説明

計量ユニット

【課題】ユーザが求めるインターフェースなどに適切に応えることができる計量ユニットを提供する。
【解決手段】カバー20の側面に設けられた開口23と、この開口23を塞ぐ、コネクタが取付けられた裏蓋22と、計量機構の計測結果から計量データを演算する演算手段が搭載されたメイン基板70と、計量データのデータ伝送に用いるインターフェースが搭載されたインターフェース基板71と、メイン基板70及びインターフェース基板71に供給する直流電圧を発生する電源基板73とを備え、電源基板73が裏蓋22の内側に取り付けられ、インターフェース基板71とメイン基板70とがベース21上の異なる位置に配置される。メイン基板70、インターフェース基板71、電源基板73が分かれているため、ユーザが希望する種類のインターフェース基板や電源基板を組み込むことでユーザの要望に応えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造ラインに流れる製品などの重量を計測する計量ユニットに関し、計測データを各種の規格に基づいてデータ伝送できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
製造ラインなどに組み込まれた計量ユニットは、下記特許文献1に記載されているように、移送されて来る製品などの重量を順次計測して、計測データを制御装置に伝送し、制御装置は、その測定データに基づいて各種の制御を実行する。
今日、製造現場では、各種のネットワークが導入され、種々の規格や方式によるデータ伝送が行われている。
RS−232Cは、1対1接続した端末間でデータのシリアル通信を行う規格として広く普及している。また、RS485は、最大32台までの端末と接続して、1対多、あるいは、多対多によるデータ伝送が可能な規格として知られている。
また、異なる規格の間のデータ変換を行うプロトコル変換器も数多く市販されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−133092公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
計量ユニットに求められるデータ出力のインターフェースは、その計量ユニットが設置される工場等のネットワーク事情や計量データの使用目的などによって違ってくる。従来の計測機器では、インターフェースが固定されているため、それが望みのものと異なる場合に、機器の外部にプロトコル変換器などを設置してインターフェースの変換を行っている。
しかし、こうした対処方法は、計測機器設置時の作業負担が増し、広い設置スペースが必要になる等の問題がある。また、プロトコル変換器を外に設けた計測機器は、使い難く、使用方法が制限されたりする場合もある。
【0005】
本発明は、こうした事情を考慮して創案したものであり、ユーザが求めるインターフェースなどに適切に応えることができる計量ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ベースの上に計量機構が設置され、計量機構を覆うカバーとベースとで筐体が構成され、計量機構に被測定荷重を機械的に伝える荷重受け部がカバーの上面から露出した計量ユニットであって、カバーの側面に設けられた開口と、開口を塞ぐ裏蓋と、計量機構の計測結果から計量データを演算する演算手段が搭載されたメイン基板と、計量データのデータ伝送に用いるインターフェースが搭載されたインターフェース基板と、メイン基板及びインターフェース基板の各々に供給する直流電圧を発生する直流電圧発生手段が搭載された電源基板と、を備え、インターフェース基板とメイン基板とがベース上の異なる位置に配置されていることを特徴とする。
この計量ユニットでは、演算手段を搭載したメイン基板と、インターフェース基板と、電源基板とが分かれているため、ユーザが希望するインターフェースを搭載したインターフェース基板や、ユーザが希望する直流電圧発生手段を搭載した電源基板を組み込むことでユーザの要望に応えることができる。
【0007】
また、本発明の計量ユニットでは、インターフェース基板にRS232C用のインターフェースとRS485用のインターフェースとが搭載されている。
RS232CインターフェースとRS485インターフェースとを同時使用して、RS232CでPC(パーソナルコンピュータ)やPLC(プログラマブルコントローラ)と計量データのやり取りを行い、同時に、RS485で小型表示器により計量データをモニタすることが可能になる。
【0008】
また、本発明の計量ユニットでは、インターフェース基板は、異なるインターフェースが搭載された複数のインターフェース基板の中から選択されたものであることができる。
このように、ユーザの希望するインターフェースが搭載されたインターフェース基板を計量ユニットに組み込むことでユーザニーズに応えることができる。
【0009】
また、本発明の計量ユニットでは、電源基板は、搭載された直流電圧発生手段への入力電圧が異なる複数の電源基板の中から選択されたものであることができる。
直流電圧発生手段への入力電圧が異なっても、直流電圧発生手段からの出力電圧は共通している。搭載された直流電圧発生手段において、共通の出力電圧を発生するために必要とされる入力電圧が異なる複数の電源基板を用意し、選択させることにより、計量ユニットが設置される場所で確保可能な入力電圧に合った電源基板を計量ユニットに組み込むことができる。
【0010】
また、本発明の計量ユニットでは、メイン基板に、演算手段のプログラムを書き換えるための書き換えコネクタを搭載し、カバーの開口から裏蓋を取り外し、開口を通した専用線でメイン基板の書き換えコネクタとプログラム書き換え器とを接続して演算手段のプログラムの書き換えを行ことができる。
カバーを取り外さずにファームウェアの書き換えができるため、計量機構に狂いが生じない。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、計量ユニットに給電する外部電源の選択肢や、計量ユニットから計量データを伝送するインターフェースの選択肢が拡がり、これらに関するユーザのニーズに適切に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る計量ユニットの外形図
【図2】図1の計量ユニットのカバーを除いた状態を示す斜視図
【図3】図1の裏蓋を別方向から見た図
【図4】図2のCPU基板、インターフェース基板、裏蓋の拡大図
【図5】図1の計量ユニットのブロック図
【図6】本発明の実施形態に係る計量ユニットの接続例を示す図(1台の計量ユニット、1台のPLC、1台の小型表示器の接続)
【図7】本発明の実施形態に係る計量ユニットの接続例を示す図(3台の計量ユニット、3台のPLC、1台の小型表示器の接続)
【図8】本発明の実施形態に係る計量ユニットの複数の電源基板を示す図
【図9】本発明の実施形態に係る計量ユニットの複数のインターフェース基板を示す図(その1)
【図10】本発明の実施形態に係る計量ユニットの複数のインターフェース基板を示す図(その2)
【図11】本発明の実施形態に係る計量ユニットのプログラム書き換え時の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る計量ユニットの外観を示している。この装置の筐体は、ステンレス製のカバー20と、ステンレス製のベース21とで構成され、カバー20の上面から荷重受け部30だけが露出して。この荷重受け部30の上に皿(不図示)が載り、皿の上に被測定荷重(不図示)が置かれる。また、カバー20の後端には、コネクタが取り付けられた裏蓋22が固定されている。
【0014】
図2は、この計量ユニットのカバー20を取り外した状態を示している。計量機構は、電磁力平衡方式を採用しており、テコ機構を構成するセンサ起歪体40と、電磁力発生機構を構成するヨーク組立体50とを備えている。荷重受け部30に加わる荷重はセンサ起歪体40に作用し、この荷重と、テコの他端に固定されたコイルに電流を流して発生する電磁力とを釣り合わせて、その電流から荷重を計測する。ベース21には、さらに、CPUを搭載したCPU基板(メイン基板)70と、データ伝送のインターフェースを搭載したインターフェース基板71とが並行して立設され、CPU基板70には、さらに、CPUのプログラムを書き換えるときに用いる書き換えコネクタ72が搭載されている。
【0015】
一方、カバー20の裏側(荷重受け部30から最も離れた側)の側面には、開口23が形成されており、この開口23は、螺子24で裏蓋22をカバー20に固定して塞がれる。裏蓋22の内側には、図3に示すように、DC−DCコンバータを搭載した電源基板73が取り付けられている。
図4には、CPU基板70、インターフェース基板71、電源基板73及び裏蓋22を拡大して示している。
【0016】
この計量ユニットは、図5のブロック図に示すように、センサ基板75(ヨーク組立体50の下方空間に収容されている。)、CPU基板70、インターフェース基板71及び電源基板73を有している。
センサ基板75は、コイルに働く電磁力が荷重と釣り合うようにコイル電流を制御するセンサ制御回路751と、釣り合い状態のコイル電流値(アナログ値)を出力するアナログ回路752とを備えている。
また、CPU基板70は、入力したアナログ値をデジタル値に変換するADC701と、そのデジタル値から荷重を算出するCPU702と、インターフェース基板71に対するインターフェース703、704とを備えている。
【0017】
また、インターフェース基板71は、RS232Cへのインターフェース、及び、RS485へのインターフェースの二種類を備えており、CPU基板70に対するインターフェース711、712と、インターフェース711から入力するデータをRS232Cの規格に変換するRS232C変換部713と、インターフェース712から入力するデータをRS485の規格に変換するRS485変換部714と、RS232C規格のデータをPLCやPC81に出力するインターフェース715と、RS485規格のデータを外部表示器82に出力するインターフェース716とを備えている。
また、電源基板73は、外部電源83から給電を受けて直流電圧を生成し、CPU基板70及びインターフェース基板71に供給するDC−DCコンバータ731を備えている。
このように、インターフェース基板71が、RS232CインターフェースとRS485インターフェースとを備える場合は、それらを同時使用して、計量ユニットからPCやPLCにRS232Cで計量データを送り、同時に、計量ユニットから小型表示器にRS485で計量データを送ってモニタすることができる。
【0018】
図6には、計量ユニット(UF)とPLCとの間でRS232Cにより計量データのやり取りを行い、同時に、計量ユニット(UF)から小型表示器にRS485で計量データを送る場合の接続例を示している。
また、図7には、RS232CによりPLCと1対1接続して計量データをやり取りする3台の計量ユニット(UF)が、RS485により1台の小型表示器と1対多接続して、3台の計量ユニット(UF)のモニタ画像を小型表示器に表示させる場合の接続例を示している。
【0019】
電源基板73は、図8の(a)〜(e)に示すように、異なる範囲の入力電圧で動作して所定の直流電圧を発生するDC−DCコンバータが搭載された5種類の電源基板73が用意されており、その中から計量ユニットが設置される場所の外部電圧に応じた電源基板73が選択されて裏蓋22に取り付けられる。
同様に、インターフェース基板71に関しても、図9〜図10に示すように、異なるインターフェースに対応する複数種類のインターフェース基板71が用意されている。
図9(a)は、USBハブを介するシリアル・バス規格に対応可能なインターフェース基板である。図9(b)は、アナログ出力を行う場合のインターフェース基板である。また、図9(c)はModbusに、図9(d)はCC−Linkに、図10(e)はTCP/IPに、図10(f)はProfibusに、図10(g)はIEEE802.11.xに、また、図10(h)はDevice Netに、それぞれ対応可能なインターフェース基板を示している。
これらのインターフェース基板の中から、計量ユニットの設置場所で導入されているネットワークなどに応じて基板を選択し、計量ユニットに組み込むことができる。
【0020】
また、CPU基板70に搭載されたCPUのプログラム(ファームウェア)を書き換える場合は、図11に示すように、カバー20の開口23から、電源基板73が取り付けられた裏蓋22を取り外す。
この裏蓋22の取り外しにより、計量機構へのアクセスは遮断される。
次いで、開口23を通した専用線91で、CPU基板70の書き換え専用コネクタ72とプログラム書き換え器90とを接続し、ファームウェアの書き換えを行う。
このとき、カバー20は、ベース21から取り外さないため、計量機構には機械的な力が作用せず、計量機構の狂いは生じない。
また、ファームウェアの書き換え作業中、計量機構へのアクセスは遮断されているため、この作業により故障が生じる虞はない。
また、裏蓋22に封印ステッカーなどを貼るようにすれば、裏蓋22の開放が一目で認識でき、ファームウェアの不正な書き換えを防止できる。
【0021】
このように、この計量ユニットは、CPU基板と、インターフェース基板と、電源基板とが分かれているため、複数種類のインターフェース基板や電源基板の中から選択したインターフェース基板や電源基板を計量ユニットに組み込むことで、ユーザのニーズに応えることができる。
また、計量機構に影響を与えずにファームウェアの書き換えが可能である。
なお、ここで示した構成は、本発明の一例であり、本発明は、それだけに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の計量ユニットは、ユーザニーズに応じた電源特性やインターフェース特性を持たせることが可能であり、製品や半製品、原料などの計量作業を必要とする製造工場、物流施設、研究施設、医療施設など、幅広い分野において利用することができる。
【符号の説明】
【0023】
20 カバー
21 ベース
23 開口
30 荷重受け部
40 センサ起歪体
50 ヨーク組立体
70 CPU基板(メイン基板)
71 インターフェース基板
72 書き換えコネクタ
73 電源基板
81 PLC、PC
82 外部表示器
83 外部電源
90 プログラム書き換え器
91 専用線
701 ADC
702 CPU
703 インターフェース
704 インターフェース
711 インターフェース
712 インターフェース
713 RS232C変換部
714 RS485変換部
715 インターフェース
716 インターフェース
731 DC−DCコンバータ
751 センサ制御回路
752 アナログ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースの上に計量機構が設置され、前記計量機構を覆うカバーと前記ベースとで筐体が構成され、前記計量機構に被測定荷重を機械的に伝える荷重受け部が前記カバーの上面から露出した計量ユニットであって、
前記カバーの側面に設けられた開口と、
前記開口を塞ぐ裏蓋と、
前記計量機構の計測結果から計量データを演算する演算手段が搭載されたメイン基板と、
前記計量データのデータ伝送に用いるインターフェースが搭載されたインターフェース基板と、
前記メイン基板及びインターフェース基板の各々に供給する直流電圧を発生する直流電圧発生手段が搭載された電源基板と、
を備え、
前記インターフェース基板と前記メイン基板とが前記ベース上の異なる位置に配置されていることを特徴とする計量ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の計量ユニットであって、前記インターフェース基板にRS232C用のインターフェースとRS485用のインターフェースとが搭載されていることを特徴とする計量ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の計量ユニットであって、前記インターフェース基板は、異なるインターフェースが搭載された複数の前記インターフェース基板の中から選択されたものであることを特徴とする計量ユニット。
【請求項4】
請求項1に記載の計量ユニットであって、前記電源基板は、搭載された前記直流電圧発生手段への入力電圧が異なる複数の前記電源基板の中から選択されたものであることを特徴とする計量ユニット。
【請求項5】
請求項1に記載の計量ユニットであって、前記メイン基板には、さらに、前記演算手段のプログラムを書き換えるための書き換えコネクタが搭載され、前記カバーの開口から前記裏蓋を取り外し、前記開口を通した専用線で前記メイン基板の前記書き換えコネクタとプログラム書き換え器とを接続して前記演算手段のプログラムの書き換えが行われることを特徴とする計量ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−13466(P2012−13466A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148395(P2010−148395)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(390041346)新光電子株式会社 (38)