説明

触媒として亜鉛化合物を使用するポリエーテルアロファネートの製造方法

本発明は、触媒として亜鉛化合物を使用することによるアロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーの調製方法、および更にポリウレタンおよびポリウレアの調製への、このポリイソシアネートプレポリマーの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は触媒として亜鉛化合物を使用することによるアロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーの調製方法および更にポリウレタンおよびポリウレアの調製への、このポリイソシアネートプレポリマーの使用に関する。
【0002】
アロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーは相対的に低い粘度で高いNCO含量であるため特に興味深い。それらは二成分ポリウレタン系に有用な架橋剤を構成し、その上、ブロック化NCO基をもちいるとそれらは一成分ポリウレタン系でも使用され得る。この種のポリウレタン系は一般的に被膜製造に使用される。
【0003】
アロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーは原理上は知られている。
【背景技術】
【0004】
例えば、EP-A 303 150は触媒を使用せずに高温(>200℃)で行われる脂肪族アロファネートの調製方法を開示している。しかしながら、迅速な加熱および冷却の必要性が、実際に行うこと、すなわち、大規模なバッチで行うこと、をほとんど不可能にしている。
【0005】
EP-A 712 840はアロファネート化触媒としての亜鉛化合物(例えばステアリン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛および亜鉛アセチルアセトネート)の使用を開示している。しかしながら、この方法では、NCOフリーかつOHフリーのウレタンがアロファネート化に使用される。更に、このウレタンの調製に使用されるポリイソシアネートは常に(続く)アロファネート化に使用されるポリイソシアネートと異ならなければならない。単独有機ヒドロキシル化合物としてのポリヒドロキシ化合物(例えばポリエーテルポリオール)に基づくアロファネートの調製はこの方法では不可能である。
【0006】
EP-A 0 682 012はその説明にジイソシアネートと1〜4個のヒドロキシル基を含むポリエーテルに基づくプレポリマーを包含しており、このプレポリマーは錫(II)化合物を使用して過剰のジイソシアネートと反応し、対応するアロファネートを与え得る。しかしながら、錫(II)化合物は、十分に非活性化できず、それゆえに生じる生成物は、貯蔵の間、粘度の増加およびNCO含量の低下を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえに、著しく改良された貯蔵安定性、特に改良された粘度の安定性を有する製品に導くアロファネート構造単位を含む、(環状)脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーの調製方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、アロファネート構造単位を含む(環状)脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーが、触媒として亜鉛(II)化合物、好ましくはアルカノエート亜鉛(zinc alkanoates)をもちいてアロファネート化を行うことによって調製され得ることが解った。
【0009】
従って本発明は、
a) 一以上の脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートを
b) 一以上のポリヒドロキシ化合物
と反応させ、NCO官能性ポリウレタンプレポリマーを与え、生じるウレタン基を
c) a)のポリイソシアネートと異なってもよいポリイソシアネートおよび
d) 触媒としての亜鉛(II)化合物
との更なる反応で完全にまたは部分的にアロファネート化することを特徴とする、アロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーを調製する方法を提供する。
【0010】
好適な脂肪族または脂環式ポリイソシアネートは、例えば、ジ-またはトリイソシアネート(例えばブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート、HDI)、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(トリイソシアナトノナン、TIN))または環系(例えば4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、3,5,5-トリメチル-1-イソシアナト-3-イソシアナトメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)およびω,ω'-ジイソシアナト-1,3-ジメチルシクロヘキサン(H6XDI))である。
【0011】
成分a)およびc)では、ポリイソシアネートとしてヘキサンジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート、HDI)、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)および/または3,5,5-トリメチル-1-イソシアナト-3-イソシアナト-メチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)を使用することが好ましい。特に好ましいポリイソシアネートはHDIである。
【0012】
好ましくはa)とc)とで同じポリイソシアネートが使用される。
【0013】
成分b)のポリヒドロキシ化合物として、当業者に知られているポリヒドロキシ化合物を使用することが可能であり、好ましくは平均OH官能価が1.5より大きいポリヒドロキシ化合物を使用する。
【0014】
これらは、例えば、低分子量ジオール(例えば、1,2-エタンジオール、1,3-および/または1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール)、トリオール(例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン)およびテトラオール(例えば、ペンタエリトリトール)、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびポリチオエーテルポリオールであってもよい。好ましいポリヒドロキシ化合物は上記種類のポリエーテルベースの物質である。
【0015】
好ましくはこれらのポリエーテルポリオールは300〜20000 g/mol、より好ましくは1000〜12000、非常に好ましくは2000〜6000 g/molの数平均分子量Mnを有する。
【0016】
加えて、それらは好ましくは1.9以上、より好ましくは1.95以上の平均OH官能価を有する。
【0017】
これらのポリエーテルのOH官能価は好ましくは6未満、より好ましくは4未満である。
【0018】
この種類のポリエーテルポリオールは塩基性触媒で好適な出発分子をアルコキシル化することによる、またはダブルメタルシアニド化合物(DMC化合物)を使用することによる常套の方法で得られる。
【0019】
成分b)の特に好適なポリエーテルポリオールはポリオール1グラムあたり0.02ミリグラム当量(meq/g)以下、好ましくは0.015 meq/g以下、より好ましくは0.01 meq/g以下の不飽和末端基を含む上記の種類のポリエーテルポリオールである(測定方法:ASTM D2849-69)。
【0020】
この種類のポリエーテルポリオールは特に狭い分子量分布、すなわち、1.0〜1.5の多分散度(PD = Mw/Mn)および/または1.9以上のOH官能価を有する。上述のポリエーテルポリオールは好ましくは1.0〜1.5の多分散度、および1.9より大きい、より好ましくは1.95以上のOH官能価を有する。
【0021】
この種類のポリエーテルポリオールは通常好適な出発分子を、特にダブルメタルシアニド触媒(DMC触媒)を使用して、アルコキシル化することによって調製し得る。このことは例えばUS-A 5 158 922(例えば実施例30)およびEP-A 0 654 302(5頁26行〜6頁32行)に記載されている。
【0022】
ポリエーテルポリオールの調製に好適な出発分子の例は低分子量の単純なポリオール、水、少なくとも二つのN-H結合を有する有機ポリアミンまたはそのような出発分子の所望の混合物を含む。アルコキシル化に特に好適なアルキレンオキサイドはエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドであり、これはアルコキシル化にどの順番で使用されてもよく、また混合物で使用されてもよい。
【0023】
アルコキシル化、特にDMC法、によるポリエーテルポリオールの調製に好ましい出発分子は、単純なポリオール(例えばエチレングリコール、プロピレン1,3-グリコールおよびブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール)、およびそのようなポリオールとジカルボン酸の低分子量ヒドロキシル含有エステル、またはそのような単純なポリオールの低分子量エトキシル化またはプロポキシル化生成物、またはそのようなポリヒドロキシ化合物の所望する混合物である。
【0024】
イソシアネート基を含むポリウレタンプレポリマーは成分b)のポリヒドロキシ化合物をa)からの過剰量のポリイソシアネートと反応させることによって調製される。この反応は一般的に20〜140℃、好ましくは40〜100℃の温度で、それ自体ポリウレタンケミストリーで知られている触媒(例えば錫石けん(tin soaps)(例えばジブチル錫ジラウレート)または第三級アミン(例えばトリエチルアミンまたはジアザビシクロオクタン))の使用不使用にかかわらず行う。
【0025】
アロファネート化を次にアロファネート化に好適な触媒d)を添加してイソシアネート基を含むポリウレタンプレポリマーとポリイソシアネートc)(これは成分a)のポリイソシアネートと同一でも異なっていてもよい)の反応によって行う。次に、過剰のポリイソシアネートが例えば薄膜蒸留または抽出によって生成物から除去される前に、安定化の目的のために、更に酸性添加剤を添加することが可能である。
【0026】
成分b)の化合物のOH基対a)およびc)からのポリイソシアネートのNCO基のモル比は好ましくは1:1.5〜1:20、より好ましくは1:2〜1:15、特に好ましくは1:5〜1:15である。
【0027】
d)で触媒として亜鉛(II)アルカノエートを使用することが好ましい。好ましい亜鉛(II)アルカノエートは2-エチルヘキサン酸に基づく亜鉛(II)アルカノエートおよび直鎖状脂肪族C4〜C30カルボン酸に基づく亜鉛(II)アルカノエートである。特に好ましい成分d)の化合物はZn(II)ビス(2-エチルヘキサノエート)、Zn(II)ビス(n-オクトエート)、Zn(II)ビス(ステアレート)またはそれらの混合物である。
【0028】
これらのアロファネート化触媒は典型的には全反応混合物に基づいて5重量%以下の量で使用される。5〜500 ppmの触媒を使用することが好ましく、より好ましくは20〜200 ppmである。
【0029】
要すれば使用される酸性添加剤はルイス酸(電子不足化合物)またはブレンシュテッド酸(プロトン酸)または水との反応でそのような酸を放出する化合物である。
【0030】
これらは、例えば、有機酸または無機酸、または水と反応して対応する酸をつくる中性化合物(例えば酸ハロゲン化物またはエステル)であってもよい。特に塩酸、リン酸、リン酸エステル、塩化ベンゾイル、イソフタロイルジクロライド、p-トルエンスルホン酸、蟻酸、酢酸、ジクロロ酢酸および2-クロロプロピオン酸が例示されてもよい。
【0031】
酸性添加剤がどこで使用されようとも、酸性添加剤は好ましくは有機酸(例えばカルボン酸)または酸ハロゲン化物(例えばベンゾイルクロライドまたはイソフタロイルジクロライド)である。
【0032】
上記の酸性添加剤は更にアロファネート化触媒を非活性化するために使用されてもよい。更に、例えば薄膜蒸留の間または調製後の生成物の貯蔵の間の熱応力について、それらは本発明によって調製されるアロファネートの安定性を増加させる。
【0033】
酸性添加剤は一般的に酸性添加剤の酸性中心対触媒の非活性中心のモル比が少なくとも1:1になるように添加される。しかしながら、過剰の酸性添加剤を添加することが好ましい。
【0034】
薄膜蒸留は過剰のジイソシアネートを除去する好ましい方法であり、一般的に温度100〜160℃、圧力0.01〜3 mbarで行われる。その後の残りのモノマー含量は好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満である(ジイソシアネート)。
【0035】
全体の製造工程は不活性な溶媒の存在下で適切に行われ得る。本明細書中で不活性な溶媒は、与えられる反応条件下で反応物と反応しない溶媒を意味する。その例はエチルアセテート、ブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、芳香族または(環状)脂肪族炭化水素混合物またはそのような溶媒の所望の混合物である。しかしながら、好ましくは、本発明の反応は無溶媒で行われる。
【0036】
イソシアネート基を含むプレポリマーの調製中およびアロファネート化中に、関係する成分はどの順番で添加されてもよい。しかしながら、最初に導入される成分a)およびc)のポリイソシアネートにポリエーテルポリオールb)を添加し、最後にアロファネート化触媒d)を添加することが好ましい。
【0037】
本発明の一つの好ましい態様では成分a)およびc)のポリイソシアネートを最初に好適な反応器に必要に応じて攪拌しながら導入し、40〜100℃に加熱する。所望する温度に到達した後、成分b)のポリヒドロキシ化合物を攪拌しながら添加し、攪拌をNCO含量が、選択される化学量論に従って予想されるポリウレタンプレポリマーの理論NCO含量かそれよりわずかに少なくなるまで続ける。次にアロファネート化触媒d)を添加し、NCO含量が所望するNCO含量かそれよりわずかに少なくなるまで反応混合物を50〜100℃に加熱する。安定剤としての酸性添加剤の添加に続いて、この反応混合物を冷却するか直接薄膜蒸留に回す。蒸留の過程で、過剰のポリイソシアネートを0.01〜3 mbarの圧力下、温度100〜160℃で分離し、残余のモノマー含量を1%未満、好ましくは0.5%未満にする。薄膜蒸留に続いて所望するならば更なる安定剤を添加することが可能である。
【0038】
本発明の方法で形成されるアロファネートは典型的には一般式(I)
【化1】

(式中、
Q1およびQ2 は互いに独立して上述の種類の直鎖状および/または環状の脂肪族ジイソシアネートの基、好ましくは-(CH2)6-であり、
R1およびR2 は互いに独立して水素またはC1〜C4-アルキル基であり、R1およびR2は好ましくは水素および/またはメチル基であり、
Y は2〜6の官能価を有する上述の種類の出発分子の基であり、従って
n は2〜6の値であり、これは異なる出発分子の使用の結果として当然整数である必要が無く、
m は好ましくはモノマーユニットの数に対応する結果、この構造が基づくポリエーテルの数平均分子量は300〜20000 g/molである。)
を有する。
【0039】
得られるアロファネートは好ましくは一般式(II)
【化2】

(式中、
Q は上述の種類の直鎖状および/または環状の脂肪族ジイソシアネートの基、好ましくは-(CH2)6-であり、
R1およびR2 は互いに独立して水素またはC1〜C4-アルキル基であり、R1およびR2は好ましくは水素および/またはメチル基であり、
Y は上述の種類の二官能性出発分子の基であり、
m はモノマーユニットの数に一致する結果、この構造が基づくポリエーテルの数平均分子量は300〜20000 g/molである。)
を有する化合物である。
【0040】
本発明によって調製されるアロファネートは典型的には700〜50000 g/mol、好ましくは1500〜15000 g/mol、より好ましくは1500〜8000 g/molの数平均分子量を有する。
【0041】
本発明によって調製されるアロファネートは典型的には23℃で500〜100000 mPas、好ましくは500〜50000 mPas、より好ましくは1000〜7500 mPas、特に好ましくは1000〜3500 mPasの粘度を有する。
【0042】
本発明の方法によって得られる生成物は特にその粘度の安定性が傑出している。50℃で7日間の貯蔵後の粘度増加は、好ましくは10%未満である。
【0043】
本発明のアロファネートは例えば好適なポリオールまたはポリアミン、または両者の混合物と反応させることによって、それぞれ、ポリウレタン、ポリウレアまたはポリウレタン-ウレアの調製に使用され得る。この反応は室温以下、あるいは高温(ベーキング)で行ってもよい。このようにして得られるポリウレタンおよび/またはポリウレアは被膜として特に好適である。
【0044】
従って、本発明は更に
A) 本発明の一以上のアロファネートおよび
B) 少なくとも一つのジオールまたはポリオールおよび/または
C) 少なくとも一つの直鎖状および/または環状の脂肪族、芳香脂肪族および/または芳香族ジアミンまたはポリアミン
を含有する被覆組成物を提供する。
【0045】
本発明の方法によって調製されるアロファネートは上記の成分B)およびC)との非常に高い相溶性が傑出している。特にA)とC)との組み合わせが均質(ポリウレア)被膜をもたらす。
【0046】
言及される被覆組成物は常套の技術(例えば、スプレー、ドリップ、フローコーティング、または流し込み(pouring))によって表面に適用されてもよい。蒸発分離して存在する溶媒を除去した後、この被膜を周囲条件下または例えば40〜200℃の高温で硬化する。
【0047】
上述の被覆組成物は例えば金属、プラスチック、セラミック、ガラスおよび天然物に適用してもよく、上述の基材はあらかじめ必要な前処理をしてもよい。
【実施例】
【0048】
そうでない旨の記載がない限り、全ての百分率は重量パーセントであると理解されるべきである。
NCO含量は過剰添加したジ-n-ブチルアミンの塩酸での逆滴定によって測定した。
粘度は23℃でHaakeの回転式粘度計を使用して測定した。
色数はDIN EN 1557(ハーゼン)に従って測定した。
【0049】
比較例1
1,6-ヘキサンジイソシアネート275.5 gを最初にn-ブチルアセテート中のイソフタロイルジクロライド10%濃度溶液120 mgと混合し、その後、この混合物を攪拌しながら100℃に加熱した。次に、約3時間にわたって、DMC触媒(塩基フリー)の方法によって調製したポリプロピレングリコール324.3 g(不飽和基含量<0.01 meq/g、分子量2000 g/mol、OH価56 mg KOH/g、理論官能価2)を添加した。その後、この反応混合物を20.7%のNCO含量が達成されるまで100℃で加熱した。次に、温度を90℃に下げ、続いて錫(II)ビス(2-エチルヘキサノエート)50 mgを添加し、この反応混合物をアロファネート化を完了させるために攪拌した。すなわち、NCO含量を18.4%に低下させた。
【0050】
しかしながら、この触媒を用いるとアロファネート化が不完全になり、継続攪拌(約8時間)後であっても単に19.7%のNCO含量が達成された。
【0051】
比較例2
1,6-ヘキサンジイソシアネート275.5 gを攪拌しながら100℃に加熱した。その後、約3時間にわたって、DMC触媒(塩基フリー)の方法によって調製したポリプロピレングリコール324.4 g(不飽和基含量<0.01 meq/g、分子量2000 g/mol、OH価56 mg KOH/g、理論官能価2)を添加した。その後、この反応混合物を100℃で20.7 %のNCO含量が達成されるまで加熱した。次に、温度を90℃に下げ、続いて錫(II)ビス(2-エチルヘキサノエート)50 mgを添加し、この反応混合物をNCO含量が18.4%になるまで攪拌した(約6時間)。イソフタロイルジクロライド50 mgの添加に続いて、過剰の1,6-ヘキサンジイソシアネートを約0.5 mbar、140℃で薄膜蒸留によって除去した。
【0052】
アロファネート化を行い、ほとんど完了し、NCO含量5.47%、粘度3725 mPas(23℃)を有する透明な、無色の生成物が得られた。
【0053】
実施例1
1,6-ヘキサンジイソシアネート275.5 gを最初にn-ブチルアセテート中のイソフタロイルジクロライド10%濃度溶液120 mgと混合し、その後、この混合物を攪拌しながら100℃に加熱した。次に、約3時間にわたって、DMC触媒(塩基フリー)の方法によって調製したポリプロピレングリコール324.3 g(不飽和基含量<0.01 meq/g、分子量2000 g/mol、OH価56 mg KOH/g、理論官能価2)を添加した。その後、この反応混合物を100℃で20.7 %のNCO含量が達成されるまで加熱した。次に、温度を90℃に下げ、続いて亜鉛(II)ビス(2-エチルヘキサノエート)50 mgを添加し、この反応混合物をNCO含量が18.4%になるまで攪拌した(約6時間)。イソフタロイルジクロライド50 mgの添加に続いて、過剰の1,6-ヘキサンジイソシアネートを約0.5 mbar、140℃で薄膜蒸留によって除去した。
【0054】
アロファネート化を行い、ほとんど完了し、NCO含量5.75%、粘度3360 mPas(23℃)を有する透明な、無色の生成物が得られた。
【0055】
実施例2
イソフタロイルジクロライドを1,6-ヘキサンジイソシアネートに添加しないという違いを除いて、実施例1と同様にして、1,6-ヘキサンジイソシアネート275.5 gとポリプロピレングリコール324.3 gを亜鉛(II)ビス(2-エチルヘキサノエート)50 mgの存在中で反応させ、薄膜蒸留の前にイソフタロイルジクロライド50 mgを使用して安定化した。
【0056】
これによりNCO含量5.75%、粘度4230 mPas(23℃)を有する透明な、無色の生成物与えた。
【0057】
実施例3
1,6-ヘキサンジイソシアネート502.4 gを攪拌しながら100℃に加熱した。次に、約3時間にわたって、DMC触媒の方法によって得られたポリプロピレングリコール297.5 g(分子量1000 g/mol、OH価112 mg KOH/g、理論官能価2)を添加した。その後、この反応混合物を28.2%のNCO含量が達成されるまで100℃で加熱した。次に、温度を90℃に下げ、続いて亜鉛(II)ビス(2-エチルヘキサノエート)70 mgを添加し、この反応混合物をNCO含量が25.1%になるまで攪拌した。ジブチルホスフェート40 mgの添加に続いて、過剰の1,6-ヘキサンジイソシアネートを約0.5 mbar、140℃で薄膜蒸留によって除去した。
【0058】
これによりハーゼン色数0、NCO含量8.95%および粘度3500 mPas(23℃)を有する無色の生成物を与えた。
【0059】
実施例4:
1,6-ヘキサンジイソシアネート336.0 gを最初にn-ブチルアセテート中のイソフタロイルジクロライド10%濃度溶液120 mgと混合し、その後、この混合物を攪拌しながら100℃に加熱した。次に、約3時間にわたって、DMC触媒(塩基フリー)の方法によって調製したポリプロピレングリコール263.8 g(不飽和基含量<0.01 meq/g、分子量2000 g/mol、OH価56 mg KOH/g、理論官能価2)を添加した。その後、この反応混合物を26.1%のNCO含量が達成されるまで100℃で加熱した。次に、温度を90℃に下げ、続いて亜鉛(II)ビス(2-エチルヘキサノエート)50 mgを添加し、この反応混合物をNCO含量が24.3%になるまで攪拌した。イソフタロイルジクロライド50 mgの添加に続いて、過剰の1,6-ヘキサンジイソシアネートを0.6 mbar、140℃で薄膜蒸留によって除去した。
【0060】
これによりNCO含量6.45%、粘度2860 mPas(23℃)を有する無色透明の生成物を与えた。
【0061】
実施例5:
比較例2および実施例1によって調製されたアロファネートそれぞれ50 gを50℃の乾燥棚の密閉ガラス瓶中で貯蔵した。以下の値から判るように、本発明で調製されたアロファネートの粘度はわずかに(8%未満)しか上がらず、NCO含量は実質的に減少を示さなかった(2.1%未満)が、錫触媒を使用して調製された試料は粘度の大きな増加を示した(約50%)。
実施例1からのアロファネート:

比較例2からのアロファネート:


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 一以上の脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートを
b) 一以上のポリヒドロキシ化合物
と反応させ、NCO官能性ポリウレタンプレポリマーを与え、生じるウレタン基を
c) a)のポリイソシアネートと異なってもよいポリイソシアネートおよび
d) 触媒としての亜鉛(II)化合物
との更なる反応によって完全にまたは部分的にアロファネート化することを特徴とする、アロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーの調製方法。
【請求項2】
成分a)およびc)で同じ種類のポリイソシアネートが使用されることを特徴とする、請求項1記載のアロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーの調製方法。
【請求項3】
成分a)およびc)でポリイソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネートが使用されることを特徴とする、請求項1または2記載のアロファネート構造単位を含む安定化ポリイソシアネートプレポリマーの調製方法。
【請求項4】
成分b)でポリエーテルポリオールが使用されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載のアロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーの調製方法。
【請求項5】
成分d)でアロファネート化の亜鉛触媒として、2-エチルヘキサン酸および/または直鎖状脂肪族C4〜C30カルボン酸に基づく亜鉛(II)アルカノエートが使用されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載のアロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーの調製方法。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の方法によって得られるアロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマー。
【請求項7】
被膜、接着層および/またはシールの製造への請求項6記載のアロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーの使用。
【請求項8】
A) 請求項6記載のアロファネート構造単位を含む一以上のポリイソシアネートプレポリマーおよび
B) 少なくとも一つのジオールまたはポリオールおよび/または
C) 少なくとも一つの直鎖状および/または環状の脂肪族、芳香脂肪族および/または芳香族ジアミンまたはポリアミン
を含有する被覆組成物。
【請求項9】
請求項6記載のアロファネート構造単位を含むポリイソシアネートプレポリマーから得られる被膜で被覆された基材。

【公表番号】特表2007−530751(P2007−530751A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505437(P2007−505437)
【出願日】平成17年3月19日(2005.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002955
【国際公開番号】WO2005/097737
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】