の文T1を作成し、解説放送文格納装置7は、このタイムコード付き番組台本の文T1をメモリに格納する。
【0039】
以上のように、本発明の実施形態による解説放送文作成支援装置10によれば、解説放送文候補作成装置4が、解説放送文候補作成ルールに従って、タイムコード付き番組台本内のト書きの文から、そのト書きの文に対応する解説放送文候補を作成し、解説放送文候補提示装置6が、番組映像を表示し、番組音声を出力すると共に、タイムコード付き番組台本を表示し、ユーザーの操作に従って解説挿入の指示を入力すると、その指示を入力した時刻を基準にして、予め設定された時刻範囲内に存在する解説放送文候補を抽出し、画面表示してユーザーへ提示するようにした。また、解説放送文候補提示装置6が、ユーザーの操作に従って、解説放送文及びそのタイムコードを入力し、タイムコード付き解説放送文を作成するようにした。つまり、番組映像及び番組音声、番組台本、並びにユーザーにより入力される解説放送文を1つの作業環境にて取り扱い、解説放送文の作成を支援するようにした。これにより、ユーザーが解説放送文を入力する際に、操作性の向上を図ることができ、解説放送文を効率的に作成することができる。
【0040】
尚、本発明の実施形態による解説放送文作成支援装置10のハードウェア構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。解説放送文作成支援装置10は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。解説放送文作成支援装置10に備えた番組映像・音声格納装置1、タイムコード付き番組台本格納装置2、解説放送文候補作成ルール格納装置3、解説放送文候補作成装置4、解説放送文候補格納装置5、解説放送文候補提示装置6及び解説放送文格納装置7の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【0041】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。前記実施形態では、解説放送文候補作成ルール格納装置3は、図4に示した解説放送文候補作成ルールを格納し、解説放送文候補作成装置4は、その解説放送文候補作成ルールに従って解説放送文候補を作成するようにしたが、図4に示した解説放送文候補作成ルールは例示であり、他のルールを用いるようにしてもよい。
【0042】
また、前記実施形態では、解説放送文候補作成装置4は、タイムコード付き番組台本の文のうちのト書きの文に対応する解説放送文候補を、解説放送文候補作成ルールに従ってそれぞれ作成するようにしたが、タイムコード付き番組台本のうちの台詞の文に対応する解説放送文候補を作成するようにしてもよいし、タイムコード付き番組台本の全ての文に対応する解説放送文候補を作成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 番組映像・音声格納装置
2 タイムコード付き番組台本格納装置
3 解説放送文候補作成ルール格納装置
4 解説放送文候補作成装置
5 解説放送文候補格納装置
6 解説放送文候補提示装置
7 解説放送文格納装置
10 解説放送文作成支援装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の文により構成される番組台本に対し解説放送文を作成する際に、前記解説放送文の作成支援を行う解説放送文作成支援装置において、
番組映像及び番組音声を格納する番組映像・音声格納装置と、
前記複数の文のそれぞれにタイムコードが付与された番組台本を、タイムコード付き番組台本として格納するタイムコード付き番組台本格納装置と、
前記解説放送文の候補を作成するためのルールを格納する解説放送文候補作成ルール格納装置と、
前記解説放送文候補作成ルール格納装置に格納されたルールに従って、前記タイムコード付き番組台本格納装置に格納されたタイムコード付き番組台本の文に基づいて、前記タイムコード付き番組台本の文に対応する解説放送文候補を作成する解説放送文候補作成装置と、
前記解説放送文候補作成装置により作成された解説放送文候補を格納する解説放送文候補格納装置と、
ユーザーの操作に従って解説放送文の挿入の指示を入力し、その指示を入力した時刻に基づいて、前記解説放送文候補格納装置から解説放送文候補を抽出し、前記抽出した解説放送文候補を画面表示してユーザーへ提示し、ユーザーの操作に従ってタイムコード付き解説放送文を作成する解説放送文候補提示装置と、
前記解説放送文候補提示装置により作成されたタイムコード付き解説放送文を格納する解説放送文格納装置と、
を備えたことを特徴とする解説放送文作成支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の解説放送文作成支援装置において、
前記解説放送文候補作成装置は、前記タイムコード付き番組台本格納装置に格納されたタイムコード付き番組台本の文のうちのト書きの文を形態素解析して単語に分け、前記単語をノードとしてつなげた木構造を生成し、前記木構造の各ノードを辿りながら、前記解説放送文候補作成ルール格納装置に格納されたルールに従って、前記ト書きの文に対応する解説放送文候補を作成する、ことを特徴とする解説放送文作成支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の解説放送文作成支援装置において、
前記解説放送文候補提示装置は、前記番組映像・音声格納装置に格納された番組映像を画面表示すると共に、前記番組音声を出力し、前記タイムコード付き番組台本格納装置に格納されたタイムコード付き番組台本の各文を画面表示し、ユーザーの操作に従って解説放送文の挿入の指示を入力し、その指示を入力した時刻を基準にして、予め設定された時刻範囲内に存在する解説放送文候補を前記解説放送文候補格納装置から抽出し、前記抽出した解説放送文候補を画面表示してユーザーへ提示し、ユーザーの操作に従って解説放送文を入力し、タイムコード付き解説放送文を作成する、ことを特徴とする解説放送文作成支援装置。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1から3までのいずれか一項に記載の解説放送文作成支援装置として機能させるための解説放送文作成支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−39280(P2012−39280A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176127(P2010−176127)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】