説明

計量システム

【課題】たとえば「なめこ」のような水洗いをすると鮮度が急激に低下し易くなる被計量物がオーバーフローする場合に、当該被計量物をラインから排出し得る計量システムを提供する。
【解決手段】被計量物Mをラインに投入するための投入コンベヤ1,2と、投入された被計量物Mを水洗いしながら搬送する水洗コンベヤS3と、水洗いされた被計量物Msを計量して所定量の1まとめにする計量手段11と、投入コンベヤ1,2の下流で、かつ、水洗コンベヤs3で水洗いされる前の被計量物Msがオーバーフローする場合に、当該オーバーフローする被計量物MsをラインLsから排出するための排出手段10とを備え、オーバーフローする場合に、被計量物MsをラインLsから排出可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計量物の計量システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、オーバーフローが生じた場合の対策として、種々の過負荷防止装置が提案されている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−316217号(要約書)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、たとえば、「なめこ」などの農産物は、各農家ごとに栽培されて収獲されたものが1ヵ所に集められて出荷されている。そのため、「なめこ」を大規模に栽培し、大量の「なめこ」をラインに投入して計量するシステムはこれまで存在しなかった。
「なめこ」は、水洗いすると「ぬめり」が増し、鮮度が急激に低下する。そのため、水洗後にオーバーフローした「なめこ」をラインから排出した場合、鮮度が低下しているため、再度ラインに投入することができない。
【0004】
したがって、本発明の目的は、たとえば「なめこ」のような水洗いをすると鮮度が急激に低下する被計量物がオーバーフローする場合に、当該被計量物の鮮度を低下させずにラインから排出し得る計量システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明の計量システムは、被計量物をラインに投入するための投入コンベヤと、前記投入された被計量物を水洗いしながら搬送する水洗コンベヤと、前記水洗いされた被計量物を計量して所定量の1まとめにする計量手段と、前記投入コンベヤの下流で、かつ、前記水洗コンベヤで水洗いされる前の前記被計量物がオーバーフローする場合に、当該オーバーフローする被計量物をラインから排出するための排出手段とを備え、前記オーバーフローする場合に、前記被計量物を前記ラインから排出可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明における被計量物としては、たとえば、「なめこ」のような水洗いすると鮮度が急激に低下し易くなる農産物などがある。
本発明によれば、生産ラインの計量手段が故障した場合や、計量手段の処理能力が間に合わない場合には、前記被計量物をオーバーフローさせる。この場合、水洗いする前に被計量物をオーバーフローさせてラインから排出させるので、時間がある程度経過した後に鮮度を落とさずに再度ラインに投入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明においては、前記投入コンベヤと前記水洗コンベヤとの間に、大粒の「なめこ」と小粒の「なめこ」とに選別する大粒選別機を更に備え、前記計量手段は、前記小粒の「なめこ」を前記計量する第1計量装置と、前記大粒の「なめこ」を前記計量する第2計量装置とを包含し、前記排出手段は前記小粒の「なめこ」をラインから排出する第1排出装置と、前記大粒の「なめこ」をラインから排出する第2排出装置とを包含するのが好ましい。
【0008】
この態様によれば、大粒の「なめこ」と、小粒の「なめこ」とを自動選別し、それぞれに分けて計量することができる。
また、オーバーフローする場合には、大粒と小粒とに選別された状態で排出することが可能となり至便である。
【0009】
本発明においては、前記水洗コンベヤから前記第1計量装置まで小粒の「なめこ」を搬送する小粒搬送コンベヤラインと、前記大粒選別機で選別された大粒の「なめこ」を搬送する大粒搬送コンベヤラインと、前記小粒搬送コンベヤライン上の「なめこ」を前記大粒搬送コンベヤライン上に搬送するバイパスと、前記小粒搬送コンベヤラインに設けられ、前記小粒の「なめこ」を前記第1計量装置または前記大粒搬送コンベヤラインのいずれか一方に選択的に振り分ける振分装置とを備え、前記小粒の「なめこ」を第2計量装置で計量可能とするのが好ましい。
【0010】
この態様によれば、振分装置によって、生産量の多い小粒の「なめこ」を必要に応じて2つの計量装置に交互に振り分けて計量することにより、生産性が向上する。また、第1計量装置のメンテナンス時や故障時において、前記振分装置によって小粒の「なめこ」を大粒搬送コンベヤラインに振り分けることで、第2計量装置を用いて小粒の「なめこ」を計量することができる。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。
以下の説明では、本計量システムに用いる被計量物として、「なめこ」を例示して説明する。
【0012】
概略構成:
まず、本システムの通常運転の場合について説明する。
図1に示すように、本システムは、小粒搬送コンベヤラインLSと大粒搬送コンベヤラインLBとを備えている。投入コンベヤ1,2から大粒選別機3に投入された「なめこ」Mは、当該大粒選別機3により、小粒「なめこ」Msと大粒「なめこ」Mbとに選別される。
【0013】
大粒選別機3としては、たとえば、大粒「なめこ」Mbよりも若干小さな孔が形成された網目状の搬送面を持つコンベヤを用いることができる。大粒選別機3は、前記網目から落下したものを小粒「なめこ」Msとし、一方、該網目から落下しなかったものを大粒「なめこ」Mbとして「なめこ」Mの選別を行う。
【0014】
なお、大粒「なめこ」Mbとしては、種々の大きさを設定できるが、本実施例では、傘の直径が約2.0cm以上のものとしている。また、大粒「なめこ」Mbは、たとえば、天ぷらなどに供されるなど、一般に水洗いされずに食用に供される場合が多い。
【0015】
前記大粒選別機3によって選別された小粒「なめこ」Msは小粒搬送コンベヤライン(以下、「小粒ライン」と称する)LSに送られ、一方、大粒「なめこ」Mbは大粒搬送コンベヤライン(以下、「大粒ライン」と称する)LBに送られる。
【0016】
小粒ラインLS:
図1および図5に示すように、小粒ラインLSは、第1〜第7小粒コンベヤS1〜S7および小粒選別機4を備えている。大粒選別機3から第1小粒コンベヤS1に送られた小粒「なめこ」Msは、第2小粒コンベヤS2を通り、第3小粒コンベヤ(水洗コンベヤ)S3で水洗いされながら搬送された後、第4小粒コンベヤS4に送られる。その後、小粒「なめこ」Msは、第4コンベヤS4から小粒選別機4に搬送される。
【0017】
小粒選別機4:
小粒選別機4により、小粒「なめこ」Msは、所定の標準サイズの小粒「なめこ」Ms、この標準サイズよりも大きな「なめこ」(中粒)、前記標準サイズの小粒「なめこ」Msよりも小さな「なめこ」(極小)およびゴミの3種類に選別される。小粒選別機4によって選別された標準サイズの小粒「なめこ」Msは、下流の第5小粒コンベヤS5に送られる。一方、図5に示すように、標準サイズ以外の中粒および極小「なめこ」やゴミは、二点鎖線で示すように、系外に排出される。小粒選別機4としては、たとえば、網目状のコンベヤを用いることができる。
【0018】
前記選別後の標準サイズの小粒「なめこ」Msは、第5小粒コンベヤS5から、振分装置5を介して第6および第7小粒コンベヤS6,S7を経て、第1計量装置11(計量手段の一例)に供給される。
【0019】
このように、図1の大粒選別機3により選別された小粒「なめこ」Msは、小粒ラインLSにおいて、第1〜第2小粒コンベヤS1〜S2によって搬送され、水洗コンベヤS3によって水洗いされた後、第4コンベヤS4により小粒選別機4に搬送される。小粒「なめこ」Msは、小粒選別機4により標準サイズの小粒「なめこ」Msのみが更に選別された後、下流の第5〜第7小粒コンベヤS5〜S7によって第1計量装置11に供給される。
【0020】
大粒ラインLB:
一方、図6に示すように、大粒ラインLBは、第1〜第4大粒コンベヤB1〜B4を備えている。前記大粒選別機3によって選別された大粒「なめこ」Mbは、第1〜第4大粒コンベヤB1〜B4により第2計量装置12(計量手段の一例)に供給される。
【0021】
計量装置11,12:
図5および図6に示す第1および第2計量装置11,12は組合せ計量装置からなり、それぞれ、小粒および大粒「なめこ」Ms,Mbを計量して所定量のひとまとめにした後、下流に排出する。前記計量装置11,12の下流では、小粒と大粒の「なめこ」Ms,Mbがそれぞれ袋詰めされた後、箱詰されて出荷される。
【0022】
オーバーフローする場合:
ところで、本システムでは、大量の「なめこ」Mを扱うため、下流での処理が間に合わず、オーバーフローが生じる場合がある。以下、オーバーフローが生じた場合の処理について説明する。
【0023】
第1排出装置10:
図1に示す第1小粒コンベヤS1の下流には、第1排出装置10(排出手段の一例)が設けられている。第1排出装置10は、通常運転時には、小粒「なめこ」Msを第2小粒コンベヤS2に送り、オーバーフローの場合には、小粒「なめこ」Msを排出方向に排出する。
【0024】
第1排出装置10は、図1の実線で示す第2小粒コンベヤS2に向かう方向と、二点鎖線で示す排出方向とに回動可能なガイド10aを備えた回転装置を備えている。通常運転時には、ガイド10aが第2小粒コンベヤS2に向かう方向に設定され、「なめこ」Msが第2小粒コンベヤS2に搬送される。一方、オーバーフローする場合には、図2および図6に示すように、ガイド10aが排出方向に設定されて、小粒「なめこ」Msが小粒ラインLSの系外に排出され、図示しないオーバーフロー用の箱等に投入される。
【0025】
このように、オーバーフローの場合には、第1排出装置10によって、小粒「なめこ」Msを水洗コンベヤS3に搬送する前に、小粒ラインLSの系外に排出することができる。「なめこ」は、水洗いすると急激に鮮度が低下し易くなるので、水洗いの前に小粒「なめこ」Msを排出することにより、鮮度の低下を防止して、再度、搬送ラインに投入することができる。
【0026】
第2排出装置(第1大粒コンベヤ)B1:
一方、大粒「なめこ」Mbは、前記オーバーフローの場合、大粒選別機3の下流に設けられた第1大粒コンベヤB1が、図2に示すように、逆方向に回転されて大粒ラインLBの系外に排出される。したがって、第1大粒コンベヤB1は、大粒「なめこ」Mbを大粒ラインLBの系外に排出させる第2排出装置(排出手段の一例)を構成している。
【0027】
以上のように、オーバーフローの場合には、小粒「なめこ」Msと大粒「なめこ」Mbとを排出手段10,B1によって、ラインLS,LBの系外にそれぞれラインアウトさせることができるので、「なめこ」の鮮度を落とすことなく、オーバーフローが解消するまでの時間が経過した後、ラインLS,LBにそれぞれ再投入することができる。
【0028】
ところで、計量装置11,12の一方にトラブルや清掃の必要性が生じることもある。ここで、本システムでは、前述のように、大粒選別機3によって小粒「なめこ」Msと大粒「なめこ」Mbとに選別された状態でラインアウトさせるので、正常に運転されているラインについては、そのまま運転し、トラブルの生じたラインについてはオーバーフロー分を排出装置を介して排出することができる。つまり、大粒と小粒のラインを選択的に通常の運転を行うことができる。
【0029】
小粒「なめこ」Msの振り分け:
ここで、「なめこ」は、小粒「なめこ」Msの市場での需要が高いので、小粒「なめこ」Msが大粒「なめこ」Mbまで成長しない所定の時期に収獲される。したがって、小粒「なめこ」Msの収獲量が大粒「なめこ」Mbよりも多い。そのため、本システムでは、大量の小粒「なめこ」Msが投入される場合には、以下に説明するように、小粒「なめこ」Msの計量および包装を、第1および第2ラインLS,LBの両ラインを用いて行うことができるようにしている。
【0030】
振分装置5:
図5に示すように、小粒ラインLSの第5小粒コンベヤS5の下流には、振分装置5が設けられている。振分装置5の下流には、図3に示すように、第6小粒コンベヤS6の他に、小粒ラインLSと大粒ラインLBとを継ぐバイパスコンベヤ6が設けられている。
すなわち、振分装置5は、小粒「なめこ」Msを小粒ラインLSまたは大粒ラインLBのいずれか一方に選択的に振り分けることが可能である。バイパスコンベヤ6は、振分装置5によって、大粒ラインLB側に振り分けられた小粒「なめこ」Msを第2大粒コンベヤB2に搬送する。
【0031】
図3に示すように、振分装置5により、小粒「なめこ」Msを小粒ラインLSと大粒ラインLBとに交互に振り分けることにより、該小粒「なめこ」Msの計量を両計量装置11,12を用いて行うことができる。したがって、生産量の多い小粒の「なめこ」を、必要に応じて2つの計量装置に振り分けて計量することができるので、生産性が向上する。
この場合、大粒「なめこ」Mbは、第1大粒コンベヤB1を逆回転させることにより、大粒ラインLBの系外に排出される。
【0032】
第1計量装置11が停止した場合:
ここで、第1計量装置11の故障やメンテナンスなどで、該第1計量装置11を停止させる場合がある。かかる場合、本システムでは、図4に示すように、水洗い後の小粒「なめこ」Msを大粒ラインLBで搬送し、第2計量装置12を用いて計量することができる。
【0033】
すなわち、図4の前記小粒ラインLSによって搬送された小粒「なめこ」Msは、水洗コンベヤS3により水洗いされ、小粒選別機4により標準サイズが選別された後、振分装置5(図5)によってバイパスコンベヤ6に振り分けられ、該バイパスコンベヤ6によって第2大粒コンベヤB2に搬送される。小粒「なめこ」Msは、前記第2大粒コンベヤB2から、第3〜第4大粒コンベヤB3〜B4によって、第2計量装置12に供給される。
【0034】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、前述の実施例では、搬送ラインを小粒ラインLSと大粒ラインLBからなる2本のラインとしたが、搬送ラインを1本の小粒ラインLSのみとしてもよい。
また、3本以上の搬送ラインを設けてもよい。かかる場合には、大粒「なめこ」の搬送ラインよりも、処理量の多い小粒「なめこ」の搬送ラインを多く設けるのが好ましい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本装置は、たとえば、「なめこ」のように水洗いすると急激に鮮度が低下し易くなる農産物などの被計量物の計量システムに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施例にかかる「なめこ」の計量システムの通常時の運用方法を示す概略平面レイアウト図である。
【図2】オーバーフローの場合の「なめこ」の搬送方法を示す概略平面レイアウト図である。
【図3】「なめこ」の振り分け方法を示す概略平面レイアウト図である。
【図4】「なめこ」の他の振り分け方法を示す概略平面レイアウト図である。
【図5】小粒搬送コンベヤラインの要部を示す概略側面レイアウト図である。
【図6】主として大粒搬送コンベヤラインを示す概略側面レイアウト図である。
【符号の説明】
【0037】
3:大粒選別機
5:振分装置
6:バイパスコンベヤ
11:第1計量装置(計量手段)
12:第2計量装置(計量手段)
Lb:大粒ライン(大粒搬送コンベヤライン)
Ls:小粒ライン(小粒搬送コンベヤライン)
M:「なめこ」(被計量物)
Mb:大粒「なめこ」(被計量物)
Ms:小粒「なめこ」(被計量物)
S3:水洗コンベヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物をラインに投入するための投入コンベヤと、
前記投入された被計量物を水洗いしながら搬送する水洗コンベヤと、
前記水洗いされた被計量物を計量して所定量の1まとめにする計量手段と、
前記投入コンベヤの下流で、かつ、前記水洗コンベヤで水洗いされる前の前記被計量物がオーバーフローする場合に、当該オーバーフローする被計量物をラインから排出するための排出手段とを備え、
前記オーバーフローする場合に、前記被計量物を前記ラインから排出可能とした被計量物の計量システム。
【請求項2】
請求項1において、前記被計量物が「なめこ」である計量システム。
【請求項3】
請求項2において、前記投入コンベヤと前記水洗コンベヤとの間に、大粒の「なめこ」と小粒の「なめこ」とに選別する大粒選別機を更に備え、
前記計量手段は、前記小粒の「なめこ」を前記計量する第1計量装置と、前記大粒の「なめこ」を前記計量する第2計量装置とを包含し、
前記排出手段は前記小粒の「なめこ」をラインから排出する第1排出装置と、前記大粒の「なめこ」をラインから排出する第2排出装置とを包含する計量システム。
【請求項4】
請求項3において、前記水洗コンベヤから前記第1計量装置まで小粒の「なめこ」を搬送する小粒搬送コンベヤラインと、
前記大粒選別機で選別された大粒の「なめこ」を搬送する大粒搬送コンベヤラインと、
前記小粒搬送コンベヤライン上の「なめこ」を前記大粒搬送コンベヤライン上に搬送するバイパスと、
前記小粒搬送コンベヤラインに設けられ、前記小粒の「なめこ」を前記第1計量装置または前記大粒搬送コンベヤラインのいずれか一方に選択的に振り分ける振分装置とを備え、
前記小粒の「なめこ」を第2計量装置で計量可能とした計量システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−263567(P2007−263567A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−84869(P2006−84869)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)