説明

計量装置

【課題】 定貫作業中において途中経過の管理情報が目標値に達しているか否かを容易に把握することができる計量装置を提供する。
【解決手段】 定貫作業に用いられ、被計量物の質量を計量し、その計量値を表示部3aにデジタル表示する計量装置であって、所定時間間隔で、定貫作業における計量ロス量と計量ロス率と作業スピードとのうちの少なくとも一つを管理情報として算出する管理情報算出手段と、管理情報算出手段が管理情報を算出するたびに、算出した管理情報の値がその管理情報に関する目標値に達しているか否かの判定を行う管理情報判定手段と、管理情報判定手段が判定を行うたびに、その判定結果を報知する報知手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者(オペレータ)が一定量の被計量物を袋又は容器等に詰める作業を行うために用いられる計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品等を生産する生産工場等において、一定量の被計量物を袋又は容器等に詰める作業(以下、この作業を「定貫作業(ていかんさぎょう)」という)を行うために、計量装置が用いられている。
【0003】
この定貫作業では、作業者は担当する計量装置を用いて、一定量の被計量物を袋又は容器等に詰める。そして、一定量の被計量物を袋又は容器等に詰めると、被計量物を詰め終わった袋又は容器等を次工程に送った後、次の一定量の被計量物を袋又は容器等に詰める。この定貫作業が繰り返し行われることによって、一定量の被計量物が詰められた製品の製造が連続して進められる。
【0004】
生産工場等では、生産計画に従って製品を製造することが重要であり、各作業者は、一定量の被計量物を袋又は容器等に迅速にかつ正確に詰める必要がある。
【0005】
特許文献1には、電子秤と情報処理装置とを通信可能に接続し、情報処理装置が定貫作業に従事するオペレータ(作業者)の定貫作業を管理するためのオペレータ管理情報を求め、それを別途用意した画像表示装置に表示するようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−71597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の定貫作業では、作業者の能力によって作業スピード及び歩留り等が異なる。これらの情報(管理情報もしくはオペレータ管理情報)を報知することは、生産計画に従って製品を製造するために有用である。
【0008】
特許文献1の構成では、定貫作業中に、計量スピード(作業スピード)及び歩留り等のオペレータ管理情報の報知は行われるが、それらの計量スピード(作業スピード)及び歩留り等の評価(よしあしの判断等)は、生産管理者(作業監督者)あるいはオペレータ(作業者)等が行わなければならないので、煩わしさがともなう。
【0009】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、定貫作業中において途中経過の管理情報が目標値に達しているか否かを容易に把握することができる計量装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のある形態(aspect)に係る計量装置は、定貫作業に用いられ、被計量物の質量を計量し、その計量値を第1の表示器にデジタル表示する計量装置であって、所定時間間隔で、定貫作業における計量1回当たりの被計量物の平均損失量である計量ロス量と、目標計量値に対する前記計量ロス量の割合である計量ロス率と、単位時間当たりの生産数である作業スピードとのうちの、少なくとも一つを管理情報として算出する管理情報算出手段と、前記管理情報算出手段が管理情報を算出するたびに、算出した管理情報の値がその管理情報に関する目標値に達しているか否かの判定を行う管理情報判定手段と、前記管理情報判定手段が前記判定を行うたびに、その判定結果である管理情報判定結果を報知する報知手段とを備えている。
【0011】
この構成によれば、定貫作業中において、管理情報(計量ロス量、計量ロス率、作業スピード)の値が目標値に達しているか否か(言い換えれば、目標範囲内であるか否か)の判定結果が報知されるので、途中経過の管理情報が目標値に達しているか否かを容易に把握することができる。そして、定貫作業中に作業の改善を行うことができ、生産計画に従って製品を製造することが可能になる。
【0012】
また、計量ロス量と計量ロス率と作業スピードとのうちの少なくとも1つを選択するための管理情報選択手段をさらに備え、前記管理情報算出手段は、前記管理情報選択手段で選択された管理情報の値を算出するように構成されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、例えば、被計量物の種類によっては、計量ロス量と計量ロス率と作業スピードとのうちで重要性が異なる場合があるので、そのような場合のときに、より重要な管理情報を選択することができて便利である。
【0014】
また、前記報知手段は、前記管理情報判定結果を、前記第1の表示器の画面に前記管理情報判定結果に応じたマークを用いて表示するように構成されていてもよい。
【0015】
この構成によれば、管理情報判定結果を第1の表示器の画面にマークで表示することにより、瞬時かつ直感的に判定結果を把握することが可能になる。また、作業者が日本語を読めない人(例えば外国人)であっても、マークを見て判定結果を把握することが可能になる。また、管理情報判定結果(マーク)は、計量値を表示する第1の表示器の画面に表示されるので、別途、画像表示装置を設ける必要もない。
【0016】
また、前記報知手段は、前記管理情報判定結果を、前記第1の表示器の画面に前記管理情報判定結果に応じた背景色を用いて表示するように構成されていてもよい。
【0017】
この構成によれば、管理情報判定結果を第1の表示器の画面の背景色で表示することにより、瞬時かつ直感的に判定結果を把握することが可能になる。また、作業者が日本語を読めない人(例えば外国人)であっても、背景色を見て判定結果を把握することが可能になる。また、管理情報判定結果(背景色)は、計量値を表示する第1の表示器の画面に表示されるので、別途、画像表示装置を設ける必要もない。
【0018】
また、被計量物の計量値が、下限値以上でありかつ上限値以下である適量範囲内の値であるか、前記下限値未満の値であるか、前記上限値より大きい値であるかを判定する計量値判定手段と、前記計量値判定手段の判定結果を、前記判定結果に応じた色で表示する計量値判定表示部とをさらに備え、前記報知手段は、前記管理情報判定結果を、前記計量値判定表示部に前記管理情報判定結果に応じた色を用いて表示するように構成されていてもよい。
【0019】
この構成によれば、管理情報判定結果を、計量値判定表示部に管理情報判定結果に応じた色を用いて表示することにより、瞬時かつ直感的に判定結果を把握することが可能になる。また、作業者が日本語を読めない人(例えば外国人)であっても、計量値判定表示部の色を見て判定結果を把握することが可能になる。また、管理情報判定結果を表示するための画像表示装置を別途設ける必要もない。
【0020】
また、前記報知手段は、前記第1の表示器の裏面側に設けられ、前記管理情報判定結果を画面に表示するための第2の表示器からなるようにしてもよい。
【0021】
この構成によれば、管理情報判定結果を、計量値が表示される第1の表示器の裏面側に設けられた第2の表示器に表示することにより、例えば、作業監督者等は管理情報が目標値に達しているか否かを容易に把握することができる。そして、定貫作業中に作業者に対して作業の改善の指示を行うことができ、生産計画に従って製品を製造することが可能になる。
【0022】
また、前記報知手段は、前記管理情報判定結果を音声で出力する音声出力手段からなるようにしてもよい。
【0023】
また、第1の情報を送信可能なカードとの距離が通信可能範囲内になったときに前記カードから前記第1の情報を受信する通信手段をさらに備え、前記報知手段は、前記通信手段によって前記カードから前記第1の情報を受信したときにのみに、前記管理情報判定結果を報知するように構成されていてもよい。
【0024】
この構成によれば、例えば、作業監督者がカードを持っており、作業監督者は、必要に応じて、作業者についての管理情報判定結果を容易に把握することができ、作業者に対して作業改善等の指示を与えることができるため、生産計画に従って製品を製造することが可能になる。ここで、第1の情報は、例えば、定貫作業の監督者であることを示す情報である。
【0025】
また、前記管理情報算出手段が管理情報を算出するたびに、算出した管理情報の値の、その管理情報に関する目標値に対する割合を算出する割合算出手段をさらに備え、前記割合算出手段が前記割合を算出するたびに、算出した割合を前記第1の表示器にバーグラフで表示するように構成されていてもよい。
【0026】
この構成によれば、算出した管理情報の値の目標値に対する割合を、第1の表示器にバーグラフで表示することにより、管理情報の算出値が目標値に対してどの程度達成できているかを容易に把握することができる。また、作業者が日本語を読めない人(例えば外国人)であっても、管理情報の算出値が目標値に対してどの程度達成できているかを容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、以上に説明した構成を有し、定貫作業中において途中経過の管理情報が目標値に達しているか否かを容易に把握することができる計量装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(A)は、本発明の第1の実施形態の一構成例の計量装置を正面から見た外観図であり、(B)は、同計量装置の表示部の画面の一例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の一構成例の計量装置の機能ブロック図である。
【図3】(A)は、本発明の第2の実施形態の一構成例の計量装置の操作制御装置の前面側の表示部の一例を示す図であり、(B)は、同計量装置の操作制御装置の背面側の表示部の画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0030】
(第1の実施形態)
図1(A)は、本発明の第1の実施形態の一構成例の計量装置を正面から見た外観図であり、図1(B)は、同計量装置の表示部の画面の一例を示す図である。図2は、同計量装置の機能ブロック図である。
【0031】
この計量装置は、被計量物が載せられる計量台1と、スピーカ5が取り付けられた操作制御装置2とを備えている。計量台1には、その内部に例えばロードセルからなる重量センサ6が取り付けられている。重量センサ6は、計量台1を支持し、計量台1に載せられる被計量物の質量を計測する。
【0032】
操作制御装置2は、制御部21と、表示部3と、操作入力部4と、音声合成LSI51と、音声データが記憶された音声データメモリ(ROM)30と、スピーカ5とを有している。重量サンサ6の計測値は制御部21へ入力される。
【0033】
制御部21は、例えばマイクロコントローラ等によって構成され、マイクロコントローラのCPU等からなる演算制御部22と、マイクロコントローラのRAM及びROM等からなる記憶部23とを有している。演算制御部22は、そのCPUが記憶部23のROMに記憶されたCPUの実行プログラム(運転用プログラム)を実行することにより、計量装置の全体の制御、すなわち、表示部3及び音声合成LSI51等を制御する。
【0034】
また、制御部21は、操作入力部4からの信号を入力するとともに、表示部3へ表示するデータ等の信号を出力する。また、制御部21は、管理情報算出手段、管理情報判定手段、割合算出手段及び計量値判定手段等としても機能する。なお、制御部21は、集中制御する単独の制御装置によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置によって構成されていてもよい。
【0035】
表示部3は、例えば小型の液晶ディスプレイを用いて構成され、計量値を表示する表示器(第1の表示器)3aと、例えば多色LEDを用いて構成され、発光色を変更できる表示灯(計量値判定表示部)3bとを備えている。
【0036】
操作入力部4は、計量装置の操作及び設定値等の入力を行うために用いられる。
【0037】
音声合成LSI51は、制御部21からの制御信号に基づいて音声データメモリ52に記憶されている音声データの中から任意の音声データを選択し、その選択した音声データを音声アナログ信号に変換してスピーカ5へ出力する。音声合成LSI51及び音声データメモリ(ROM)52は市販の音声合成LSI及び音声ROMを用いることができるが、これらの機能をソフトウェアによって実現するように構成してもよい。音声合成LSI51と音声データメモリ52とスピーカ5とによって音声出力手段が構成される。
【0038】
以上のように構成された計量装置の動作について、その概略を説明する。この計量装置の動作は制御部21によって制御され、制御部21では、計量装置を動作させるために必要な情報はすべて記憶部23に記憶されており、また、動作中に記憶される情報はすべて記憶部23に記憶される。
【0039】
作業者は、操作入力部4を操作して計量装置の電源を入れる。さらに、操作入力部4を操作して、例えば、生産するパックに入った被計量物の質量の適量範囲を設定する。この適量範囲の設定は、例えば、上限値と下限値とを入力することにより行われ、記憶部23に記憶される。この場合、上限値以下で下限値以上となる範囲が適量範囲に設定される。この適量範囲の下限値は、目標計量値でもある。例えば、目標計量値(下限値)が200gに、上限値が210gに設定される。また、計量台1に被計量物が載せられたことを検出するための所定値である基準値も記憶部23に記憶されている。
【0040】
制御部21では、所定時間間隔で、重量センサ6から計量値(被計量物の質量値)を取得し、取得した計量値を表示器3aにデジタル表示させる。また、取得した計量値が、基準値以上である場合には、適量範囲内の値(適量値)であるか、下限値未満の値(軽量値)であるか、上限値より大きい値(過量値)であるかを判定し、この判定結果(以下、「計量値判定結果」という)に応じて予め定めた色で表示灯3bを点灯させる。ここでは、例えば、計量値判定結果が、適量値である場合には表示灯3bに青色で点灯させ、軽量値である場合には赤色で点灯させ、過量値である場合には黄色で点灯させる。
【0041】
作業者は、計量台1に例えばパックに入った被計量物を載せ、表示灯3bが青色に点灯した場合には、作業者は、計量台1からパック込みの被計量物を降ろして、次のパックに入った被計量物を載せる、という作業を繰り返して、適量範囲内の値となる被計量物(例えばパック商品)を順次生産する。
【0042】
ここで、作業者は、計量台1に被計量物を載せたときに、表示灯3bが赤色に点灯すると被計量物を追加供給し、黄色に点灯すると被計量物の一部を除くことにより、表示灯3bが青色に点灯するように計量台1に載っている被計量物の量を調整する。そして、表示灯3bが青色に点灯した場合には、前述のように、作業者は、計量台1からパック込みの被計量物を降ろして、次のパックに入った被計量物を載せる。表示器3aには、計量台1上の被計量物の量の変動に応じて、随時その質量値が計量されて表示される。
【0043】
また、制御部21では、生産個数(計量個数)kを計数し、記憶している。例えば作業開始前の生産個数kの初期値を0にしておいて、適量値の被計量物が計量台1から降ろされるたびに、生産個数kの値を1増加させる。具体的には、例えば、表示灯3bを青色に点灯させた後、重量センサ6から取得する計量値が0になると、生産個数kの値を1増加させる。また、このとき、制御部21は、表示灯3bを青色に点灯させたときの計量値(被計量物の質量値)を記憶部23に記憶するとともに、それまでに計量された被計量物の合計質量値を算出し、記憶部23に記憶する。
【0044】
また、制御部21には、管理情報を算出するタイミングを決めるための時間間隔(t1)が予め設定されており、制御部21は作業開始(例えば、電源投入時)から所定時間(t1)間隔で、管理情報を算出する。ここで、管理情報とは、計量ロス量(計量1回当たりの被計量物の平均損失量)及び単位時間当たりの生産個数(作業スピード)等である。また、制御部21には、例えば操作入力部4を操作することによって、目標計量ロス量(計量1回当たりの被計量物の目標損失量)と、単位時間当たりの目標生産個数(目標作業スピード)と、所定時間(t1)とが予め設定され、記憶部23に記憶されている。所定時間(t1)は、例えば5分、10分等、任意に設定できる。
【0045】
そして、制御部21では、管理情報を算出するタイミングになると、直前の所定時間(t1)内における計量ロス量と単位時間当たりの生産個数とを算出する。計量ロス量は次式により算出する。
【0046】
計量ロス量=平均値−目標計量値
ここで、平均値は、直前の所定時間(t1)内における計量1回当たりの被計量物の平均質量値であり、直前の所定時間(t1)内における被計量物の合計質量値を生産個数で割り算して求める。目標計量値は前述のように下限値である。
【0047】
また、単位時間当たりの生産個数は、直前の所定時間(t1)内における被計量物の生産個数を所定時間t1で割り算して算出する。
【0048】
さらに、制御部21では、上記のようにして算出した単位時間当たりの生産個数(実生産個数)が単位時間当たりの目標生産個数以上であるか否かを判定するとともに、算出した計量ロス量(実計量ロス量)が目標計量ロス量以下であるか否かを判定する。
【0049】
そして、制御部21は、実生産個数が目標生産個数以上である場合(言い換えれば、実生産個数が生産個数の目標範囲内である場合)には、そのことを報知するために、表示器3aに画面上の所定箇所にマーク(星印)31を点灯表示(通常表示)させ、実生産個数が目標生産個数未満である場合には、そのことを報知するために、表示器3aに画面上の所定箇所にマーク(星印)31を点滅表示させる。
【0050】
また、制御部21は、実計量ロス量が目標計量ロス量以下である場合(言い換えれば、実計量ロス量が計量ロス量の目標範囲内である場合)には、そのことを報知するためのマークとして、表示器3aに画面上の所定箇所にマーク(星印)32を点灯表示(通常表示)させ、実計量ロス量が目標計量ロス量より大きい場合には、そのことを報知するためのマークとして、表示器3aに画面上の所定箇所にマーク(星印)32を点滅表示させる。
【0051】
図1(B)において、白抜きの星印で示されているマーク31は点滅表示されていることを示し、黒く塗りつぶされている星印で示されているマーク32は点灯表示(通常表示)されていることを示している。
【0052】
さらに、制御部21では、単位時間当たりの目標生産個数に対する実生産個数の割合(以下、「作業スピード達成率」という)を算出し、その割合を表示器3aに画面上の所定箇所にバーグラフ33で表示させる。ここでは、算出した作業スピード達成率を10パーセント単位に切り下げ処理し、バーグラフ33の1目盛りを10パーセントとして表示するようにしている。バーグラフ33は、作業スピード達成率が上昇するにつれて表示画面の左側から右側へ延びるように表示されるようにしている。バーグラフ33の右端(先端)が、表示画面の下に記載された「BAD」の領域にあるときには作業スピード達成率が100%未満であることを示し、「GOOD」の領域にあるときには作業スピード達成率が100%以上であることを示している。
【0053】
また、制御部21は、目標計量ロス量に対する実計量ロス量の割合(以下、「ロス量割合」という)を算出し、そのロス量割合を表示器3aに画面上の所定箇所にバーグラフ34で表示させる。ここでは、算出したロス量割合を10パーセント単位に切り上げ処理し、バーグラフ33の1目盛りを10パーセント(目標計量ロス量/10)として表示するようにしている。バーグラフ34は、ロス量割合が大きくなるにつれて表示画面の右側から左側へ延びるように表示されるようにしている。バーグラフ34の左端(先端)が、表示画面の下に記載された「BAD」の領域にあるときには実計量ロス量が目標計量ロス量より大きいことを示し、「GOOD」の領域にあるときには実計量ロス量が目標計量ロス量以下であることを示している。例えば、目標計量値(下限値)が200g、目標計量ロス量が2gに設定されている。
【0054】
以上に説明したように、本実施形態では、定貫作業中において、表示器3aに星印のようなマーク31、32が表示されることにより管理情報の判定結果がリアルタイムで報知されるので、作業者は管理情報の値が目標値に達しているか否かを容易に把握することができる。また、判定結果がよくない場合には、定貫作業中に、管理情報の値が目標値に達するように作業者が定貫作業を改善することができ、生産計画に従って製品を製造することが可能になる。
【0055】
また、管理情報の判定結果を星印のようなマーク31、32の表示状態で報知することにより、瞬時かつ直感的に判定結果を把握することが可能になる。また、作業者が日本語を読めない人(例えば外国人)であっても、マーク31、32の表示状態を見て判定結果を把握することが可能になる。
【0056】
また、作業スピード達成率及びロス量割合を、表示器3aにバーグラフ33、34で表示することにより、作業スピード及び実計量ロス量が目標値に対してどの程度達成できているかを容易に把握することができる。この場合も、作業者が日本語を読めない人(例えば外国人)であっても、作業スピード及び実計量ロス量が目標値に対してどの程度達成できているかを容易に把握することができる。
【0057】
また、管理情報の判定結果(マーク31、32)、作業スピード達成率及びロス量割合(バーグラフ33、34)は、計量値を表示する表示器3aの画面に表示されるので、別途、画像表示装置を設ける必要もない。
【0058】
なお、本実施形態では、管理情報として、計量ロス量及び単位時間当たりの生産個数(作業スピード)を算出するようにしたが、次の式で表される計量ロス率を算出するようにしてもよい。
【0059】
計量ロス率(%)=(平均値−目標計量値)÷目標計量値×100
=計量ロス量÷目標計量値×100
この場合、目標計量ロス量と同様、目標計量ロス率を制御部21に予め設定しておき、制御部21は、算出した計量ロス率を目標計量ロス率以下であるか否かを判定し、その判定結果を、例えば計量ロス量についての判定結果の場合と同様、星印等のマークによって表示させる。また、制御部21は、目標計量ロス率に対する実計量ロス率の割合(以下、「ロス率割合」という)を算出し、そのロス率割合を表示器3aに画面上の所定箇所に、ロス量割合のバーグラフ34と同様にしてバーグラフで表示させる。このバーグラフの左端(先端)が、表示画面の下に記載された「BAD」の領域にあるときには実計量ロス率が目標計量ロス率より大きいことを示し、「GOOD」の領域にあるときには実計量ロス率が目標計量ロス率以下であることを示している。例えば、目標計量ロス率は1%に設定されている。
【0060】
また、本実施形態では、作業スピード及び計量ロス量について、それぞれが目標値に達しているか否かを判定し、その判定結果を報知するようにしたが、作業スピードと計量ロス量と計量ロス率とのうちの少なくとも1つを管理情報として算出し、その判定結果を報知するように構成してもよい。
【0061】
また、例えば操作入力部4の操作によって、作業スピードと計量ロス量と計量ロス率とのうちの少なくとも1つを算出する管理情報として選択できるようにし、操作入力部4で選択されたものについてのみ、その判定結果を表示するように構成してもよい。例えば、被計量物の種類によっては、作業スピードと計量ロス量と計量ロス率とのうちで重要性が異なる場合があるので、そのような場合のときに、より重要な管理情報を選択することができて便利である。
【0062】
また、管理情報の判定結果を、表示器3aの背景色によって報知するように構成してもよい。例えば、作業スピードと計量ロス量とが管理情報である場合に、作業スピードのみが目標値に達している場合は、表示器3aの背景色を赤色にし、計量ロス量のみが目標値に達している場合は、表示器3aの背景色を黄色にし、作業スピード及び計量ロス量の両方が目標値に達している場合は、表示器3aの背景色を青色にするようにしてもよい。
【0063】
また、管理情報の判定結果を、計量台1に被計量物が載っていないときに、計量値判定結果とは異なる色で、表示灯3bを点灯させるように構成してもよい。例えば、作業スピードと計量ロス量とが管理情報である場合に、作業スピードのみが目標値に達している場合は、表示灯3bを紫色に点灯させ、計量ロス量のみが目標値に達している場合は、表示灯3bを緑色に点灯させ、作業スピード及び計量ロス量の両方が目標値に達している場合は、表示灯3bを白色に点灯させるようにしてもよい。
【0064】
また、管理情報の判定結果を、スピーカ5から音声で出力されるように構成してもよい。この場合、制御部21では、上記判定結果に応じた制御信号を音声合成LSI51へ出力することにより、音声合成LSI51はその制御信号に応じた音声データを音声データメモリ52から読み出し、それをアナログ信号に変換し増幅してスピーカ5へ出力する。これにより、スピーカ5から上記作業スピード及び計量ロス量の判定結果が音声で出力される。また、ここで、上記判定結果が目標値に達していない場合には、作業の改善を示唆する内容(例えば、作業スピードが目標値に達していない場合に「被計量物の入れ替え回数が少なくなるよう作業してください」等)も、スピーカ5から出力させるようにしてもよい。
【0065】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態の一構成例の計量装置について説明する。
【0066】
図1(A)に示す計量装置では、操作制御装置2の前面側(計量台1側)にのみ表示部3が設けられているが、本実施形態の計量装置では、操作制御装置2の前面側と背面側の両方に表示部が設けられている。他の構成は、図1(A)に示す計量装置と同様である。
【0067】
図3(A)は、本発明の第2の実施形態の一構成例の計量装置の操作制御装置2の前面側(計量台1側)の表示部の一例を示す図であり、図3(B)は、同計量装置の操作制御装置2の背面側の表示部の一例を示す図である。
【0068】
図3(A)に示す前面側の表示部3は、第1の実施形態における表示部3と同様、表示器(第1の表示器)3aと表示灯3bとで構成されている。図3(B)に示す背面側の表示器(第2の表示器)3cは、例えば液晶ディスプレイで構成されている。この表示器3cも制御部21(図2参照)によって制御される。
【0069】
本実施形態では、前面側の表示部3の表示器3aには計量値等が表示され、表示灯3bには前述の計量値判定結果に応じた色が点灯される。作業者は表示部3を見て作業を行う。また、後面側の表示器3cには、管理情報の判定結果(作業スピード及び計量ロス量の判定結果)を示すマーク31、32と、作業スピード達成率を示すバーグラフ33と、実計量ロス量を示すバーグラフ34とが表示されている。この表示器3cは、例えば作業監督者等が見るためのものである。
【0070】
本実施形態では、作業監督者は、後面側の表示器3cのマーク31、32の表示状態を見て、管理情報の判定結果を瞬時かつ直感的に把握することが可能になる。また、バーグラフ33、34を見て、作業スピード及び実計量ロス量が目標値に対してどの程度達成できているかを容易に把握することができる。そのため、作業監督者は定貫作業中に作業者に対して作業改善等の指示を与えることができ、生産計画に従って製品を製造することが可能になる。
【0071】
なお、第2の実施形態においても、第1の実施形態で説明したように、管理情報として計量ロス率を算出し、その判定結果を例えば星印のマークによって表示器3cに表示させるようにしてもよい。また、ロス率割合をバーグラフで表示器3cに表示させるようにしてもよい。
【0072】
また、上記第1、第2の実施形態においては、管理情報の判定結果と、管理情報のその目標値に対する割合(作業スピード達成率、ロス量割合、ロス率割合等)とを制御部21がそれらを求めるたびに報知するようにしたが、次のようにしてもよい。例えば、管理情報の判定結果と、管理情報のその目標値に対する割合とを報知するための特定のカード、例えば個人識別情報が埋め込まれたRFID(Radio Frequency Identification)タグを用いたカードを作成し、そのRFIDカードを例えば作業監督者が所有する。そして、操作制御装置2に制御部21と接続されたRFIDリーダを備える。
【0073】
そして、例えば作業監督者がRFIDカードをRFIDリーダにかざすことにより、RFIDカードとRFIDリーダとの距離が通信可能範囲内になると、RFIDリーダは、RFIDカードから、近距離の無線通信によって個人識別情報を読み取り、この個人識別情報を制御部21に送信する。制御部21では、予め登録(記憶)されている個人識別情報との照合を行い、一致すれば、直近に求められている管理情報の判定結果と、管理情報のその目標値に対する割合とを報知するように構成する。すなわち、作業監督者がRFIDカードをRFIDリーダにかざしたときにのみ、管理情報の判定結果と、管理情報のその目標値に対する割合とを報知するように構成されている。この構成により、作業監督者は、必要に応じて、作業者についての管理情報の判定結果と、管理情報のその目標値に対する割合とを容易に把握することができ、作業者に対して作業改善等の指示を与えることができるため、生産計画に従って製品を製造することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、定貫作業中において途中経過の管理情報が目標値に達しているか否かを容易に把握することができる計量装置等として有用である。
【符号の説明】
【0075】
1 計量台
2 操作制御装置
3 表示部
3a 表示器
3b 表示灯
3c 表示器
4 操作入力部
5 スピーカ
6 重量センサ
21 制御部
33,34 バーグラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定貫作業に用いられ、被計量物の質量を計量し、その計量値を第1の表示器にデジタル表示する計量装置であって、
所定時間間隔で、定貫作業における計量1回当たりの被計量物の平均損失量である計量ロス量と、目標計量値に対する前記計量ロス量の割合である計量ロス率と、単位時間当たりの生産数である作業スピードとのうちの、少なくとも一つを管理情報として算出する管理情報算出手段と、
前記管理情報算出手段が管理情報を算出するたびに、算出した管理情報の値がその管理情報に関する目標値に達しているか否かの判定を行う管理情報判定手段と、
前記管理情報判定手段が前記判定を行うたびに、その判定結果である管理情報判定結果を報知する報知手段とを備えた、計量装置。
【請求項2】
計量ロス量と計量ロス率と作業スピードとのうちの少なくとも1つを選択するための管理情報選択手段をさらに備え、
前記管理情報算出手段は、前記管理情報選択手段で選択された管理情報の値を算出するように構成された、
請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記報知手段は、前記管理情報判定結果を、前記第1の表示器の画面に前記管理情報判定結果に応じたマークを用いて表示するように構成された、請求項1または2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記報知手段は、前記管理情報判定結果を、前記第1の表示器の画面に前記管理情報判定結果に応じた背景色を用いて表示するように構成された、請求項1または2に記載の計量装置。
【請求項5】
被計量物の計量値が、下限値以上でありかつ上限値以下である適量範囲内の値であるか、前記下限値未満の値であるか、前記上限値より大きい値であるかを判定する計量値判定手段と、
前記計量値判定手段の判定結果を、前記判定結果に応じた色で表示する計量値判定表示部とをさらに備え、
前記報知手段は、前記管理情報判定結果を、前記計量値判定表示部に前記管理情報判定結果に応じた色を用いて表示するように構成された、請求項1または2に記載の計量装置。
【請求項6】
前記報知手段は、前記第1の表示器の裏面側に設けられ、前記管理情報判定結果を画面に表示するための第2の表示器からなる、請求項1または2に記載の計量装置。
【請求項7】
前記報知手段は、前記管理情報判定結果を音声で出力する音声出力手段からなる、請求項1または2に記載の計量装置。
【請求項8】
第1の情報を送信可能なカードとの距離が通信可能範囲内になったときに前記カードから前記第1の情報を受信する通信手段をさらに備え、
前記報知手段は、前記通信手段によって前記カードから前記第1の情報を受信したときにのみに、前記管理情報判定結果を報知するように構成された、請求項1〜7のいずれかに記載の計量装置。
【請求項9】
前記管理情報算出手段が管理情報を算出するたびに、算出した管理情報の値の、その管理情報に関する目標値に対する割合を算出する割合算出手段をさらに備え、
前記割合算出手段が前記割合を算出するたびに、算出した割合を前記第1の表示器にバーグラフで表示するように構成された、請求項1または2に記載の計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−36845(P2013−36845A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172858(P2011−172858)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)